JP2007148210A - 液晶表示装置とその製造方法及び液晶注入装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスが発生しやすいカラーフィルタや有機樹脂膜を有する液晶表示装置において、液晶注入後にカラーフィルタからガスが発生し、セル内に気泡が発生することを防止し、表示品質、信頼性の向上を図る。
【解決手段】カラーフィルタ基板9と対向基板16とをシール材3で貼り合せてセルを形成し、前記のセルに対して紫外線を照射することにより、カラーフィルタ9のオーバーコート膜6の表面に存在する変質層を部分的に除去し、更に減圧状態で加熱処理し充分にセル内部の水分を除去した後に液晶4をセル内に注入することによって液晶表示装置を製造する。
【選択図】図1
【解決手段】カラーフィルタ基板9と対向基板16とをシール材3で貼り合せてセルを形成し、前記のセルに対して紫外線を照射することにより、カラーフィルタ9のオーバーコート膜6の表面に存在する変質層を部分的に除去し、更に減圧状態で加熱処理し充分にセル内部の水分を除去した後に液晶4をセル内に注入することによって液晶表示装置を製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は液晶表示装置の製造方法に係り、特にセル組み立て後の液晶注入装置及び、前記製造方法或いは装置を用いて製造された液晶表示装置に関するものである。
カラーフィルタを有する液晶表示装置においては、減圧状態でカラーフィルタからガスが発生しやすく、このようなカラーフィルタを有する液晶表示装置の液晶注入時に、カラーフィルタからガスが発生すると、液晶注入後にセル内に残留気泡が発生することにより、液晶表示装置としては致命的な欠陥となる。
この為、液晶注入前にセルを減圧加熱条件下に長時間保持することでカラーフィルタからのガスを除去して、液晶注入後の残留気泡を防止する方法が従来から行われている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この場合、液晶注入前の減圧加熱保持時間が著しく長くなること等が問題となっている。また、これらの対策として、カラーフィルタ基板をセル組み立て前にあらかじめ 単体で減圧加熱処理する方法等も考案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、従来の何れの方法を取った場合でも、パネルへの衝撃等が引金となり、製品出荷後にパネル内に泡が発生する場合がある。その現象は減圧加熱処理をかなり長時間行っても、完全には無くならず信頼性の問題として残存していた。
我々は、減圧加熱処理をかなり長時間行っても完全に製品出荷後での気泡不良が無くならないことの種々の原因を探った結果、減圧加熱処理後の水分の再付着があることと、カラーフィルタの表面にあるオーバーコート膜内部の水分が、表面の変質層によって閉じ込められ、減圧加熱処理を行っても非常に遅い速度でしか脱離しないことを突き止めた。これらのパネル内の残留水分がガスとして気泡の原因となってしまう。また、対向基板に有機樹脂からなる有機絶縁膜を使用している場合には、同様の表面変質層の問題が有機絶縁膜にもあてはまることもわかった。最近増えてきた反射電極と透過電極を組み合わせた半透過型方式の液晶表示装置は、対向基板に有機絶縁膜を使用している為、この問題が特に顕著に発生する。
本発明は上記の様な課題を解決するためになされたものであり、セル状態での液晶注入前の減圧加熱保持時間を短縮し、製品出荷後のパネル内の気泡発生を防止することができるようにした液晶表示装置の製造方法、液晶注入装置及び、これらの方法或いは装置を用いて製造された液晶表示装置を提供することを目的としている。
カラーフィルタ基板と対向基板とをシール材で貼り合せてセルを形成する工程と、前記セルに対して紫外線を照射する工程と、前記紫外線の照射後に減圧状態で加熱処理する工程と、前記加熱処理工程後に前記セル内に液晶を注入する工程を具備することによって液晶表示装置を製造する。
本発明によれば、カラーフィルタ基板と対向基板とをシール材で貼り合せて形成されたセルに対して、紫外線を照射した後に、減圧加熱処理を行うことによって、セル状態での液晶注入前の減圧加熱保持時間が短縮され、製品出荷後のパネル内の気泡の発生を抑えた信頼性の高い液晶表示装置を得ることができる。
<実施の形態1>
図1、図2及び図3は、実施の形態1の液晶表示装置を説明するための図であり、図1は図2におけるA−B断面線での断面図、図2は液晶表示装置全体の平面図、図3は図1におけるC部の拡大断面図を概念的に示した図である。
図1、図2及び図3は、実施の形態1の液晶表示装置を説明するための図であり、図1は図2におけるA−B断面線での断面図、図2は液晶表示装置全体の平面図、図3は図1におけるC部の拡大断面図を概念的に示した図である。
図1及び図2に示すように、2枚のガラス基板1、2が空間を空けて配置されており、周辺部にはシール材3が額縁状に形成されており、2枚のガラス基板1、2の間には、液晶4がシール材3で囲まれる様な形で封入されている。
ガラス基板1の表面には、ITO(Indium Tin Oxide)透明電極膜より成る共通電極5、保護膜の役割を持つオーバーコート膜6、カラーフィルタ7、遮光層8、及び配向膜(図示せず)等が形成されておりカラーフィルタ基板9と呼ぶ。
一方、ガラス基板2の表面には、TFT(Thin Film Transistor)等の駆動素子10、駆動素子に信号を供給するゲート配線11及びソース配線12、多層からなる絶縁膜13、有機樹脂からなる有機絶縁膜14、駆動素子10に電気的に接続された画素電極15、及び配向膜(図示せず)等が形成されており対向基板16と呼ぶ。
一方、ガラス基板2の表面には、TFT(Thin Film Transistor)等の駆動素子10、駆動素子に信号を供給するゲート配線11及びソース配線12、多層からなる絶縁膜13、有機樹脂からなる有機絶縁膜14、駆動素子10に電気的に接続された画素電極15、及び配向膜(図示せず)等が形成されており対向基板16と呼ぶ。
ここで、多層からなる絶縁膜13としては、シリコン窒化膜またはシリコン酸化膜等の絶縁膜を適宜組み合わせ用いている。図中では簡略化してあるが、実際には駆動素子10の層間にも絶縁膜13を構成する絶縁膜が存在する。画素電極15としては、液晶表示装置が透過型、反射型、半透過型等の種類に応じてITO透明電極膜、表面の反射率の高い金属膜、または、両者を適宜組み合わせたものを用いる。表面の反射率の高い金属膜としては、Al、Agやそれらを主成分とする合金膜または前記合金膜を少なくとも一層、構成要素に含んだ多層膜等が有効である。
対向基板16の端部には、信号入力用の端子17が形成されており、その端子17に、駆動IC(Integrated Circuit)18や、制御基板19がフラットパネルケーブル20等で実装され、更に反射型方式を除く表示方式では光源としてバックライトユニット(図示せず)が配置される等して液晶表示装置が構成されている。
また、構造的には、図1からわかる様に本実施の形態1のカラーフィルタ基板9はシール材3の近傍のシール材3と接する部分でオーバーコート膜6がパターニング除去された構造となっている。更に、図3の拡大断面図に示した様に、画素電極の無い領域での有機絶縁膜14の表面及びオーバーコート膜6の表面には、有機絶縁膜14及びオーバーコート膜6の其々の変質層21が存在しており、部分的に除去されているという特徴を持っている。
続いて、以上に説明した液晶表示装置の製造工程について説明する。先ず、対向基板16の製造工程について、ここでは、一例として駆動素子にアモルファスシリコンTFTを用いた製造方法について図4に従って説明する。
図4(a)に示す様に、ガラス基板2の上にCr、Al、Mo、Ti等を主成分とする配線材料を用いて、ゲート電極22や端子パッド23等を形成する。つづいて、シリコン窒化膜等からなる絶縁膜24や、TFTの能動層であるアモルファスシリコン膜等を形成し、シリコンを島状にパターニングしてTFTのチャネル25を形成する。
続いて、図4(b)に示す様に、端子パッド23に対するコンタクトホール26をパターニングし、更に、ソース配線やソース・ドレイン電極27をMo, Cr, Ti等を主成分とする金属膜あるいは、これらとAlを主成分とする金属膜の積層膜を用いて形成する。また、同時に、端子パッド28を形成する。
更に、図4(c)に示す様に有機絶縁膜、または、シリコン窒化膜と有機絶縁膜の積層膜からなる絶縁膜29を形成し、画素部、端子部に対応する絶縁膜29にコンタクトホール30、31を形成する。最後に、表面の反射率の高い金属膜で画素電極15の反射部分32、ITO透明膜で画素電極13の透過部分33及び端子電極34を形成することによって対向基板16が完成する。
ここで絶縁膜29として有機絶縁膜を使用したのは、スピンコート等の方式によって比較的容易に厚い絶縁膜を形成できるからである。数100nm程度のシリコン窒化膜等を用いるよりも1μm以上の絶縁膜を形成することによって、層間で発生する寄生容量を小さくできる。この為、ソースバスラインやソース・ドレイン電極27と画素電極15を重なる様に配置することも可能となり高開口率の消費電力の少ない液晶表示装置を得ることができる。
ここでは、半透過型の液晶表示装置について説明したので、画素電極13としては前記の反射部分と透明部分の両方を持ち合わせる構成としたが、反射型液晶表示装置では、反射部分のみとなる。また、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、いずれの場合も反射部分の下にある有機絶縁膜に1μm程度の段差を作り反射部の表面に凹凸形状を形成することによって、反射光を散乱させ、周辺光の映りこみを減らして表示品位を高くすることができる。また凹凸形状を制御することによって反射光を集光し、反射効率の高い液晶表示装置を得ることが可能である。
続いて、液晶表示装置のパネル組み立て工程を図5に従って説明する。対向基板16については、上記説明の通りの製造方法に従って準備した。図面は、膜構成等を、簡略化して示している。カラーフィルタの形成されたカラーフィルタ基板9については、一般的な物を使用するものとし、製造工程の説明は省略する。なお、図中、図1と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略している。
図5(a)に示された対向基板16および、カラーフィルタ基板9の表面(対向基板16では図の上面側、カラーフィルタ基板9では図の下面側)に、それぞれ別々に、配向膜(図示せず)を形成する。その後、図5(a)に示す様にカラーフィルタ基板9表面に、セル35を形成する為に、ペースト状の樹脂であるシール材3をノズルによるディスペンス方式、または、スクリーン印刷方式等によって塗布する。
また、図での説明は省略するが、対向基板16に対しては、対向基板16側とカラーフィルタ基板9上の共通電極5間の導通を取る為に、対向基板上に設けられた電極に銀ペースト等のトランスファ材を形成する工程や、基板間距離を決めるスペーサー材を散布する工程等が行われる。但し、このトランスファ材の形成工程は、シール材3に導電粒子を含有する等の方法で省略することも可能である。
その後、図5(b)に示す様に、これら2枚の基板を重ね合わせて、熱と圧力を印加して接着し、パネル間を切断して、セル35が形成される。続いてセル35内に、液晶4の注入を行う(図5(c))。最後に図1に示す様に、端子17に駆動IC 18や制御基板19を実装し、反射型方式以外の表示方式では光源としてバックライトユニット(図示せず)を配置することによって液晶表示装置が完成する。
続いて、本実施の形態1での液晶4の注入工程について図を用いて詳細に説明する。ここで、図6は本実施の形態1で用いた液晶注入装置の模式図であり、図7は液晶注入工程のフローチャートである。
先ず、液晶注入装置の一例について図6に従って説明を行う。図中、セル35は一枚で示しているが、実際は複数枚同じ向きに重ねられた形でカセット内に収められ、カセットは真空チャンバ36内にクランプされた形で収容されている。セル35の下部には液晶4を収納した液晶皿37がセットされ、液晶皿37の下部には、液晶皿37を上下に昇降することのできる移動機構38が取り付けられている。ここで、移動機構38は、液晶皿37中の液晶4にセル35を浸漬する動作と引き上げる動作をさせることができれば良いので、セル35を収めたカセットを昇降させるものであっても構わない。更に真空チャンバ36内には、セル35を加熱することのできる加熱機構としてヒーター39を備えている。また、セル35に対して紫外線を照射できる紫外線ランプ40も備えている。
真空チャンバ36の外部には、真空チャンバ36内を排気することのできる排気機構である排気ユニット41が取り付けられている。この排気ユニット41は、低度の真空まで高速に排気することのできるロータリーポンプ、ドライポンプまたはメカニカルブースターポンプ等と、高真空まで排気することのできるターボ分子ポンプまたはクライオポンプ等を組み合わせたものである。計測された真空度や動作モードに応じて切り替えを手動または自動で行うことができる。更に、真空チャンバ36内にガスを用途に応じて供給できる様に、酸素ボンベ42と窒素ボンベ43が接続されている。
以上に説明した液晶注入装置を用いた本実施の形態1の液晶注入方法について図7のフローチャートに従って手順を説明する。先ず、セル35を真空チャンバ36内に入れた図6の状態で、第一の工程S1で、セル35内の減圧排気を行う。ここでは、セル35内の水分を除去する目的で排気ユニット41のロータリーポンプを使って1〜3Pa程度、好ましくは1Pa以下になるまで減圧する。次に真空チャンバ36と排気ユニット間のバルブを閉じて、第二の工程S2で、酸素ボンベ42から酸素を供給し酸素封入を行う。これによりセル35内にも酸素が封入される。続いて第三の工程S3で、セル35に対して紫外線ランプ40から紫外線を照射する。更に第四の工程S4において、ヒーター39でセル35の加熱処理を行いながら真空チャンバ36内の減圧排気を再度開始する。加熱温度は130℃とした。排気は排気ユニット41のロータリーポンプで低真空まで排気した後に、排気ユニット41に備えられたターボ分子ポンプを用いて10-2 Pa以下まで真空度を上げた。所定の真空度が得られた後、1時間排気を行った。排気の完了後、第五の工程S5で、窒素ボンベ43によって窒素を供給し、脱真空を行い、真空チャンバ36内部のセル35を冷却した。
以上の様にして、セル35内及びセル35を構成するカラーフィルタ基板9や対向基板16の内部からも充分に水分を追い出すことができる。続いて第六の工程S6で真空引きを行いセル35内を真空に引いた後、第七の工程S7で、移動機構38で液晶皿37を上昇することによって、セル35を液晶皿37中の液晶4に浸漬し、続いて窒素ボンベ43によって真空チャンバ36内部の脱真空を行い、セル35内への液晶4の注入が行われる。
続いて、本実施の形態1の作用について説明する。図7のフローチャートで説明したS1〜S2の工程によって真空チャンバ36内やセル35内からガス中の水分の大部分を除去することができる。更に、S3〜S4の工程によって発生する作用を図8〜図10で説明する。
図8は、図5のD部分の拡大断面図である。なお、図中、図3と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略している。図8中に示される様に、有機絶縁膜14表面及びオーバーコート膜6の表面には、有機絶縁膜14及びオーバーコート膜6の其々の変質層21が存在していることがわかる。この変質層21は、製造工程を経ていく間に、熱履歴によってクリーンルーム中の酸素や有機物と有機絶縁膜14及びオーバーコート膜6が反応して生成されるものであり、有機絶縁膜14とオーバーコート膜6とは組成が若干変異したものである。また、有機絶縁膜14の場合には、ドライエッチングプロセス等によるダメージによっても変質層21の生成が進む。
ここで、S3の工程での紫外線照射によって、図9の様に、セル35内の酸素分子が分解され活性酸素O*やオゾンガスとなる。これらは有機物を分解するので、表面に存在する変質層21を侵食する。この分解される酸素分子は、S2の工程で酸素ボンベ42から供給されたものである。この図9の様な変質層21が部分的に除去されている状態で、次のS4の工程を行うと、図10(a)で説明する様な現象が発生する。有機絶縁膜14やオーバーコート膜6の膜内部には、水分44が含まれている。通常は加熱排気を行うことによって図10(b)の様に膜内部から脱離するが、表面の全面に変質層21が存在すると、脱離速度が非常に遅くなってしまう。本実施の形態1では、図10(a)の様に変質層21に除去された部分が存在する為に、非常に速く水分44を脱離させることが可能となる。
また、本実施の形態1では、S1〜S4の工程で真空チャンバ36とセル35の内部の水分を完全に脱離させた後、大気と開放することなく、連続して液晶の注入までを完了してしまう。この為、水分の再付着も発生することもなく、気泡の発生の原因となる水分がセル35内へ残存することを防止することができる。
また、本実施の形態1では、酸素ボンベ42は高純度酸素ボンベを使ったので水分濃度が管理されている。更に、S1〜S2の工程による真空チャンバ36内の水分の除去作業を一度だけ行ったが、複数回繰り返すことによって、水分除去効果を更に上げることが可能である。
ここで、酸素を使用したのは、紫外線照射時に、酸素が分解されることで、有機物の分解効果の高い活性酸素O*やオゾンを生成することができるからである。水分濃度が低濃度に管理でき、酸素を含んでいれば良いので、乾燥空気でも代用することが可能である。図11に本実施の形態1の液晶注入装置の変形例である乾燥空気を用いた液晶注入装置の模式図を示す。なお、図中、図6と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略している。図6で説明した液晶注入装置に比べて、酸素ボンベ42と窒素ボンベ43の代わりに、水分除去機構45を備えた配管が接続されている。空気を水分除去機構45を経由して送り込むことで乾燥空気を真空チャンバ36に供給することができる。この乾燥空気は、S1の工程の酸素、S5の工程の窒素の代わりに使用することができる。高濃度の酸素ボンベや窒素ボンベに比べると比較的安価に同様の効果を得ることができコストの削減を実現することができる。
本実施の形態1の液晶表示装置では、図1で説明したとおり、オーバーコート膜6がシール材3の近傍でパターニングされており、オーバーコート膜6がシール材3の内側であり、セル35の内部に閉じ込められた構造である。この為、比較的水分を通し易いオーバーコート膜6の内部を経由して外部からセル35の内部に水分が入り込んでしまうことも発生しない。ここで、図1では、シール材3とオーバーコート膜6は重なっていないが、一部が接したり重なる場合においても、オーバーコート膜6が液晶4及びシール材3から外部に露出しない構造とすることで、同じ様に水分がセル35内に入りこむことを防止できる。これらの構造の効果と、これまで説明してきた製造方法の効果によってセル35内部から徹底して水分を排除することができたので、長時間の使用にも気泡の発生することの無い、非常に信頼性の高い液晶表示装置を得ることができた。
<実施の形態2>
続いて、実施の形態2の液晶表示装置について説明する。ここでの液晶表示装置は、実施の形態1の液晶表示装置で説明した対向基板16に有機絶縁膜14を形成しない点が異なっている。その他の構成は変わらないので構成の説明は省略し、液晶表示装置の製造工程から説明する。
続いて、実施の形態2の液晶表示装置について説明する。ここでの液晶表示装置は、実施の形態1の液晶表示装置で説明した対向基板16に有機絶縁膜14を形成しない点が異なっている。その他の構成は変わらないので構成の説明は省略し、液晶表示装置の製造工程から説明する。
先ず、対向基板16の製造工程について、実施の形態1と図4(b)までの製造方法は同一なので説明を省略する。図4(b)の工程まで形成したのち、図12の様にシリコン窒化膜からなる絶縁膜46を形成し、画素部、端子部に対応する絶縁膜46にコンタクトホール30、31を形成する。最後に、画素電極15及び端子電極34を形成することによって対向基板16が完成する。なお、図中、図4と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略している。
続いて、液晶表示装置のパネル組み立て工程について、実施の形態1とセル35の形成までは同様であるので、手順等の詳細説明は省略し、セル35が完成した状態のシール材3付近の断面模式図を図13に示す。ここでも、図中、図1と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。図より有機絶縁膜14が無く、多層からなる絶縁膜13の上に直接、画素電極15が形成されていることがわかる。
続いて、本実施の形態2での液晶4の注入工程について図を用いて詳細に説明する。ここで図14は本実施の形態2で液晶注入前に用いたアニール装置の模式図であり、図15は注入工程のフローチャートである。
先ず、本実施の形態2で用いたアニール装置について図14に従って説明を行う。図中、実施の形態1の液晶注入装置の模式図である図6と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。実施の形態1の液晶注入装置に比べて液晶注入の機能が省略されている為、液晶皿37及び移動機構38が省略されている。更に酸素を導入する酸素ボンベ42が省略されている。その他については実施の形態1の液晶注入装置と同等の機能を備えている。また、ここでは、紫外線ランプとして有機物の分解効率の高い172nmの波長の紫外線を発生するエキシマ紫外線ランプ47を用いた。
以上に説明したアニール装置を用いた本実施の形態2の液晶注入方法について図15のフローチャートに従って手順を説明する。先ず、セルを真空チャンバ36内に入れた図14の状態で、第一の工程T1で、セル内の減圧排気を行う。今回は排気と同時にセル35に対してエキシマ紫外線ランプ47から紫外線の照射を開始する。更にヒーター39でセル35の加熱も開始する。加熱温度は130℃とした。
紫外線の照射は、ある程度、変質層21の除去が進めば必要ないので適当な時間で照射を停止しても構わない。ここでは、5分の照射で停止した。減圧排気は、最初は水分やオーバーコート膜6中の水分の脱離などがあり真空度は上がりにくいが、時間とともに圧力は低下する様になる。排気ユニット41のロータリーポンプを使って1〜3Pa程度、好ましくは1Pa以下になるまで減圧し、更に、排気ユニット41に備えられたターボ分子ポンプを用いて10-2 Pa以下まで真空度を上げたうえ、加熱したままで1時間排気を行った。その後、第二の工程T2で、窒素ボンベ43によって窒素を供給し、脱真空を行い、真空チャンバ36内部のセル35を冷却した。
以上の様にして、セル35内及びセル35を構成するカラーフィルタ基板9の内部からも充分に水分を追い出すことができる。続いてアニール装置から液晶注入装置にセル35を移動する。ここで使用する液晶注入装置は従来からある液晶注入装置で差し支え無いので装置構成等の説明は省略する。移動された液晶注入装置内において、第三の工程T3で真空引きを行いセル35内を真空に引いた後、第四の工程T4で、セル35を液晶4に浸漬し、脱真空を行い、液晶4の注入が完了する。
続いて、本実施の形態2の作用について図16及び図17のシール材3付近の断面模式図で説明する。ここでも、図中、図13と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。図16の様に、本実施の形態2では、有機絶縁膜14は存在しないが、カラーフィルタ基板9表面にはオーバーコート膜6が存在する為、オーバーコート膜6の変質層21が存在している。T1の工程により、紫外線が照射された場合、本実施の形態2では、減圧状態であり、酸素が殆ど存在しないことから、オゾンや活性酸素O*を生成することができない。しかしながら、この場合にも、やや速度が落ちるものの紫外線によって直接炭素間のC-C結合が破壊されて変質層21の有機物の分解が起こる。エキシマ紫外線では、通常の紫外線よりも波長が短い為、波長と反比例する分解エネルギーが高くなることから、比較的この反応は進み易い。また、ヒーター39でセル35を加熱しながら紫外線の照射が行われていることで、常温に比べて反応は加速される。
この様にして、図17の様に、変質層21が部分的に除去されている状態をここでも実現できる。また、加熱と排気が同時に行われていることから、オーバーコート膜6内部の水分44が変質層21の除去された部分から同時進行で脱離し始める。
また、本実施の形態2では、T1の工程で真空チャンバ36とセル35の内部の水分を完全に脱離させた後、水分濃度の管理された窒素ボンベ43から供給された窒素により脱真空を行った為、セル内には窒素が封入されることになる。この後、迅速に液晶注入装置内に移動することによって、セル内部への水分の再付着を防止でき、同一装置内で大気開放せずに連続して液晶の注入までを完了するのと、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態2では、加熱排気工程から冷却工程と液晶注入工程を別の装置で行った為、それぞれの工程を並列に行えることから処理能力が高い。更に、注入機構と加熱機構及び紫外線照射機構を分離することができ、装置としては、注入装置への熱や紫外線の影響などを考慮する必要がなく、構成を簡単にすることや、装置寿命を長くすることができる。また、本実施の形態2で説明したアニール装置は、本実施の形態2で説明した様にセル内部の水分除去に使用することで充分な効果を得ることができるが、セルの組み立て前に単体の対向基板やカラーフィルタ基板の状態で使用しても水分除去効果は従来の減圧加熱処理装置よりも高い。
本実施の形態2でも、図13で示される様に、オーバーコート膜6がシール材3の近傍でパターニングされており、オーバーコート膜6がシール材3の内側であり、セル35の内部に閉じ込められた実施の形態1と同様の構造をとっている。この為、比較的水分を通し易いオーバーコート膜6の内部を経由して、外部からセル35の内部に水分が入り込んでしまうことも発生しない。これらの構造の効果と、これまで説明してきた実施の形態2の製造方法の効果によってセル35内部からは徹底して水分を排除することができたので、長時間の使用にも気泡の発生することの無い、非常に信頼性の高い液晶表示装置を得ることができた。
以上、実施の形態1及び2として、駆動素子10の一例としてアモルファスシリコン膜を能動層として用いたTFTを用いて説明を行ったが、能動層にポリシリコン膜を使ったTFT、更に薄膜ダイオードも駆動素子10に含まれ、その他、能動的に信号を制御できる素子を全て含む。これらの駆動素子10を用いた液晶表示装置等についても、カラーフィルタ基板9にオーバーコート膜6が使用されている或いは対向基板16に有機絶縁膜14が使用されている場合は全て同様の効果がある。
また、実施の形態1及び2として、駆動素子10を持つ液晶表示装置について例を挙げて説明したが、パッシブ方式の液晶表示装置等、駆動素子10を特別に持たない場合についても、カラーフィルタ基板9にオーバーコート膜6が使用されている或いは対向基板16に有機絶縁膜14が使用されている場合は全て同様の効果がある。
更に、実施の形態1では画素電極15として反射電極や透過電極を用いた反射型や半透過型の表示方式の液晶表示装置を中心に説明した。これらでは上記の様に有機絶縁膜14を形成することが多いので特に本実施の形態1の効果が顕著に現れる。但し、実施の形態形態1を透過電極のみを用いた透過型の表示方式の液晶表示装置に電極構造を変更した場合でも同様の効果がある。逆に実施の形態2を反射型や半透過型の液晶表示装置と変更しても同様の効果がある。また、実施の形態1及び2の変形例として、カラーフィルタ基板9に設けた共通電極5を対向基板16側に設置して、画素電極15との間に横方向に液晶4に対して電界をかける方式の横電界方式の液晶表示装置の場合についても、カラーフィルタ基板9にオーバーコート膜6が使用されている或いは対向基板16に有機絶縁膜14が使用されている場合は全て同様の効果がある。
以上のように実施の形態について説明を行ったが、各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。例えば、実施の形態1で説明した液晶表示装置の製造方法に実施の形態2のアニール装置を用いたり、逆に実施の形態2の液晶表示装置の製造方法で実施の形態1の液晶注入装置を用いる等、実施の形態間で一部の工程や構造の置換を行った場合にも記載した実施の形態1や2と同様の効果を有する。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形が含まれる。
1 , 2 ガラス基板、3 シール材、4 液晶、5 共通電極、6 オーバーコート膜、7 カラーフィルタ、8 遮光層、9 カラーフィルタ基板、10 駆動素子、11 ゲート配線、12 ソース配線、13,24,29,46 絶縁膜、14 有機絶縁膜、15 画素電極、16 対向基板、17 端子、18 駆動IC、19 制御基板、20 フラットパネルケーブル、21 変質層、22 ゲート電極、23 ,28端子パッド、25 チャネル、26,30,31 コンタクトホール、27 ソース・ドレイン電極、32 反射部分、33 透過部分、34 端子電極、35 セル、36 真空チャンバ、37 液晶皿、38 移動機構、39 ヒーター、40 紫外線ランプ、41 排気ユニット、42 酸素ボンベ、43 窒素ボンベ、44 水分、45 水分除去機構、47 エキシマ紫外線ランプ。
Claims (11)
- カラーフィルタ基板と対向基板とをシール材で貼り合せてセルを形成する工程と、前記セルに対して紫外線を照射する工程と、前記紫外線の照射後に減圧状態で加熱処理する工程と、前記加熱処理工程後に前記セル内に液晶を注入する工程を具備することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
- 紫外線を照射する工程がセル内部に酸素が存在した状態で行われることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 紫外線を照射する工程の前に、セルが収容された真空チャンバ内を減圧する工程が行われることを特徴とする請求項1或いは2に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 減圧する工程後に真空チャンバ内に酸素ボンベから酸素の供給が行われることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 減圧する工程後に真空チャンバ内に水分除去機構を経由した乾燥空気の供給が行われることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 紫外線の照射時に、セルの加熱が行われることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の製造方法。
- カラーフィルタ基板と対向基板とをシール材で貼り合せて形成されたセル、及び、液晶を収容する液晶皿、該液晶皿を内部に備える真空チャンバと、前記セルを加熱する加熱機構と、前記セルに紫外線を照射する紫外線ランプと、前記真空チャンバ内部を排気する排気機構と、前記液晶皿或いは前記セルを昇降可能な移動機構と、を具備したことを特徴とする液晶注入装置。
- 真空チャンバと、前記真空チャンバ内部を排気する排気機構と、前記真空チャンバ内を加熱する加熱機構と、前記真空チャンバ内において紫外線を照射する紫外線ランプと、を具備したことを特徴とするアニール装置。
- カラーフィルタ基板と対向基板とをシール材で貼り合せて形成されたセルと、前記セル内に注入された液晶と、前記カラーフィルタ基板の前記対向基板と対向する側の表面に存在し、前記シール材の近傍でパターニング除去され、前記シール材の内側にあることで前記セル内に閉じ込められた保護膜と、前記保護膜の表面に存在し部分的に除去された前記保護膜の変質層と、を具備したことを特徴とする液晶表示装置。
- カラーフィルタ基板と対向基板とをシール材で貼り合せて形成されたセルと、前記セル内に注入された液晶と、前記カラーフィルタ基板の前記対向基板と対向する側の表面に存在し、前記シール材の近傍でパターニング除去され、前記シール材の内側にあることで前記セル内に閉じ込められた保護膜と、前記対向基板の前記カラーフィルタ基板と対向する側の表面に存在する絶縁膜と、前記絶縁膜の表面に存在し部分的に除去された前記絶縁膜の変質層と、を具備したことを特徴とする液晶表示装置。
- 絶縁膜が有機樹脂からなることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
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JP2005345257A JP2007148210A (ja) | 2005-11-30 | 2005-11-30 | 液晶表示装置とその製造方法及び液晶注入装置 |
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Cited By (1)
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KR101572084B1 (ko) * | 2008-07-16 | 2015-11-26 | 삼성디스플레이 주식회사 | 유기 발광 표시 장치 및 그 제조 방법 |
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2005
- 2005-11-30 JP JP2005345257A patent/JP2007148210A/ja active Pending
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