JP2007142654A - 弾性表面波素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】IDT電極を有する弾性表面波共振子10,20と、信号を入力する入力端子31,32と、信号を出力する出力端子33,34とを備えている。弾性表面波共振子10では、IDT電極11が有する一対のバスバーのうち、2つに分割されたバスバー13a,13bはそれぞれ、出力端子33,34に接続されており、バスバー12は、入力端子31に接続されている。弾性表面波共振子20では、IDT電極21が有する一対のバスバーのうち、2つに分割されたバスバー23a,23bはそれぞれ、出力端子33,34に接続されており、バスバー22は、入力端子32に接続されている。
【選択図】図1
Description
また、この小型化に加え、広帯域化や通信キャリアの高周波化への対応、通過帯域外減衰量の向上、通過帯域の挿入損失の向上が、弾性表面波素子に要求されている。
最近では、移動体通信機器等の小型化、軽量化および低コスト化のため、使用部品の削減が進められ、弾性表面波素子に新たな機能の付加が要求されている。その1つに、不平衡入力−平衡出力型、または平衡入力−不平衡出力型に構成できるようにするといった不平衡−平衡変換機能の要求がある。ここで、平衡入力または平衡出力とは、信号が2つの信号線路間の電位差として入力または出力するものをいい、各信号線路での信号は振幅が等しく、位相が逆相になっている。これに対して、不平衡入力または不平衡出力とは、信号がグランド電位に対する1本の信号線路の電位として入力または出力するものをいう。
共振子型弾性表面波素子100は、圧電基板102上に、弾性表面波共振子110と、弾性表面波共振子120とを備えている。
圧電基板102上に形成された弾性表面波共振子110と弾性表面波共振子120とに含まれる複数のIDT(Inter Digital Transducer)電極は、電極指を互いに対向させ噛み合わせた一対の櫛歯状電極で形成されており、この櫛歯状電極に電界を印加することで、弾性表面波を励振する。
このようにして、弾性表面波共振子110,120を2段縦続接続して、1段目の弾性表面波共振子110と2段目の弾性表面波共振子120との定在波が相互干渉することで、通過帯域外減衰量を向上することができる。すなわち、同様の特性を有する弾性表面波共振子を2段縦続接続した場合、弾性表面波共振子110で減衰された通過帯域外の信号を、弾性表面波共振子120でさらに減衰することができ、結果として、通過帯域外減衰量を約2倍に向上することができる。
本発明の目的は、前述した従来の諸問題に鑑み提案されたものであって、通過帯域外減衰量を向上し、通過帯域幅の広いフィルタ特性を有し、かつ、小型化が可能な弾性表面波素子を提供することである。
さらに、弾性表面波素子は、不平衡−平衡変換機能を有する。これにより、例えば、後段に備えられる平衡入力にのみ対応した装置に対して、平衡信号の変換のための不平衡−平衡変換器(以下、バランともいう)を設置する必要がなく、部材設置のための容量を削減し、コストを抑えることができる。
なお、前記第1の弾性表面波共振子は、前記2つに分割されたバスバーの間に、接地端子に接続されたバスバーが挿入された形状を有しており、前記第2の弾性表面波共振子は、前記2つに分割されたバスバーの間に、接地端子に接続されたバスバーが挿入された形状を有していることが好ましい。
なお、以下に説明する図面において、同一構成のものには同一符号を付すものとする。
また、各電極の大きさや電極間の距離等、電極指の本数や間隔等については、説明のために模式的に図示している。
なお、本明細書での「主面2s」とは、板状に形成された圧電基板2の表面であって、弾性表面波共振子10,20等の電極パターンが形成されている電極形成面のことをいう。
また、これらの圧電性を有する材料において、酸素欠陥やFe等の固溶を行うこととすれば、圧電基板2に生じる焦電効果を著しく低減することができる。これにより、圧電基板2の主面2s上に形成された弾性表面波共振子10,20の電極指の破壊を防止することができ、弾性表面波素子1の信頼性を良好に保つことができる。
弾性表面波共振子10は、励振電極としてのIDT電極部11a,11b(以下、総称するときはIDT電極11という)及び反射器電極(以下、単に反射器ともいう)19a,19b(以下、総称するときは反射器19という)を有している。弾性表面波共振子20は、弾性表面波共振子10とほぼ同様の形状を有しており、IDT電極部21a,21b(以下、総称するときはIDT電極21という)及び反射器29a,29b(以下、総称するときは反射器29という)を有している。
弾性表面波共振子10,20は、その電極厚みを0.1μm〜0.5μm程度とすることで、弾性表面波を好適に励振することができる。
実装用基板上には、弾性表面波素子1上の導体バンプとしての入出力端子31〜34に対向する位置に、導体パッド(図示せず)が形成されている。
また、弾性表面波素子1には、圧電基板2の主面2s上の弾性表面波共振子10,20を取り囲むように、四角枠状の環状電極(図示せず)が形成されている。
弾性表面波素子1と実装用基板との実装に際して、圧電基板2の主面2s側を、実装用基板に向けて、フェースダウン実装する。つまり、入出力端子31〜34が、実装用基板上の対向した導体パッドに載置固定され、入出力端子31〜34と導体パッドとが、半田等の溶融性材料を用いて接続される。
このようにして、実装用基板へ弾性表面波素子1を実装することで、弾性表面波装置が作製される。
以下、弾性表面波共振子10及び弾性表面波共振子20の詳細な構成を説明する。
弾性表面波共振子10は、前述のように、IDT電極11と反射器19とを備えている。
一方、バスバー12に対向配置されているバスバーは、2つのバスバー13a及びバスバー13bに分割されている。IDT電極11は、バスバー13aが形成された側をIDT電極部11aとして、また、バスバー13bが形成された側をIDT電極部11bとして、2つの領域に区分けされている。そして、バスバー13aは出力端子33に配線接続され、バスバー13bは出力端子34に配線接続されている。
IDT電極11の電極指ピッチPiは一定(等ピッチ)であり、約2.01μmである。一方、反射器19の電極指ピッチPrは、IDT電極11の電極指ピッチPiに比べて、わずかに広く形成されており、好ましくは1.01〜1.02倍の値を有するように形成されている。
反射器19は電気的に短絡状態であり、一方、IDT電極11は終端抵抗がついた状態である。このため、反射器19とIDT電極11とは、電気回路的に異なる状態にあり、その結果、反射器19における弾性表面波を反射する実効周波数帯域と、IDT電極11における弾性表面波の実効周波数帯域とに、わずかなズレが生じる。よって、反射器19とIDT電極11との実効周波数帯域を合致させるために、反射器19の電極指ピッチは、IDT電極11の電極指ピッチよりもわずかに広く形成されている。
IDT電極21は、図1に示されるように、IDT電極部21aとIDT電極部21bとに区分けされた領域を有しており、平行に対向配置されたバスバー22とバスバー23a,23bとを有している。IDT電極21は、このバスバー22から延びる電極指とバスバー23a,23bから延びる電極指とが互いに対向して噛み合わさった櫛歯状電極である。
一方、バスバー22に対向配置されているバスバーは、2つのバスバー23a及びバスバー23bに分割されている。IDT電極21は、バスバー23aが形成された側をIDT電極部21aとして、また、バスバー23bが形成された側をIDT電極部21bとして、2つの領域に区分けされている。そして、バスバー23aは出力端子33に配線接続され、バスバー23bは出力端子34に配線接続されている。
IDT電極21の電極指ピッチPiは、弾性表面波共振子10と同様に、一定(等ピッチ)であり、約2.01μmである。一方、反射器29の電極指ピッチPrは、IDT電極21の電極指ピッチPiに比べて、前述のように、わずかに広く形成されている。
弾性表面波素子1に含まれる共振子は、前述のとおり、弾性表面波共振子10,20である。
弾性表面波共振子10は、図1に示されるように、バスバー12と、バスバー12の対をなす2つのバスバー13a,13bとを有している。そして、バスバー12は入力端子31に接続され、IDT電極部11aのバスバー13aは出力端子33に接続され、IDT電極部11bのバスバー13bは出力端子34に接続されている。弾性表面波共振子10は、3つの入力端子31及び出力端子33,34に接続されていることから、3ポート共振子構造を有している。
また、弾性表面波素子1は、対称モードと非対称モードとの2つの共振モードを生成することができる。これは、前述のような励振電極構成および構造により、縦結合共振子型弾性表面波フィルタと同等の構成となり、その共振子中を伝搬する波が定在波となり、その定在波の共振モードとして、対称モードと非対称モードとの2つの共振モードが励振することにより、2重共振状態を生成し、この共振状態でのフィルタ特性を得ることができる。
また、弾性表面波素子1は、図2に示されるように、格子状に接続された回路構造を有しているので、弾性表面波素子1が形成されたチップのサイズを小さくしても、より高いフィルタ特性を得ることができ、かつ、2つの共振モードを有することができる。
図3は、本発明の他の実施形態にかかる弾性表面波素子1aの平面図である。
弾性表面波素子1aは、圧電基板2と、この圧電基板2の主面2s上に形成された弾性表面波共振子50と、弾性表面波共振子50とほぼ同じ形状を有する弾性表面波共振子60とを備えている。また、弾性表面波素子1aは、外部接続するための入力端子31,32及び出力端子33,34に加え、接地するための接地端子39a〜39e(以下、総称するときは接地端子39という)を備えている。
IDT電極部51aは、対向配置された一対のバスバー52aとバスバー53aとを有している。バスバー52aは、入力端子31に接続されており、バスバー53aは、接地端子39aに接続されている。
IDT電極部51cは、対向配置された一対のバスバー52cとバスバー53cとを有している。バスバー52cは、接地端子39cに接続されており、バスバー53cは、出力端子34に接続されている。また、バスバー52cは、反射器59bの片方のバスバーに接続されている。
IDT電極部61bは、対向配置された一対のバスバー62bとバスバー63bとを有している。バスバー62bは接地端子39eに接続されており、バスバー63bは出力端子33に接続されている。また、バスバー62bは、反射器69aの片方のバスバーに接続されている。
IDT電極50は、前述のとおり、IDT電極部51aにおいて、バスバー52aが入力端子31に接続されており、バスバー53aが接地端子39aに接続されているので、不平衡入力に対応することができる。IDT電極60は、IDT電極50と同様に、IDT電極部61aにおいて、バスバー62aは入力端子32に接続されており、バスバー63aは接地端子39dに接続されているので、不平衡入力に対応することができる。よって、弾性表面波素子1aは、図1に示される弾性表面波素子1に比べて、図3に示される弾性表面波素子1aの構成では、3つのIDT電極部を有する構造の励振電極構成により、縦結合共振器型弾性表面波フィルタと同等の構成となり、その共振器中を伝搬する波が定在波となり、その定在波の共振モードとして、対称モードと非対称モードとの2つの共振モードが励振することにより、2重共振状態を生成し、この共振状態でのフィルタ特性を得られる。
図4は、携帯電話機の高周波回路90のブロック回路図である。
携帯電話機から送信される高周波信号は、弾性表面波フィルタ91によりその不要信号が除去され、パワーアンプ92で増幅された後、アイソレータ93と本発明の弾性表面波素子1,1aを含む分波器(DPX)94を通り、アンテナ99から放射される。
以上のように、本発明の弾性表面波素子1,1aを、高電力の高周波信号が入力される分波器94に適用することにより、通過帯域外減衰量を向上し、通過帯域幅の広いフィルタ特性を有し、かつ、小型化が可能な高周波回路90を提供することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
まず、弾性表面波素子1の圧電基板2には、38.7°YカットX伝搬のLiTaO3単結晶を用いた。
圧電基板2上に形成されるIDT電極11,21、反射器電極19,29、配線電極や端子31〜34等の各種電極パターンは、以下のように、スパッタリング装置、縮小投影露光機(ステッパー)やRIE(Reactive Ion Etching)装置を用いて、フォトリソグラフィを行って形成した。
次に、スパッタリング装置を用いて、Al99重量%−Cu1重量%合金で、各種電極パターンとなる金属薄膜の成膜を行った。この金属薄膜の膜厚は、約0.3μmであった。
一方、IDT電極21は全44対であり、IDT電極部21aは22対であり、IDT電極部21bは22対であった。
IDT電極11,21の平均電極指ピッチは、ともに約2.01μmであった。また、反射器19,29の平均電極指ピッチは、ともに約2.02μmであった。
次に、入出力端子31〜34上に電極パッドを形成するために、圧電基板2の各種電極パターンが形成された主面2s上にフォトレジスト層を形成し、フォトリソグラフィによって、そのフォトレジスト層のパターニングを行った。そして、RIE装置等を用いて、入出力端子31〜34の下地となる電極パッドの窓開け部用のエッチングを行った。その後、スパッタリング装置を用いて、フォトレジスト層上にAlを主成分とする金属膜を約1.0μmの膜厚で形成した。その後、リフトオフ法を用いて、フォトレジスト層及び不要箇所に形成した金属膜を除去し、弾性表面波素子1の入出力端子31〜34上に、外部回路基板等にフリップチップ実装するための電極パッドを形成した。
次に、所定の各種電極パターン等が形成された圧電基板2を、所定のダイシングラインに沿ってダイシングし、個々のチップとして、弾性表面波素子1に切り分けた。その後、フリップチップ実装装置を用いて、弾性表面波素子1上の入出力端子31〜34が形成された面(圧電基板2の主面2s)を、実装用基板に対向して載置固定し、弾性表面波素子1を実装用基板に接合した。この実装用基板は、セラミック層を多層積層した2.5×2.0mm角のものを用いた。
このようにして、弾性表面波素子1を作製した。
ここでは、図1に示される弾性表面波素子1の入力端子31,32から、所定の周波数の差分信号を入力したとき、出力端子33,34からどれほどの信号が出力されたかを測定することで、弾性表面波素子1の有する周波数特性がわかる。このとき、通過帯域比の基準となる周波数(横軸の周波数帯域での“1”となる周波数)は、942.5MHzであった。
2 圧電基板
2a 主面
10 弾性表面波共振子
11 IDT電極
11a,11b IDT電極部
12 入力側バスバー
13a,13b 出力側バスバー
20 弾性表面波共振子
21 IDT電極
21a,21b IDT電極部
22 入力側バスバー
23a,23b 出力側バスバー
31,32 入力端子
33,34 出力端子
39a〜39e 接地端子
50 弾性表面波共振子
51 IDT電極
51a〜51c IDT電極部
52a〜52c 入力側バスバー
53a〜53c 出力側バスバー
60 弾性表面波共振子
61 IDT電極
61a〜61c IDT電極部
62a〜62c 入力側バスバー
63a〜63c 出力側バスバー
Claims (2)
- 圧電基板の主面上に形成された励振電極により弾性表面波を励振する弾性表面波素子であって、
前記励振電極を有する第1及び第2の弾性表面波共振子と、
信号の入力を行う第1及び第2の入力端子と、
信号の出力を行う第1及び第2の出力端子とを備えており、
前記励振電極は、対向配置した一対のバスバーと、前記各バスバーから延びる弾性表面波の伝搬方向に直交する方向に櫛歯状の電極指とを有しており、
前記第1の弾性表面波共振子は、
前記一対のバスバーのうちの一方が、少なくとも2つに分割され、
前記2つに分割されたバスバーがそれぞれ、前記第1及び第2の出力端子に接続され、
前記一対のバスバーのうちの他方が、前記第1の入力端子に接続されており、
前記第2の弾性表面波共振子は、
前記一対のバスバーのうちの一方が、少なくとも2つに分割され、
前記2つに分割されたバスバーがそれぞれ、前記第1及び第2の出力端子に接続され、
前記一対のバスバーのうちの他方が、前記第2の入力端子に接続されている、弾性表面波素子。 - 前記第1の弾性表面波共振子は、
前記2つに分割されたバスバーの間に、接地端子に接続されたバスバーが挿入された形状を有しており、
前記第2の弾性表面波共振子は、
前記2つに分割されたバスバーの間に、接地端子に接続されたバスバーが挿入された形状を有している、請求項1に記載の弾性表面波素子。
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