JP2007142466A - 金属用研磨液及び研磨方法 - Google Patents

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剛 内田
Jun Matsuzawa
純 松沢
Tetsuya Hoshino
鉄哉 星野
Yasuo Kamigata
康雄 上方
Hiroki Terasaki
裕樹 寺崎
Yoshio Honma
喜夫 本間
Seiichi Kondo
誠一 近藤
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Abstract

【課題】エッチング速度を十分に低下させ、高いCMP速度を維持し信頼性の高い埋め込みパターンを形成する。
【解決手段】(1)金属の酸化剤と、(2)酸化金属溶解剤と、(3)アミノ酸やアゾール類といった、金属膜表面に物理的吸着及び/又は化学的結合を形成することにより保護膜を形成する第1の保護膜形成剤と、(4)ポリアクリル酸、ポリアミド酸又はその塩といった、第1の保護膜形成剤が保護膜を形成するのを補助する第2の保護膜形成剤と、(5)水とを含有する金属用研磨液。
【選択図】なし

Description

本発明は、特に半導体装置の配線形成工程における研磨に使用するのに適した金属用研磨液及び研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(以下、LSIと記す)の高集積化、高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(以下、CMPと記す)法もその一つであり、LSI製造工程、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線形成において頻繁に利用される技術である。この技術は、例えば米国特許第4944836号公報に開示されている。
また、最近はLSIを高性能化するために、配線材料として銅合金の利用が試みられている。しかし、銅合金は従来のアルミニウム合金配線の形成で頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難である。そこで、あらかじめ溝を形成してある絶縁膜上に銅合金薄膜を堆積して埋め込み、溝部以外の銅合金薄膜をCMPにより除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン法が主に採用されている。この技術は、例えば特開平2−278822号公報に開示されている。
金属のCMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を金属用研磨液で浸し、基体の金属膜を形成した面を押し付けて、その裏面から所定の圧力(以下、研磨圧力と記す)を加えた状態で研磨定盤を回し、研磨液と金属膜の凸部との機械的摩擦によって凸部の金属膜を除去するものである。
CMPに用いられる金属用研磨液は、一般には酸化剤及び固体砥粒からなっており必要に応じてさらに酸化金属溶解剤、保護膜形成剤が添加される。まず酸化によって金属膜表面を酸化し、その酸化層を固体砥粒によって削り取るのが基本的なメカニズムと考えられている。凹部の金属表面の酸化層は研磨パッドにあまり触れず、固体砥粒による削り取りの効果が及ばないので、CMPの進行とともに凸部の金属層が除去されて基体表面は平坦化される。この詳細についてはジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌の第138巻11号(1991年発行)の3460〜3464頁に開示されている。
固体砥粒によって削り取られた金属酸化物の粒を、酸化金属溶解剤により研磨液に溶解させてしまえば、固体砥粒による削り取りの効果が増すと考えられる。ただし、凹部の金属膜表面の酸化層も溶解(以下エッチングと記す)されて金属膜表面が露出すると、酸化剤によって金属膜表面がさらに酸化され、これが繰り返されると凹部の金属膜のエッチングが進行してしまい、平坦化効果が損なわれることが懸念される。これを防ぐためにさらに保護膜形成剤が添加される。酸化金属溶解剤と保護膜形成剤の効果のバランスを取ることが重要であり、金属膜表面の酸化層はあまりエッチングされず、削り取られた酸化層の粒が効率良く溶解され、CMPによる研磨速度が大きいことが望ましい。
この様に酸化金属溶解剤と保護膜形成剤を添加して化学反応の効果を加えることにより、CMP速度(すなわちCMPによる研磨速度)が向上するとともに、CMPされる金属層表面の損傷(ダメージ)も低減される効果が得られる。
しかしながら、従来の固体砥粒を含む金属用研磨液を用いてCMPによる埋め込み配線形成を行う場合には、(1)埋め込まれた金属配線の表面中央部分が等方的に腐食されて皿の様に窪む現象(以下ディッシングと記す)の発生、(2)固体砥粒に由来する研磨傷(スクラッチ)の発生、(3)研磨後の基体表面に残留する固体砥粒を除去するための洗浄プロセスが複雑であること、(4)固体砥粒そのものの原価や廃液処理に起因するコストアップ、等の問題が生じる。
ディッシングや研磨中の銅合金の腐食を抑制し、信頼性の高いLSI配線を形成するために、グリシン等のアミノ酢酸又はアミド硫酸からなる酸化金属溶解剤及びベンゾトリアゾール(以下、BTAと記す)を含有する金属用研磨液を用いる方法が提唱されている。この技術は、例えば特開平8−83780号公報に記載されている。
しかし、BTAの保護膜形成効果は非常に高いため、エッチング速度のみならず研磨速度をも顕著に低下させてしまう。従って、エッチング速度を十分に低下させ、かつCMP速度を低下させないような保護膜形成剤を金属用研磨液に用いることが望まれている。
本発明は、エッチング速度を十分に低下させ、高いCMP速度を維持しつつ、信頼性の高い金属膜の埋め込みパターンを形成することのできる金属用研磨液及び研磨方法を提供するものである。
本発明の金属用研磨液は、金属を酸化するための酸化剤、酸化金属溶解剤、第1の保護膜形成剤、第1の保護膜形成剤とは異なる第2の保護膜形成剤及び水を含有する。
保護膜形成剤は金属表面に保護膜を形成するものである。
第1の保護膜形成剤としては、アンモニア、アルキルアミン、アミノ酸、イミン、アゾール等の含窒素化合物及びその塩、及びメルカプタン、グルコース及びセルロースから選ばれた少なくとも一種が好ましい。これら第1の保護膜形成剤は、金属膜表面に物理的吸着及び/又は化学的結合を形成することにより保護膜を形成する化合物である。
第2の保護膜形成剤としては、アルコール(すなわちアルコール性水酸基を有する化合物)、フェノール類(すなわちフェノール性水酸基を有する化合物)、エステル、エーテル、多糖類、アミノ酸塩、ポリカルボン酸及びその塩、ビニル系ポリマ、スルホン酸及びその塩、芳香族アミン、アミド、アゾ化合物並びにモリブデン化合物から選ばれた少なくとも一種が好ましい。これら第2の保護膜形成剤は、第1の保護膜形成剤が保護膜を形成するのを補助する化合物である。
酸化剤としては、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸及びオゾン水から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
酸化金属溶解剤としては、有機酸、そのアンモニウム塩及び硫酸から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
本発明では、保護膜形成剤のうちの第2の保護膜形成剤を含ませずに10nm/分以下のエッチング速度に抑制する効果を発現するに必要な第1の保護膜形成剤の添加濃度Aに対し、第2の保護膜形成剤を添加することによって前記濃度Aよりも低濃度の第1の保護膜形成剤を含有させて10nm/分以下のエッチング速度に抑制する効果を発現可能にした金属用研磨液が提供される。すなわち、この場合、第2の保護膜形成剤は、エッチング速度を10nm/分以下に抑制するのに必要な第1の保護膜形成剤の添加量を減少させる化合物である。
本発明の研磨方法は、上述した本発明の金属用研磨液中で被研磨物表面の金属膜を研磨することにより除去する研磨方法である。除去対象の金属膜には、銅、銅合金、銅酸化物、銅合金酸化物などが適している。そこで、本発明では、上述の金属用研磨液を用いて、銅、銅合金、銅酸化物及び銅合金酸化物のうちから選ばれた少なくとも1種の金属層を含む積層膜からなる金属膜を研磨する工程によって少なくとも金属膜の一部を除去する研磨方法が提供される。
本発明では性質の異なる第1及び第2の保護膜形成剤を組み合わせることにより、CMP速度は維持しつつ、エッチング速度を十分に低下させた研磨液とそれを用いた研磨方法を提供する。第1の保護膜形成剤は銅とキレート錯体を生じやすいもの、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、ベンゾトリアゾール等を用いる。これらの金属表面保護膜形成効果は極めて強く、例えば金属用研磨液中に0.5重量%以上を含ませると、銅合金膜はエッチングはおろかCMPすらされなくなる。
これに対して本発明者らは、第1の保護膜形成剤とは異なる第2の保護膜形成剤を併用することにより、第1の保護膜形成剤の添加濃度が低くとも十分に低いエッチング速度に抑制できることを見出した。しかもこの様な研磨液を用いた場合は、エッチング速度は低下してもCMP速度はあまり低下しないという好ましい特性が得られることが分かった。加えて第1の保護膜形成剤と第2の保護膜形成剤とを併用することにより、研磨液に固体砥粒を含ませなくとも実用的なCMP速度での研磨が可能になることを見出した。これは従来の固体砥粒の摩擦による削り取りの効果に対して研磨パッドの摩擦による削り取りが発現されたためと考えられる。
抑制すべきエッチング速度の値としては10nm/分以下に抑制できれば好ましい平坦化効果が得られることが分かった。CMP速度の低下が許容できる範囲であればエッチング速度はさらに低い方が望ましく、5nm/分以下に抑制できれば例えば50%程度の過剰CMP(金属膜をCMP除去するに必要な時間の1.5倍のCMPを行うこと)を行ってもディッシングは問題とならない程度に留まる。さらにエッチング速度を1nm/分以下に抑制できれば、100%以上の過剰CMPを行ってもディッシングは問題とならない。
なお、本明細書におけるエッチング速度は、研磨液中に被研磨物を浸し、研磨液を液温25℃、攪拌速度100rpmで攪拌したときの、被研磨物表面の金属膜(スパッタリングにより形成された銅膜)がエッチングされる速度であり、浸漬前後の金属膜厚差を電気抵抗値から換算して求め、これを浸漬時間で割って求めた速度である。
また、CMP速度(すなわち化学機械研磨速度)は、研磨圧力210g/cm、被研磨物と研磨定盤との相対速度36m/分、液温25℃の条件で、被研磨物表面の金属膜(スパッタリングにより形成された銅膜)を研磨し、研磨前後の金属膜厚差を電気抵抗値から換算して求め、これを処理時間で割って求めた速度である。
本発明によれば、第1の保護膜形成剤のみを用いた研磨液とは異なり、固体砥粒による強い機械的摩擦に頼らなくとも、それよりもはるかに柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMP平坦化を実現することができる。
さらに、本発明では、本発明の金属用研磨液を用いて、表面に凹部を有する基体上に銅、銅合金(銅/クロム等)などを含む金属膜を形成・充填した基体を研磨する研磨方法が提供される。このような基体を本発明の研磨液を用いてCMPすると、基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られる。本発明の研磨液では、実質的に固体砥粒を含まなくともよく、固体砥粒よりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むために研磨傷は劇的に低減される。
本発明の金属用研磨液は、酸化剤、酸化金属溶解剤、第1の保護膜形成剤、第2の保護膜形成剤及び水を必須成分とする。固体砥粒は実質的に含まれなくともよいが、使用することもできる。
つぎに、本発明の金属用研磨液に含まれる各成分の具体例について説明する。
金属の酸化剤としては、過酸化水素(H)、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸、オゾン水等が挙げられる。基体が集積回路用素子を含むシリコン基板である場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物などによる汚染は望ましくないので、不揮発成分を含まない酸化剤が望ましいが、オゾン水は組成の時間変化が激しいことから、上に挙げた酸化剤のうち、過酸化水素が最も好ましい。ただし、適用対象の基体が半導体素子を含まないガラス基板などである場合は、不揮発成分を含む酸化剤であっても差し支えない。
酸化金属溶解剤は、水溶性のものが望ましい。水溶性酸化金属溶解剤には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸、
これら有機酸のアンモニウム塩や、過硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩類、
硫酸、クロム酸等の無機酸、及び、アンモニア錯体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、いずれかを組み合わせて用いてもよい。
銅、銅合金、銅酸化物及び/又は銅合金酸化物からなる金属層を含む積層膜に対しては、これらのうち、ギ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸が好適である。これらは後述の第1及び第2の保護膜形成剤とのバランスが得やすい点で好ましい。特に、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸については実用的なCMP速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できるという点で好ましい。
第1の保護膜形成剤としては、
アンモニア;
ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピレンジアミン等のアルキルアミンや、エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAと略す)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びキトサン等のアミン;
グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等のアミノ酸;
ジチゾン、クプロイン(2,2’−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)及びキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;
ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール)、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾール;
ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン;及び、
グルコース、セルロース等の糖類;が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、キトサン、エチレンジアミン四酢酸、L−トリプトファン、キュペラゾン、トリアジンジチオール、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾールブチルエステル、トリルトリアゾール及びナフトトリアゾールが、高いCMP速度と低いエッチング速度を両立する上で好ましい。特に、ベンゾトリアゾール及びその誘導体が好適である。ベンゾトリアゾール誘導体には、上述したアゾールなどが挙げられる。
第2の保護膜形成剤としては、
1−プロパノール、2−プロパノール、2−プロピン−1−オール、アリルアルコール、エチレンシアノヒドリン、1−ブタノール、2−ブタノール、(S)−(+)−2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、t−ブチルアルコール、パーフルオロ−t−ブチルアルコール、クロチルアルコール、1−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、S−アミルアルコール、1−ヘキサノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、DL−3−ヘキシルアルコール、1−ヘプタノール、2−エチルヘキシルアルコール、(S)−(+)−2−オクタノール、1−オクタノール、DL−3−オクチルアルコール、2−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ニトロベンジルアルコール、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール、3,5−ジニトロベンジルアルコール、3−フルオロベンジルアルコール、3−ヒドロキシベンジルアルコール、4−フルオロベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、m−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコール、m−アミノベンジルアルコール、m−ニトロベンジルアルコール、o−アミノベンジルアルコール、o−ヒドロキシベンジルアルコール、p−ヒドロキシベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、2−(p−フルオロフェニル)エタノール、2−アミノフェネチルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、2−メチル−3−ニトロベンジルアルコール、2−メチルベンジルアルコール、2−ニトロフェネチルアルコール、2−フェニルエタノール、3,4−ジメチルベンジルアルコール、3−メチル−2−ニトロベンジルアルコール、3−メチル−4−ニトロベンジルアルコール、3−メチルベンジルアルコール、4−フルオロフェネチルアルコール、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、4−メチル−3−ニトロベンジルアルコール、5−メチル−2−ニトロベンジルアルコール、DL−α−ヒドロキシエチルベンゼン、o−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコール、p−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコール、p−アミノフェネチルアルコール、p−ヒドロキシフェニルエタノール、p−メチルベンジルアルコール及びS−フェネチルアルコール等のアルコール;
4−メチルフェノール、4−エチルフェノール及び4−プロピルフェノール等のフェノール;
グリセリンエステル、ソルビタンエステル、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3−エトキシプロピオン酸及びアラニンエチルエステル等のエステル;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテル及びアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;
アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;
グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;
ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマ;
メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩及びスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;
アニリン、N,N―ジメチルアニリン及びベンジルアミン等の芳香族アミン;
プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド、フェニル酢酸アミド、ピリジン−4−カルボキサミド、N,N’−ジベンジル−L−酒石酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド;
1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2−[2−(3,5−ジブロモピリジル)アゾ]−5−ジメチルアミノ安息香酸、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4’−アゾキシアニソール、アゾキシメタン、アゾベンゼン、アゾキシベンゼン、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジ(t−ブチル)、フェナジン、マラカイトグリーン、メチルオレンジ、コンゴ−レッド及びクリスタルバイオレット等のアゾ化合物;並びに、
モリブデン(VI)酸二ナトリウム二水和物及び七モリブデン(VI)酸六アンモニウム四水和物等のモリブデン化合物;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、適宜組み合わせて用いてもよい。
適用する基体が半導体集積回路用シリコン基板などの場合は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、酸又はそのアンモニウム塩が望ましい。ただし、基体がガラス基板等である場合はその限りではない。
これらのうち、2−メチル−3−ニトロベンジルアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリアスパラギン酸、ポリリンゴ酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸アンモニウム、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム、ポリアクリルアミド、メチルタウリン酸ナトリウム、ベンジルアミン、ニコチンアミド、スルファニルアミド、コンゴ−レッド、七モリブデン(VI)酸六アンモニウム四水和物が、高いCMP速度と低いエッチング速度を両立する上で好ましく、とりわけ、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアミド酸、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸アンモニウム、ポリアミド酸アンモニウム及びポリアクリルアミドが好ましい。
本発明を適用する金属膜としては、銅、銅合金、銅酸化物及び銅合金酸化物(以下、これらを合わせて銅合金という)から選ばれた少なくとも1種を含む積層膜である。
また、本発明では、CMP速度が100nm/分以上、エッチング速度が10nm/分以下である金属用研磨液が提供される。このような特性を有する研磨液は、本発明により始めて実現されたものであり、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤及び水を含み、さらに、第1の保護膜形成剤と、当該第1の保護膜形成剤とは異なる第2の保護膜形成剤とを組み合わせて配合することにより、達成することができる。
つぎに、用いることのできる第1の保護膜形成剤と第2の保護膜形成剤との組合せを第1の保護膜形成剤/第2の保護膜形成剤として示す。なお、これらの組合せは単なる例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。必要に応じて、適宜他の組合せを用いてもよい。
CMP速度が100nm/分以上、エッチング速度が10nm/分以下となる組合せとしては、例えば、キュペラゾン/ポリリンゴ酸、キュペラゾン/ポリアスパラギン酸、キュペラゾン/ポリアクリルアミド、L−トリプトファン/ポリアクリルアミド、L−トリプトファン/ポリアクリル酸アンモニウム、L−トリプトファン/ポリリンゴ酸、ベンゾトリアゾール/ポリアクリルアミド、ベンゾトリアゾール/ポリアクリル酸アンモニウム、ナフトトリアゾール/ポリリンゴ酸、ナフトトリアゾール/2−メチル−3−ニトロベンジルアルコール、トリアジンジチオール/ポリアスパラギン酸、トリアジンジチオール/ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
また、CMP速度が100nm/分以上、エッチング速度が1nm/分以下になる組合せとしては、キュペラゾン/ポリアクリルアミド、L−トリプトファン/ポリアクリルアミド、L−トリプトファン/ポリアクリル酸アンモニウム、ベンゾトリアゾール/ポリアクリルアミド、ベンゾトリアゾール/ポリアクリル酸アンモニウム、ナフトトリアゾール/ポリリンゴ酸、トリアジンジチオール/ポリアスパラギン酸、トリアジンジチオール/ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
CMP速度が250nm/分以上、エッチング速度が10nm/分以下となる組合せとしては、キュペラゾン/ポリリンゴ酸などが挙げられる。
つぎに、各成分の配合量について説明する。
酸化剤成分の配合量は、酸化剤、酸化金属溶解剤、第1の保護膜形成剤、第2の保護膜形成剤及び水の総量100gに対して、0.003mol〜0.7molとすることが好ましく、0.03mol〜0.5molとすることがより好ましく、0.2mol〜0.3molとすることが特に好ましい。この配合量が0.003mol未満では、金属の酸化が不十分でCMP速度が低く、0.7molを超えると、研磨面に荒れが生じる傾向がある。
本発明における酸化金属溶解剤成分の配合量は、酸化剤、酸化金属溶解剤、第1の保護膜形成剤、第2の保護膜形成剤及び水の総量100gに対して、0〜0.005molとすることが好ましく、0.00005mol〜0.0025molとすることがより好ましく、0.0005mol〜0.0015molとすることが特に好ましい。この配合量が0.005molを超えると、エッチングの抑制が困難となる傾向がある。
第1の保護膜形成剤の配合量は、酸化剤、酸化金属溶解剤、第1の保護膜形成剤、第2の保護膜形成剤及び水の総量100gに対して0.0001mol〜0.05molとすることが好ましく0.0003mol〜0.005molとすることがより好ましく、0.0005mol〜0.0035molとすることが特に好ましい。この配合量が0.0001mol未満では、エッチングの抑制が困難となる傾向があり、0.05molを超えるとCMP速度が低くなってしまう傾向がある。
第2の保護膜形成剤の配合量は、酸化剤、酸化金属溶解剤、第1の保護膜形成剤、第2の保護膜形成剤及び水の総量100gに対して0.001〜0.3重量%とすることが好ましく0.003重量%〜0.1重量%とすることがより好ましく0.01重量%〜0.08重量%とすることが特に好ましい。この配合量が0.001重量%未満では、エッチング抑制において第1の保護膜形成剤との併用効果が現れない傾向があり0.3重量%を超えるとCMP速度が低下してしまう傾向がある。
本発明の研磨液及び研磨方法における効果発現の作用機序は明らかではないが、第1及び第2の保護膜形成剤を併用したことにより、エッチングは抑制するものの、研磨パッドによる摩擦に対しては金属表面保護膜として機能せずにCMPが進行するものと推定される。
一般に、CMPにおいては研磨傷の発生の度合いは固体砥粒の粒径や粒径分布や形状に依存し、絶縁膜の削れによる膜厚減少(以下、エロージョンと記す)や平坦化効果の劣化は、やはり固体砥粒の粒径や研磨パッドの物理的性質に依存し、金属膜、特に銅膜表面をBTAで処理した場合、金属膜のディッシングは研磨パッドの硬さや研磨液の化学的性質に依存すると考えられる。すなわち、硬い固体砥粒はCMPの進行には必要ではあるが、CMPにおける平坦化効果やCMP面の完全性(研磨傷等の損傷がないこと)を向上させるためには望ましくない。平坦化効果は実際には固体砥粒よりも柔らかい研磨パッドの特性に依存していることが分かる。
このことより、本発明は、固体砥粒がなくともCMPを進行させることができるという点で、銅合金のCMP、引いてはそれを用いた埋め込みパターンの形成に極めて望ましいと考えられる。
なお、第1の保護膜形成剤は、金属表面に強固な保護膜を形成する作用を備える。例えば、BTAを含む液に銅合金膜表面をさらすと、銅(Cu)もしくはその酸化物とBTAとの反応により、Cu(I)BTA又はCu(II)BTAの構造を主骨格とするポリマ状錯化合物皮膜が形成されると考えられる。この皮膜はかなり強固で、BTA0.5重量%を含む金属用研磨液を用いた場合、当該研磨液に固体砥粒が含まれていたとしても、一般にはほとんど研磨されない。
一方、第1の保護膜形成剤を用いず、第2の保護膜形成剤のみを単独で用いて金属用研磨液を調製した場合、特にエッチング速度の抑制が困難となり、保護効果が十分でない。
この様に第1の保護膜形成剤と第2の保護膜形成剤とは、その作用が異なっており、保護膜形成剤の種類に応じて異なる種類の保護膜が形成される。本発明は、上述の第1及び第2の保護膜形成剤を組み合わせて用いることにより、エッチング速度の抑制とCMP速度維持とを両立でき、しかも固体砥粒による強い摩擦をも不要になるという新たな知見に基づくものである。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1〜12、比較例1〜5
《研磨液調製方法》
DL−リンゴ酸(試薬特級)0.15重量部に水70重量部を加えて溶解し、これに第1の保護膜形成剤0.2重量部をメタノール0.8重量部に溶解させた溶液を加えた後、さらに第2の保護膜形成剤0.05重量部を加え、最後に過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加えて金属用研磨液を得た。なお、各実施例及び比較例において用いた保護膜形成剤を、表1に示す。
次に、得られた研磨液を用いて、被研磨物を研磨した。研磨条件等はつぎの通りである。
《研磨条件》
被研磨基板:厚さ1μmの銅膜を形成したシリコン基板
研磨パッド:IC1000(ロデール社製)
研磨圧力:210g/cm
基体と研磨定盤との相対速度:36m/分
《研磨品評価項目》
CMP速度:銅膜のCMP前後での膜厚差を電気抵抗値から換算して求め、処理時間で割って求めた。処理時間は1分とした。
エッチング速度:上述の被研磨基板と同様の基板を別途用意し、室温(25℃)で攪拌(攪拌速度100rpm)しながら研磨液に浸漬させて、浸漬前後の銅層膜厚差を電気抵抗値から換算し、浸漬時間で割って求めた。浸漬時間は10分とした。
また、実際のCMP特性を評価するため、絶縁層中に深さ0.5μmの溝を形成して公知のスパッタ法によって銅膜を形成して公知の熱処理によって埋め込んだシリコン基板についても基体として用いてCMPを行った。CMP後の基体の目視、光学顕微鏡観察、及び電子顕微鏡観察によりエロージョン及び研磨傷発生の有無を確認した。その結果、エロージョン及び研磨傷の発生は見られなかった。実施例1〜12及び比較例1〜5における、CMP速度及びエッチング速度の評価結果を表1に示す。
Figure 2007142466
実施例13
DL−リンゴ酸(試薬特級)0.15重量部に水70重量部を加えて溶解し、これに、BTA0.1重量部をメタノ−ル0.8重量部に溶解した溶液を加えた後、さらにポリアクリル酸アンモニウム0.025重量部を40%水溶液として加え、最後に過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加えて、金属用研磨液を得た。本実施例では、酸化金属溶解剤として水溶性の高い有機酸であるDL−リンゴ酸を用い、第2の保護膜形成剤としては水溶性のポリアクリル酸アンモニウム塩を用いた。
この金属用研磨液を用い、実施例1と同様の条件でCMP実験を行ったところ、CMP速度が287nm/分、エッチング速度も3.6nm/分といずれも良好であった。ただし、溝パタ−ンが形成された基体については所定の厚さをCMP除去するのに必要なCMP時間よりも50%余計にCMP研磨して電子顕微鏡観察した結果、幅10μmの溝部(埋め込み配線となる部分)でのディッシングは約200nmであった。ディッシングを100nm以下に抑制するためには過剰CMP時間を20%にとどめる必要があった。エロージョン及び研磨傷は発生しなかった。
実施例14
DL−リンゴ酸(試薬特級)0.15重量部に水70重量部を加えて溶解し、これに、BTA0.2重量部をメタノ−ル0.8重量部に溶解した溶液を加えた後、さらにポリアクリル酸アンモニウム塩0.125重量部を40%水溶液として加え、最後に過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加えて、金属用研磨液を得た。本実施例では、酸化金属溶解剤として水溶性の高い有機酸であるDL−リンゴ酸を用いており、第2の保護膜形成剤としては水溶性のポリアクリル酸アンモニウム塩を用いている。
この金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の条件でCMP実験を行った。その結果、CMP速度が185nm/分と高く、エッチング速度は0.2nm/分と低い結果を得た。また、実際に溝パタ−ンが形成された基体についても上記CMP条件と同様にしてCMPを施し上述のように観察を行ったところ、過剰CMPを50%相当の時間行ってもディッシングは50nm以下で、エロージョン及び研磨傷は発生しなかった。
実施例15
DL−リンゴ酸の代わりにDL−酒石酸を用いた他は、実施例14と同様にして金属用研磨液を調製し、実施例1と同様にしてCMP実験を行った。その結果、研磨速度は194nm/分と高く、エッチング速度が0.8nm/分であった。また、実施例13と同様の溝パタ−ンが形成された基体をCMPした後、基板を観察したところ、過剰CMP研磨を50%相当の時間を行った場合のディッシングは約70nmで、エロージョン及び研磨傷は発生しなかった。
実施例16
DL−リンゴ酸の代わりにクエン酸を用いた他は、実施例13と同様にして金属用研磨液を調製し、実施例1と同様にしてCMP実験を行った。その結果、CMP速度は213nm/分と高かったが、エッチング速度が 4.6nm/分とやや劣っていた。また、実施例13と同様の溝パタ−ンが形成された基体に30%相当の時間を過剰CMPした後の観察の結果、ディッシングは約150nm以下で、エロージョン及び研磨傷は発生しなかった。
比較例6
ポリアクリル酸アンモニウムを添加しない他は、実施例13と同様にして金属用研磨液を調製し、実施例1と同様にしてCMP実験を行った。その結果、CMP速度は140nm/分と少し劣る程度であったが、エッチング速度が10.3nm/分と劣っていた。また、実施例13と同様の溝パタ−ンが形成された基体を、30%相当の時間分過剰にCMP研磨した後、基体表面を観察した結果、ディッシングは約300nmに増加した。エロージョン及び研磨傷は観察されなかった。
比較例7
ポリアクリル酸アンモニウムを用いないことと、ベンゾトリアゾ−ルの添加量を0.1重量部から0.2重量部に増やしたことの他は、実施例13と同様にして金属用研磨液を調製し、これを用いて、実施例1と同様にしてCMP実験を行った。
その結果、エッチング速度は2.4nm/分と良好であったが、CMP速度は93nm/分と劣っていた。また、実施例13と同様の溝パタ−ンが形成された基体に対して30%相当の時間分過剰にCMP研磨を施した後、基体表面を観察した結果、ディッシングは約150nmと十分に満足できる値ではなかった。エッチング速度は低かったがCMP速度も低く、CMPに長時間を要したためと考えられる。エロージョン及びスクラッチは発生しなかった。
これら実施例及び比較例により、第1の保護膜形成剤のみを所定濃度に添加して10nm/分以下のエッチング速度に抑制する効果を、第2の保護膜形成剤を併用することによって、第1の保護膜形成剤がより低濃度であっても達成でき、しかもより高いCMP速度を維持するという効果が発現された。これにより、ディッシング、エロ−ジョンや研磨傷の発生を抑制し、かつ、高いCMP速度で信頼性の高い埋め込みパタ−ンを形成することが可能であることが分かった。
上述のように、本発明によれば、エッチング速度を十分に低下させ、高いCMP速度を維持し信頼性の高い埋め込みパターンを形成することができる。

Claims (9)

  1. 金属の酸化剤、
    アミン(但し、芳香族アミンを除く)、アミノ酸、イミン、アゾール(但し、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールカルボン酸、トリアゾール及びトリルトリアゾールを除く)、メルカプタン(但し、ドデシルメルカプタンを除く)、糖類(但し、グルコースを除く)及びセルロースから選ばれた少なくとも一種、
    アルコール性又はフェノール性水酸基を有する化合物、エステル、エーテル、多糖類(但し、セルロースを除く)、アミノ酸塩、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ビニル系ポリマ、スルホン酸、スルホン酸塩、芳香族アミン、アミド、アゾ化合物及びモリブデン化合物から選ばれた少なくとも一種、並びに、
    水、
    を含有してなる金属用研磨液であり、
    前記アミドはプロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド、フェニル酢酸アミド、ピリジン−4−カルボキサミド、N,N’−ジベンジル−L−酒石酸アミド及びスルファニルアミドから選ばれた少なくとも一種であり、
    前記アミンはジメチルアミン、トリメチルアミン、プロピレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びキトサンから選ばれた少なくとも一種である金属用研磨液。
  2. 金属の酸化剤、
    アミン(但し、芳香族アミンを除く)、アミノ酸、イミン、アゾール(但し、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールカルボン酸、トリアゾール及びトリルトリアゾールを除く)、メルカプタン(但し、ドデシルメルカプタンを除く)、糖類(但し、グルコースを除く)及びセルロースから選ばれた少なくとも一種、
    アルコール性又はフェノール性水酸基を有する化合物、エステル、エーテル、多糖類(但し、セルロースを除く)、アミノ酸塩、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ビニル系ポリマ、スルホン酸、スルホン酸塩、芳香族アミン、アミド、アゾ化合物及びモリブデン化合物から選ばれた少なくとも一種、並びに、
    水、
    を含有してなる金属用研磨液であり、
    前記アミノ酸はL−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパインから選ばれた少なくとも一種であり、
    前記アミンはジメチルアミン、トリメチルアミン、プロピレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びキトサンから選ばれた少なくとも一種である金属用研磨液。
  3. 金属の酸化剤、
    アンモニア、アミン(但し、芳香族アミンを除く)、アミノ酸、イミン、アゾール(但し、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールカルボン酸、トリアゾール及びトリルトリアゾールを除く)、メルカプタン(但し、ドデシルメルカプタンを除く)、糖類(但し、グルコースを除く)及びセルロースから選ばれた少なくとも一種、
    アルコール性又はフェノール性水酸基を有する化合物、エステル、エーテル、多糖類(但し、セルロースを除く)、アミノ酸塩、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ビニル系ポリマ、スルホン酸、スルホン酸塩、芳香族アミン、アミド、アゾ化合物及びモリブデン化合物から選ばれた少なくとも一種、並びに、
    水、
    を含有してなる金属用研磨液であり、
    前記アミドはプロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド、フェニル酢酸アミド、ピリジン−4−カルボキサミド、N,N’−ジベンジル−L−酒石酸アミド及びスルファニルアミドから選ばれた少なくとも一種であり、
    前記多糖類はアルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルランから選ばれた少なくとも一種である金属用研磨液。
  4. 金属の酸化剤、
    アンモニア、アミン(但し、芳香族アミンを除く)、アミノ酸、イミン、アゾール(但し、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールカルボン酸、トリアゾール及びトリルトリアゾールを除く)、メルカプタン(但し、ドデシルメルカプタンを除く)、糖類(但し、グルコースを除く)及びセルロースから選ばれた少なくとも一種、
    アルコール性又はフェノール性水酸基を有する化合物、エステル、エーテル、多糖類(但し、セルロースを除く)、アミノ酸塩、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ビニル系ポリマ、スルホン酸、スルホン酸塩、芳香族アミン、アミド、アゾ化合物及びモリブデン化合物から選ばれた少なくとも一種、並びに、
    水、
    を含有してなる金属用研磨液であり、
    前記アミノ酸はL−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパインから選ばれた少なくとも一種であり、
    前記多糖類はアルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルランから選ばれた少なくとも一種である金属用研磨液。
  5. さらに、酸化金属溶解剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の金属用研磨液。
  6. 前記酸化金属溶解剤が、有機酸、有機酸のアンモニウム塩、無機酸及びアンモニア錯体のうちから選ばれた少なくとも一種である請求項5記載の金属用研磨液。
  7. 前記有機酸がギ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸のうちから選ばれた少なくとも一種である請求項6記載の金属用研磨液。
  8. 銅、銅合金、銅酸化物、及び、銅合金酸化物のうちの少なくともいずれかを含む金属を研磨するために使用される請求項1〜7のいずれか1項記載の金属用研磨液。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の金属用研磨液で被研磨物表面の金属を研磨することを特徴とする研磨方法。
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