JP2007142048A - 薄膜積層配線及びその製造方法、これを用いた磁気センサおよびエンコーダ。 - Google Patents

薄膜積層配線及びその製造方法、これを用いた磁気センサおよびエンコーダ。 Download PDF

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Abstract

【課題】Cuは電気抵抗率が充分に小さいものの、その表面は大気中で容易に酸化され、絶縁物であるCuOやCuOが形成される。このため、これを用いた薄膜配線の電気抵抗がかえって高くなったり、その信頼性を損なうという問題があった。従って、電気抵抗が小さく、かつ信頼性の高い薄膜配線を得ることは困難であった。
【解決手段】絶縁基板上に形成された薄膜積層配線であって、前記絶縁基板上に形成された密着層と、該密着層の上に形成された伝導層と、該伝導層の上に形成された酸化防止層とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気センサを初めとする各種の磁気素子、電気素子に使用される薄膜積層配線の構造及びその製造方法に関する。また、これを用いた磁気センサ及びエンコーダに関する。
磁気センサや各種の電気素子には、薄膜の配線がこれに接続して用いられている。例えば、位置検出のために用いられる磁気センサにおいては、絶縁基板上の磁気抵抗効果素子に薄膜配線が接続され、これを介して磁気抵抗効果素子の磁気による抵抗変化が感知信号として外部の検出回路により読み出される。
こうした薄膜配線に要求される特性としては、電気抵抗が小さいこと、絶縁基板等その下地への密着性が良好であることがある。また、特に磁気センサに用いる場合には、磁気センサの特性に影響を与えないために、磁性材料を含まないということも要求される。このため、例えば、磁気センサにおいては、特許文献1に記載されるように、アルミニウム(Al)/クロム(Cr)の積層配線や、特許文献2に記載されるように、タンタル(Ta)の配線が用いられていた。前者においては、下層にCrが使用されており、Crは絶縁基板として用いられるAlTiC等の材料との密着性が高いため、電気抵抗率の小さいAlと、この基板との間の密着層として用いられた。
一方、Alの電気抵抗率は2.75×10−8Ω・m、Crは17×10−8Ω・m、Taは12.3×10−8Ω・mであるのに対して、銅(Cu)の電気抵抗率は1.72×10−8Ω・mと、これらの材料と比べて充分に小さく、磁性材料でもない。このため、Cuを用いることにより、より電気抵抗の小さな配線を形成することができると期待された。
特開平8−304107 特開2002−367121
しかしながら、Cuは電気抵抗率が充分に小さいものの、その表面は大気中で容易に酸化され、絶縁物であるCuOやCuOが形成される。このため、これを用いた薄膜配線の電気抵抗がかえって高くなったり、その信頼性を損なうという問題があった。従って、電気抵抗が小さく、かつ信頼性の高い薄膜配線を得ることは困難であった。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、絶縁基板上に形成された薄膜積層配線であって、前記絶縁基板上に形成された密着層と、該密着層の上に形成された伝導層と、該伝導層の上に形成された酸化防止層とを備えたことを特徴とする薄膜積層配線に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記伝導層における電気抵抗率は、前記密着層および前記酸化防止層よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の薄膜積層配線に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、前記密着層と酸化防止層とが同じ材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜積層配線に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、前記密着層、前記伝導層、および前記酸化防止層がいずれも非磁性材料であることを特徴とする請求項1及至3のいずれか1項に記載の薄膜積層配線に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、前記密着層はクロムまたはチタンであることを特徴とする請求項1及至4のいずれか1項に記載の薄膜積層配線に存する。
請求項6記載の発明の要旨は、前記伝導層は銅であることを特徴とする請求項1及至5のいずれか1項に記載の薄膜積層配線に存する。
請求項7記載の発明の要旨は、前記酸化防止層はクロムであることを特徴とする請求項1及至6のいずれか1項に記載の薄膜積層配線に存する。
請求項8記載の発明の要旨は、前記絶縁基板がアルミナチタンカーバイドであることを特徴とする請求項1及至7のいずれか1項に記載の薄膜積層配線に存する。
請求項9記載の発明の要旨は、薄膜積層配線の製造方法であって、スパッタリング法によって密着層、伝導層、及び酸化防止層を順次絶縁基板上に形成し、前記密着層の形成から前記酸化防止層が形成されるまでの間に、前記絶縁基板が真空中に保持されることを特徴とする薄膜積層配線の製造方法に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、到達真空度が7×10−3Pa以下であることを特徴とする請求項9に記載の薄膜積層配線の製造方法に存する。
請求項11記載の発明の要旨は、請求項1及至8のいずれか1項に記載の薄膜積層配線を備えたことを特徴とする磁気センサに存する。
請求項12記載の発明の要旨は、請求項11に記載の磁気センサと磁気媒体とを備えたことを特徴とするエンコーダに存する。
本発明は以上の如き構成としたので、小さな電気抵抗をもち、かつ信頼性の高い薄膜積層配線を得ることができる。また、本発明の薄膜積層配線の製造方法によって、本発明の薄膜積層配線を用いた信頼性の高い磁気センサを製造することができ、これを用いて高信頼性のエンコーダを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る薄膜積層配線を用いた磁気センサの構造を示す断面図であり、図2はその斜視断面図である。この磁気センサ1は、外部接続基板200上に搭載されている。この磁気センサ1においては、絶縁基板10上に薄膜下地膜20を介して形成された薄膜磁気検出部30の感知信号が、本発明の薄膜積層配線110を介して伝わる。本発明の薄膜積層配線110は外部接続基板200上に形成された外部接続基板上配線210に接続し、外部接続基板上配線210に接続した外部の検出回路(図示せず)によってこの感知信号が読み出される。外部接続基板200はプリント回路基板(PCB)であり、かつ磁気センサ1を機械的に支持する支持基板ともなっている。
薄膜磁気検出部30は、例えば、磁性材料と非磁性材料からなる多層膜からなる磁気抵抗効果素子であり、磁気によってその電気抵抗値が変化する磁気検出部である。そのため、この電気抵抗値の変化を感知信号としてモニターすることで、磁気を感知することができる。薄膜下地膜20は、薄膜磁気検出部30を形成するための下地として絶縁基板10上に設けられた絶縁層であり、その材料としては、例えば、アルミナ(Al)が好ましく用いられる。
薄膜磁気検出部30の感知信号は、薄膜内部配線40、立ち上がり配線50、薄膜電極70を介して本発明の薄膜積層配線110に伝わる。本発明の薄膜積層配線110は、絶縁基板10の側面に沿って外部接続基板上配線210にまで延在している。薄膜積層配線110は、外部接続基板上配線210と導電性接合樹脂120によって接続される。導電性接合樹脂120は、例えば、導電性材料(銀等)を含む樹脂材料である。
ここで、絶縁基板10は、充分な機械的強度をもち、絶縁性でかつ非磁性材料である。具体的には、アルミナチタンカーバイド(AlTiC)セラミックスが好ましく用いられる。
薄膜表面保護膜60によって薄膜磁気検出部30は覆われ、保護されている。薄膜表面保護膜60は絶縁性である必要があり、例えば薄膜下地膜20と同様のAlが好ましく用いられる。この厚さは、1〜10μm程度である。本発明の薄膜積層配線110はこの薄膜表面保護膜60上に形成されている。
この磁気センサ1において、感知信号の伝達に用いられるのは、薄膜内部配線40、立ち上がり配線50、薄膜電極70、および本発明の薄膜積層配線110である。
薄膜内部配線40及び薄膜電極70には、例えば厚さ100nmの金(Au)が好ましく用いられる。立ち上がり配線50には、例えば5μm程度のCuが好ましく用いられるが、その厚さは後述する薄膜表面保護膜60の厚さに応じて決定される。
本発明の薄膜積層配線110は密着層80、伝導層90、酸化防止層100の3層からなる配線である。この構造においては、電気伝導は主に伝導層90によってなされ、密着層80は、薄膜積層配線110の下地となる薄膜表面保護膜60や絶縁基板10等と伝導層90との間の密着性を高め、剥離を抑制する。酸化防止層100は、伝導層90の表面が空気中で酸化することを防止する。この実施の形態においては薄膜積層配線110は、薄膜磁気検出部30が形成された側の面を表面とすると、絶縁基板10の表面、側面、及び裏面にわたって形成されている。
密着層80は、絶縁基板10等と伝導層90の間の密着性を高めることができる導電体である。ただし、その電気抵抗率は、伝導層90よりも大きくてよい。具体的には、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等が好ましく用いられる。その厚さは、薄膜積層配線110の電気抵抗を下げるために、伝導層90よりも薄く、例えば200nmとすることが好ましい。
伝導層90は、この薄膜積層配線110における電気伝導を主に担う層である。その材料は導電体であり、その電気抵抗率は、密着層80および酸化防止層100よりも小さいことが好ましい。具体的には、銅(Cu)が好ましく用いられる。その厚さは、薄膜積層配線110の電気伝導を担うために、密着層80よりも厚く、例えば400nm以上とすることが好ましい。
酸化防止層100は、伝導層90の表面が大気中で酸化するのを防止するための層であり、その材料は伝導層90との密着性が高く、かつ導電性である。具体的には、密着層80と酸化防止層100とは同じ材料とすることができ、密着層80と同様にCrが好ましく用いられる。ただし、TiはCuと同様にその表面に絶縁性の酸化物が容易に形成されるため、酸化防止層には適さない。また、他には白金(Pt)、金(Au)を用いることができる。その厚さは、密着層と同様の理由から、伝導層90よりも薄く、例えば200nmとすることが好ましい。
また、この薄膜積層配線110をこの例のように磁気センサに用いる場合には、密着層80、伝導層90、および酸化防止層100はいずれも非磁性材料とすることが好ましい。上記のCr、Ti、およびCuはいずれも非磁性材料である。
この薄膜積層配線110においては、電気伝導を主に担う伝導層90として、例えば、電気抵抗率の小さなCuを用いることができるため、その電気抵抗を小さくすることができる。絶縁基板10等と伝導層90の間には密着層80が設けられているが、この密着層80が介在することにより、これらの間の密着性を高め、剥離が抑制される。
一方、特に伝導層90がCuである場合、その表面は大気中で容易に酸化し、絶縁性の酸化物がその表面に形成される。これを防止するために、伝導層90の上には、酸化防止層100が形成されている。特にCrは、硬く、防食性が高いことで知られており、Cuの表面が酸化されるのを防止することができる。また、Cuとの密着性も良好である。
以上により、本発明の薄膜積層配線110においては、Cuを用いることにより、電気抵抗の小さな配線を得ることができる。また、Cuの表面を酸化防止層100で覆うことにより、Cu表面の酸化を防止することができ、信頼性の高い配線を得ることができる。
次に、図3は、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜積層配線を用いた光センサ2の構造を示す断面図である。この光センサ2は、前記の磁気センサ1と同様に外部接続基板200上に搭載されている。絶縁基板10上に薄膜下地膜20を介して形成された薄膜光伝導体35からの感知信号が、本発明の薄膜積層配線110を介して伝わる。本発明の薄膜積層配線110は外部接続基板200上に形成された外部接続基板上配線210に接続し、外部接続基板上配線210に接続した外部の検出回路(図示せず)によってこの感知信号が読み出される。外部接続基板200はプリント回路基板(PCB)であり、かつ光センサ2を機械的に支持する支持基板ともなっている。この光センサ2においては、絶縁基板10において薄膜光伝導体35が形成された側の面が外部接続基板200に接合している。また、本発明の薄膜積層配線110は絶縁基板10において薄膜光伝導体35が形成された側の面にのみ形成されている。また、外部接続基板200においては、薄膜光伝導体35の近傍で開口部が設けられており、この開口部から入射した光をこの薄膜光伝導体35が感知することができる。
薄膜光伝導体35は、半導体の薄膜であり、光を吸収することによってその電気抵抗が変化する。従って、この両端に設けられた薄膜内部配線40間の電気抵抗を測定することによって光を検知することができる。この材料としては、例えば、検出する光が可視光である場合には、硫化カドミウム(CdS)を用いることができる。
この光センサ2においては、図3において下側から入射した光による薄膜光伝導体35の電気抵抗の変化を、薄膜内部配線40、本発明の薄膜積層配線110および外部接続基板上配線210を介して外部の検出回路(図示せず)が読み出すことが可能である。この場合に、電気抵抗が低く、信頼性の高い本発明の薄膜積層配線110を好ましく用いることができる。この構造においては、本発明の薄膜積層配線110は、絶縁基板10の側面及び薄膜光伝導体35が形成された側と反対側の面(図3における上面)には形成されていない。
以上の通り、この薄膜積層配線は、小さな電気抵抗と、高い信頼性を共に備えるため、絶縁基板上に形成される各種の磁気素子や電気素子の配線として用いることができる。特に、この薄膜積層配線に磁性材料を含めずに構成することができるので、高感度の磁気センサの配線として好ましい。特に、この磁気センサを磁気媒体と組み合わせてエンコーダを構成すれば、この配線は磁性材料を含まず、電気抵抗が低く信頼性が高いため、位置検出精度の高いエンコーダが得られる。
次に、この薄膜積層配線110の製造方法について述べる。
図1の磁気センサ1の構造においては、この薄膜積層配線110を絶縁基板10の表面、側面、及び裏面に形成することによって、薄膜磁気検出部30と外部接続基板上配線210とを電気的に接続している。この薄膜積層配線110が形成される前後の絶縁基板10の表面、側面、および裏面の形状を示したのが図4である。このように薄膜積層配線110を絶縁基板10の表面、側面、及び裏面に形成することは、以下に述べる製造方法によって容易に行うことができる。
この薄膜積層配線110を図4に示したパターンで形成するためには、まず、絶縁基板10にマスキングを施した後に薄膜積層配線110を構成する材料をこの上に成膜する。この場合のマスクとしては、メタル製のものが用いられる他、テープやフォトレジスト等、各種のものを用いることができる。マスキングされた箇所には薄膜積層配線110が形成されないため、これらの材料の成膜後にマスクを除去すれば、所望のパターンの薄膜積層配線110を得ることができる。この方法は、特に、上記の磁気センサ1の形態のように、薄膜積層配線を絶縁基板10の表面、側面、及び裏面に形成する場合に好ましく用いることができる。
薄膜積層配線110として、密着層80にCr、伝導層90にCu、酸化防止層100にCrを用いた場合、これをスパッタリング法によって連続して成膜することが好ましい。
この方法においては、スパッタリング法によって密着層、伝導層、及び酸化防止層を順次絶縁基板上に形成し、密着層の形成から酸化防止層が形成されるまでの間に、この絶縁基板を真空中に保持しておく。すなわち、同一のスパッタリング装置中で、これらの層を連続的に形成することが好ましい。このスパッタリング法における到達真空度、すなわち、スパッタリング法におけるガス導入前の真空度は7×10−3Pa以下であることが、好ましい。
図5(a)(b)は、この薄膜積層配線の2種類の製造方法を示す工程図である。(a)においては、一つのチャンバにCrターゲットとCuターゲットの両方が備えられたスパッタリング装置が用いられる。(b)においては、Crターゲットが備えられたチャンバと、Cuターゲットが備えられたチャンバを有する2チャンバのスパッタリング装置が用いられる。
図5(a)の製造方法においては、まず、S11で図1における薄膜下地膜20、薄膜磁気検出部30、薄膜内部配線40、立ち上がり配線50、薄膜表面保護膜60、薄膜電極70が形成された絶縁基板10に前記のマスキングを行った後、CrおよびCuターゲットが備えられたチャンバに移動し、このチャンバを、例えば7×10−3Pa以下の真空にする。
次に、S12で、このチャンバにアルゴン(Ar)を導入して、DCスパッタまたはマグネトロンスパッタにより、Crターゲットにバイアスを印加してCrを密着層として所望の膜厚だけこの絶縁基板10上に形成する。
次に、S13でこのチャンバ内でCuターゲットにバイアスを印加してCuを伝導層として所望の膜厚だけこの上に形成する。
次に、S14でこのチャンバ内で再びCrターゲットにバイアスを印加してCrを酸化防止層として所望の膜厚だけこの上に形成する。以上により、特に大気中で酸化しやすいCuを全く大気に曝すことなしに、本発明の薄膜積層配線となるCr/Cu/Crを形成することができる。また、スパッタリングの際にはArが導入されるが、到達真空度が7×10−3Pa以下であるため、特に酸素によってCuが酸化することはない。
図5(b)の製造方法においては、まず、S21で図1における薄膜下地膜20、薄膜磁気検出部30、薄膜内部配線40、立ち上がり配線50、薄膜表面保護膜60、薄膜電極70が形成された絶縁基板10を、Crターゲットが備えられたチャンバに移動し、このチャンバを、7×10−3Pa以下の真空にする。次に、このチャンバにアルゴン(Ar)を導入して、DCスパッタまたはマグネトロンスパッタにより、Crターゲットにバイアスを印加してCrを密着層として所望の膜厚だけこの絶縁基板10上に形成する。
次に、S22でこの絶縁基板10を、Cuターゲットが備えられたチャンバに移動し、このチャンバを、7×10−3Pa以下の真空にする。次に、このチャンバにアルゴン(Ar)を導入して、DCスパッタまたはマグネトロンスパッタにより、Cuターゲットにバイアスを印加してCuを伝導層として所望の膜厚だけこの上に形成する。
次に、S23でこの絶縁基板10を、再びCrターゲットが備えられたチャンバに移動し、このチャンバを、7×10−3Pa以下の真空にする。次に、このチャンバにアルゴン(Ar)を導入して、DCスパッタまたはマグネトロンスパッタにより、Crターゲットにバイアスを印加してCrを酸化防止層として所望の膜厚だけこの上に形成する。以上により、特に大気中で酸化しやすいCuを全く大気に曝すことなしに、本発明の薄膜積層配線となるCr/Cu/Crを形成することができる。また、スパッタリングの際にはArが導入されるが、到達真空度が7×10−3Pa以下であるため、特に酸素によってCuが酸化することはない。
以上のどちらの製造方法によっても、Cr/Cu/Cr積層構造が形成される間、この絶縁基板10は、大気に曝されることがなく、特にCuの酸化が抑制される。
以上の工程においては、Cr及びCuの成膜にスパッタリング法を用いている。この方法においては、純度が99.9%以上のスパッタターゲット(原料)を用いることができるため、成膜されるCr層(密着層及び酸化防止層)、Cu層(伝導層)の純度もこれに近いものとすることができる。他の成膜方法としては、例えば、めっきがあるが、めっきの場合には、一般に、ニッケル(Ni)を混入させる。Niは磁性材料であるため、これが薄膜積層配線に含まれると、磁気センサの感知信号に影響を及ぼすため、特に磁気センサの配線として用いる場合には好ましくない。薄膜積層配線の成膜にスパッタリング法を用いる本発明の製造方法においては、こうした問題は生じず、薄膜積層配線に磁性材料を全く含まない構成とすることができる。
なお、上記の実施の形態においては、密着層80と酸化防止層100としては、共にCrを用いていたが、密着層80としては他にチタン(Ti)を用いることもできる。この場合は、前記の薄膜積層配線の製造方法において、CrとCu以外に、Tiターゲット、またはTiターゲットを備えたチャンバが必要になり、これを用いて同様に密着層の形成が行われる。ただし、密着層80と酸化防止層100として同じ材料を用いれば、その製造方法もしくは製造に用いるスパッタリング装置の構成が単純になるため、好ましい。
以上の工程を経た後に前記のマスクを除去すれば、薄膜積層配線110となるCr/Cu/Cr積層構造のパターンを得ることができる。
上記の製造方法の変形例として、薄膜下地膜20、薄膜磁気検出部30、薄膜内部配線40、立ち上がり配線50、薄膜表面保護膜60、薄膜電極70が形成され、マスキングが施されていない絶縁基板10に対して図5の工程を施し、全面に薄膜積層配線110を構成する材料を形成した後に、これを選択的に除去することもできる。ここでは、フォトリソグラフィ工程によってフォトレジストのパターンを形成し、イオンミリング等によってフォトレジストが形成されていない部分のCr/Cu/Crを除去した後に、フォトレジストを除去する。この間、例えばフォトリソグラフィ工程においては、この絶縁基板10は大気に曝され、また、フォトレジストの熱処理等によって200℃以上の温度にも曝されることもある。しかし、この段階ではCuからなる伝導層40は、酸化防止層50によって覆われているため、Cuの酸化は生じない。なお、イオンミリングの代わりに、他の方法、例えばイオンミリング以外のドライエッチングやウェットエッチングを用いることも可能である。フォトリソグラフィ工程は、フォトレジストパターンを形成する基板が平面である場合に好ましく適用することができるので、この方法は、前記の光センサ2の形態のように、薄膜積層配線110を絶縁基板10の一つの表面のみに形成する場合に好ましく用いることができる。
以上の工程により、本発明の薄膜積層配線が製造される。
本発明の第1の実施の形態に係る薄膜積層配線を用いた磁気センサの構造を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る薄膜積層配線を用いた磁気センサの構造を示す斜視断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る薄膜積層配線を用いた光センサの構造を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る薄膜積層配線を用いた磁気センサにおける薄膜積層配線の形状を示す図である。 本発明の薄膜積層配線の製造方法の二つの例を示す工程図である。
符号の説明
1 磁気センサ
2 光センサ
10 絶縁基板
20 薄膜下地膜
30 薄膜磁気検出部
35 薄膜光伝導体
40 薄膜内部配線
50 立ち上がり配線
60 薄膜表面保護膜
70 薄膜電極
80 密着層
90 伝導層
100 酸化防止層
110 薄膜積層配線
120 導電性接合樹脂
200 外部接続基板
210 外部接続基板上配線

Claims (12)

  1. 絶縁基板上に形成された薄膜積層配線であって、
    前記絶縁基板上に形成された密着層と、
    該密着層の上に形成された伝導層と、
    該伝導層の上に形成された酸化防止層と
    を備えたことを特徴とする薄膜積層配線。
  2. 前記伝導層における電気抵抗率は、前記密着層および前記酸化防止層よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の薄膜積層配線。
  3. 前記密着層と酸化防止層とが同じ材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜積層配線。
  4. 前記密着層、前記伝導層、および前記酸化防止層がいずれも非磁性材料であることを特徴とする請求項1及至3のいずれか1項に記載の薄膜積層配線。
  5. 前記密着層はクロムまたはチタンであることを特徴とする請求項1及至4のいずれか1項に記載の薄膜積層配線。
  6. 前記伝導層は銅であることを特徴とする請求項1及至5のいずれか1項に記載の薄膜積層配線。
  7. 前記酸化防止層はクロムであることを特徴とする請求項1及至6のいずれか1項に記載の薄膜積層配線。
  8. 前記絶縁基板がアルミナチタンカーバイドであることを特徴とする請求項1及至7のいずれか1項に記載の薄膜積層配線。
  9. 薄膜積層配線の製造方法であって、
    スパッタリング法によって密着層、伝導層、及び酸化防止層を順次絶縁基板上に形成し、前記密着層の形成から前記酸化防止層が形成されるまでの間に、前記絶縁基板が真空中に保持されることを特徴とする薄膜積層配線の製造方法。
  10. 到達真空度が7×10−3Pa以下であることを特徴とする請求項9に記載の薄膜積層配線の製造方法。
  11. 請求項1及至8のいずれか1項に記載の薄膜積層配線を備えたことを特徴とする磁気センサ。
  12. 請求項11に記載の磁気センサと磁気媒体とを備えたことを特徴とするエンコーダ。
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