JP2007141739A - 燃料電池用樹脂フレーム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池用樹脂フレームに由来する陽イオンの混入による燃料電池システムの性能低下を緩和または防止する。
【解決手段】複数のフェノール樹脂層を積層させた燃料電池用樹脂フレーム10であって、フェノール樹脂層は、窒素を含有する、硬化剤または触媒を用いて生成された第1のフェノール樹脂を含む第1のフェノール樹脂層12と、第1のフェノール樹脂とは異なる第2のフェノール樹脂を含む第2のフェノール樹脂層14a,14bと、を含み、フェノール樹脂層の積層方向に対して少なくとも両端面は、前記第2のフェノール樹脂層14a,14bである。第1のフェノール樹脂層12は、好ましくはノボラック型フェノール樹脂を含み、第2のフェノール樹脂層14a,14bは、好ましくはレゾール型フェノール樹脂を含む。
【選択図】図1
【解決手段】複数のフェノール樹脂層を積層させた燃料電池用樹脂フレーム10であって、フェノール樹脂層は、窒素を含有する、硬化剤または触媒を用いて生成された第1のフェノール樹脂を含む第1のフェノール樹脂層12と、第1のフェノール樹脂とは異なる第2のフェノール樹脂を含む第2のフェノール樹脂層14a,14bと、を含み、フェノール樹脂層の積層方向に対して少なくとも両端面は、前記第2のフェノール樹脂層14a,14bである。第1のフェノール樹脂層12は、好ましくはノボラック型フェノール樹脂を含み、第2のフェノール樹脂層14a,14bは、好ましくはレゾール型フェノール樹脂を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂フレームに関し、特にフェノール樹脂を含み、一般にセパレータとともに使用する燃料電池用樹脂フレームに関する。
環境問題や資源問題への対策の一つとして、酸素や空気等の酸化性ガスと、水素やメタン等の還元性ガス(燃料ガス)あるいはメタノール等の液体燃料等とを原料として電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する燃料電池が注目されている。燃料電池は一般に、電解質膜の一方の面に燃料極(アノード触媒層)と、もう一方の面に空気極(カソード触媒層)とを電解質膜を挟んで対向するように設け、電解質膜を挟持した各触媒層の外側に拡散層をさらに設けた、膜−電極接合体(MEA)を、原料供給用の通路を設けたセパレータで挟んだ構造を1単位とするいわゆる単セルを有している。通常の燃料電池システムにおいては、この単セルを積層させて所望の電力が得られるようにした燃料電池スタックを使用し、各触媒層に水素、酸素等の原料を供給して発電する。
燃料電池の発電時には、燃料極に供給する原料を水素ガス、空気極に供給する原料を空気とした場合、燃料極において、水素ガスから水素イオンと電子とが発生する。電子は外部端子から外部回路を通じて空気極に到達する。空気極において、供給される空気中の酸素と、電解質膜を通過した水素イオンと、外部回路を通じて空気極に到達した電子により、水が生成する。このように燃料極及び空気極において化学反応が起こり、電荷が発生して電池として機能することになる。この燃料電池は、発電に使用される原料のガスや液体燃料が豊富に存在すること、また、その発電原理より排出される物質が水であること等から、クリーンなエネルギー源として様々な検討がされている。
このような燃料電池は、発電に伴う反応が一般に発熱反応であるため、例えば燃料電池スタックに冷却板を挿入して冷却水の顕熱で冷却する方法や、内部加湿方式において反応ガスと共に供給された加湿水の蒸発潜熱で冷却する方法等によって、燃料電池を適正な温度領域に制御している。
上述のように燃料電池スタックには冷却水や加湿水を供給する必要があるが、特に燃料電池自動車のような移動体に搭載する場合には、外部からの水の補給を常に行なうことはできないために、燃料電池スタックから排出された水を燃料電池スタックに循環させて再び供給する水循環系を設けている。しかし、この水循環系には、長期の使用により金属材料の腐食等によって金属イオン等の不純物が混入するおそれがある。
また、内部加湿方式では、水循環系に混入した金属イオン等の陽イオンが加湿水に混入して燃料電池セル内に供給されてしまうと、電池を構成する電解質膜や電極触媒中に存在するプロトン交換基がこの陽イオンで置換され、起電力が低下するおそれがあり、好ましくない。
さらに、内部加湿方式、外部加湿方式に共通した課題として、燃料電池システムの稼動時に、金属イオン等の混入により燃料電池スタックを貫通する冷却水の電気伝導度が上昇すると、燃料電池スタックの絶縁が破壊され、冷却水を介した地絡や、燃料電池スタック構成材料の腐食等が生じるというおそれもある。
したがって、燃料電池発電システムの水循環系の水質管理は、燃料電池の性能を維持する上で重要な課題となっており、例えば、燃料電池の水循環系にイオン交換器を配置し、水質を管理する方法が広く用いられている。
イオン交換器には、陽イオン交換機能を有する樹脂が、例えば粒状、繊維状または膜状の形状で封入されている。これにより、冷却水や加湿水等、燃料電池システム内を循環する循環水中の金属イオン等の陽イオンを吸着除去し、燃料電池システムにおける発電性能低下の要因ともなりうる循環水の導電率の上昇を抑制している。
ところで、燃料電池スタックにおいて、各燃料電池セルを構成するセパレータの材質として、カーボンや金属を使用したものが検討されている。中でも、ステンレスなどのような金属材料を使用した、いわゆるメタルセパレータは、比較的安価であり、かつ加工も容易である点から好ましく用いられている。
このようなメタルセパレータを使用する場合には、一般に、セパレータ表面とMEAの非発電領域との間をエポキシ樹脂やフェノール樹脂等を含む樹脂フレームで挟み、MEAと直接接触しないように積層し、各部材間に必要に応じて接着剤などを用いて一体化させている。樹脂フレームとして用いられる樹脂のうち、特にフェノール樹脂は、酸性側での安定性が高く、長期間の使用による経時劣化もほとんどないため、燃料電池セパレータの材料として重用されている。
このような構成の樹脂フレーム、またはこのような樹脂フレームとメタルセパレータを使用した燃料電池セルについて、例えば特許文献1〜4に開示されている。
特許文献1には、MEAとメタルセパレータの間に樹脂フレームを設けた燃料電池について記載されている。また、特許文献2,3には、メタルセパレータを覆うように備えた、ガス流路および冷却水流路を備える電気絶縁層(樹脂フレーム)について開示されている。さらに、特許文献4には、セパレータの外周部にフェノール樹脂またはエポキシ樹脂からなる樹脂部を備えた燃料電池用金属セパレータについて開示されている。
ところで、フェノール樹脂には、その用途に応じて様々なものが知られているが、その製法は、2つに大別することができる。一方はノボラック型フェノール樹脂であり、他方はレゾール型フェノール樹脂である。
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドを、硫酸、塩酸、リン酸、シュウ酸等の酸性触媒の存在下で反応させてノボラックと呼ばれる初期生成物を得た後に、過剰のホルムアルデヒド、または加熱によりホルムアルデヒドを発生する物質、例えばヘキサメチレンテトラミンのような含窒素化合物、を添加した後に加熱を行い、硬化させるものである。ノボラック型フェノール樹脂は、加熱の前に、必要に応じて例えばガラス繊維等の一般に充填剤と呼ばれる構成材料を加えて、例えば耐熱性や絶縁性等、所望の物理的性質を付与することが可能である。
一方、レゾール型フェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドを、水酸化アルカリ、アンモニア、アミン等の塩基性触媒の存在下で反応させてレゾールと呼ばれる初期生成物を得た後に、加熱や加圧等を行い、硬化させたものである。
従来のフェノール樹脂を使用した樹脂フレームは、レゾール型フェノール樹脂と比較して機械的強度の高い、ガラス繊維等の構成材料を使用したノボラック型フェノール樹脂を使用することが一般的であった。また、燃料電池セルにおいては、発熱反応により高温となることからも、耐熱性の高いノボラック型フェノール樹脂を含む樹脂フレームは好適である。
ところで、燃料電池セルは、プロトン導電性電解質として機能する電解質膜を使用していることから、燃料電池スタック内部については、常に酸性雰囲気にさらされていることになる。このため、燃料電池の材料として使用されている、メタルセパレータや、樹脂フレームに含まれるガラス繊維等の構成材料から、金属イオン等の陽イオンが、ごくわずかではあるが溶出する場合がある。
さらに、樹脂フレームに使用するフェノール樹脂からも、燃料電池システムの長期にわたる使用により種々の陽イオンが溶出する場合も考えられる。
燃料電池セパレータから溶出または生成したこれらの陽イオンが、燃料電池セル内部や冷却水等の水循環系に混入してしまっても、イオン交換器内で処理されるため、電池性能の低下については制御することが可能である。しかしながら、イオン交換器内に封入された陽イオン交換樹脂の劣化速度が促進されるため、この陽イオン交換樹脂の交換または再生の頻度が増し、コストが増大してしまうおそれがある。
さらに、樹脂フレームからの陽イオンの溶出により、他部材との接着面である樹脂フレームの表面部に表面粗さが発生し、わずかに凹凸が現れると、樹脂フレーム成形時に配合した離型剤の濃度が局所的に高くなってしまい、高温条件での接着性が低下するおそれもある。
本発明はかかる課題に鑑み、燃料電池スタックからの、特に樹脂フレームとして使用されるフェノール樹脂層に由来する、陽イオンの溶出および生成を極力防止または低減することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、燃料電池スタックからの、特にフェノール樹脂層を含む樹脂フレームに由来する陽イオンが仮に溶出および生成した場合でも、水循環系への混入を極力防止または低減し、イオン交換器内の陽イオン交換樹脂の交換頻度を増大させることのない、燃料電池用樹脂フレームを提供することにある。
本発明は、複数のフェノール樹脂層を積層させた燃料電池用樹脂フレームであって、前記フェノール樹脂層は、窒素を含有する、硬化剤または触媒を用いて生成された第1のフェノール樹脂を含む第1のフェノール樹脂層と、前記第1のフェノール樹脂とは異なる第2のフェノール樹脂を含む第2のフェノール樹脂層と、を含み、フェノール樹脂層の積層方向に対して少なくとも両端面は、前記第2のフェノール樹脂層である。
また、本発明は、第1のフェノール樹脂層と、前記第1のフェノール樹脂層の外周面を被覆する第2のフェノール樹脂層と、を有する燃料電池用樹脂フレームであって、前記第1のフェノール樹脂層は、窒素を含有する、硬化剤または触媒を用いて生成された第1のフェノール樹脂を含み、前記第2のフェノール樹脂層は、前記第1のフェノール樹脂とは異なる第2のフェノール樹脂を含む。
また、上記の燃料電池用樹脂フレームにおいて、好ましくは、前記第1のフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂であり、前記第2のフェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂である。
また、上記の燃料電池用樹脂フレームにおいて、前記第1のフェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂であってもよく、前記第2のフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂であってもよい。
また、本発明の燃料電池用樹脂フレームは、窒素を含有するノボラック型フェノール樹脂を含む第1のフェノール樹脂層と、前記第1のフェノール樹脂層とは異なる組成を有し、前記第1のフェノール樹脂層の外周面を被覆するように設けられた第2のフェノール樹脂層と、を備える。
また、本発明は、第1のフェノール樹脂層と、前記第1のフェノール樹脂層の外周面を被覆する第2のフェノール樹脂層と、を有する燃料電池用樹脂フレームであって、前記第1のフェノール樹脂層は、窒素を含有するアルカリ触媒を用いて生成されたレゾール型フェノール樹脂を含み、前記第2のフェノール樹脂層は、前記第1のフェノール樹脂層とは異なる触媒を用いて生成されたフェノール樹脂を含む。
さらに、上記の燃料電池用樹脂フレームにおいて、前記第1のフェノール樹脂層は、好ましくはガラス繊維を含む。
本発明によれば、樹脂フレームに由来する陽イオンによる燃料電池システムの性能低下を緩和または防止することが可能となる。
本発明の実施の形態について、以下、図面に基づいて説明する。ただし、例えば全体としての形状や大きさ等については、従来の燃料電池用樹脂フレームの構成とほぼ同じとしてよいが、その詳細な形状については省略する。
図1は、本発明の実施の形態における燃料電池用樹脂フレーム10の構成の概略を示す断面図である。本実施の形態において、燃料電池用樹脂フレーム10は、複数のフェノール樹脂層を積層させた構成を有しており、第1のフェノール樹脂層12を、第2のフェノール樹脂層14a,14bで挟持するように備えた構造を有している。
第1のフェノール樹脂層12は、従来の燃料電池において使用されている樹脂フレームと同様のものでも良く、また異なるものでも良いが、好ましくは、窒素を含有する、硬化剤または触媒を用いて生成された第1のフェノール樹脂を含む。さらに好ましくは、第1のフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂であるが、これに限らず、例えば、レゾール型フェノール樹脂でも構わない。このような第1のフェノール樹脂に、必要に応じてガラス繊維等の構成材料をさらに含み、第1のフェノール樹脂層12の全体として、耐衝撃性等を強化させることも好適である。
一方、本実施の形態において、第2のフェノール樹脂層14a,14bは、第1のフェノール樹脂とは異なる第2のフェノール樹脂を含む。第2のフェノール樹脂は、好ましくは、第1のフェノール樹脂と比較して窒素含有量が低く、好ましくは窒素をほとんど含まない。また、第2のフェノール樹脂層14a,14bは、好ましくは、高温領域においても、第1のフェノール樹脂層12と比較して、種々の陽イオンの溶出量が少ない。さらに好ましくは、第2のフェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂であるがこれに限らず、例えば、ノボラック系フェノール樹脂でも構わない。
本実施の形態において、第1のフェノール樹脂層12の厚さと、第2のフェノール樹脂層14a,14bの厚さの合計との比は、好ましくは2:1〜3.3:1である。第1のフェノール樹脂層12の厚さの割合が大きくなり過ぎると、第1のフェノール樹脂層12で溶出または生成してしまった陽イオンの量が増加してしまい、水循環系へ混入しないように第2のフェノール樹脂層14a,14bによって遮断することが困難となるおそれがあるため、好ましくない。また、第2のフェノール樹脂層14a,14bを合計した厚さの割合が大きくなり過ぎると、本実施の形態における燃料電池用樹脂フレーム10全体としての強度が低下してしまうおそれがあるため、好ましくない。
また、本実施の形態において、第1のフェノール樹脂層12の厚さは、好ましくは0.3mm〜1.0mmであり、第2のフェノール樹脂層14a,14bの厚さの合計は、好ましくは0.1mm〜0.5mmである。この第2のフェノール樹脂層14a,14bそれぞれの厚さの比率は、所望の条件に応じて適宜設定してよいが、一般に1:1に設定する方が成形時の設定が容易であるため、好適である。
また、本実施の形態における燃料電池用樹脂フレーム10の全体としての厚さは、上記のようにして適宜決定した第1のフェノール樹脂層12、第2のフェノール樹脂層14a,14bそれぞれの合計としてよいが、好ましくは0.8mm〜2.0mm、より具体的には0.5mm〜1.5mmである。これより大きくなってしまうと、従来の燃料電池用樹脂フレームよりも厚くなってしまうため、装置全体として大きなものとなってしまい、省スペース化の観点からも好ましくない。
また、本実施の形態において、第1のフェノール樹脂層12は、第2のフェノール樹脂層14a,14bと比較して、高温領域における機械的強度が高いことが好ましいが、これに限らず、少なくとも本実施の形態における燃料電池用樹脂フレーム10全体として、高温領域においても、従来の樹脂フレームと同等またはそれ以上の機械的強度(例えば、曲げ強度、引っ張り強度、ヤング率等)を有すればよい。
なお、本実施の形態においては、例示として図1に基づいて説明したが、フェノール樹脂層の積層方向に対して少なくとも両端面、つまり、MEAおよびメタルセパレータと直接触れる側に第2のフェノール樹脂層14a,14bを備えていればよく、図1に示すような構成である必要はない。本実施の形態の変形例として、図1に示した第1のフェノール樹脂層12に替えて、第1のフェノール樹脂層と第2のフェノール樹脂層をさらに積層させたものを用いてもよい。
上記のような構成により作成された燃料電池用樹脂フレーム10を備える燃料電池システムにおいては、燃料電池用樹脂フレーム10は、MEAやメタルセパレータとの接着面となる両端面が、窒素をほとんど含まない第2のフェノール樹脂層14a,14bにより覆われている。つまり、MEA、燃料電池用樹脂フレーム10、メタルセパレータは、第2のフェノール樹脂層14a,14bのうちいずれか一方面側をMEA、他方面側をメタルセパレータとそれぞれ接するように、一体化される。このため、燃料電池システム内を循環する冷却水や、加湿ガスや燃料電池の運転に由来する水分内に、カルシウムイオンのような各種金属イオンや、窒素を含む陽イオンなどが溶出し、混入することを未然に防止または抑制することができる。また、仮に第1のフェノール樹脂層12において含窒素陽イオンが発生したとしても、窒素をほとんど含まない第2のフェノール樹脂層14a,14bの存在によって含窒素陽イオンの水循環系への混入が制限されるため、イオン交換器等、燃料電池システムに対する影響を緩和または防止することが可能となる。
さらに、本実施の形態においては、燃料電池用樹脂フレーム10の、MEAやメタルセパレータとの接着面からの各種陽イオンの溶出が緩和または制限されることにより、両端面に凹凸が発生しにくくなるため、均一な接着性能を保持することが可能であり、高温条件における燃料電池用樹脂フレーム10と他の部材との接着性の低下を防止または抑制することが可能となる。
次に、図2を参照する。図2は、本発明の他の実施の形態における燃料電池用樹脂フレーム20の構成の概略を示す断面図である。本実施の形態において、燃料電池用樹脂フレーム20は、第1のフェノール樹脂層22と、第1のフェノール樹脂層22の外周面を被覆する第2のフェノール樹脂層24とを有している。
本実施の形態において、第1のフェノール樹脂層22は、従来の燃料電池において使用されている樹脂フレームと同様のものでも良く、また異なるものでも良いが、好ましくは、窒素を含有する、硬化剤または触媒を用いて生成された第1のフェノール樹脂を含む。さらに好ましくは、第1のフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂であるが、これに限らず、例えば、レゾール型フェノール樹脂でも構わない。このような第1のフェノール樹脂に、必要に応じてガラス繊維等の構成材料をさらに含み、第1のフェノール樹脂層22の全体として、耐衝撃性等を強化させることも好適である。
一方、本実施の形態において、第2のフェノール樹脂層24は、第1のフェノール樹脂とは異なる第2のフェノール樹脂を含む。第2のフェノール樹脂は、好ましくは、第1のフェノール樹脂と比較して窒素含有量が低く、好ましくは窒素をほとんど含まない。また、第2のフェノール樹脂層24は、好ましくは、高温領域においても、第1のフェノール樹脂層22と比較して、種々の陽イオンの溶出量が少ない。さらに好ましくは、第2のフェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂であるがこれに限らず、例えば、ノボラック系フェノール樹脂でも構わない。
本実施の形態において、第1のフェノール樹脂層22の厚さは、好ましくは0.3mm〜1.0mmであり、第2のフェノール樹脂層24の厚さは、好ましくは0.1mm〜0.5mmであるが、これに限らず、例えば使用するメタルセパレータの材質や厚さ等の条件により適宜変更してもよい。
また、本実施の形態において、第1のフェノール樹脂層22の厚さと、第2のフェノール樹脂層24の厚さとの比は、好ましくは2:1〜3.3:1である。第1のフェノール樹脂層22の厚さの割合が大きくなり過ぎると、第1のフェノール樹脂層22で溶出または生成してしまった陽イオンの量が増加してしまい、水循環系へ混入しないように第2のフェノール樹脂層24によって遮断することが困難となるおそれがあるため、好ましくない。また、第2のフェノール樹脂層24の厚さの割合が大きくなり過ぎると、燃料電池用樹脂フレーム20全体としての強度が低下してしまうおそれがあるため、好ましくない。
さらに、本実施の形態における燃料電池用樹脂フレーム20の全体としての厚さは、上記のようにして適宜決定した第1のフェノール樹脂層22、第2のフェノール樹脂層24それぞれの合計としてよいが、好ましくは0.8mm〜2.0mm、より具体的には0.5mm〜1.5mmである。これより大きくなってしまうと、従来の燃料電池用樹脂フレームよりも厚くなってしまうため、装置全体として大きなものとなってしまい、省スペース化の観点からも好ましくない。
また、本実施の形態において、第1のフェノール樹脂層22は、第2のフェノール樹脂層24と比較して、高温領域における機械的強度が高いことが好ましいが、これに限らず、少なくとも本実施の形態における燃料電池用樹脂フレーム20全体として、高温領域においても、従来の樹脂フレームと同等またはそれ以上の機械的強度(例えば、曲げ強度、引っ張り強度、ヤング率等)を有すればよい。
上記のような構成により作成された燃料電池用樹脂フレーム20を備える燃料電池システムにおいては、図1に示した、燃料電池用樹脂フレーム10と同様、燃料電池システムに対する影響を緩和または防止することが可能となる。さらに、燃料電池用樹脂フレーム20は、燃料電池用樹脂フレーム10と比較すると、第1のフェノール樹脂層22全体が第2のフェノール樹脂層24によって覆われた構成になっているため、フェノール樹脂層のMEAやメタルセパレータとの積層方向に限らず、第2のフェノール樹脂層24から溶出する種々の陽イオンを、全方向にわたり低減または防止させることが可能となる。
本実施の形態において、燃料電池用樹脂フレーム20と、MEAやメタルセパレータとの積層方向とは、一般には図2に示した燃料電池用樹脂フレーム20の上下方向をいうが、これに限らず、燃料電池用樹脂フレーム20を挟んで、一方面をMEA側、他方面をメタルセパレータ側とする構成であればいかなる方向でもよい。
また、図1、図2に例示した本発明の実施の形態においては、その詳細な構造については示していないが、燃料電池用樹脂フレーム10または20の表面または内部に、例えば、ガス流路や冷却水流路などとして凹部や開口部などが形成されているような場合には、それらを形成する第1のフェノール樹脂層12(22)の外周面を第2のフェノール樹脂層14a,14b(24)で被覆するように形成することが好適である。
なお、図1、図2に例示した本発明の実施の形態において、燃料電池用樹脂フレーム10,20の成形方法としては、例えば、押し出し成形法、射出成形法、スプレー法、浸漬法等、いかなるものを用いてもよい。
また、第1のフェノール樹脂層12(22)と、第2のフェノール樹脂層14a,14b(24)は、同時成形であってもよく、また、一方のフェノール樹脂層を成形し、その後で一方のフェノール樹脂層の表面に他方のフェノール樹脂層を成形してもよい。さらに、複数のフェノール樹脂層を成形しておいて、その後接着または溶着させてもよい。
また、本発明の実施の形態において、図1、図2に示した燃料電池用樹脂フレーム10または20を使用して燃料電池セルを構成する際には、上述のように他の部材と接触する部分に相当する第2のフェノール樹脂層14a,14b(または24)に適当な接着剤を用いてもよく、また、加圧や超音波により接着または溶着させても良く、燃料電池セルおよびスタックの成形に際して、いかなる方法を用いてもよい。
本発明の燃料電池用樹脂フレームは、例えば直接メタノール型燃料電池(DMFC)セル等のような、フェノール樹脂で被覆したメタルセパレータを使用することのできる各燃料電池セルおよびこの燃料電池セルを積層させた燃料電池スタックを備える各燃料電池システムであれば、これまで述べてきた固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)セルおよびこの燃料電池セルを積層させた燃料電池スタックを備える各燃料電池システムに限らず、好適に利用することが可能である。
10,20 燃料電池用樹脂フレーム、12,22 第1のフェノール樹脂層、14a,14b,24 第2のフェノール樹脂層。
Claims (7)
- 複数のフェノール樹脂層を積層させた燃料電池用樹脂フレームであって、
前記フェノール樹脂層は、
窒素を含有する、硬化剤または触媒を用いて生成された第1のフェノール樹脂を含む第1のフェノール樹脂層と、
前記第1のフェノール樹脂とは異なる第2のフェノール樹脂を含む第2のフェノール樹脂層と、
を含み、
フェノール樹脂層の積層方向に対して少なくとも両端面は、前記第2のフェノール樹脂層である、樹脂フレーム。 - 第1のフェノール樹脂層と、
前記第1のフェノール樹脂層の外周面を被覆する第2のフェノール樹脂層と、
を有する燃料電池用樹脂フレームであって、
前記第1のフェノール樹脂層は、窒素を含有する、硬化剤または触媒を用いて生成された第1のフェノール樹脂を含み、
前記第2のフェノール樹脂層は、前記第1のフェノール樹脂とは異なる第2のフェノール樹脂を含む、樹脂フレーム。 - 請求項1または2に記載の燃料電池用樹脂フレームにおいて、
前記第1のフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂であり、
前記第2のフェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂である、樹脂フレーム。 - 請求項1または2に記載の燃料電池用樹脂フレームにおいて、
前記第1のフェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂であり、
前記第2のフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂である、樹脂フレーム。 - 窒素を含有するノボラック型フェノール樹脂を含む第1のフェノール樹脂層と、
前記第1のフェノール樹脂層とは異なる組成を有し、前記第1のフェノール樹脂層の外周面を被覆するように設けられた第2のフェノール樹脂層と、
を備える燃料電池用樹脂フレーム。 - 第1のフェノール樹脂層と、
前記第1のフェノール樹脂層の外周面を被覆する第2のフェノール樹脂層と、
を有する燃料電池用樹脂フレームであって、
前記第1のフェノール樹脂層は、窒素を含有するアルカリ触媒を用いて生成されたレゾール型フェノール樹脂を含み、
前記第2のフェノール樹脂層は、前記第1のフェノール樹脂層とは異なる触媒を用いて生成されたフェノール樹脂を含む、樹脂フレーム。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料電池用樹脂フレームにおいて、
前記第1のフェノール樹脂層は、ガラス繊維を含む、樹脂フレーム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10090538B2 (en) | 2013-12-27 | 2018-10-02 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Manufacturing method and manufacturing apparatus of electrode frame assembly for fuel cell |
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2005
- 2005-11-21 JP JP2005336415A patent/JP2007141739A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10090538B2 (en) | 2013-12-27 | 2018-10-02 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Manufacturing method and manufacturing apparatus of electrode frame assembly for fuel cell |
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