JP2007141523A - リチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極板、負極板、セパレータからなる積層極板群を、有機電解液と共に電池ケースに挿入してなるリチウムイオン電池であって、前記電池ケースは、熱溶融性樹脂層が設けられたアルミニウムなどの金属板からなるケース本体と、アルミニウム箔を内蔵した熱溶融性樹脂層からなる積層板で成形された電槽とで構成され、前記ケース本体の前記樹脂層と、前記電槽の前記樹脂層とを熱融着して形成してなることを特徴とするリチウムイオン電池である。
【選択図】図1
Description
リチウムイオン電池のケース(外装缶材料)としては、スチール板材が主に採用されてきているが、近年、軽量化ニーズの要望が急速に強まり、スチール板材からアルミニウム板材への変更が進んでいる。電池ケース用のアルミニウム板材としては、成形性、溶接性(上部に蓋をし、溶接する為)が高いこと、更に、電池内部の圧力変化に耐えるための高い強靭性が求められている。
一方、電池の小型化によりケースの薄肉化の要求も強まり、アルミニウム板材に代わって、最近ではアルミニウム箔とプラスチック素材をラミネートした複合材を使用した電池ケースが提案されている(例えば特許文献1参照)。
この真空工程で、薄肉化したアルミニウム箔とプラスチック素材をラミネートした複合材からなる電池ケースは圧力変化に耐えられず、種種の要因により電槽の形状が平坦な四角の箱状とはならず、全体的にねじれ現象(以下このれじれ現象を「歪」という)を起こす。歪んだ電池ケースからなる電池は設置性、スタック性に劣り、実際の使用が困難となる。
図1はリチウムイオン電池1の一部断面斜視図であり、図2は図1のAで示す部分の拡大断面図である。
リチウムイオン電池1は、図2に示すように、正極板21、負極板22、セパレータ23からなる積層極板群2を、電解液(図省略)と共に電池ケース3に挿入してなる。
前記電池ケース3は、平板状のケース本体31と函型の電槽35とで形成されている。ケース本体31は図2に示すように、少なくともケース内側となる方の面に熱溶融性樹脂層32を設けたアルミニウム板33からなっている。電槽35は図2に示すように熱溶融性樹脂36の層間にアルミニウム箔37を内蔵した積層板からなり、前記ケース本体31の樹脂層32と前記電槽35の樹脂層とを熱融着して、図1に示すような直方体の電池ケース3に成形されている。
上記熱溶融性樹脂をアルミニウム板にコーティングすることで薄い皮膜とすることができる。
あるいは、アルミニウム箔37を内蔵の熱溶融性樹脂36からなる積層板で電槽35を形成、例えば函状に折り曲げて容器(函)とし、必要により折り曲げて接触する熱溶融性樹脂同士を熱融着して電槽35とすることもできる。
積層極板群2を構成する正極板21は、LiMn204等のスピネル構造化合物や、一般にLiMn02で表せるα−NaFe02構造を有するリチウム含有遷移金属複合酸化物等を利用できる。上記化学式で「M」はCo、Ni、Al、Mn、Ti、Fe等から選ばれる単独または2種類以上の金属元素である。更に、リチウムの挿入可能なMn02、V205等の金属酸化物や、TiS2、ZnS2等の金属酸化物、電気化学的酸化還元活性を有するポリアニリンやポリピロール等のπ共役系高分子、分子内に硫黄−硫黄結合の形成一開裂を利用するジスルフィド化合物等から構成される。
また、副溶媒としてはプロピレンカーボネイト、スルホラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、2−メチル−テトラヒドロフラン、各種グライム類等を用い、主溶媒と混合して用いる。例えば、エチレンカーボネイト、γブチロラクトンの混合溶媒が電池の内圧が上がり難く好適である。
なお図中6,7は極板耳(電極の引き出し端子)である。
次いで、電槽35の開口部分をケース本体31で覆い、電槽35を構成する熱溶融性樹脂36とケース本体31の熱溶融性樹脂層32との重なりあった部分を熱融着して電池ケース3を完成する。前記熱融着工程でアルミニウム板33にコーティングした熱溶融性樹脂層32と、アルミニウム箔37と熱溶融性樹脂36とをラミネートした積層板の樹脂36とが熱融着する。
なお、積層電極群2を被覆し、ケース本体31と電槽35とを熱融着する際に、端子6または7とアルミニウム板33とが短絡しないよう端子6,7にシールフィルム(図示せず)を施して被覆するとよい。
このようにして組み立てた電池に所定の電流で初充電、所定時間保管、その後放電し、次いで活性化処理した後、最後に仮封口した箇所を開口して電池内を真空引きして減圧し、減圧後開口部を封口して電池とする。
<実施例1>
(1) 正極活物質合剤の塗工用スラリーの調製
正極活物質としてLiCoO2粉末91重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン樹脂4重量部、導電剤としてグラファイト粉末5重量部に、分散剤としてN−メチルピロリドンを配合し、分散機にて攪拌混合して正極活物質合剤の塗工用スラリーを調製した。
上記正極活物質合剤の塗工用スラリーを、ダイコータを用いてアルミニウム箔からなる集電体上に連続的に片面塗工し、オーブンで乾燥して分散剤を除去し、集電体上に所定の正極活部質合剤塗膜を成形し、次いで他面にも同様に同じ厚さに正極活物質合剤を塗工・乾燥して正極活部質合剤塗膜を成形し、両面に正極活部質合剤塗膜を成形したアルミニウム箔をプレス機でプレスし、所定のサイズにサイジングし、端子接続部の活物質を除去し、正極タブに溶接して正極板を作成した。
人造黒鉛粉末90重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン樹脂10重量部、分散剤としてN−メチルピロリドンを配合し、分散機にて攪拌混合して正極活物質合剤の塗工用スラリーを調製した。
上記負極活物質合剤の塗工用スラリーを、ダイコータを用いて銅箔からなる集電体上に連続的に片面塗工し、乾燥して分散剤を除去し、集電体上に所定の負極活部質合剤塗膜を成形し、次いで他面にも同様に同じ厚さに正極活物質合剤を塗工・乾燥して負極活部質合剤塗膜を成形し、両面に負極活部質合剤塗膜を成形した銅箔をプレス機でプレスし、所定のサイズにサイジングし、端子接続部の活物質を除去し、負極タブに溶接して負極板を作成した。
上記で調製した正極板21を10枚、負極板22を11枚を交互にセパレータ23を介して積層した。セパレータとして三次元空孔構造を有するポリエチレン系微多孔フィルムを用い、介在させて積層し、70mm×100mm×5mmの積層極板群2(正・負極のタブを除く)を作成した。
重量混合比3:7のエチレンカーボネイトとγブチロラクトンに六フッ化燐酸リチウムを1.3mol/lになるよう溶解し、有機電解液とした。
○ケース本体31の作成
厚さ1mmのアルミニウム板33に厚さ40μmのポリプロピレンフィルムを変性ポリプロピレンを介してライニングし、ケース本体31とした。
○電槽35の作成
ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムを積層して2重の熱溶融性樹脂フィルムとし、該2重の熱溶融性フィルムを2枚、間に12μm厚さのアルミニウム箔373を介在させてラミネートした積層板を直方状に絞り加工して電槽35を作成した。
上記積層極板群2を電槽35内に収納し、正極板21に正極端子6を、負極板22に負極端子7をそれぞれ取り付けて、積層極板群2を収納した電槽35の開口部をケース本体31の熱溶融性樹脂層32上に重ね合わせ、電解液注入口を除く両者の周辺を熱溶着しドライセルとした。なお、前記端子6、7と電池ケースとが短絡するのを防止するために端子部にシールフィルムを介在させた。
作成した前記ドライセルの注入口から前記電解液をセル内に注入し、注入口を仮封口し、これに0.1CAの電流で所定の初充電、所定時間保管を行い、その後、0.2CAの電流でセル電圧2.75Vになるまで放電し、最後に活性化処理を施した、注入口を開口し、次いで、セル内を真空引きして減圧し、減圧終了後注入口を封口して電池を完成した。本実施例では電池を10個作成し下記の試験に供した。
ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムを積層して2重の熱溶融性樹脂フィルムとし、該2重の熱溶融性フィルムを2枚、間に12μm厚さのアルミニウム箔を介在させてラミネートした積層板を直方体状に折り曲げ加工し、折り曲げることにより重なった部分を熱融着して電槽35を作成した以外は実施例1と同様にして電池を組み立てた。電池は10個作成し、下記試験に供した。
電池ケース3、電槽35を共に、ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムを積層して2重の熱溶融性樹脂フィルムとし、該2重の熱溶融性フィルムを2枚、間に12μm厚さのアルミニウム箔を介在させてラミネートした積層板からなるシートフィルムで形成した他は、実施例と同様にして電池を組み立てた。電池は10個作成し、下記試験に供した。
(1) 設置性の評価
平らな石板上に、作成した電池を置き、電池の4つの角の内最も反りの大きい部分を石板に押し付け、残りの3つの角の内、最も石板からの乖離の大きい角の乖離距離を測定し、乖離距離が0.5mm以上を不合格とした。その結果を表1に示す。
被試験電池に温度センサーを取り付け、環境温度10℃、最大電流1CA、4.2V規制の定電圧定電流充電を2時間行い、次に、10分間の休止、次いで定電流0.5CAで2.75Vまで放電、次いで30分間の休止、からなる充放電サイクルを連続して10サイクル行い、10サイクル目の最高温度を測定した。なお、温度センサーが直接外気温度を測定しないように、センサー部分をパテでモールドして測定した。その結果を表2に示す。
上記温度測定で使用した電池を上記温度測定の条件で更に500サイクルまで充放電を継続し、容量維持率(500サイクル目の放電容量×100/1サイクル目の放電容量)を測定した。結果を表3に示す。
2:積層極板群
3:電池ケース
6:正極端子
7:負極端子
21:正極板
22:負極板
23:セパレータ
31:ケース本体
32:熱溶融性樹脂層
33:アルミニウム板
35:電槽
36:熱融着性樹脂
37:アルミニウム箔
Claims (2)
- 正極板、負極板、セパレータからなる積層極板群を、有機電解液と共に電池ケースに挿入してなるリチウムイオン電池であって、前記電池ケースは、熱溶融性樹脂層が設けられた金属板からなるケース本体と、アルミニウム箔を内蔵した熱溶融性樹脂からなる積層板で形成された電槽、とで構成され、前記ケース本体の前記樹脂層と、前記電槽の前記積層板とを熱融着して形成してなることを特徴とするリチウムイオン電池。
- 前記金属板がアルミニウム板からなることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池。
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