JP2007139357A - 一次伝面熱交換器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏流防止等による燃料効率の向上、作業効率の向上および温度サイクルに対する高い耐久性を兼ね備えた高温環境で使用される一次伝面熱交換器を提供する。
【解決手段】高温流体と低温流体を流通させる通路が一次伝熱面を用いて交互に積層配置され、前記高温流体または低温流体を流通させる通路は熱交換を行うメイン通路部と、入側から供給された流体を前記メイン通路部に分配し、または前記メイン通路部から集合した流体を出側に排出するディストリビューター部とが設けられており、当該ディストリビューター部は一次伝熱面の押し潰し加工によりメイン通路部と一体に構成され、かつ1または2以上のディンプルが形成されることを特徴とする一次伝面熱交換器である。さらに、この一次伝面熱交換器を効率的に製造できる方法である。
【選択図】図4
【解決手段】高温流体と低温流体を流通させる通路が一次伝熱面を用いて交互に積層配置され、前記高温流体または低温流体を流通させる通路は熱交換を行うメイン通路部と、入側から供給された流体を前記メイン通路部に分配し、または前記メイン通路部から集合した流体を出側に排出するディストリビューター部とが設けられており、当該ディストリビューター部は一次伝熱面の押し潰し加工によりメイン通路部と一体に構成され、かつ1または2以上のディンプルが形成されることを特徴とする一次伝面熱交換器である。さらに、この一次伝面熱交換器を効率的に製造できる方法である。
【選択図】図4
Description
本発明は、一次伝面方式を採用した熱交換器およびその製造方法に関し、より詳しくはガスタービン、高温型燃料電池およびこれらを組み合わせたハイブリッドシステムおよび産業機械等の高温環境で使用するのに好適な一次伝面熱交換器、およびその熱交換器の最適な製造方法に関するものである。
さらに、本発明は高温環境での使用に限定されるものではなく、中温および低温環境での使用にも適用できるものであり、しかも、本発明が採用するディストリビューター構造はプレートフィン型熱交換器にも適用できる。
近年、エネルギーの有効利用という点に大きな注目が集まっており、将来に向けたエネルギー需給システムを構築するための技術開発が着実に進められている。エネルギーの有効利用という観点から分散型エネルギーシステムは、大型発電システム代わるエネルギーシステムとして有望視されている。
分散型エネルギーシステムにはガスエンジン、太陽電池、風力タービンなどの多様な分散型エネルギー変換技術があるが、その中でも、ガスタービン等の熱機関や、化学プロセスを経て燃料から直接発電を行う高温型燃料電池の開発が盛んに行われている。高温型燃料電池としては、例えば、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)やMCFC(Molten Carbonate Fuel Cell)が挙げられる。また、ガスタービンと高温型燃料電池とを複合化したハイブリッドシステムは、分散電源としての利用を目的とし、その実現に向けて検討が行われている。
これらの分散型エネルギーシステムにおいては、排熱回収性能がガスタービンや高温型燃料電池の性能に大きく影響することになる。したがって、ガスタービンや高温型燃料電池の設計に際し、小さな温度差であっても有効な熱交換が可能な高性能の再生熱交換器の使用が必須となる。
また、ガスタービンや高温型燃料電池では、頻繁に始動・停止が反復されるので、温度サイクルに対する高い耐久性を備えた熱交換器の採用が要請されている。このような機能を充分に発揮できる再生熱交換器として、高温用プレートフィン型熱交換器が用いられている。
図1は、高温用プレートフィン型熱交換器の全体構成例を示す斜視図である。図1に示すように、高温用プレートフィン型熱交換器1は、一般的に高温流体通路2と低温流体通路3がチューブプレート5を挟み、交互に積層配置された熱交換用セル構造からなる。それぞれの通路では、コルゲートフィン4がチューブプレート5に接着接合やろう付等がなされている。
図2は、熱交換用セル内の低温流体通路の構成例を示す平面図である。低温流体通路3では、流体の入側および出側にディストリビューター部6が設けられ、供給された低温流体Lは、入側ディストリビューター部6aによって直交するメイン通路部7に分配され、その後、出側ディストリビューター部6bによって、メイン通路部7から集合されるようになっている。
図1および図2に示すように、低温流体通路3のメイン通路部7では2枚のチューブプレート5間にコルゲートフィン4を挟持し、ディストリビューター部6では三角形に切り出されたディストリビューターフィンを配置し、さらにスペーサーバー8a、8b、8cで閉塞することで構成されている。上記のチューブプレートおよびディストリビューターフィンは、接着接合やろう付等によりコルゲートフィンと接合され、構造的な強度を確保するとともに、熱交換面積を増加して、交換効率の向上を図っている。
通常、コルゲートフィン4やディストリビューターフィンは、波形に成形加工される。そして、ディストリビューターフィンの製造は、コルゲートフィン4を接合し矩形状のメイン通路用のフィンを成形加工した後、得られたメイン通路用のフィンを斜め切断して仕上げ加工することによって行われる。
ところが、冶具を用いてフィン部材を斜め切断すると、ディストリビューター部6およびメイン通路部7ともに変形が著しく、変形の修正、修復に多大な工数を要することになる。一方、切断による変形の修正等が充分でない場合には、ディストリビューター部6による低温流体の分配状況が不均一となり、熱交換器の効率を低下させる要因となる。
このため、コルゲートフィン4やディストリビューターフィンのように、別部材を接合してなる二次伝熱面の使用に替えて、例えば、ステンレス鋼のような薄い合金鋼板を、ひだ付けの性質を備えるように波形に形成するか、折り曲げによる波打ち加工により構成される一次伝熱面が採用されている。ところが、従来において一次伝熱面を採用した熱交換器、または一次伝熱面と二次伝熱面を組み合わせた熱交換器等が種々提案されているが、いずれも低温環境での適用に制限されている。
ガスタービン、高温型燃料電池およびこれらを組み合わせたハイブリッドシステムに用いられる高温用熱交換器の設計に際し、プレートフィン型熱交換器を採用する場合には、温度サイクルに対する高い耐久性に難点があることから、二次伝熱面の使用に替えて、一次伝熱面のみを用いた熱交換方式、すなわち、一次伝面方式(Primary Surface Recuperator)を採用した新たな熱交換器の開発が望まれている。
一次伝面方式を採用した熱交換器として、特許文献1には、高圧比ガスタービンエンジンで使用する一次表面熱交換器が開示されている。この熱交換器は、第一表面および第二表面を備え、さらに伝熱部分、一対の端部および一対の遷移部分を有する複数の一次表面シートからなる空気室を備える熱交換器であり、高温流体および低温流体による、圧力ヘッドの低下を最小限にすることが可能となる。しかし、特許文献1の熱交換器は、一次伝熱面のメイン通路部に関するものであり、ディストリビューター部を含む熱交換用セル構造全体に関するものではない。
ディストリビューター部が設けられた高温流体通路または低温流体通路では、ディストリビューター部による高温流体または低温流体の分配状況が、熱交換の性能に影響を及ぼすことになる。すなわち、熱交換効率を向上させるには、ディストリビューター部からメイン通路部への分流を均一にし、メイン通路部での偏流をなくす必要がある。
前述の通り、コルゲートフィンやディストリビューターフィンのように二次伝熱面を用いる場合には、ディストリビューター部およびメイン通路部の変形が著しく、ディストリビューター部による高温流体または低温流体の分配状況が不均一となり、熱交換器の効率を低下させる要因となる。
さらに、ディストリビューター部をメイン通路部と一体で構成するため、メイン通路部のフィンをプレス等で押し潰してディストリビューター部を形成し、フィン部材を接着接合やろう付等して配置することも行われているが、製造工程が増加し、製造コストの上昇を招くことになる。また、熱交換用セルを組み立てる際に、幾重にも積層配置することからスペーサーバーの位置決めも難しくなる。
また、メイン通路部に一次伝熱面を採用しディストリビューター部を一体で構成する場合に、所定形状に切り出したメイン通路部の押し潰し加工によりディストリビューター部を構成できる。
しかしながら、上述のメイン通路部の押し潰し加工によりディストリビューター部を構成する場合に、ディストリビューター部での流路の曲がりに起因して、高温流体または低温流体に偏流が生じ、ディストリビューター部による高温流体または低温流体の分配状況が不均一となり、排熱の回収率が低下し熱交換効率の低下を招くという問題が生じる。しかも、熱交換用セルを組み立てる際に、幾重にも積層配置することからスペーサーバーの位置決めも難しくなるという問題も残る。
本発明は、上述した状況に鑑みなされたものであり、高温用熱交換器の設計に際し、一次伝面方式を採用することにより、熱交換用セルの積層構造のコンパクト化を図るとともに、高温流体または低温流体の偏流防止により熱交換効率を向上させることが可能であり、温度サイクルに対する高い耐久性を備えた一次伝面熱交換器、および熱交換用セルの積層組立が容易となる一次伝面熱交換器の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、一次伝熱面を押し潰し加工したままの状態でディストリビューター部を形成した場合であっても、高温流体または低温流体の偏流を防止することができる構造について種々検討した結果、一次伝熱面に単数または複数のディンプルを形成するのが有効であることに着目した。
本発明は、上記の着目に基づいて完成したものであり、下記(1)〜(3)の一次伝面熱交換器、および下記(4)〜(6)の一次伝面熱交換器の製造方法を要旨としている。
(1)高温流体と低温流体を流通させる通路が一次伝熱面を用いて交互に積層配置され、前記高温流体または低温流体を流通させる通路は熱交換を行うメイン通路部と、入側から供給された高温流体または低温流体を前記メイン通路部に分配し、または前記メイン通路部から集合した高温流体または低温流体を出側に排出するディストリビューター部とが設けられており、当該ディストリビューター部は一次伝熱面の押し潰し加工によりメイン通路部と一体に構成され、かつ1または2以上のディンプルが形成されることを特徴とする一次伝面熱交換器である。
(2)上記(1)の一次伝面熱交換器では、前記メイン通路部およびディストリビューター部が台形形状または角形形状で一体に構成される場合に、前記ディストリビューター部の入側または出側からの距離に応じて、前記ディンプルの形成分布を変化させるのが望ましい。
(3)上記(1)の一次伝面熱交換器では、前記ディストリビューター部に形成されるディンプルの山部が隣接する通路の一次伝熱面とのコンタクトにより通路を構成することができる。さらに、400℃以上の高温環境で使用するのに好適である。
(4)薄鋼板を波打ち加工して得られる一次伝熱面を用いて高温流体と低温流体を流通させる通路を構成する一次伝面熱交換器の製造方法であって、前記高温流体または低温流体の流通通路に設けられるディストリビューター部を構成する際に、前記一次伝熱面を所定形状に切り出して、当該ディストリビューター部に押し潰し加工を施しメイン通路部と一体に構成し、かつ1または2以上のディンプルを形成することを特徴とする一次伝面熱交換器の製造方法である。
(5)上記(4)の製造方法では、薄鋼板を波打ち加工した後、前記一次伝熱面に焼鈍処理を施して所定形状に切り出すのが望ましい。
(6)上記(4)の製造方法では、押し潰し加工が施され一体で構成された前記ディストリビューター部およびメイン通路部を伝熱プレートとし、これに取り付けるスペーサーバーの配置を変更した上下一対の伝熱プレートを接合して熱交換用単位セルを構成し、さらにこの熱交換用単位セルを積層配置して熱交換用セル構造を製造することができる。
(1)高温流体と低温流体を流通させる通路が一次伝熱面を用いて交互に積層配置され、前記高温流体または低温流体を流通させる通路は熱交換を行うメイン通路部と、入側から供給された高温流体または低温流体を前記メイン通路部に分配し、または前記メイン通路部から集合した高温流体または低温流体を出側に排出するディストリビューター部とが設けられており、当該ディストリビューター部は一次伝熱面の押し潰し加工によりメイン通路部と一体に構成され、かつ1または2以上のディンプルが形成されることを特徴とする一次伝面熱交換器である。
(2)上記(1)の一次伝面熱交換器では、前記メイン通路部およびディストリビューター部が台形形状または角形形状で一体に構成される場合に、前記ディストリビューター部の入側または出側からの距離に応じて、前記ディンプルの形成分布を変化させるのが望ましい。
(3)上記(1)の一次伝面熱交換器では、前記ディストリビューター部に形成されるディンプルの山部が隣接する通路の一次伝熱面とのコンタクトにより通路を構成することができる。さらに、400℃以上の高温環境で使用するのに好適である。
(4)薄鋼板を波打ち加工して得られる一次伝熱面を用いて高温流体と低温流体を流通させる通路を構成する一次伝面熱交換器の製造方法であって、前記高温流体または低温流体の流通通路に設けられるディストリビューター部を構成する際に、前記一次伝熱面を所定形状に切り出して、当該ディストリビューター部に押し潰し加工を施しメイン通路部と一体に構成し、かつ1または2以上のディンプルを形成することを特徴とする一次伝面熱交換器の製造方法である。
(5)上記(4)の製造方法では、薄鋼板を波打ち加工した後、前記一次伝熱面に焼鈍処理を施して所定形状に切り出すのが望ましい。
(6)上記(4)の製造方法では、押し潰し加工が施され一体で構成された前記ディストリビューター部およびメイン通路部を伝熱プレートとし、これに取り付けるスペーサーバーの配置を変更した上下一対の伝熱プレートを接合して熱交換用単位セルを構成し、さらにこの熱交換用単位セルを積層配置して熱交換用セル構造を製造することができる。
本発明の一次伝面熱交換器によれば、ディストリビューター部でディストリビューターフィンおよびチューブプレートといった二次伝熱面を取り付ける必要がないので、作業効率の向上および製造コストの低減が図れるとともに、一次伝面方式を採用することで、温度サイクルに対する高い耐久性を備えた構造にすることができる。さらに、ディストリビューター部にディンプルを形成することにより、速度分布を均一とし高温流体または低温流体の偏流を防止することにより、熱交換効率の向上を図ることができる。
本発明の内容を、熱交換器のディストリビューター構造および熱交換器の製造方法に区分して説明する。
1.熱交換器のディストリビューター構造
本発明の熱交換器は、一次伝面方式を採用し、高温流体または低温流体を流通させる通路に設けられるディストリビューター部は一次伝熱面の押し潰し加工によりメイン通路部と一体に構成され、かつ1または2以上のディンプルが形成されることを特徴としている。以下、本発明の熱交換器のディストリビューター構成を、専らメイン通路部およびディストリビューター部が台形形状で一体に構成される場合(単に「台形型熱交換用セル構造」ということがある)について詳述する。
1.熱交換器のディストリビューター構造
本発明の熱交換器は、一次伝面方式を採用し、高温流体または低温流体を流通させる通路に設けられるディストリビューター部は一次伝熱面の押し潰し加工によりメイン通路部と一体に構成され、かつ1または2以上のディンプルが形成されることを特徴としている。以下、本発明の熱交換器のディストリビューター構成を、専らメイン通路部およびディストリビューター部が台形形状で一体に構成される場合(単に「台形型熱交換用セル構造」ということがある)について詳述する。
図3は、ディストリビューター部を押し潰し加工で構成した伝熱プレートを用いた場合の低温流体の流れを模式的に示した図である。同図に示すように、入側から供給された低温流体Lは、ディストリビューター部6aからメイン通路部7に分配され、次いでメイン通路部7を流通した低温流体Lは、ディストリビューター部6bに集合され出側から排出される。
このとき、図3に示すように、入側のディストリビューター部6aでは入側からの距離に応じて流路抵抗が増加するため、メイン通路部7における低温流体Lの流れがディストリビューター部6a、6bの入側および出側に集中することになる。このため、メイン通路部7では低温流体Lに偏流が生じることになり、熱交換効率が低下する。また、ディストリビューター部6を押し潰し加工ままの状態で構成すると、熱交換面積の増大が図れないことからも効率低下を来す。
図4は、本発明の熱交換器の台形型熱交換用セル構造で用いるメイン通路部およびディストリビューター部の構成例を示す斜視図である。前記図3と同様に、入側から供給された低温流体Lは、メイン通路部7に分配されて流通したのち、ディストリビューター部6に集合され出側から排出される。
図4に示す構成例では、ディストリビューター部6にディンプル9を適宜形成し、配置することで、流路抵抗を調整し速度分布の均一化を図り、メイン通路部7で発生する偏流を防止することができ、メイン通路部7全域で高効率の熱交換が可能になる。さらに、ディンプル9の形成にともない熱交換面積の増大を図ることができるので、熱交換効率の一層の向上を図ることができる。
本発明の熱交換器では、ディストリビューター部に1または2以上のディンプルを形成するものであり、図4に示す構成例では、二種類のディンプル9a、9bをそれぞれ複数個を形成している。すなわち、ディンプル9aは、ディストリビューター部6の入側または出側からの距離に応じて、ディンプルの形成分布(形成位置および形成密度等)を変化させることにより、メイン通路部7全域での速度分布の均一化を図り、偏流防止に有効である。
また、ディンプル9bは押し潰したフィンの剛性を増加するとともにスペーサーバーの位置決めを容易にするために形成されたディンプルである。具体的には、熱交換用セル構造の製造では幾重にも積層配置するため、各層の端部同士にズレが生じ易く、スペーサーバー(サイドバー)の位置決めも難しくなるが、スペーサーバーをディンプル9bに当接することで、正確かつ容易な位置決めが可能となり、作業効率の向上を図ることができる。
図5は、本発明の熱交換器に用いるディンプルを形成したディストリビューター部の断面を模式的に示した図であり、(a)はディンプルの断面形状に窪みを設けた形成例を示し、(b)はディンプルの断面形状に窪みを設けない形成例を示している。本発明の熱交換器のディストリビューター部6において、高温流体通路2および低温流体通路3が積層配置されており、端部はスペーサーバー8aによって密閉される。このとき、各通路に形成されるディンプル9の山部が隣接する通路の一次伝熱面とコンタクトさせることにより、流通通路を構成するのが望ましい。
図5に示す構成を採用することにより、ディストリビューター部6に形成するディンプル9の位置決めに精度が必要とならず、製造が容易となるばかりではなく、熱交換面積の増大により熱交換効率の向上を図ることができる。
ディンプルの形成はディストリビューター部の押し潰し加工と同時に行われるが、金型形状を工夫することで断面形状に窪みを設けたディンプルも、断面形状に窪みを設けず底面を平面としたディンプルも形成できる。例えば、図5(b)に示すディンプルを形成した場合には、隣接する通路には窪みが発生しないことから圧力損失を小さくすることが可能になる。
以上の説明では、本発明の熱交換器の構成を台形型熱交換用セル構造に基づいて説明したが、本発明の熱交換器が発揮する作用、効果はこれに限定されるものではなく、例えば、メイン通路部およびディストリビューター部が角形形状で一体に構成される場合(単に「角形型熱交換用セル構造」ということがある)についても、同様の作用、効果を発揮することができる。
図6は、本発明の熱交換器の角形型熱交換用セル構造で用いるメイン通路部およびディストリビューター部の構成例を示す斜視図である。台形型熱交換用セル構造に比べ、入側から供給された低温流体Lがメイン通路部7を流通したのち、再び集合されて排出される出側方向が異なるだけであり、その他の構成は前記図4に示す構成例と同様である。
すなわち、図6に示す構成例であっても、ディストリビューター部6にディンプル9を形成、配置することにより、メイン通路部7で発生する偏流を防止することができ、メイン通路部全域で均一な熱交換が可能になる。さらに、ディンプルの形成にともない熱交換面積の増大を図ることができるので、熱交換効率を一層向上させることができる。
本発明の熱交換器では、熱交換用セル構造を構成する材料を特に限定しないが、高温環境で使用する場合には、例えば、400〜600℃ではステンレス鋼(SUS321、SUS347等)、600℃以上ではNi基耐熱合金(インコネル625、ハステロイX等)を適宜採用できる。
本発明は上述したディストリビューター構造を採用することにより、高温環境で使用するのに好適な一次伝面熱交換器を構成することができるが、高温環境での使用に限定されるのではなく、中温および低温環境での使用に適用できるものである。さらに、本発明が採用するディストリビューター構造は、一次伝面方式に制限されるのではなく、プレートフィン型熱交換器にも適用できる。
2.熱交換器の製造方法
本発明の製造方法は、薄鋼板を波打ち加工して得られる一次伝熱面を用いて高温流体と低温流体を流通させる通路を構成する一次伝面熱交換器の製造方法であって、高温流体または低温流体の流通通路に設けられるディストリビューター部を構成する際に、前記一次伝熱面を所定形状に切り出して、押し潰し加工によりメイン通路部と一体とし、かつ1または2以上のディンプルを形成することを特徴としている。
2.熱交換器の製造方法
本発明の製造方法は、薄鋼板を波打ち加工して得られる一次伝熱面を用いて高温流体と低温流体を流通させる通路を構成する一次伝面熱交換器の製造方法であって、高温流体または低温流体の流通通路に設けられるディストリビューター部を構成する際に、前記一次伝熱面を所定形状に切り出して、押し潰し加工によりメイン通路部と一体とし、かつ1または2以上のディンプルを形成することを特徴としている。
本発明で適用する一次伝熱面は薄鋼板を波打ち加工して得られるものであり、その加工方法を限定するものではなく、慣用されるものであればよい。また、出発材料となる薄鋼板は、前述の通り、熱交換器の使用環境に応じて設計され、ステンレス鋼またはNi基耐熱合金を採用することができるが、加工性および高温強度の両面を考慮した場合にはステンレス鋼(SUS321、SUS347等)が望ましい。薄鋼板の厚さは加工性や熱交換効率から薄い方が望ましいが、高温環境での運用時の酸化を考慮して、ステンレス鋼を採用する場合には板厚を0.06〜0.07mm以上にするのが望ましい。
波打ち加工された一次伝熱面は、メイン通路部およびディストリビューター部を一体で構成するため、所定形状に切り出される。切り出される形状は、前記図4に示す台形型熱交換用セル構造を製造する場合には台形形状とし、前記図6に示す角形型熱交換用セル構造を製造する場合には台形形状とする。
本発明の製造方法では、一次伝熱面を所定形状に切り出す前に、焼鈍処理を施すのが望ましい。薄鋼板の波打ち加工にともない歪みが残留しており、その後の加工において顕著な変形が発生したり、加工割れが発生することを防止するためである。
所定形状に切り出された一次伝熱面は、前記図4および前記図6に示すように、ディストリビューター部6に相当する部位をプレス等で押し潰し加工でフィンを潰すと同時に、ディストリビューター部6にディンプル9を形成する。このような操作により、ディンプルが形成されたディストリビューター部が、メイン通路部と一体で一工程によって加工することができる。
本発明の製造方法では、前記図4および前記図6に示すメイン通路部およびディストリビューター部が一体で構成された部材を伝熱プレートとし、取り付けるスペーサーバーの配置を変更することにより、二種類の伝熱プレートを準備する。さらに、これらの二種類の伝熱プレートを溶接で接合することにより熱交換用単位セルを構成し、さらに熱交換用単位セルを積層配置し、本発明の熱交換器に用いられる熱交換用セル構造を製造することができる。
図7は、本発明の製造方法により二種類の伝熱プレートを接合して熱交換用単位セルを構成する要領を説明する図であり、(a)は二種類の伝熱プレートを示す斜視図、(b)は構成された熱交換用単位セルを示す斜視図である。図7(a)に示す伝熱プレート10は、スペーサーバー8bの取り付け位置を変更することにより、二種類の伝熱プレート、すなわち上伝熱プレート10aおよび下伝熱プレート10bからなる。伝熱プレート10にスペーサーバー8を取り付ける場合には、治具またはスポット溶接で仮止めするのが望ましい。
次に、図7(b)に示すように、上伝熱プレート10aおよび下伝熱プレート10bに取り付けられたスペーサーバー8b、8c同士を溶接し、熱交換用単位セル11を構成する。このときの溶接はTIG溶接、プラズマ溶接またはレーザ溶接を用いて接合する。例えば、レーザ溶接を用いる場合には、溶接条件は出力340〜780W、溶接速度100〜250mm/minとすることができる。
さらに、得られて熱交換用単位セルを積層配置し、本発明の熱交換器に用いられる熱交換用セル構造を製造することができる。なお、図7中では、白抜き矢印で低温流体Lの流れを示し、黒塗り矢印で高温流体Hの流れを示している。
このようにして、製造された熱交換用セル構造は、製造効率に優れるとともに、構造が簡易でコンパクト化が可能であり、温度サイクルに対する高い耐久性が良好である。さらに、前述の通り、ディンプル形状による圧力損失の均一化効果により、高温流体または低温流体の偏流を防止することができ、熱交換効率の向上を図ることができる。
本発明の熱交換器の効果を確認するため、ディストリビューター部におけるディンプルの形成分布を変化させた本発明例1、2および比較例(基本モデル)からなる一次伝面熱交換器を作製した。使用した薄鋼板は材質をSUS347として、波打ち加工によってフィン高さがいずれも2.0mmとなる一次伝熱面を作製した。比較例(基本モデル)はストレートフィンとしたが、本発明例1、2はヘリンボンフィンを用いた。それぞれの比較を表1に示す。
図8は、実施例で作製した本発明例の伝熱プレートの構成を示す図であり、(a)は本発明例1の構成を示し、(b)は本発明例2の構成を示している。得られた一次伝熱面から熱交換器部の寸法が135mm×135mmになるように、ディストリビューター部に相当する部位にプレスで押し潰し加工を加えてフィンを潰した。このとき、本発明例1、2では、押し潰し加工と同時にディストリビューター部に図8(a)、(b)に示す構成でディンプル9a、9bを形成した。一方、比較例(基本モデル)として、ディストリビューター部にディンプル9bのみを形成した。
準備された本発明例1、2および比較例(基本モデル)の伝熱プレートにスポット溶接でスペーサーバーを取り付けたのち、上下一対の伝熱プレートをYAGレーザ溶接で接合して熱交換用単位セルを構成し、さらに積層配置して熱交換用セル構造を作製した。
得られた熱交換用セルを用いて、熱交換器部のディストリビューター部での入側からの全長(図8における上下方向距離)に亘る、熱交換器部を流通する流体の流速分布を測定した。このときの流入条件は一定流量Viとし、流出条件は一定圧力Poとし、いずれの場合も同じ条件とした。
図9は、本発明例1、2および比較例(基本モデル)における熱交換器部を流通する流体の流速分布を示す図である。比較例(基本モデル)では、熱交換器部のディストリビューター部入側からの距離にともない、急激に流速が低減するのに対し、本発明例1、2では、ディストリビューター部入側からの距離に応じて低減する傾向が観察されるが、その傾向は可成り抑制されている。
したがって、図9の結果から、本発明の熱交換器では一次伝面方式の採用に合わせ、ディストリビューター部にディンプルを形成することにより、熱交換器部を流通する流体の偏流発生を抑制することができ、熱交換効率の向上が可能になることが分かる。
本発明の一次伝面熱交換器によれば、ディストリビューター部でディストリビューターフィンおよびチューブプレートといった二次伝熱面を取り付ける必要がないので、作業効率の向上および製造コストの低減が図れるとともに、一次伝面方式を採用することで、温度サイクルに対する高い耐久性を備えた構造にすることができる。さらに、ディストリビューター部にディンプルを形成することにより、速度分布を均一とし高温流体または低温流体の偏流を防止することにより、熱交換効率の向上を図ることができる。
これにより、ガスタービン、高温型燃料電池およびこれらを組み合わせたハイブリッドシステム等の高温環境で使用される高温用熱交換器として最適となり、広く適用することができる。
1.熱交換用セル 2.高温流体通路
3.低温流体通路 4.コルゲートフィン
5.チューブプレート 6、6a、6b.ディストリビューター部
7.メイン通路部 8a、8b、8c、8d.スペーサーバー
9、9a、9b.ディンプル
10、10a、10b.伝熱プレート
11.熱交換用単位セル
L.低温流体 H.高温流体
3.低温流体通路 4.コルゲートフィン
5.チューブプレート 6、6a、6b.ディストリビューター部
7.メイン通路部 8a、8b、8c、8d.スペーサーバー
9、9a、9b.ディンプル
10、10a、10b.伝熱プレート
11.熱交換用単位セル
L.低温流体 H.高温流体
Claims (7)
- 高温流体と低温流体を流通させる通路が一次伝熱面を用いて交互に積層配置され、前記高温流体または低温流体を流通させる通路は熱交換を行うメイン通路部と、入側から供給された高温流体または低温流体を前記メイン通路部に分配し、または前記メイン通路部から集合した高温流体または低温流体を出側に排出するディストリビューター部とが設けられており、
当該ディストリビューター部は一次伝熱面の押し潰し加工によりメイン通路部と一体に構成され、かつ1または2以上のディンプルが形成されることを特徴とする一次伝面熱交換器。 - 前記メイン通路部およびディストリビューター部が台形形状または角形形状で一体に構成される場合に、前記ディストリビューター部の入側または出側からの距離に応じて、前記ディンプルの形成分布を変化させることを特徴とする請求項1に記載の一次伝面熱交換器。
- 前記ディストリビューター部に形成されるディンプルの山部が隣接する通路の一次伝熱面とのコンタクトにより通路を構成することを特徴とする請求項1または2に記載の一次伝面熱交換器。
- 400℃以上の高温環境で使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の一次伝面熱交換器。
- 薄鋼板を波打ち加工して得られる一次伝熱面を用いて高温流体と低温流体を流通させる通路を構成する一次伝面熱交換器の製造方法であって、
前記高温流体または低温流体の流通通路に設けられるディストリビューター部を構成する際に、前記一次伝熱面を所定形状に切り出して、当該ディストリビューター部に押し潰し加工を施しメイン通路部と一体に構成し、かつ1または2以上のディンプルを形成することを特徴とする一次伝面熱交換器の製造方法。 - 薄鋼板を波打ち加工した後、前記一次伝熱面に焼鈍処理を施して所定形状に切り出すことを特徴とする請求項5に記載の一次伝面熱交換器の製造方法。
- 押し潰し加工が施され一体で構成された前記ディストリビューター部およびメイン通路部を伝熱プレートとし、これに取り付けるスペーサーバーの配置を変更した上下一対の伝熱プレートを接合して熱交換用単位セルを構成し、さらにこの熱交換用単位セルを積層配置して熱交換用セル構造を製造することを特徴とする請求項5または6に記載の一次伝面熱交換器の製造方法。
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- 2005-11-21 JP JP2005335580A patent/JP2007139357A/ja not_active Withdrawn
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