JP2007139323A - 燃料噴霧チップ、燃料燃焼装置および燃料燃焼方法 - Google Patents

燃料噴霧チップ、燃料燃焼装置および燃料燃焼方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現できる燃料噴霧チップ、省コストかつ短い工事期間で、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現できる燃料燃焼装置、および、燃料燃焼方法を提供すること。
【解決手段】バーナに設けられるバーナチップ6Bは、チップ本体61と、チップ本体61に形成されたテーパ状の混合室64と、この混合室64に一端部がそれぞれ開口され、燃料流路と他端部がそれぞれ連通した少なくとも2つの噴射孔623とを備え、少なくとも2つの噴射孔623は、その軸芯に沿って形成される噴射軸が混合室64内部において互いに交差している。これにより、各噴射孔623を介して噴射された液化・気化DMEは、噴射軸の交差点Aで互いに衝突する。
【選択図】図4

Description

本発明は、燃料噴霧チップ、燃料燃焼装置および燃料燃焼方法に関する。詳しくは、液体燃料を噴射することで霧化し燃焼させる燃料噴霧チップ、燃料燃焼装置および燃料燃焼方法に関する。
従来、工場などでは、生産工程で使われる蒸気や暖房・給湯用の蒸気を作り出す熱源機器として、ボイラおよび加熱炉が稼動されている。ボイラおよび加熱炉は、液体燃料を噴射して燃焼させるバーナを備えており(例えば、特許文献1参照)、このバーナによる燃焼で発生される熱を利用して水を蒸発させ、蒸気を作り出すのである。
特許文献1に記載のバーナは、重油などの液体燃料を噴射するチップと、このチップの外周に開口し燃料空気を噴出する噴出口が形成されたテーパリングとを備えている。そして、特許文献1に記載のバーナは、燃焼空気とともに液体燃料をチップの噴出口から放射状に噴射する。すると、噴射された霧状の液体燃料は、周囲の空気を巻き込んで渦流を形成する。この渦流により、バーナの噴射孔付近に火炎が形成され、この火炎が種火の役目をして液体燃料の燃焼が引き起こされるのである。
ボイラおよび加熱炉での燃焼に用いられる燃料は、重油が主であったが、最近では、排気ガスのクリーン化の観点からガス体燃料に転換しつつある。ガス体燃料として、例えば、ジメチルエーテル(DME:Di-Methyl Ether)が挙げられる。DMEは、液化しやすいなどのハンドリング性も備えているため、今後、ボイラおよび加熱炉の主要燃料となることが予想される。このため、ボイラおよび加熱炉に対して、液化ガス燃料が利用可能なバーナを設備することが望まれている。
特開2001−263609号公報(段落番号0020〜0021、図1〜2参照)
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の重油用のバーナをガス体燃料利用可能な構造に改造するには、大規模な改造が必要となり、多大なコストを要する。
さらに、ガス体燃料を加圧して、特許文献1に記載の従来の重油用バーナに利用することも考えられる。しかし、特許文献1に記載のバーナでは、液化ガス燃料の圧力が高いことから、液化ガス燃料の噴射速度は、重油の噴射速度よりも大きくなる。このため、特許文献1に記載のバーナでは、液化ガス燃料が十分に空気へ巻き込まれず、バーナの噴射孔付近で形成される火炎が不安定で、安定的な燃焼が望めないという課題がある。
本発明の目的は、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現できる燃料噴霧チップ、省コストで、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現できる燃料燃焼装置、および、燃料燃焼方法を提供することである。
前記した目的を達するために、本発明の燃料噴霧チップは、液化ガス燃料を燃焼させるとともに燃料供給路が形成された燃料燃焼装置に設けられる燃料噴霧チップであって、チップ本体と、前記チップ本体に形成され前記燃料供給路から供給される液化ガス燃料を噴霧させる噴霧衝突手段とを備え、前記噴霧衝突手段は、少なくとも2箇所で噴霧させた液化ガス燃料同士を衝突させることを特徴とする。
液化ガス燃料として、例えば、液化ジメチルエーテル(DME:Di-Methyl Ether)が挙げられる。DMEのようなガス体燃料は、常温・常圧では気体として安定しているが、本発明では、ガス体燃料を加圧して液化させた液化ガス燃料を、燃焼用の燃料として用いる。
本発明によれば、燃料噴霧チップの噴霧衝突手段は、液化ガス燃料をチップ本体の少なくとも2箇所から噴射させる。このとき、液化ガス燃料は、減圧沸騰により噴霧状態で噴射される。さらに、噴霧衝突手段は、噴射させた液化ガス燃料同士を衝突させる。すると、霧化した液化ガス燃料の粒子は、衝突により互いの運動量を打ち消しあうので、衝突後の液化ガス燃料の速度は減速される。このため、衝突後の液化ガス燃料は、周囲の空気に巻き込まれやすくなり、液化ガス燃料と空気が十分に混合された空気渦を形成する。
また、液化ガス燃料同士を衝突させることにより、液化ガス燃料の粒子は散乱され、周囲の空気を巻き込みやすくなる。
このように、液化ガス燃料と空気が十分に混合された空気渦は、安定した火炎を形成しやすいため、この火炎を種火とする液化ガス燃料の燃焼が安定する。従って、本発明の燃料噴霧チップは、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現できる。
また、本発明の燃料噴霧チップは、ボイラおよび加熱炉等に配備された従来構造の燃料燃焼装置に装脱着可能に取り付けられて使用されるものである。すなわち、本発明の燃料噴霧チップを、重油を燃料とする燃料燃焼装置に取り付ければ、この燃料燃焼装置を用いて液化ガス燃料を安定的に燃焼させることができる。従って、本発明の燃料噴霧チップは、従来の重油用の燃料燃焼装置を、低コストかつ短い工事期間で、液化ガス燃料を安定的に燃焼させることのできる燃料燃焼装置に改造することができる。
本発明では、前記噴霧衝突手段は、前記チップ本体に形成された凹部と、この凹部に一端部がそれぞれ開口され前記燃料供給路と他端部がそれぞれ連通した少なくとも2つの噴射孔とを備え、前記少なくとも2つの噴射孔は、その軸芯に沿って形成される噴射軸が前記凹部側において互いに交差することが好ましい。
本発明によれば、噴霧衝突手段は、燃料供給路と連通した少なくとも2つの噴射孔を備え、この噴射孔の噴射軸は、凹部内において交差する。このため、各噴射孔を介して凹部内に噴射された液化ガス燃料は、各噴射軸に沿って飛び、噴射軸の交差点において互いに衝突することになる。従って、噴霧衝突手段は、比較的簡単な構成で、液化ガス燃料の噴射・衝突を実現することができる。
本発明では、前記各噴射孔の前記各噴射軸は、60度以上120度以下の角度で互いに交差することを特徴とすることが好ましい。
本発明によれば、各噴射孔を介して噴射された液化ガス燃料は、60度以上120度以下の角度で互いに衝突することになる。この角度で互いに衝突した液化ガス燃料は、衝突後、各噴射孔を結ぶ線に沿う方向の速度が打ち消され、さらに、各噴射孔を結ぶ線と直交する方向へ向かって減速されて射出される。
ここで、各噴射孔の噴射軸の交差角度が60度より小さい場合、液化ガス燃料同士も60度より小さい角度で衝突することになる。すると、衝突時において、各噴射孔を結ぶ線と直交する方向の液化ガス燃料の速度が大きすぎるため、この方向の減速効果が得られない。
一方、各噴射孔の噴射軸の交差角度が120度より大きい場合、液化ガス燃料同士も120度より大きい角度で衝突することになる。すると、衝突後に、各噴射孔を結ぶ線に直交する方向の液化ガス燃料の速度が不十分で、液化ガス燃料が凹部の内壁に衝突して霧化不良(液だれ)が発生しやすくなる。
これに対し、本発明のように、60度以上120度以下の衝突角で液化ガス燃料同士を衝突させると、液化ガス燃料の速度を十分に減速させることができる。
従って、本発明の燃料噴霧チップは、より一層安定した火炎を形成することができ、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現できる。
本発明では、前記凹部は前記噴射孔の前記噴射軸の交差点を包囲する混合室を構成し、この混合室は、前記交差点に軸芯が一致するテーパ状に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、混合室は、各噴射軸の交差点を軸芯とするテーパ状を有することから、混合室内部の気圧は、テーパ状の奥部から外部との開放部に向かって序々に低下し、開放部において炉内圧となる。従って、テーパ状の奥部で噴射された液化ガス燃料は、開放部に向かうにつれて緩やかに減圧されるので、液化ガス燃料の減圧沸騰による気化・膨張を緩やかに実行させることができる。従って、本発明の燃料噴霧チップは、噴射された液化ガス燃料が混合室の奥部で急激に気化・膨張することがないので、より一層安定した火炎を形成することができ、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現できる。
本発明では、前記テーパ状の混合室の前記軸芯に対する開き角は、15度以上30度以下であることが好ましい。
ここで、前記開き角が15度より小さい場合、液化ガス燃料が混合室の内側面に干渉して霧化不良が発生しやすくなる。一方、前記開き角が30度より大きい場合、混合室内部の気圧は、テーパ状の奥部から炉内圧に近くなってしまう。
これに対し、本発明のように、前記開き角を15度以上30度以下に設定すると、衝突により散乱した液化ガス燃料が混合室内面に干渉しにくくなる。さらに、混合室内部の気圧をテーパ状の奥部から外部との開放部へ向けて序々に低下させることができる。従って、本発明の燃料噴霧チップは、より一層安定した火炎を形成することができ、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現できる。
本発明では、前記噴射孔の個数をNとし、前記噴射孔の孔径をDとし、前記混合室の前記軸芯に沿う長さをLとすると、L/(D ×N)≧130の関係式が成立することが好ましい。
本発明によれば、燃料噴霧チップは、噴射孔の個数N、噴射孔の孔径D、および、混合室の軸芯に沿う長さをLが、常に上式を成立させる寸法を有している。このように、噴射孔の個数Nおよび噴射孔の孔径Dで表される液化ガス燃料の噴射規模に対し、混合室長さLを相対的に適切な寸法に設定することにより、混合室が、液化ガス燃料の気化・膨張が緩やかに行われるための内部の気圧変化特性を達成することができる。従って、本発明の燃料噴霧チップは、より一層安定した火炎を形成することができ、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現できる。
本発明の燃料燃焼装置は、前述したいずれかの燃料噴霧チップを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、燃料燃焼装置は、上述したように、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現することができ、さらに、液化ガス燃料を燃焼燃料とすることで、排気ガスに含まれるすすや硫黄酸化物等の大気汚染物質を低減し、クリーンな燃焼を行うことができる。
本発明の燃料燃焼方法は、燃料供給路が形成された燃料燃焼装置に設けられる燃料噴霧チップから液化ガス燃料を燃焼させる燃料燃焼方法であって、前記燃料供給路から供給される液化ガス燃料を噴霧させる噴霧衝突工程を備え、前記噴霧衝突工程では、この少なくとも2箇所で噴霧させた液化ガス燃料同士を衝突させることを特徴とする。
本発明の燃料燃焼方法によれば、上述したように、液化ガス燃料の優れた燃焼安定性を実現することができ、さらに、液化ガス燃料を燃焼燃料とすることで、排気ガスに含まれるすすや硫黄酸化物等の大気汚染物質を低減し、クリーンな燃焼を行うことができる。
本発明の実施形態を、図1〜図4を用いて説明する。
〔ボイラ500の概略構成〕
図1は、本実施形態のボイラ500の概略構成を説明するための模式図である。
ボイラ500は、液体燃料を燃焼させ、この燃焼による熱で水を蒸発させて蒸気を発生させるための設備である。本実施形態のボイラ500は、燃料としてジメチルエーテル(DME:Di-Methyl Ether)を液化させた液化DMEを用いている。
ボイラ500は、図1に示すように、ボイラ本体100と、燃料燃焼設備200と、給水ポンプ300とを備えている。
ボイラ本体100は、内部に炉を有しており、この炉内で燃料の燃焼および水の伝熱が行われる。ボイラ本体100は、内部で発生した蒸気を外部へ送り出すための蒸気送出パイプ110と、燃焼により生じた排気ガスを外部へ排出するための排気ガス排出パイプ120とを備えている。
給水ポンプ300は、ボイラ本体100へ水を供給させる。給水ポンプ300は、給水タンク(図示略)からボイラ本体100へ介されたパイプに設けられており、給水タンクから供給される水をボイラ本体100へ圧入する。
燃料燃焼設備200は、ボイラ本体100内で液体燃料を燃焼させるための装置である。燃料燃焼設備200は、図1に示すように、燃料貯蔵タンク210と、噴霧媒体貯蔵タンク220と、パイプ230と、燃料燃焼装置としてのバーナ1とを備える。
燃料貯蔵タンク210は、タンク内を加圧させる設備を備えており、この設備によって加圧させ液化させた液化DMEを貯蔵している。
噴霧媒体貯蔵タンク220は、噴霧媒体を貯蔵している。従来、バーナ1で重油燃焼を行う際には、噴霧媒体として圧縮空気を用いている。しかしながら、本実施形態では、液化DMEの燃焼に噴霧媒体を用いない。このため、本実施形態では、噴霧媒体貯蔵タンク220からバーナ1へ噴霧媒体は供給されない。
パイプ230は、燃料貯蔵タンク210からバーナ1へ配設されたパイプ230Aと、噴霧媒体貯蔵タンク220からバーナ1へ配設されたパイプ230Bとを備えている。
バーナ1は、パイプ230Aを介して燃料貯蔵タンク210から運搬された液化DMEを噴射して燃焼させる装置である。バーナ1は、図1に示すように棒状を有しており、ボイラ本体100の炉側端部から液化DMEを噴射する。このボイラ本体100の炉側端部では、バーナ1の一端が、ボイラ本体100の炉壁に形成された開口を介してボイラ本体100の炉内に引き込まれている。すなわち、バーナ1による液化DMEの燃焼は、ボイラ本体100の炉内で行われる。
ボイラ本体100では、給水ポンプ300により圧入された水が、バーナ1による燃料の燃焼で発生される熱によって蒸発する。そして、水の蒸発により発生した蒸気は、蒸気送出パイプ110を介してタービン等の他設備へ送られる。さらに、燃料の燃焼により発生した排気ガスは、排気ガス排出パイプ120を介して外部、または、ガス浄化フィルタ等の他設備へ送られる。
〔バーナ1の構成〕
図2は、バーナ1の構成を示す断面図である。
バーナ1は、ボイラ本体100の炉壁101と直交する姿勢で配置されている。そして、バーナ1の一端部は、前述したように、ボイラ本体100の炉壁101に形成された開口102を介して、ボイラ本体100の炉内へ引き込まれている。バーナ1は、バーナガン11と、燃焼エアレジスタ251と、スロートリング252とを備えている。
このうち、燃焼エアレジスタ251は、燃焼空気量を調整する装置であり、一次燃焼エアレジスタ2511と、二次燃焼エアレジスタ2512とで構成される。
スロートリング252は、燃焼空気をバーナガン11の先端に供給する筒体であり、バーナタイル254の中心を貫通して炉内に開口している。スロートリング252は、一次燃焼エアスロートリング2521と、二次燃焼エアスロートリング2522とで構成され、点火用パイロットバーナ253Aおよび火炎検知器253Bを装備している。
〔バーナガン11の構成〕
図3は、バーナガン11の構成を説明するための断面図である。なお、図3において、液体・気体が流通する方向、すなわち、図3の左方から右方へ向かう向きを流れ方向とし、図3の左方を流れ前段側、右方を流れ後段側とする。
バーナガン11は、ボディ部2と、ハンドル部3と、ネック部4と、ノズル部5と、バックプレート6Aと、バーナチップ6Bと、キャップ7とを備えている。
ボディ部2には、パイプ230Aを介して運搬された液化DMEが送入される。ボディ部2は、ボディ管21と、第1送入室22と、第2送入室23と、仕切部24とを備えている。
ボディ管21は、流れ方向両端に開口211,212を有する管部材である。
第1送入室22および第2送入室23は、ボディ管21の管内が、流れ方向中央において、仕切部24によって流れ方向に直交する面で分割されることで形成される。
ボディ管21内の流れ後段側に形成される第1送入室22は、ボディ管21側面を貫通する送入孔221を備えている。送入孔221には、パイプ230Bの端部に取り付けられた管路結合具230Cが嵌合される。これにより、パイプ230Bの流路と、第1送入室22とが連通される。
なお、従来通り、バーナ1を用いて重油燃焼を行う際には、第1送入室22には、噴霧媒体貯蔵タンク220からパイプ230Bを介して運搬された圧縮空気が送入される。
一方、ボディ管21内の流れ前段側に形成される第2送入室23は、ボディ管21側面を貫通する送入孔231を備えている。送入孔231には、パイプ230Aの端部に取り付けられた管路結合具230Cが嵌合される。これにより、パイプ230Aの流路と、第2送入室23とが連通される。すなわち、第2送入室23には、燃料貯蔵タンク210からパイプ230Aを介して運搬された液化DMEが送入される。
仕切部24は、前述したように、流れ方向に直交する面に沿って、ボディ管21内を2つの空間(第1送入室22および第2送入室23)に分割する。仕切部24は、スリーブ241と、パッキン242と、パッキン押え243とを備えている。
スリーブ241は、ダクト244を有する略円筒形状部材であり、ダクト244の走行方向が流れ方向と平行になる姿勢で配置されている。スリーブ241の流れ前段側部は、略円筒形状の外径がボディ管21の内径よりも小さくなる細管状になっており、流れ後段側端部は、略円筒形状の外径がボディ管21の内径まで拡張するフランジ状になっている。
ダクト244の流れ後段側開口には、後述するインナーパイプ42の端部が嵌合される。
パッキン242は、スリーブ241の細管状の流れ前段側部に嵌合する環状部材である。パッキン242は、スリーブ241の流れ前段側部の外側面およびボディ管21内側面の間の隙間を密封する。
パッキン押え243は、スリーブ241の細管状の流れ前段側部に嵌合する環状部材である。パッキン押え243は、スリーブ241のフランジ状の流れ後段側端部を、パッキン242を介して流れ後段側へ向かって付勢している。
このように、スリーブ241の流れ後段側端部、および、パッキン押え243の付勢により、仕切部24は、ボディ管21内で固定される。
ハンドル部3は、バーナガン11の配置や流れ方向を変更する際に操作される。ハンドル部3は、プラグ31と、ハンドルピン32と、ハンドル33とを備えている。
プラグ31は、ボディ管21の流れ前段側の開口212に螺合され、第2送入室23の流れ前段側を密閉している。
ハンドルピン32は、プラグ31から流れ後段側へ向かって伸びる軸部材である。そして、このハンドルピン32の周囲には、ハンドルピン32を螺旋軸として螺旋状に伸びるハンドル33が取り付けられている。
ネック部4は、流れ方向に伸びる棒状を有し、ボディ部2に送入された液化DMEを、後述するノズル部5およびバックプレート6Aを介して、バーナチップ6Bまで流通させる。
ネック部4は、流れ方向に沿って伸びるアウターパイプ41およびインナーパイプ42を備える。
アウターパイプ41の流れ前段側端部は、ボディ管21の開口211に環状部材を介して嵌合されている。すなわち、アウターパイプ41の管路は、第1送入室22と連通している。一方、アウターパイプ41の流れ後段側端部は、ノズル部5に接続されている。
インナーパイプ42は、アウターパイプ41の管路内に円筒軸に沿って挿通されている。インナーパイプ42の流れ前段側端部は、第1送入室22内部へと伸びて、スリーブ241のダクト244の流れ後段側開口に嵌合されている。すなわち、インナーパイプ42の管路は、ダクト244を介して第2送入室23と連通しており、第2送入室23内の液化DMEが流入する燃料流路44となる。このように、液化DMEの流路をネック部4の内側の流路44とすることにより、外部からの入熱による液化DMEの蒸発を防止することができる。一方、インナーパイプ42の流れ後段側端部は、アウターパイプ41の流れ後段側端部付近まで伸びている。
アウターパイプ41の管内にインナーパイプ42が挿通されていることから、アウターパイプ41内面面およびインナーパイプ42外面面の間には、流れ方向に直交する断面が環状を有する流路43が形成される。前述したように、アウターパイプ41の管路が第1送入室22と連通していることから、この流路43は、第1送入室22内の流体が流入する流路となる。なお、バーナ1を用いて重油燃焼を行う際には、当該流路43は、圧縮空気や蒸気等が流通される噴霧媒体流路となる。
しかし、本実施形態では、前述したように噴霧媒体を用いないため、流路43に流体の流れはない。本実施形態では、流路43は、外部からの熱を遮断する断熱層となり、燃料流路44を流通する液化DMEの気化を防止している。
ノズル部5は、ネック部4内の燃料流路44を流通する液化DMEを、噴射に適した流量および圧力に調節し、バックプレート6Aへ送り出す。
ノズル部5は、流れ方向に沿って伸びるアウターパイプ51およびインナーパイプ52とを備えている。
アウターパイプ51は、流れ前段側縁部に形成される嵌合縁部511と、胴部512と、流れ後段側端部に形成される螺設部513とを備えている。
嵌合縁部511は、パイプ外径が胴部512と比べて小さくなっており、アウターパイプ41の流れ後段側端部に嵌合される。これにより、アウターパイプ51の管路は、流路43と連通される。
螺設部513は、パイプ外径が胴部512と比べて小さくなっており、外側面には流れ方向に伸びるねじ山が形成されている。
インナーパイプ52は、小径パイプ部521と、小径パイプ部521よりもパイプ内径が大きい大径パイプ部522とを備えている。
小径パイプ部521は、インナーパイプ42の流れ後段側端に、継手523を介して接続されている。これにより、インナーパイプ52の管路は、燃料流路44と連通され液化DMEが流通される。
大径パイプ部522は、小径パイプ部521の流れ後段側に形成される。
アウターパイプ51および大径パイプ部522の各流れ後段側端には、バックプレート6Aの流れ前段側端面が当接される。
キャップ7は、ノズル部5の流れ後段側端に、後述するバックプレート6Aおよびバーナチップ6Bを取り付けて固定するための部材である。
キャップ7は、ノズル部5とほぼ同等のパイプ外径を有する円筒形状部材であり、その円筒軸が流れ方向と平行になるように配置される。キャップ7の流れ前段側の筒内側面には、流れ方向に伸びるねじ山が形成されている。一方、筒内面の流れ後段側は、バーナチップ6Bの外形に沿う形状に形成されている。
キャップ7は、図3に示すように、筒内の流れ後段側にバーナチップ6Bおよびバックプレート6Aを嵌合させた状態で、流れ前段側の筒内側面のねじ山が、螺設部513のねじ山に螺合される。すると、バーナチップ6Bが、バックプレート6Aを介してノズル部5の流れ後段側端に固定される。
図4(A)は、バックプレート6Aの流れ方向に沿う断面図である。図4(B)は、バーナチップ6Bの流れ方向に沿う断面図である。なお、図4は、図3と同様に、左方から右方へ向かう向きを流れ方向とし、図4の左方を流れ前段側、右方を流れ後段側とする。
ノズル部5(図3)では、インナーパイプ52の管路を液化DMEが流通するが、バーナチップ6Bでは、流れ前段側端面において燃料流路はアウター側になる。このため、ノズル部5およびバーナチップ6Bの間にバックプレート6Aを介在させ、液化DMEの流路をインナー側からアウター側へ変換する。
前述したように、本実施形態では、噴霧媒体は用いられないが、本実施形態のバーナガン11およびバックプレート6Aは、従来の重油燃焼の際にも使用される。このため、バックプレート6Aには、噴霧媒体の流路も設けられている。
バックプレート6Aは、図4(A)に示すように、流れ方向に沿う円柱軸を有する円柱部材であり、入口部61Aと、出口部62Aと、内外変換路63Aと、外内変換路64Aとを備えている。
入口部61Aは、それぞれバックプレート6Aの流れ前段側端面に開口された内側入口611A、および、環状の外側入口612Aとを備えている。このうち、内側入口611Aは、インナーパイプ52(図3)の管路と連通される。
出口部62Aは、それぞれバックプレート6Aの流れ後段側端面に開口された内側出口621A、および、環状の外側出口622Aとを備えている。
内外変換路63Aは、内側入口611Aから外側出口622Aへ向かって形成された流路である。これにより、インナーパイプ52から内側入口611Aへ流入された液化DMEは、内外変換路63Aを介して外側出口622Aへ流出される。
一方、外内変換路64Aは、外側入口612Aから内側出口621Aへ向かって形成された流路である。
なお、第2送入室23、ダクト244、燃料流路44、インナーパイプ52および内外変換路63Aは、本発明の燃料供給路に相当する。
〔バーナチップ6Bの構成〕
バーナチップ6Bでは、バックプレート6Aから流入された液化DMEを、ボイラ本体100(図1)の炉内へ噴射する。すると、液化・気化DMEが、燃焼エアと混合されて火種が形成され、DMEの燃焼が生じる。バーナチップ6Bは、本発明の燃料噴霧チップに相当する。
バーナチップ6Bは、前述したように、キャップ7(図3)によってバックプレート6Aの流れ後段側端面に固定され、その流れ後段側端が、キャップ7の流れ後段側の開口71から外部へ露出される。
バーナチップ6Bは、図4(B)に示すように、噴霧衝突手段としてのチップ本体61と、このチップ本体61にそれぞれ形成された燃料流路62、および、混合室64とを備えている。
チップ本体61は、円柱部材であり、その円柱軸が流れ方向と平行に配置されている。チップ本体61の流れ前段側の円周外側面は、流れ後段側よりも外側へ膨出している。前述したように、チップ本体61の流れ前段側端面611は、バックプレート6Aの流れ後段端面に当接される。
混合室64は、チップ本体61の重心付近から流れ後段側端面612に向かって形成され、流れ後段側端面612に開口641を備えている。混合室64の流れ方向と直交する断面は、チップ本体61の円柱軸を中心とする円形であり、流れ方向に向かうにつれて拡張される。すなわち、混合室64は、チップ本体61の円柱軸を軸心とする略円錐状に形成されている。
混合室64の内部では、チップ本体61から液体DMEが噴射され、炉内においてDMEおよび燃焼エアの混合、および、DMEの燃焼が行われる。
なお、本実施形態では、軸心に対する混合室64の内側面の開き角(テーパ角θ)は20度、混合室64の流れ方向長さ(混合室長さL)は10mmである。
燃料流路62は、バックプレート6Aから流入される液化DMEを混合室64へ供給する。
燃料流路62は、チップ本体61内部に形成され、塞止溝621と、複数本の傾斜ダクト622とを備えている。
塞止溝621は、流れ前段側端面611から流れ方向に陥設された環状溝であり、この環状は、バックプレート6Aの外側出口622Aと連通している。すなわち、液化DMEは、バックプレート6Aの外側出口622Aから塞止溝621へ流入され、塞止溝621の溝底面で流れが塞き止められる。
複数本の傾斜ダクト622は、この塞止溝621で塞き止められた液化DMEを混合室64まで流通させる。傾斜ダクト622は、塞止溝621の溝底面に形成された連通孔622Bと、混合室64の円錐状内側面に端部が開口された噴射孔623とを備えている。これら複数本の傾斜ダクト622は、図4(B)に示すように、各ダクトの軸線が、混合室64内部の軸心上で互いに交差する姿勢を有している。なお、各傾斜ダクト622の軸線が流れ方向になす角度は、いずれも同一である。
本実施形態では、2本の傾斜ダクト622が形成されており、これら2本の傾斜ダクト622は、流れ方向に沿う同一平面上に形成されている。すなわち、2本の傾斜ダクト622は、混合室64の軸心を対称軸として対称となる位置に配置されている。
複数の噴射孔623を介して、傾斜ダクト622を流通してきた液化DMEが混合室64内部へ噴射される。複数の噴射孔623は、混合室64の流れ前段側の内側面に、軸芯を中心とする同一円周上に配列している。
前述したように、2本の傾斜ダクト622が、流れ方向に向かうにつれて混合室64の軸心に近づく姿勢で形成されていることから、各傾斜ダクト622の噴射孔623から噴射されるDMEの噴射軸Sは、混合室64内で交差する。すなわち、各噴射孔623から噴射されたDMEは、噴射軸Sの交差点(衝突点A)で衝突することになる。
なお、本実施形態では、この2本の噴射軸Sの交差角(衝突角α)は90度である。
また、2つの噴射孔623から噴射された液化DMEの液滴は、噴射直後から減圧沸騰を起こして気化・膨張し始め、全体として霧状態を呈している。
〔バーナチップ6Bの作用〕
次に、バーナチップ6Bによる液化DMEの噴射および燃焼について説明する。
まず、チップ本体61の流れ前段側端面611において、液化DMEがバックプレート6Aの外側出口622Aから塞止溝621へ流入される。そして、液化DMEは、塞止溝621から2本の傾斜ダクト622へ流入する。このとき、傾斜ダクト622が塞止溝621よりも細い径を有するため、液化DMEは、各傾斜ダクト622に均一配分される。そして、均一配分された液化DMEは、2つの噴射孔623から混合室64内へ噴射される。
2つの噴射孔623から噴射されたDMEは、それぞれ、各噴射孔623の噴射軸Sに沿って飛び、衝突点Aで衝突する。衝突したDMEは、衝突点Aから流れ前段側へ向かいながら散乱するが、衝突により互いの運動量を相殺し合っているので、各粒子の流速は噴射時と比べて低減される。
衝突後、霧状態のDMEは、散乱しながら流れ後段側へ移動し始める。
さらに、混合室64は、流れ後段側に向かうにつれて広がるテーパ状を有しているため、混合室64内の気圧は、流れ後段側に向かって序々に低下し、開口641付近で炉内圧となる。このため、減圧沸騰により気化された気化DMEは、開口641に近づくにつれて緩やかに膨張していく。
このように混合室64内部で散乱されたDMEは、混合室64内部を開口641へ向かって移動する。このとき、DMEの流速が減速されていることから、DMEは、燃焼エアに十分に巻き込まれ、DMEおよび燃焼エアが混合された渦流を形成する。この渦流の形成により火炎が発生し、この火炎を種火としてDMEの燃焼が行われる。火炎は、DMEの流れに沿って、混合室64の開口641から流れ後段側に向かって伸びる。そして、DMEを各噴射孔623から噴射し続けることによって、安定的な燃焼が維持される。
〔実施例〕
本実施形態のバーナチップ6Bおよび従来型のバーナチップをそれぞれバーナガン11に取り付け、同一の燃焼条件で液化DMEの燃焼実験を行った。この実験結果および燃焼条件を、表1および表2に示す。表1は、空気比を1.4で一定に維持したまま負荷を変えた際に、それぞれのバーナガン11で形成される火炎の様態を比較したものである。表2は、負荷を50%に一定に維持したまま空気比を変えた際に、それぞれのバーナガン11で形成される火炎の様態を比較したものである。
なお、この燃焼実験では、噴射孔623の数Nは3つであり、噴射孔623の孔径Dは、0.3mmである。
Figure 2007139323
Figure 2007139323
表1に示すように、本実施形態のバーナチップ6Bを用いた燃焼では、従来型のバーナチップを用いた燃焼と比べ、負荷が小さい場合でも安定した火炎が形成される。一方、従来型のバーナチップは、負荷が40〜80%では安定した火炎が形成されない。
表2に示すように、本実施形態のバーナチップ6Bを用いた燃焼では、従来型のバーナチップを用いた燃焼と比べ、空気比が小さい場合でも安定した火炎が形成される。一方、従来型のバーナチップは、空気比が1.0〜1.4では安定した火炎が形成されない。
このように、本実施形態のバーナチップ6Bは、従来型と比べ安定した火炎を形成することができ、液化DMEを良好に燃焼させることができる。
次に、各部位の寸法(衝突角α度、テーパ角θ度、混合室長さLmm)が異なる複数のバーナチップ6Bを用いて、同一の燃焼条件で液化DMEの燃焼実験を行い、噴射されたDMEの減速効果を比較した。この実験結果および燃焼条件を、表3示す。
なお、この燃焼実験では、噴射孔623の個数Nは2つであり、噴射孔623の孔径Dは、0.5mmである。
Figure 2007139323
表3から、衝突角αが90度、テーパ角θが20度、混合室長さLが10mmの際に、液化DMEの減速効果が最も大きく、これら寸法が良好な減速効果を達成するための最適条件であることが分かる。すなわち、これらの寸法で形成されたバーナチップ6Bは、液化DMEの安定した燃焼を実現することができる。
なお、さらなる実験結果によると、衝突角αは60度以上120度以下であることが好ましい。これは、衝突角αが上記範囲より大きい場合では、衝突後に、流れ方向と交差する方向の液化DMEの流速が十分に減速されず、液化DMEが混合室64内側面に衝突して霧化不良(液だれ)が発生しやすくなるためである。一方、衝突角αが上記範囲より小さい場合では、液化DMEの流れ方向の流速が大きく、流れ方向の減速効果が得られないためである。
また、テーパ角θは15度以上30度以下であることが好ましい。これは、テーパ角θが上記角度よりも小さい場合、液化DMEが混合室64内側面に干渉して霧化不良が発生しやすくなるためである。一方、テーパ角θが上記角度よりも大きい場合、混合室64内部の気圧が炉内圧に近くなり、液化DMEの緩やかな膨張特性を得られないためである。
さらに、混合室長さLは、噴射孔623の孔径D、噴射孔623の個数Nを用いて、次の式(1)の関係を満たす値であることが好ましい。
/(D ×N)≧130 ・・・(式1)
これは、噴射孔623の孔径Dおよび個数Nで表される液化DME噴の噴射規模と比べて、混合室長さLが相対的に小さい場合、混合室64は、液化DMEの気化・膨張が緩やかに行われるための内部の気圧変化特性を達成できないためである。
〔バーナチップ6Bおよびバーナガン11による効果〕
本実施形態によれば、バーナチップ6Bは、液化DMEをチップ本体61の少なくとも2箇所から噴射させる。このとき、液化DMEは、減圧沸騰により噴霧状態で噴射される。さらに、バーナチップ6Bは、噴射させた液化DME同士を衝突させる。すると、霧状態の液化DMEの粒子は、衝突により互いの運動量を打ち消しあうので、衝突後の液化DMEの速度は減速される。このため、衝突後の液化・気化DMEは、周囲の燃焼エアに巻き込まれやすくなり、液化DMEと空気が十分に混合された空気渦を形成する。
また、液化DME同士を衝突させることにより、液化・気化DMEの粒子は散乱され、周囲の燃焼エアに巻き込まれやすくなる。
このように、液化DMEと空気が十分に混合された空気渦は、安定した火炎を形成しやすいため、この火炎を種火とする液化DMEの燃焼が安定する。従って、本実施形態のバーナチップ6Bは、液化DMEの優れた燃焼安定性を実現できる。
また、本実施形態のバーナチップ6Bは、ボイラ500および加熱炉等に配備されたバーナに装脱着可能に取り付けられて使用されるものである。すなわち、本実施形態のバーナチップ6Bを、重油を燃料とするバーナに取り付ければ、このバーナを用いて液化DMEを安定的に燃焼させることができる。従って、本実施形態のバーナチップ6Bは、従来の重油用のバーナを、低コストかつ短い工事期間で、液化DMEを安定的に燃焼させることのできるバーナに改造することができる。
本実施形態によれば、チップ本体61に形成された混合室64で、液化DMEの噴射および衝突が行われるので、噴射・衝突により散乱される液化DMEが、チップ本体61の前方に飛び散ることなく一箇所に集在させることができる。
さらに、バーナチップ6Bは、バックプレート6Aの外側出口622Aと連通された少なくとも2つの噴射孔623を備え、この噴射孔623の噴射軸Sは、混合室64内において交差する。このため、各噴射孔623を介して混合室64内に噴射された液化DMEは、各噴射軸Sに沿って飛び、噴射軸Sの交差点Aにおいて互いに衝突することになる。従って、バーナチップ6Bは、比較的簡単な構成で、液化DMEの噴射・衝突を実現することができる。
さらに、本実施形態によれば、各噴射孔623を介して噴射された液化DMEは、60度以上120度以下の角度で互いに衝突することになる。60度以上120度以下の衝突角で液化DME同士を衝突させると、液化DMEの速度を十分に減速させることができ、さらに、液化DMEが大きく散乱されることがないので液化DMEを混合室内面に干渉しにくくさせることができる。従って、本実施形態のバーナチップ6Bは、より一層安定した火炎を形成することができ、液化DMEの優れた燃焼安定性を実現できる。
そして、本実施形態によれば、混合室64は、各噴射軸Sの交差点を軸芯とするテーパ状を有することから、混合室64内部の気圧は、テーパ状の奥部から外部との開放部に向かって序々に低下し、開放部において炉内圧となる。従って、テーパ状の奥部で噴射された液化DMEは、開放部に向かうにつれて緩やかに減圧されるので、液化DMEの減圧沸騰による気化・膨張を緩やかに実行させることができる。従って、本実施形態のバーナチップ6Bは、噴射された液化DMEが混合室64の奥部で急激に気化・膨張することがないので、より一層安定した火炎を形成することができ、液化DMEの優れた燃焼安定性を実現できる。
軸芯に対するテーパ状の混合室64の開き角を、15度以上30度以下に設定すると、衝突により散乱した液化DMEが混合室64内面に干渉しにくくなり、また、混合室64内部の気圧をテーパ状の奥部から外部との開放部へ向けて序々に低下させることができる。従って、本実施形態のバーナチップ6Bは、より一層安定した火炎を形成することができ、液化DMEの優れた燃焼安定性を実現できる。
また、本実施形態によれば、バーナチップ6Bは、噴射孔623の個数N、噴射孔623の孔径D、および、混合室64の軸芯に沿う長さをLが、常に上式を成立させる寸法を有している。このように、噴射孔623の個数Nおよび噴射孔623の孔径Dで表される液化DMEの噴射規模に対し、混合室64長さLを相対的に適切な寸法に設定することにより、混合室64が、液化DMEの気化・膨張が緩やかに行われるための内部の気圧変化特性を達成することができる。従って、本実施形態のバーナチップ6Bは、より一層安定した火炎を形成することができ、液化DMEの優れた燃焼安定性を実現できる。
本実施形態のバーナガン11は、上述したように、液化DMEの優れた燃焼安定性を実現することができ、さらに、液化DMEを燃焼燃料とすることで、排気ガスに含まれるすすや硫黄酸化物等の大気汚染物質を低減し、クリーンな燃焼を行うことができる。
本実施形態の燃料燃焼方法によれば、上述したように、液化DMEの優れた燃焼安定性を実現することができ、さらに、液化DMEを燃焼燃料とすることで、排気ガスに含まれるすすや硫黄酸化物等の大気汚染物質を低減し、クリーンな燃焼を行うことができる。
〔前記実施形態の変形〕
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、前記実施形態は、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、混合室64は、流れ方向に向かって広がる円錐状であるとしたが、本発明では、混合室64は、噴射孔623から開口641へ向かって序々に気圧が低下する気圧変化特性を達成可能な形状を有していればよく、例えば、流れ方向に沿う断面が略半楕円形状であってもよい。
本発明は、傾斜ダクト622および噴射孔623の数を限定するものではなく、複数個の噴射孔623の噴射軸が混合室64内で交差していればよい。
前記実施形態では、バーナチップ6Bおよびバーナチップ6Bが取り付けられた、ボイラ500に設けられたバーナガン11およびバーナガン11に取り付けられたバーナチップ6Bを取り上げたが、本発明では、バーナガン11およびバーナチップ6Bを、例えば、加熱炉等に用いてもよい。
本発明は、ボイラおよび加熱炉等での燃料燃焼に用いられる燃料噴霧チップ、燃料燃焼装置、および、燃料燃焼方法に利用することができる。
本発明の一実施形態に係るボイラの概略構成を示す模式図。 前記実施形態に係るバーナの構成を示す模式断面図。 前記実施形態に係るバーナガンの構成を示す断面図。 前記実施形態に係るバックプレート(A)およびバーナチップ(B)の構成を示す断面図。
符号の説明
1…バーナ
11…バーナガン
23…第2送入室
244…ダクト
44…燃料流路
52…インナーパイプ
6B…バーナチップ
61…チップ本体
62…燃料流路
622…傾斜ダクト
623…噴射孔
64…混合室
641…開口
A…衝突点
…噴射孔の孔径
N…噴射孔の個数
S…噴射軸
α…衝突角(交差角)
θ…テーパ角

Claims (8)

  1. 液化ガス燃料を燃焼させるとともに燃料供給路が形成された燃料燃焼装置に設けられる燃料噴霧チップであって、
    チップ本体と、前記チップ本体に形成され前記燃料供給路から供給される液化ガス燃料を噴霧させる噴霧衝突手段とを備え、
    前記噴霧衝突手段は、少なくとも2箇所で噴霧させた液化ガス燃料同士を衝突させることを特徴とする燃料噴霧チップ。
  2. 請求項1に記載の燃料噴霧チップにおいて、
    前記噴霧衝突手段は、前記チップ本体に形成された凹部と、この凹部に一端部がそれぞれ開口され前記燃料供給路と他端部がそれぞれ連通した少なくとも2つの噴射孔とを備え、
    前記少なくとも2つの噴射孔は、その軸芯に沿って形成される噴射軸が前記凹部側において互いに交差することを特徴とする燃料噴霧チップ。
  3. 請求項2に記載の燃料噴霧チップにおいて、
    前記各噴射孔の前記各噴射軸は、60度以上120度以下の角度で互いに交差することを特徴とする燃料噴霧チップ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の燃料噴霧チップにおいて、
    前記凹部は前記噴射孔の前記噴射軸の交差点を包囲する混合室を構成し、この混合室は、前記交差点に軸芯が一致するテーパ状に形成されていることを特徴とする燃料噴霧チップ。
  5. 請求項4に記載の燃料噴霧チップにおいて、
    前記テーパ状の混合室の前記軸芯に対する開き角は、15度以上30度以下であることを特徴とする燃料噴霧チップ。
  6. 請求項4または請求項5のいずれかに記載の燃料噴霧チップにおいて、
    前記噴射孔の個数をNとし、
    前記噴射孔の孔径をDとし、
    前記混合室の前記軸芯に沿う長さをLとすると、
    /(D ×N)≧130の関係式が成立することを特徴とする燃料噴霧チップ。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の燃料噴霧チップを備えたことを特徴とする燃料燃焼装置。
  8. 燃料供給路が形成された燃料燃焼装置に設けられる燃料噴霧チップから液化ガス燃料を燃焼させる燃料燃焼方法であって、前記燃料供給路から供給される液化ガス燃料を噴霧させる噴霧衝突工程を備え、
    前記噴霧衝突工程では、この少なくとも2箇所で噴霧させた液化ガス燃料同士を衝突させることを特徴とする燃料燃焼方法。
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