JP2007138311A - 建築用下地板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 湿式抄造による木質繊維板からなる建築用下地板の製造方法であって、多量の結合剤や特殊な結合剤を使用せず、また、複雑な製造工程や製造設備を要せずに木質繊維の結合硬化の速度を高めることで、高密度、高強度の建築用下地板を得る。
【解決手段】 木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する接着剤を水に添加してなるスラリーから湿潤マットを抄造する工程と、該湿潤マットをウエットプレスして含有水分を絞り出しながら厚さを整える工程と、イソシアネート基を含有する接着剤を水及び木質繊維の水酸基と反応させてウレア基を生成することにより一次強度を発生させる工程と、該湿潤木質マットを加熱乾燥してイソシアネート基を含有する接着剤およびその他の含有する接着剤を最終硬化させて二次強度を発生させる工程とからなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する接着剤を水に添加してなるスラリーから湿潤マットを抄造する工程と、該湿潤マットをウエットプレスして含有水分を絞り出しながら厚さを整える工程と、イソシアネート基を含有する接着剤を水及び木質繊維の水酸基と反応させてウレア基を生成することにより一次強度を発生させる工程と、該湿潤木質マットを加熱乾燥してイソシアネート基を含有する接着剤およびその他の含有する接着剤を最終硬化させて二次強度を発生させる工程とからなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、断熱性及び吸放湿性に優れ、モルタル壁やサイディングボードの下地に用いられる、木質繊維板よりなる壁下地等の建築用下地板の製造方法に関するものである。
従来より、木質繊維板よりなる壁下地等の建築用下地板としては、シージングボードが広く用いられている。このシージングボードは、木質繊維の絡み合いが良好となる湿式抄造法によって形成されており、モルタル壁やサイディングボードの下地に用いて断熱効果の高い壁下地板として汎用されている。
シージングボードは構造用合板や無機質板に比べて、断熱性能や室内調湿性能に優れていることが特長であるが、その反面、壁耐力性能が比較的低いために、必要な壁量を得るには多くの箇所に使用しなければならず、経済的に問題があると共に、窓等の開口部を設けることができる箇所が限られてしまって設計の自由度が小さくなることも指摘されていた。
壁耐力性能を向上させるには、例えば、シージングボードの厚みを増すことによって対応することができるが、これでは施工性の低下及び価格の上昇をまねいてしまうことになる。また、シージングボード自体の強度を高めるために、湿式抄造法によって該シージングボードを形成する際に、単に、木質繊維に対する結合剤の混入量を多くして抄造してもコストアップが生じるだけでなく、結合剤が水中に流出したのでは所定の強度が得られない。また、強度を高めようとして木質繊維の表面が該結合剤によって覆われてしまう程の多量の結合剤を混入すると、シージングボードの吸放湿性が低下してしまうといった問題点が生じる。
このため、特許文献1に記載されているように、融点の異なる粉末フェノール樹脂と粉末石油樹脂を用いて木質繊維と共に湿式抄造することにより木質繊維の湿潤マットを得、段階的に加熱乾燥温度を上げることによって該浸潤マットの木質繊維の結合効果を高めると共に耐水性を付与し、断熱性や吸放湿性を損なうことなく、壁倍率2以上の強度をもたせた木質繊維製建築用下地材を製造する方法が提案されている。
特開平3−153304号公報。
しかしながら、上記のような木質繊維製建築用下地材の製造方法によれば、湿潤マットの乾燥工程を段階的に行っているために生産性が低下するばかりでなく、結合剤として限定的樹脂を使用する必要があるので、材料コストや設備コストにおいても有利であるとは必ずしもいえなかった。一方、高強度にするために、シージングボードを高密度にすることが考えられる。この場合、湿式抄造法で製造されるシージングボードにおいては、結合剤が十分な結合力を発現できるように、硬化させるまでの間を熱風乾燥する必要があるが、湿式抄造で得られた湿潤マットは多量の水分を含有しているため、該湿潤マットを乾燥させて結合剤を硬化させるには極めて長時間の熱風乾燥が必要であり、結合剤が硬化する時間までに木質繊維の反発力によるスプリングバックが生じるため、所望の高密度が得られず、高強度ボードに形成することができないといった問題点があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、木質繊維よりなる建築用下地板を湿式抄造法によって製造する際に、木質繊維の結合硬化速度を高めることによって、多量の結合剤や特殊な結合剤を使用することなく、また、複雑な製造工程や製造設備を要せずに、高密度、高強度の建築用下地板を得ることにある。
上記課題を達成すべく本願発明者等が鋭意研究した結果、少なくとも水中で徐々に反応硬化して接着力を発現するイソシアネート基を含有する接着剤を木質繊維に添加してスラリーを調製すること、さらに好ましくは、これらの接着剤と反応する物質を添加することによって、短時間のプレス工程とそれに続くドライヤーによる乾燥工程で所望の建築用下地板が得られることを知見し、この知見に基づいて本願発明を完成した。
即ち、本願の請求項1に係る発明は、湿式抄造法によって木質繊維板からなる建築下地板を製造する方法であって、木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する接着剤を水に添加してなるスラリーから湿潤マットを抄造する工程と、該湿潤マットをウエットプレスして含有水分を絞り出しながら厚さを整えると共に、イソシアネート基を含有する接着剤を水及び木質繊維の水酸基と反応させてウレア基を生成し一次強度を発生させる工程と、該湿潤マットを加熱乾燥してイソシアネート基を含有する接着剤およびその他の含有する接着剤を最終硬化させて二次強度を発生させる工程とからなることを特徴とする。
上記請求項1に記載の建築用下地板の製造方法において、請求子2に係る発明は、イソシアネート基を含有する接着剤のイソシアネート基と反応する物質を、スラリーまたは該スラリーから抄造して得られた木質繊維の湿潤マットに添加することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、水の存在下で速やかに接着力を発揮するイソシアネート基を含有する接着剤を木質繊維と共に水に添加してスラリーを調製し、このスラリーから木質繊維の湿潤マットを抄造し、この湿潤マットをウエットプレスして含有水分を絞り出しながら厚さを整えると共にイソシアネート基を含有する接着剤を水及び木質繊維の水酸基と反応させてウレア基を生成し一次強度を発生させるので、該湿潤マットを乾燥して接着剤を硬化させてさらに十分な強度を発現させるための加熱乾燥工程において、接着剤が硬化する時間まで木質繊維の反発力によるスプリングバックを抑えることができ、密度を低下させることなく木質繊維板からなる下地板を形成することができ、強度発現に非常に有効である。また、上記一次強度を発生させることで、加熱乾燥工程を短時間で済ませることができ、該下地板の生産の効率化を図ることが可能となる。
さらに、イソシアネート基を含有する接着剤を水及び木質繊維の水酸基と反応させてウレア基を生成することにより一次強度を発生させる工程に引き続いて、該湿潤マットを加熱乾燥して上記イソシアネート基を含有する接着剤およびその他の含有する接着剤を最終硬化させて二次強度を発生せる工程を併用することで、断熱性及び吸放湿性に優れ、モルタル壁やサイディングボードの下地に用いることができる木質繊維板よりなる建築用下地板を効率よく生産することができる。
本発明の請求項2に係る発明によれば、上記請求1に記載の建築用下地板の製造方法において、イソシアネート基を含有する接着剤のイソシアネート基と反応する物質を、スラリーまたは該スラリーから抄造して得られた湿潤マットに添加するものであるから、請求項1に係る発明の効果に加えて、イソシアネート基と反応する物質を同時に添加することによりイソシアネート基を含有する接着剤の反応を高めて短時間の熱圧反応でより強固な結合を可能とし、下地板の強度の向上を図ることができる。
次に、本発明の木質繊維板よりなる建築用下地板の製造方法を具体的に説明すると、まず、湿式抄造法によって木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する接着剤を水に添加してなるスラリーを調製する。この際、上記建築用下地板を構成する木質繊維としてはその種類を限定するものではなく、針葉樹、広葉樹を問わないし、建築廃材・パレット廃材等、由来の繊維あるいはパルプ、麻、亜麻等の植物繊維も利用できるが、繊維長が長く吸水膨脹が小さくて強度が大きいものが望ましい。このような木質繊維を使用することによって、繊維長が長いために繊維同士の絡み合いの交点、即ち、交絡点が多くなって下地板の曲げ強度が向上するとともに該交絡点に接着剤が定着することで建築用下地板の剪断力が増大し、壁倍率の決定に影響の大きい釘側面抵抗力が大きい建築用下地板が得られる。尚、木質繊維はイソシアネート基と反応しやすい水酸基を有するので、無機質等を使用する場合には得られない、より強い結合力を得ることができる。
上記イソシアネート基を含有する接着剤としては、モノメリックMDI(4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート)、ポリメリックMDI、TDI(トリレンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、H12MDI(4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))、IPDI(イソホロンジイソシアネート)およびそれらの各種ポリオール(低分子量ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートジオール類、アクリルポリオール類、シリコンポリオール類、2−ヒドロキシエチルアクリレート類)や、二塩基酸(アゼライン酸、アジピン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等)、各種エボキシ樹脂、ひまし油、液状ポリブタジエン、ネオプレンなどの活性水素化合物などとの反応物、または、各種変性を加えることや各種界面活性剤との混合により水への分散性を向上させたものや、ポットライフを長くするためにイソシアネート基をブロックしたものを含む各種変性品があげられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
さらに、イソシアネート基を含有する接着剤の反応を高めて短時間の加熱反応で強固な結合を可能とするために、水以外のイソシアネート基反応性物質を添加し加熱乾燥工程中で反応させ、ウレタン、ウレア、アミド、ビューレット、アシルウレア、アロファネート等を生成することができる。イソシアネート基反応性物質としては、各種ポリオール(低分子量ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートジオール類、アクリルポリオール類、シリコンポリオール類等)、一般には各種ポリプロピレングリコール(以下PPGという)(エチレンオキサイド変性PPG、一級OH化PPG、ビスフェノールA変性PPG、ロジン変性PPG等)、各種ポリエチレングリコール、各種ポバール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステルポリオール、ひまし油系ポリオール、アクリルポリオール等であり、また、2−ヒドロキシエチルアクリレートやアミノ基をもつ化合物(アクリルアマイド類、尿素化合物類、各種ジアミン類等)や、二塩基酸類(アゼライン酸、アジピン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等)、酢酸ビニール類等のカルボキシル基をもつ化合物や、各種エポキシ樹脂化合物、ひまし油、液状ポリブタジエン、ネオプレン等の活性水素化合物等があげられる。また、これらを単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することが可能であることは勿論である。
また、イソシアネート基を含有する接着剤の反応を促進するため、各種アミン系化合物、オクチル酸鉛などの有機金属化合物などの反応触媒を適宜添加してもよい。なお、触媒は加熱乾燥工程に入る前の反応を極力抑えるために、常温では活性を発現せず、加熱温度付近で活性を発現する感温性触媒であることが好ましい。
一方、二次強度を発現し強度を付加する接着剤として、例えばフェノール、ポバール、エポキシ、スターチ等が単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。なお、イソシアネート基を含有する接着剤においても一次強度を発現した後、加熱乾燥によりさらに二次強度を発現するものである。また、ポバール、スターチ等の水中でゲル化する物質は一次強度を付加する作用も併せ持っている。これらの接着剤は十分に熱硬化させなければ強度が発現されないが、前記イソシアネート基を含有する接着剤によって一次強度を発現し形状を保持した湿潤マットを加熱乾燥することにより、効率的かつ十分に熱硬化させ、外壁下地材等の建築材料として必要な二次強度を発現することができる。
なお、スラリーから湿式抄造するため、必要に応じてサイズ剤、凝集剤、消泡剤等の抄造用添加剤を適宜添加しても良い。さらに必要に応じて、接着剤としての機能を兼ね備えた熱融着繊維を使用してもよい。
本発明の建築用下地材の製造方法としては、上記木質繊維、イソシアネート基を含有する接着剤、イソシアネート基と反応する物質を水中に適宜投入、攪拌して所定の手順で凝集剤およびその他の抄造用添加剤を加えて固形分が数%のスラリーを調製し、これを長網式または丸網式等の抄造機、例えば、図1に示すように、丸網式湿式抄造機1によってスラリー2から湿潤マット3を作成する。即ち、スラリー2を丸網式湿式抄造機1のドラムにより吸着しながらフォーミングプレス4によって浸潤マット3を作成し、この湿潤マット3をウェットプレス5によって所定の圧力でもって圧搾して不要な水分を絞り出しながら該湿潤マット3の厚さを整える。
ウェットプレス5による湿潤マット3のプレス時間は、添加したイソシアネート基を含有する接着剤が反応を開始し、特に次の加熱乾燥工程中に木質繊維がスプリングバックを起こさず、マットとして十分な強度と形状を維持できる条件とする。なお、ウェットプレス工程は熱圧プレスであるとイソシアネート基を含有する接着剤の反応がより促進されるので短時間での処理が可能となる。例えば、80℃〜180 ℃に加熱されたスチーム製のベルトからなる連続プレスを用いて行うと生産効率が著しく向上し好ましい。
このようにして得た湿潤マット3をウェットプレス5からさらに熱風ドライヤ(図示せず)側に連続的に搬送し、該熱風ドライヤによって100 ℃〜250 ℃で乾燥し、イソシアネート基を含有する接着剤のみならず、湿潤マット3に含まれた他の接着剤、例えばフェノール系接着剤などの脱水縮合系を含めた接着剤の反応を十分に行うことで、より強固な乾燥体である建築用下地板を生産性良く得ることができる。
また、イソシアネート基を含有する接着剤、および、イソシアネート基と反応する物質の添加方法については、上記に示したようにスラリー中に全部を投入したのち、凝集剤で凝集させる方法が歩留りも良く好ましいが、それ以外に他の材料を投入して凝集剤を加えた後に添加をしても良いし、抄造して得た湿潤マットにイソシアネート基を含有する接着剤を噴霧等の手法で添加しても良い。湿潤マットにこのイソシアネート基を含有する接着剤を添加する場合は、該湿潤マットの下面側から吸引すると噴霧液が湿潤マットの内部まで浸透し好ましい。これらの手法によれば、イソシアネート基を含有する接着剤を添加したスラリー中での、イソシアネート基のポットライフの低下を考慮しなくても済む利点がある。なお、液状にした結合剤、イソシアネート基と反応する物質等も上記噴霧等の手法により同様に添加することが可能であることは勿論である。次に、本発明の実施例と比較例とを示す。
〔実施例1〕
木質繊維80重量%と、接着剤として粉末フェノール5重量%と、石油樹脂5重量%と、スターチ5重量%と、イソシアネート基を含有する接着剤としてポリメリックMDI5重量%とを水中で攪拌混合してスラリーを調製し、このスラリー中に凝集剤を適宜量添加して凝集させた後、抄造し湿潤マットを得た。この湿潤マットを15mmのディスタンスバーを介してウェットプレスを60秒間行う工程と、12mmのディスタンスバー介してウェットプレスを60秒間行う工程と、さらにディスタンスバーを介さずに20kgf/cm2 の圧力で60秒間のウェットプレスを行う工程とを1サイクルとして3サイクル繰り返し行った。このとき、湿潤マットの含水率は約100 %であった。次いで、この湿潤マットを乾燥機内に搬入し、加熱乾燥して厚さ11.5mm、密度0.49g/cm3 の建築用下地板を得た。この建築用下地板をASTM D 1037 に準じて釘側面抵抗試験、釘頭貫通試験を行うと共に、JIS A 1324に準じて透湿抵抗値を測定した。
木質繊維80重量%と、接着剤として粉末フェノール5重量%と、石油樹脂5重量%と、スターチ5重量%と、イソシアネート基を含有する接着剤としてポリメリックMDI5重量%とを水中で攪拌混合してスラリーを調製し、このスラリー中に凝集剤を適宜量添加して凝集させた後、抄造し湿潤マットを得た。この湿潤マットを15mmのディスタンスバーを介してウェットプレスを60秒間行う工程と、12mmのディスタンスバー介してウェットプレスを60秒間行う工程と、さらにディスタンスバーを介さずに20kgf/cm2 の圧力で60秒間のウェットプレスを行う工程とを1サイクルとして3サイクル繰り返し行った。このとき、湿潤マットの含水率は約100 %であった。次いで、この湿潤マットを乾燥機内に搬入し、加熱乾燥して厚さ11.5mm、密度0.49g/cm3 の建築用下地板を得た。この建築用下地板をASTM D 1037 に準じて釘側面抵抗試験、釘頭貫通試験を行うと共に、JIS A 1324に準じて透湿抵抗値を測定した。
〔比較例1〕
木質繊維80重量%と、接着剤として粉末フェノール10重量%と、石油樹脂10重量%とを水中で攪拌混合してスラリーを調製し、このスラリー中に凝集剤を適宜量添加して凝集させた後、抄造し湿潤マットを得た。この湿潤マットを15mmのディスタンスバーを介してウェットプレスを60秒間行う工程と、12mmのディスタンスバー介してウェットプレスを60秒間行う工程と、ディスタンスバーを介さずに20kgf/cm2 の圧力で60秒間のウェットプレスを行う工程とを1サイクルとして3サイクル繰り返し行った。このとき、湿潤マットの含水率は約100 %であった。次いで、該湿潤マットを乾燥機内に搬入し、加熱乾燥して厚さ13.7mm、密度0.43g/cm3 の建築用下地板を得た。この建築用下地板を上記実施例1と同一試験法によって釘側面抵抗試験、釘頭貫通試験を行うと共に、透湿抵抗値を測定した。
木質繊維80重量%と、接着剤として粉末フェノール10重量%と、石油樹脂10重量%とを水中で攪拌混合してスラリーを調製し、このスラリー中に凝集剤を適宜量添加して凝集させた後、抄造し湿潤マットを得た。この湿潤マットを15mmのディスタンスバーを介してウェットプレスを60秒間行う工程と、12mmのディスタンスバー介してウェットプレスを60秒間行う工程と、ディスタンスバーを介さずに20kgf/cm2 の圧力で60秒間のウェットプレスを行う工程とを1サイクルとして3サイクル繰り返し行った。このとき、湿潤マットの含水率は約100 %であった。次いで、該湿潤マットを乾燥機内に搬入し、加熱乾燥して厚さ13.7mm、密度0.43g/cm3 の建築用下地板を得た。この建築用下地板を上記実施例1と同一試験法によって釘側面抵抗試験、釘頭貫通試験を行うと共に、透湿抵抗値を測定した。
上記実施例1と比較例1との釘側面抵抗値と釘頭貫通抵抗値、および、透湿抵抗値とを表1に示す。
この表から明らかなように、実施例1と比較例1では比重をほぼ同一に設定したが、比較例1では厚みが増している。これは、比較例1においては、加熱乾燥工程において水分が蒸発するに従って木質繊維が若干スプリングバックを起こすために厚みが増大し、そのため、僅かに密度が低下する。また、実施例1は比較例1に比較して、釘側面抵抗は757Nから905Nに、釘頭貫通抵抗力が915Nから1195N に上昇しており、イソシアネート基を含有する接着剤を用いることによって強度が向上したことがわかる。さらに、透湿抵抗値は実施例1の方が比較例1に比して逆に2.5m2hmmHg/gから1.7m2hmmHg/gに小さくなり、木質繊維板の特徴である吸放湿性は失われていないことが理解できる。
1 丸網式湿式抄造機
2 スラリー
3 湿潤マット
5 ウェットプレス
2 スラリー
3 湿潤マット
5 ウェットプレス
Claims (2)
- 湿式抄造法によって木質繊維板からなる建築下地板を製造する方法であって、木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する接着剤を水に添加してなるスラリーから湿潤マットを抄造する工程と、該湿潤マットをウエットプレスして含有水分を絞り出しながら厚さを整えると共に、イソシアネート基を含有する接着剤を水及び木質繊維の水酸基と反応させてウレア基を生成し一次強度を発生させる工程と、該湿潤マットを加熱乾燥してイソシアネート基を含有する接着剤およびその他の含有する接着剤を最終硬化させて二次強度を発生させる工程とからなることを特徴とする建築用下地板の製造方法。
- イソシアネート基を含有する接着剤のイソシアネート基と反応する物質を、スラリーまたは該スラリーから抄造して得られた湿潤マットに添加することを特徴とする請求項1に記載の建築用下地板の製造方法。
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JP2012172284A (ja) * | 2011-02-23 | 2012-09-10 | Daiken Corp | 木質繊維板の強化方法 |
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