JP2007138257A - マグネシウム合金材の製造方法、マグネシウム合金材、これを用いて製造された筐体。 - Google Patents

マグネシウム合金材の製造方法、マグネシウム合金材、これを用いて製造された筐体。 Download PDF

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Abstract

【課題】Mgは特に酸化しやすい元素であるため、Alめっき層とMg合金との間に中間被膜を形成する方法を用いた場合においても、Mg合金と中間被膜との間の密着性は充分ではない。そのため、この構造のマグネシウム合金材においては、Alめっき層と中間被膜との界面の密着性は良好であるものの、Mg合金と中間被膜との界面で剥離を生ずることがある。
【解決手段】マグネシウム合金上にアルミニウムが形成されたマグネシウム合金材の製造方法であって、前記マグネシウム合金上にニッケルを主成分としためっき層を形成するニッケルめっき工程と、前記ニッケルを主成分としためっき層上にアルミニウムを主成分としためっき層を形成するアルミニウムめっき工程と、該アルミニウムめっき工程の後に熱処理を行なう熱処理工程とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、主に小型軽量な携帯機器の筐体用材料として用いられるマグネシウム合金材の製造方法、およびこれによって製造されるマグネシウム合金材、これを用いて製造された筐体に関する。
近年、携帯電話、音楽プレーヤ、パソコン等の機器は小型軽量化され、利用者に携帯されて用いられる機会が多い。そのため、これらの機器に用いられる筐体としては、充分な機械的強度と共に、軽いことが要求される。こうした筐体に用いられる素材としては、アルミニウムに代表される軽金属の合金が最適であるが、その中でも、特にマグネシウム(Mg)合金は、高い機械的強度をもつと共に、その比重がアルミニウム(Al)の2/3程度であるため、好適である。
しかしながら、Mg合金は、空気中で非常に腐食しやすいという欠点がある。そのため、Mg合金を用いる際には、表面処理を行なうことによって耐腐食性をもたせる必要がある。また、一般に、筐体の表面は、その使用目的に応じて各種の色彩に着色される。このため、Mg合金の表面に、耐腐食性に優れ、かつ着色がしやすい酸化アルミニウム層を形成したマグネシウム合金材の構造が特許文献1に記載されている。
この構造においては、Mg合金上にめっきによってAl層を形成し、このAl層表面を陽極酸化して酸化アルミニウム層を形成している。しかしながら、この方法において、Mg合金とAlのめっき層の密着性は良好ではなく、剥離を生ずることがある。これらの間の密着性が良好でない理由は、下地となるMg合金中に存在するMgが非常に酸化しやすい材料であるため、通常その表面にはMg酸化層が形成されており、このMg酸化層とAlめっき層との密着性が悪いためである。
酸化しやすい材料と、その上のAlのめっき層との密着性を向上するために、特許文献2では、これらの間に中間被膜を形成することが記載されている。中間被膜は、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)等のめっき層であり、特にこれらのめっき層に陽極溶解処理を行ったものが有効である。この中間被膜は、上記の酸化しやすいMg表面の酸化を抑制するため、Alのめっき層との密着性を向上させることができた。
特開2004−292858 特開平5−186893
しかしながら、Mgは特に酸化しやすい元素であるため、この中間被膜を形成する方法を用いた場合においても、Mg合金と中間被膜との間の密着性は充分ではない。そのため、この構造のマグネシウム合金材においては、Alめっき層と中間被膜との界面の密着性は良好であるものの、Mg合金と中間被膜との界面で剥離を生ずることがあった。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、マグネシウム合金上にアルミニウムが形成されたマグネシウム合金材の製造方法であって、前記マグネシウム合金上にニッケルを主成分としためっき層を形成するニッケルめっき工程と、前記ニッケルを主成分としためっき層上にアルミニウムを主成分としためっき層を形成するアルミニウムめっき工程と、該アルミニウムめっき工程の後に熱処理を行なう熱処理工程とを有することを特徴とするマグネシウム合金材の製造方法に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記熱処理工程の後に、前記アルミニウムを主成分としためっき層を陽極酸化することによって酸化アルミニウム層を形成する陽極酸化工程を有することを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金材の製造方法に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、前記熱処理工程は180〜300℃の温度で行われることを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシウム合金材の製造方法に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、前記熱処理工程は大気中で行われることを特徴とする請求項1及至3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金材の製造方法に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、前記ニッケルめっき工程の前に、前記マグネシウム合金表面の酸化層をウェットエッチングによって除去するマグネシウム酸化膜エッチング工程を有することを特徴とする請求項1及至4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金材の製造方法に存する。
請求項6記載の発明の要旨は、マグネシウム合金上に酸化アルミニウムが形成されたマグネシウム合金材であって、前記マグネシウム合金と前記酸化アルミニウムとの間には、ニッケルを主成分としためっき層およびアルミニウムを主成分としためっき層が形成されていることを特徴とするマグネシウム合金材
に存する。
請求項7記載の発明の要旨は、前記ニッケルを主成分としためっき層の厚さが8〜12μmであることを特徴とする請求項6に記載のマグネシウム合金材に存する。
請求項8記載の発明の要旨は、前記アルミニウムを主成分としためっき層の厚さが12〜150μmであることを特徴とする請求項6または7に記載のマグネシウム合金材に存する。
請求項9記載の発明の要旨は、前記アルミニウムを主成分としためっき層および前記ニッケルを主成分としためっき層に圧縮応力が働いていることを特徴とする請求項6及至8のいずれか1項に記載のマグネシウム合金材に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、請求項6及至9のいずれか1項に記載のマグネシウム合金材を用いて製造された筐体に存する。
本発明は以上のように構成されているので、各層の間で剥離を生ずることがないマグネシウム合金材を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本実施の形態のマグネシウム合金材1においては、図1にその断面を示すように、マグネシウム(Mg)合金10上に、ニッケル(Ni)めっき層20、アルミニウム(Al)めっき層30、酸化アルミニウム層40が形成されている。ここで、Mg合金10はこのマグネシウム合金材の基体となるものであり、例えばその組成はアルミニウム(Al)が3%、亜鉛(Zn)が1%含まれるJIS規格のAZ31、厚さは0.8mmのものである。Niめっき層20は、めっきによって形成された、Niを主成分とした層であり、Mg合金10上に形成されている。Alめっき層30は、めっきによって形成された、Alを主成分とした層であり、Niめっき層20上に形成されている。酸化アルミニウム層40は、Alめっき層30上に形成されており、後述するように、Alめっき層30が酸化されることによって形成される。
図2は、本実施の形態に係るマグネシウム合金材の製造方法を示す工程図である。この製造方法は、図2におけるS1〜S7の工程からなる。この製造方法は、Niめっき層20を形成するニッケル(Ni)めっき工程S3と、Alめっき層30を形成するアルミニウム(Al)めっき工程S4と、熱処理工程S5とを有する。その後に酸化アルミニウム層40を形成する陽極酸化工程S6を有している。Niめっき工程S3の前には、Niめっき層20の密着性を高めるために、Mg酸化膜エッチング工程S2を有する。このMg酸化膜エッチング工程S2は、詳細には図3におけるS21〜S25の工程からなる。
以下に、上記各工程について詳細に説明する。
まず、S1において、このマグネシウム合金材の基体となるMg合金10を準備する。例えばその組成はアルミニウム(Al)が3%、亜鉛(Zn)が1%含まれるJIS規格のAZ31、厚さは0.8mmのものを用いることができる。これは、軽量でかつ充分な強度をもつため、筐体用材料として好ましい。
次に、マグネシウム(Mg)酸化膜エッチング工程S2をこのMg合金10に対して施す。この工程においては、酸化しやすいためにその最表面が酸化物となっているMg合金10において、その酸化物を除去し、後で形成するNiめっき層との密着性を向上させることができる。このMg酸化膜エッチング工程S2をさらに詳細に示した工程図が図3である。同図においては、各工程において示してある液(いずれも商品名:メルテックス(株)製)に、同じく示してある温度で浸漬することによってこれらの工程が行われる。同図において脱脂(S21)は、酸化物を除去する前に、この効果を大きくするためにMg合金表面の油分を除去する工程である。一次エッチング(S22)及び二次エッチング(S24)は酸化物をエッチングして除去する工程である。例えば前記のAZ31を用いた場合、この酸化物のエッチングに際しては、AlとZnに対してMgのエッチング速度が大きいため、その表面の組成においては、Mgの比率が小さくなった、いわゆるスマット層が形成される。この組成の表面に対しては、後で行なうNiめっき工程の際のNiめっき層の密着性が悪くなる。スマット除去(S23)は、このスマット層を除去する工程である。ここでは、このスマット層を除去し、かつ効果的に酸化物を除去するために、その酸化物のエッチングを一次エッチング(S22)と二次エッチング(S24)に分け、その間にスマット除去(S23)を行っている。活性化処理(S25)は、この後で行なうNiめっきが効率よく行われるように、パラジウム活性化液であるメルプレートMG5301によってその表面を活性化する工程である。以上がMg酸化膜エッチング工程S2の詳細である。
次に図2におけるNiめっき工程S3を行なう。この工程においては、Mg合金10の表面に無電解NiめっきでNiめっき層20を形成する。このためには、上記のMg合金10を、例えばメルプレートMG5401(商品名:メルテックス(株)製)に70℃で浸漬する。この時間を調整することによって、Niめっき層20の厚さを調整できるが、その厚さは8〜12μmが好ましい。なお、この無電解めっきによるNiめっき層20には燐(P)が含まれる。
Niめっき工程S3においては、Mgのイオン化傾向が大きいために、Mgの溶出とNiの析出が同時に進行する。このため、得られたNiめっき層20にはピンホールが形成されやすい。Niめっき層20中にMg合金10の表面にまで達しているピンホールが存在すると、後述するAlめっき工程S4において、めっき液にMgが溶け出すことがある。Niめっき層20の厚さが8μm以上の場合には、Mg合金10の表面にまで達するピンホールは少なくなるため、Alめっき工程S4が良好に行われる。また、このNiめっき層20は、この上のAlめっき層30の下地としての役割を果たすだけであるため、12μmよりも大きな厚さは不要である。
次に、Alめっき工程S4を行なう。この工程においては、前記のNiめっき層20の上にAlめっき層30を形成する。Alめっきとしては、電解めっきが好ましく用いられる。例えば、これに用いる液としては、ジメチルスルホン(DMSO)を溶媒とし、無水塩化アルミニウム(III)(AlCl)を溶質としたものを用いる。そのモル比はDMSO:AlClで5:1とする。これをビーカー内で混合し、50℃及び80℃で2時間ずつ加熱した後に110℃まで昇温することによりめっき液を作成する。その後、アルミニウム板を陽極とし、Niめっき層20が形成された上記のMg合金10を陰極として、このめっき液の中に浸漬し、通電することによって上記のMg合金10上にAlめっき層30を形成する。このときの温度は110℃程度とし、めっき時間は典型的には20分程度であるが、この時間によってAlめっき層30の厚さを調整できる。このときの電流密度は、10A/dm程度が好ましい。
次に、熱処理工程S5を行なう。ここでは、Alめっき層30までが形成されたMg合金10に対して熱処理を行なう。この熱処理は、180〜300℃の温度で行なうことが好ましい。また、その雰囲気は大気中であることが好ましい。この熱処理により、特にMg合金とNiめっき層の界面の密着性が向上する。
密着性が向上する理由は、この熱処理によってNiめっき層のもつ不均一歪みが緩和されるためである。図4は、Niめっき層20に対して、270℃の熱処理を行った前後のX線回折特性(ロッキングカーブ)を、熱処理時間を変えて測定した結果である。同図において、2θが44.5°付近の緩やかなピークが本来のNiめっき層20の回折ピークであり、その他のピークはこの下地のMg基板10に起因するものである。この結果から、熱処理時間を長くするに従って、Niめっき層20の回折ピークが急峻になっていることが確認できる。すなわち、熱処理によってNiめっき層20のもつ不均一歪みが緩和される。一般に、めっき層は、その内部応力が圧縮側である場合の方が、引っ張り側の応力である場合よりも、その下地との密着性が良好である。この熱処理により、不均一歪みが緩和されたことにより、Niめっき層20の内部応力が変化し、熱処理前に引っ張り側であった応力が圧縮側に変化することが、Mg合金10とNiめっき層20の界面の密着性が向上する原因である。一方、図4と同様のX線回折特性をAlめっき層30に対して測定した結果が図5である。ここでは、2θが38.5°および44.8°付近のピークがAlめっき層30の回折ピークである。熱処理の有無、熱処理時間によらずこのピークは急峻であり、その形状は変動していない。従って、熱処理によって内部歪みは変動していない。このため、Alめっき層30の内部応力は、熱処理の前後でも変わらず圧縮側であり、Alめっき層30とNiめっき層20との間の密着性は熱処理にかかわらず良好である。従って、この熱処理工程S5によって、特にNiめっき層20の内部応力が圧縮側に変化し、Niめっき層20とMg合金10との間の密着性が向上するため、このマグネシウム合金材1においては剥離を生じにくくなる。
この熱処理温度が300℃を越えると、Niめっき層20に含まれる隣(P)とNiの合金形成が起こるためにNiめっき層20がもろくなる。180℃より低いと、内部応力の変化が不充分となるために、密着性の向上が不充分となる。
この熱処理は、以上に述べたように、Alめっき工程S4の後で行なう。Niめっき工程S3の後に行っても、前記のNiめっき層20の内部応力に対する効果は全く同様であるが、その場合には、Niめっき層20の表面が酸化される。このため、Alめっき層30とNiめっき層20の間の密着性が不良となる。従って、この場合にはNiめっき層20表面の酸化物を除去する工程が新たに必要となるため、工程が複雑化し、好ましくない。
次に、陽極酸化工程S6を行う。この工程は、特にこのマグネシウム合金材を筐体用材料として用いる場合に、その表面に酸化アルミニウム層40を形成するために用いられる。陽極酸化工程S6は、例えば、硫酸と硫酸アルミニウムからなる溶液中で、前記のAlめっきの場合と同様に、このマグネシウム合金材を陽極として通電することにより行われる。このときの温度は25℃、電流密度は0.2A/dm程度が好ましい。通電時間によって、形成される酸化アルミニウム40の膜厚を調整できる。
このとき、先に形成されたAlめっき層30が酸化されることによって酸化アルミニウム層40が形成されるため、酸化アルミニウム層40が厚くなるに従って、残ったAlめっき層30は薄くなる。ここで、陽極酸化工程S6終了時に残ったAlめっき層30の厚さは、12〜150μmであることが好ましい。Alめっき層30の厚さが12μmよりも小さいと、陽極酸化工程S6において、Alめっき層30に存在するピンホールを介してNiめっき層20の一部が溶出して、さらにその下のMg合金10の表面が露出する可能性がある。12μm以上の厚さがあれば、このピンホールがNiめっき層20まで達する確率が小さくなる。また、Alめっき層30の厚さが150μmよりも大きいと、Alめっき層30にクラックが発生しやすくなる。
以上の製造方法により、本実施の形態に係るマグネシウム合金材1が得られる。このマグネシウム合金材1においては、Niめっき層20とAlめっき層30に圧縮応力が働いているため、各層間の密着性が良好であり、剥離を生じにくく、軽量なマグネシウム合金材となる。従って、軽量で剥離の生じにくいマグネシウム合金材を得ることができ、これを好ましく筐体用の材料として用いることができる。
なお、上記の実施の形態においては、陽極酸化工程S6を有していたが、これは最表面に酸化アルミニウム層40を形成するための工程であるため、表面に酸化アルミニウム層40がないマグネシウム合金材を製造する場合には、この工程は不要である。この場合にも同様に剥離の生じにくいマグネシウム合金材が得られる。
なお、上記の実施の形態においては、Mg酸化膜エッチング工程S2を有していたが、例えば、Mg合金10の組成によっては、Mg合金10上にNiめっき層20の密着性を低下させるほどの酸化物が形成されていない場合がある。この場合には、Mg酸化膜エッチング工程S2(図3)におけるS21〜S25のいずれかの工程を省略することも可能である。また、Mg酸化膜エッチング工程S2自身を省略することも可能である。
以下、本発明の実施例について述べる。以上に述べた製造方法を用いてMg合金上にAlめっき工程、熱処理工程までを行ったマグネシウム合金材を製造し、比較例となる同様の構造のマグネシウム合金材と、剥離の発生度合いを比較した。
剥離(密着性)の評価方法としては、評価試料(マグネシウム合金材)の表面に、カッターナイフを用いて、1.5mm間隔で10×10マスの碁盤状に切り込みを入れ、この上に粘着テープを貼り、これを剥がした際にマグネシウム合金材において80%以上の面積で剥離が発生したマスを「剥離したマス」と定義し、その数を調べた。これにより、密着率(%)として、「剥離したマス」以外のマスの比率と定義した。この密着率が100%のときを合格とした。
まず、Mg合金10としたAZ31上に、Mg酸化膜エッチング工程S2、Niめっき工程S3、Alめっき工程S4を行い、Niめっき層20を10μm、Alめっき層30を40μm形成した試料を作成した。この際に、図3における一次エッチング時間と、二次エッチング時間を変化させた場合に、熱処理工程S5の有無で密着率がどう変化するかを調べた。ここでの熱処理工程S5は、200℃の温度で30min行い、雰囲気は大気中とした。
図6は、この試料について、Mg酸化膜エッチング工程S2における一次エッチング時間と密着率の関係を、熱処理工程の有無で比較した結果である。二次エッチング時間は10minとした。ここで、黒丸は熱処理工程S5を行った試料(本発明の実施例)であり、白丸は熱処理工程S5を行わなかった試料(比較例)である。一次エッチング時間が6minよりも大きくなると、Mgのエッチングが選択的に進み、表面に形成されるスマット層が厚くなるために密着率はかえって劣化するが、熱処理工程S5を行った本発明の実施例は、一次エッチング時間にかかわらず、熱処理工程S5を行わなかった比較例よりも密着率が高い。特に一次エッチング時間が4〜6minの場合は、実施例は密着率が100%となっている。
図7は、同様の試料について、Mg酸化膜エッチング工程S2における二次エッチング時間と密着率の関係を、熱処理工程S5の有無で比較した結果である。一次エッチング時間は5minとしている。ここで、黒丸は熱処理工程S5を行った試料(本発明の実施例)であり、白丸は熱処理工程S5を行わなかった試料(比較例)である。熱処理工程S5を行った本発明の実施例は、二次エッチング時間にかかわらず、熱処理工程S5を行わなかった比較例よりも密着率が高い。特に二次エッチング時間が10min以上の場合は、実施例は密着率が100%となっている。
図8における棒グラフは、上記の試料において、一次エッチング時間を5min、二次エッチング時間を10minとし、熱処理工程をAlめっき工程S4後に行った場合(本発明の実施例)と、熱処理工程を全く行わなかった場合(比較例1)と、熱処理工程をAlめっき工程後に行わず、代わりにNiめっき工程S3後に行った場合(比較例2)の密着率を比較した結果である。また、同図における黒丸は、例えば、「表面技術便覧(表面技術協会(編)、日刊工業新聞社、1998年)」55頁に記載されている碁盤目試験の評価点であり、前記の10×10マスの全部が剥離した場合を0点、全く剥離が無かった場合を10点とし、これらの中間の場合には剥離の度合いに応じて0〜10点の点数をつけて算出した結果である。誤差棒は、この点数のばらつきの範囲を示す。熱処理工程をAlめっき工程S4の後に行った本発明の実施例でのみ良好な密着率が得られることが確認できた。
本発明の実施の形態となるマグネシウム合金材の断面図である。 本発明の実施の形態となるマグネシウム合金材の製造方法を示す工程図である。 本発明の実施の形態となるマグネシウム合金材の製造方法におけるMg酸化膜エッチング工程を詳細に示す工程図である。 熱処理の有無および熱処理時間によるNiめっき層のX線回折特性の変化を示す図である。 熱処理の有無および熱処理時間によるAlめっき層のX線回折特性の変化を示す図である。 一次エッチング時間と密着率の関係を、本発明の実施例と比較例(熱処理工程の有無)で比較した図である。 二次エッチング時間と密着率の関係を、本発明の実施例と比較例(熱処理工程の有無)で比較した図である。 密着率を、本発明の実施例、熱処理工程を行わない場合及び熱処理工程をAlめっき工程の後に行った場合である比較例について比較した結果を示す図である。
符号の説明
1 マグネシウム合金材
10 マグネシウム(Mg)合金
20 ニッケル(Ni)めっき層
30 アルミニウム(Al)めっき層
40 酸化アルミニウム層




Claims (10)

  1. マグネシウム合金上にアルミニウムが形成されたマグネシウム合金材の製造方法であって、
    前記マグネシウム合金上にニッケルを主成分としためっき層を形成するニッケルめっき工程と、
    前記ニッケルを主成分としためっき層上にアルミニウムを主成分としためっき層を形成するアルミニウムめっき工程と、
    該アルミニウムめっき工程の後に熱処理を行なう熱処理工程と、
    を有することを特徴とするマグネシウム合金材の製造方法。
  2. 前記熱処理工程の後に、前記アルミニウムを主成分としためっき層を陽極酸化することによって酸化アルミニウム層を形成する陽極酸化工程を有することを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金材の製造方法。
  3. 前記熱処理工程は180〜300℃の温度で行われることを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシウム合金材の製造方法。
  4. 前記熱処理工程は大気中で行われることを特徴とする請求項1及至3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金材の製造方法。
  5. 前記ニッケルめっき工程の前に、前記マグネシウム合金表面の酸化層をウェットエッチングによって除去するマグネシウム酸化膜エッチング工程を有することを特徴とする請求項1及至4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金材の製造方法。
  6. マグネシウム合金上に酸化アルミニウムが形成されたマグネシウム合金材であって、
    前記マグネシウム合金と前記酸化アルミニウムとの間には、ニッケルを主成分としためっき層およびアルミニウムを主成分としためっき層が形成されていることを特徴とするマグネシウム合金材。
  7. 前記ニッケルを主成分としためっき層の厚さが8〜12μmであることを特徴とする請求項6に記載のマグネシウム合金材。
  8. 前記アルミニウムを主成分としためっき層の厚さが12〜150μmであることを特徴とする請求項6または7に記載のマグネシウム合金材。
  9. 前記アルミニウムを主成分としためっき層および前記ニッケルを主成分としためっき層に圧縮応力が働いていることを特徴とする請求項6及至8のいずれか1項に記載のマグネシウム合金材。
  10. 請求項6及至9のいずれか1項に記載のマグネシウム合金材を用いて製造された筐体。
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