JP2007133176A - 光変調器およびそのバイアス制御方法 - Google Patents

光変調器およびそのバイアス制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光変調器において、光位相調整部へのディザ重畳を行うことなく光位相制御を自動的かつ安定的に制御すること。
【解決手段】光変調部13aと、光変調部13bに接続される光位相調整部15と、光変調部13aの出力と光位相調整部15の出力とを合波する光合波手段20と、を備えた光変調器において、光変調部13a,13bに印加される変調信号または直流バイアスに重畳されて入力される低周波ディザ信号(f1,f2)間の和周波数成分(f1+f2)および差周波数成分(f1−f2)を生成する和/差周波数成分生成手段と、光合波手段20の合波出力から和/差周波数成分における光量変化を検出する光量変化検出手段(17,18)と、光量変化検出手段(17,18)の出力に基づいて光位相調整部15の直流バイアスを制御する直流バイアス制御手段11cと、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光変調器および光変調器に付与する直流バイアスを自動的かつ安定的に制御するためのバイアス制御方法に関するものである。
近時の急増する情報通信需要の増大に応ずるため、高速伝送および高密度伝送が可能な光変調器の実用化が求められているが、その候補の一つとして、位相変調をベースとしたDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)変調方式に基づく変調技術を開示した文献が存在する(例えば、特許文献1)。この特許文献1に示される光変調器では、2つのマッハツェンダー(以下「MZ」と表記)型光変調器(以下「MZ型光変調器」という)から出力される位相変調光信号を合波することによって、DQPSK光変調信号を生成するようにしている。
また、複数の変調器を用いて構成された光送信器において、バイアス制御もしくは光位相制御に関する技術を開示した、例えば、下記特許文献2〜6などが存在する。これらの文献のうち、特許文献2〜5には、複数の光変調器から出力される光パルス信号を一つの光ファイバに多重化する際の各光パルス信号間における位相調整手法が開示されている。具体的には、光位相調整部にそれぞれ低周波ディザ信号を重畳し、多重化後の光信号成分の中で、低周波ディザ信号成分に関連する成分を用いて光位相調整部を制御するようにしている。
また、特許文献6では、メインのMZ型光変調器の両アームにサブの光変調器として複数のMZ型光変調器が内包された光変調器におけるバイアス制御方法が開示されている。この光変調器では、第1のMZ型光変調部、第2のMZ型光変調部および光位相調整部の各構成部にそれぞれ異なる周波数の低周波ディザ信号が重畳され、それぞれに対応する低周波ディザ信号成分が含まれる光信号の変化に基づいて各部のバイアス調整が行われる。なお、この光変調器は、元来、SSB(Single Side Band)変調信号を生成する変調器として構成されたものではあるが、DQPSK変調信号を行う際の変調器として使用することも可能である。
ところで、例えば特許文献1に示された光変調器のように、DQPSK変調信号を2つの位相変調光信号の合波によって生成する場合、それぞれの位相変調光信号間の光位相差をπ/2に調整する必要があるが、その際、光位相を調整する調整ポイントのずれが光信号品質劣化に対して非常に敏感であることが知られている(例えば、非特許文献1)。このため、2つの位相変調光信号間における光位相を精度よく、自動的かつ安定的に調整する調整手法を確立し、実現することがDQPSK光変調方式の実用化には不可欠となる。
特開2004−516743号公報 特開2003−198507号公報 特開平10−200512号公報 特開平09−261207号公報 特開平08−251113号公報 特開2004−318052号公報 K.Ishida,et.al.,"Performance Evaluation of SSB Modulator−based 20Gb/s RZ−DQPSK Transponder,"OECC 2004 Technical Digest,16C2−2,pp.812−813,July 2004.
前述したように、DQPSK変調信号を2つの位相変調光信号の合波によって生成する場合には、それぞれの位相変調光信号間の光位相差をπ/2に精度よく調整する技術が不可欠であるが、上記従来技術のように、光位相制御を行うための機能部である光位相調整部に低周波ディザ信号を重畳してしまうと、低周波ディザ信号自体による信号品質劣化が無視できなくなるといった問題点が生じ得る。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光位相調整部へのディザ重畳を行うことなく光位相制御を自動的かつ安定的に制御することができる光変調器およびそのバイアス制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる光変調器は、複数の光変調部と、該複数の光変調部の入力側または出力側に接続される光位相調整部と、該複数の光変調部の各出力を合波し、あるいは該光変調部の1以上の出力と該光位相調整部の1以上の出力とを合波する光合波手段と、を備えた光変調器において、前記複数の光変調部に印加される変調信号または直流バイアスに所定の周波数を有する低周波信号を重畳する低周波信号重畳手段と、前記複数の光変調部の個々に対応する低周波信号重畳手段が出力する低周波信号間の和周波数成分および/または差周波数成分を生成する和/差周波数成分生成手段と、前記光合波手段の合波出力から前記和周波数成分および/または差周波数成分における光量変化を検出する光量変化検出手段と、前光量変化検出手段の出力に基づいて前記光位相調整部の直流バイアスを制御する直流バイアス制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明にかかる光変調器によれば、光変調部に印加される変調信号または直流バイアスに重畳されて入力される低周波ディザ信号間の和周波数成分および差周波数成分を生成し、光出力に含まれる和/差周波数成分の光量変化に基づいて光位相調整部の直流バイアスを制御するようにしているので、光位相調整部へのディザ重畳を行うことなく光位相制御を自動的かつ安定的に制御することができるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる光変調器および光変調器のバイアス制御方法を実現する実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
まず、実施の形態1にかかる光変調器の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる光変調器の構成を示す図である。同図に示す光変調器では、例えば電気光学効果を有するニオブ酸リチウム(LiNbO3)の基板上に、例えばTi拡散法などの手法を用いて形成されたMZ型導波路5が構成されている。このMZ型導波路5は、MZ型構造の光導波路として、図示するような上側導波路6aおよび下側導波路6bからなる一対の導波路を備えている。また、上側導波路6a上には、MZ型導波路5と同様なMZ型構造を有するMZ型光変調部13a(第1のMZ型光変調部)が形成され、下側導波路6b上には、MZ型構造のMZ型光変調部13b(第2のMZ型光変調部)と、光位相調整部15とが形成されている。なお、同図において、光位相調整部15は、MZ型光変調部13bの後段部に形成されているが、その前段部に形成されていてもよく、また、下側導波路6b上ではなく、上側導波路6a上に形成されていてもよい。
MZ型導波路5の入力側には、キャリア光信号を分波してMZ型光変調部13a,13bに出力する光分波手段19aが具備され、MZ型導波路5の出力側にはMZ型光変調部13aと光位相調整部15の各出力を合波する光合波手段20が具備される。
また、MZ型光変調部13a,13bのそれぞれに変調信号や直流バイアスを印加するための構成として、高周波変調信号駆動手段10a,10b、直流バイアス制御手段11a,11b、低周波発振器14a,14b、加算手段12a,12bが具備される。さらに、光位相調整部15にて光位相を調整するための構成として、光分波手段19a、光電気変換手段17、ミキシング手段16、同期検波手段18および直流バイアス制御手段11cが具備される。なお、光分波手段19a、光電気変換手段17および同期検波手段18の各構成部は、光合波手段20の合波出力の出力(光量)変化を検出する光量変化検出手段を具現し、ミキシング手段16、同期検波手段18の各構成部は、低周波発振器14a,14bが出力する低周波信号間の和周波数成分および/または差周波数成分を生成する和/差周波数成分生成手段を具現する。
つぎに、図1のように構成される実施の形態1にかかる光変調器および光変調器のバイアス制御方法の動作について説明する。
図1において、光分波手段19aには、例えばCW(連続)光が入力され、入力されたCW光が光分波手段19aで分波され、それぞれMZ型光変調部13a、MZ型光変調部13bに入力される。ここで、例えば、DQPSK変調などを行う場合には、光分波手段19aにおける分岐比は概略1:1となっていることが好ましい。
また、MZ型光変調部13aには、データ変調用の高周波変調信号が高周波変調信号駆動手段10aから供給されるとともに、直流バイアス制御手段11aからMZ型光変調部13aの動作点を決定する直流バイアスが供給される。なお、MZ型光変調部13aに対するバイアス制御は、一般的な公知技術を適用することができる。例えば、図1に示すように、直流バイアスに低周波ディザ信号を重畳し、この重畳信号に対する応答を検出する検出手段(図示省略)が、MZ型光変調部13aに対する最適な直流バイアスを制御するような構成を採用すればよい。
なお、MZ型光変調部13bに関する動作もMZ型光変調部13aと同様であるが、MZ型光変調部13aに入力する低周波ディザ信号の周波数f1と、MZ型光変調部13bに入力する低周波ディザ信号の周波数f2とが、異なる周波数であることが好ましい。
動作説明に戻り、MZ型光変調部13bから出力された光信号は、光位相調整部15にて所定の光位相差が付与され、この光位相調整部15の出力信号とMZ型光変調部13aの出力信号とが、光合波手段20にて概略1:1のパワー比で合波されて出力される。ここで、例えば、DQPSK変調を行う場合には、MZ型光変調部13aおよびMZ型光変調部13bに付与される直流バイアスは、それぞれnull点(高周波変調信号が入力されない場合にあっては消光する状態)に設定され、光位相調整部15では、MZ型光変調部13aを通じて光合波手段20に入力される光信号とMZ型光変調部13bを通じて光合波手段20に入力される光信号との間の位相差がほぼπ/2となるようなバイアス点に設定される。
一方、光合波手段20から出力された光信号の一部は、光分波手段19bにて分岐され、光電気変換手段17に入力される。光電気変換手段17は、例えば2乗検波によって低周波ディザ信号の周波数を含む電気信号を生成して同期検波手段18に出力する。同期検波手段18は、光電気変換手段17の2乗検波出力のうち、f1−f2およびf1+f2の各周波数成分における出力変化(光量変化)を基準信号との位相比較によって検出する。直流バイアス制御手段11cは、同期検波手段18から出力される周波数f1−f2および周波数f1+f2における同期検波出力の変化に基づいて光位相調整部15に出力する直流バイアスを制御する。
なお、同期検波手段18に入力される位相比較のための基準信号は、低周波発振器14a,14bの各ディザ信号出力をミキシング手段16に入力し、その出力成分のうちのf1−f2もしくはf1+f2の必要となる成分のみをフィルタリングすることで得ることができる。また、直流バイアス制御手段11cが直流バイアスを制御する際の制御の向きおよびその制御量は、同期検波手段18において、光電気変換手段17の出力光信号の中から所望の周波数成分をフィルタリングにて抽出し、この抽出信号と上述の基準信号との位相比較によって決定することができる。
つぎに、光位相調整部15に対する直流バイアスの制御に必要な周波数成分(f1−f2成分およびf1+f2成分)について、定量的な考察を加える。いま、図1の構成において、MZ型光変調部13a,13bの直流バイアス設定ポイントをそれぞれφ1,φ2とし、光位相調整部15での設定位相差をφ3とすると、光電気変換手段17の出力信号のうち、f1−f2成分およびf1+f2成分はそれぞれ次式のように表記できる。
(f1−f2成分)
k1・[−cos(φ3)・[sin(φ1)・sin(φ2)+(cos(φ1)+1)・(cos(φ2)+1)]+sin(φ3)・[sin(φ1)・(cos(φ2)+1)−sin(φ2)・(cos(φ1)+1)]] ・・・(1)
(f1+f2成分)
k2・[cos(φ3)・[sin(φ1)・sin(φ2)+(cos(φ1)+1)・(cos(φ2)+1)]−sin(φ3)・[sin(φ1)・(cos(φ2)+1)−sin(φ2)・(cos(φ1)+1)]] ・・・(2)
上記(1),(2)式におけるk1,k2はそれぞれ定数である。また、DQPSK変調の場合は、上式にてφ1=φ2=0であり、上式は、それぞれ余弦関数(cos)のみの式で表される。ここで、図2は、φ1=φ2=0のときの、光位相調整部バイアスと和/差周波数成分との関係を示す図である。なお、ここでいう「光位相調整部バイアス」とは、光位相調整部15が自身への入力光信号に位相差φ3を付与するときの直流バイアス値を「π」で規格化したものである。
図2から明らかなように、光位相調整部15にて付与される位相差が「π/2」の点で各周波数成分はゼロとなり、この「π/2」の点からのずれが生じると符号を持った誤差信号が発生することがわかる。その結果、これらの誤差信号に基づいて低周波ディザ信号の和周波成分および/または差周波成分をゼロとなるように制御することで、例えばDQPSK光変調に対して光位相調整部15が付与する位相差をπ/2に設定することができる。なお、和周波数成分と差周波数成分との対称性を利用して、和周波数成分および/または差周波数成分の強度が概略等しくなるように前記光位相調整部の直流バイアスを制御してもよい。
なお、低周波発振器14a,14bから出力される各低周波ディザ信号成分ならびにそれらの和周波成分および差周波成分は、高周波変調信号の帯域外に存在することが好ましく、特に、低周波数側に位置していればさらに好ましい。加えて、各低周波ディザ信号成分ならびにそれらの和周波成分および差周波成分は、相互の干渉が生じないように、互いに逓倍の関係とならないような周波数に設定されていることが好ましい。
また、図1では、MZ型光変調部13a,13bに印加する低周波ディザ信号を直流バイアスに重畳する構成を示しているが、これらの低周波ディザ信号を高周波変調信号に重畳しても同様の効果が得られることはいうまでもない。
加えて、上述の説明においては、DQPSK変調を例にとり、各MZ型光変調部13a,13bに付与する直流バイアスに低周波ディザ信号を重畳する場合を好適な一例として示したが、DQPSK変調方式に限定されるものではなく、また、他の変調方式への適用を制限するものではない。なお、MZ型光変調部13a,13bの直流バイアス制御においては、複数の従来例で示されているように、所望の箇所に印加した低周波ディザ信号に対して、該ディザ信号の基本波成分を検出して直流バイアスの制御に付してもよいし、また、その高調波成分を検出して直流バイアスの制御を行ってもよい。
また、各MZ型光変調部13a,13bの直流バイアス設定ポイントにかかるバイアス調整を光位相調整部15の設定に依存することなく、独立かつ安定的に行うためには、図3に示すようにMZ型光変調部13a,13bの出力にそれぞれ光電気変換手段17a,17bを設け、これらの光電気変換手段17a,17bの各出力に基づいて、図示を省略した直流バイアス制御回路が、対応するMZ型光変調部の直流バイアスを制御するようにすればよい。
さらに、図1において、各MZ型光変調部13a,13b、高周波変調信号駆動手段10a,10b、光位相調整部15、光合波手段20および光分波手段19a,19bが理想的でない場合や、温度、湿度などの環境条件の変化や、光パワー変動などに伴って最適動作点がドリフトする場合などにあっては、光位相調整部15の最適設定ポイントが低周波ディザ信号の和/差周波成分が所定の値になる場所(例えば、π/2の設定の場合には、和/差周波成分がゼロ)からシフトした場合に備えて、同期検波手段18に動作点シフト機能を持たせるようにしてもよい。この動作点シフト機能を具現する手段として、例えば、基準信号を出力するミキシング手段16の出力の一部と、光電気変換手段17の出力をフィルタリングして得られる和/差周波成分とを加減算すればよい。このようにすれば、光電気変換手段17から得られる和/差周波成分の振幅/位相が変化し、結果として、位相比較結果をシフトさせることになるので、実質的に光位相調整部15における直流バイアス設定ポイントをシフトさせることができる。
さらに加えて、上記の構成による光位相調整部15に対する直流バイアスの制御は、光位相調整部15への低周波ディザ信号の有無に依存することなく動作するため、当然さらに異なる周波数の低周波ディザ信号を光位相調整部へ印加することを妨げるものではない。したがって、光位相調整部15へさらに重複しない周波数の低周波ディザ信号を重畳し、本低周波ディザ信号に関連する光信号成分(ディザの基本波成分や第2高調波成分)をあわせて使用することができるので、光位相調整部15の制御精度の向上や、光位相調整部15に対するバイアス制御用バックアップ回路としての活用など、光変調器を制御する制御回路の性能および信頼性を向上させることができる。
また、光位相調整部15に印加する低周波ディザ信号は、他で使用される周波数とは重複しないように選択することが一般的であり、当該選択された周波数(番号)をチャネル識別番号として使用することができ、この場合には、波長多重時などに、多重化された信号の中から、所定チャネルの信号を抽出することも可能である。
なお、上記説明の全体を通じて、光変調部がMZ型の光変調器で構成されている場合を一例として説明したが、MZ型に限定されるものではなく、位相変調信号を出力可能な光変調器に広くて適用することができる。また、上記説明の全体を通じて、DQPSK変調を一例とした光位相調整部における位相調整処理について説明したが、本手法は、DQPSK変調方式以外の、例えば8PSK変調やD8PSK変調あるいはQAM変調等の多値位相変調方式に適用することもできる。
以上説明したように、この実施の形態によれば、光変調部に印加される変調信号または直流バイアスに重畳されて入力される低周波ディザ信号間の和周波数成分および差周波数成分を生成し、光出力に含まれる和/差周波数成分の光量変化に基づいて光位相調整部の直流バイアスを制御するようにしているので、光位相調整部へのディザ重畳を行うことなく光位相制御を自動的かつ安定的に制御することができる。
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2にかかる光変調器の構成を示す図である。同図に示す光変調器は、和/差周波数成分生成手段を具現するミキシング手段16、同期検波手段18の構成に代えて、光電気変換手段17の出力をフィルタリングする電気フィルタ手段22と、光位相調整部15の直流バイアスを制御するために直流バイアス制御手段11cに出力する制御信号を生成するプロセッサ21と、を備えるように構成される。なお、実施の形態1の構成と同一あるいは同等である構成部には同一符号を付してその説明を省略するとともに、ここでは、実施の形態1と異なる処理についてのみ説明する。
つぎに、図4のように構成される実施の形態2にかかる光変調器および光変調器のバイアス制御方法の動作について説明する。
上述のように、図4に示す光変調器では、直流バイアス制御手段11cの制御が、プロセッサ21の出力に基づいて行われる。すなわち、光電気変換手段17の出力信号から電気フィルタ手段22にて、MZ型光変調部13a,13bに印加されている低周波ディザ信号の和周波成分および/または差周波成分を抽出し、その強度情報に基づいてMZ型光変調部13a,13bの直流バイアスを制御する構成となっている。
なお、図4に示す構成においても、光電気変換手段17の出力に含まれる和/差周波数成分は、図2と同様に付与される。ここで、図5は、図2に示した和/差周波数成分の強度(絶対値)を示す図である。いま、図5に示すようなキャリア対雑音比に優れた信号強度が得られる場合であれば、和周波数成分または差周波数成分のいずれかの情報を用いて、例えば山登り法による最小値探索(例えば当該成分の強度が0となる地点を探索)などを用いたバイアス制御を行うことが可能であり、この種の最小値探索をマイクロコンピュータなどの汎用プロセッサを用いて実現することができる。
また、プロセッサを用いたバイアス制御とすることで、上述したような動作点シフト機能などの付加的機能を具現する構成部を具備する必要がなく、コストの削減や回路規模の削減を実現することができる。
なお、図4では光位相調整部15がMZ型光変調部13a,13bの後段に接続された構成としているが、実施の形態1と同様に、MZ型光変調部13a,13bの前段に接続された場合においても、同様の動作をすることはいうまでもない。
また、図4では、MZ型光変調部13a,13bに印加する低周波ディザ信号を直流バイアスに重畳する構成を示しているが、これらの低周波ディザ信号を高周波変調信号に重畳しても同様の効果が得られることはいうまでもない。
また、実施の形態1と同様に、光位相調整部への低周波ディザ信号の重畳を制限するものではなく、付加的に低周波ディザ信号を光位相調整部へ重畳し、関連するディザ周波数成分を制御に使用することで、光位相調整部の制御精度向上、制御回路の信頼性向上の効果がある点は同様である。加えて、追加した低周波ディザ信号をチャネル識別用途などの他の目的に使用してもよいことは言うまでもない。
加えて、上述の説明においては、DQPSK変調や、MZ型の光変調器を想定しているが、実施の形態1の場合と同様に、DQPSK変調方式や、MZ型の光変調器のみに限定されるものではない。
さらに加えて、MZ型光変調部13a,13bのバイアス調整を光位相調整部15の設定に依存することなく、独立かつ安定的に行うための構成として、図3に示すようにMZ型光変調部13a,13bの出力に個別の光電気変換手段17a,17bを設け、それらの光電気変換手段17a,17bの各出力に基づいて、対応するMZ型光変調部の直流バイアスを制御するようにしてもよいことはいうまでもない。
以上説明したように、この実施の形態によれば、光変調部に印加される変調信号または直流バイアスに重畳されて入力される低周波ディザ信号間の和周波数成分および差周波数成分を生成する生成手段として汎用的なプロセッサを具備するようにしているので、光位相制御を自動的かつ安定的に行う機能部のコストおよび規模を削減することができる。
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3にかかる光変調器の構成を示す図である。同図に示す光変調器は、図1および図4の構成から、光変調器の後段(光合波手段20の出力側)にMZ型光変調部13dを追加するように構成しており、この構成に付随して、MZ型光変調部13a,13bと同様に、MZ型光変調部13dに変調信号や直流バイアスを印加するための高周波変調信号駆動手段10d、直流バイアス制御手段11d低周波発振器14dおよび加算手段12dの各構成部が具備される。なお、その他前述の図1、図4と同一または同等の構成部には、同一符号を付して示しているが、光位相調整部15のバイアスを制御するための各構成部については図示を省略している。
つぎに、図6のように構成される実施の形態3にかかる光変調器および光変調器のバイアス制御方法の動作について説明する。
図6において、高周波変調信号駆動手段10dからの出力信号としてクロック信号を供給した場合には、MZ型光変調部13dにて光出力信号のパルス化を行うことが可能であり、位相変調をベースとした光変調方式において、光ファイバでの非線形光学効果に対する耐力向上を図ることができる。
なお、後段の低周波発振器14dからMZ型光変調部13dに出力される低周波ディザ信号の周波数は、前段の低周波発振器14a,14bで使用される各低周波ディザ信号成分ならびにそれらの和周波成分および差周波成分との間で、相互の干渉が生じないように、互いに逓倍の関係とならないような周波数に設定されていることが好ましい。また、そのような関係にある低速ディザ周波数を設定することで、各MZ型光変調部の動作安定化をそれぞれ独立に実施することができる。
また、実施の形態1,2と同様に、光位相調整部への低周波ディザ信号の重畳を制限するものではなく、付加的に低周波ディザ信号を光位相調整部へ重畳し、関連するディザ周波数成分を制御に使用することで、光位相調整部の制御精度向上、制御回路の信頼性向上の効果がある点は同様である。加えて、追加した低周波ディザ信号をチャネル識別用途などの他の目的に使用してもよいことは言うまでもない。
以上説明したように、この実施の形態によれば、光変調器の後段に光変調部を備えるように構成しているので、光出力信号のパルス化が可能となり、光ファイバでの非線形光学効果に対する耐力を有する光信号を生成することができる。
以上のように、本発明にかかる光変調器および光変調器のバイアス制御方法は、位相変調光信号間における光位相を精度よく、自動的かつ安定的に制御することができる光変調器およびその制御手法として有用である。
本発明の実施の形態1にかかる光変調器の構成を示す図である。 MZ型光変調部の各直流バイアス設定ポイントがゼロ(φ1=φ2=0)のときの光位相調整部バイアスと和/差周波数成分との関係を示す図である。 各MZ型光変調部における直流バイアス設定ポインのバイアス調整を光位相調整部の設定に依存することなく独立かつ安定的に行うための構成例を示す図である。 本発明の実施の形態2にかかる光変調器の構成を示す図である。 図2に示した和/差周波数成分の強度(絶対値)を示す図である。 本発明の実施の形態3にかかる光変調器の構成を示す図である。
符号の説明
5 MZ型導波路
6a 上側導波路
6b 下側導波路
10a,10b,10d 高周波変調信号駆動手段
11a,11b,11c,11d 直流バイアス制御手段
12a,12b,12d 加算手段
13a,13b,13d MZ型光変調部
14a,14b,14d 低周波発振器
15 光位相調整部
16 ミキシング手段
17,17a,17b,17c 光電気変換手段
18 同期検波手段
19a,19b 光分波手段
20 光合波手段
21 プロセッサ
22 電気フィルタ手段

Claims (18)

  1. 複数の光変調部と、該複数の光変調部の入力側または出力側に接続される光位相調整部と、該複数の光変調部の各出力を合波し、あるいは該光変調部の1以上の出力と該光位相調整部の1以上の出力とを合波する光合波手段と、を備えた光変調器において、
    前記複数の光変調部に印加される変調信号または直流バイアスに所定の周波数を有する低周波信号を重畳する低周波信号重畳手段と、
    前記複数の光変調部の個々に対応する低周波信号重畳手段が出力する低周波信号間の和周波数成分および/または差周波数成分を生成する和/差周波数成分生成手段と、
    前記光合波手段の合波出力から前記和周波数成分および/または差周波数成分における光量変化を検出する光量変化検出手段と、
    前光量変化検出手段の出力に基づいて前記光位相調整部の直流バイアスを制御する直流バイアス制御手段と、
    を備えたことを特徴とする光変調器。
  2. 前記光変調部が、マッハツェンダー型光変調器で構成されることを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
  3. 前記光位相調整部に対する直流バイアスの制御は、前記和/差周波数成分生成手段から出力される信号の和周波数成分および差周波数成分の基本波または高調波に基づいて行われることを特徴とする請求項1または2に記載の光変調器。
  4. 前記複数の光変調部および前記光合波手段の各出力を個々にモニタするモニタ手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光変調器。
  5. 前記直流バイアス制御手段は、前記和周波数成分および/または差周波数成分の強度が最小もしくは概略ゼロとなるように、あるいは該和周波数成分と該差周波数成分の強度が概略等しくなるように、前記光位相調整部の直流バイアスを制御することを特徴とする請求項3または4に記載の光変調器。
  6. 前記和/差周波数成分生成手段は、自身が生成した和/差周波信号に基づいて前記光合波手段の出力を同期検波する同期検波手段を具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光変調器。
  7. 前記同期検波手段は、前記光位相調整部における直流バイアス設定ポイントをシフトさせる動作点シフト手段を具備することを特徴とする請求項6に記載の光変調器。
  8. 前記低周波信号、前記和周波信号および前記差周波信号の各周波数成分は、前記変調信号が占有する主帯域外に存在し、かつ、相互に逓倍の関係とならないように設定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の光変調器。
  9. 前記光変調器の出力光信号が、多値位相変調信号であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の光変調器。
  10. 前記光合波手段の出力側に光パルス信号を生成するための光変調部を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の光変調器。
  11. 前記光位相調整部の直流バイアスを制御する前記直流バイアス制御手段に前記低周波信号、前記和周波信号および前記差周波信号とは異なり且つ逓倍関係にない周波数成分を有する低周波信号を重畳する低周波信号重畳手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の光変調器。
  12. 前記光位相調整部の前記直流バイアス制御手段に入力される低周波信号を波長多重化信号のチャネル識別に利用することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の光変調器。
  13. 前記光位相調整部の前記直流バイアス制御手段に入力される低周波信号に関連する光信号成分として、該低周波信号の基本波成分または高調波成分に基づいて直流バイアス制御が行われることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の光変調器。
  14. 複数の光変調部と、該複数の光変調部の入力側または出力側に接続される光位相調整部と、該複数の光変調部の各出力を合波し、あるいは該光変調部の1以上の出力と該光位相調整部の1以上の出力とを合波する光合波手段と、を備えた光変調器のバイアス制御方法において、
    所定の変調信号と所定の直流バイアスとが印加される前記複数の光変調部に所定の周波数を有する低周波信号を重畳し、
    前記複数の光変調部の個々に対応する低周波信号間の和周波数成分および/または差周波数成分を生成し、
    前記光合波手段の合波出力に基づいて検出した前記和周波数成分および/または差周波数成分における光量変化に応じて前記光位相調整部の直流バイアスを制御することを特徴とする光変調器のバイアス制御方法。
  15. 前記光位相調整部に対する直流バイアスの制御は、前記和周波数成分および前記差周波数成分の基本波または高調波に基づいて行われることを特徴とする請求項14に記載の光変調器のバイアス制御方法。
  16. 前記光位相調整部に対する直流バイアスの制御は、前記和周波数成分および/または差周波数成分の強度が最小もしくは概略ゼロとなるように、あるいは該和周波数成分と該差周波数成分の強度が概略等しくなるように行われることを特徴とする請求項14または15に記載の光変調器のバイアス制御方法。
  17. 前記低周波信号、前記和周波信号および前記差周波信号の各周波数成分は、前記変調信号が占有する主帯域外に存在し、かつ、相互に逓倍の関係とならないように設定されていることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一つに記載の光変調器のバイアス制御方法。
  18. 前記光変調器の出力光信号が、多値位相変調信号であることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一つに記載の光変調器のバイアス制御方法。
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