JP2007132066A - 路盤の断熱工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】道路の凍上防止工法、特に路盤の一部に断熱性ブロックを敷設する断熱工法を提供する。
【解決手段】路盤に圧縮強さが5MPa以上でかつ熱伝導率が0.4W/mK以下である断熱性ブロックからなる層を敷設する。断熱性ブロックは、(a)に示すようにブロックどうしの間に隙間が生じないように密に敷設して、寒気ができるだけ入り込まないようにする。また、凍結深さの大きい地域においては、(b)に示すように断熱性ブロックを複数層重ねることにより、凍上抑制層に用いる置換材料を排除することが好ましい。このとき、断熱性ブロックの上層と下層の目地位置をずらすことにより凍結抑制効果をより高めることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、道路の凍上防止工法に関し、特に路盤の一部に断熱性ブロックを敷設する断熱工法に関する。
従来、寒冷地域における舗装は路床土の凍結融解の影響により破損することがあるので、その対策として必要な深さまで路床や路盤を砂利や砂などの凍結しにくい材料で置換した凍上抑制層を設ける工法が行われてきた。しかし、この工法では凍結深さの大きい地域においては大量の置換材料が必要となるため、大変な費用と労力がかかるという問題があった。そこで、路床や路盤の一部に断熱材料を敷設することにより、凍上抑制層の厚さを低減して置換材料の使用量を抑制する断熱工法が開発された。
断熱工法で用いられる断熱材料としては発泡プラスチックを粒状、板状などの形態で用いる例が多く知られている(たとえば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
発泡プラスチックを用いる断熱工法で主に実用されているのは、押出成型された発泡スチロール板を断熱材料として用いる工法である。
特開昭47−17245号公報 特開昭49−92826号公報 特開2003−20604号公報 特開2004−285707号公報
しかし、従来の断熱工法では、次のような問題点があった。
(1)従来の断熱工法で実用されている断熱材料である押出成型された発泡スチロールは圧縮強さが小さいため、保護層として上下に砂層を設ける必要があり施工が非効率的である(図3(c)参照)。
(2)従来の断熱工法で実用されている断熱材料の形状は板状であるため、断熱材料を平坦に敷設するためには下地となる砂層を念入りに均す必要があり施工が非効率的である。
(3)従来の断熱工法で実用されている断熱材料の形状は板状であるため、施工時に風であおられるなど取り扱いが困難である。
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決して断熱工法による路盤の構築により適した方法を提供することにある。
本発明の路盤の断熱工法は、圧縮強さが5MPa以上でかつ熱伝導率が0.4W/mK以下である断熱性ブロックからなる層を路盤の一部に敷設することを特徴とする。
本発明の路盤の断熱工法は、上記の方法において、断熱性ブロックが、非透水性および非腐食性を有することを特徴とする。
本発明の路盤の断熱工法は、上記の方法において、断熱性ブロックが、廃プラスチックブロック、木材ブロックまたは中空セラミックブロックからなることを特徴とする。
本発明の路盤の断熱工法は、上記の方法において、木材ブロックが、表面に非透水性で非腐食性の被覆層をもつ木材片からなることを特徴とする。
本発明の路盤の断熱工法によれば、次のような効果が得られる。
(1)本発明の断熱性ブロックはローラによる締固め荷重に耐えられる圧縮強さを有しているので、断熱性ブロック層の上下に保護層としての砂層を設ける必要がなく施工効率がよい。
(2)断熱性ブロックを使用することにより、下地となる路床や路盤に多少の不陸があってもこれに追従してブロックを敷設することができるとともに、断熱性ブロック層の上に路盤層を設けることによりこれらの不陸を修正できる。
(3)本発明の断熱性ブロックは形状がブロック状であるため、施工時に風であおられるなどの恐れがなく取り扱いが容易である。
(4)従来の断熱工法における下層路盤および断熱層に代えて断熱性ブロック層を設けるので、舗装断面を薄くすることができ材料を節約することができる。
図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は各種材料の密度と圧縮強さとの関係を表す対数グラフであるが、この図より分かるとおり各材料の密度と圧縮強さとの間には相関関係がある。例えば、プラスチックは密度1g/cm程度で圧縮強さ100MPa程度だが、断熱性ブロックを作成するために密度を0.5g/cm程度としても圧縮強さは30MPa程度であり本発明の断熱性ブロックとして用いるためには十分な強度が得られる。
図2は各種材料の密度と熱伝導率との関係を表す対数グラフであるが、この図より分かるとおり各材料の密度と熱伝導率との間には相関関係がある。例えば、密度が0.5g/cm程度の材料であれば熱伝導率は0.1W/mK程度であり、本発明の断熱性ブロックとして用いるためには十分な熱伝導率である。
したがって、本発明で用いる断熱性ブロックの材質としては、廃プラスチックなどのプラスチック、木材、中空セラミックなどをあげることができるが、軽量で作業性がよい点および資源を有効活用できる点から廃プラスチックまたは建築廃材や製材所から出る廃材などの木材片を用いることが好ましい。
本発明の断熱性ブロックは非透水性および非腐食性を有することが好ましい。このような材質の断熱性ブロックを用いることにより断熱性ブロック層よりも下層にある路床や路盤への水の浸入を抑制することができ、舗装の強度を長期間にわたり維持することができる。
木材としては、ブロック状に切断された木材片が好ましく、経済性も考慮すると、建築廃材や製材所から出る柱その他の廃材などが好ましく用いられる。これらの木材片は表面を非透水性且つ非腐食性の被覆で覆って用いることが好ましい。このような被覆材としてはブローンアスファルト等のアスファルトが特に好ましく用いられる。
本発明で用いる断熱性ブロックの平面形状としては路床や路盤を隙間がなく覆うことができるものが好ましく、例えば三角形、四角形および六角形のブロックを用いることができる。また、断熱性ブロックの大きさは特に限定されないが、施工性を考慮すると一辺が5〜30cm程度、厚さが5〜20cm程度のブロックを用いることが好ましい。
本発明では路盤の一部に上記の断熱性ブロックを層状に敷設するが、その位置は、路床の上、即ち下層路盤に相当する位置が好ましい。
次に、図3および図4に基づいて本発明の断熱工法の施工方法を説明する。
図3(a)は、本発明の断熱工法により構築された舗装の構成を示す断面図である。本発明の断熱工法によれば、圧縮強さが大きい断熱性ブロックを用いるので、断熱性ブロック層の上に直接上層路盤材を敷き均してローラで締め固めても断熱性ブロックが破損する恐れがなく、断熱性ブロック層の上下に保護層としての砂層を設ける必要がない。また、従来の断熱工法における下層路盤および断熱層に代えて断熱性ブロック層のみを設けた場合でも、従来の断熱工法と同程度の断熱効果を得ることができる。したがって、砂層および下層路盤に用いる材料が不要となるとともに、砂層および下層路盤の施工に要する労力も不要となるので、作業効率がよい。
断熱性ブロックは、図4(a)に示すようにブロックどうしの間に隙間が生じないように密に敷設して、寒気ができるだけ入り込まないようにする。また、凍結深さの大きい地域においては、図4(b)に示すように断熱性ブロックを複数層重ねることにより、凍上抑制層に用いる置換材料を排除することが好ましい。このとき、断熱性ブロックの上層と下層の目地位置をずらすことにより凍結抑制効果をより高めることができる。
断熱性ブロックは人力により敷設してもよいが、施工効率を考慮すると機械により施工することが好ましい。例えば、断熱性ブロックの製造工場などで断熱性ブロックを縦1m×横1m程度の範囲に並べたものを仮梱包して1ユニットとし、各ユニットを施工現場へ搬入してクランプ式フォークリフトなどを用いてユニットごと施工箇所へ運搬して敷設する方法などがある。
本発明の効果を確認するために、次のような試験施工を行った。
試験ヤードをA〜Dの4工区に分けて、A工区を実施例としB〜D工区を比較例1〜3とした(各工区の幅員は10m、延長は20m)。A工区に関しては、表1および図3(a)に示すように、路床上に断熱材として大きさが縦10cm×横10cm×長さ10cmの木材ブロックを2層敷設して下層路盤とした。
B工区に関しては、表1および図3(b)に示すように、路床上に断熱材として大きさが縦90cm×横180cm×厚さ3cmの板状発泡スチロールを敷設した。そして、敷設した断熱材の上に下層路盤材としてクラッシャランC−40を敷き均して、10t級のタイヤローラで締め固めて仕上げた。下層路盤の仕上がり厚さは20cmである。
C工区に関しては、表1および図3(c)に示すように、路床上に断熱材として大きさが縦90cm×横180cm×厚さ3cmの板状発泡スチロールを敷設した。このとき、板状発泡スチロールの上下層には保護層として厚さ5cmの砂層を設けた。そして、砂層の上に下層路盤材としてクラッシャランC−40を敷き均して、10t級のタイヤローラで締め固めて仕上げた。
D工区に関しては断熱層を設けずに、表1および図3(d)に示すように、路床上に下層路盤材としてクラッシャランC−40を敷き均して、10t級のタイヤローラで締め固めて仕上げた。
各工区の路床面から深さ10cmの箇所に熱電対を設置して、温度を測定できるようにした(表1における路床面温度)。A〜C工区に関しては断熱材の上面にも熱電対を設置して、温度を測定できるようにした(表1における断熱材上面温度)。各工区の下層路盤の上には、さらに上層路盤(粒度調整砕石、M−30)、基層(粗粒度アスファルト混合物)および表層(密粒度アスファルト混合物)を施工した。施工から1ヶ月後、各工区の路床温度および断熱材の状態を確認した。このときの気温は−8℃であった。
各工区の路床面温度およびA〜C工区の断熱材上面温度を測定したところ表1に示す結果となった。また、A〜C工区の舗装を掘り起こして木材ブロックおよび板状発泡スチロールの状態を確認したところ、A工区の木材ブロックおよびC工区の板状発泡スチロールは破損が見られなかったが、B工区の板状発泡スチロールはタイヤローラの締固め荷重によるものと思われる破損が多く見られた。
試験施工の結果より、本発明の断熱工法によれば、従来の断熱工法と同程度の断熱効果があり路床の凍上を抑制することができることが確認できた。また、本発明の断熱工法によれば、タイヤローラによる締固め荷重により断熱性ブロックが破損することがなく、断熱性ブロック層の上下に保護層としての砂層を設ける必要がないことが確認できた。
Figure 2007132066
各種材料の密度と圧縮強さとの関係を表す対数グラフ。 各種材料の密度と熱伝導率との関係を表す対数グラフ。 道路の層構成を示す断面図。 本発明の断熱性ブロックの敷設例を示す部分断面図。

Claims (4)

  1. 圧縮強さが5MPa以上でかつ熱伝導率が0.4W/mK以下である断熱性ブロックからなる層を路盤の一部に敷設することを特徴とする路盤の断熱工法。
  2. 前記断熱性ブロックが、非透水性および非腐食性を有することを特徴とする請求項1に記載の路盤の断熱工法。
  3. 前記断熱性ブロックが、廃プラスチックブロック、木材ブロックまたは中空セラミックブロックからなることを特徴とする請求項1または2に記載の路盤の断熱工法。
  4. 前記木材ブロックが、表面に非透水性で非腐食性の被覆層をもつ木材片からなることを特徴とする請求項3に記載の路盤の断熱工法。
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