JP2007129584A - 送信回路および高調波抑圧方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】送信周波数帯域が異なる複数の増幅器を有する送信回路において、動作中の増幅器で発生し、非動作中の増幅器に干渉した高調波を抑圧することができる送信回路、および高調波抑圧方法を実現する。
【解決手段】動作中の送信電力増幅器1の出力信号中の高調波7Aの電流の位相を移相する移相部8と、非動作中の送信電力増幅器2へ干渉した高調波7Bの電流の位相を移相する移相部9とを備えている。さらに、移相部8および9によって移相された高調波7Aおよび7Bを互いにカップリングするカップリング回路10を備えている。これにより、動作中の送信電力増幅器1で発生し、非動作中の送信電力増幅器2に干渉した高調波7Bを抑圧することができる。
【選択図】図1
【解決手段】動作中の送信電力増幅器1の出力信号中の高調波7Aの電流の位相を移相する移相部8と、非動作中の送信電力増幅器2へ干渉した高調波7Bの電流の位相を移相する移相部9とを備えている。さらに、移相部8および9によって移相された高調波7Aおよび7Bを互いにカップリングするカップリング回路10を備えている。これにより、動作中の送信電力増幅器1で発生し、非動作中の送信電力増幅器2に干渉した高調波7Bを抑圧することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、送信周波数帯域が異なる複数の送信電力増幅器を有する送信回路において、動作中の送信電力増幅器で発生し、非動作中の送信電力増幅器に干渉した高調波を抑圧することができる送信回路に関するものである。
従来から、送信周波数帯域が異なる複数の送信電力増幅器を有する送信回路が、移動通信端末等に広く用いられている。それに伴い、上記送信電力増幅器において、送信波の電力増幅を行うときに発生する上記送信波の高調波が問題となっている。なお、以下では、上記送信電力増幅器を単に「増幅器」と記載する。
詳細に説明すると、上記のような送信回路に小型化が求められるのは必然であり、その結果、複数の増幅器が実装パッケージ、またはチップ内で近接配置されてしまう。これにより、一方の増幅器が動作しているときに、すなわち送信波の電力増幅を行っているときに、上記一方の増幅器で発生する上記送信波の高調波が、他方の動作していない増幅器に干渉してしまう、という問題を生じていた。
そこで、上記高調波を抑圧する様々な送信回路が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、それぞれの増幅器の出力端子に、それぞれの増幅器の所望周波数帯域を通過し、上記高調波を遮断するローパスフィルタ(以下、LPFとする)をそれぞれ設け、上記高調波を抑圧する送信回路が開示されている。
詳細には、図11に示すように、特許文献1の送信回路110は、低周波帯域用の増幅器101、高周波帯域用の増幅器102、低周波帯域用の増幅器101の出力端子に接続された低周波帯域用のLPF103、高周波帯域用の増幅器102の出力端子に接続された高周波帯域用のLPF104、ダイプレクサ105、およびアンテナ106を備えている。
上述のように、低周波帯域用の増幅器101の出力端子に低周波帯域用のLPF103、および高周波帯域用の増幅器102の出力端子に高周波帯域用のLPF104をそれぞれ設けることにより、低周波帯域用の増幅器101または高周波帯域用の増幅器102からそれぞれ発生する上記高調波を抑圧している。
特開2002−76953号公報(2002年3月15日公開)
Richard Abrahams著 「Troubleshooting Dual-Band WLAN Radios」 2003年 インターネット<http://WWW.wsdmag.com/Articles/Print.cfm?ArticleID=6578>
しかしながら、例えば、高周波帯域用の増幅器102の所望周波数帯域が、低周波帯域用の増幅器101の所望周波数帯域の略2倍である場合、低周波帯域用の増幅器101から発生し、高周波帯域用の増幅器102に干渉した2次高調波を、送信回路110では抑圧することができない。
詳細に説明すると、高周波帯域用の増幅器102の周波数帯域が、低周波帯域用の増幅器101の周波数帯域の略2倍である場合、上記2次高調波は、高周波帯域用の増幅器102の周波数帯域と略同じ周波数となる。そして、上記2次高調波が、極めて微少(−50dB程度)ながら高周波帯域用の増幅器102に干渉すると、高周波帯域用のLPF104に入力されることとなるが、高周波帯域用のLPF104では当然のことながら、上記2次高調波を遮断することができない。同様に、ダイプレクサ105においても減衰させることはできず、上記2次高調波がアンテナ106より出力されてしまう。このような高調波の干渉は、それ自体は極めて微少であるが、通信回路においては重大な問題となる。
そこで、上記問題を解決する手段として、非特許文献1には、低周波帯域用の増幅器の出力端子に、高調波を除去するためのトラップ回路が設けられている送信回路が開示されている。
詳細には、図12に示すように、非特許文献1の送信回路210は、低周波帯域用の増幅器201、高周波帯域用の増幅器202、低周波帯域用の増幅器201の出力端子に接続された低周波帯域用のLPF203、高周波帯域用の増幅器202の出力端子に接続された高周波帯域用のLPF204、ダイプレクサ205、スイッチ回路206、アンテナ207、および低周波帯域用の増幅器201と低周波帯域用のLPF203との間に接続されたトラップ回路208を備えている。
上述のように、低周波帯域用の増幅器201と低周波帯域用のLPF203との間にトラップ回路208を設けることにより、低周波帯域用の増幅器201から発生する上記2次高調波を抑圧している。すなわち、上記2次高調波が、高周波帯域用の増幅器202へ干渉すること自体を抑制している。
ところが、図示のように、点線で示した箇所において上記2次高調波が干渉すれば、トラップ回路208にて上記2次高調波を抑圧することが可能であるが、上記2次高調波の干渉が、上記点線で示した箇所より低周波帯域用の増幅器201側で起こった場合は、抑圧することができないという問題を生じる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、非動作中の高周波帯域用の増幅器に干渉した上記高調波を抑圧する送信回路を実現することである。
本発明に係る送信回路は、上記課題を解決するために、送信波の電力増幅を行う送信電力増幅器を複数有し、選択した1つの送信電力増幅器を動作させて上記送信波を送信する送信回路において、動作中の送信電力増幅器から非動作中の送信電力増幅器へ干渉した上記送信波の所定次数の高調波の電流である第1の電流と、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記高調波の電流である第2の電流とが互いに位相差を有するように、上記第1の電流と上記第2の電流との少なくとも一方の移相を行う移相手段と、上記移相手段によって位相差を与えられた上記第1の電流と上記第2の電流とのカップリングを行うカップリング手段とを備え、上記カップリングにより上記第1の電流を減衰させることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記送信回路は、まず、上記移相手段により、上記第1の電流と上記第2の電流とを互いに位相差を有するように移相し、その後、上記カップリング手段により、上記第1の電流と上記第2の電流とをカップリングし、このカップリングにより第1の電流を減衰させる。これにより、上記非動作中の送信電力増幅器へ干渉した上記第1の電流を、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記第2の電流を用いて抑圧することができるという効果を奏する。
本発明に係る送信回路は、上記の構成に加えて、上記移相手段による移相は、伝送線路長の調整により行われていることが好ましい。
例えば、上記移相手段による移相が、上記高調波を反射させて移相させる方法、すなわち、上記伝送線路にインダクタやコンデンサ等を挿入して、上記高調波を反射させ移相させる方法であるとする。このような方法を用いた場合、上記伝送線路にインダクタやコンデンサ等を挿入するため、入出力インピーダンス特性が変化するだけでなく、挿入損失が生じる。
これに対して、本発明では、上記移相手段による移相が、上記伝送線路長の調整を行うことにより行われているため、上記のような入出力インピーダンス特性の変化や損失を小さくしながら、上記第1の電流と上記第2の電流とを移相することができるというさらなる効果を奏する。
本発明に係る送信回路は、上記の構成に加えて、上記カップリング手段は、コンデンサまたは分布結合伝送線路により構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記カップリング手段は、コンデンサまたは分布結合伝送線路により構成されている。これにより、低コストおよび小型化することができるというさらなる効果を奏する。
本発明に係る送信回路は、上記の構成に加えて、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記第2の電流を減衰するためのカップリング調整手段を備えていることが好ましい。
詳細に説明すると、上記非動作中の送信電力増幅器に干渉した上記第1の電流のレベルは、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記第2の電流のレベルに比べて極めて小さい。そのため、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記第2の電流と、上記非動作中の送信電力増幅器に干渉した上記第1の電流とをそのまま結合させても、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記第2の電流が消滅せず、残ってしまう虞がある。
そこで、上記の構成によれば、本発明に係る送信回路は、上記動作中の送信電力増幅器から発生した上記第2の電流を減衰させるためのカップリング調整手段を備えている。これにより、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記第2の電流が残ってしまうことなく、上記非動作中の送信電力増幅器へ干渉した上記第1の電流をより確実に抑圧することができるというさらなる効果を奏する。
本発明に係る送信回路の高調波抑圧方法は、上記課題を解決するために、送信波の電力増幅を行う送信電力増幅器を複数有し、選択した1つの送信電力増幅器を動作させて上記送信波を送信する送信回路の高調波抑制方法において、動作中の送信電力増幅器から非動作中の送信電力増幅器へ干渉した上記送信波の所定次数の高調波の電流である第1の電流と、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記高調波の電流である第2の電流とが互いに位相差を有するように、上記第1の電流と上記第2の電流との少なくとも一方の移相を行い、位相差を与えられた上記第1の電流と上記第2の電流とのカップリングを行い、上記カップリングにより上記第1の電流を減衰させることを特徴としている。
上記の方法によれば、上記高調波抑圧方法は、まず、上記第1の電流と上記第2の電流とを互いに位相差を有するように移相し、その後上記第1の電流と上記第2の電流とをカップリングし、このカップリングにより第1の電流を減衰させる。これにより、上記非動作中の送信電力増幅器へ干渉した上記第1の電流を、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記第2の電流を用いて抑圧することができるという効果を奏する。
本発明に係る送信回路は、上記移相手段と上記カップリング手段とを備えており、カップリングにより第1の電流を減衰させるため、上記非動作中の送信電力増幅器に干渉した上記高調波を抑圧することができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図5に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本実施の形態では、説明の簡単化のために、非動作中の送信電力増幅器の所望周波数帯域を、動作中の送信電力増幅器の所望周波数帯域の略2倍とし、上記動作中の送信電力増幅器から発生し、上記非動作中の増幅器へ干渉した2次高調波の抑圧を行う場合を例として以下の説明を行う。
本発明の一実施形態について図1〜図5に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本実施の形態では、説明の簡単化のために、非動作中の送信電力増幅器の所望周波数帯域を、動作中の送信電力増幅器の所望周波数帯域の略2倍とし、上記動作中の送信電力増幅器から発生し、上記非動作中の増幅器へ干渉した2次高調波の抑圧を行う場合を例として以下の説明を行う。
図1は、本実施の形態1に係るデュアルバンド無線送信回路11の構成を示している。
デュアルバンド無線送信回路11は、送信電力増幅器1(動作中の送信電力増幅器)、2(非動作中の送信電力増幅器)、ダイプレクサ4、スイッチ5、アンテナ6、移相部8、9(移相手段)、およびカップリング回路10(カップリング手段)から構成されており、送信電力増幅器1または2に入力される送信波を増幅してアンテナ6より送信する機能を有している。
送信電力増幅器1および2は、それぞれに最適化された所望周波数の上記送信波を増幅して出力するためのものであり、実装パッケージ3、またはチップ3内に近接して配置されている。なお、以下では、送信電力増幅器1および2を単に「増幅器1および2」と記載する。
増幅器2の所望周波数帯域は、増幅器1の所望周波数帯域の略2倍であり、増幅器1は低周波帯域用の増幅器、増幅器2は高周波帯域用の増幅器である。例えば、増幅器1を周波数帯域が2.4GHz〜2.5GHzであるIEEE.802.11b/g用、増幅器2を周波数帯域が4.9GHz〜5.9GHzであるIEEE.802.11a用とすればよい。なお、IEEE.802.11b/gおよびIEEE.802.11aは無線LANの規格である。
ダイプレクサ4は、増幅器1の所望周波数帯域の出力信号と増幅器2の所望周波数帯域の出力信号とを通過させ、それ以外の周波数帯域の信号は減衰させるためのものである。
スイッチ5は、アンテナ6をデュアルバンド無線送信回路11または受信回路に接続するためのものである。
アンテナ6は、信号の送信または受信を行うためのものである。
移相部8および9は、増幅器1にて送信波の電力増幅を行うときに発生し、増幅器2へ干渉した上記送信波の2次高調波7Bの電流(第1の電流)と、増幅器1の上記出力信号中の2次高調波7Aの電流(第2の電流)とが互いに位相差を有するように移相するためのものである。ここでは、例として、互いに180°異なった逆相となるように移相する。詳細は後述する。なお、移相部8および9により、1つの移相手段が構成されている。また、以下の説明において、「逆相とする移相」は電流に対して行うものであることが明らかであるため、「電流」という表現を省略する。
カップリング回路10は、移相部8および9にて位相が互いに180°異なる逆相となった2次高調波7Aおよび2次高調波7Bを互いにカップリングするためのものである。詳細は後述する。
次に、以上のような構成を備えるデュアルバンド無線送信回路11において、増幅器1を動作させる場合(すなわち、増幅器2は非動作)を想定して、デュアルバンド無線送信回路11の動作説明を行う。
まず、増幅器1に入力された上記送信波は、増幅器1で増幅されて出力される。このとき、同時に、上記送信波の高調波成分が発生するが、該高調波のうち、増幅器2の所望周波数帯域が、増幅器1の所望周波数帯域の略2倍であるため、2次高調波7Aが問題となる。
詳細に説明すると、増幅器1から発生する2次高調波7Aの周波数に近接した範囲で、増幅器2の所望周波数帯域が最適化されているため、2次高調波7Aが増幅器2へ干渉する(2次高調波7B)。なお、2次高調波7Bの干渉を図中の点線の矢印で示しているが、2次高調波7Bの干渉は、上記点線の矢印部分のみで起こるわけではない。(図1以外の図面においても同様)
次に、増幅器1の出力信号中の2次高調波7Aは、移相部8により移相され、増幅器2に漏れ出た2次高調波7Bは、移相部9により移相され、2次高調波7Aの位相と2次高調波7Bの位相とが180°異なった逆相となる。その後、移相部8、9により、互いに180°異なった位相を有する2次高調波7Aおよび2次高調波7Bは、カップリング回路10で結合され、互いに打ち消し合い相殺される。そして、上記出力信号は、ダイプレクサ4、スイッチ5を介してアンテナ6より放射される。
次に、増幅器1の出力信号中の2次高調波7Aは、移相部8により移相され、増幅器2に漏れ出た2次高調波7Bは、移相部9により移相され、2次高調波7Aの位相と2次高調波7Bの位相とが180°異なった逆相となる。その後、移相部8、9により、互いに180°異なった位相を有する2次高調波7Aおよび2次高調波7Bは、カップリング回路10で結合され、互いに打ち消し合い相殺される。そして、上記出力信号は、ダイプレクサ4、スイッチ5を介してアンテナ6より放射される。
以上のように、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bは、移相部8、9によって、互いに180°異なった位相を有するように移相され、その後、カップリング回路10で結合されることにより相殺される。これにより、非動作中の増幅器2に干渉した2次高調波7Bを動作中の増幅器1から発生する2次高調波7Aを用いて抑圧することができる。
次に、移相部8、9およびカップリング回路10の具体例について、図2および図3を用いて説明する。
図2は、デュアルバンド無線送信回路11における移相部8、9およびカップリング回路10を具体的な構成例で示したデュアルバンド無線送信回路11Aを示しており、図3は、デュアルバンド無線送信回路11におけるカップリング回路10の他の具体的な構成例で示したデュアルバンド無線送信回路11Bを示している。
まず、移相部8および9は、図2に示すように、伝送線路(マイクロストリップライン)長を例えばL1、L0等に調整することで2次高調波7Aの位相と2次高調波7Bの位相とを互いに180°異なった逆相に移相している。この伝送線路長の調整は、2次高調波7Bのレベルに基づいて、シミュレータ等で最適な長さを設定している。
ところで、移相部8および9は、上述した構成に限られるわけではなく、2次高調波7Aの位相と2次高調波7Bの位相とを互いに180°異なった逆相に移相できればどのような方法でもよい。例えば、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bを反射させて移相させる方法、すなわち、上記伝送線路にインダクタやコンデンサ等を挿入して、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bを反射させ移相させる方法でもよい。しかしながら、このような方法を用いた場合は、上記伝送線路にインダクタやコンデンサ等を挿入するため、入出力インピーダンス特性が変化するだけでなく、挿入損失が生じる。そのため、伝送線路長の調整により移相を行う構成のほうが好ましい。
また、上述したように2次高調波7Aの位相と2次高調波7Bの位相とを互いに180°異なった逆相に移相できればよいため、移相部はいくつ設けてもよい。さらに、移相部は、2次高調波7Aのみを移相するように設けてもよいし、2次高調波7Bのみを移相するように設けてもよい。
次に、カップリング回路10は、図2のように、MIMキャパシタ等のコンデンサ13を用い、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bが結合されるように、上記コンデンサの値を調節することにより、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bを結合して相殺している。また、図3に示すように、分布結合伝送線路15を用いてもよい。この場合も同様に、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bが結合されるように、分布結合伝送線路15の線路幅、線路長を調節することにより、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bを結合して相殺している。
なお、カップリング回路10においても、上述した構成に限られるわけではなく、2次高調波7Aと2次高調波7Bとを結合できればどのような方法でもよい。
次に、デュアルバンド無線送信回路11において、移相部8、9およびカップリング回路10を備えているか否かにおける増幅器2の2次高調波7Bレベルのシミュレーション結果を図4および図5を用いて示す。
図4は、デュアルバンド無線送信回路11において、移相部8、9およびカップリング回路10を備えていない場合の増幅器2の2次高調波7Bレベルを示しており、図5は、デュアルバンド無線送信回路11において、移相部8、9およびカップリング回路10を備えている場合の増幅器2の2次高調波7Bレベルを示している。なお、図4および図5に示されているグラフの縦軸は、上記それぞれの場合の増幅器2の2次高調波7Bレベルを示しており、横軸は増幅器2の所望周波数を示している。
図示から明らかなように、移相部8、9およびカップリング回路10を備えていない場合の増幅器2の2次高調波7Bに比べて、移相部8、9およびカップリング回路10を備えている場合の増幅器2の2次高調波7Bが効果的に抑圧されていることがわかる。
例えば、増幅器2の所望周波数を5GHzとした場合、移相部8、9およびカップリング回路10を備えていない場合の増幅器2の2次高調波7Bは、図4より約−43dBであるが、移相部8、9およびカップリング回路10を備えている場合の増幅器2の2次高調波7Bは、図5より約−58dBとなっていることがわかる。
以上のように、本実施の形態1に係るデュアルバンド無線送信回路11は、増幅器1において発生し、増幅器2へ干渉した2次高調波7Bの位相と、増幅器1の上記出力信号中の2次高調波7Aの位相とを、互いに180°異なった逆相となるように移相する移相部8および9と、移相部8および9にて位相が互いに180°異なる逆相となった2次高調波7Aおよび2次高調波7Bをカップリングして相殺するカップリング回路10とを備えているため、非動作中の増幅器2に干渉した2次高調波7Bを動作中の増幅器1から発生する2次高調波7Aを用いて効果的に抑圧することができる。
また、従来のように、LPFを用いることにより高調波を抑圧する構成とは違い、LPFを設ける必要がなく、送信回路をより小型化することができる。さらに、トラップ回路を設けることにより2次高調波7Bを抑圧する構成とは違い、カップリング回路10を2次高調波7Bが干渉すると予想される位置よりも充分後方、すなわちダイプレクサ4およびアンテナ6等に近い場所に設けるため、2次高調波7Bが干渉すると予想される位置に左右されることなく、2次高調波7Bを抑圧することができる。
ところで、本実施の形態1では、2つの送信電力増幅器1、2を備えるデュアルバンド無線送信回路11を例として説明を行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、3つ以上の送信電力増幅器を有していてもよい。この場合は、3つ以上の送信電力増幅器のうち、上記動作中の増幅器と上記非動作中の増幅器の組み合わせ毎に、本実施の形態1と同様な構成を設ければよい。
また、本実施の形態1では、説明の簡単化のために、上記非動作中の増幅器の所望周波数帯域を、上記動作中の増幅器の所望周波数帯域の略2倍とし、上記動作中の増幅器から発生する2次高調波の抑圧を行う場合を例として説明を行ったが、これに限らず、上記動作中の増幅器から発生する任意次数の高調波の所望周波数帯域と上記非動作中の増幅器の所望周波数帯域とが重なる場合においても、本実施の形態1と同様な構成を適応することにより、上記非動作中の増幅器に干渉した高調波を抑圧することができる。
さらに、本実施の形態1では、移相部8、9により、2次高調波7Aの位相と2次高調波7Bの位相とを互いに180°異なった逆相に移相しているが、これに限られるものではなく、増幅器2へ干渉した2次高調波7Bの強度を減衰させるような位相差が得られるように、移相を行えばよい。このときも、移相部はいくつ設けてもよく、さらに、2次高調波7Aのみを移相するように設けてもよいし、2次高調波7Bのみを移相するように設けてもよい。
また、以上の説明は、全て無線送信回路について説明したが、有線送信回路にも適用することができる。
〔実施の形態2〕
本実施の形態2では、上記実施の形態1で記載したデュアルバンド無線送信回路11のカップリング回路10において、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bの相殺をより確実とするための構成例について、図6〜図8を用いて説明する。なお、図6〜図8は、デュアルバンド無線送信回路11Aに上記構成例を設けた場合を示している。
本実施の形態2では、上記実施の形態1で記載したデュアルバンド無線送信回路11のカップリング回路10において、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bの相殺をより確実とするための構成例について、図6〜図8を用いて説明する。なお、図6〜図8は、デュアルバンド無線送信回路11Aに上記構成例を設けた場合を示している。
図6は、デュアルバンド無線送信回路11Aにおいて、移相部8とコンデンサ13との間に、増幅器1の所望周波数帯域用のLPF17(カップリング調整手段)を接続したデュアルバンド無線送信回路20Aを示している。
図7は、デュアルバンド無線送信回路11Aにおいて、コンデンサ13と直列に抵抗18(カップリング調整手段)を接続したデュアルバンド無線送信回路20Bを示している。
図8は、デュアルバンド無線送信回路11Aにおいて、コンデンサ13と直列にインダクタ19(カップリング調整手段)を接続したデュアルバンド無線送信回路20Cを示している。なお、この場合は、インダクタ19、すなわちカップリング調整手段は移相部8に含まれる。
ところで、まず上記構成例を設けるほうが好ましい理由について説明すると、デュアルバンド無線送信回路11(11A)のコンデンサ13において、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bを結合して相殺するとき、2次高調波7Aのレベルと2次高調波7Bのレベルとを考慮して結合させることが好ましいためである。
詳細に説明すると、2次高調波7Bのレベルは、2次高調波7Aのレベルに比べて極めて小さい。そのため、2次高調波7Aと、2次高調波7Bとをそのまま結合させても、2次高調波7Aが消滅せず、残ってしまう虞がある。
そこで、本実施の形態2では、LPF17を移相部8とコンデンサ13との間に、もしくは、抵抗18またはインダクタ19をコンデンサ13と直列に設けることで、2次高調波7Aを2次高調波7Bのレベルに合わせて減衰させている。その結果、コンデンサ13において2次高調波7Aをより干渉させることなく、2次高調波7Aおよび2次高調波7Bの結合を行うことができ、2次高調波7Bをより確実に抑圧することができる。
ところで、LPF17は、移相部8とコンデンサ13との間に設けられているが、この構成に限られるわけではなく、2次高調波7Aを2次高調波7Bのレベルに合わせて減衰させることができればよいため、増幅器1と移相部8との間に設けられていてもよい。
また、デュアルバンド無線送信回路11AにそれぞれLPF17、抵抗18、およびインダクタ19が設けられているが、この構成に限られるわけではなく、デュアルバンド無線送信回路11Bに設けられていても、上述したような効果を得ることができる。
さらに、2次高調波7Aを2次高調波7Bのレベルに合わせて減衰させる構成は上記の構成に限られるわけではなく、例えば、LPF17と抵抗18、LPF17とインダクタ19とを共にデュアルバンド無線送信回路11Aおよび11Bに設けてもよい(不図示)。この場合、2次高調波7Bのレベルに合わせて、さらなる2次高調波7Aの減衰効果を望める。
〔実施の形態3〕
本実施の形態3では、上記実施の形態1で記載したデュアルバンド無線送信回路11(11Aおよび11B)において、増幅器2の高調波を除去する必要がある場合、またはそのようなシステムのための構成例について、図9および図10を用いて説明する。
本実施の形態3では、上記実施の形態1で記載したデュアルバンド無線送信回路11(11Aおよび11B)において、増幅器2の高調波を除去する必要がある場合、またはそのようなシステムのための構成例について、図9および図10を用いて説明する。
図9は、デュアルバンド無線送信回路11Aにおいて、コンデンサ13とダイプレクサ4との間に、増幅器2の所望周波数帯域用のLPF21を接続した構成を示しており、図10は、デュアルバンド無線送信回路11Bにおいて、コンデンサ13とダイプレクサ4との間に、増幅器2の所望周波数帯域用のLPF21を接続した構成を示している。
図示のように、増幅器2の所望周波数帯域用のLPF21を設けることで、増幅器2の高調波を除去する必要がある場合、またはそのようなシステムにおいても、本実施の形態に係るデュアルバンド無線送信回路11(11Aおよび11B)を使用することができる。
また、上記実施の形態2で記載したデュアルバンド無線送信回路20A、20B、および20Cにおいても、増幅器2の所望周波数帯域用のLPF21を設けることで、上述のような効果を望める。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の送信回路は、有線、無線を問わず、送信回路に好適に適応できる。
1 増幅器1(動作中の増幅器)
2 増幅器2(非動作中の増幅器)
8 移相部(移相手段)
9 移相部(移相手段)
10 カップリング回路(カップリング手段)
11 送信回路
17 LPF(カップリング調整手段)
18 抵抗(カップリング調整手段)
19 インダクタ(カップリング調整手段)
2 増幅器2(非動作中の増幅器)
8 移相部(移相手段)
9 移相部(移相手段)
10 カップリング回路(カップリング手段)
11 送信回路
17 LPF(カップリング調整手段)
18 抵抗(カップリング調整手段)
19 インダクタ(カップリング調整手段)
Claims (5)
- 送信波の電力増幅を行う送信電力増幅器を複数有し、選択した1つの送信電力増幅器を動作させて上記送信波を送信する送信回路において、
動作中の送信電力増幅器から非動作中の送信電力増幅器へ干渉した上記送信波の所定次数の高調波の電流である第1の電流と、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記高調波の電流である第2の電流とが互いに位相差を有するように、上記第1の電流と上記第2の電流との少なくとも一方の移相を行う移相手段と、
上記移相手段によって位相差を与えられた上記第1の電流と上記第2の電流とのカップリングを行うカップリング手段とを備え、
上記カップリングにより上記第1の電流を減衰させることを特徴とする送信回路。 - 上記移相手段による移相は、伝送線路長の調整により行われていることを特徴とする請求項1記載の送信回路。
- 上記カップリング手段は、コンデンサまたは分布結合伝送線路により構成されていることを特徴とする請求項1記載の送信回路。
- 上記送信回路は、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記第2の電流を減衰させるためのカップリング調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の送信回路。
- 送信波の電力増幅を行う送信電力増幅器を複数有し、選択した1つの送信電力増幅器を動作させて上記送信波を送信する送信回路の高調波抑制方法において、
動作中の送信電力増幅器から非動作中の送信電力増幅器へ干渉した上記送信波の所定次数の高調波の電流である第1の電流と、上記動作中の送信電力増幅器の出力信号中の上記高調波の電流である第2の電流とが互いに位相差を有するように、上記第1の電流と上記第2の電流との少なくとも一方の移相を行い、
位相差を与えられた上記第1の電流と上記第2の電流とのカップリングを行い、
上記カップリングにより上記第1の電流を減衰させることを特徴とする送信回路の高調波抑圧方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005321507A JP2007129584A (ja) | 2005-11-04 | 2005-11-04 | 送信回路および高調波抑圧方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102481756A (zh) * | 2009-08-07 | 2012-05-30 | 伊美克斯株式会社 | 导电性高分子复合结构体、导电性高分子复合结构体的制造方法以及驱动器元件 |
-
2005
- 2005-11-04 JP JP2005321507A patent/JP2007129584A/ja active Pending
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