JP2007127929A - フォトニックバンドギャップファイバとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造が容易であり、導波帯域幅が広く、伝送損失が低いフォトニックバンドギャップファイバ(PBGF)の提供。
【解決手段】石英部分2に多数の空孔1がファイバ長手方向に沿って設けられ、ファイバ横断面において多数の空孔が、中心の石英部分を空孔が囲んでなるセルが多数連結された状態となるように配置されたハニカム格子構造をクラッド4に有するPBGFであって、ファイバ中心部に多数の空孔が最密充填構造で並べられたコア3を有することを特徴とするPBGF。
【選択図】図3
【解決手段】石英部分2に多数の空孔1がファイバ長手方向に沿って設けられ、ファイバ横断面において多数の空孔が、中心の石英部分を空孔が囲んでなるセルが多数連結された状態となるように配置されたハニカム格子構造をクラッド4に有するPBGFであって、ファイバ中心部に多数の空孔が最密充填構造で並べられたコア3を有することを特徴とするPBGF。
【選択図】図3
Description
本発明は、石英部分に多数の空孔がファイバ長手方向に沿って設けられたフォトニックバンドギャップファイバに関する。本発明のフォトニックバンドギャップファイバは、通常のフォトニックバンドギャップファイバに特有な表面モードを抑制することができ、ファイバの伝送帯域を広げることができる。また、通常の空孔コア(エアコア)ファイバと異なるエアコア構造を有しており、製造しやすい利点をもつ。この種のファイバは、極低損失光伝送、UV領域から可視光領域及び遠赤外領域における光伝送、ファイバレーザ光伝送などに用いることができる。
フォトニックバンドギャップファイバ(photonic bandgap fiber:以下、PBGFと記す。)は、空孔の周期構造をクラッドに用いることにより、そのフォトニックバンドギャップを利用して光をコアに閉じ込める。そのため、コアは空気であっても導波が可能である(非特許文献1参照。)。
しかし、クラッドに設けた空孔の周期構造がバンドギャップを形成しても、光がコア中心に集中するコアモードは、光がコアエッジ近傍の石英に集中する表面モードに結合し、大きな伝送損失をもたらすので、バンドギャップの波長帯域全域における光導波が得られない問題がある(非特許文献3参照。)。
図1に示すように、ファイバ横断面において多数の空孔が、中心の石英部分を空孔が囲んでなるセルが多数連結された状態となるように配置されたハニカム格子構造をクラッドに有するファイバ(非特許文献2参照。)であれば、前記表面モードを避けることができる。このハニカム格子のユニットセルを図2に示す。このユニットセルにおいて、隣接する空孔の中心間の距離をΛとし、空孔の直径をdとする。また、格子の周期性を表す基本ベクトルa1,a2は、それぞれx軸に対して30度と−30度に傾き、長さΓが√3Λである。この格子をクラッドに用いる場合、適切にコア領域を設定すると、コアとクラッド間に空孔層を設けることができる。その結果、表面モードを避けることができ、広い伝送帯域は実現できる(非特許文献4参照。)。また、格子に石英ロッドを使用するので、キャピラリが極端に薄くなり、空孔の形状が円形に留まらないことによるバンドギャップの縮小も避けることができる。
R. F. Cregan, B. J. Mangan, J. C. Knight, T. A. Birks, P. St. J. Russell, P. J. Roberts, and D. C. Allan, "Single-mode photonic band gap guidance of light in air," Science, vol. 285, no. 3, pp. 1537-1539, 1999. 小向哲郎、久保田寛和、川西悟基、山本貴司、田中正俊、木下貴陽、山口俊一郎、"超格子型フォトニックバンドギャップファイバの光学特性,"信学会エレクトロニクスソサイエティ大会、C−3−116,2004 J. A. West, C. M. Smith, N. F. Borrelli, D. C. Allan, and K. W. Koch, "Surface modes in air-core photonic band-gap fibers," Opt. Express, vol. 12, no. 8, pp. 1485-1496, 2004. H. K. Kim, J. Shin, S. Fan, M. J. F. Digonnet, and G. S. Kino, "Designing air-core photonic-bandgap fibers free of surface modes," IEEE J. Quant. Electron., vol. 40, no. 5, pp. 551-556, 2004. S. G. Johnson and J. D. Joannopoulos, "Block-iterative frequency-domain methods for Maxwell's equations in planewave basis," Opt. Express, vol. 8, no. 3, pp. 173-190, 2001.
R. F. Cregan, B. J. Mangan, J. C. Knight, T. A. Birks, P. St. J. Russell, P. J. Roberts, and D. C. Allan, "Single-mode photonic band gap guidance of light in air," Science, vol. 285, no. 3, pp. 1537-1539, 1999. 小向哲郎、久保田寛和、川西悟基、山本貴司、田中正俊、木下貴陽、山口俊一郎、"超格子型フォトニックバンドギャップファイバの光学特性,"信学会エレクトロニクスソサイエティ大会、C−3−116,2004 J. A. West, C. M. Smith, N. F. Borrelli, D. C. Allan, and K. W. Koch, "Surface modes in air-core photonic band-gap fibers," Opt. Express, vol. 12, no. 8, pp. 1485-1496, 2004. H. K. Kim, J. Shin, S. Fan, M. J. F. Digonnet, and G. S. Kino, "Designing air-core photonic-bandgap fibers free of surface modes," IEEE J. Quant. Electron., vol. 40, no. 5, pp. 551-556, 2004. S. G. Johnson and J. D. Joannopoulos, "Block-iterative frequency-domain methods for Maxwell's equations in planewave basis," Opt. Express, vol. 8, no. 3, pp. 173-190, 2001.
しかしながら、従来のエアコアファイバは、中心の石英ロッドや周囲のキャピラリを抜いてエアコア(空孔コア)を形成していたため、得られるファイバは異なる径をもつ空孔によって構成されることになり、製造し難い問題がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされ、容易に製造することができ、導波帯域幅が広く、伝送損失が低いPBGFの提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、石英部分に多数の空孔がファイバ長手方向に沿って設けられ、ファイバ横断面において多数の空孔が、中心の石英部分を空孔が囲んでなるセルが多数連結された状態となるように配置されたハニカム格子構造(但し、該格子の周期性を表す基本ベクトルa1,a2はそれぞれx軸に対して30度と−30度に傾き、それぞれの長さΓは√3Λ(但し、Λは隣接する空孔の中心間の距離を表す)である。)をクラッドに有するPBGFであって、ファイバ中心部に多数の空孔が最密充填構造で並べられたコアを有することを特徴とするPBGFを提供する。
本発明のPBGFにおいて、中心の空孔とそれを囲む1層目6個の空孔の合計7個の空孔からコアが形成されていてもよい。
本発明のPBGFにおいて、中心の空孔とそれを囲む1層目6個の空孔とそれを囲む2層目12個の空孔の合計19個の空孔からコアが形成されていてもよい。
本発明のPBGFにおいて、中心の空孔とそれを囲む1層目6個の空孔とそれを囲む2層目12個の空孔とそれを囲む3層目18個の空孔の合計37個の空孔からコアが形成されていてもよい。
本発明のPBGFにおいて、空孔直径dが、0.85Λ≦d≦Λ(但し、Λは隣接する空孔の中心間の距離である)の範囲内であることが好ましい。
本発明のPBGFにおいて、コアの周りに前記セルが連結してなる層が3層以上存在していることが好ましい。
本発明のPBGFにおいて、伝搬パワーの60%以上がコアの領域に集中するコアモードのみが存在し、伝搬パワーの40%以下がコアの領域以外に存在し、表面モードが実質的に存在しない光伝搬特性を有していることが好ましい。
本発明のPBGFにおいて、単一のコアモード(但し、縮退する全てのモードはモード数1とする)のみが存在することが好ましい。
本発明のPBGFにおいて、波長λが0.7≦Γ/λ≦1.1(但し、Γ=2Λである)を満たす範囲内でコアモードが存在する光伝搬特性を有していることが好ましい。
本発明のPBGFにおいて、波長λが1.3≦Γ/λ≦1.7(但し、Γ=2Λである)を満たす範囲内でコアモードが存在する光伝搬特性を有していることが好ましい。
また本発明は、石英製のキャピラリと石英ロッドとを、中心の石英ロッドをキャピラリが囲んでなるセルが多数連結された状態となるように組み合わせ、且つ中央の石英ロッド又は中央の石英ロッドとその周りの石英ロッドをキャピラリに置換してキャピラリコア領域とした石英ロッド入りキャピラリ束を作製し、次いでキャピラリ周囲の空間の圧力よりもキャピラリ内部空間の圧力を高く保持したまま、該石英ロッド入りキャピラリ束を加熱一体化してファイバ紡糸用母材を作製し、次いで該ファイバ紡糸用母材を紡糸して前述した本発明に係るPBGFを得ることを特徴とするPBGFの製造方法を提供する。
本発明のPBGFの製造方法において、前記キャピラリが断面円環状であり、前記石英ロッドが、キャピラリと外径の等しい断面円形状であることが好ましい。
本発明のPBGFの製造方法において、前記石英ロッド入りキャピラリ束を石英管の孔内に挿入した状態で一体化してファイバ紡糸用母材を作製することが好ましい。
本発明のPBGFの製造方法において、前記石英管の孔内に挿入したキャピラリ束のうち、キャピラリ内部空間のみを大気圧又はそれ以上の圧力に保持し、キャピラリ内部空間以外の空間部分を減圧状態として前記一体化を行うことが好ましい。
本発明のPBGFの製造方法において、前記石英ロッド入りキャピラリ束の横断面の中心にある1つの石英ロッドのみをキャピラリに置換してキャピラリコア領域を形成することが好ましい。
本発明のPBGFの製造方法において、前記石英ロッド入りキャピラリ束の横断面の中心にある1つの石英ロッドとその周りを囲む石英ロッドをキャピラリに置換してキャピラリコア領域を形成することが好ましい。
本発明のPBGFは、ハニカム格子構造をクラッドに有すると共に、ファイバ中心部に多数の空孔が最密充填構造で並べられたコアを有するものなので、製造の際にファイバ中心に位置する石英ロッドをキャピラリで置き換えることによってコアを構成することができるので、従来のエアコアファイバのように一つの大きな空孔でエアコアを形成しているファイバに比べると、ファイバ全体の空孔が同一の形状となり、格段に製造しやすくなる。
また、本発明のPBGFは、表面モードが発生せずにコアモードのみが存在する光学特性が得られ、導波帯域幅を広くすることができ、伝送損失を下げることができる。
また、本発明のPBGFは、表面モードが発生せずにコアモードのみが存在する光学特性が得られ、導波帯域幅を広くすることができ、伝送損失を下げることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図3は、本発明のPBGFの第1実施形態を示す図であり、図中、符号1は空孔、2は石英部分、3はコア、4はクラッドである。
図3は、本発明のPBGFの第1実施形態を示す図であり、図中、符号1は空孔、2は石英部分、3はコア、4はクラッドである。
本実施形態のPBGFは、石英部分2に多数の空孔1がファイバ長手方向に沿って設けられ、ファイバ横断面において多数の空孔1が、中心の石英部分2を空孔が囲んでなるセルが多数連結された状態となるように配置されたハニカム格子構造(但し、該格子の周期性を表す基本ベクトルa1,a2はそれぞれx軸に対して30度と−30度に傾き、それぞれの長さΓは√3Λ(但し、Λは隣接する空孔の中心間の距離を表す)である。)をクラッド4に有すると共に、ファイバ中心部に多数の空孔が最密充填構造で並べられたコア3を有する構成になっている。
本実施形態のPBGFのコア3(キャピラリコア)は、中心の空孔とそれを囲む1層目6個の空孔の合計7個の空孔から形成されている。なお、本発明のPBGFにおいて、空孔1以外の石英部分2の材質は、ファイバ全体で同一とすることができ、例えば、純粋石英(SiO2)などが好適に用いられるが、フッ素や酸化ゲルマニウムなどの屈折率調整用ドーパントを添加した石英ガラスなどを用いることもできる。
本発明の好ましい実施形態において、空孔直径dは、0.85Λ≦d≦Λ(但し、Λは隣接する空孔の中心間の距離である)の範囲内であることが好ましい。空孔直径dが前記範囲であれば、ファイバ全体にわたりほぼ均一な空孔1を有するハニカム格子構造を構築でき、良好な光学特性を得ることができる。
また、本発明のPBGFにおいて、コア3の周りに前記セルが連結してなる層が3層以上存在していることが好ましい。このハニカム格子構造の層数が2層以下であると光の閉じ込みが不十分になり、損失が大きくなる可能性がある。
また、本発明のPBGFにおいて、伝搬パワーの60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上がコアの領域に集中するコアモードであり、且つ表面モードが実質的に存在しない光学特性を有していることが好ましい。前記コアモードの割合が60%未満であると光が石英中に伝わるようになるので好ましくない。
本発明のPBGFにおいて、波長λが0.7≦Γ/λ≦1.1(但し、Γ=2Λである)を満たす範囲内でコアモードが存在する光伝搬特性を有していることが好ましい。前記Γ/λが0.7未満であるとバンドギャップが存在しなくなり、光が伝わらなくなり、またΓ/λが1.1を超えると同様にバンドギャップが存在せず光が伝わらなくなってしまう。
また、PBGFが高次バンドギャップで動作する場合、前記Γ/λは、1.3≦Γ/λ≦1.7の範囲内が好ましい。前記Γ/λが1.3未満であると高次バンドギャップ外にあり、動作しなくなり、またΓ/λが1.7を超えると高次バンドギャップの外にあり、動作しなくなってしまう。
本実施形態のPBGFは、ハニカム格子構造をクラッド4に有すると共に、ファイバ中心部に7個の空孔が最密充填構造で並べられたコア3(キャピラリコア)を有するものなので、製造の際にファイバ中心に位置する石英ロッドをキャピラリで置き換えることによってコアを構成することができるので、従来のエアコアファイバのように一つの大きな空孔でエアコアを形成しているファイバに比べると、ファイバ全体の空孔が同一の形状となり、格段に製造しやすくなる。
また、本実施形態のPBGFは、表面モードが発生せずにコアモードのみが存在する光学特性が得られ、導波帯域幅を広くすることができ、伝送損失を下げることができる。
また、本実施形態のPBGFは、表面モードが発生せずにコアモードのみが存在する光学特性が得られ、導波帯域幅を広くすることができ、伝送損失を下げることができる。
図4は、本発明のPBGFの第2実施形態を示す図であり、図中符号1〜4は前述した図3に示すPBGFと同じく、1は空孔、2は石英部分、3はコア、4はクラッドを表している。
本実施形態のPBGFは、中心の空孔とそれを囲む1層目6個の空孔とそれを囲む2層目12個の空孔の合計19個の空孔からコア3を形成していること以外は、前述した第1実施形態によるPBGFと同様の構成になっている。
本実施形態のPBGFは、ハニカム格子構造をクラッド4に有すると共に、ファイバ中心部に19個の空孔が最密充填構造で並べられたコア3(キャピラリコア)を有するものなので、製造の際にファイバ中心に位置する石英ロッドをキャピラリで置き換えることによってコアを構成することができるので、従来のエアコアファイバのように一つの大きな空孔でエアコアを形成しているファイバに比べると、ファイバ全体の空孔が同一の形状となり、格段に製造しやすくなる。
また、本実施形態のPBGFは、表面モードが発生せずにコアモードのみが存在する光学特性が得られ、導波帯域幅を広くすることができ、伝送損失を下げることができる。
また、本実施形態のPBGFは、表面モードが発生せずにコアモードのみが存在する光学特性が得られ、導波帯域幅を広くすることができ、伝送損失を下げることができる。
次に、本発明のPBGFの製造方法の一例を説明する。本例では、図3に示すように、ハニカム格子構造をクラッドに有し、且つファイバ中心に7個の空孔が最密充填配置で設けられたコア3(キャピラリコア)を備えたPBGFを製造する場合を説明する。
本製造方法では、まず、石英製のキャピラリと石英ロッドとを、中心の石英ロッドをキャピラリが囲んでなるセルが多数連結された状態となるように組み合わせ、且つ中央の石英ロッドをキャピラリに置換してキャピラリコア領域とした石英ロッド入りキャピラリ束を作製する。本製造方法で用いるキャピラリは、断面円環状であり、また石英ロッドは、キャピラリと外径の等しい断面円形状であることが好ましい。
本製造方法では、まず、石英製のキャピラリと石英ロッドとを、中心の石英ロッドをキャピラリが囲んでなるセルが多数連結された状態となるように組み合わせ、且つ中央の石英ロッドをキャピラリに置換してキャピラリコア領域とした石英ロッド入りキャピラリ束を作製する。本製造方法で用いるキャピラリは、断面円環状であり、また石英ロッドは、キャピラリと外径の等しい断面円形状であることが好ましい。
なお、本発明のPBGFの製造方法において、前記コア領域の形成方法は前記の例にのみ限定されず、製造するPBGFのコア構造に応じて適宜変更可能である。例えば、図4に示すPBGFを製造する場合には、ファイバ中心の石英ロッドとその外方1層目の6個の石英ロッドをキャピラリに置換して19個の空孔からなるキャピラリコア領域を形成する。
次に、前記石英ロッド入りキャピラリ束を加熱一体化してファイバ紡糸用母材を作製する。この加熱一体化工程は、従来のキャピラリ束を用いるPBGFの製造方法における加熱一体化と同様の装置及び方法を用いて実施することができる。
また、前記石英ロッド入りキャピラリ束は、石英管の孔内に挿入した状態で一体化してファイバ紡糸用母材とすることが望ましい。このように石英ロッド入りキャピラリ束を石英管の孔内に挿入した状態で一体化する場合には、キャピラリ周囲の空間内とキャピラリ内部空間との圧力やガス組成を個別に調整することが可能となり、キャピラリ内部空間の圧力を適当に調整しながら、キャピラリ同士間又はキャピラリと石英ロッド間の隙間を埋めることができる。この一体化の際にキャピラリ内部空間の圧力を適宜調整することで、キャピラリの空孔の断面形状をほぼ円形状に維持することができる。
石英管の孔内に石英ロッド入りキャピラリ束を挿入して一体化を行う場合、挿入した石英ロッド入りキャピラリ束のうち、キャピラリ内部空間のみを大気圧又はそれ以上の圧力に保持し、キャピラリ内部空間以外の空間部分を減圧状態として前記一体化を行うことが好ましい。
次に、前記のように作製したファイバ紡糸用母材を紡糸することによって、図3に示すPBGFを得る。
本製造方法では、ファイバ中心に位置する石英ロッドをキャピラリで置き換えることによってコアを構成することができるので、従来のエアコアファイバのように一つの大きな空孔でエアコアを形成しているファイバに比べると、ファイバ全体の空孔が同一の形状となるので、格段に製造しやすくなる。
本製造方法では、ファイバ中心に位置する石英ロッドをキャピラリで置き換えることによってコアを構成することができるので、従来のエアコアファイバのように一つの大きな空孔でエアコアを形成しているファイバに比べると、ファイバ全体の空孔が同一の形状となるので、格段に製造しやすくなる。
[実施例1]
図5に示すハニカム格子のバンド構造を図6に示す。ただし、周期構造は、空孔直径dが空孔のピッチΛと等しく、石英の屈折率n=1.45とした。図5において黒色部分が石英部分2、白色部分が空孔1を表す。また、バンド構造は、平面波展開法(非特許文献5参照)を用いて計算した。図6において、βは伝搬方向(周期構造と垂直な方向)の波数、Γ=√3Λ(=31/2Λ)はハニカム格子の格子定数、ωは角周波数、cは光速を表す。また、ライトラインは光が真空媒質中で伝搬するときの分散曲線を表し、バンドで囲まれる領域は、周期構造断面内にどの方向にも光が伝搬できない領域、すなわちバンドギャップを表す。ファイバのクラッドにこの周期構造を用い、コアに空孔を用いた場合、ファイバのコアに光が導波可能になる帯域はライトラインに隣接し、その上部に存在するバンドギャップとなる。この場合、Γ/λ(=ωΓ/2πc)=0.75〜0.97の範囲で第1導波領域、1.32〜1.64で第2導波領域が存在する。ここでλは波長を表す。
図5に示すハニカム格子のバンド構造を図6に示す。ただし、周期構造は、空孔直径dが空孔のピッチΛと等しく、石英の屈折率n=1.45とした。図5において黒色部分が石英部分2、白色部分が空孔1を表す。また、バンド構造は、平面波展開法(非特許文献5参照)を用いて計算した。図6において、βは伝搬方向(周期構造と垂直な方向)の波数、Γ=√3Λ(=31/2Λ)はハニカム格子の格子定数、ωは角周波数、cは光速を表す。また、ライトラインは光が真空媒質中で伝搬するときの分散曲線を表し、バンドで囲まれる領域は、周期構造断面内にどの方向にも光が伝搬できない領域、すなわちバンドギャップを表す。ファイバのクラッドにこの周期構造を用い、コアに空孔を用いた場合、ファイバのコアに光が導波可能になる帯域はライトラインに隣接し、その上部に存在するバンドギャップとなる。この場合、Γ/λ(=ωΓ/2πc)=0.75〜0.97の範囲で第1導波領域、1.32〜1.64で第2導波領域が存在する。ここでλは波長を表す。
図7に示すような、d/Λ=1のハニカム格子構造のクラッド4と、その中心の石英部分を空孔に置き換えて7個の空孔が最密充填構造とされたコア3(キャピラリコア)とからなるファイバを作製し、コアモードの分散を計算した。図8は第1バンドギャップ内の分散を示す。図示のように、Γ/λ=0.75〜0.97のバンドギャップ内では、コアモードのみが存在し、表面モードが存在しない。また、この場合のコアモードは単一モードである(縮退モードを含む)。
図9は、そのときのコアモードの典型的なパワー分布を示す図である。また、図10はファイバの誘電率を同スケールで示す図である。図示のように、コアモードのパワーは、コア直近の石英部分にわずかに分布しているだけで、ほとんど全部がコア内に分布していることがわかる。
図11は、本実施例のPBGFにおける第2バンドギャップ内の分散を示す図である。図示のようにΓ/λ=1.62〜1.63でコアモードが存在するが、表面モードは存在しない。この場合もコアモードが単一モードである(縮退モードを含む)。また、コアモードの分散がライトラインと交差しているのは、コア内にわずかに石英が残っているからである。
図12は、そのときのコアモードの典型的なパワー分布を示す。図示のように、コアモードのパワーは、コア直近の石英ロッド上にわずかに分布しているだけで、ほとんど全部がコア内に分布していることがわかる。
[実施例2]
図13に示すような、d/Λ=1のハニカム格子構造のクラッド4と、その中心の石英部分とそれを囲む1層目の石英部分を空孔に置き換えて、19個の空孔が最密充填構造とされたコア3(キャピラリコア)とからなるファイバを作製し、コアモードの分散を計算した。図14は第1バンドギャップ内の分散を示す。図示のように、Γ/λ=0.81〜0.92でコアモード1、Γ/λ=0.77〜0.96でコアモード2が存在し、表面モードが存在しない。また、この場合のコアモードは単一モードである(縮退モードを含む)。
図13に示すような、d/Λ=1のハニカム格子構造のクラッド4と、その中心の石英部分とそれを囲む1層目の石英部分を空孔に置き換えて、19個の空孔が最密充填構造とされたコア3(キャピラリコア)とからなるファイバを作製し、コアモードの分散を計算した。図14は第1バンドギャップ内の分散を示す。図示のように、Γ/λ=0.81〜0.92でコアモード1、Γ/λ=0.77〜0.96でコアモード2が存在し、表面モードが存在しない。また、この場合のコアモードは単一モードである(縮退モードを含む)。
図15は、そのときのコアモード1の典型的なパワー分布を示す図である。また、図16はファイバの誘電率を同スケールで示す図である。図示のように、コアモードのパワーは、ほとんど全部がコア内に分布していることがわかる。
また、図17は、同じファイバのコアモード2の典型的なパワー分布を示す図である。
図18は、本実施例のPBGFにおける第2バンドギャップ内の分散を示す図である。図示のようにΓ/λ=1.43〜1.51でコアモード1、Γ/λ=1.42〜1.64でコアモード2が存在するが、表面モードは存在しない。ただし、各コアモードには縮退モードを含む。
図19、図20はそれぞれ、そのときのコアモード1とコアモード2の典型的なパワー分布を示す図である。
[実施例3]
図21に示すハニカム格子のバンド構造を図22に示す。但し、周期構造は空孔直径d=0.94Λとした。この場合、Γ/λが0.74〜0.87の範囲で第1導波領域、1.32〜1.48で第2導波領域が存在する。
図21に示すハニカム格子のバンド構造を図22に示す。但し、周期構造は空孔直径d=0.94Λとした。この場合、Γ/λが0.74〜0.87の範囲で第1導波領域、1.32〜1.48で第2導波領域が存在する。
このように、空孔径が小さくなった場合、バンドギャップが狭くなるが、存在することがわかる。また、実施例1,2と同じように中心の石英ロッドをキャピラリに置き換えてキャピラリコアを有するファイバを作製した場合、実施例1,2と同じように、表面モードが発生せずにコアモードのみが存在することが確認されている。
1…空孔、2…石英部分、3…コア、4…クラッド。
Claims (16)
- 石英部分に多数の空孔がファイバ長手方向に沿って設けられ、ファイバ横断面において多数の空孔が、中心の石英部分を空孔が囲んでなるセルが多数連結された状態となるように配置されたハニカム格子構造(但し、該格子の周期性を表す基本ベクトルa1,a2はそれぞれx軸に対して30度と−30度に傾き、それぞれの長さΓは√3Λ(但し、Λは隣接する空孔の中心間の距離を表す)である。)をクラッドに有するフォトニックバンドギャップファイバであって、
ファイバ中心部に多数の空孔が最密充填構造で並べられたコアを有することを特徴とするフォトニックバンドギャップファイバ。 - 中心の空孔とそれを囲む1層目6個の空孔の合計7個の空孔からコアが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
- 中心の空孔とそれを囲む1層目6個の空孔とそれを囲む2層目12個の空孔の合計19個の空孔からコアが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
- 中心の空孔とそれを囲む1層目6個の空孔とそれを囲む2層目12個の空孔とそれを囲む3層目18個の空孔の合計37個の空孔からコアが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
- 空孔直径dが、0.85Λ≦d≦Λ(但し、Λは隣接する空孔の中心間の距離である)の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
- コアの周りに前記セルが連結してなる層が3層以上存在していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
- 伝搬パワーの60%以上がコアの領域に集中するコアモードのみが存在し、伝搬パワーの40%以下がコアの領域以外に存在し、表面モードが実質的に存在しない光伝搬特性を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
- 単一のコアモード(但し、縮退する全てのモードはモード数1とする)のみが存在することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
- 波長λが0.7≦Γ/λ≦1.1(但し、Γ=2Λである)を満たす範囲内でコアモードが存在する光伝搬特性を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
- 波長λが1.3≦Γ/λ≦1.7(但し、Γ=2Λである)を満たす範囲内でコアモードが存在する光伝搬特性を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
- 石英製のキャピラリと石英ロッドとを、中心の石英ロッドをキャピラリが囲んでなるセルが多数連結された状態となるように組み合わせ、且つ中央の石英ロッド又は中央の石英ロッドとその周りの石英ロッドをキャピラリに置換してキャピラリコア領域とした石英ロッド入りキャピラリ束を作製し、次いでキャピラリ周囲の空間の圧力よりもキャピラリ内部空間の圧力を高く保持したまま、該石英ロッド入りキャピラリ束を加熱一体化してファイバ紡糸用母材を作製し、次いで該ファイバ紡糸用母材を紡糸して請求項1〜10のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバを得ることを特徴とするフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
- 前記キャピラリが断面円環状であり、前記石英ロッドが、キャピラリと外径の等しい断面円形状であることを特徴とする請求項11に記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
- 前記石英ロッド入りキャピラリ束を石英管の孔内に挿入した状態で一体化してファイバ紡糸用母材を作製することを特徴とする請求項11又は12に記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
- 前記石英管の孔内に挿入したキャピラリ束のうち、キャピラリ内部空間のみを大気圧又はそれ以上の圧力に保持し、キャピラリ内部空間以外の空間部分を減圧状態として前記一体化を行うことを特徴とする請求項13に記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
- 前記石英ロッド入りキャピラリ束の横断面の中心にある1つの石英ロッドのみをキャピラリに置換してキャピラリコア領域を形成することを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
- 前記石英ロッド入りキャピラリ束の横断面の中心にある1つの石英ロッドとその周りを囲む石英ロッドをキャピラリに置換してキャピラリコア領域を形成することを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
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