以下、本発明の画像形成装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、第1実施形態に係る4サイクル方式のフルカラーの画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10の内部には、中央よりもやや右上部に、感光体ドラム12が回転可能に配設されている。この感光体ドラム12としては、例えば、表面にOPC等よりなる感光体層が被覆された直径が約47mmの導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しないモータにより、矢印方向に沿って約150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
感光体ドラム12の表面は、感光体ドラム12の略真下に配置された帯電ロール14によって所定の電位に帯電された後、帯電ロール14の下方に配置された露光装置16によって、レーザービームLBによる画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
この感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器18Y、18M、18C、18Kが周方向に沿って配置された回転式現像器18によって現像され、所定の色のトナー像となる。
このとき、感光体ドラム12の表面には、形成する画像の色に応じて、帯電・露光・現像の各工程が、所定回数だけ繰り返される。現像工程では回転式現像器18が回転し、対応する色の現像器18Y、18M、18C、18Kが、感光体ドラム12と対向する現像位置に移動する。
例えば、フルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム12の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して4回繰り返され、感光体ドラム12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。トナー像が形成されるにあたって、感光体ドラム12が回転する回数は、画像のサイズに応じて異なるが、例えば、A4サイズであれば、感光体ドラム12が3回転することによって、1つの画像が形成される。つまり、感光体ドラム12の表面には、感光体ドラム12が3回転するごとに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
感光体ドラム12上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体ドラム12の外周に中間転写ベルト20が巻き付けられた一次転写位置において、中間転写ベルト20上に互いに重ね合わせた状態で一次転写ロール22によって転写される。
この中間転写ベルト20上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像は、所定のタイミングで給紙される記録用紙24上に、二次転写ロール26によって一括して転写される。
一方、記録用紙24は、画像形成装置10の下部に配置された給紙カセット28から、ピックアップロール30によって送り出されるとともに、フィードロール32及びリタードロール34によって1枚ずつ捌かれた状態で給紙され、レジストロール36によって中間転写ベルト20上に転写されたトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト20の二次転写位置へと搬送される。
中間転写ベルト20は、感光体ドラム12における回動方向の上流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップインロール38と、感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール22と、ラップ位置の下流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップアウトロール40と、二次転写ロール26に中間転写ベルト20を介して当接するバックアップロール42と、中間転写ベルト20のクリーニング装置44に対向する第1のクリーニングバックアップロール46と、第2のクリーニングバックアップロール48と、によって所定の張力で張架されており、所定のプロセススピード(約150mm/sec)で循環移動するように、例えば、感光体ドラム12の回転に伴って従動される。
ここで、中間転写ベルト20は、画像形成装置10の小型化を図るため、中間転写ベルト20が張架される断面形状が、偏平な細長い略台形状となるように構成されている。
中間転写ベルト20は、感光体ドラム12と、帯電ロール14と、中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20を張架する複数のロール22、38、40、42、46、48と、中間転写ベルト20用のクリーニング装置44と、後述する感光体ドラム12用のクリーニング装置78と、で一体的に像形成ユニット52を構成している。このため、画像形成装置10の上部カバー54を開き、像形成ユニット52の上部に設けられた把手(図示省略)を手で持ち上げることにより、像形成ユニット52全体を画像形成装置10から取り外し可能となっている。
一方、中間転写ベルト20のクリーニング装置44は、第1のクリーニングバックアップロール46によって張架された中間転写ベルト20の表面に当接するように配置されたスクレーパ58と、第2のクリーニングバックアップロール48によって張架された中間転写ベルト20の表面に圧接するように配置されたクリーニングブラシ60とを備え、これらのスクレーパ58やクリーニングブラシ60によって除去された残留トナーや紙粉などは、クリーニング装置44の内部に回収されるようになっている。
なお、クリーニング装置44は、揺動軸62を中心にして、図中反時計周り方向に揺動可能に配置されており、最終色のトナー像の二次転写が終了するまでは、中間転写ベルト20の表面から離間した位置に退避するとともに、最終色のトナー像の二次転写が終了すると、中間転写ベルト20の表面に当接するように構成されている。
さらに、中間転写ベルト20からトナー像が転写された記録用紙24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱及び加圧されてトナー像が記録用紙24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出トレイ68上にそのまま排出される。
一方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙24を、排出ロール66によって排出トレイ68上にそのまま排出せずに、排出ロール66によって記録用紙24の後端部を狭持した状態で、排出ロール66を逆転させるとともに、記録用紙24の搬送径路を両面用の用紙搬送路70に切り替え、この両面用の用紙搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録用紙24の表裏を反転した状態で、再度、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送して、記録用紙24の第二面(裏面)にトナー像を転写する。そして、記録用紙24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録用紙24を排出トレイ68上に排出する。
さらに、画像形成装置10には、オプションによって、画像形成装置10の側面に手差しトレイ74が開閉自在に装着可能となっている。この手差しトレイ74上に載置された任意のサイズ及び種類の記録用紙24は、給紙ロール76によって給紙され、搬送ロール73及びレジストロール36を介して、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送されることにより、任意のサイズ及び種類の記録用紙24にも画像を形成することが可能となっている。
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム12の表面は、感光体ドラム12が1回転する毎に、感光体ドラム12の斜め下方に配置されたクリーニング装置78のクリーニングブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
図2に示すように、感光体ドラム12の下方部には、感光体ドラム12と接触するように帯電ロール14が配置されている。この帯電ロール14は、導電性のシャフト14Aの周囲に帯電層14Bが形成されたものであり、シャフト14Aが回転可能に支持されている。
シャフト14Aの材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用され、摺動性などの用途に応じ材質および表面処理方法は適時選択され、導電性を有さない材質についてはメッキ処理など一般的な処理により加工され導電化処理が行われていてもよい。
帯電ロール14の帯電層14Bを構成する上記導電性弾性層は、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電材等の導電材、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカおよび炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性のシャフト14Aの周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤のような、電子及び/又はイオンを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いることができる。また、上記弾性材は発泡体であってもかまわない。
上記導電性弾性層を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムおよびこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1〜60質量部の範囲であることが好ましく、一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の範囲であることが好ましい。
帯電層14Bを構成する上記表面層は、トナー等の異物による汚染の防止のためなどに形成しているものであり、表面層の材料としては、樹脂、ゴム等の何れを用いてもよく特に限定するものではない。ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロン、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
このうち外添剤汚れの観点から、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好ましく用いられる。共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、の内のいずれか1種または複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンよりなる重合単位が共重合体中に含まれる割合は、重量比で合わせて10%以上であるのが好ましい。上記重合単位が10%以上の場合は、調液性および表面層塗布時における成膜性に優れるとともに、特に繰り返し使用時における樹脂層の磨耗や樹脂層への異物付着が少なく、ロールの耐久性が優れ、環境による特性の変化も少なくなる。
上記高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、10,000〜50,000の範囲であることがより好ましい。
また上記表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整することができる。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが望ましい。
また、抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤のような、電子及び/又はイオンを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いることができる。
導電剤のカーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
上記カーボンブラックはpH4.0以下であり、一般的なカーボンブラックに比べ、表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよく、前記pH4.0以下のカーボンブラックを配合することにより、帯電均一性をよくすることができ、さらに抵抗値の変動を小さくすることができる。
上記抵抗値を調整するための導電性粒子である導電性金属酸化物粒子は、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、ITO等の導電性を有した粒子で、電子を電荷キャリアとする導電剤あれば何れも用いることができ、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いても2種類以上を併用することができる。また、本発明を阻害しない限り、何れの粒径であってもよいが、抵抗値調整および強度の点より、好ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、更に、酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫が好ましい。
このような導電性材料によって抵抗制御を行うことにより、表面層の抵抗値は環境条件によって変化せず、安定な特性が得られる。
さらに、上記表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂が用いられている。特に、フッ素変性アクリレートポリマーで構成されることが好ましい。また、表面層の中に微粒子を添加してもよい。これにより、表面層が疎水性となって帯電ロール14への異物の付着が防止されるように作用する。また、アルミナやシリカのような絶縁性の粒子を添加して、帯電ロール14の表面に凹凸を付与し、感光体ドラム12との摺擦時の負担を小さくして帯電ロール14と感光体ドラム12相互の耐磨耗性を向上させることも可能である。
また、帯電ロール14の径はφ8mmからφ15mm、より好ましくはφ9mmからφ14mmで、帯電層14Bの肉厚が2mmから4mmであることが好ましい。直径が15mm以上であると周面1箇所あたりの外添剤に接触する回数が減り、また放電回数が減るので、汚れや帯電性能に対する長期安定性には優れるものの小型化の観点から不利である。直径が8mm以下であると画像形成装置10を小型化できるので優位であるが、周面1箇所あたりの外添剤に接触する回数が増え、また放電回数が増えるので、長期安定性に対し不利となる。
この帯電ロール14であるが、所定の帯電性能を有するものであれば以下の構成に限定されるものでないことは言うまでもない。
帯電ロール14の感光体ドラム12と反対側の下方部には、帯電ロール14の表面に接触するロール状のクリーニングロール100が設けられている。このクリーニングロール100は、シャフト100Aの周囲にスポンジ層100Bが形成されたものであり、シャフト100Aが軸受け110によって回転可能に支持されている。
クリーニングロール100は帯電ロール14に所定の荷重で押圧され、スポンジ層100Bが帯電ロール14の周面に沿って弾性変形してニップ部101を形成している。感光体ドラム12は、図示しないモータによって図2中の時計回り(矢印2の方向)に回転駆動され、感光体ドラム12の回転により帯電ロール14が矢印4の方向に従動回転する。また、帯電ロール14の回転によりロール状のクリーニングロール100が矢印6の方向に従動回転する。
そして、このようにクリーニングロール100が従動回転することにより、帯電ロール14の表面のトナーや外添剤などの汚れがクリーニングロール100によってクリーニングされる。
図4に示すように、シャフト100Aには、軸受け110に支持される部分(両端部)に、他の部分よりも小径の小径部104が形成されている。また、小径部104が形成されたことで、この小径部104以外の部分が、大径部106となっている。
小径部104と大径部106との段差部108は、図5(A)及び(B)に示すように、通常状態では、軸受け110の対向端面112と接触するか、もしくはこれらの間に僅かな間隙が構成されるようになっている。したがって、クリーニングロール100(シャフト100A)の軸方向への移動は、段差部108の対向端面112への接触により制限される。
ここで、本実施形態のように、帯電ロール14が感光体ドラム12に従動回転し、さらに、クリーニングロール100が帯電ロール14に従動回転する構成において、クリーニングロール100の従動回転性を高めるためには、クリーニングロール100の慣性モーメントを、帯電ロール14の慣性モーメントと比較して、より小さくすることが好ましい。そして、図3に示すように、感光体ドラム12と帯電ロール14との摩擦によって感光体ドラム12から帯電ロール14にトルク(回転モーメント)T1が作用し、、帯電ロール14とクリーニングロール100との摩擦によって帯電ロール14からクリーニングロール100にトルクT2が作用するため、このトルクが、クリーニングロール100の回転に対する負荷トルクT3よりも大きい必要がある。
クリーニングロール100の慣性モーメントを小さくするためには、たとえば、シャフト100Aを小径化することが考えられるが、小径化によって撓みが生じるおそれがある。また、スポンジ層100Bを薄肉にすると、たとえば帯電ロール14への食い込み量を確保できなくなる等の不都合が生じる可能性がある。
また、クリーニングロール100を帯電ロール14に対して強く押し付けて、食い込みを深くすることも考えられるが、過度に食い込ませると、クリーニングロール100の帯電ロール14に対する負荷が大きくなり、帯電ロール14の感光体ドラム12に対する従動性を悪化させるおそれもある。
これに対し、本実施形態では、シャフト100Aの軸受け110に支持される部分(両端部)に、他の部分よりも小径の小径部104が形成され、さらに、この小径部104以外の部分が、大径部106となっている。小径部104によって、回転に必要なモーメント(トルク)が低減されるとともに、軸受け110との接触面積が小さくなり、軸受け110に対するクリーニングロール100の摺動抵抗が小さくなる。
また、大径部106によってシャフト100Aの径を確保しているので、シャフト100Aの不用意な撓みも抑制できる。これにより、クリーニングロール100と帯電ロール14とのニップ部101を安定して確保でき、クリーニングロール100の帯電ロール14に対するクリーニング不良を防止できる。
さらに、クリーニングロール100を帯電ロール14に対して強く押し付ける必要がないので、この点においても、クリーニングロール100(シャフト100A)の撓みを抑制できる。
また、本実施形態では、通常状態では図5に示すように、軸受け110の内端面112とシャフト100Aの段差部108とが軸方向に接触もしくは対向しており、クリーニングロール100(シャフト100A)が軸方向に所定範囲で位置決めされるとともに、この軸方向への移動が制限されようになっている。したがって、クリーニングロール100の軸方向への不用意な移動や脱落を防止できる。
なお、クリーニングロール100の軸方向への移動を制限するためには、たとえば図6(A)及び(B)に示すように、小径部104が形成されていないシャフト200Aを備えたクリーニングロール200を用意し、軸受け110に、シャフト200Aの端部と接触して軸方向への移動を制限する制限壁110Wを設けてもよいが、この制限壁110Wとシャフト200Aとの接触面積が大きいと、摺動抵抗も大きくなる。また、図6(C)に示すように、スポンジ層100Bの端部100Cを軸受け110に接触させて軸方向への移動を制限する構成も考えられるが、スポンジ層100Bと軸受け110との接触による摺動抵抗は、一般にシャフト100Aと軸受け110との摺動抵抗よりも大きい。これに対し、本実施形態ではこのような不都合がなく、通常状態での回転抵抗(摺動抵抗)の上昇を抑制できる。
特に本実施形態において、通常状態で軸受け110の内端面112とシャフト100Aの段差部108との間に僅かな間隙が構成されて非接触となるように構成すると、これらの間での摺動抵抗は生じない。これにより、クリーニングロール100の回転抵抗をさらに小さくすることができる。これに対し、このような隙間が生じないように構成すると、クリーニングロール100が軸方向に確実に位置決めされることになる。
クリーニングロール100のシャフト100Aの材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用されており、摺動性などの用途に応じ材質および表面処理方法は適時選択され、導電性を有さない材質についてはメッキ処理など一般的な処理により加工され導電化処理が行われてもよく、もちろんそのまま使用してもよい。また、クリーニングロール100は、スポンジ層100Bを介して帯電ロール14と適度なニップ圧力で接触するため、ニップ時に撓みのない強度を持った材質またはシャフト長に対して十分剛性をもったシャフト径が選択される。
スポンジ層100Bは、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなる。このスポンジ層100Bは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド又はポリプロピレン等の発泡性の樹脂又はゴムを材質としたものより選択される。スポンジ層100Bは、帯電ロール14との従動摺擦により外添剤などの異物を効率的にクリーニングすると同時に、帯電ロール14の表面にスポンジ層100Bの擦れによるキズをつけないために、また、長期にわたり千切れや破損が生じないようにするために、引き裂き、引っ張り強さなどに強いポリウレタンが特に好ましく用いられる。
ポリウレタンとして特に限定するものではなく、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルやアクリルポリールなどのポリオールと、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートや4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネートの反応を伴っていれば良く、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなど鎖延長剤が混合されていることが好ましい。また、水やアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物などの発泡剤を用いて発泡させるのが一般的である。さらに必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えればよい。
長期的に安定したクリーニング性を維持するには、帯電ロール14に付着した外添剤やトナーなどの異物をクリーニングロール100の発泡体のセル内に取り込み、セル内で回収した異物が凝集して適度な大きさになると、クリーニングロール100から帯電ロール14を介して感光体ドラム12に戻し、感光体ドラム12をクリーニングするクリーニング装置78に回収することで、クリーニング性能の維持継続がなされていると考えられている。
そのため、クリーニングロール100のセル数は40〜80個/25mmであることが好ましく、45〜75個/25mmであることがより好ましい。このようなセル数に設定することで、セルの中に外添剤などの異物を取り込みやすく、かつ取り込んだ外添剤などの異物を帯電ロール14、感光体ドラム12へ転移しやすくなる。セル数が80個/25mmより多いとセル径が小さい為に外添剤の取り込み性が低下し、逆にセル数が40個/25mmより少ないとセル径が大きくなりすぎ、取り込んだ外添剤を帯電ロール14へ転移させる適度な大きさまで固めることが困難となる。
また、クリーニングロール100の径(大径部106の径)はφ8mmからφ15mm、より好ましくはφ9mmからφ14mmで、スポンジ層100Bの肉厚が2mmから4mmであることが好ましい。直径が15mm以上であるとクリーニングロール100の周面1箇所あたりの外添剤に接触する回数が減り、またクリーニング回数が減るので、クリーニング性能に対する長期安定性には優れるものの小型化の観点から不利である。直径が9mm以下であると画像形成装置を小型化できるので優位であるが、周面1箇所あたりの外添剤に接触する回数が増え、またクリーニング回数が増えるので、長期安定性に対し不利となる。
そして、帯電ロール14及びクリーニングロール100のシャフト100Aの大径部106のそれぞれが、上記した径の範囲を満たした上でさらに、クリーニングロール100の大径部106が帯電ロール14よりも小径とされていることが、クリーニングロール100の慣性モーメントを小さくする観点から好ましい。たとえば、帯電ロール14の径をφ12mmとし、クリーニングロール100のシャフト100Aの大径部106の径をφ10mmとする等である。
また、クリーニングロール100の帯電ロール14への喰込量は、クリーニングロール100の厚さの10%〜60%が好ましく、20%〜50%がより好ましい。このような範囲に喰込量を設定することで、適切なニップ幅とニップ圧力を得ることができ、帯電ロール14の表面を微小に削り取りやすくなる。喰込量が10%より小さいと、ニップ幅とニップ圧力が不足し、帯電ロール14を微小に削り取ることができない。また、喰込量が60%より大きいと、クリーニングロール100を安定して帯電ロール14に圧接することができず、帯電ロール14の表面を均一に削り取ることができない。
また、スポンジ層100Bの中に、トナーに外添される外添剤からなる研磨粒子を含有することが好ましい。研磨粒子としては、SeO2などが用いられる。このような研磨粒子を含有することにより、クリーニングロール100によって帯電ロール14の表面を微小に削り取りやすくなる。
クリーニングロール100のシャフト100Aの小径部104の長さに関しては、上記したように少なくとも軸受け110に支持される部分が小径部104とされていればよいが、小径部104が余りに長かったり、細かったりすると、シャフト100Aの全体の剛性が低くなって撓みやすくなり、所望の喰込量を確保できなくなる。たとえば、帯電ロール14への喰込量をnに設定したとき、スポンジ層100Bの成形精度等によって、実際の喰込量には公差で±0.3mm程度のバラつきが生じる。特に、マイナス側へのバラつきとシャフト100Aの撓みが加わると、さらに喰込量を確保できなくなるおそれがある。本実施形態では、一例として、実際の喰込量が、0.5n以上であれば、クリーニング性を良好に維持できる。かかる観点から、小径部104に関して、シャフト100Aの撓みをtとしたときに、t<0.2nが満足されるように、小径部104の長さ及び径を設定することが好ましい。
なお、本実施形態では、感光体ドラム12の下方部に帯電ロール14を接触させ、この帯電ロール14の下方部にクリーニングロール100を接触させる構成であるが、この構成に限定するものではない。例えば、感光体ドラムの上方部に帯電ロールを接触させ、この帯電ロールの上方部にクリーニングロールを接触させる構成でも本発明を適用することが可能である。
なお、本実施形態の画像形成装置10は、回転式現像器18を用いて感光体ドラム12へのトナー像の形成を4サイクル繰り返したが、この構成に限定するものではない。例えば、中間転写ベルトの移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ユニットを並設する構成であっても、各画像形成ユニットの感光体ドラム、帯電ロール及びクリーニングロールに本発明を適用することが可能である。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、上記第1実施形態の構成において、クリーニングロール100の従動性能を評価した。
具体的には、図7(A)に示すように、φ30mmの感光体ドラム12と、φ8mmのシャフト14Aに肉厚2mmのゴム層(帯電層14B)を設け、全体で径φ12mmとしたの帯電ロール14、さらに、小径部がφ4mm、大径部がφ6mmのシャフト100A上に、スポンジ層100Bとして肉厚2mmの発泡ウレタン層を設けたクリーニングロールA(図5(A)参照)を用いた。
また、比較例として、軸方向全域にわたってシャフト径がφ6mmのシャフト200Aを用意し、実施例1と同様にシャフト200A上に肉厚2mmの発泡ウレタン層を設けたクリーニングロールB(図6(A)参照)を設け、これ以外は実施例1と同一構成としたものを用意した。
そして、クリーニングロールA、Bの従動性能(回り易さ)を比較した。尚、クリーニングロールA、Bと帯電ロール14の食込み量は0.75mmに固定し、気温10℃の環境を維持した。
従動性能の評価として、図7(B)に示すように、感光体ドラム12をモーターで一定のトルクで回転させた時の帯電ロール14の駆動トルクを、帯電ロール14(クリーニングロールと一体)の感光体ドラム12に対する押圧荷重を振って測定した。具体的な測定方法は、クリーニングロール100、200と帯電ロール14の間にシート材160を挟みこみ、そのシート材160が帯電ロール14の回転に伴ってクリーニングロールとのニップに引き込まれる力(押圧バネ荷重)をバネ秤で測定した。
結果を図8に示す。この測定では、帯電ロール14自体の摺動抵抗、クリーニングロールの摺動抵抗が全て込みで帯電ロール14の駆動トルクとして現れる。すなわち、帯電ロール14に関するハード的な条件は一定であるので、クリーニングロールの摺動抵抗の差が帯電ロール14の駆動トルク差として表れ、同じ帯電ロール14の押圧荷重に対して、帯電ロール14の駆動トルクが大きい方がクリーニングロールの従動性が良いことを示している。
なお、帯電ロール14を駆動するのに必要な最小駆動トルクは0.15kgfであった。これより、シャフトに小径部104を設けた実施例1のクリーニングロールAの方が従動性が良いことが理解できる。
<実施例2>
実施例2では、実施例1と同様の構成で、クリーニングロールAとクリーニングロールBを用い、画像形成動作を行なった。帯電ロール14には−750Vの直流電圧に、ピーク・トゥピークで1.7kv(周波数1.3kHz)の交流電圧を重畳したバイアスを印可して感光体ドラム12を帯電させながら、プロセススピード194mm/sにて画像形成を行い、感光体ドラム12の帯電状態を評価した。
その結果、クリーニングロールAを用いた場合には、10万枚程度のプリントを行なっても感光体ドラム12の帯電不良は発生しなかったが、クリーニングロールBを用いた場合には、約10万枚のプリント時点で、クリーニングロールBの回転不良が発生し、その結果、帯電ロール14の表面にトナーの外添剤等の異物が被膜状に付着(フィルミング)して、感光体ドラム12の帯電不良が発生した。この結果からも、本発明の実施例のように、小径部104が形成されたシャフト100Aを備えるクリーニングロールAを使用することの有用性が理解される。
<実施例3〜実施例8>
実施例3〜実施例8では、小径部104の長さ及び径が異なるシャフト100Aを用意し、シャフト100Aの両端から5mmの部分を完全拘束した状態で、長手方向の中央部分およびその近傍を1kgf(9.8N)の押し付け力で押し付けた場合を想定して、その撓みをシミュレーションした。なお、比較対象として、小径部104が形成されていない一定の径のシャフト200も用意し、同様のシミュレーションを行った。
シャフト100Aの共通仕様は、以下の通りとした。
・材質 :SUS
・大径部の径 :φ6mm
・全長 :300mm
・帯電ロールへの喰込量(n):0.75mm
シャフトの個別仕様と解析結果は、以下の表1に示す通りである。
また、比較対象及び実施例3〜実施例8のシャフトの撓みの状態を、図10〜図16に順次示す。これら各図面において、(A)は撓み前、(B)は撓み後の状態をそれぞれ示している。なお、表1の「撓み量」は、シャフト全体の撓みのうち、最も撓んだ位置での最大撓み量であり、シャフトの長手方向中央において、図10〜図16から、撓み量はシャフトの長手方向中央で最大となっていることが分かる。
表1の「評価」において、「◎」は実用上まったく問題がないと考えられるもの、「○」は、「◎」と比較すると撓みはやや大きくなるが実用上の問題は少ない場合もあると考えられるもの、「△」は「○」よりもさらに撓みが大きくなるため、画像形成装置に適用するためには、画像形成時の各種条件等を適切に設定することで実用可能となるもの、をそれぞれ示す。なお、表中の数値の単位は、(t/n)を除き、すべてmm(ミリメートル)である。
この表1から、小径部104の径及び長さとしては、t<0.22nが成立するように設定されていることが好ましく、t<0.2nが成立するように設定されていることがより好ましいといえる。