本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて以下に説明する。本実施の形態における分析基板の形状は、例えば、プレート形状、ディスク形状、円筒形状など、どのようなものであってもよいが、本実施形態ではディスク形状の分析基板(以下、分析ディスクと略す)を例に挙げて説明する。分析ディスクは、回転することによって、ディスク上の複数の測定セルや測定流路などを高速で検索しながら測定することが可能なため、今後の普及が期待される基板である。
図1は本発明の実施の形態における分析ディスク1を示す平面図である。図1に示すように、分析ディスク1は、分析領域2、記録領域(データ記録領域)3および分断用領域(分断部)4を備えている。分断用領域4は細い幅の円環状に形成され、分断用領域4に対する径方向の内側領域は記録領域3となり、外側領域は分析領域2となっている。
分断用領域4は、連結部4aと切欠き部4bとからなる。連結部4aは、分析領域2と記録領域3とを連結するものであり、分断用領域4の円周方向において複数個が分散して形成されている。もちろん、連結部4aの個数は限定されない。これら連結部4aと隣の連結部4aとの間は切欠き部4b、即ち空間となっている。したがって、分析ディスク1は、切欠き部4bによって記録領域3の部分(記録基板)と分析領域2の部分(測定基板)とに分離され、これら記録領域3の部分と分析領域2の部分とが連結部4aによって連結されている。分断用領域4の構造は、上記したものに限らず、例えば、切り欠き部4bが無く、連結部4aを円周方向に連続して形成し、連結部4aの厚みを分析領域2や記録領域3の基板厚みよりも薄くすることで、分析領域2と記録領域3とを切り離しやすくした構造としてもよい。
連結部4aは、カッターなどの刃物で容易に切断でき、この切断により、図2のように、分析ディスク1を分析領域2と記録領域3とに切り離すことができる。なお、分析領域2と記録領域3との切り離しには専用の切断装置を使用することもできる。この場合、分断用領域4の構造は上記のものに限定されず、上記切断装置によって切断可能な領域として形成されていればよい。
記録領域3には、記録媒体が成膜されており、この記録媒体に対して試料の分析後に分析データ、後述する分析ディスク毎の固有コードなどの以下で説明する登録情報が記録できるようになっている。記録領域3には、記録媒体として、通常の光ディスクと同様の光記録媒体(例えば多層膜構造もの)が成膜され、その他にトラッキング用のグルーブや番地情報などが例えば凹凸形状にて記録されている。記録媒体の材料としては、CD−RやDVD−Rなどに使われている色素材料や、CD−RWやDVD−RWなどに使われている相変化材料などを使用可能である。トラッキング用のグルーブは凹凸の溝形状であるが、このほかにウォブルピット形状を使用してもよい。
記録領域3に記録された分析データの改ざんを防止するには、記録領域3に対する消去や書き換えを禁止すればよい。これについてはソフトウエアもしくはハードウエアの手法により可能である。特に、CD−Rに使われるような追記型の媒体を使用すれば、ハードウエアによる禁止機能も加わるため、よりセキュリティ機能が向上する。
分析領域2は、分析チップ(分析部)5xを備え、試料の分析が可能になっている。この分析チップ5xと分析方法については、後述する。分析領域2では、試料の分析が可能になっていれば、分析チップ5x以外のものが設けられていてもよい。
分析ディスク1には、これに加えて、分析領域2に、分析ディスク毎の固有コード92bが描画されている。なお、固有コード92bは分析領域2に描画されたものを指す。つまり、分析領域2は、分析ディスク毎の固有コード92bを備えている。固有コードは、分析ディスク1を識別できるようなものであれば、どのようなものがどのような方法で描画されていてもかまわない。例えば、目視できるように、アルファベットと数字の組み合わせが描画されていてもよい。本実施の形態では、図1に示すように、例えば、「FC34P086」をインクによってプリントしている。あるいは、分析ディスク1の成型時にエンボス加工をして描画されるようになっていてもよい。
以下で説明する分析装置13を用いて、分析領域2の分析チップ5xにおいて試料の分析が終了したら、分析された結果を示す分析データは、記録領域3に記録される。この際、固有コード「FC34P086」の情報も記録される。固有コード92b(「FC34P086」)は目視によって確認できるものであるから、例えば、分析者(オペレータ)がこれを目視で確認し、分析装置13の入力部(例えばキーボード)から「FC34P086」を入力すると、入力された固有コードが分析データと共に記録領域3に記録されるようになっていてもよい。分析データは記録領域3のデータエリア(図示せず)に、固有コードは記録領域3のリードインエリア(登録情報エリア)(図示せず)に光記録により記録される。また、固有コード92bは、分析領域2に描画される。この後、記録領域3と分析領域2を切り離し、記録領域3は、例えば分析対象者であるユーザや患者が保有し、分析領域2は例えば検査機関の保管庫(冷凍保管庫が望ましい)に保管される。以後は、分析対象者であるユーザや患者等の分析データ保有者や分析データ利用者は、記録領域3のみを保有して、分析データを利用することができる。
分析データ保有者が保有している記録領域3を基にして、保管庫に保管されている分析領域2を探したい場合は、まず記録領域3に記録された固有コード「FC34P086」を、再生機能のある分析装置にて再生し、例えばディスプレイに表示する。次に、同じ固有コード92b(「FC34P086」)が描画された分析領域2を保管庫から探し出す。このように、記録領域3と分析領域2の照合が可能となれば、病原菌がついて感染が危険な分析領域2であっても、廃棄せずに保管庫に保管しておき、必要に応じて探し出すことが可能である。
以上は、固有コード92b(「FC34P086」)をインクによって分析領域2にプリントした例、あるいはエンボス加工によって目視可能なように分析領域2に記録した例である。しかし、分析ディスク製造時に分析ディスク毎に異なる固有コードを記録するのは、コストの上昇となる。そこで、以下のように固有コード92bの代わりに、固有コード91aが記録できる描画領域91を備えた分析ディスクの例を示す。
分析ディスク1の分析領域2は、固有コード92bを備える代わりに、光記録が可能な記録媒体が成膜された描画領域91を備えている。描画領域91を備える場合は、固有コード92bが描画される必要がない。描画領域91の記録媒体の材料としては、記録領域3と同様に、CD−RやDVD−Rなどに使われている色素材料や、CD−RWやDVD−RWなどに使われている相変化材料が使用される。この描画領域91の記録媒体は、記録領域3の記録媒体を成膜するときに、同時に成膜すると、分析ディスク毎に異なる固有コードをプリントする必要が無く、製造コストを削減することができる。
描画領域91が分析ディスク1にある場合、分析終了後に、まず固有コードは後述する分析装置13の固有コード発生回路71から出力される。ここでは、この固有コードが上述のように「FC34P086」だったとする。すると、固有コード「FC34P086」が分析データと共に記録領域3に記録される。さらに、分析領域2における描画領域91に固有コード92aとして「FC34P086」が描画される。描画された固有コード92a(「FC34P086」)の描画部分と、それ以外の未描画部分とでは、記録媒体の反射率あるいは透過率が異ならせる必要がある。このようになっていると、反射率や透過率の違いによって、固有コード92a(「FC34P086」)を目視で確認することができる。固有コード92aを描画したら、記録領域3と分析領域2を切り離して、上述のようにそれぞれ保管する。記録領域3と分析領域2の照合方法については上述したので、説明は省略する。
なお、描画領域91の記録媒体は、書き換え不可能な追加記録型であるCD−RやDVD−Rと同じ媒体とすれば、固有コード92aの書き換えを防止し、照合の信頼性が向上する。たとえば、描画領域91に固有コード92a(「FC34P086」)を記録する。故意に、新しい固有コード(たとえば「UI81R253」)に書き換えようとすると、描画領域91は、書き換え不可能な追加記録型媒体であるため、以前の固有コード92a(「FC34P086」)が残ってしまい、無理に書き換えを行った証拠が残る。また、固有コード92a(「FC34P086」)を消去した場合も、消去した痕跡が透過率や反射率の違いによって明確にわかる。したがって、固有コードの書き換えや消去が確認できる。そのため、分析領域2の改ざんを防止できる。また、たとえ記録領域3のみを偽造しても、分析領域2との照合によって偽造が明確となるので、記録領域3の成りすましを防止することができる。
次に、描画領域91に固有コード92aを記録するための分析装置13について、図3を用いて説明する。ここでは、固有コードの発生(出力)および記録の動作について説明し、後段にその他の動作についての説明をする。この分析装置13は、ディスク形状の分析基板を使用する方式であるため、分析基板がプレート形状、あるいは円筒形状であれば、それに適した装置構成となる。
図3は、分析装置13の要部を示すブロック図である。分析装置13は、固有コード発生回路71(識別情報出力手段)を備える。この固有コード発生回路71は、内部に乱数発生回路を備え、この乱数に基づいて固有コードを発生する。したがって、毎回、発生する固有コードは変わり、分析ディスク1の改ざんを防止するようになっている。この固有コード発生回路71には、後述する流れ図に従って、コントローラ56から固有コード発生のための命令信号mが送られる。これに応じて固有コード発生回路71からは固有コードnがコントローラ56へ返される。コントローラ56は、分析動作の終了後に、固有コードnをデータ記録再生回路54へ出力し、この固有コードnは分析データと共に光ピックアップ7によって分析ディスク1へ記録される。分析データは記録領域3のデータエリアに記録される。固有コード「FC34P086」は登録情報記録エリア(たとえばリードインエリア)に登録情報として記録される。さらに、固有コードは、分析領域2の描画領域91へ目視可能なように描画される。以上のように、固有コード発生回路71において乱数を基に発生した固有コードnは、記録領域3のリードインエリアに記録され、また分析領域2の描画領域91に描画されるため、分断されても互いの照合が可能となる。なお、この装置における他の部分の説明は後述することにし、以下には固有コードの記録動作の流れを説明する。
図4は、固有コード発生回路71を搭載した分析装置13によって、描画領域91に固有コード92aを記録するときの動作の流れを示すフローチャートである。なお、図4は、分析装置13全体の動作の流れを示す図8の一部を詳細に説明する図である。なお、分析装置13全体の動作は、図8を用いて後述するため、ここでは固有コード記録の動作(ステップ27、以後S27のように称する)のみについて説明する。
分析装置13において、分析動作がすべて終了し、分析ディスク1が使用済みとなると、使用済み表示を行う(図8のS17)。この後、固有コード記録動作に入る(図8および図4のS27)。図4において固有コードの記録動作が開始されると(S20)、まず固有コード発生回路71において、乱数を基に、固有コードを発生する(S21)。次に、分析領域へピックアップを移動する(S22)。発生した固有コードを、分析領域内の表示領域へ描画記録する(S23)。記録領域へピックアップを移動する(S24)。固有コードと、固有コード描画終了情報を記録領域内のリードインエリア(登録情報記録領域)に記録する(S25)。固有コードの記録を終了する(S26)。分析領域と記録領域が分断可能となるため、分析装置13の使用者に切り離しを指示するための切り離し表示を表示部(図示せず)に行う(図8のS18)。
以上のように、分析ディスク1の分析領域2は描画領域91を備えており、描画領域91には光記録が可能な記録媒体が成膜されている。この描画領域に分析ディスク毎の固有コードを記録すれば、分析領域と記録領域の照合が可能となる。さらに、分析ディスク1の製造時にエンボス加工などによって固有コードを記録する必要が無いため、分析ディスク1の製造コストを削減することができる。
また、上記の分析装置13は、固有コードを発生する固有コード発生回路71を備えており、固有コードを記録領域3に記録し、前記描画領域91に固有コードを描画することができる。したがって、分析領域2と記録領域3とを分断した後も、分析領域2と記録領域3との照合が可能となる。
分析ディスク1では、さらに固有コード92aや固有コード92bの代わりに、以下に示すような識別子を使用してもよい。この識別子は、図1に示すように、分析ディスク1の分析領域2と記録領域3とに跨った領域93に、目視によって照合可能なようにプリントされる。跨がった領域93を拡大した図を図5に示す。例として、図5では、上記固有コード「FC34P086」の代わりに、識別子として、バーコード95が用いられている。バーコードを用いる理由は、バーコードを真ん中で切断した後に、切断されたバー同士を合わせることで、目視で確認しやすい識別子だからである。もちろん、識別子は、バーコードに限定されない。
まず、連結部4aによって、分析領域2と記録領域3とが連結された状態でバーコード95がプリントされる。図5に示すように、バーコード95を形成するそれぞれのバーが、バーの長手方向にて、分析領域2と記録領域3とを跨ぐようプリントされる。試料の分析が終了し、分析データが記録領域3に記録された後に、分析領域2と記録領域3とを切り離すと、バーコード95は、分断用領域4における連結部4aと切欠き部4bとによってほぼ真ん中で切断される。分析領域2と記録領域3とを切り離した後に、分析領域2と記録領域3を照合したい場合は、分析領域2と記録領域3を元のように合わせれば、目視によって同一のバーコード95であるかどうかを確認することで照合できる。このほか、アルファベットや数字が領域93に跨って記録されてもよい。また、これに限らず固有の模様を用いても良い。両領域に跨って記録するには、例えばインクジェットプリンタによってプリントを行う。プリント手法によれば、分析ディスクの1枚1枚に固有コードを安価で高速に描画することができる。
なお、本実施形態では、分析領域2に固有コードが備えられ、記録領域3に固有コードが記録される。つまり、本実施形態では、分析領域と記録領域との両方の領域に他方と照合することができる対応付け情報(本実施の形態では固有コード)を備えているが、少なくとも一方の領域は、他方の領域と照合することができる対応付け情報を備えていればよい。そうすると、分析領域と記録領域とが分断された後に、互いを簡単に照合することができる。
ここで、対応付け情報は、分析領域と記録領域とにおいて、他方の領域と照合することができる情報であれば、どのようなものであってもよく、分析領域と記録領域とのどちらか一方が備えていてもよいし、両方の領域が備えていてもよい。また、両方の領域が備えているとき、両領域の対応付け情報は同じ情報であっても異なる情報であってもよい。また、対応付け情報は、例えば、目視できるものであると、より簡単に照合することができる。なお、「備えている」とは、プリントや加工により領域に記録されている態様であってもよいし、領域にシール等が貼られている態様であってもよい。また、例えば、分析領域と記録領域とを接続している分断部を、分析基板ごとに固有の形状で切り離し、それを嵌め合わせることで、照合することができるようになっていてもよい。ここでは、切り離なされた形状が、上記「対応付け情報」ということになる。また、分析基板ごとに固有の形状で切り離されたということで、「対応付け情報を備えている」ということになる。
上記の分析ディスク1の分析領域と分析装置13のその他の構成とについて、以下に詳細に説明する。
図1において、分析ディスクの分析領域2は、分析ディスク1の中心から放射状に配置された複数の分析チップ5x,5x,…を備えている。なお、分析領域2には、分析チップ5xでなくとも、試料の分析が可能になっていれば他のものが設けられていてもよく、例えば電気泳動やクロマトグラフィーを行うための流路が設けられたものや、DNAハイブリダイゼーションを行うマイクロセルなど色々なものが挙げられるが、限定はされない。
本実施の形態の分析ディスク1では、例えば8つの分析チップ5xが搭載されている。数やサイズも限定されない。なお、図示しないが、各分析チップ5xには番号が割り当てられ、この番号を参照して分析チップ5xの使用済みのものと未使用のものとを区別できるようになっている。
本実施の形態では、分析チップ5xの一例として、分析チップ5xが電気泳動チップである場合を説明する。電気泳動チップでは、例えば蛍光分子が結合したDNAやたんぱく質が電気泳動され、励起光を照射することによって泳動の速度を検出し、その質量や電荷を分析することができる。分析領域2で分析された結果を示す分析データは、後述するように記録領域3に記録される。
分析チップ5xは、液溜5a〜5dと泳動路5eとを備えている。この電気泳動チップの構造は、一般に使われている構造であり、例えば特許文献2に分析例と共に開示されている。
泳動路5eは、溝状に形成され、分析ディスク1の径方向に延びる第1泳動路とこの第1泳動路に直交する方向に延びる第2泳動路とからなり、これらが十字形をなすように配置されている。液溜5a〜5dは、泳動路5eの4個の端部に泳動路5eと連通するように各1個が配置されている。即ち、第2泳動路の一端部に液溜5a、他端部に液溜5cが配置され、第1泳動路の一端部に液溜5b、他端部に5dが配置されている。
泳動路5eの幅および深さは数μm〜数百μmであり、液溜5a〜5dの直径は数百μm〜数mmである。このように細い泳動路5eは一般にマイクロチャネル又はマイクロキャピラリと呼ばれている。泳動路5eは、後述するようにカバー層によって密閉されている一方、液溜5a〜5dは、バッファ溶液やサンプル溶液が注入されるため、分析ディスク1の表面に露出している。
また、本実施の形態では、液溜5a〜5dに接続された電極(電源接続配線)6a〜6dが記録領域の最外周部(分析ディスク1の最外周部)に引き出して形成され、それら電極端部に分析装置13からコネクタを介して電気泳動用の電源が供給される。具体的には、液溜5aに電極6a、液溜5bに電極6b、液溜5cに電極6c、液溜5dに電極6dがそれぞれ接続されている。
なお、本実施の形態では、分析ディスク1の分析領域2が有する分析チップ5xとして電気泳動チップの例を示しているが、これに限らず分析チップ5xとしてはその他にインキュベーションや、カラムクロマトグラフィーなどのチップに置き換えても良い。
図6は、分析領域2における泳動路5eと液溜5d(どの液溜であってもよいが、ここでは液溜dを用いて説明する)の断面を示す斜視図である。なお、同図では、説明の便宜上、分析チップ5xの全体は図示せず、その一部として、泳動路5eと液溜5dの断面を示している。図6に示すように、分析ディスク1は、基本的にプラスチックの基板41にプラスチックのカバー層42を接着剤で張り合わせた構造である。基板41の厚みは1.2mmあるいは0.6mm、カバー層42の厚みは0.1mmである。基板41には上述した泳動路5eと液溜5dとが成型加工されている。さらに、基板41には、泳動路5eにおける分析後のバンドを光ビームaで検出するために、光ビームaを誘引走査するための案内溝(グルーブ)43,43,・・・が形成されている。案内溝43の深さおよび幅は、例えば光ビームaの波長が400nm、光ピックアップ(記録手段、再生手段、分析手段)7における対物レンズの開口数が0.65の場合、幅が400〜600nm、深さが40〜50nmである。また、基板41には、光ビームaのフォーカスサーボやトラッキングサーボを行うために、反射光を光ピックアップ7に返すための反射膜44が成膜されている。
なお、泳動路5eの下部には金属の反射膜44を成膜しない。そのため、電気泳動のための電界が金属の反射膜44によって生じにくくなることがない。なお、反射膜が金属以外の場合には、上記電界に対する反射膜の影響を考慮する必要がなく、反射膜の成膜領域を上記のように制限しなくてもよい。また、上記の反射光の強度を光ピックアップ7にて検出すれば、反射膜44の有無を判断できる。これは、次のような理由による。反射光は、反射膜44によって反射されれば強く、反射されなければ弱くなる。したがって、反射膜44がある案内溝43の領域と、反射膜44が無い泳動路5eの領域とには、反射光の相対的な差が生じる。よって反射光を検出すれば、分析領域2の有無を知ることができる。つまり、分析ディスク1において、分析領域2が存在する場合には反射膜44の有無によって高いレベルの反射光量と低いレベルの反射光とが検出され、分析領域2が切り離されていて存在せず記録領域3のみとなっている場合には、低いレベルの反射光量のみが検出されることにより、分析領域2の有無を判断できる。
また、上記に限らず、例えば、記録領域3に分析領域2の有無を示す情報を登録情報に含めて記録しておくと、記録領域3からこの登録情報を読み出すことで分析領域2の有無を知ることができる。即ち、光ピックアップ7からの光ビームaによって、分析領域2を伴った分析ディスク1であるか、あるいは分析領域2を切り離した後の記録領域3のみを備える分析ディスク1であるかを判別できる。したがって、分析が全て終了し、未使用の分析チップ5xが存在しない分析ディスク1であるか、あるいは分析が未終了であって、未使用の分析チップ5xが残っている分析ディスク1であるかを判別できる。これにより、分析装置13が、分析を終了した分析ディスク1に誤って分析操作を行うこと、あるいは分析が未終了の分析ディスク1の分析操作を誤って拒否することなどの誤動作を防止することができる。なお登録情報とは、分析日時、分析試料(サンプル)に関する詳細情報、使用された分析チップ5xの番号等、分析に関する情報とする。また、登録情報に、例えば、分析対象者名、分析場所等が含まれていてもかまわない。
次に、図3を用いて、本実施の形態の分析装置13の要部について説明する。分析装置13は、ディスク形状の基板を使用する装置であるが、例えば、基板がプレート形状、あるいは円筒形状であれば、それに適した装置構成となる。分析装置13は、光ピックアップ7、コネクタ9、データ記録再生回路54、サーボ回路55、コントローラ56、光量検出回路57、メモリ58、電気泳動電源供給回路59、固有コード発生回路71を備えている。
光ピックアップ7は、図3に示すように、光ピックアップ要部51と対物レンズ52と対物レンズアクチュエータ53とを備えている。光ピックアップ要部51は、図示しない半導体レーザ、コリメートレンズ、ビームスプリッタおよびフォトディテクタなど、半導体レーザから出射されたレーザビームを対物レンズ52を介して分析ディスク1に照射するとともに、対物レンズ52を介して入射した分析ディスク1からの反射光に基づいて再生信号を得るための周知の構成を備えている。
光ピックアップ要部51の半導体レーザから出射された光ビームaは、光ピックアップ内の対物レンズ52によって分析ディスク1に集光される。集光スポットは、分析領域2では反射膜44に焦点を結ぶようにフォーカスサーボが行われる。これにより、トラッキング用の案内溝43に導かれて光ビームaが泳動路5e上の所望の検出位置にアクセスし、走査される。また、反射膜44と泳動路5eの底面がほぼ同一平面であるので、泳動路5eにも焦点を結ぶことができ、高感度の分析検出が可能である。
記録領域3においては、上記反射膜44に代わり記録媒体60が成膜されており、光ビームaは記録媒体60にも焦点を結び、高密度のデータ記録が可能である。記録領域3においても上記案内溝43と同様な案内溝(図示せず)が形成されている。この案内溝にトラッキングを行いながら、記録再生をする技術は、従来の光ディスクの技術の範疇であり、よく知られているため、説明は省略する。
分析ディスク1からの反射光は、光ピックアップ要部51のフォトディテクタにて電気信号に変換される。このフォトディテクタは、よく知られているサーボ用の分割ディテクタと情報読み取り用のディテクタとを含んでいる。サーボ用の分割ディステクタの出力信号bはサーボ回路55に送られ、フォーカスサーボやトラッキングサーボを行うために、誤差信号hが対物レンズアクチュエータ53にフィードバックされる。情報読取り用のディテクタの出力信号jは、光ビームaが分析領域2を走査している時は電気泳動のバンドの検出光量を変換した電気信号となり、光量検出回路57へ送られて分析データdをメモリ58へ送って記憶する。また、上記出力信号jは、光ビームaが記録領域を走査している時は記録領域3に記録された分析データやその他の登録情報を読み出した信号となり、データ記録再生回路54に入力されて、再生データや登録情報eがコントローラ(出力手段)56へ送られる。なお、分析データや登録情報の記録時は、データ記録再生回路54から記録信号cが光ピックアップ要部51に送られ、内蔵された半導体レーザから記録レーザパルス(光ビームa)が分析ディスク1の記録領域に照射され、記録が行われる。
コントローラ56は、以下の通り各種の制御を行う。まず、メモリ58との間で命令信号や記憶データkをやり取りしながら、後述するように分析データの出力を行う。また、コントローラ56は、電気泳動電源供給回路59に命令信号fを出力することで、電気泳動電源供給回路59は電源電圧iをコネクタ9に送出し、図7に示すように液溜に電源電圧iを供給し、電気泳動のプロセスの制御を行う。また、データ記録再生回路54へ命令信号eを送り、記録領域3に保管された分析データや登録情報の再生や、メモリ58に記憶された分析データの記録領域3へ記録を行う。また、再生された登録情報に従って、未使用の分析チップ5xの番号を出力する出力手段を兼ねる。さらに、登録情報に従って、未使用の分析チップ5xを有効とし、分析を開始する制御手段も兼ねる。また、サーボ回路へ命令信号gを送り、記録領域3における適切なトラックへ光ビームaをアクセスさせる。
また、コントローラ56は、分析時において、分析領域2における泳動路5eの所望の検出位置へ光ビームaをアクセスして、分析データを検出する。このとき、分析ディスク1に分析領域2が接続されたままであるか、あるいは切り離されて記録領域3のみであるかを、光ピックアップ7への反射光量信号に基づいて事前に判定する手段も兼ねる。この動作の説明は、上記で図6における反射膜44からの反射光の検出を用いて説明したので省略する。
上記の構成を備えた分析装置13を用いての試料の分析を行なう分析プロセスについて説明する。初めに、バッファ溶液を気泡が入らないように図1に示す液溜5a〜5dに注入し、その後サンプル溶液(分析を行う試料を溶解した溶液)を液溜5aに注入する。なおバッファ溶液サンプル溶液の注入は分析者(測定者)が行ってもよいし、自動化されており、コントローラ56による制御の下で行ってもよい。そして、図7に示す電源コード10およびコネクタ9から電極6cに+電圧電源(数十〜数百ボルト)を接続し、電極6aをグランドに接続する。この時、電極6bおよび電極6dは開放しておく。これにより、液溜5cに+電圧(数十〜数百ボルト)が印加され、液溜5aにゼロボルトが印加され、注入されたサンプル(試料、たとえばDNA)は、泳動路5e(マイクロキャピラリ)の中を液溜5aから液溜5cに向かって泳動する。
次に、サンプル溶液に含まれるサンプル(たとえばDNA)が泳動路5eにおける十文字の交点に到達したら、電極6dを+電圧電源(数十〜数キロボルト)に接続し、電極6bをグランドに接続する。また、電極6a及び電極6cは開放する。従って、電気泳動用の電極を、電極6a及び電極6cから、電極6b及び電極6dに切り替えることになる。これにより、液溜5dに+電圧(数十〜数キロボルト)が印加され、液溜5bにゼロボルトが印加され、注入されたサンプルは泳動路5eの中を液溜5bから液溜5dに向かって泳動する。このようなマイクロキャピラリを用いた電気泳動測定の原理は良く知られているため、詳細な説明は省略する。なお、電圧の印加はコントローラ56による制御の下で行われるものとする。
分析領域2にて電気泳動が終了すると、図3において分析装置13が備える光ピックアップ7が分析ディスク1の分析領域2に移動し、光ビーム(レーザビーム)aによって、泳動されたバンドの検出を行う。サンプルは通常蛍光分子が結合しており、レーザ光などの光源によって発光させ、光ピックアップ要部51内の波長選択フィルターによって分離検出が行われる。検出されたデータは後述するようにメモリ58に蓄えられ、分析プロセスは終了する。
分析装置13では、分析プロセスが終了すると記録プロセスに移る。この場合、光ピックアップ7は、記録領域3に移動し、光ビームaによって上記の分析データを記録領域3に記録する。このとき、分析日時、サンプルに関する詳細情報、使用された分析チップ5xの番号等の登録情報が一緒に付加されて記録される。例えば、一人の分析対象者(被験者)の血液についての定期的な分析(定期検査)を行った場合、8回分の定期診断の結果が順次記録領域3に記録される。8回の定期検査が終わると、未使用の分析チップ5xがなくなるため、分析ディスク1において分析領域2は不要となり、記録領域3のみを保存すればよい。
不要となった分析領域2は、図2に示すように、分断用領域4において連結部4aを切断することにより、記録領域3と切り離される。なお、描画領域91は省略して図示してある。この切り離し作業は、手作業で行っても良いし、専用の切り離し器具を使用して行っても良い。
なお、分析ディスク1の全体の直径(分析領域2を含む直径)をコンパクトディスクやデジタルビデオディスクの規格に準拠したサイズである12cmとし、記録領域3の直径(分析領域2から切り離された後の直径)を同規格の小径サイズである8cmとしておけば、分析データが記録された小径サイズの保存ディスク(記録領域3)を市販のCD−ROM装置やDVD−ROM装置などにて再生でき、利便性が一層向上する。また、保存ディスク(記録領域3)はサイズが小さいため、携帯や保管などにも適している。
上記の分析ディスク1を使用した場合、上記の診断分析が専門の検査機関だけでなく広く一般家庭に普及すれば、家庭にて分析対象者本人である患者や介護者自らが定期的に分析し、8回分の定期検査の結果である小径ディスクのみを病院に持参して、診断を受けることが可能となり、分析対象者である患者や介護者の肉体的、心理的負担を大幅に軽減できる。
なお、上記試料の分析やデータの記録では、分析ディスク1は、ターンテーブルに設置されて回転される。この、ターンテーブル11について説明する。図7は、分析装置13における、分析ディスク1を装着した状態のターンテーブル11の要部を示す斜視図である。分析ディスク1は、ターンテーブル11に載せられ、コネクタ9,9,・・・によってターンテーブル11に固定される。コネクタ9は、便宜上3つのみ示しているものの、実際には分析チップ5xと同数だけ搭載されている。コネクタ9は、分析ディスク1の最外周部に引き出して配線された電極6a〜6dに接続され、電源コード10,10,・・・を介して電源電圧iが供給される。ターンテーブル11はスピンドルモータ12によって所定の回転速度で回転される。
次に、分析装置13が行う分析および記録の動作について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。
分析装置13により分析ディスク1の分析が開始されると(ステップ1、以後S1のように称する)、まず分析ディスク1が分析領域2を備えているかどうかを検知する(S2)。これは、上述したように光ビームaが記録領域3における反射膜44に照射された時の所定の反射光量を検出できたかどうかに基づいて判断することができる。即ち、分析ディスク1において、分析領域2が存在する場合には反射膜44の有無によって高いレベルの反射光量と低いレベルの反射光とが検出され、分析領域2が切り離されていて存在せず、記録領域3のみとなっている場合には、低いレベルの反射光量のみが検出されることにより、分析領域2の有無を判断できる。
分析ディスク1において分析領域が無く記録領域3のみであること、つまり、分析領域2が切り離されていることを検知すると(S2においてNO)、動作は終了する(S19)。
分析ディスク1において分析領域2が存在する場合には(S2においてYES)、記録領域3へ光ピックアップ7を移動させ(S3)、登録情報の読み出しを行う(S4)。登録情報により、未使用の泳動路5e(分析チップ5x)があるか否かを判定する(S5)。未使用の泳動路5e(分析チップ5x)がないと判定した場合には(S5においてNO)、全ての分析チップ5xが使用済みであることを示す使用済みの表示を表示部(図示せず)に行う(S17)。そして、分析者に対して分析領域2の切り離しの指示を表示して(S18)、処理を終了する(S19)。これにより、未使用の泳動路5eが無いにも関わらず、誤って使用済みの泳動路5eにサンプルを注入して、残留サンプルにより誤った分析データが検出される事態を防止することができる。
S5において、未使用の泳動路5e(分析チップ5x)があると判定した場合には(S5においてYES)、未使用の泳動路5e(分析チップ5x)の番号を、表示部(図示せず)に表示し(S6)、サンプル注入の指示を表示する(S7)。なお、注入指示は分析者に対して行うものであり、例えば注入が自動化されている場合には、表示しなくてもよい。サンプル注入の指示に従い、検査者が手作業でサンプル注入を行うと、試料(分析サンプル)に対して電気泳動を行う(S8)。このとき、電気泳動電源供給回路59から所望の電源電圧iがコネクタ9を介して分析チップ5xに供給され、電気泳動が行われる。
電気泳動が終了すると、分析領域2へ光ピックアップ7を移動させ(S9)、蛍光された泳動パターンのバンドを分析データとして検出する。この場合、例えば電気泳動で分析可能なDNAの分析データが検出される(S10)。分析データは、メモリへ一時的に記憶される(S11)。
次に、記録領域3へ光ピックアップ7を移動させ(S12)、メモリ58へ一時的に記憶された分析データと、使用した泳動路5e(分析チップ5x)の番号や分析日時などの登録情報を記録領域3へ記録する(S13)。記録が終了すれば分析終了の表示を、表示部に行う(S14)。
その後、未使用の分析チップ5xがまだ残っているか否かを判定し(S15)、残っていない場合には(S15においてNO)、全ての分析チップ5xが使用済みであることを示す表示を行い(S17)、固有コード記録を行ってから(S27)、記録領域の切り離し表示を行う(s18)。一方、未使用の分析チップ5xが残っている場合には(S15においてYES)、分析チップ5xの残数を表示部に表示して(S16)、処理を終了する(S19)。ここで、固有コードの記録動作(S27)については、図4に示した通りである。
上記のように、未使用の分析チップ5xあるいは使用済みの分析チップ5xの番号を、分析データと共に登録情報として記録領域3に登録しておけば、次回の分析時に、事前に再生された登録情報に基づいて、未使用の分析チップ5xを有効とし、分析プロセスを行うことができる。
例えば、同一の分析対象者において、分析ディスク1を用いて定期的な検査分析を行う場合に、登録情報に基づいて、未使用の分析チップ5xにおいて分析を行い、分析データを記録領域3に記録する。次の回の分析時は、同じ分析ディスク1において、残っている未使用の分析チップ5xを使用して分析を行い、分析データを記録領域3における空きの記録領域3に記録する。これを定期検査ごとに順次繰り返せば、分析ディスク1の分析チップ5xを全て使用した後に、記録領域3と分析領域2とを切り離し、記録領域3には分析対象者が定期検査の結果を保存することができる。さらに、記録領域3の消去や書き換えを禁止しておけば、誤って定期検査の結果を消去したりや書き換えすることがない。この消去や書き換えの禁止動作は、ソフトウエアでもハードウエアでも実施可能であり、特に、記録領域3がCD−RやDVD−Rなどの追記録型の媒体から構成されていれば、ハードウエア的な禁止機能が付加されるため、分析データの安全性がより一層向上する。
図9(a)は、上記定期検査に必要なフローについて、図8を用いて説明したS6を別のステップ(S6’)に置き換えて説明する図である。また、図9(b)は、上記定期検査に必要なフローについて、図8を用いて説明したS14を別のステップ(S14’)に置き換えて説明する図である。
S6’では、図8における未使用分析チップ5xの表示の動作(S6)に加えて、患者名、検査履歴、過去の分析データの表示を行う。また、S14’では、図8における分析終了の表示の動作(S14)に加えて、患者名、検査履歴、過去の分析データの表示、次回の検査予定日の表示を行う。なお、過去の分析データには、今回分析した分析データも含まれるものとする。S6’やS14’の処理により、定期的な検査において、同じ分析ディスク1を使用し、残っている未使用の分析チップ5xにおいて分析を行い、分析データを記録領域3における空きの領域に記録していけば、毎回、診断の進捗状況を確認することができる。また、分析チップ5xを全て使用した後に、記録領域3と分析領域2とを切り離し、記録領域3には分析対象者本人だけの定期検査の結果を保存することができる。また、保存した小径ディスク(記録領域3)は、分析対象者本人や診断者が安全に保管できる。
本実施の形態では、図1に示すように、分析ディスク1に分析チップ5xが8つある例を示したが、定期検査が8回以内で終了するとは限らない。即ち、一枚の分析ディスク1で終了するとは限らない。8回を超えた診断となった場合は、まず8回分の分析データと登録情報を2枚目の未使用の分析ディスク1における記録領域3に複製し、その後に、この未使用ディスクにて9回目の分析を行って、記録領域3に追加記録する。このとき、9回目の定期検査であることを記録するために、回数に8を足して記録する必要がある。このような回数の記録を、順次3枚目以降の分析ディスク1においても継続すれば、記録領域3の容量が一杯になるまで定期検査が可能である。
なお、定期検査において、1枚の分析ディスク1には一人の分析対象者の試料の分析や分析データの記録を行うのが好ましい。もし、1枚の分析ディスク1に複数の分析対象者の分析データが記録されると、分析対象者本人が分析データを個人データとして保管できなくなるからである。将来、カルテを分析対象者である患者本人が保管、管理するシステムに移行する場合を想定すると、1枚の分析ディスク1には一人の試料の分析や分析データの記録を行う必要がある。
分析ディスク1を使用して分析を行う場合には、上記登録情報に基づき、個人認証データ(名前を含む)を含めて、本人であるか否かを確認する。これにより、本人以外の分析対象者の試料分析や分析データの記録が行われることはない。
以上のように、本実施形態では、分断用領域4を備える分析ディスク1について示したが、複数の分析ディスク1…にわたる登録情報の追加更新や、登録情報に基づく未使用の分析チップ5xだけの分析操作の制御などは、分断用領域4を備えなくとも有効である。
また、本実発明に係る分析基板は、電気泳動に限らず、ハイブリダイゼーション、インキュベーション、およびカラムクロマトグラフィーなどの、他のアッセイにおいても使用可能である。
本実施形態では、光ビームaを、セルとしての泳動路5e(第1泳動路)に照射している。しかし、光ビームaを、泳動路5eではなく、他の形状のセルに照射してもよい。この例を、図10を参照して説明する。
図10は、アッセイ用の微小なセル81(たとえば、DNAハイブリダイゼーション用セル)が形成されている分析基板1aの構造を示す図である。図10に示す分析基板1aは、分析ディスク1と同様に、ディスク形状であり、分析領域2aと記録領域3aと分断用領域4cとを備えている。この分析基板1aには、上述した泳動路5eの代わりに、アッセイ用のセル81が、多数、形成されている。各セル81のサイズは、いずれも、例えば10μm〜1mmである。セルのサイズや数は特に限定はされない。セル81間には、案内溝82が設けられている。ここで、分析基板1aには、図示しない番地情報も設けられている。
このように、分析基板1aには、セル81に加え、案内溝82および番地情報が設けられている。したがって、分析基板1aにおいても、所望の番地のセル81にアクセスして、光ビームaを照射できる。
また、上記では、分析基板としてディスク形状の分析ディスクを例に挙げて説明した。しかし、本発明に係る分析基板は、ディスク形状に限らず、図11に示すような、カード形状の分析カード101でもかまわない。分析カード101は、分析領域102、記録領域103、分断領域104、描画領域105、分析セル(分析部)106を備える。分断領域104は、連結部104aと切り欠き部104bにより構成される。
分析領域102は、試料の分析が可能に設けられている。分析領域102には、上述した泳動路5eの代わりに、アッセイ用のセル106が、多数形成されている。各セル106のサイズや数は限定されない。記録領域103は、データの記録が可能となっている。連結領域104は、上記分断用領域4と同様、分析領域102と記録領域103とを接続するものであり、連結部104aと切欠き部104bとからなる。連結部104aは、分析領域102と記録領域103とを連結するものであり、分析領域102と記録領域103の間において複数個が分散して形成されている。もちろん、連結部104aの個数は限定されない。これら連結部104aと隣の連結部104aとの間は、切欠き部104b、即ち空間となっている。したがって、分析カード101は、切欠き部104bによって分析領域102と記録領域103とに分離され、連結部104aによって連結されている。また、描画領域105は、記録領域に記録されるデータと照合可能な情報(分析カードの識別情報)が記録可能になっている。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の分析基板は、次のような構成であってもよい。すなわち、本発明に係る分析基板は、試料溶液の分析が可能な分析領域と、情報を記録可能な記録領域と、前記分析領域と記録領域との間に、これら両領域を切り離すための分断用領域と、前記分析領域に、分析基板毎の固有コードを備えた構成であってもよい。
また、本発明の分析基板は上記構成に加え、前記分析領域に光記録が可能な記録媒体が成膜された描画領域を備え、分析基板毎の固有コードを前記描画領域に記録してもよい。
また、本発明の分析基板は上記構成に加え、前記記録媒体は書き換え不可能な追加記録型の媒体であってもよい。
また、本発明の分析基板は上記構成に加え、前記分析領域と記録領域に跨って、照合可能な固有識別子を備えてもよい。
また、本発明の分析基板は上記構成に加え、ディスク形状であって、前記分析領域がディスク径方向における外方側位置に配置され、前記分析領域に対してディスク径方向における内方側位置に、前記記録領域が配置され、前記分析領域と記録領域との間に、これら両領域を切り離すための分断用領域が形成されてもよい。
また、本発明の分析装置は、次のような構成であってもよい。すなわち、本発明に係る分析装置は、上記何れかの分析基板を使用し、前記固有コードを前記記録領域に記録する記録手段を備えた構成であってもよい。
また、本発明の分析装置は、上記構成に加え、固有コードを発生する固有コード出力手段を備え、前記記録手段によって前記固有コードを前記記録領域に記録し、前記描画領域に固有コードを描画する構成であってもよい。