JP2007127218A - 円すいころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受の剛性を低下させることなく低トルクを実現する。
【解決手段】円すいころ軸受1は内輪2と外輪3と円すいころ4と保持器5とからなり、ころ係数γが0.94を越え、内輪、外輪および円すいころのうち少なくともいずれか一つの部材が、窒素富化層を有し、かつ、窒素富化層におけるオーステナイト結晶粒の粒度番号が10番を越える範囲にあり、保持器5が、円すいころ4の小端面側で連なった環状部6と、円すいころ4の大端面側で連なった環状部7と、これらの環状部を連結する複数の柱部8とからなり、隣接する柱部8間に円すいころ4を収容するためのポケット9が画成してあり、柱部8の内径面の両側にころ4の転動面と接するテーパ面8aが形成してあり、テーパ面8aの幅方向の長さ寸法Lが、ころ4の平均直径の5%以上11%未満である。
【選択図】図1

Description

この発明は円すいころ軸受に関し、たとえば自走車両のデファレンシャルやトランスミッション等の動力伝達軸を支持する軸受に適用することができる。
円すいころ軸受は、外径面に軌道面を設けた内輪と、内径面に軌道面を設けた外輪と、内輪と外輪の軌道面間に介在させた複数の円すいころと、これらの円すいころを保持する保持器とからなる。保持器は、円すいころの小端面側で連なった環状部と、円すいころの大端面側で連なった環状部と、これらの環状部同士を連結する複数の柱部とを有し、隣り合った柱部間にころを収納するためのポケットが画成してある。このような保持器では、ころの転動面と接する柱部の内径面の両側にテーパ面を設け、ころの転動面に接触疵が生じないようにしている。従来、このテーパ面の幅方向の長さ寸法Lは、ころの平均直径Dの11〜20%とするのが一般的である。
自走車両のデファレンシャルやトランスミッション等の動力伝達軸を支持するころ軸受は、一部が油浴に漬かった状態で使用され、その回転に伴って油浴の油を潤滑油とする油浴潤滑状態となる。このように油浴潤滑状態で使用されるころ軸受では、ころの転動面と保持器の柱部内径面のテーパ面との間も、これらの面で形成されるくさび空間に入り込む潤滑油で潤滑される。
特開平09−096352号公報 特開平11−210765号公報 特開2003−343552号公報
従来の、保持器の柱部テーパ面の長さ寸法Lをころの平均直径Dの11〜20%としたころ軸受は、ころの転動面と柱部テーパ面との間に比較的大きいくさび空間が形成され、多量の潤滑油がくさび空間に入り込む。このくさび空間からころの転動面と保持器のテーパ面との界面に入る潤滑油の量は限られているので、このように多量の潤滑油がくさび空間に入り込むと、これらの潤滑油の逃げ場がなくなって軸受回転の抵抗となり、トルク損失が大きくなるという問題がある。また、このように潤滑油が軸受内部へ流入するころ軸受では、保持器の回転に対する潤滑油の流動抵抗も、無視できないトルク損失の要因となる。
したがって、軸受内部に潤滑油が流入する円すいころ軸受における潤滑油の流動抵抗によるトルク損失を低減させる必要がある。以上が低トルク化のために油の流動抵抗を減少させる方法であるが、大幅な低トルク化を行うためには、ころがり粘性抵抗が低下するように軸受諸元を変更することが必要である。しかしながら、従来の低トルク化手法(特許文献1〜3参照)では、定格荷重を低下させない低トルク化は可能であるが、軸受剛性はいくらか低下する。
この発明の主要な目的は、軸受剛性を低下させることなく、低トルク化を実現することにある。
この発明は、ころ本数を減らさず、あるいは増加させつつ、ころピッチ径(PCD)を小さくすることによって、課題を解決したものである。図19は円すいころ軸受においてPCDを変化させたときの剛性比(−●−)およびトルク比(−○−)を表したものである。ころの弾性変形量を計算確認した結果、図19に示すように、PCDを小さくすると軸受のトルクは大幅に低下するが、軸受剛性はあまり低下しないといった知見を得た。そこで、ころ本数を減らさないか増加させつつ、PCDを小さくすることによって、剛性を低下させずにトルクを低減させることができる。
この発明の円すいころ軸受は、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に転動自在に介在させた複数の円すいころと、円すいころを円周所定間隔に保持する保持器とからなり、ころ係数γが0.94を越え、前記内輪、外輪および円すいころのうち少なくともいずれか一つの部材が、窒素富化層を有し、かつ、前記窒素富化層におけるオーステナイト結晶粒の粒度番号が10番を越える範囲にあり、前記保持器が、円すいころの小端面側で連なった環状部と、円すいころの大端面側で連なった環状部と、これらの環状部を連結する複数の柱部とからなり、隣接する柱部間に円すいころを収容するためのポケットが形成してあり、前記柱部の内径面の両側に前記ころの転動面と接するテーパ面が形成してあり、前記テーパ面の幅方向の長さ寸法が、前記ころの平均直径の5%以上11%未満であることを特徴とするものである。
ころ係数γ(ころの充填率)は(ころ本数×ころ平均径)/(π×PCD)で表されるパラメータであって、ころ平均径が一定とした場合、γの値が大きいほどころ本数が多いことを意味する。従来の典型的な保持器付き円すいころ軸受ではころ係数γを通常0.94以下に設定しているのに対し、ころ係数γが0.94を越えるということは、従来と比較して、ころ充填率ひいては軸受剛性が高いことを意味する。
窒素富化層は、軌道輪(外輪もしくは内輪)または円すいころの表層に形成された窒素含有量が増加した層であって、たとえば浸炭窒化、窒化、浸窒などの処理によって形成させることができる。窒素富化層における窒素含有量は、好ましくは0.1%〜0.7%の範囲である(請求項3)。窒素含有量が0.1%より少ないと効果がなく、とくに異物混入条件での転動寿命が低下する。窒素含有量が0.7%より多いと、ボイドと呼ばれる空孔ができたり、残留オーステナイトが多くなりすぎて硬度が出なくなったりして短寿命になる。軌道輪に形成された窒素富化層については、窒素含有量は、研削後の軌道面の表層50μmにおける値であって、たとえばPMA(波長分散型X線マイクロアナライザ)で測定することができる。
また、オーステナイト結晶粒の粒度番号が10番を越えるほどオーステナイト粒径が微細であることにより、転動疲労寿命を大幅に改良することができる。オーステナイト粒径の粒度番号が10番以下では、転動疲労寿命は大きく改善されないので、10番を越える範囲とする。通常、11番以上とする。オーステナイト粒径は細かいほど望ましいが、通常、13番を越える粒度番号を得ることは難しい。なお、上記の軸受部品のオーステナイト粒は、窒素富化層を有する表層部でも、それより内側の内部でも変化しない。したがって、上記の結晶粒度番号の範囲の対象となる位置は、表層部および内部とする。オーステナイト結晶粒は、たとえば焼入れ処理を行った後も焼入れ直前のオーステナイト結晶粒界の痕跡が残っており、その痕跡に基づいた結晶粒をいう。
ころの転動面と接する保持器の柱部のテーパ面の幅方向の長さ寸法を、ころの平均直径の11%未満、好ましくは9%以下とすることにより、ころの転動面とテーパ面との間にあまり大きなくさび空間が形成されないようにして、くさび空間に入り込む潤滑油の量を少なくし、潤滑油の逃げ場がなくなることによるトルク損失を低減できるようにした。なお、テーパ面の幅方向の長さ寸法をころの平均直径の5%以上としたのは、5%未満では、ころの外径面とのテーパ面との弾性接触領域がテーパ面の幅よりも大きくなるおそれがあるからである。
請求項2の発明は、請求項1の円すいころ軸受において、前記柱部の厚さ寸法が、前記ころの平均直径の5%以上17%未満であることを特徴とするものである。これにより、柱部の厚みを薄くして、保持器の回転に対する潤滑油の流動抵抗を小さくし、トルク損失をより低減させることができる。なお、柱部の厚さ寸法をころの平均値の5%以上としたのは、5%では保持器の剛性を十分に確保できないからである。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの円すいころ軸受において、前記保持器のポケットの窓角が55°以上80°以下であることを特徴とするものである。窓角とは、柱部の、ころの転動面と接する面がなす角度をいう。窓角を55°以上としたのは、ころとの良好な接触状態を確保するためであり、80°以下としたのは、これ以上大きくなると半径方向への押し付け力が大きくなり、自己潤滑性の樹脂材であっても円滑な回転が得られなくなる危険性が生じるからである。なお、通常の保持器では窓角は25°〜50°となっている。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの円すいころ軸受において、前記保持器が機械的強度、耐油性および耐熱性に優れたエンジニアリング・プラスチックで形成してあることを特徴とするものである。保持器に樹脂材を使用することにより、鉄板製保持器に比べ、保持器重量が軽く、自己潤滑性があり、摩擦係数が小さいという特徴があるため、軸受内に介在する潤滑油の効果と相俟って、外輪との接触による摩耗の発生を抑えることが可能になる。これらの樹脂は鋼板と比べると重量が軽く摩擦係数が小さいため、軸受起動時のトルク損失や保持器摩耗の低減に好適である。
上述の各円すいころ軸受は、自走車両の動力伝達軸を支持するものに好適である(請求項6)。
この発明によれば、剛性を低下させることなくトルク損失を減少させることができる。すなわち、この発明の円すいころ軸受は、ころ係数γが0.94を越えないような設定とすることにより、ころ本数を減らさず、あるいは増加させつつ、ころピッチ径(PCD)を小さくすることができ、剛性の低下を防止することができる。しかも、ころ係数γを0.94より小さく抑えることにより、負荷容量がアップするばかりでなく、軌道面の最大面圧を低下させることができるため、過酷潤滑条件下での極短寿命での表面起点剥離を防止することができる。
また、この発明の円すいころ軸受は、窒素富化層を形成した上で、オーステナイト粒径を粒度番号で11番以上に微細化したため、転動疲労寿命が大きく改善され、優れた耐割れ強度や耐経年寸法変化を得ることができる。
さらに、ころの転動面と接する保持器の柱部のテーパ面の幅方向の長さ寸法を、ころの平均直径の5%以上11%未満としたことにより、ころの転動面とテーパ面との間にあまり大きなくさび空間が形成されず、くさび空間に入り込む潤滑油の量が少なくなる。したがって、潤滑油の逃げ場がなくなることによるトルク損失が減少し、低トルク化を促進することができる。
以下、図面に従ってこの発明の実施の形態を説明する。まず、図2を参照して全体構成を説明すると、円すいころ軸受1は内輪2と外輪3と円すいころ3と保持器4とを主要な構成要素としている。内輪2は外周に円すい状の軌道面2aが形成してあり、外輪3は内周に円すい状の軌道面3aが形成してある。内輪2の軌道面の2aと外輪3の軌道面3aとの間に複数の円すいころ4が転動自在に介在させてある。各円すいころ4は保持器5に形成したポケット内に収容され、内輪2の軌道面2aの両側に形成した小つば2bと大つば2cとで軸方向移動を規制される。
円すいころ軸受1は、ころ係数γ>0.94となっている。ころ係数γはころの充填率を表し、次式で定義される。
ころ係数γ=(Z・DA)/(π・PCD)
ここに、
Z:ころ本数、
DA:ころ平均径、
PCD:ころピッチ円径。
比較のため、図3を参照して従来の技術に言及すると、同図に示す円すいころ軸受は、保持器から外輪が離間している典型的な保持器付き円すいころ軸受であって、外輪71と保持器72との接触を避けた上で、保持器72の柱幅を確保し、適切な保持器72の柱強度を円滑な回転を得るために、通常、ころ係数γを0.94以下にして設計している。なお、図3中、符号73,74,75は、それぞれ、円すいころ、柱面、内輪を指し、符号θは窓角を表している。
保持器5は、図1(A)に示すように、円すいころ4の小端面側で連なった環状部6と、円すいころ4の大端面側で連なった環状部7と、これらの環状部6,7を連結する複数の柱部8とからなり、隣り合った柱部8間に台形状のポケット9が画成される。
図1(B)に示すように、柱部8の内径面の両側には、円すいころ4の転動と接するテーパ面8aが形成してある。このテーパ面8aの幅方向の長さ寸法Lは、円すいころ4の平均直径Dの5%以上11%未満、たとえば7%に設定するのが望ましい。このような構成とすることにより、円すいころ4の転動面とテーパ面8aとの間にあまり大きなくさび空間が形成されることはない。また、柱部8の厚さ寸法Tは、円すいころ4の平均直径Dの5%以上17%未満、たとえば10%に設定するのが望ましい。このような構成とすることにより、保持器5の回転に対する潤滑油の流動抵抗を小さく抑えることができる。
図1(B)に示したテーパ面の長さ寸法Lを円すいころの平均直径Dの7%とした保持器を用いた円すいころ軸受(実施例)と、テーパ面の長さ寸法Lを円すいころの平均直径Dの13%とした従来の保持器を用いた円すいころ軸受(比較例)とを用意した。円すいころ軸受の寸法は、いずれも、外径100mm、内径45mm、幅27.25mmとした。また、保持器の柱部の厚さ寸法Tは、実施例のものが円すいころの平均直径Dの13%、比較例のものが17%とした。
実施例と比較例の円すいころ軸受について、縦型トルク試験機を用いたトルク測定試験を行った。試験条件は次のとおりである。
・アキシアル荷重:300kgf
・回転速度 :300〜2000rpm(100rpmピッチ)
・潤滑条件 :油浴潤滑(潤滑油:75W−90)
図4は、上記トルク測定試験の結果を示し、同図のグラフの縦軸は、比較例のもののトルクに対する実施例のもののトルクの低減率を表す。テーパ面の長さ寸法Lを円すいころの平均直径Dの7%と小さくした実施例のものは、低速回転から高速回転まで顕著なトルク低減効果が認められ、試験の最高回転速度である2000rpmでも12.0%のトルク低減率が得られている。この実施例のトルク低減効果には、柱部の厚さ寸法Tを薄くして、保持器の回転に対する潤滑油の流動抵抗を小さくした効果も含まれている。
図5および図6を参照して、柱部8の、ころの転動面と接する面8aがなす角度すなわち窓角θについて述べると、下限窓角θminが55°(図5)、上限窓角θmaxが80°(図6)である。窓角は、従来の、保持器が外輪から離間している典型的な保持器付き円すいころ軸受(図3参照)では、大きくても約50°である。下限窓角θminを55°としたのは、ころとの良好な接触状態を確保するためであり、窓角55°未満ではころとの接触状態が悪くなる。すなわち、窓角を55°以上とすると、保持器強度を確保した上でγ>0.94として、かつ、良好な接触状態を確保できるのである。また、上限窓角θmaxを80°としたのは、これ以上大きくなると半径方向への押し付け力が大きくなり、自己潤滑性の樹脂材であっても円滑な回転が得られなくなる危険性が生じるからである。
図7に軸受の寿命試験の結果を示す。同図の「軸受」欄中、「比較例1」は保持器と外輪とが離れた典型的な従来の円すいころ軸受(図3参照)である。「比較例2」はこの発明の円すいころ軸受のうち従来品に対してころ係数γのみをγ>0.94とした円すいころ軸受である。「実施例」がころ係数γをγ>0.94とし、かつ、窓角を55°〜80°の範囲にしたこの発明の円すいころ軸受である。寸法(単位mm)はいずれもφ45×φ81×16で、ころ本数は「比較例1」が24、「比較例2」および「実施例」が27本であった。試験は過酷潤滑(油膜パラメータΛ=0.2)、過大負荷条件下で行った。図7から明らかなように、「比較例2」は「比較例1」の2倍以上の長寿命となる。さらに、「実施例」の軸受はころ係数が「比較例2」と同じ0.96であるが、寿命時間は「比較例2」の約5倍以上にもなる。
保持器5は、例えばPPS、PEEK、PA、PPA、PAI等のスーパーエンプラで一体成形することができる。また、必要に応じて、強度増強のため、これら樹脂材料またはその他のエンジニアリング・プラスチックにガラス繊維または炭素繊維などを配合したものを使用してもよい。エンジニアリング・プラスチックは、汎用エンジニアリング・プラスチックとスーパー・エンジニアリング・プラスチックを含む。以下に代表的なものを掲げるが、これらはエンジニアリング・プラスチックの例示であって、エンジニアリング・プラスチックが以下のものに限定されるものではない。
〔汎用エンジニアリング・プラスチック〕ポリカーボネート(PC)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)
〔スーパー・エンジニアリング・プラスチック〕ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリメチルベンテン(TPX)、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリアミド11,12(PA11,12)、フッ素樹脂、ポリフタルアミド(PPA)
図8に示す変形例は、エンジニアリング・プラスチックで一体成形した保持器5の柱部8の外径面に、外輪3の軌道面側に向けて凸状となった突起部8bを形成したものである。その他は前述した保持器5と同じである。突起部8bは図9に示すように柱部8の横断方向の断面輪郭形状が円弧状をしている。この円弧状の曲率半径R2は外輪軌道面半径R1より小さくしてある。これは、突起部8bと外輪軌道面との間に良好なくさび状油膜が形成されるようにするためである。望ましくは突起部の曲率半径R2は外輪軌道面半径R1の70〜90%程度に形成するとよい。70%未満では、くさび状油膜の入口開き角度が大きくなりすぎて却って動圧が低下する。90%を超えると、くさび状油膜の入口角度が小さくなりすぎて同様に動圧が低下する。
また、突起部8bの横幅W2は望ましくは柱部5cの横幅W1の50%以上とする(W2≧0.5W1)。50%未満では良好なくさび状油膜を形成するための充分な突起部8bの高さが確保できなくなるためである。なお、外輪軌道面半径R1は大径側から小径側へと連続的に変化しているので、突起部8bの曲率半径R2もそれに合わせて大径側環状部7の大きな曲率半径R2から小径側環状部6の小さな曲率半径R2へと連続的に変化するようにする。
図8の円すいころ軸受1は以上にように構成されているため、軸受1が回転して保持器5が回転し始めると、外輪軌道面と保持器5の突起部8bとの間にくさび状油膜が形成される。このくさび状油膜は軸受1の回転速度にほぼ比例した動圧を発生するので、保持器5のピッチ円径(PCD)を従来よりも大きくして外輪軌道面に近接させても、軸受1を大きな摩耗ないしトルク損失を生じることなく回転させることが可能となり、無理なくころ本数を増加させることが可能となる。
上述の円すいころ軸受1の内輪2、外輪3および円すいころ4の少なくとも一つの軸受部品は窒素富化層を有する。窒素富化層を形成させるための処理の具体例として浸炭窒化処理を含む熱処理について説明する。
図10は、この発明の実施の形態における転がり軸受の熱処理方法を説明する図であり、図11はその変形例を説明する図である。図10は一次焼入れおよび二次焼入れを行う方法を示す熱処理パターンであり、図11は焼入れ途中で材料をA1変態点温度未満に冷却し、その後、再加熱して最終的に焼入れする方法を示す熱処理パターンである。これらの図において、処理T1では鋼の素地に炭素や窒素を拡散させたまま炭素の溶け込みを十分に行った後、A1変態点未満に冷却する。次に、図中の処理T2において、A1変態点温度以上かつ処理T1よりも低温に再加熱し、そこから油焼入れを施す。
上記の熱処理により、従来の浸炭窒化焼入れすなわち浸炭窒化処理に引き続いてそのまま1回焼入れするよりも、表層部分を浸炭窒化しつつ、割れ強度を向上させ、経年寸法変化率を減少させることができる。上記図10または図11の熱処理パターンによって製造されたこの発明の転がり軸受は、オーステナイト結晶粒の粒径が従来の2分の1以下となるミクロ組織を有している。上記の熱処理を受けた軸受部品は、転動疲労に対して長寿命であり、割れ強度を向上させ、経年寸法変化率も減少させることができる。結晶粒の微細化のために二次焼入れ温度を下げる熱処理工程をとるため、残留オーステナイト量が表層および内部で減少する結果、すぐれた耐割れ強度や耐経年寸法変化を得ることができるのである。
図12は、軸受部品のミクロ組織、とくにオーステナイト粒を示す図である。図12(A)は本発明例の軸受部品であり、図12(B)は従来の軸受部品である。すなわち、図10に示す熱処理パターンを適用したこの発明の実施の形態である転がり軸受の軌道輪のオーステナイト結晶粒度を図12(A)に示す。また、比較のため、従来の熱処理方法による軸受鋼のオーステナイト結晶粒度を図12(B)に示す。図13(A)および図13(B)に、上記図12(A)および図12(B)を図解したオーステナイト結晶粒度を示す。これらオーステナイト結晶粒度を示す組織より、従来のオーステナイト粒径はJIS規格の粒度番号で10番であり、図10または図11による熱処理方法によれば12番の細粒を得ることができる。図12(A)の平均粒径は、切片法で測定した結果、5.6μmであった。
次に、この発明の実施例について説明する。
(実施例1)
JIS規格SUJ2材(1.0重量%C−0.25重量%Si−0.4重量%Mn−1.5重量%Cr)を用いて、(1)水素量の測定、(2)結晶粒度の測定、(3)シャルピー衝撃試験、(4)破壊応力値の測定、(5)転動疲労試験の各試験を行った。表1にその結果を示す。
Figure 2007127218
各試料の製造履歴は次のとおりである。
試料A〜D(本発明例):浸炭窒化処理850℃、保持時間150分間。雰囲気は、RXガスとアンモニアガスとの混合ガスとした。図10に示す熱処理パターンにおいて、浸炭窒化処理温度850℃から一次焼入れを行い、次いで浸炭窒化処理温度より低い温度域780℃〜830℃に加熱して二次焼入れを行った。ただし、二次焼入れ温度780℃の試料Aは焼入れ不足のため試験の対象から外した。
試料E,F(比較例):浸炭窒化処理は、本発明例A〜Dと同じ履歴で行い、二次焼入れ温度を浸炭窒化処理温度850℃以上の850℃〜870℃で行った。
従来浸炭窒化処理品(比較例):浸炭窒化処理850℃、保持時間150分間。雰囲気は、RXガスとアンモニアガスとの混合ガスとした。浸炭窒化処理温度からそのまま焼入れを行い、二次焼入れは行わなかった。
普通焼入れ品(比較例):浸炭窒化処理を行わずに、850℃に加熱して焼入れした。二次焼入れは行わなかった。
次に、試験方法について説明する。
(1)水素量の測定
水素量は、LECO社製DH−103型水素分析装置により、鋼中の非拡散性水素量を分析した。拡散性水素量は測定していない。このLECO社製DH−103型水素分析装置の仕様は次のとおりである。
分析範囲:0.01〜50.00ppm
分析精度:±0.1ppmまたは±3%H(いずれか大なる方)
分析感度:0.01ppm
検出方式:熱伝導度法
試料重量サイズ:10mg〜35mg(最大:直径12mm×長さ100mm)
加熱炉温度範囲:50℃〜1100℃
試薬:アンハイドロン Mg(ClO42、 アスカライト NaOH
キャリアガス:窒素ガス、ガスドージングガス:水素ガス、いずれのガスも純度99.99%以上、圧力40psi(2.8kgf/cm2
測定手順の概要は以下のとおりである。専用のサンプラーで採取した試料をサンプラーごと上記の水素分析装置に挿入する。内部の拡散性水素は窒素キャリアガスによって熱伝導度検出器に導かれる。この拡散性水素は本実施例では測定しない。次に、サンプラーから試料を取り出し、抵抗加熱炉内で加熱し、非拡散性水素を窒素キャリアガスによって熱伝導度検出器に導く。熱伝導度検出器において熱伝導度を測定することによって非拡散性水素量を知ることができる。
(2)結晶粒度の測定
結晶粒度の測定は、JIS G 0551の鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法に基づいて行った。
(3)シャルピー衝撃試験
シャルピー衝撃試験は、JIS Z 2242の金属材料のシャルピー衝撃試験方法に基づいて行った。試験片は、JIS Z 2202に示されたUノッチ試験片(JIS3号試験片)を用いた。
(4)破壊応力値の測定
図14は、静圧壊強度試験(破壊応力値の測定)の試験片を示す図である。図中のP方向に荷重を負荷して破壊されるまでの荷重を測定する。その後、得られた破壊荷重を、下記の曲がり梁の応力計算式により応力値に換算する。なお、試験片は図14に示す試験片に限られず、他の形状の試験片を用いてもよい。
図14の試験片の凸表面における繊維応力をσ1、凹表面における繊維応力をσ2とすると、σ1およびσ2は下記の式によって求められる(機械工学便覧A4編材料力学A4−40)。ここで、Nは円環状試験片の軸を含む断面の軸力、Aは横断面積、e1は外半径、e2は内半径を表す。また、κは曲がり梁の断面係数である。
σ1=(N/A)+{M/(Aρ0)}[1+e1/{κ(ρ0+e1)}]
σ2=(N/A)+{M/(Aρ0)}[1−e2/{κ(ρ0−e2)}]
κ=−(1/A)∫A{η/(ρ0+η)}dA
(5)転動疲労寿命
転動疲労寿命試験の試験条件を表2に示す。また、図15は、転動疲労寿命試験機の概略図であって、図15(A)は正面図、図15(B)は側面図である。図15において、転動疲労寿命試験片18は、駆動ロール12によって駆動され、ボール16と接触して回転する。ボール16は3/4インチのボールであり、案内ロール14にガイドされて転動疲労寿命試験片18との間で高い面圧を及ぼし合いながら転動する。
表1に示した実施例Iの試験結果を説明すると次のとおりである。
水素量
浸炭窒化処理したままの従来浸炭窒化処理品は、0.72ppmと非常に高い値となっている。これは、浸炭窒化処理の雰囲気に含まれるアンモニア(NH3)が分解して水素が鋼中に浸入したためと考えられる。これに対し、試料B〜Dは、水素量は0.37〜0.40ppmと半分近くまで減少している。この水素量は普通焼入れ品と同レベルである。
結晶粒度
結晶粒度は二次焼入れ温度が、浸炭窒化処理時の焼入れ(一次焼入れ)の温度より低い場合、すなわち試料B〜Dの場合、オーステナイト粒は、結晶粒度番号11〜12と顕著に微細化されている。試料EおよびFならびに従来浸炭窒化処理品および普通焼入れ品のオーステナイト粒は、結晶粒度番号10であり、本発明例の試料B〜Dより粗大な結晶粒となっている。
シャルピー衝撃試験
表1によれば、従来浸炭窒化処理品のシャルピー衝撃値は5.33J/cm2であるのに対して、本発明例の試料B〜Dのシャルピー衝撃値は6.30〜6.65J/cm2と高い値が得られている。この中でも、二次焼入れ温度が低い方がシャルピー衝撃値が高くなる傾向を示す。普通焼入れ品のシャルピー衝撃値は6.70J/cm2と高い。
(4)破壊応力値の測定
上記破壊応力値は、耐割れ強度に相当する。表1によれば、従来浸炭窒化処理品は2330MPaの破壊応力値となっている。これに比して、試料B〜Dの破壊応力値は2650〜2840MPaと改善された値が得られている。普通焼入れ品の破壊応力値は2770MPaであり、試料B〜Dの改良された耐割れ強度は、オーステナイト結晶粒の微細化と並んで、水素含有率の低減による効果が大きいと推定される。
(5)転動疲労試験
表1によれば、普通焼入れ品は浸炭窒化層を表層部に有しないことを反映して、転動疲労寿命L10は最も低い。これに比して従来浸炭窒化処理品の転動疲労寿命は3.1倍となる。試料B〜Dの転動疲労寿命は従来浸炭窒化処理品より大幅に向上する。試料E,Fは、従来浸炭窒化処理品とほぼ同等である。
上記をまとめると、本発明例の試料B〜Dは、水素含有率が低下し、オーステナイト結晶粒度が11番以上に微細化され、シャルピー衝撃値、耐割れ強度および転動疲労寿命も改善される。
(実施例II)
次に、実施例IIについて説明する。下記のX材、Y材およびZ材について、一連の試験を行った。熱処理用素材には、JIS規格SUJ2材(1.0重量%C−0.25重量%Si−0.4重量%Mn−1.5重量%Cr)を用い、X材〜Z材に共通とした。X材〜Z材の製造履歴は次のとおりである。
X材(比較例):普通焼入れのみ(浸炭窒化処理せず)
Y材(比較例):浸炭窒化処理後にそのまま焼入れ(従来の浸炭窒化焼入れ)。浸炭窒化処理温度845℃、保持時間150分間。浸炭窒化処理の雰囲気は、RXガス+アンモニアガスとした。
Z材(本発明例):図10の熱処理パターンを施した軸受鋼。浸炭窒化処理温度845℃、保持時間150分間。浸炭窒化処理の雰囲気は、RXガス+アンモニアガスとした。最終焼入れ温度は800℃とした。
(1)転動疲労寿命
転動疲労寿命の試験条件および試験装置は、上述したように、表2および図15に示すとおりである。この転動疲労寿命試験の結果を表3に示す。表3によれば、比較例のY材は、同じく比較例で普通焼入れのみを施したX材のL10寿命(試験片10個中の1個が破損する寿命)の3.1倍を示し、浸炭窒化処理による長寿命化の効果が認められる。これに対して、本発明例のZ材は、B材の1.74倍、またX材の5.4倍の長寿命を示している。この改良の主因はミクロ組織の微細化によるものと考えられる。
Figure 2007127218
Figure 2007127218
(2)シャルピー衝撃試験
シャルピー衝撃試験は、Uノッチ試験片を用いて、上述のJISZ2242に準じた方法により行った。試験結果を表4に示す。浸炭窒化処理を行ったY材(比較例)のシャルピー衝撃値は、普通焼入れのX材(比較例)より高くないが、Z材はX材と同等の値が得られた。
Figure 2007127218
(3)静的破壊靭性値の試験
図16は、静的破壊靭性試験の試験片を示す図である。この試験片のノッチ部に、予き列を約1mm導入した後、3点曲げによる静的荷重を加え、破壊荷重Pを求めた。破壊靭性値(K1c値)の算出には次に示す(I)式を用いた。また、試験結果を表5に示す。予き裂深さが浸炭窒化層深さよりも大きくなったため、比較例のX材とY材とには違いはない。しかし、本発明例のZ材は比較例に対して約1.2倍の値を得ることができた。
K1c=(PL√a/BW2){5.8−9.2(a/W)+
43.6(a/W)2−75.3(a/W)3+77.5(a/W)4} ……(I)
Figure 2007127218
(4)静圧壊強度試験
静圧壊強度試験は、上述のように図16に示す形状のものを用いた。図中、P方向に荷重を負荷して、静圧壊強度試験を行った。試験結果を表6に示す。浸炭窒化処理を行っているY材は普通焼入れのX材よりもやや低い値である。しかしながら、本発明例のZ材は、Y材よりも静圧壊強度が向上し、X材と遜色ないレベルが得られている。
Figure 2007127218
(5)経年寸法変化率
保持温度130℃、保持時間500時間における経年寸法変化率の測定結果を、表面硬度、残留オーステナイト量(50μm深さ)と併せて表7に示す。残留オーステナイト量の多いY材の寸法変化率に比べて、本発明例のZ材は2分の1以下に抑制されていることがわかる。
Figure 2007127218
(6)異物混入下における転動寿命試験
玉軸受6206を用い、標準異物を所定量混入させた異物混入下での転動疲労寿命を評価した。試験条件を表8に、試験結果を表9に示す。X材に比べ、従来の浸炭窒化処理を施したY材は約2.5倍になり、また、本発明例のZ材は約2.3倍の長寿命が得られた。本発明例のZ材は、比較例のY材に比べて残留オーステナイト量が少ないものの、窒素の浸入と微細化されたミクロ組織の影響でほぼ同等の長寿命が得られている。
Figure 2007127218
Figure 2007127218
上記の結果より、Z材すなわち本発明例は、従来の浸炭窒化処理では困難であった転動疲労寿命の長寿命化、割れ強度の向上、経年寸法変化率の低減の3項目を同時に満足することができることがわかった。
(実施例III)
表10に、窒素含有量と異物混入条件下の転動寿命との関係について行った試験の結果を示す。なお、比較例1は標準焼入れ品、比較例2は標準の浸炭窒化品である。比較例3はこの発明実施例と同様の処理を施したものの窒素量のみ過多の場合である。試験条件は次のとおりである。
供試軸受:円すいころ軸受30206(内/外輪、ころ共にJISによる高炭素クロム軸受鋼2種(SUJ2)製)
ラジアル荷重:17.64kN
アキシアル荷重:1.47kN
回転速度:2000rpm
硬質の異物混入1g/L
Figure 2007127218
表10より、実施例1〜5に関しては、窒素含有量と異物寿命はほぼ比例関係にあることがわかる。ただし、窒素含有量が0.72の比較例3では異物混入下の転動寿命が極端に低下していることに照らし、窒素含有量は0.7を上限とするのがよい。
図17に、この発明の円すいころ軸受を使用し得る自動車のデファレンシャルの概略構成を示す。このデファレンシャルは、エンジンの駆動力をプペラシャフト(図示省略)から左右のドライブシャフト(図示省略)に伝達する働きをするもので、デファレンシャルケース21内に配置したドライブピニオン22が、差動歯車ケース23に取り付けたリングギヤ24とかみ合い、差動歯車ケース23の内部に取り付けたピニオンギヤ25が、差動歯車ケース23に左右から挿入したドライブシャフトと結合するサイドギヤ26とかみ合う。このデファレンシャルでは、動力伝達軸であるドライブピニオン22と差動歯車ケース23が、それぞれ一対の円すいころ軸受1a,1bで支持されている。
デファレンシャルケース21には潤滑油を貯留させてシール部材27a,27b,27cで密封してあり、各円すいころ軸受1a,1bは、下部が潤滑油の油浴に漬かった状態で回転し、油浴の潤滑油が軸受内部へ流入する。
図18は、上述の円すいころ軸受を使用し得る自動車のトランスミッションの構成を例示したものである。このトランスミッションは同期噛合式のもので、同図の左側がエンジン側、右側が駆動車輪側である。メインシャフト41とメインドライブギヤ42との間に円すいころ軸受43が配置してある。この例では、メインドライブギヤ42の内周に円すいころ軸受43の外輪軌道面が直接形成してある。メインドライブギヤ42は、円すいころ軸受44でケーシング45に対して回転自在に支持される。メインドライブギヤ42にクラッチギヤ46を連結させ、クラッチギヤ46に近接してシンクロ機構47が配置してある。
シンクロ機構47は、セレクタ(図示省略)の作動によって軸方向(同図で左右方向)に移動するスリーブ48と、スリーブ48の内周に軸方向移動自在に装着したシンクロナイザーキー49と、メインシャフト41の外周に係合連結されたハブ50と、クラッチギヤ46の外周(コーン部)に摺動自在に装着したシンクロナイザーリング51と、シンクロナイザーキー49をスリーブ48の内周に弾性的に押圧する押さえピン52及びスプリング53とを備えている。
同図に示す状態では、スリーブ48及びシンクロナイザーキー49が押さえピン52によって中立位置に保持されている。この時、メインドライブギヤ42はメインシャフト41に対して空転する。一方、セレクタの作動により、スリーブ48が同図に示す状態から例えば軸方向左側に移動すると、スリーブ48に従動してシンクロナイザーキー49が軸方向左側に移動し、シンクロナイザーリング51をクラッチギヤ46のコーン部の傾斜面に押し付ける。これにより、クラッチギヤ46の回転速度が落ち、逆にシンクロ機構47側の回転速度が高まる。そして、両者の回転速度が同期した頃、スリーブ48がさらに軸方向左側に移動して、クラッチギヤ46とかみ合い、メインシャフト41とメインドライブギヤ42との間がシンクロ機構47を介して連結される。これにより、メインシャフト41とメインドライブギヤ42とが同期回転する。
ここに開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(A)はこの発明の実施の形態を示す保持器の展開平面図、(B)は図1(A)のB−B矢視図 (A)はこの発明の実施の形態を示す円すいころ軸受の横断面図、(B)は図2(A)の円すいころ軸受の縦断面図 従来の円すいころ軸受の部分拡大断面図 トルク測定試験の結果を示すグラフ 窓角が下限の円すいころ軸受の部分拡大断面図 窓角が上限の円すいころ軸受の部分拡大断面図 軸受の寿命試験の結果を示す図 保持器の変形例を示す円すいころ軸受の部分断面図 図8の保持器の柱部の断面図 円すいころ軸受の熱処理方法を説明する図 円すいころ軸受の熱処理方法の変形例を示す図 (A)は本発明例の軸受部品のミクロ組織、とくにオーステナイト粒界を示す組織図、(B)は従来の軸受部品のミクロ組織、とくにオーステナイト粒界を示す組織図 (A)は図16(A)を図解したオーステナイト粒界を示す組織図、(B)は図16(B)を図解したオーステナイト粒界を示す組織図 静圧壊強度試験(破壊応力値の測定)の試験片を示す図 (A)は転動疲労寿命試験機の概略図、(B)は転動疲労寿命試験機の側面図 静的破壊靭性試験の試験片を示す図。 一般的な自動車デファレンシャルの断面図 一般的な自動車トランスミッションの断面図 円すいころ軸受においてころピッチ径(PCD)を変化させたときの剛性比(−●−)およびトルク比(−○−)の変化を表した線図
符号の説明
1,1a,1b 円すいころ軸受
2 内輪
2a 軌道面
2b 小つば
2c 大つば
3 外輪
3a 軌道面
4 円すいころ
5 保持器
6 環状部(ころ小端面側)
7 環状部(ころ大端面側)
8 柱部
8a テーパ面
8b 突起部
9 ポケット


Claims (6)

  1. 内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に転動自在に介在させた複数の円すいころと、円すいころを円周所定間隔に保持する保持器とからなり、
    ころ係数γが0.94を越え、
    前記内輪、外輪および円すいころのうち少なくともいずれか一つの部材が、窒素富化層を有し、かつ、前記窒素富化層におけるオーステナイト結晶粒の粒度番号が10番を越える範囲にあり、
    前記保持器が、円すいころの小端面側で連なった環状部と、円すいころの大端面側で連なった環状部と、これらの環状部を連結する複数の柱部とからなり、隣接する柱部間に円すいころを収容するためのポケットが形成してあり、前記柱部の内径面の両側に前記ころの転動面と接するテーパ面が形成してあり、前記テーパ面の幅方向の長さ寸法が、前記ころの平均直径の5%以上11%未満である円すいころ軸受。
  2. 前記柱部の厚さ寸法が、前記円すいころの平均直径の5%以上17%未満である請求項1の円すいころ軸受。
  3. 前記窒素富化層における窒素含有量が0.1%〜0.7%の範囲である請求項1または2の円すいころ軸受。
  4. 前記ポケットの窓角が55°以上80°以下である請求項1ないし3のいずれかの円すいころ軸受。
  5. 前記保持器が機械的強度、耐油性および耐熱性に優れたエンジニアリング・プラスチックで形成してある請求項1ないし4のいずれかの円すいころ軸受。
  6. 自走車両の動力伝達軸を支持する請求項1ないし5のいずれかの円すいころ軸受。

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