JP2007127177A - 固定式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高作動角・高トルク負荷時、エッジ部の割れや欠け等の発生やエッジ部の球面部への食い込みを未然に防止する。
【解決手段】 内球面21に複数のトラック溝22を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端に向けて形成した外輪25と、外球面26に外輪25のトラック溝22と対をなす複数のトラック溝27を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内輪28と、外輪25のトラック溝22と内輪28のトラック溝27間に介在してトルクを伝達する複数のボール29と、外輪25の内球面21と内輪28の外球面26との間に介在してボール29を保持するケージ30とを備えた固定式等速自在継手において、前記ケージ30の内球面32とインロー部33,34が交差するエッジ部35,36、およびケージ30の外球面31と端面37,38が交差するエッジ部39,40を球面R形状とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は固定式等速自在継手に関し、詳しくは、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用されるもので、駆動側と従動側の二軸間で角度変位のみを許容する固定式等速自在継手に関する。
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、自動車のドライブシャフト等の連結用継手として使用されている固定式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大が求められている。
一般的に、固定式等速自在継手は、図11に示すように内球面1に複数のトラック溝2を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端3に向けて形成した外方部材としての外輪5と、外球面6に外輪5のトラック溝2と対をなす複数のトラック溝7を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内方部材としての内輪8と、外輪5のトラック溝2と内輪8のトラック溝7との間に介在してトルクを伝達する複数のボール9と、外輪5の内球面1と内輪8の外球面6との間に介在してボール9を保持するケージ10とを備えている。複数のボール9は、ケージ10に形成されたポケット4に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
この等速自在継手を自動車のドライブシャフトに使用する場合、外輪5を従動軸に連結し、内輪8に車体側のディファレンシャルに取り付けられた摺動式等速自在継手から延びる駆動軸をスプライン嵌合で連結した構造としている。この等速自在継手では、外輪5と内輪8との間に作動角が付与されると、ケージ10に収容されたボール9は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
前述した高角化のニーズに対する固定式等速自在継手は、大きな作動角を取り得る構造とするため、外輪5のトラック溝2を開口端3に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に内輪8のトラック溝7を反開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状とすることにより、高角域の作動を実現している(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2001−153149号公報 特開2001−304282号公報 特開2001−349332号公報
ところで、前述した固定式等速自在継手では、回転トルクが負荷されると、外輪5の内球面1とケージ10の外球面11、およびケージ10の内球面12と内輪8の外球面6が相互に接触して擦れ合うことになる。特に、図12に示すように外輪5と内輪8が高作動角(作動角β)をとった状態で高トルクが負荷されると、前述した外輪5の内球面1とケージ10の外球面11との間、およびケージ10の内球面12と内輪8の外球面6との間で擦れ合う力が強くなる。
一方、ケージ10への内輪8の組み込みは、通常、ケージ10の軸線に対して内輪8をその軸線が垂直になるように配置した状態でその内輪8をケージ10に挿入するようにしているが、その組み込み時にケージ10内に内輪8を容易に挿入することができるようにケージ10の内球面12の軸方向両端、つまり、ケージ10の軸方向両端開口部にインロー部13,14を設けている(図13参照)。
前述したように外輪5と内輪8が高作動角をとった状態で高トルクが負荷されると、外輪5の内球面1とケージ10の外球面11との間、およびケージ10の内球面12と内輪8の外球面6との間で擦れ合う力が強くなる。このことから、ケージ10の内球面12とインロー部13,14が交差するエッジ部15,16と、ケージ10の外球面11と端面17,18が交差するエッジ部19,20に割れや欠け等が発生したり、それらエッジ部15,16が内輪8の外球面6に食い込む現象あるいはエッジ部19,20が外輪5の内球面1に食い込む現象が発生したりすることにより、作動不良を引き起こす可能性が高くなる。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、高作動角・高トルク負荷時、エッジ部の割れや欠け等の発生やエッジ部の球面部への食い込みを未然に防止し得る固定式等速自在継手を提供することにある。
前述の目的を達成するため、本発明は、内球面に複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端に向けて形成した外方部材と、外球面に外方部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内方部材と、外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた固定式等速自在継手において、ケージの内球面とインロー部が交差するエッジ部、あるいはケージの外球面と端面が交差するエッジ部の少なくともいずれか一方を球面R形状としたことを特徴とする。ここで、前述の「球面R形状」とは、ケージの内球面とインロー部あるいはケージの外球面と端面とを滑らかに繋ぐ球面状の連続曲面を意味する。
本発明では、外方部材と内方部材が高作動角をとった状態で高トルクが負荷されて、ケージの内球面と内方部材の外球面との間で擦れ合う力が強くなっても、ケージの内球面とインロー部が交差するエッジ部を球面R形状としたことにより、そのエッジ部に割れや欠け等が発生したり、それらエッジ部が内方部材の外球面に食い込む現象が発生したりすることがなくなり、作動不良の発生を未然に防止できる。
また、ケージの外球面と端面が交差するエッジ部についても同様で、高作動角・高トルク負荷時、外方部材の内球面とケージの外球面との間で擦れ合う力が強くても、ケージの外球面と端面が交差するエッジ部を球面R形状としたことにより、そのエッジ部の割れや欠け等、エッジ部の外方部材の内球面への食い込みがなくなり、作動不良の発生を未然に防止できる。
本発明は、外方部材のトラック溝を開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に内方部材のトラック溝を反開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状とし、ケージの外球面中心と内球面中心を継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせた構造とすることが望ましい。このような構造とすることにより、より一層の高角化を実現することができる。
本発明では、外方部材および内方部材の両トラック溝をテーパ状とすることにより、外方部材の外径を大きくすることなく、作動角の高角化を容易に実現する上で、外方部材の肉厚を薄くしてもその外方部材の強度および加工性を低下させないように、この等速自在継手の内部諸元の中で、トラック溝をテーパ状にすることによる影響および傾向を検証し、前述のトラック溝のテーパ角度の最適値としてその上限値を12°に規定した。
本出願人は、従来必要な基本性能である強度や耐久性を確保しながら、静的内部力解析、有限要素法(FEM)解析を用いて検討を進め、トラック溝のテーパ角度の範囲を絞り込んで最適設定した。そして、テーパ角度を変えたサンプルの評価結果と解析結果との整合性を確認した。
前述の構成において、ケージの外球面中心と内球面中心とのケージオフセット量fと、作動角0°時における外方部材のトラック溝の曲率中心または内方部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0.12以下であることが望ましい。このケージオフセット量fは、ケージの縦断面における肉厚差に関係するため、この点を考慮してケージオフセット量fを設定することが望ましい。
例えば、ケージオフセット量fを大きく設定することにより、外方部材の開口端側にケージの厚肉側を位置させるようにすれば、外方部材の開口端側のケージの肉厚を増大させて強度向上を図ることができる利点を有する。また、外方部材の開口端側のケージの肉厚を増大させることによって、作動角をとった時、外方部材の開口端から飛び出そうとするボールをケージで拘束することができる。
ただし、ケージオフセット量fが大きすぎると、ケージのポケット内におけるボールの周方向移動量が大きくなり、ボールの適正な運動を確保するため、ケージのポケットの周方向寸法を大きくする必要が生じるので、ケージの柱部が細くなり、強度面が問題となる。また、ケージの入口側と反対側に位置する奥側の肉厚が小さくなり、強度面が問題となる。
以上より、ケージオフセット量fが過大であるのは好ましくなく、ケージオフセット量fを設ける意義と前述の強度面での問題との均衡を図り得る最適範囲が存在する。ただ、ケージオフセット量fの最適範囲は継手の大きさによって変わるので、継手の大きさを表わす基本寸法との関係において求める必要がある。そのため、ケージオフセット量fと、外方部材のトラック溝の曲率中心または内方部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比f/PCRを用いる。
そこで、前述の構成におけるケージオフセット量は、そのケージオフセット量fと、作動角0°時における外方部材のトラック溝の曲率中心または内方部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比f/PCRを0より大きく、かつ、0.12以下とすることが望ましい。
この比f/PCRが0.12より大きいと前述の強度面での問題がある。逆に、0以下であるとケージオフセット量fを設ける意義がなくなる。すなわち、ケージオフセットの大きな目的は、外方部材と内方部材のトラック溝中心を軸方向にオフセットさせることにより、ボールの位置を安定させて二等分面上にボールを保持させることであり、このオフセットがないと、ボールの位置が定まらないことから、0以下の範囲では、その目的が達成できない。従って、ケージ強度の確保、耐久性の確保の点から、比f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下であることが、ケージオフセット量fの最適範囲である。
本発明によれば、ケージの内球面とインロー部が交差するエッジ部、あるいはケージの外球面と端面が交差するエッジ部の少なくともいずれか一方を球面R形状としたことにより、外方部材と内方部材が高作動角をとった状態で高トルクが負荷されて、ケージの内球面と内方部材の外球面との間で擦れ合う力が強くなっても、前述のエッジ部に割れや欠け等が発生したり、それらエッジ部が内輪の外球面あるいは外輪の内球面に食い込む現象が発生したりすることがなくなり、作動不良の発生を未然に防止できる。その結果、作動性の向上が図れ、信頼性の高い固定式等速自在継手を提供できる。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。
図1に示す実施形態の等速自在継手は、内球面21に複数のトラック溝22を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端23に向けて形成した外方部材としての外輪25と、外球面26に外輪25のトラック溝22と対をなす複数のトラック溝27を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内方部材としての内輪28と、外輪25のトラック溝22と内輪28のトラック溝27間に介在してトルクを伝達する複数のボール29と、外輪25の内球面21と内輪28の外球面26との間に介在して各ボール29を保持するケージ30とを備えている。複数のボール29は、ケージ30に形成されたポケット24に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
なお、ケージ30への内輪28の組み込みは、通常、ケージ30の軸線に対して内輪28をその軸線が垂直になるように配置した状態でその内輪28をケージ30に挿入するようにしているが、その組み込み時にケージ30内に内輪28を容易に挿入することができるようにケージ30の内球面32の軸方向両端、つまり、ケージ30の軸方向両端開口部にインロー部33,34を設けている。
この等速自在継手を自動車のドライブシャフトに使用する場合、前述の外輪25を従動軸に連結し、内輪28に車体側のディファレンシャルに取り付けられた摺動式等速自在継手から延びる駆動軸をスプライン嵌合で連結した構造とすることで、それら従動軸と駆動軸間で角度変位を許容しながらトルク伝達が可能な構造としている。この等速自在継手では、図2に示すように外輪25と内輪28との間に作動角βが付与されると、ケージ30のポケット24に収容されたボール29は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面に維持され、継手の等速性が確保される。
この等速自在継手では、大きな作動角を取り得る構造とするため、外輪25の各トラック溝22を外輪25の開口端23に向けて直線的に拡径させたテーパ状としている。つまり、トラック溝22は、反開口側である底側の円弧底22aと開口側のテーパ底22bとを有する。一方、内輪28の各トラック溝27も外輪25の反開口端に向けて直線的に拡径させたテーパ状としている。つまり、トラック溝27は、開口側の円弧底27aと底側のテーパ底27bとを有する。
このようにして、高角化した固定型等速自在継手におけるケージ30は、後述するようにケージオフセットを設けることにより、外輪25の開口端側に向けて厚肉で、その奥側に向けて薄肉となった形状を有する。このケージ30において、図3に示すようにケージ30の内球面32とインロー部33,34が交差するエッジ部35,36、およびケージ30の外球面31と端面37,38が交差するエッジ部39,40を球面R形状とする。この球面R形状は、ケージ30の内球面32とインロー部35,36およびケージ30の外球面31と端面37,38とを滑らかに繋ぐ球面状の連続曲面としている。
この実施形態における等速自在継手では、図2に示すように外輪25と内輪28が高作動角をとった状態で高トルクが負荷されて、ケージ30の内球面32と内輪28の外球面26との間で擦れ合う力が強くなっても、ケージ30の内球面32とインロー部33,34が交差するエッジ部35,36を球面R形状としたことにより、そのエッジ部35,36に割れや欠け等が発生したり、それらエッジ部35,36が内輪28の外球面26に食い込む現象が発生したりすることがなくなり、作動不良の発生を未然に防止できる。
また、ケージ30の外球面31と端面37,38が交差するエッジ部39,40についても同様で、高作動角・高トルク負荷時、外輪25の内球面21とケージ30の外球面31との間で擦れ合う力が強くても、ケージ30の外球面31と端面37,38が交差するエッジ部39,40を球面R形状としたことにより、そのエッジ部39,40の割れや欠け等、エッジ部39,40の外輪25の内球面21への食い込みがなくなり、作動不良の発生を未然に防止できる。
なお、この実施形態では、ケージ30の内球面32とインロー部33,34が交差するエッジ部35,36、およびケージ30の外球面31と端面37,38が交差するエッジ部39,40の両方を球面R形状とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、図4または図5に示す実施形態の構造であってもよい。
図4の実施形態では、ケージ30’の内球面32とインロー部33,34が交差するエッジ部35,36のみを球面R形状としている。この場合、エッジ部35,36の割れや欠け等、エッジ部35,36の内輪28の外球面26への食い込みがなくなり、作動不良の発生を未然に防止できる。また、図5の実施形態では、ケージ30''の外球面31と端面37,38が交差するエッジ部39,40のみを球面R形状としている。この場合、エッジ部39,40の割れや欠け等、エッジ部39,40の外輪25の内球面21への食い込みがなくなり、作動不良の発生を未然に防止できる。
図6は、外輪25および内輪28のそれぞれのトラック溝22,27の形状、トラックオフセットおよびケージオフセットを説明するため、図1の拡大断面(ハッチングは省略)を示す。
この等速自在継手では、大きな作動角を取り得る構造とするため、ケージ30の内球面32の曲率中心Oと、外球面31の曲率中心Oとは、継手中心Oを通る継手中心面Pに対して等距離fだけ軸方向に逆向きにオフセットされている(ケージオフセット)。なお、ケージ30の外球面31の曲率中心Oは、外輪25の内球面21の曲率中心と一致し、かつ、ケージ30の内球面32の曲率中心Oは、内輪28の外球面26の曲率中心と一致している(従って、以下の説明では、外輪25の内球面21の曲率中心もOとし、内輪28の外球面26の曲率中心もOとする)。さらに、外輪25のトラック溝22の曲率中心Oと、内輪28のトラック溝27の曲率中心Oとは、外輪25の内球面21の曲率中心Oと内輪28の外球面26の曲率中心Oのそれぞれに対して等距離Fだけ軸方向に逆向きにオフセットされている(トラックオフセット)。
このようにして、一対のトラック溝22,27により、外輪25の奥側から開口端側に向けて径方向間隔が徐々に増加する楔状のボールトラックが形成されている。各ボール29は一対のトラック溝22,27間に転動可能に組み込まれており、外輪25と内輪28が作動角をとった状態でトルクを伝達するとき、楔状のボールトラックの間隔の広い方へ移動させようとする軸方向の力を受ける。
外輪25と内輪28が最大作動角をとったとき、外輪25の開口端23からボール29が飛び出すことを防止するため、ケージ30のポケット24で拘束できるようにケージオフセット量fを従来のものよりも大きく設定する。すなわち、ケージオフセット量をf、作動角0°におけるボール29の中心軌跡半径値、すなわち、外輪25のトラック溝22の曲率中心Oまたは内輪28のトラック溝27の曲率中心Oとボール29の中心Oとを結ぶ線分の長さをPCRとした場合、f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下となるように設定する。
このように、外輪25および内輪28の両トラック溝22,27をテーパ状とすれば、最大作動角の高角化と共に、外輪25のトラック溝22におけるボール29との接触長さを確保することができるので、外輪25と内輪28との間で安定したトルク伝達を確保することができる。また、作動角をとった時にボール29が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)(図2および図7参照)のトラック荷重およびポケット荷重を低減することができるので、外輪25と内輪28の高角域での作動において有利である。ここで、トラック荷重とポケット荷重とは、接触するボール29からトラック溝22,27またはポケット24が受ける荷重を意味する。
また、ケージ30の外球面31は外輪25の内球面21に接触案内され、ケージ30の内球面32は内輪28の外球面26に接触案内され、トルク伝達時にケージ30と外輪25または内輪28との間で球面力が作用するが、その球面力の最大値を低減することができ、継手内部での発熱を抑制できる。さらに、外輪25については、鍛造型が抜き易いことから冷間鍛造による加工性がよく、製造コストの低減も図れる。
本出願人は、外輪25および内輪28の両トラック溝22,27をテーパ状とすることにより、前述したトラック荷重、ポケット荷重および球面力からなる内部力の影響および傾向を検証し、有限要素法(FEM)解析を実施することで、トラック溝22,27のテーパ角度α(図6参照)の範囲を絞り込んで最適設定した。
まず、トラック溝22,27のテーパ角度αを大きくすることによる内部力(トラック荷重、ポケット荷重および球面力)の傾向は、表1のとおりである。なお、表1において、ボール29が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)と内部力が最大値となるボール29の位相、つまり、ボール29が最も奥に入る位相(位相角φ=180°付近)について検証した(図2および図7参照)。また、球面力の変動幅とは、球面力の最大値と最小値との差を意味する。
Figure 2007127177
上表から明らかなようにテーパ角度αを大きくすると、ポケット荷重の最大値が大きくなるが、ボール29が最も奥に入る位相(位相角φ=180°付近)で外輪25の肉厚を大きく、また、ケージオフセット量を大きくしてケージの肉厚を大きくすることにより強度を確保することができるので問題にはならない。
次に、テーパ角度αの上限値を決定するために、有限要素法(FEM)解析を実施した。テーパ角度αが大きくなれば、ボール29が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)では内部力(トラック荷重およびポケット荷重)が小さくなり、強度的に有利になるが、外輪25の開口端23でありその肉厚が小さくなるため、トラック溝22に発生する応力値を継手強度に換算して傾向を確認した。その結果は、図8に示すとおりである。同図に示す特性から明らかなようにテーパ角度αが12.9°で継手強度が必要強度を下回ることから、テーパ角度αの最適範囲としてその上限値を12°として規定した。
なお、前述の実施形態では、トラックオフセットを設けた場合について例示したが、本発明はこれに限定されることなく、そのトラックオフセットを設けずにトラックオフセット量Fを0にしてもよい。つまり、トラックオフセットを設けていると、外輪25の奥側に位置する円弧底22aがその奥側に向けて浅くなることから、作動角をとった時にトラック溝22の最奥部に位置するボール29の乗り上げが生じる可能性がある。
そこで、外輪25のトラック溝22の曲率中心Oをその内球面21の曲率中心Oに一致させ、かつ、内輪28のトラック溝27の曲率中心Oをその外球面26の曲率中心Oに一致させてトラックオフセット量Fを0とすることにより、外輪25の奥側に位置する円弧底22aが奥側に向けて浅くなることがなく均一な深さとなることから、作動角をとった時にトラック溝22の最奥部に位置するボール29の乗り上げを抑制することができる。
トラックオフセット量F、ケージオフセット量f、テーパ角度αの各因子を変動させて内部力解析を行った結果を次に述べる。ここで、トラックオフセットについては、高角域に入っても許容負荷トルクが落ちない超高角固定式等速自在継手の特性を考慮してトラックオフセット量F=0すなわち「トラックオフセットなし」とした。ケージオフセットについては、内部力の観点からはできるだけ小さい方がよいが、継手の機能確保のためにはある程度ケージオフセットをつけなくてはならないことから、0≦f/PCR≦0.150で変動させた。テーパ角度αについては、0°から12°までの範囲で変動させた。
ケージオフセット量f=0(f/PCR=0)ならば、テーパ角度αが1.1°以上のとき、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。一方、テーパ角度α=12°ならば、ケージオフセット量f=3.94(f/PCR=0.114)以下のとき、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
つまり、ケージオフセット量fとテーパ角度αとの関係が図9の斜線領域内に設定されていれば、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。ここで、図9は内部力解析により算出したデータに基づいて作図したもので、横軸がテーパ角度α(deg)、縦軸がf/PCRを表している。
これより、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)に負荷される荷重を極力小さくし、より高角作動域において有利となる内部仕様は次のようになる。
トラックオフセット:なし
ケージオフセット量f:0<f/PCR≦0.12(但し、作動角は0°とする。)
テーパ角度α:1°≦α≦12°
また、この実施の形態では、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)における荷重が低減する一方、ピークの荷重は従来の等速自在継手と比較して大きくなることから、強度を確保するため、ケージ30の肉厚部を外輪25の開口端側に向けた配置とするのが好ましい。
前述の内部仕様で寸法を設定した本発明による固定式等速自在継手(実施例)と従来の固定式等速自在継手(比較例)について、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)におけるトラック荷重およびポケット荷重を算出したところ、結果は図10に示すとおりであった。同図より、比較例に対して実施例が、トラック荷重とポケット荷重のいずれも8割以上減少していることが分かる。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態を示す断面図である。 図1の等速自在継手において、外輪に対して内輪が作動角をとった状態を示す断面図である。 図1の実施形態で、内球面とインロー部が交差するエッジ部、および外球面と端面が交差するエッジ部の両方を球面R形状としたケージを示す断面図である。 本発明の他の実施形態で、内球面とインロー部が交差するエッジ部のみを球面R形状としたケージを示す断面図である。 本発明の他の実施形態で、外球面と端面が交差するエッジ部のみを球面R形状としたケージを示す断面図である。 図1の等速自在継手において、ケージオフセットおよびトラックオフセット等の内部諸元を説明するための図である。 ケージに収容されたボールの位相を示す断面図である。 トラック溝のテーパ角度に対する継手強度の関係を示す特性図である。 トラック溝のテーパ角度とf/PCRとの関係を示す特性図である。 基本トルク負荷時の0°位相荷重を示す特性図である。 固定式等速自在継手の従来例を示す断面図である。 図11の等速自在継手において、外輪に対して内輪が作動角をとった状態を示す断面図である。 図11のケージを示す断面図である。
符号の説明
21 外方部材(外輪)の内球面
22 外方部材(外輪)のトラック溝
23 開口端
24 ポケット
25 外方部材(外輪)
26 内方部材(内輪)の外球面
27 内方部材(内輪)のトラック溝
28 内方部材(内輪)
29 ボール
30 ケージ
31 ケージの外球面
32 ケージの内球面
33,34 インロー部
35,36 エッジ部
37,38 端面
39,40 エッジ部
f ケージオフセット量
F トラックオフセット量
外方部材(外輪)のトラック溝の曲率中心
内方部材(内輪)のトラック溝の曲率中心
ケージの内球面中心
ケージの外球面中心
α トラック溝のテーパ角度

Claims (5)

  1. 内球面に複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端に向けて形成した外方部材と、外球面に前記外方部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた固定式等速自在継手において、前記ケージの内球面とインロー部が交差するエッジ部、あるいは前記ケージの外球面と端面が交差するエッジ部の少なくともいずれか一方を球面R形状としたことを特徴とする固定式等速自在継手。
  2. 前記外方部材のトラック溝を前記開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に前記内方部材のトラック溝を反開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状とし、前記ケージの外球面中心と内球面中心を継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせた請求項1に記載の固定式等速自在継手。
  3. 前記外方部材および内方部材のそれぞれのトラック溝のテーパ角度の上限値を12°とした請求項2に記載の固定式等速自在継手。
  4. 前記ケージの外球面中心と内球面中心とのケージオフセット量fと、作動角0°時における外方部材のトラック溝の曲率中心または内方部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下である請求項2又は3に記載の固定式等速自在継手。
  5. 前記外方部材の開口端側にケージの厚肉側を位置させた請求項2〜4のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
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