JP2007125030A - ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子組み換え菌体による有機酸の製造法 - Google Patents

ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子組み換え菌体による有機酸の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率よく、かつ高収率でコハク酸等の有機酸を製造する方法を提供する。
【解決手段】ピルビン酸カルボキシラーゼ活性が増強された好気性コリネ型細菌あるいはその調製物を、炭酸イオンもしくは重炭酸イオンまたは二酸化炭素ガスを含有する反応液中で嫌気的に有機原料に作用させ、コハク酸を生成させることを特徴とするコハク酸の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子で組み換えた好気性コリネ型細菌またはその調製物を用いた有機酸の製造方法に関する。
ピルビン酸カルボキシラーゼ(以下これを「PC」と略称することがある)は、解糖系の代謝中間化合物であるピルビン酸に二酸化炭素(重炭酸イオン)を固定することによりオキザロ酢酸を生成し、トリカルボン酸(TCA)サイクルに4炭素(C4)化合物を補充する生理的役割を果たすとされている。
ピルビン酸カルボキシラーゼは微生物、動植物においてひろくその存在が確認されている。該酵素をコードする遺伝子に関しては、ほ乳類に関し多数研究されているものの、微生物に関しては、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来の遺伝子[GENE, 191, 47-50, (1997)参照]、Rhizobium etli由来の遺伝子[J.Bacteriol., 178, 5960-5970, (1996)]、酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)由来の遺伝子[Mol.Gen.Genet.,229, 307-315, (1991)]、が単離され、その塩基配列が決定されているのみである。
TCAサイクルは、アミノ酸等各種有用物質生合成系において重要な代謝経路である。該遺伝子を利用することにより、TCAサイクルへの物質供給が強化され、オキザロ酢酸から生合成されるアミノ酸(アスパラギン酸、スレオニン等)の生産能の増強が期待されている。
本発明者らが知る限り工業的観点からの利用については、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子で組み換えた菌体を用いたオキザロ酢酸から生合成されるアミノ酸(アスパラギン酸、スレオニン等)製造法[特公平7−83714,特開平9−121872]の報告はあるが、PC組み換え菌株の利用については殆ど検討されていない。
すなわち、PC遺伝子を増強した好気性コリネ型細菌を用いて、オキザロ酢酸からTCAサイクルを逆行してリンゴ酸、フマール酸、コハク酸等を生成させる効率のよい製造方法は全く知られていなかった。
GENE, 191, 47-50, (1997) J.Bacteriol., 178, 5960-5970, (1996) Mol.Gen.Genet.,229, 307-315, (1991) 特公平7−83714 特開平9−121872
そのため、本発明の目的は、PC遺伝子で組み換えた好気性コリネ型細菌を用いてリンゴ酸、フマール酸、コハク酸等の有機酸の製造方法を提供することである。
そこで、本発明者等は、好気性コリネ型細菌を用いてこれらの有機酸を生産する方法について検討したところ、好気性コリネ型細菌あるいはその調製物を、炭酸イオンもしくは重炭酸イオン又は二酸化炭素ガスを含有する反応液中で嫌気的に有機原料に作用させることにより、これら有機酸を効率よく生産可能であることを見いだし、さらに好気性コリネ型細菌をPC遺伝子で組み換えることにより、PC活性を増強し、CO2をピルビン酸に取り込ませる能力を増強した菌体を用いることによりこれら有機酸の生産性が著しく向上することを見いだし、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子で組み換えた好気性コリネ型細菌あるいはその調製物を、炭酸イオンもしくは重炭酸イオンまたは二酸化炭素ガスを含有する反応液中で嫌気的に有機原料に作用させ、有機酸を生成させることを特徴とする有機酸の製造方法に関する。
上記方法において、反応液に炭酸イオンもしくは重炭酸イオンまたは二酸化炭素ガスを含有させる方法としては、炭酸もしくは重炭酸またはそれらの塩を反応液に添加する方法、または反応液に二酸化炭素ガスを供給する方法が挙げられる。
上記ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子としては、微生物または動植物由来の遺伝子が挙げられる。上記ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子としては、ヒト、マウス、ラット、酵母、又はコリネバクテリウム属、バチルス属、リゾビウム属もしくはエシェリヒア属に属する微生物由来の遺伝子が挙げられる。
上記好気性コリネ型細菌としては、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum) が挙げられる。また、ブレビバクテリウム・フラバムとしては、ブレビバクテリウム・フラバム MJ-233が挙げられる。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法によれば、PC遺伝子で組み換えた好気性コリネ型細菌を用いた培養法あるいは酵素法により、効率よく、かつ 高収率でコハク酸等の有機酸を製造することができる。
本発明に使用されるPC遺伝子は、既にその塩基配列が決定されている遺伝子を、もしくは、通常の方法によりPC活性を有するタンパク質をコードするDNA断片を微生物、動植物等の染色体より単離し、塩基配列を決定したものを使用することができる。また、塩基配列が決定された後には、その配列にしたがって合成した遺伝子を使用することもできる。
本発明のPC遺伝子を含むDNA断片は、微生物、動植物由来の染色体上に存在している。これらの供給源微生物、動植物からPC遺伝子を調製するための基本操作を、配列が既知である、酵母サッカロマイセス・セレビシエ由来のものを一例として述べれば次のとおりである。
PC遺伝子は、上記サッカロマイセス・セレビシエの染色体上に少なくとも2種類存在し、それらの配列が既知であるため[Mol.Gen.Genet., 229, 307-315, (1991)]、PCR法により、PC遺伝子を分離・取得することができる。
例えば、PCRに用いるプライマーとして、配列番号1及び2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてサッカロマイセス・セレビシエ由来の染色体を鋳型としてPCRを行うと、3.56kbからなるPC遺伝子(PYC2)を増幅させることができる。
また、PCRに用いるプライマーとして、配列番号9及び10に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてサッカロマイセス・セレビシエ由来の染色体を鋳型としてPCRを行うと、3.54kbからなるPC遺伝子(PYC1)を増幅させることができる。
このとき、PCRに使用するプライマーの5'末端に適当な制限酵素サイトを付加しておくことにより、後述するベクターの適当な部位に連結させることができ、得られる組換えベクターを用いてコリネ型細菌に導入することができる。
また、遺伝子配列が不明であっても、PC活性を指標に蛋白質を精製し、そのN末アミノ酸配列、部分分解配列より、通常用いられるハイブリダイゼーションの手法により遺伝子断片を単離できる。また、PC蛋白質間で保存されている領域のアミノ酸配列をもとに、ハイブリダイゼーション、PCR法により断片を取得することが可能である。取得した断片は通常の手法によりそのDNA塩基配列を決定することができる。
本明細書における「切断断片の大きさ」及びプラスミドの大きさは、アガロースゲル電気泳動を用いる場合には、エシェリヒア・コリのラムダ・ファージ(λphage)のDNAを制限酵素HindIIIで切断して得られる分子量既知のDNA断片の同一アガロースゲル上での泳動距離で描かれる標準線に基づき、また、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いる場合には、エシェリヒア・コリのファイ・エックス174ファージ(φX174 phage)のDNAを制限酵素HaeIIIで切断して得られる分子量既知のDNA断片の同一ポリアクリルアミドゲル上での泳動距離で描かれる標準線に基づき、切断DNA断片またはプラスミドの各DNA断片の大きさを算出することができる。。尚、各DNA断片の大きさの決定において、1kb以上の断片の大きさについては、1%アガロースゲル電気泳動によって得られる結果を採用し、約0.1kbから1kb未満の断片の大きさについては4%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって得られる結果を採用した。
上記PC遺伝子を包含する本発明に用いるDNA断片は、サッカロマイセス・セレビシエ染色体DNAから分離されたもののみならず、通常用いられるDNA合成装置、例えばアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製394DNA/RNAシンセサイザーを用いて合成されたものであってもよい。
また、前記の如く酵母(Saccharomyces serevisiae)染色体DNAから取得されるPC遺伝子は、コードされるPCの機能、すなわち二酸化炭素固定に関与する性質を実質的に損なうことがない限り、塩基配列の一部の塩基が他の塩基と置換されていてもよく、又は削除されていてもよく、或いは新たに塩基が挿入されていてもよく、さらに塩基配列の一部が転位されているものであってもよく、これらの誘導体のいずれもが、本発明に用いることができる。
また、サッカロマイセス・セレビシエ以外の酵母、または他の微生物又は動植物由来のPC遺伝子を使用することもできる。特に、以下に示す微生物または動植物由来のPC遺伝子は、その配列が既知(括弧内に文献を示す)であり、上記と同様にしてハイブリダイゼーンションにより、あるいはPCR法によりそのORF部分を増幅することによって、取得することができる。得られた遺伝子は、後記実施例2(B)作製のベクターのtacプロモーター下流に挿入することができる。挿入したプラスミドを実施例2(D)の方法に従って好気性コリネ型細菌を形質転換し、有機酸の製造に使用することができる。
ヒト[Biochem.Biophys.Res.Comm., 202, 1009-1014, (1994)]
マウス[Proc.Natl.Acad.Sci.USA., 90, 1766-1779, (1993)]
ラット[GENE, 165, 331-332, (1995)]
酵母;シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)[DDBJ Accession No.; D78170]
バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)[GENE, 191, 47-50, (1997)]
リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)[J.Bacteriol., 178, 5960-5970, (1996)]
PC遺伝子を含むDNA断片は、適当な発現プラスミド、例えばpUC118(宝酒造製)へ挿入し、適当な宿主微生物、例えばエシェリヒア・コリJM109(宝酒造製)へ導入することにより発現させることができる。発現したPC遺伝子産物であるピルビン酸カルボキシラーゼの確認は、該形質転換体から粗酵素液を抽出し、Fisher & Magasanikの方法[J.Bacteriol., 158, 55-62, (1984)]により直接PC活性を測定し、非形質転換株から抽出した粗酵素液のPC活性と比較することにより、確認することができる。
PC遺伝子を含むDNA断片は、適当なプラスミド、例えばコリネ型細菌内でプラスミドの複製増殖機能を司る遺伝子を少なくとも含むプラスミドベクターに導入することにより、コリネ型細菌内でPCの高発現可能な組換えプラスミドを得ることができる。
ここで、上記組み換えプラスミドにおいて、PC遺伝子を発現させるためのプロモーターはコリネ型細菌が保有するプロモーターであることができるが、それに限られるものではなく、PC遺伝子の転写を開始させるための塩基配列であればいかなるプロモーターであっても良い。
PC遺伝子を導入することができるプラスミドベクターとしては、コリネ型細菌内での複製増殖機能を司る遺伝子を少なくとも含むものであれば特に制限されない。その具体例としては、例えば、特開平3−210184号公報に記載のプラスミドpCRY30;特開平2−72876号公報及び米国特許5,185,262号明細書公報に記載のプラスミドpCRY21、pCRY2KE、pCRY2KX、pCRY31、pCRY3KE及びpCRY3KX;特開平1−191686号公報に記載のプラスミドpCRY2およびpCRY3;特開昭58−67679号公報に記載のpAM330;特開昭58−77895号公報に記載のpHM1519;特開昭58−192900号公報に記載のpAJ655、pAJ611及びpAJ1844;特開昭57−134500号公報に記載のpCG1;特開昭58−35197号公報に記載のpCG2;特開昭57−183799号公報に記載のpCG4およびpCG11等を挙げることができる。
それらの中でもコリネ型細菌の宿主−ベクター系で用いられるプラスミドベクターとしては、コリネ型細菌内でプラスミドの複製増殖機能を司る遺伝子とコリネ型細菌内でプラスミドの安定化機能を司る遺伝子とを有するものが好ましく、例えば、プラスミドpCRY30、pCRY21、pCRY2KE、pCRY2KX、pCRY31、pCRY3KEおよびpCRY3KX等が好適に使用される。
PC遺伝子を好気性コリネ型細菌内で複製可能なプラスミドベクターの適当な部位に挿入して得られる組み換えベクターで、コリネ型細菌、例えばブレビバクテリウム フラバム(Brevibacterium flavum)MJ-233(FERM BP−1497)を形質転換することにより、本発明で用いるPC遺伝子で組み換えられた好気性コリネ型細菌が得られる。
本発明に用いられるPC遺伝子で組み換えられた好気性コリネ型細菌又はその調製物とは、通常の好気的条件で増殖可能なコリネ型細菌またはその調製物であれば特に限定されるものではないが、例えば、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、アースロバクター属等のコリネ型細菌またはその調製物が挙げられる。これらのうち、特にブレビバクテリウム フラバム(Brevibacterium flavum)MJ−233(FERM BP−1497), 同MJ−233−AB−41(FERM BP−1498)、ブレビバクテリウム アンモニアゲネス (Brevibacterium ammoniagenes)ATCC6872、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC31831、ブレビバクテリウムラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)ATCC13869等のコリネ型細菌またはその調製物が好適に用いられる。
好気性コリネ型細菌を本発明の方法に用いるためには、まず菌体を通常の好気的な条件で培養したのち用いることができる。培養に用いる培地は、通常微生物の培養に用いられる培地を用いることができる。例えば、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム等の無機塩からなる組成に、肉エキス、酵母エキス、ペプトン等の天然栄養源を添加した一般的な培地を用いる事ができる。
培養後の菌体は、遠心分離、膜分離等によって回収し、菌体をそのまま又は調製物として次に示す反応に用いられる。ここでいう調製物とは、例えば、菌体をアクリルアミド、カラギーナン等で固定化した固定化菌体、菌体を破砕した破砕物、その遠心分離上清、またその上清を硫安処理等で部分精製したPC活性を有する画分等を指す。
反応液には、水、緩衝液、培地等が用いられるが、適当な無機塩を含有した培地が最も好ましい。反応液には、例えばグルコース、エタノール等の有機原料と炭酸イオン、重炭酸イオンまたは二酸化炭素ガスを含有させ、嫌気的条件で反応させることが特徴である。この場合の、有機原料としては、特に限定されることなく、目的とする有機酸に応じて選択可能であり、一般的な有機原料から選択できる。具体的には、安価であり、目的の有機酸の生成速度の速いグルコースやエタノールが好適に用いられる。この場合、グルコースの添加濃度は、0.5g/L〜500g/Lが好ましく、エタノールの添加濃度は、0.5g/L〜30g/Lが好ましい。
炭酸イオン、重炭酸イオンは、1mM〜500mM、好ましくは2〜300mM、さらに好ましくは3〜200mMの濃度で添加する。二酸化炭素ガスを含有させる場合は、溶液1L当たり50mg〜25g、好ましくは100mg〜15g、さらに好ましくは150mg〜10gの二酸化炭素ガスを含有させる。
また、嫌気的条件とは、溶液中の溶存酸素濃度を低く抑えて反応させることを指す。この場合、溶存酸素濃度として0〜2ppm、好ましくは0〜1ppm、さらに好ましくは0〜0.5ppmで反応させることが望ましい。そのための方法としては、例えば容器を密閉して無通気で反応させる、窒素ガス等の不活性ガスを供給して反応させる、二酸化炭素ガス含有の不活性ガスを通気する等の方法を用いることができる。
反応の温度は、通常15℃〜45℃、好ましくは25℃〜37℃で行う。pHは、5〜9、好ましくは6〜8の範囲で行う。反応は、通常5時間から120時間行う。反応に用いる菌体の量は、とくに規定されないが、1g/l〜700g/l、好ましくは10g/l〜500g/lさらに好ましくは20g/l〜400g/lが用いられる。菌体の調製物を用いる場合は、上記の量の菌体量に相当する量を用いることが好ましい。
上記でいう調製物とは、例えば、菌体をアクリルアミド、カラギーナン等で固定化した固定化菌体、菌体を破砕した破砕物、その遠心分離上清、またその上清を硫安処理等で部分精製した画分等を指す。
以上の様な方法で製造した有機酸は、必要に応じて、反応液から通常の分離、精製方法で分離、精製することができる。具体的には、限外ろ過膜分離、遠心分離等により菌体及びその調製物と分離した後、カラム法、晶析法等の公知の方法で精製し、乾燥させる事により、結晶として採取する方法等が挙げられる。
本発明で、製造の対象となる有機酸としては、特に限定されるものではないが、本発明の効果からは、酸素含有雰囲気で、好気性コリネ細菌又はその調製物で効率的に製造できない化合物が特に好ましい。
具体的には、有機カルボン酸が挙げられ、より具体的にはコハク酸、リンゴ酸、フマル酸等が挙げられる。
以上に本発明を説明してきたが、下記の実施例により更に具体的に説明する。しかしながら、実施例は本発明の具体的な認識を得る一助とみなすべきものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
〔実施例1〕
酵母サッカロマイセス・セレビシエ由来のPC遺伝子(PYC2)を含むDNA断片のクローン化
(A)サッカロマイセス・セレビシエの全DNAの抽出:
酵母用増殖培地(YPAD)1L[組成:10g Yeast Extract,20g ペプトン,20g グルコース,100mg アデニン及び蒸留水:1000ml]にサッカロマイセス・セレビシエ W303−1A株(Yeast, Vol.2, 163-167 (1986))を白金耳を用いて植菌し、対数増殖期後期まで30℃で培養し、菌体を集めた。
得られた菌体を10mg/mlの濃度になるよう、10mg/ml リゾチーム、10mM NaCl、20mMトリス緩衝液(pH8.0)及び1mM EDTA・2Naの各成分を含有する溶液15ml(各成分の濃度は最終濃度である)に懸濁した。次にプロテナーゼKを最終濃度が100μg/mlになるように添加し、37℃で1時間保温した。さらにドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を 最終濃度が0.5%になるように添加し、50℃で6時間保温して溶菌した。この溶菌液に、等量のフェノール/クロロホルム溶液を添加し、室温で10分間ゆるやかに振盪した後、全量を遠心分離(5,000×g, 20分間,10〜12℃)し、上清画分を分取した。この上清に酢酸ナトリウムを0.3Mとなるよう添加した後、2倍量のエタノールをゆっくりと加えた。水層とエタノール層の間に存在するDNAをガラス棒でまきとり、70%エタノールで洗浄した後、風乾した。得られたDNAに10mMトリス緩衝液(pH7.5)−1mMEDTA・2Na溶液5mlを加え、4℃で一晩静置し、以後の実験に用いた。
(B)サッカロマイセス・セレビシエ由来のPC遺伝子(PYC2)を含むDNA断片のクローン化及び組換え体の創製:
上記(A)項で調製した染色体DNAを鋳型として、PCRを行った。PCRに際しては、下記の1対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
(a−1)5'-TTT CAT ATG AGC AGT AGC AAG AAA TTG -3'(配列番号1)
(b−1)5'-TTT CCT GCA GGT TAA CGA GTA AAA ATT ACT TT -3'(配列番号2)
実際のPCRは、パーキンエルマーシータス社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬として、レコンビナント・タックDNA・ポリメラーゼ・タカラ・タック(Recombinant TaqDNA Polymerase TaKaRa Taq)(宝酒造製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
(10×)PCR緩衝液 10μl
1.25mM dNTP混合液 16μl
鋳型DNA 10μl(DNA 含有量 1μM以下)
上記記載のa−1,b−1プライマー 各々1μl(最終濃度0.25μM)
レコンビナント・タックDNA・ポリメラーゼ 0.5μl
滅菌蒸留水 61.5μl
以上を混合し、この100μlの反応液をPCRにかけた。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程:94℃ 60秒
アニーリング過程 :52℃ 60秒
エクステンション過程 :72℃ 120秒
以上を1サイクルとし、25サイクル行った。上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、約3.56kpのDNA断片が検出できた。
〔実施例2〕PC遺伝子によるコリネ型細菌組み換え体の作製
(A)シャトルベクターの構築
特開平3−210184号公報に記載のプラスミドpCRY30内に存在する、コリネ型細菌内でのプラスミドの安定化に必要な領域の配列をもとに、下記の1対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成した。
(a−2)5'-TTT CTC GAG CGC ATT ACC TCC TTG CTA CTG-3'(配列番号3)
(b−2)5'-TTT GAA TTC GAT ATC AAG CTT GCA CAT CAA-3'(配列番号4)
上記プラスミドpCRY30は、次のようにして構築されたプラスミドである。ブレビバクテリウム・スタチオニス(Brevibacterium stationis) IFO12144(工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−2515の受託番号で寄託されている)からプラスミドpBY503(このプラスミドの詳細については特開平1−95785号公報参照)DNAを抽出し、制限酵素XhoIで大きさが約4.0kbのプラスミドの複製増殖機能を司る遺伝子を含むDNA断片(複製領域)を切り出し、制限酵素EcoRIおよびKpnIで大きさが約2.1kbのプラスミドの安定化機能を司る遺伝子を含むDNA断片(安定化領域)を切り出す。これらの両DNA断片をプラスミドpHSG298(宝酒造製)のEcoRI−KpnI部位及びSalI部位にそれぞれ組み込むことにより、プラスミドベクターpCRY30を調製することができる。
実際のPCRは、パーキンエルマーシータス社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬として、レコンビナント・タックDNA・ポリメラーゼ・タカラ・タック(Recombinant TaqDNA Polymerase TaKaRa Taq)(宝酒造製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
(10×)PCR緩衝液 10μl
1.25mM dNTP混合液 16μl
鋳型DNA 10μl(DNA 含有量 1μM以下)
上記記載のa−2,b−2プライマー 各々1μl(最終濃度0.25μM)
レコンビナント・タックDNA・ポリメラーゼ 0.5μl
滅菌蒸留水 61.5μl
以上を混合し、この100μlの反応液をPCRにかけた。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程:94℃ 60秒
アニーリング過程 :52℃ 60秒
エクステンション過程 :72℃ 120秒
以上を1サイクルとし、25サイクル行った。上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、約1.1kbのDNA断片が検出できた。
上記で増幅産物を確認できた反応液 10μl、プラスミドpBluescriptIISK+ 1μlを各々制限酵素EcoRIおよびXhoIで完全に切断し、70℃で10分間処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これに、T4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl、T4 DNAリガーゼ1unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μlにして、15℃で3時間反応させ、結合させた。
得られたプラスミド混液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159(1970)〕によりエシェリヒア・コリJM109(宝酒造製)を形質転換し、アンピシリン 50mgを含む培地〔トリプトン 10g、イーストエキストラクト 5g、NaCl 5g及び寒天 16gを蒸留水1Lに溶解〕に塗抹した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミドを制限酵素(EcoRI,XhoI)により切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpBluescriptIISK+の長さ3.0kbのDNA断片に加え、長さ1.1kbの挿入DNA断片が認められた。本プラスミドをpBSparと命名した。
米国特許5,185,262号明細書記載のプラスミドpCRY31内に存在する、コリネ型細菌内でのプラスミドの複製に必要な領域の配列をもとに、下記の1対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer )」を用いて合成した。
(a−3)5'-TTT GGT ACC GAC TTA GAT AAA GGT CTA-3'(配列番号5)
(b−3)5'-TTT CTC GAG TGC TGG TAA AAC AAC TTT-3'(配列番号6)
上記プラスミドpCRY31は、次のようにして構築されたプラスミドである。前記pBY503由来の複製領域とプラスミドpHSG398(宝酒造製)とを連結したプラスミドpCRY3(このプラスミドを保持するブレビバクテリウム・フラバム MJ233 GE102は、FERM BP−2513として工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている)をKpnIで部分分解してDNA断片を得る。一方、pBY503をブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムIFO12144(FERM BP−2515)から調製し、KpnIで完全分解し、約7kbのDNA断片を精製する。これらのDNA断片を連結し、各種制限酵素で切断したときに下記表に示す切断パターンを示すプラスミドを選択することによって、pCRY31が得られる。
Figure 2007125030
実際のPCRは、パーキンエルマーシータス社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬として、レコンビナント・タックDNA・ポリメラーゼ・タカラ・タック(Recombinant TaqDNA Polymerase TaKaRa Taq)(宝酒造製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
(10×)PCR緩衝液 10μl
1.25mM dNTP混合液 16μl
鋳型DNA 10μl(DNA 含有量 1μM以下)
上記記載のa−3,b−3プライマー 各々1μl(最終濃度0.25μM)
レコンビナント・タックDNA・ポリメラーゼ 0.5μl
滅菌蒸留水 61.5μl
以上を混合し、この100μlの反応液をPCRにかけた。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程:94℃ 60秒
アニーリング過程 :52℃ 60秒
エクステンション過程 :72℃ 120秒
以上を1サイクルとし、25サイクル行った。上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、約1.8kbのDNA断片が検出できた。
上記で増幅産物を確認できた反応液10μl、プラスミドpBSpar 1μlを各々制限酵素XhoIおよびKpnIで完全に切断し、70℃10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、T4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl、T4 DNAリガーゼ1unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μlにして、15℃で3時間反応させ、結合させた。
得られたプラスミド混液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159(1970)〕によりエシェリヒア・コリJM109(宝酒造製)を形質転換し、アンピシリン 50mgを含む培地〔トリプトン 10g、イーストエキストラクト 5g、NaCl 5g及び寒天 16gを蒸留水1Lに溶解〕に塗抹した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミドを制限酵素(XhoI,KpnI)により切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpBSparの長さ4.1kbのDNA断片に加え、長さ1.8kbの挿入DNA断片が認められた。本プラスミドをpBSpar−repと命名した。
上記で作製したプラスミドpBSpar−rep 1μl、pHSG298(宝酒造社製) 1μlを各々制限酵素KpnIおよびEcoRIで完全に切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これに、T4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl、T4 DNAリガーゼ1unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μlにして、15℃で3時間反応させ、結合させた。
得られたプラスミド混液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159(1970)〕によりエシェリヒア・コリJM109(宝酒造製)を形質転換し、カナマイシン 50mgを含む培地〔トリプトン 10g、イーストエキストラクト 5g、NaCl 5g及び寒天 16gを蒸留水1Lに溶解〕に塗抹した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミドを制限酵素により切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpHSG298の長さ2.6kbのDNA断片に加え、長さ2.9kbの挿入DNA断片が認められた。本プラスミドをpHSG298par−repと命名した。
(B)tacプロモーターの挿入
tacプロモーターを含有するプラスミドpTrc99A(ファルマシア社製)を鋳型としたPCR法により、tacプロモーター断片を増幅させるべく、下記の1対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer )」を用いて合成した。
(a−4)5'-TTT GGT ACC GAT AGC TTA CTC CCC ATC CCC-3'(配列番号7)
(b−4)5'-TTT GGA TCC CAA CAT ATG AAC ACC TCC TTT TTA TCC GCT CAC AAT TCC ACA CAT-3'(配列番号8)
実際のPCRは、パーキンエルマーシータス社製の「DNAサーマルサイクラー」を用い、反応試薬として、レコンビナント・タックDNA・ポリメラーゼ・タカラ・タック(Recombinant TaqDNA Polymerase TaKaRa Taq)(宝酒造製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
(10×)PCR緩衝液 10μl
1.25mM dNTP混合液 16μl
鋳型DNA 10μl(DNA 含有量 1μM以下)
上記記載のa−4,b−4プライマー 各々1μl(最終濃度0.25μM)
レコンビナント・タックDNA・ポリメラーゼ 0.5μl
滅菌蒸留水 61.5μl
以上を混合し、この100μlの反応液をPCRにかけた。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程:94℃ 60秒
アニーリング過程 :52℃ 60秒
エクステンション過程 :72℃ 120秒
以上を1サイクルとし、25サイクル行った。上記で生成した反応液10μlを3%アガロースゲルにより電気泳動を行い、約100bpのDNA断片が検出できた。
上記で増幅産物を確認できた反応液10μl、上記(A)で作製したプラスミドpHSG298par−rep 5μlを各々制限酵素BamHIおよびKpnIで完全に切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これに、T4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl、T4DNAリガーゼ1unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μlにして、15℃で3時間反応させ、結合させた。
得られたプラスミド混液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159(1970)〕によりエシェリヒア・コリJM109(宝酒造製)を形質転換し、カナマイシン 50mgを含む培地〔トリプトン 10g、イーストエキストラクト 5g、NaCl 5g及び寒天 16gを蒸留水1Lに溶解〕に塗抹した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミドを制限酵素により切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記(A)作製のプラスミドの長さ5.5kbのDNA断片に加え、長さ0.1kbの挿入DNA断片が認められた。このプラスミドをpHSG298tacと命名した。
(C)PC遺伝子のシャトルベクターへの挿入
実施例1(B)で増幅産物を確認できた反応液10μl、上記(B)で作製したプラスミドpHSG298tac 5μlを各々制限酵素BglII、SseIまたはBamHI、SseIで各々切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これに、T4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl、T4 DNAリガーゼ1unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μlにして、15℃で3時間反応させ、結合させた。
得られたプラスミド混液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159(1970)〕によりエシェリヒア・コリJM109(宝酒造製)を形質転換し、カナマイシン 50mgを含む培地〔トリプトン 10g、イーストエキストラクト 5g、NaCl 5g及び寒天 16gを蒸留水1Lに溶解〕に塗抹した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミドを制限酵素(SseI,NdeI)により切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記(B)作製のプラスミドの長さ5.6kbのDNA断片に加え、長さ3.56kbの挿入DNA断片が認められた。このプラスミドをpPC−PYC2と命名した。
(D)ブレビバクテリウム・フラバム MJ-233-AB-41株の形質転換
本プラスミドを米国特許第5,185,262号明細書記載の方法に従って、ブレビバクテリウム・フラバム MJ-233-AB-41(FERM BP−1498)に導入した。
ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233−AB−41は、1976年11月17日に、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号、郵便番号305)に受託番号FERM P−3812として寄託され、1981年5月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−1498が付与されている。
〔実施例3〕有機酸の製造(I)
尿素:4g、(NH42SO4:14g,KH2PO4:0.5g、K2HPO4:0.5g, MgSO4・7H2O:0.5g,FeSO4・7H2O:20mg,MnSO4・nH2O:20mg、D−ビオチン:200μg、塩酸チアミン:100μg、酵母エキス1g、カザミノ酸1g及び蒸留水:1000ml(pH6.6)の培地を100mlずつ500ml容の三角フラスコに分注し、120℃、15分間滅菌処理したものに滅菌済み50%グルコース水溶液4mlを加え、上記pPCプラスミドを導入し形質転換させたブレビバクテリウム フラバムMJ−233−AB−41菌株を植菌し、33℃にて24時間振とう培養した(好気的培養)。培養終了後、遠心分離(8000g、20分)により菌体を回収した。得られた菌体全量を以下の反応に供試した。
(NH42SO4:23g,KH2PO4:0.5g、K2HPO4:0.5g,MgSO4・7H2O:0.5g,FeSO4・7H2O:20mg,MnSO4・nH2O:20mg、D−ビオチン:200μg、塩酸チアミン:100μg、炭酸ナトリウム20g/L、蒸留水:1000mlの培地を2L容のジャーファーメンターに入れ、上記菌体とグルコース50%液120mlを添加し、密閉した状態で(溶存酸素濃度0.1ppm)、これを30℃にて24時間ゆるく(200rpm)攪拌し、反応させた。得られた培養液を遠心分離(8000rpm、15分、4℃)して得られた上清液を分析したところ、乳酸が28.5g/L、酢酸が3.5g/L、コハク酸が16g/L、リンゴ酸が1.2g/L生成していた。
〔実施例4〕有機酸の製造(II)
実施例3と同様に培養した菌体を、以下の反応に供試した。
(NH42SO4:23g,KH2PO4:0.5g、K2HPO4:0.5g,MgSO4・7H2O:0.5g,FeSO4・7H2O:20mg,MnSO4・nH2O:20mg、D−ビオチン:200μg、塩酸チアミン:100μg、蒸留水:1000mlの培地を2L容のジャーファーメンターに入れ、上記菌体とグルコース50%液120mlを添加し、ここに10%二酸化炭素ガス(90%窒素ガス)を0.1vvmの速度で供給しながら30℃にて24時間ゆるく(200rpm)攪拌し、反応させた。得られた培養液を遠心分離(8000rpm、15分、4℃)して得られた上清液を分析したところ、乳酸が27g/L、酢酸が2.5g/L、コハク酸が17g/L、リンゴ酸が1.5g/L生成していた。
〔比較例1〕
形質転換してないブレビバクテリウム・フラバム MJ−233−AB−41株を用いた以外は、実施例4と同様に行った。
尿素:4g、(NH42SO4:14g,KH2PO4:0.5g、K2HPO4:0.5g, MgSO4・7H2O:0.5g,FeSO4・7H2O:20mg,MnSO4・nH2O:20mg、D−ビオチン:200μg、塩酸チアミン:100μg、酵母エキス1g、カザミノ酸1g及び蒸留水:1000ml(pH6.6)の培地を100mlずつ500ml容の三角フラスコに分注し、120℃、15分間滅菌処理したものに滅菌済み50%グルコース水溶液4mlを加え、ブレビバクテリウム・フラバム MJ−233−AB−41菌株を植菌し、33℃にて24時間振とう培養した(好気的培養)。培養終了後、遠心分離(8000g、20分)により菌体を回収した。得られた菌体全量を以下の反応に供試した。
(NH42SO4:23g,KH2PO4:0.5g、K2HPO4:0.5g,MgSO4・7H2O:0.5g,FeSO4・7H2O:20mg,MnSO4・nH2O:20mg、D−ビオチン:200μg、塩酸チアミン:100μg、炭酸ナトリウム20g/l、蒸留水:1000mlの培地を2L容のジャーファーメンターに入れ、上記菌体とグルコース50%液120mlを添加し、密閉した状態で(溶存酸素濃度0.1ppm)、これを30℃にて24時間ゆるく(200rpm)攪拌し、反応させた。得られた培養液を遠心分離(8000rpm、15分、4℃)して得られた上清液を分析したところ、乳酸が33.4g/L、酢酸が5g/L、コハク酸が10g/L、リンゴ酸が0.5g/L生成していた。
〔比較例2〕
炭酸イオンを添加しない以外は、実施例4と同様に行った。
(NH42SO4:23g,KH2PO4:0.5g、K2HPO4:0.5g,MgSO4・7H2O:0.5g,FeSO4・7H2O:20mg,MnSO4・nH2O:20mg、D−ビオチン:200μg、塩酸チアミン:100μg、蒸留水:1000mlの培地を2L容のジャーファーメンターに入れ、実施例4と同様に培養した菌体とグルコース50%液120mlを添加し、密閉した状態で(溶存酸素濃度0.1ppm)、30℃で24時間ゆるく(200rpm)攪拌し、反応させた。得られた培養液を遠心分離(8000rpm、15分、4℃)して得られた上清液を分析したところ、乳酸が14g/L、酢酸が3.6g/L、コハク酸が2.4g/L生成していた。
〔実施例5〕
酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来PC遺伝子(PYC1)を用いた有機酸製造
酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のPC遺伝子の一つであるPYC1はその配列が既知(Mol.Gen.Genet., 229, 307-315, (1991))であるため、実施例1(A)に示したように菌体を培養し、染色体DNAを調製し、これをPCRの鋳型として用いて、実施例1(B)で使用したプライマーの代わりに、次の2つのプライマー(a−4,b−4)により、PCをコードする遺伝子部分を増幅させることができる。以下実施例2(D)と同様の手法で、酵母(Saccharomycescerevisiae)由来のPC遺伝子(PYC1)で組み換えた好気性コリネ型細菌を得ることができる。
(a−4)5'-TTT CAT ATG TCG CAA AGA AAA TTC GCC -3'(配列番号9)
(b−4)5'-TTT CCT GCA GGT CAT GCC TTA GTT TCA ACA GGA AC -3'(配列番号10)
得られたコリネ型細菌を実施例3の方法に従って培養したところ、コハク酸が15.5g/L生成していた。
〔実施例6〕リゾビウム・エトリ由来PC遺伝子を用いた有機酸製造
リゾビウム・エトリ由来のPC遺伝子はその配列が既知(J.Bacteriol., 178,5960-5970, (1996))であるため、実施例1(A)に示したように菌体を培養し、染色体DNAを調製し、これをPCRの鋳型として用いて、実施例1(B)で使用したプライマーの代わりに、次の2つのプライマー(a−5,b−5)を用いて、PCをコードする遺伝子部分を増幅させることができる。以下実施例2(D)と同様の手法で、Rhizobium etli由来のPC遺伝子で組み換えた好気性コリネ型細菌を得ることができる。
(a−5)5'-TTT CAT ATG CCC ATA TCC AAG ATA CTC -3'(配列番号11)
(b−5)5'-TTT CCT GCA GGT CAT CCG CCG TAA ACC TCC AGC AG -3'(配列番号12)
得られたコリネ型細菌を実施例3の方法に従って培養したところ、コハク酸が14.5g/L生成していた。
〔実施例7〕バチルス・ステアロサーモフィルス由来PC遺伝子を用いた有機酸製造
バチルス・ステアロサーモフィルス由来のPC遺伝子はその配列が既知(GENE, 191, 47-50, (1997))であるため、実施例1(A)に示したように菌体を培養し、染色体DNAを調製し、これをPCRの鋳型として用いて、実施例2(D)で使用したプライマーの代わりに、次の2つのプライマー(a−6,b−6)を用いて、PCをコードする遺伝子部分を増幅させることができる。以下実施例2(D)と同様の手法で、Bacillus atearothermophilus由来のPC遺伝子で組み換えた好気性コリネ型細菌を得ることができる。
(a−6)5'-TTT CAT ATG AAG ACA AGA CGA ATT CGC -3'(配列番号13)
(b−6)5'-TTT CCT GCA GGT TAT TTG GAC AAC TCC ATG AGC AA -3'(配列番号14)
得られたコリネ型細菌を実施例3の方法に従って培養したところ、コハク酸が14.0g/L生成していた。

Claims (5)

  1. ピルビン酸カルボキシラーゼ活性が増強された好気性コリネ型細菌あるいはその調製物を、炭酸イオンもしくは重炭酸イオンまたは二酸化炭素ガスを含有する反応液中で嫌気的に有機原料に作用させ、コハク酸を生成させることを特徴とするコハク酸の製造方法。
  2. 炭酸もしくは重炭酸またはそれらの塩を反応液に添加すること、または反応液に二酸化炭素ガスを供給することにより、炭酸イオンもしくは重炭酸イオンまたは二酸化炭素ガスを反応液に含有させる請求項1に記載の方法。
  3. ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子が、微生物あるいは動植物由来である請求項1又は2に記載の方法。
  4. ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子が、ヒト、マウス、ラット、酵母、又はコリネバクテリウム属、バチルス属、リゾビウム属もしくはエシェリヒア属に属する微生物由来である請求項3記載の方法。
  5. 好気性コリネ型細菌が、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum) である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
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JP2014150747A (ja) * 2013-02-06 2014-08-25 Sekisui Chem Co Ltd 変異微生物、並びに、コハク酸の生産方法

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