JP2007123462A - 導電性磁性流体及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリコーンオイルなどの溶剤に、Ni−Fe合金、鉄、マグネタイトなどの強磁性体粒子と、平均繊維径10〜500nm、平均アスペクト比30〜200の炭素繊維とを分散させ、導電性磁性流体を得る。この導電性磁性流体を用いてシール装置及びアクチュエータを得る。
【選択図】なし。
Description
また、磁場制御エネルギー変換MHD(Magneto Hydro Dynamics)発電では、導電性の作動流体が磁界を横切ることによって生じる起電力を二つの電極でとりだす。この作動流体に導電性磁性流体を用いることが検討されている。
さらに特許文献4には、有機液体に、マグナタイト粉、ニッケル粉、コバルト粉などの強磁性粉末と、金粉などの導電性粉末とを分散させてなる磁性流体が開示されている。
(1)少なくとも一種の溶剤、少なくとも一種の強磁性体粒子、及び少なくとも一種の炭素系導電性粒子を含む導電性磁性流体であって、
少なくとも一種の炭素系導電性粒子が、平均繊維径10〜500nm、平均アスペクト比30〜200の炭素繊維であることを特徴とする導電性磁性流体が提供される。
(2)炭素繊維は、X線でのC0値が0.65nm〜0.68nmであり、かつ、その嵩密度を0.5g/cm3に圧縮したときの比抵抗が0.015Ωcm以下である(1)記載の導電性磁性流体。
(3)炭素繊維の表面が親水性を示すことを特徴とする(1)又は(2)に記載の導電性磁性流体。
(4)少なくとも一種の強磁性体粒子が、強磁性金属単体、強磁性金属合金、強磁性酸化物及び/又は強磁性窒化物の微粒子である(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性磁性流体。
(5)少なくとも一種の強磁性体粒子が、
鉄、ニッケル又はコバルトの金属単体;
鉄、ニッケル及び/又はコバルトを含む合金;
鉄、ニッケル及び/又はコバルトを含む酸化物; 及び/又は
鉄、ニッケル及び/又はコバルトを含む窒化物の微粒子であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性磁性流体。
(6)少なくとも一種の強磁性体粒子が、Ni−Fe合金、鉄、又はマグネタイトであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の導電性磁性流体。
(7)少なくとも1種の溶剤が、炭化水素溶媒、エステル系油、エーテル油、シリコーンオイル、及び/またはフッ素系オイルであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の導電性磁性流体。
(9)炭素繊維が、導電性磁性流体中に0.1質量%以上30質量%以下含まれることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の導電性磁性流体。
(10)強磁性体粒子が、導電性磁性流体中に3質量%以上80質量%以下含まれることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の導電性磁性流体。
(11)25℃、無磁界状態における粘度が100mPa・sec以上100000mPa・sec以下である(1)〜(10)のいずれかに記載の導電性磁性流体。
(12)25℃において1,500エルステッドの磁界を印加したときの磁界方向の導電率が10−2S/cm以上であることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の導電性磁性流体。
が提供される。
(13)前記の導電性磁性流体を用いたシール装置。
(14)前記の導電性磁性流体を用いたアクチュエーター。
が提供される。
本発明の導電性磁性流体を構成する炭素系導電性粒子は炭素繊維である。
この炭素繊維は、平均繊維径が10〜500nm、好ましくは20〜140nmである。炭素繊維は、その繊維径のバラツキが少ないものが好ましい。繊維径のばらつきは平均繊維径の±20%の範囲に全繊維の65%(本数基準)以上含まれることが好ましく、70%(本数基準)以上含まれることがより好ましく、75%以上(本数基準)含まれることが特に好ましい。この定義は、例えば平均繊維径が100nmの場合、80〜120nmの繊維径を有する炭素繊維の本数が全炭素繊維の本数の65%以上であることを示す。
本発明に用いる炭素繊維は、さらに平均アスペクト比が30〜200の範囲にある。
なお、嵩密度は、炭素繊維を1000℃にて15分間アルゴン雰囲気中で加熱し、ミキサー(ナショナル製MX−X62)にて1分間解砕し、該解砕物をメスシリンダーに入れ秤量し、震動機(ヤマト製試験管タッチミキサーMT−31)で1分間震動させ、解砕物の見かけ体積を測定し、秤量値と見かけ体積から求めた値である。
気化した原料を反応器に噴射することにより、加熱効率が高くなり、原料の熱分解が促進され、炭素繊維の収率が向上する。またバラツキの小さな繊維径を有する炭素繊維を得ることができる。
原料液(1)は、送液ポンプ(図示せず)により、気化器(3)に導入され、原料ガスとされる。原料ガスの組成を安定させるためには原料液の全量を気化することが望ましい。気化器は原料液が分解しない範囲で原料が完全に蒸発するように加熱される。気化器の温度は、好ましくは200〜700℃、更に好ましくは350〜550℃である。原料液をスプレーノズルにより気化器壁に吹き付けるようにすると原料の気化が効率的に行われる。気化器内へは原料ガスの供給速度を調整するためにキャリヤガス(2a)を導入できるが、キャリアガスの流量はできるだけ少ない方が気化器のヒータにかかる負担が少なく好ましい。
分散剤は特に限定されないが、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸等の高炭素数飽和脂肪酸及びその金属塩;オレイン酸、リノレン酸等の高炭素数不飽和脂肪酸及びその金属塩が挙げられる。これら分散剤の配合量は、炭素系導電性粒子100質量部に対して一般に1〜100質量部である。分散剤の配合量が1質量部未満であれば、炭素繊維および/または他の導電性粒子の分散性に効果が少なく、また、100質量部を超えると導電性磁性流体の安定性を損なう場合がある。
本発明の導電性磁性流体を構成する強磁性体粒子としては、強磁性金属単体、強磁性金属合金、強磁性酸化物及び/又は強磁性窒化物の微粒子が挙げられる。具体的には鉄、ニッケル又はコバルトの金属単体の微粒子;鉄、ニッケル及び/又はコバルトを含む合金の微粒子;鉄、ニッケル及び/又はコバルトを含む酸化物の微粒子;及び/又は鉄、ニッケル及び/又はコバルトを含む窒化物の微粒子が挙げられる。さらに、サマリウム、ネオジム、セリウムなどの希土類金属を含む磁性粒子を挙げることができる。これらの中で、磁性が比較的大きく、取り扱いが容易という観点で、鉄、コバルト、ニッケル、Ni−Fe合金などの金属磁性粒子やフェライトやマグネタイトのような金属酸化物磁性粒子などが好ましい。なお、本発明において、磁性とは磁界に感応することであり、例えば磁石に引きつけられることを意味する。
本発明の導電性磁性流体を構成する溶剤は特に限定されないが、大気中、低温及び高温で安定であるものが好ましい。本発明に好適な溶剤は、沸点が好ましくは150〜700℃(常圧)、より好ましくは200〜650℃(常圧)であり、且つ粘度が好ましくは10〜5000mPa・S(40℃)、より好ましくは50〜3000mPa・S(40℃)の液体である。溶剤としては、鉱油、アルキルナフタレン、ポリアルファーオレフィンなどの炭化水素溶媒;フタル酸ブチル、セバチン酸ブチルなどのエステル系油;オリゴフェニレンオキサイドなどのエーテル油;シリコーンオイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。
本発明の導電性磁性流体は磁界のない状態では、流動性のある粘性液体である。無磁界状態での好ましい粘度は25℃で100mPa・sec以上100000mPa・sec以下である。粘度が低いと磁界のない状態において粒子が分離しやすい。逆に粘度が高いと、取り扱いが難しく、応答性が低くなる傾向になる。
本発明の導電性磁性流体は、エンジンマウント、ショックアブソーバーなどの減衰装置、クラッチ、トルクコンバーター、ブレーキシステム、バルブ、ダンパー、サスペンション、アクチュエーター、バイブレーター、インクジェットプリンター、シール、比重差選別、軸受け、研磨、パッキン、制御弁、防振材料等の用途に利用できる。
製造例
(気相法炭素繊維の製造)
図1にフローを示した装置を用いて気相法炭素繊維を製造した。
反応管(5)としては、頂部に原料ガス供給ノズルを取り付けた縦型加熱炉(内径370mm、長さ2000mm)を用いた。
フェロセン0.5kgとチオフェン0.13kgをベンゼン14kgに溶解して原料液を調製した。原料液中のフェロセンの割合は3.5質量%、チオフェンの割合は0.9質量%であった。
反応管(5)の温度を1250℃まで上げた。ポンプで気化器に前記原料液を30g/minで供給し、気化させ原料ガスを得た。原料ガスをキャリアガス(2a)として供給した50L/minの水素ガスで気化器から排出した。原料ガスにキャリアガス(2b)として400L/minの水素ガスを供給し、スタティックミキサー(4)によって均一に混合した。この混合ガスを反応管(5)内に噴射し、滞留時間1時間で反応させた。反応生成物をアルゴン雰囲気中で2800℃で30分間加熱して炭素繊維を得た。
Quantachrome社製、NOVA1200を使用し、液体窒素温度における窒素の吸着等温線を求め、これからBET法およびBJH法を用いて算出した。
平均粒径10μmのパーマロイ(Ni−Fe合金)粉30gと製造例で得られた気相法炭素繊維3gを粘度200mPa・S(25℃)のシリコーンオイル(信越シリコーン製KF−96)70gに分散し、磁性流体(A)を調製した。この磁性流体(A)は飽和磁化量が40ガウスであり、磁石を近づけると引き寄せられた。
面積400mm2の2枚の電極が1mmのクリアランスで向かい合ったセルの両電極上に電磁石を取り付けた測定装置を横置きに設置し、セルの中に磁性流体(A)を充てんし、磁気特性を評価した。この際のトルクは、上部電極を水平方向に変位させることにより測定した。また応答速度はオシログラフを用い、磁界の印加に追随するトルクの遅れを測定して求めた。
磁界を印加していないときの磁性流体(A)の25℃の粘度は3530mPa・secであった。また、25℃、1,500エルステッドの磁界を印加したときの磁界方向の導電率が3.5×10−1S/cmであった。
磁界を印加していないときの磁性流体(A)のトルクは24gf・cmであった。磁性流体(A)に1,500エルステッドの磁界を印加したときのトルクは240gf・cmであり、応答速度は0.10秒であった。
実施例1で用いた気相法炭素繊維の量を2.0gに変え、人造黒鉛微粉(UFG10:昭和電工製、平均粒径5μm)1.0gを添加した以外は、実施例1と同様にして磁性流体(B)を調製した。この磁性流体(B)は、その飽和磁化量が560ガウスであり、磁石を近づけると引き寄せられた。面積400mm2の2枚の電極が1mmのクリアランスで向かい合ったセルの両電極上に電磁石を取り付けた測定装置を横置きに設置し、セルの中に磁性流体(B)を充てんし、磁気特性を評価した。この際のトルクは、上部電極を水平方向に変位させることにより測定した。また応答速度はオシログラフを用い、磁界の印加に追随するトルクの遅れを測定して求めた。
磁界を印加していないときの磁性流体(B)の25℃の粘度は4280mPa・secであった。また、25℃、1,500エルステッドの磁界を印加したときの磁界方向の導電率が2.5×10−1S/cmであった。
磁界を印加していないときの磁性流体(B)のトルクは20gf・cmであった。磁性流体(B)に1,500エルステッドの磁界を印加したときのトルクは280gf・cmであり、応答速度は0.15秒であった。
気相法炭素繊維3gを添加しない以外は、実施例1と同様な方法で磁性流体(C)を調製した。この磁性流体(C)は、その飽和磁化量が430ガウスであり、磁石を近づけると引き寄せられた。さらに実施例1と同様な方法で磁気特性を調べた。
磁界を印加していないときの磁性流体(C)の25℃の粘度は2730mPa・secであった。また、25℃、1,500エルステッドの磁界を印加したときの磁界方向の導電率が3.5×10−3S/cmであった。
磁界を印加していないときの磁性流体(C)のトルクは18gf・cmであった。磁性流体(C)の1,500エルステッドの磁界を印加したときのトルクは188gf・cmであり、応答速度は3.50秒であった。
パーマロイ粉の代わりに、平均粒径0.4μm鉄粉を用いた他は実施例2と同様な方法で磁性流体(D)を調製した。この磁性流体(D)は、その飽和磁化量が380ガウスであり、磁石を近づけると引き寄せられた。さらに実施例2と同様な方法で磁気特性を調べた。
磁界を印加していないときの磁性流体(D)の25℃の粘度は4830mPa・secであった。また、25℃、1,500エルステッドの磁界を印加したときの磁界方向の導電率が8.1×10−1S/cmであった。
磁界を印加していないときの磁性流体(D)のトルクは35gf・cmであった。磁性流体(D)の1,500エルステッドの磁界を印加したときのトルクは215gf・cm、応答速度は0.06秒であった。
パーマロイ粉の代わりに、平均粒径0.4μm鉄粉を用いた他は比較例1と同様な方法で磁性流体(E)を調製した。この磁性流体(E)は、その飽和磁化量が380ガウスであり、磁石を近づけると引き寄せられた。さらに比較例1と同様な方法で磁気特性を調べた。
磁界を印加していないときの磁性流体(E)の25℃の粘度は3180mPa・secであった。また、25℃、1,500エルステッドの磁界を印加したときの磁界方向の導電性が7.2×10−3S/cmであった。
磁界を印加していないときの磁性流体(E)のトルクは28gf・cmであった。磁性流体(E)の1,500エルステッドの磁界を印加したときのトルクは159gf・cmであり、応答速度は0.30秒であった。
パーマロイ粉の代わりに、平均粒径1.0μmマグネタイト粉を用いた他は実施例2と同様な方法で磁性流体(F)を調製した。この磁性流体(F)は、その飽和磁化量が380ガウスであり、磁石を近づけると引き寄せられた。さらに実施例2と同様な方法で磁気特性を調べた。
磁界を印加していないときの磁性流体(F)の25℃の粘度は3830mPa・secであった。また、25℃、1,500エルステッドの磁界を印加したときの磁界方向の導電率が1.5×10−1S/cmであった。
磁界を印加していないときの磁性流体(F)のトルクは35gf・cmであった。磁性流体(F)の1,500エルステッドの磁界を印加したときのトルクは215gf・cm、応答速度は0.06秒であった。
2a,2b キャリアガス
3 気化器
4 撹拌装置
5 反応管
Claims (14)
- 少なくとも一種の溶剤、少なくとも一種の強磁性体粒子、及び少なくとも一種の炭素系導電性粒子を含む導電性磁性流体であって、
少なくとも一種の炭素系導電性粒子が、平均繊維径10〜500nm、平均アスペクト比30〜200の炭素繊維であることを特徴とする導電性磁性流体。 - 炭素繊維は、X線でのC0値が0.65nm〜0.68nmであり、かつ、その嵩密度を0.5g/cm3に圧縮したときの比抵抗が0.015Ωcm以下である請求項1に記載の導電性磁性流体。
- 炭素繊維の表面が親水性を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性磁性流体。
- 少なくとも一種の強磁性体粒子が、強磁性金属単体、強磁性金属合金、強磁性酸化物及び/又は強磁性窒化物の微粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の導電性磁性流体。
- 少なくとも一種の強磁性体粒子が、
鉄、ニッケル又はコバルトの金属単体;
鉄、ニッケル及び/又はコバルトを含む合金;
鉄、ニッケル及び/又はコバルトを含む酸化物; 及び/又は
鉄、ニッケル及び/又はコバルトを含む窒化物の微粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性磁性流体。 - 少なくとも一種の強磁性体粒子が、Ni−Fe合金、鉄、又はマグネタイトであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性磁性流体。
- 少なくとも1種の溶剤が、炭化水素溶媒、エステル系油、エーテル油、シリコーンオイル、及び/又はフッ素系オイルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導電性磁性流体。
- 少なくとも1種の溶剤が、鉱油、アルキルナフタレン、ポリアルファーオレフィン;フタル酸ブチル、セバチン酸ブチル;オリゴフェニレンオキサイド;シリコーンオイル;及び/又はフッ素系オイルであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の導電性磁性流体。
- 炭素繊維が、導電性磁性流体中に0.1質量%以上30質量%以下含まれることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の導電性磁性流体。
- 強磁性体粒子が、導電性磁性流体中に3質量%以上80質量%以下含まれることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の導電性磁性流体。
- 25℃、無磁界状態における粘度が100mPa・sec以上100000mPa・sec以下である請求項1〜10のいずれかに記載の導電性磁性流体。
- 25℃において1,500エルステッドの磁界を印加したときの磁界方向の導電率が10−2S/cm以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の導電性磁性流体。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の導電性磁性流体を用いたシール装置。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の導電性磁性流体を用いたアクチュエーター。
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