JP2007120322A - ディーゼルエンジン排気ガス処理方法及び処理装置 - Google Patents

ディーゼルエンジン排気ガス処理方法及び処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物等の小粒子を流動化させてディーゼルエンジン排気ガスを処理するに際し、粘着性物質の付着により発生する分散板の閉塞、捕捉粒子の飛散・損耗による処理性能の低下を防止する。
【解決手段】ケーシング3内に排気ガスの分散板5を取り付け、粒径0.5〜1mm、かさ密度3〜4g/mlの焼結球状アルミナからなる捕捉粒子を静止時の高さ100〜200mmに投入して捕捉層4とし、排気ガスを下方から速度0.2〜3m/s(空塔速度)で捕捉層内を通過させ、排気ガスの通過速度が小さいときには固定層として、大きいときには流動層として作用させる。さらに、ディーゼルエンジンの燃料に20〜100ppmの有機鉄化合物、有機銅化合物、及び/又は有機セリウム化合物を添加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質等を除去するためのディーゼルエンジンの排気ガス処理方法及びその装置に関する。
車両、船舶の運送手段、発電等に広く利用されているディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質等の環境有害物質を、小型で効率よく分離し除去する手段については多くの提案がなされている。例えば、自動車に搭載されたディーゼルエンジンでは、活性の高い白金触媒を担持させたセラミックフィルタを用い、浮遊粒子状物質等を捕捉し燃焼して除去する手段が開発され、一部で実用されている。しかし、白金触媒は燃料中の硫黄に被毒されるため、硫黄分の高い軽油や重油を燃料とする場合には使用することができず、また、白金はコスト的あるいは将来の安定供給上の不安も大きい。さらに、セラミックフィルタではディーゼルエンジンを起動させる際に発生する黒煙を十分に除去することができない。
前記の様な白金触媒を担持したセラミックフィルターが抱える問題を解決する手段として、最近、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、燒結金属等を主成分とする小粒子を捕捉粒子とする層に、ディーゼルエンジン等の排気ガスを通過させて流動化し、流動層として排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質を捕捉し除去する手段が開発され、注目を集めている。この手段は、白金触媒を使用しないためコスト的に有利な上に、流動化された捕捉粒子の総表面積が大きいこと、捕捉粒子と排気ガス、酸素との接触効率に優れ、捕捉された浮遊粒子状物質等の滞留時間が極めて長いことから、捕捉粒子表面の粒子状浮遊物質等が比較的低温で分解、燃焼、除去されるという特長がある。
特開2002−081308号公報 特開2002−336626号公報 特開2003−027920号公報 特開2003−320211号公報
前記の金属酸化物等の小粒子を流動化させてディーゼルエンジン等の排気ガスを処理する手段(以下の説明において「流動化処理法」という)には、前記のような魅力のある特長を期待できる。しかし、一方で車両や船舶に使用されることの多いディーゼルエンジンにおいて、装置の小型化と所要の効果を得るために安定した流動層を形成させることとの相反する条件を達成することは容易ではない。なかでも実用化に向けて重要な課題は、排気ガス中に含まれる粘着性物質の付着により発生する流動層分散板の閉塞、捕捉粒子が系外に飛散・損耗することによる排気ガス処理性能の低下、ディーゼルエンジン起動時の黒煙排出等を確実に防止し、長期使用に耐え得ることなどである。これらの課題の一部は、前記した特許文献中に解決手段が提案され、それなりの効果は期待できるものの、十分に解決されてはいない。本願発明は、これらの問題を実用的立場から解決することを課題にするものである。
前記の課題を解決するのに本願発明に係る流動化処理法では、捕捉粒子に浮遊粒子状物質等を捕捉するのに適した焼結粒子状アルミナを選別して用いる。また、装置上は、使用目的に応じて捕捉層が安定した流動層を形成し、捕捉粒子の飛散・消耗を防止できる構造を採用する。さらに、前記直接的な排気ガス処理条件に加え、本発明排気ガス処理手段の作用・効果をエンジンに影響を及ぼすことなく効率的に発現するために、ディーゼルエンジンの燃料に添加物質を加えて排気ガス処理の容易な燃料に改質し、あるいは排気ガスを効果的かつ処理できる条件を長期に亘って維持すること等によって、課題を解決し実施を容易にする。
本願発明に係るディーゼルエンジン排気ガス処理手段は、白金触媒を塗布したセラミックフィルターに代え、浮遊粒子状物質等を捕捉するのに焼結球状アルミナを使用するので、触媒毒、とくに硫黄化合物による被毒を受けにくく、各種ディーゼルエンジンの燃料上の制約が解消され、捕捉粒子は安心・安価に入手できる。また、捕捉層は、排気ガス温度が比較的低温で排気ガス量が少なく、浮遊粒子状物質、すなわちSOF(可溶性有機化合物)や黒煙(すす)等の発生量が多いエンジン起動時には固定層となって、浮遊粒子状物質が起動時に較べて少なく、排気ガス温度が高く排気ガス量の多いエンジン定格稼働時には流動層となって、それぞれ極めて効果的に浮遊粒子状物質を除去する。また、本発明に係る装置、操業条件は、簡単、かつ多岐にわたって分散板閉塞、捕捉粒の飛散・消耗を防止するべく構成されているので目的に応じ好適な装置、操業条件を構成できる。そしてまた、ディーゼルエンジンの燃料に添加物質を加えて排気ガス処理の容易な燃料に改質し、あるいは排気ガスの供給条件を最適化して、排気ガスを長期に亘り安定して処理できる。なお、本願発明に係る処理装置は大きな消音効果を有し、本願発明を利用するディーゼルエンジンではサイレンサーが不要になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を必要により図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るディーゼルエンジン排気ガス処理装置の実施形態の一例を示す模式図である。本発明を実施するためのディーゼルエンジン排気ガス処理装置は、基本的に、下部に前記排気ガスの送入口1を、上部に浮遊粒子状物質等を除去された処理後の排気ガスの排出口2を有するケーシング3と、ケーシング3内に形成され下部から送入した排気ガスを通過させて浮遊粒子状物質等を除去する捕捉層4と、ケーシング3内に水平方向に取り付けられて捕捉層4を支持し、下面側から送入される排気ガスを捕捉層4内に分散送入する分散板5とから構成されている。
かつ、捕捉層4は、排気ガスの通過速度が小さいときには固定層を、大きな時には流動層を形成して浮遊粒子状物質等を捕捉し分解・燃焼させて除去する。すなわち、本願発明において捕捉層は、浮遊粒子状物質発生量の多いディーゼルエンジン起動時には排気ガス量が少なく排気ガス温度が低いので固定層となり極めて有効なろ過作用を奏し、浮遊粒子状物質を含む排気ガスの発生量が多く温度が高くなるディーゼルエンジン定格稼働時には、流動層を形成し気固接触を盛んにして、浮遊粒子状物質を捕捉し分解、燃焼する作用を奏する。
捕捉層4を構成する捕捉粒子には、永続的に浮遊粒子状物質等の捕捉性能に優れることは勿論、硬く粒子形状を保持し耐熱性があって流動層を形成しやすく、燃料中に含まれる硫黄化合物等に被毒されない、安価で使いやすい粒子状物質が要求される。本発明においては、前記の条件を満たす捕捉粒子として焼結球状アルミナを用いる。条件によっては一部に他の粒子状物質を混在させてもよい。
本発明に用いる焼結球状アルミナは、粒径0.5〜1mm、かさ密度3〜4g/mlの、とくに3.5〜4g/mlのものが好適である。なお、本発明において、かさ密度は、焼結球状アルミナの充填かさ密度ではなく、球状粒子そのもののかさ密度を意味する。径が1mmを超える粒子が混在すると流動化状態が悪くなり、また捕捉層体積当たりの捕捉粒子の表面積が小さくなり捕捉性能が低下するので、粒子径は1mm以下に抑える。しかし、粒子径が小さ過ぎ、径が0.5mm以下の粒子を使用するとなると、適正な排気ガス処理流速が小さくなって装置の大型化を招き、例えば、粒径が0.3〜0.5mmの焼結球状アルミナを使用する場合、前記同量の排気ガスを処理するのに、約4倍の面積及び多数の微小径の孔を有する分散板が必要になって、コストに大きく影響する。かさ密度が3g/mlよりも小さい焼結球状アルミナは、一般に流動化による粉化傾向が大きいので避けた方がよい。
本発明では、排気ガスと捕捉粒子とを接触させるためのケーシング3内に分散板5を取り付け、分散板5上に捕捉粒子を投入して捕捉層4を形成させる。ケーシング3の水平断面形状には、とくに制限はない。ケーシング3の下部から排気ガスを導入し、分散板5を通過させて捕捉層4内に排気ガスを分散、送入し、捕捉層4内を0.2〜3m/s(ディーゼルエンジンの定格運転状態における捕捉層内空塔速度)で通過させて同伴する浮遊粒子状物質等を捕捉、分離もしくは燃焼する。排気ガスの通過速度が小さいときには固定層として、大きいときには流動層として作用させる。固定層・流動層間の移行は厳密なものではなく、捕捉粒子の特性や使用環境によって異なる。捕捉層4の高さ(厚さ)は、静止時において100〜200mmの範囲にする。100mmに達しないと捕捉性能が大きく低下し、200mmを超えると捕捉性能は向上するが圧力損失が5kPaを超えるようになり実用上好ましくない。一般に、本発明に係る排気ガス処理装置がもたらす圧力損失は、3〜5kPa以下にする。
前記本願発明を実施するに際しては、排気ガス中に同伴される浮遊粒子状物質等が分散板の下面に付着して分散板を閉塞させ、圧力損失が増大してディーゼルエンジン排気ガスの圧力を上昇させ、あるいは捕捉層への送入を困難にし、また、排気ガスの流れが不均一になって捕捉粒子が系外に逃散したりすることがないようにしなければならない。分散板の閉塞は、排気ガス温度が低いほど発生しやすい。
分散板閉塞防止策として、まず、ディーゼルエンジンの燃料中に有機鉄化合物、有機銅化合物、及び/又は有機セリウム化合物を添加しておくことが望まれる。なかでも効果が大きく使いやすい物質として、フェロセン(ferrocene:有機鉄化合物)やDPX6(市販商品名:有機セリウム化合物系物質)を挙げることができる。有機鉄化合物、有機銅化合物の添加量は、添加物や燃料の種類によるが、20〜50wt−ppmが好ましい。有機セリウム化合物の添加量についても前記同様に添加物や燃料の種類によるが、一般に50〜100wt−ppmが好ましい。
前記の有機金属化合物類は、燃料の燃焼性を向上させて排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質やSOFの発生量を減少させるとともにSOFの粘着性を低下させ、比較的低温度においても分散板の閉塞や捕捉層の機能低下を防止する効果がある。さらに、燃焼効率を向上させる。これらの有機金属化合物を燃料に加えると、捕捉層内温度を基準にして、閉塞開始温度を50〜60℃程度低下させる効果を奏する。実用上、送入する排気ガスの最低温度を約350〜370℃に保持すれば、分散板の閉塞を避け捕捉層の機能を保持することができる。
前記の有機金属化合物類は、燃料の種類により、あらかじめディーゼルエンジンの燃料中に添加、混合しておいてもよいし、あるいは、適当な溶剤を選択して有機金属化合物類の濃厚溶液を準備しディーゼルエンジンの燃料供給側において適量を燃料中に連続添加し、混合してもよい。混合手段には、燃料の循環混合、ラインミキサーなどを利用すればよく、特段の制限はない。しかし、C重油のような粗悪油を燃料にする場合には、それなりの配慮が必要になる。たとえば、燃料を貯蔵する攪拌機付のセットリングタンクを用い、燃料供給配管に前記有機金属化合物類を連続添加してセットリングタンクに供給し混合し、燃料清浄機、サービスタンクを経てディーゼルエンジンに供給する。この間にサービスタンクをオーバフローしたC重油はセットリングタンクに戻し、再び混合する。一方、A重油を燃料に使用する場合には、通常、有機金属化合物類を連続添加してセットリングタンクに供給し、タンク内で数時間放置しておけば拡散し充分混合される。
また、浮遊粒子状物質が付着して分散板が閉塞する傾向になると排気ガスの送入圧力が上昇することを利用して、排気ガスの送入圧力が所定値を超えて上昇しないように保持することにより、分散板の閉塞を防止することができる。すなわち、排気ガスの送入側に加熱器を装着し、一方、送入排気ガスの圧力を測定し、前記圧力の変動にもとづき加熱器を起動・停止あるいは調整して分散板の閉塞を防止する。一例をあげると、運転中、常時送入排気ガスの圧力を測定して、前記圧力が設定値(例えば5kPa)を超えると前記加熱器を自動起動させ、排気ガスを昇温して分散板下面に付着した浮遊粒子状物質等を分解、燃焼し、除去する。付着物が除去されて送入排気ガスの圧力が設定値(例えば4.5kPa)以下になると加熱器を自動的に停止させる。制御手段は前記に限られず、圧力変動にもとづく段階的制御、微分制御、積分制御等、実情に応じて実施すればよい。
また、過給器付のディーゼルエンジンに対しては、捕捉層温度を検知して吸気側インタークーラの出口温度を上下させることにより、捕捉層温度を10〜20℃程度上下させることができる。一例をあげると、捕捉層温度が一定値以下になった場合に前記インタークーラの冷却水側に装着されている調整弁を操作し冷却水量を調整もしくは供給を停止してエンジンの吸気温度を上昇させ、排気ガスを昇温して分散板に浮遊粒子状物質等が付着し閉塞するのを抑える。通常、吸気温度が上昇すると排気ガスの温度も同程度に上昇する。
また、排気ガスの一部を過給器をバイパスさせ過給器をでた排気ガスと混合することにより、過給器による排気ガス温度の低下を抑え、捕捉層内の温度を上昇させることができる。吸気温度が低く排気ガス温度が低いと予測されるときは、起動前にあらかじめ過給器のガスバイパス弁を開いておくことが望ましい。吸気温度が低い場合には、ディーゼルエンジンにとって吸気量が過大になる傾向があるので、ディーゼルエンジンの吸気口を絞り吸気量を適正にすることにより排気ガス温度を上昇させて捕捉層内の温度を上昇させることもできる。周辺温度は常温に近いので火傷する恐れはなく、ディーゼルエンジン運件中であっても操作が可能である。
前記した分散板の閉塞防止手段は、状況に応じこれらを単独で、又は適宜に組み合わせて実施することにより、長期に亘り有効に本発明に係る排ガス処理装置を運転することができる。また、本発明に係るディーゼルエンジン排気ガス処理方法は、他の排気ガス処理方法に組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明を含む排気ガス処理方法・排気ガス処理装置を実施するに際して、系の圧力損失が過大になる恐れがある場合等には、ディーゼルエンジンの排気側、すなわち本願発明に係る排気ガスの送入側に押込ファン、又は捕捉層を通過した排気ガスの排出側に誘引ファンを設けて送入側排気ガス圧力を測定し、前記圧力にもとづきファンを操作して所定値を超えるディーゼルエンジン排気ガスの圧力上昇を防止することが好ましい。
本願に係る浮遊粒子状物質等除去装置のケーシング3は、上下に2分割してフランジを取り付け、分散板5を挟み固定するとよい。分散板5は、熱応力による問題がないよう必要により分割して固定する。分散板5には、金網、焼結金属板などを使用してもよいが、開口率の厳密な設定、孔の形状、強度、コスト等の見地から多孔板の利用が望ましい。多孔板の孔径は捕捉粒子の最小粒径よりも小さいことが要求されるが、加工しやすく整流効果の大きい0.3〜0.5mm程度が好ましく、その開口率は稼働時における分散板の圧力損失が300〜1500Paの範囲になるように設計する。使用素材は、ステンレススチールが好適である。
本願に係る排気ガス処理装置には、望ましくは、捕捉層4が流動層を形成する際の上部空間、フリーボード6に捕捉粒子がケーシング3外に飛散するのを防止するための飛散防止板7を取り付ける。飛散防止板7によって捕捉粒子の飛散を防止できるので、排気ガスの流速を大きくできるなどの効果も期待できる。飛散防止板7には多孔板、金網、焼結金属板などを利用できるが、通常多孔板を用い、その圧力損失がエンジンに悪影響を与えないように設計する。本発明において前記した粒径の焼結球状アルミナの飛散を目詰まりなく防止するには、孔径を0.2〜0.3mmにする。開孔率は、圧力損失の大小及び孔数による製作費用を勘案して決めればよく、また、孔が全面に均一配置される必要はない。一般的には、開孔面積の合計がフリーボード6水平断面積の4%以上になる多孔板を用いるとよい。例えば、孔径0.2mmの孔を、ピッチ0.45mmで千鳥に均一配列させた場合の開孔比率は約18%であって、排気ガスの流速にもよるが、圧力損失をエンジンの性能に悪影響を及ぼさない数十kPa以下に抑えることができる。多孔板は多数の微小孔板を比較的安価に加工できるエッチング加工により製作するとよい。飛散防止板7の取付位置は、一般に捕捉層4の静止高さの1.5〜3倍が好ましい。捕捉粒子の損耗を防止し、捕捉性能を高くするには、排気ガスの速度を0.2〜0.5m/s程度にするのが好ましい。
しかし、定格運転時よりもディーゼルエンジン起動時・アイドリング時の黒煙防止が要求されるケースや、車両に装着する場合などの装置の小型化を重視するケースがあって、いずれも無視できない。前記ケースに対応するには、飛散防止板7の取付位置を捕捉層4の静止高さの1.1〜1.5倍の位置に下げて流動層高さを制限するとよい。このため飛散防止板7により流動層内での捕捉粒子の動きが制限されて、流動層内を通過する排気ガスの速度を前記の0.2〜0.5m/sの4〜6倍(0.8〜3m/s)にしても捕捉粒子の動きは、比較的緩慢で飛散・消耗は大きくない。排気ガスの流速が速く捕捉層内での滞留時間が短くなり、浮遊粒子状物質等の捕捉性能は低下する。しかし、排気ガス量の小さい起動時の黒煙等の捕捉には極めて有効であり、また装置の小型化を図ることができる利点がある。
また、ディーゼルエンジンの使用目的、排気ガス量によっては、分散板4上面から必要とされる高さまで又は分散板4と飛散防止板7との間を、上下方向に仕切板8を設けて捕捉層を適宜の大きさの区画に分割しておくことが望ましい。とくに、車両、船舶等に使用するディーゼルエンジンや排気ガス量の大きなディーゼルエンジンでは、装置に傾斜や振動が発生しやすく、あるいは捕捉層の高さの割に面積が大きくなるので、いずれも運転中に捕捉層が偏って排気ガスに偏流、吹抜けが発生し正常な流動層を形成しなくなり、不完全な排気ガス処理になるのを仕切板7が防止する効果がある。
さらに、分散板5の下側、風箱部9の水平方向の全面に整流板10を取り付けて、上流からの動圧変動が排気ガス処理に及ぼす直接的な影響、排気ガス処理装置の圧力損失上昇がエンジンに及ぼす影響を抑えながら、分散板に流入する排ガスの流れを均一にし、浮遊粒子状物質等の捕捉性能を安定させることができる。整流板10は、孔径3〜20mm、常用運転時の整流板による圧力損失が100〜500Pa程度になるような開孔率が好ましい。
そして、ケーシング内の分散板、整流板、飛散防止板、仕切板、捕捉粒子、センサー等に対するクリーニング、修理、交換等のメンテナンス作業を容易にするため、必要に応じて前記部材をに分割して取り付け、あるいはケーシングにフランジ接続部、ハンドホール、マンホール等を設けておくことが求められる。
本願発明の効果を確かめるために、発電用ディーゼルエンジンユニット(デンヨー(株)製、但しエンジン本体は三菱自動車(株)製)に本願発明に係る排気ガス処理装置を取り付けて本願発明を実施し、効果を評価した。排気ガス処理装置には、捕捉粒子に粒径0.5〜1mm、かさ密度3.7g/mlの市販の焼結球状アルミナを用い、分散板上に静止時層高150mm投入して捕捉層を形成した。分散板は複数枚を製作し、孔径0.3〜0.5mm、開孔率0.6〜2%の範囲でテストした。評価は、各テストごとにエンジンを合計500hr稼働してその間の浮遊物質等の除去性能、分散板の圧力損失の変動を測定して行った。浮遊物質等の除去性能の評価は、ボッシュ式スモークメータ及びオパシメータによって、別途ミニダイリュウショントンネルを利用して正確な除去性能を求めた。
まず、市販のA重油をそのまま燃料としてエンジンを稼働した。捕捉層温度を410℃〜430℃に保持したケースでは、浮遊物質等の除去性能、分散板の圧力損失に大きな変動はなく平衡状態で運転することができた。しかし、410℃以下になると圧力損失が増加傾向になり、さらに分散板の閉塞が予見された。430℃以上に昇温すると圧力損失に減少傾向がみられるようになった。
つぎに、燃料のA重油にあらかじめフェロセン(独オクテル社製)を25〜50ppmの範囲を添加しておいた以外は前記と同様にして、実験した。その結果、捕捉層温度を350℃〜370℃に保持したケースで浮遊物質等の除去性能、分散板の圧力損失に大きな変動はなく平衡状態で運転することができた。しかし、350℃以下になると圧力損失が増加傾向になり、さらに分散板の閉塞が予見された。370℃以上に昇温すると圧力損失に減少傾向がみられるようになった。
本願発明は、白金触媒を利用せずコンパクトにまとめられ、使用燃料に特別の制限なく経済的に実施することができる。また、必要により他の排気ガス処理手段を組合せて問題の解決に役立ててもよい。従って、分野の如何を問わず使用されるディーゼルエンジンの排気ガス処理に有利に使用することができる。とくに、硫黄分を含む重油を燃料に使用するディーゼルエンジンの排気ガス処理に好適である。車両に使用されるディーゼルエンジンの排気ガス処理に対しても適用できる特長がある。
本発明ディーゼルエンジン排気ガス処理装置の実施形態例を示す模式的な断面図
符号の説明
1:排気ガス送入口 2:処理後の排気ガス排出口
3:ケーシング 4:捕捉層
5:分散板 6:フリーボード
7:捕捉粒子の飛散防止板 8:仕切板
9:分散板下側の風箱部 10:排気ガス整流板

Claims (12)

  1. ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質(PM)等を捕捉・除去する処理方法において、排気ガスを処理するケーシング内に排気ガスの分散板を水平に取り付け、前記分散板上に主たる構成物質が粒径0.5〜1mm、かさ密度3〜4g/mlの焼結球状アルミナからなる捕捉粒子を静止時の高さ100〜200mmに投入して捕捉層とし、分散板の下面側から排気ガスを速度0.2〜3m/s(ディーゼルエンジンの定格運転時における捕捉層内空塔速度)で捕捉層内を通過させ、かつ、前記捕捉層は、排気ガスの通過速度が小さいときには固定層として、大きいときには流動層として作用することにより、排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質等を捕捉し、除去することを特徴とする、ディーゼルエンジン排気ガス処理方法。
  2. さらに、ディーゼルエンジンの燃料に20〜100wt−ppmの有機鉄化合物、有機銅化合物、及び/又は有機セリウム化合物を添加しておくことを特徴とする、請求項1に記載のディーゼルエンジン排気ガス処理方法。
  3. さらに、ディーゼルエンジンの燃料に20〜50wt−ppmのフェロセン(ferrocene:有機鉄化合物)を添加しておくことを特徴とする、請求項1に記載のディーゼルエンジン排気ガス処理方法。
  4. さらに、ディーゼルエンジンの燃料に50〜100wt−ppmのDPX6(市販品商品名:有機セリウム化合物)を添加しておくことを特徴とする、請求項1に記載のディーゼルエンジン排気ガス処理方法。
  5. さらに、排気ガスの送入側に加熱器を設け、送入する排気ガスの圧力を測定して、前記圧力が上昇すると排気ガスを加熱し、分散板の排気ガス入口側に付着した浮遊粒子状物質を酸化・除去して前記圧力を低下させ、圧力が低下すると加熱を低減・停止させて、自動的に排気ガスの圧力が所定値を超えて上昇しない範囲に保持することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のディーゼルエンジン排気ガス処理方法。
  6. さらに、捕捉層内の温度を測定し前記温度にもとづいて、過給器出口側インタークーラーの出口温度(ディーゼルエンジン吸気温度)を調整する、排ガスの一部について過給器をバイパスさせる、及び/又はディーゼルエンジンの吸気口を絞る、ことにより排気ガス温度を上昇させ、捕捉層内の温度を所定の範囲に保持させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のディーゼルエンジン排気ガス処理方法。
  7. さらに、排気ガスの送入側に押込ファン、又は捕捉層を通過した排気ガスの排出側に誘引ファンを設けて所定値を超えるディーゼルエンジン排気ガスの圧力上昇を防止することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のディーゼルエンジン排気ガス処理方法。
  8. ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質等の除去装置であって、下部に前記排気ガスの送入口(1)を上部に浮遊粒子状物質等を除去された排気ガスの排出口(2)を有するケーシング(3)と、ケーシング内に水平に取り付けた分散板(5)と、主たる構成物質が粒径0.5〜1mm、かさ密度3〜4g/mlの焼結球状アルミナであって、ディーゼルエンジンの排気ガスを0.2〜3m/s(ディーゼルエンジンの通常運転時における捕捉層内空塔速度)で通過させ、かつ、通過速度が小さいときには固定層、大きなときには流動層を形成する、静止時の層高が100〜200mmの捕捉層(4)とを含んで構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン排気ガス処理装置。
  9. 捕捉層が流動層を形成したときのフリーボード(6)であって、捕捉層4の静止高さの1.5〜3倍の位置に、捕捉粒子の飛散・消耗を防止するための、孔径が0.2〜0.3mm、開孔率が4〜20%の捕捉粒子飛散防止板(7)を設けた、ことを特徴とする請求項8に記載のディーゼルエンジン排気ガス処理装置。
  10. 捕捉粒子飛散防止板を捕捉層4の静止高さの1.1〜1.5倍の位置に設け、捕捉層の流動層高さを捕捉粒子飛散防止板の位置までに制限した、ことを特徴とする請求項8に記載のディーゼルエンジン排気ガス処理装置。
  11. 分散板上、もしくは分散板と飛散防止板との間に、捕捉粒子の偏在を防ぐため捕捉層を垂直方向に分割する仕切板(8)を設けた、ことを特徴とする請求項8,9又は10に記載のディーゼルエンジン排気ガス処理装置。
  12. 分散板の下面側風箱部(9)に、排気ガスの流れを均一にするための、孔径3〜20mmの多孔板であって通常運転時における排気ガスの圧力損失が100〜500Paの排気ガス整流板(10)を設けた、ことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のディーゼルエンジン排気ガス処理装置。
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