JP2007114050A - 絶縁異常診断方法及びその装置 - Google Patents

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Narimitsu Okabe
成光 岡部
Shuhei Kaneko
周平 金子
Masayuki Hikita
政幸 匹田
Shinya Otsuka
信也 大塚
Takashi Tejima
隆志 手嶋
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Abstract

【課題】装置構成が簡素で、低頻度の放電に対する診断が可能で、直流機器にも適用できる絶縁異常診断方法及びその装置を提供する。
【解決手段】高電圧が印加される導体23を筒状の接地容器22の軸心部に収容した電力機器における絶縁異常診断の方法であって、絶縁異常に起因して発生した電磁波信号の時間波形(図2(b)、図3(b))を検出し、この電磁波信号の時間波形から、この電磁波信号を構成する周波数成分ごとの時間的変化を表す時間周波数信号を抽出し、これらの時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示し(図9(a)、図9(b))、この表示内容から絶縁異常を診断する。
【選択図】図1

Description

本発明は、密閉電力機器の絶縁異常を電磁波信号から検出する方法及び装置に係り、装置構成が簡素で、低頻度の放電に対する診断が可能で、直流機器にも適用できる絶縁異常診断方法及びその装置に関する。
ガス絶縁機器などの密閉電力機器は、例えば都市部などの人口密集地において極力狭い場所にて高電圧が印加される導体の絶縁を図るために設置される。密閉電力機器は、導体を筒状の接地容器の軸心部に収容し、その接地容器にガスを封入したものである。このような密閉電力機器には高い信頼性が要求される。しかし、既に運用されている密閉電力機器が耐用年数にさしかかると信頼性が低下することは避けられない。そこで、密閉電力機器の絶縁異常を診断する技術が必要になる。
密閉電力機器は導体が接地容器中に収容されて直接見えない(測定できない)状態であるため、内部の異常信号を検出し、その検出信号を診断に供する必要がある。一般に、絶縁異常により絶縁破壊が発生するより以前に、絶縁破壊の前駆現象である部分放電信号を検出することで絶縁異常診断が実施されている。なかでも、部分放電に起因する電磁波信号を検出することが主流である。
絶縁異常診断方法としては、交流の密閉電力機器の場合、導体に印加された交流電圧位相に対する放電発生特性(いわゆる位相−電荷量−頻度特性やゼロスパン特性)による診断方法が数多く実施されている。
また、特許文献1の装置では、電磁波信号の時間波形を検出し、その電磁波信号をフーリエ変換して周波数スペクトルを求め、その周波数スペクトルのうちのいくつかの成分の大きさを比較して異物の位置を判定している。
特許文献2の装置では、電磁波信号の時間波形を特性の異なる2つの検出器でそれぞれ検出し、これら2つの電磁波信号の時間的変動比と周波数応答比から異物の位置を判定している。
特開平11−271382号公報 特開2003−185697号公報 「GIS内伝搬電磁波モードの速度分散特性に基づく異物付着位置の評価」手嶋隆志ほか、平成16年度電気関係学会九州支部連合大会92頁
しかしながら、従来の位相−電荷量−頻度特性による診断方法は、装置が複雑で高価であり、放電の発生頻度が低い場合には診断が困難である。
詳しく述べると、従来の診断方法では、交流の密閉電力機器を対象としており、その印加交流電圧の位相と部分放電による電磁波信号の発生タイミングとの相関を調べなければならない。このために装置構成が複雑になることが避けられない。
また、従来の診断方法では、ただ1回の放電の発生による電磁波信号を検出しても、この電磁波信号から診断を行うことはできず、診断には高頻度の放電の存在が必要である。異常初期のうちはまれにしか放電が発生しないので、従来の診断方法では診断が困難となる可能性が高い。
また、従来の診断方法では、直流の密閉電力機器を対象とすることができない。直流の密閉電力機器の場合は、位相特性に基づく診断ができないからである。よって、直流の密閉電力機器用の絶縁異常診断技術の確立が望まれている。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、装置構成が簡素で、低頻度の放電に対する診断が可能で、直流機器にも適用できる絶縁異常診断方法及びその装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の第一の方法は、高電圧が印加される導体を筒状の接地容器の軸心部に収容した電力機器における絶縁異常診断の方法であって、絶縁異常に起因して発生した電磁波信号の時間波形を検出し、この電磁波信号の時間波形から、この電磁波信号を構成する周波数成分ごとの時間的変化を表す時間周波数信号を抽出し、これらの時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示し、この表示内容から絶縁異常を診断するものである。
上記時間周波数信号の比較的高周波数成分が比較的長く持続するときは、絶縁異常の要因が接地容器側にあり、比較的高周波数成分があまり持続しないときは、絶縁異常の要因が導体側にあると判定するようにしてもよい。
また、第二の方法は、高電圧が印加される導体を筒状の接地容器の軸心部に収容した電力機器における絶縁異常診断の方法であって、絶縁異常に起因して発生した電磁波信号の時間波形を検出し、この電磁波信号の絶対値を時間経過に沿って積算し、その積算値の時間的変化を表示し、この表示内容から絶縁異常を診断するものである。
上記積算値の増加が比較的長く持続するときは、絶縁異常の要因が接地容器側にあり、上記積算値の増加があまり持続しないときは、絶縁異常の要因が導体側にあると判定するようにしてもよい。
また、本発明の第一の装置は、高電圧が印加される導体を筒状の接地容器の軸心部に収容した電力機器における絶縁異常を診断する装置において、絶縁異常に起因して発生した電磁波信号の時間波形を検出する電磁波信号検出器と、この電磁波信号の時間波形から複数次のTEモードに相当する各周波数成分の時間的変化を表す時間周波数信号を抽出する時間周波数信号抽出器と、この時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示する表示器とを備えたものである。
また、第二の装置は、高電圧が印加される導体を筒状の接地容器の軸心部に収容した電力機器における絶縁異常を診断する装置において、絶縁異常に起因して発生した電磁波信号の時間波形を検出する電磁波信号検出器と、この電磁波信号の絶対値を時間経過に沿って積算する積算器と、その積算値の時間的変化を表示する表示器とを備えたものである。
表示器は、さらに、上記積算値の時間的変化の特徴量を、例えば、ある時間間隔における積分値の傾き(微分値)を複数の時間間隔で計算し、それらを比較した結果を表示するのが好ましい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)装置構成が簡素である。
(2)低頻度の放電に対する診断が可能である。
(3)直流機器にも適用できる。
(4)表示方法により、診断を直感的に実施できる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に示されるように、本発明に係る絶縁異常診断装置は、アンテナ1、アンプ2、フィルタ3、診断開始判定部4、波形形成器5、記録部6、処理部7、表示部8、保存部9、測定モード選定・測定開始指示部10から構成される。
アンテナ1は、電磁波信号を検出するためのものである。密閉電力機器によっては、接地容器内にアンテナが設置できるものとできないものとがある。ここでは接地容器内にアンテナ1を設置するものとする。
アンプ2は、アンテナ1からの電磁波信号を後段で処理しやすいように、十分に電力を増幅するものである。
フィルタ3は、必要な帯域の信号のみを通過させる帯域通過フィルタ(BPF)あるいは適応フィルタである。絶縁異常に起因して発生する電磁波信号の帯域の一部はテレビや航空・船舶の無線通信あるいは携帯電話に使用される帯域を含むので、こうした外来ノイズを取り除くためにフィルタ3が設けられる。
診断開始判定部(強度測定)4は、フィルタ3を出た電磁波信号が所定のしきい値を超えたとき、診断開始のタイミングとするものである。診断が開始された後の電磁波信号は、波形形成器5を介して記録部6へ、または直接記録部6へ送られ、記録部6に記録される。
波形形成器5は、電磁波信号の絶対値を時間経過に沿って積算した結果を出力するものである。
記録部(波形取得)6は、診断が開始された後の電磁波信号を記録するものである。
処理部7は、ウェーブレット変換により時間周波数信号を抽出する時間周波数信号抽出あるいは積算値の時間変化の特徴量を処理し比較する働きを持つ。
表示部8は、時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示する表示器あるいは積算値の時間的変化を表示する表示器の働きを持つ。
保存部(結果・トレンド)9は、処理部7が出力する時間周波数信号や積算結果を保存するものである。
測定モード選定・測定開始指示部10は、診断開始判定部4のしきい値設定、フィルタ3の周波数帯域設定、および表示部8の表示内容設定を行うものである。
図1の装置の動作を説明する前に、本発明の原理を説明しておく。
本出願人は、非特許文献1を発表し、その中で放電源が導体付着の異物である場合に波群が過ぎた後の信号強度が小さく、放電源が接地容器付着の異物である場合に信号の強度が持続していることを指摘している。
また、非特許文献1では、電磁波信号を高速度フーリエ変換して周波数スペクトルを得ると、TE11,TE21,TE31,…等の複数次のTEモードに相当する各周波数スペクトルの含有比率には、異物の付着位置によって若干の差異があることが分かったので、特定の伝搬モードと結びつく周波数について解析して異物の付着位置を判定できると着眼した。しかし、そうした特定周波数の電磁波信号の時間的変化の特徴から絶縁異常の要因が解析できるという気付きには至っていない。
その後、本出願人は、接地容器径あるいは異物サイズの相違による時間波形の相違について研究を行い、異物が接地容器側に付着しているときは、異物が導体側に付着しているときに比べ、比較的高次のTEモードに相当する周波数成分が多いことを見出した。そして、時間波形による異物位置の判定が可能であるという結論に達した。そこで、まず、時間波形による異物位置の判定について説明する。
試料として用いる密閉電力機器は、66kV定格の密閉電力機器と500kV定格の密閉電力機器である。66kV定格の密閉電力機器は、接地容器内径200mm、導体外径80mmである。500kV定格の密閉電力機器は、接地容器内径600mm、導体外径160mmである。放電源(異物)として長さ20mmの針状の物体を仮定し、接地容器に付着する場合は接地容器内周から径方向内向きに起立し、導体に付着する場合は導体外周から径方向外向きに起立するものとする。
500kV定格の密閉電力機器における電磁波信号の時間波形は、図2及び図3のようになる。すなわち、図2(a)に示されるように、異物21が接地容器22に付着している場合、検出される放電発生時の電磁波信号の時間波形25は、図2(b)に示されるように、信号強度(図では電圧で表す)の大きな変化が比較的長く持続している。一方、図3(a)に示されるように、異物21が導体23に付着している場合、検出される放電発生時の電磁波信号の時間波形35は、図3(b)に示されるように、初期にはある程度の大きさの信号強度変化があるが、すぐに信号強度が小さくなる。
図2(b)と図3(b)を比較すると、信号強度の持続の長短が明確に相違している。このことから、時間波形によって異物の付着位置が判別できるという知見が得られる。
しかしながら、66kV定格の密閉電力機器における電磁波信号の時間波形は、図4及び図5のようになる。すなわち、図4(a)に示されるように、異物21が接地容器22に付着している場合、検出される放電発生時の電磁波信号の時間波形45は、図4(b)に示されるように、信号強度の大きな変化が比較的長く持続している。一方、図5(a)に示されるように、異物21が導体23に付着している場合に検出される放電発生時の電磁波信号の時間波形55もまた、図5(b)に示されるように、信号強度の大きな変化が同じくらい長く持続している。
図4(b)と図5(b)を比較すると、信号強度の持続は同程度である。66kV定格の密閉電力機器における電磁波信号の時間波形では異物の付着位置が判別しづらいように思える。
次に、上記各種の時間波形を高速度フーリエ変換して周波数スペクトルを得る。この周波数スペクトルから複数次のTEモードに相当する各周波数成分の強度を得る。図6に示されるように、上記2つの定格の密閉電力機器について異物先端の位置A,B,C,Dを定義する。
図7を描くために、導体外周から接地容器内周までの距離を規格化する。電磁波信号は異物先端の位置での電界強度を表しているから、1つの定格の密閉電力機器について同じTEモードにおけるA点とB点あるいはC点とD点の強度をグラフ上で結べば、当該TEモード成分の径方向分布が明らかになる。
破線で示した66kV定格の密閉電力機器におけるある次数のTEモード成分の径方向分布と、実線で示した500kV定格の密閉電力機器における同一次数のTEモード成分の径方向分布とが類似していることが分かる。例えば、TE11モード成分の径方向分布は導体側で高く、接地容器側に行くほど低くなっている。66kV定格の密閉電力機器のように時間波形では異物の付着位置が判別しづらい場合でも、特定の周波数スペクトルに着目すると異物の付着位置による差異が見られることになる。
次に、TEモードの速度分散とモード別成分の接地容器径方向への強度分布との関係を説明する。
電磁波の伝搬速度は光速Cであるが、これはTEMモードの場合である。TEモードやTMモードにおいては、伝搬速度は周波数の項を含むことになる。すなわち
Figure 2007114050
となる。ここで、fcは遮断周波数である。式(1)によれば、周波数f成分に着目すると、低い遮断周波数fcであるほど伝搬速度が高くなって光速Cに近くなり、高い遮断周波数fcであるほど伝搬速度が低くなって光速Cから離れる。これを速度分散という。高次のTEモードは遮断周波数fcが高いので、伝搬速度は低いことになる。
TEモードにおける遮断周波数fc(TEモード)とTMモードにおける遮断周波数fc(TMモード)とを比べると、
fc(TEモード)<fc(TMモード)
である。
速度分散があるため、電磁波がアンテナに到達する順序は、
TEMモード→TE11モード→高次のTEモード
ということになる。
図8は、各次のTEモード成分の電界強度が密閉電力機器の径方向に分布する様子を示したものである。図示のように、TE11モード成分の電界強度は、導体側で高く、接地容器側に行くほど低くなる。TE21モード成分及びそれより高次のTE31−61モード成分の電界強度は、どの位置でもTE11モード成分の電界強度ほど高くないが、導体側に比べて接地容器側が高い傾向にある。
本出願人は、このようなTEモードによって電界強度分布の差異があるために、異物の付着位置によって前述した時間波形の差異が生じることに着目した。しかし、一般に知られるように時間波形では、周波数の情報は見えにくい。かといってその時間波形を周波数スペクトルに変換してしまうと時間的変化が失われてしまう。そこで、周波数の時間的変化を可視化させ、表示器等に顕著に表現するための第一の方法として、スペクトル分布の時間的変遷に着目した。すなわち、ウェーブレット変換により時間周波数信号を求めて元の時間波形に含まれている時間時間ごとのスペクトルを解析する。
すでに説明したように、500kV定格の密閉電力機器において異物21が接地容器22に付着している場合の電磁波信号の時間波形25は、図2(b)のようになる。この時間波形から周波数成分ごとの時間的変化を表す時間周波数信号を抽出し、これらの時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示すると図9(a)のようになる。
また、500kV定格の密閉電力機器において異物21が導体23に付着している場合の電磁波信号の時間波形35は、図3(b)のようになる。この時間波形から周波数成分ごとの時間的変化を表す時間周波数信号を抽出し、これらの時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示すると図9(b)のようになる。
66kV定格の密閉電力機器において異物21が接地容器22に付着している場合の電磁波信号の時間波形45は、図4(b)のようになる。この時間波形から周波数成分ごとの時間的変化を表す時間周波数信号を抽出し、これらの時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示すると図9(c)のようになる。
66kV定格の密閉電力機器において異物21が導体23に付着している場合の電磁波信号の時間波形55は、図5(b)のようになる。この時間波形から周波数成分ごとの時間的変化を表す時間周波数信号を抽出し、これらの時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示すると図9(d)のようになる。
なお、図9(a)〜図9(d)は、いずれも横軸に時間、縦軸に周波数をとり、各時間における各周波数の成分の大小を当該時間及び周波数を座標とする座標点に色別表示した実際の表示内容を白黒コピーしたものである。図では黒く見える縞模様は実際は種々の色からなり、成分が大きいことを示す色が平面の比較的左上(つまり初期の時間で高周波)の位置を占める。この白黒の図を見ても、濃淡あるいは密集の差から各周波数の成分が各時間にどのくらい存在するかが理解できる。
また、図9(a)〜図9(d)には、TEMモード、各次TEモードを表す線が記入されている。この線の位置に縞模様が重なるならば、当該モードの成分がそこへ表示されているということになる。
図9(a)と図9(b)を比較すると、図9(a)では平面の上辺に左から右まで縞模様が現れている。これは高周波成分が時間的に長く持続して存在することを示している。一方、図9(b)では上辺左に縞模様が偏在している。これは初期の時間に高周波成分が存在するが時間が経つと高周波も低周波も存在しないことを示している。
この相違を踏まえ、本発明の第1の形態では、時間周波数信号の比較的高周波数成分が比較的長く持続するか否かにより、絶縁異常の要因が接地容器側にあるか導体側にあるか判定する。 つまり、図9(a)、図9(b)のような特性が表示部8に表示されるので、上辺に広く縞模様が広がるか上辺左に縞模様が偏在するかにより、異物の付着位置が接地容器であるか導体であるかを直感的に理解することができる。このような理解は図2(b)、図3(b)を見比べた場合より容易である。
定格電圧が低い密閉電力機器から得られた図9(c)と図9(d)を比較すると、異物の付着位置の判定が困難に思われる。図4(b)、図5(b)に示したもとの時間波形45,55を見比べても差異があまりない。しかし、この実験データは、異物21の長さが20mmのとき得たものである。通常の異物は長さ3mm程度である。異物21の長さが短くなると、付着位置による時間波形の差異が大きくなることが分かった(異物長依存性の詳細については後述する)。従って、時間周波数信号の強度変化にもその差異が反映し、例えば、図9(a)、図9(b)の表示のような目視による直感的な判別が可能な特性が表示部8に表示できると思われる。
なお、絶縁異常診断の主たる対象は定格66kV以上の密閉電力機器であるが、このような電圧階級においても、波形の判別の容易さは 図9(a)、図9(b)の例に準じると考える。
以上のように、本発明の第1の形態では、電磁波信号の時間波形から時間周波数信号を抽出するようにしたので、放電要因の違いを視覚的に顕著に表示させることができる。
また、本発明は、ただ1回の放電の発生による電磁波信号を検出しさえすれば、時間周波数信号を抽出することができるので、何回分もの電磁波信号を合成する必要がなく、低頻度の放電に対する診断が可能であり、かつ短時間で診断ができる。
また、従来の周波数スペクトルを見る方法では単発の測定は困難であり、電磁波信号に突発的なノイズが混入してきた場合に、このノイズのスペクトルも本来の電磁波信号のスペクトルと一緒に表示してしまう。本発明では時間周波数信号を求めているので、電磁波信号に突発的なノイズが混入すると、その発生時点のみにノイズのスペクトルが表示される。このような突発的なスペクトルは診断の対象から外すことが容易であるので、対ノイズ性が高いといえる。
また、本発明は、導体に印加されている電圧と電磁波信号との位相関係を必要としないので、装置構成が簡素になると共に、直流機器も対象とすることができる。
次に、本発明の第2の形態を説明する。
絶縁異常診断装置は図1のように構成され、処理部7において第1の形態とは異なり電磁波信号の絶対値を時間経過に沿って積算する。
ここでは、図2(b)、図3(b)の時間波形25,35を例に取る。図2(b)は500kV定格の密閉電力機器において異物21が接地容器22に付着している場合の電磁波信号の時間波形25である。各時点での電圧の絶対値を逐次加算していく。すると、信号強度がプラスでもマイナスでも絶対値が時間経過と共に加算されていくので、信号強度の大きな変化が長く持続することにより、積算値は増加傾向が長く持続する。よって、図10の特性(1)が得られる。
図3(b)は500kV定格の密閉電力機器において異物21が導体23に付着している場合の電磁波信号の時間波形35である。こちらも各時点での電圧の絶対値を逐次加算していく。すると、信号強度の大きな変化は最初に偏っており、その後は信号強度が小さいので、積算値は最初に大きく増加した後はほとんど増加しない。よって、図10の特性(2)が得られる。
図10の特性(1)と特性(2)とを見比べると、いわゆる右肩上がりの特性(1)ならば異物の付着位置が接地容器であり、最初以外には変化が少なく、いわゆる横に寝ているような特性(2)ならば異物の付着位置が導体であるということを容易に判定できる。
次に、異物長依存性について説明する。
図10の元になった時間波形の実験データは、異物21の長さが20mmのとき得たものである。異物21の長さが短くなると、時間波形も違ったものとなり、その結果、積算値の波形も違ってくる。図11にその違いを示す。図11は積算値を最大値で割って規格化してある。図11には、前述の異物長20mmのときの波形と異物長5mmのときの波形が示されている。
付着位置が接地容器の場合、積算値の波形は異物長に左右されずほとんど同一波形となっている。これに対し、付着位置が導体の場合、異物長20mmのときの波形111に比べて異物長5mmのときの波形112の方が増加が少なく、より低く寝ている。従って、異物長5mmのとき、付着位置が接地容器の場合の積算値波形と付着位置が導体の場合の積算値波形との差異はいっそう顕著となる。
本発明の一実施形態を示す絶縁異常診断装置の構成図である。 (a)は密閉電力機器の軸に直角な断面図、(b)は電磁波信号の時間波形図である。 (a)は密閉電力機器の軸に直角な断面図、(b)は電磁波信号の時間波形図である。 (a)は密閉電力機器の軸に直角な断面図、(b)は電磁波信号の時間波形図である。 (a)は密閉電力機器の軸に直角な断面図、(b)は電磁波信号の時間波形図である。 (a)は66kV定格の密閉電力機器の軸に直角な断面図、(b)は(a)と同じスケールで描いた500kV定格の密閉電力機器 の軸に直角な断面図である。 図6の条件に基づいて得られたTEモード成分別の径方向分布図である。 一般的なTEモード成分別の径方向分布図である。 (a)〜(d)は、いずれも時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示した様子を示す図である。 積算値の時間変化特性を示す図である。 積算値(正規化)の時間変化特性を示す図である。
符号の説明
1 アンテナ
2 アンプ
3 フィルタ
4 診断開始判定部
5 波形形成器
6 記録部
7 処理部
8 表示部
9 保存部
10 測定モード選定・測定開始指示部
21 異物
22 接地容器
23 導体

Claims (6)

  1. 高電圧が印加される導体を筒状の接地容器の軸心部に収容した電力機器における絶縁異常診断の方法であって、絶縁異常に起因して発生した電磁波信号の時間波形を検出し、この電磁波信号の時間波形から、この電磁波信号を構成する周波数成分ごとの時間的変化を表す時間周波数信号を抽出し、これらの時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示し、この表示内容から絶縁異常を診断することを特徴とする絶縁異常診断方法。
  2. 上記時間周波数信号の比較的高周波数成分が比較的長く持続するときは、絶縁異常の要因が接地容器側にあり、比較的高周波数成分があまり持続しないときは、絶縁異常の要因が導体側にあると判定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の絶縁異常診断方法。
  3. 高電圧が印加される導体を筒状の接地容器の軸心部に収容した電力機器における絶縁異常診断の方法であって、絶縁異常に起因して発生した電磁波信号の時間波形を検出し、この電磁波信号の絶対値を時間経過に沿って積算し、その積算値の時間的変化を表示し、この表示内容から絶縁異常を診断することを特徴とする絶縁異常診断方法。
  4. 上記積算値の増加が比較的長く持続するときは、絶縁異常の要因が接地容器側にあり、上記積算値の増加があまり持続しないときは、絶縁異常の要因が導体側にあると判定するようにしたことを特徴とする請求項3記載の絶縁異常診断方法。
  5. 高電圧が印加される導体を筒状の接地容器の軸心部に収容した電力機器における絶縁異常を診断する装置において、絶縁異常に起因して発生した電磁波信号の時間波形を検出する電磁波信号検出器と、この電磁波信号の時間波形から、この電磁波信号を構成する周波数成分ごとの時間的変化を表す時間周波数信号を抽出する時間周波数信号抽出器と、これらの時間周波数信号の強度変化を時間軸と周波数軸からなる平面に表示する表示器とを備えたことを特徴とする絶縁異常診断装置。
  6. 高電圧が印加される導体を筒状の接地容器の軸心部に収容した電力機器における絶縁異常を診断する装置において、絶縁異常に起因して発生した電磁波信号の時間波形を検出する電磁波信号検出器と、この電磁波信号の絶対値を時間経過に沿って積算する積算器と、その積算値の時間的変化を表示する表示器とを備えたことを特徴とする絶縁異常診断装置。
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