JP2007113328A - 建築用パネル、床構造体、壁構造体、ドア構造体、屋根構造体 - Google Patents

建築用パネル、床構造体、壁構造体、ドア構造体、屋根構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐水性および耐湿性に優れ、且つ、切断性が向上し現場施工性が良好な建築用パネル、床構造体、壁構造体、ドア構造体、屋根構造体を提供する。
【解決手段】建築用パネル1は内層10と第1外層11と第2外層12とを備える。第1外層11および第2外層12は、木粉と、熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されている。内層10は、第1外層11および第2外層12における木粉の配合比率よりも高い配合比率で配合された木粉と、第1外層11および第2外層12における樹脂材の配合比率よりも低い配合比率で配合され且つ熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は建築用パネル、床構造体、壁構造体、ドア構造体、屋根構造体に関する。
従来、特許文献1には、異種類の廃プラスチックを分離または分別することなく、溶融紡糸して異種類のプラスチック繊維毛を形成し、そのプラスチック繊維毛と、古紙類を解繊して得たセルロース繊維毛とを絡み合わせ、その後、熱圧成形を施すことで、異種類のプラスチックが混在した一体成形体を得る異種プラスチック混合溶融成形体の製造方法が開示されている。
特許文献2には、支持材と、支持材に支持されたコンクリート層と、コンクリート層の上面に支持されたパーチクルボードと、パーチクルボードの上面に設けられたフローリング材とを備える床構造体が開示されている。また、特許文献3には、間柱と、間柱の一端側に接合され室内に近い側の第1の壁体と、間柱の他端側に接合され第1の壁体よりも室内から遠い側の第2の壁体とを備えており、第1の壁体がせっこうボードで形成された壁構造体が開示されている。更にまた、特許文献4には、芯材と、芯材の一端側に接合された第1のドア壁体と、芯材の他端側に接合された第2のドア壁体とを備え、第1のドア壁体および第2のドア壁体が中密度繊維板(MDF)で形成されているドア構造体が開示されている。
特許文献5には、屋根面に設置されるパネル本体と、パネル本体の全面を覆うように固定され一方向に展開可能に設けられた防水性をもつルーフィング材とを有する屋根パネルが開示されている。パネル本体は芯材と面材とを備えている。
特許文献6には、建物の外壁となる壁体と、壁体の外面側に設けられた外装材とを有する外壁構造が開示されている。
特許第3346582号公報 特開2000−54544号公報 特開平6−346550号公報 特開平8−318506号公報 特開平6−129059号公報 特開2001−152566号公報
上記した特許文献1に係る技術によれば、プラスチック成分が成形体の厚み方向に平均的に分散しており、強度、耐水性および耐湿性を確保するためにプラスチック成分を増加させると、過剰に硬化し、切断性が低下する。また、切断性を確保するためにプラスチック成分を減少させると、強度、耐水性および耐湿性が低下する。
特許文献2に係る技術によれば、コンクリート層から放出される水分量が多いときには、パーチクルボードが水分を吸収するため、パーチクルボードの変形量が大きく、フローリング材の継ぎ目が変形するおそれがある。特許文献3に係る技術によれば、せっこうボードは強度が低く、木ねじ等のねじ部材を取り付ける取り付け強度が充分ではない。特許文献4に係る技術によれば、中密度繊維板(MDF)は空気中の水分を吸収して変形するおそれがある。特許文献5,6に係る技術によれば、強度、耐水性および耐湿性の面では必ずしも充分ではない。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、強度、耐水性および耐湿性に優れ、且つ、切断性が向上し現場施工性が良好な建築用パネル、床構造体、壁構造体、ドア構造体、屋根構造体を提供することを課題とする。
(1)様相1の建築用パネルは、板状をなす内層と、前記内層の厚み方向の一方に接合された板状をなす第1外層と、前記内層の厚み方向の他方に接合された板状をなす第2外層とを具備しており、前記第1外層および前記第2外層は、木粉と、熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されており、前記内層は、前記第1外層および前記第2外層における前記木粉の配合比率よりも高い配合比率で配合された木粉と、前記第1外層および前記第2外層における前記樹脂材の配合比率よりも低い配合比率で配合され且つ熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されていることを特徴とするものである。本発明では、樹脂材は熱可塑性樹脂材料を主要成分とする。
ここで本発明によれば、『主要成分とする』とは、樹脂材は熱可塑性樹脂材料のみで形成されていても良いし、場合によっては、熱硬化性樹脂を一部含有しても良いという意味である。なお、熱硬化性樹脂が一部含有される場合には、熱硬化性樹脂は粉砕されていることが好ましい。
様相1によれば、第1外層および第2外層における樹脂材の配合比率は、内層における樹脂材の配合比率よりも高くされているため、第1外層および第2外層においては外部からの水および湿分の浸透が抑制され、従って建築用パネルの耐水性および耐湿性が向上する。更に、樹脂材はバインダとして機能するため、第1外層および第2外層の強度も増加する。
ところで、内層における樹脂材の配合比率を第1外層および第2外層における樹脂材の配合比率と同程度とすることも考えられる。しかしこの場合には建築用パネルが過剰に硬くなり、建築用パネルの切断性が低下するおそれがあり、建築用パネルの現場施工性が低下するおそれがある。この点様相1によれば、内層における木粉の配合比率は、第1外層および第2外層における木粉の配合比率よりも高くされている。即ち、内層における樹脂材の配合比率は、第1外層および第2外層における樹脂材の配合比率よりも低くされている。このため建築用パネルの過剰硬化が抑制され、建築用パネルの切断性が向上し、現場施工性が良好に確保される。
なお様相1によれば、第1外層、第2外層および内層のうちの少なくとも一つは、鉄粉(金属粉)を有する形態を例示することができる。この場合、建築用パネルの比重が増加し、遮音性、減衰性、および耐衝撃性の向上を図り得る。なお木粉の1次粒子の平均サイズは一般的には樹脂材の平均サイズよりも小さいが、場合によっては逆でも良い。必要に応じて、帯電防止剤、着色剤、ガラス繊維等を配合することもできる。
本明細書では、樹脂材としては、廃棄物の樹脂材を粉砕したものを例示できる。木粉としては、木材(新材および木屑を含む)を粉砕したものを例示できる。鉄粉としては、鋳物工場、機械工場等の産業界から廃棄されたものを例示できる。
(2)様相2の建築用パネルは、板状をなす内層と、前記内層の厚み方向の一方に接合された板状をなす第1外層と、前記内層の厚み方向の他方に接合された板状をなす第2外層とを具備しており、前記第1外層および前記第2外層は、木粉と、鉄粉と、熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されており、前記内層は、前記第1外層および前記第2外層における前記木粉の配合比率よりも高い配合比率で配合された木粉と、前記鉄粉と、前記第1外層および前記第2外層における前記樹脂材の配合比率よりも低い配合比率で配合され且つ前記熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されていることを特徴とするものである。
様相2によれば、第1外層および第2外層における樹脂材の配合比率は、内層における樹脂材の配合比率よりも高くされているため、外部からの水および湿分の浸透が抑制され、建築用パネルの耐水性および耐湿性が向上する。更に、樹脂材はバインダとして機能するため、建築用パネルを形成する第1外層および第2外層の強度も増加する。
ところで、内層における樹脂材の配合比率を第1外層および第2外層における樹脂材の配合比率と同程度とすることも考えられる。しかしこの場合には建築用パネルが過剰に硬くなり、建築用パネルの切断性が低下するおそれがあり、建築用パネルの現場施工性が低下するおそれがある。この点様相2によれば、内層における木粉の配合比率は、第1外層および第2外層における木粉の配合比率よりも高くされている。即ち、内層における樹脂材の配合比率は、第1外層および第2外層における樹脂材の配合比率よりも低くされている。このため建築用パネルの過剰硬化が抑制され、建築用パネルの切断性が向上し、現場施工性が良好に確保される。
様相2によれば、金属粉として鉄粉が含まれているため、比重が増加し、遮音性、減衰性、および耐衝撃性の向上を図り得る。なお、鉄粉の平均サイズは一般的には木粉の1次粒子の平均サイズよりも小さいが、場合によっては逆でも良い。
(3)様相3の床構造体は、支持材と、前記支持材に支持されたコンクリート層と、コンクリート層の上面に支持された平板パネルと、前記平板パネルの上面に設けられたフローリング材とを具備する床構造体において、前記平板パネルは、様相1または2に係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とするものである。この場合、上記した作用効果(耐水性、耐湿性、強度、切断性)をバランスよく発揮できる床構造体が得られる。
(4)様相4の壁構造体は、間柱と、前記間柱の一端側に接合され室内に近い側の第1の壁体と、前記間柱の他端側に接合され前記第1の壁体よりも室内から遠い側の第2の壁体とを具備する壁構造体において、前記第1の壁体および前記第2の壁体の一方または双方は、様相1または2に係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とするものである。この場合、上記した作用効果(耐水性、耐湿性、強度、切断性)をバランスよく発揮できる壁構造体が得られる。
(5)様相5の壁構造体は、室外に対面するように立設される外壁材と、前記外壁材の内面側に設けられた下地板部材と、前記下地板部材よりも室内側に設けられた断熱材と、前記外壁材と前記下地板部材との間に介在する防水部材とを具備する壁構造体において、前記下地板部材は、様相1または2に係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とするものである。
この場合、下地板部材はこれの面方向に複数並設され、各下地板部材同士の境界に防水部材が配置されている形態が例示される。上記した建築用パネルは高い防水性をもつ。従って、この建築用パネルで形成された各下地板部材同士の境界のみに防水部材を介在させれば良い。この場合、下地板部材の表面全体に防水部材を配置せずとも良く、施工の簡素化および施工コストの低減を図り得る。
また、外壁材は、外気に面するため雨水に触れる頻度が高い。このため外壁材に近い側の防水力は、外壁材から遠い側よりも要請される。そこで、建築用パネルを構成する第1外層および第2外層のうち、外壁材に近い側の一方は、外壁材から遠い側の他方よりも、樹脂材の配合比率が高い形態が例示される。この場合、外壁材に近い外層は樹脂材の配合比率が高くされているため、防水性を高めることができる。
(6)様相6のドア構造体は、前記芯材と、前記芯材の一端側に接合され室内に近い側の第1のドア壁体と、前記芯材の他端側に接合され前記第1のドア壁体よりも室内から遠い側の第2のドア壁体とを具備するドア構造体において、前記第1のドア壁体および前記第2のドア壁体の一方または双方は、様相1または2に係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とするものである。この場合、上記した作用効果(耐水性、耐湿性、強度、切断性)をバランスよく発揮できるドア構造体が得られる。
(7)様相7の床構造体は、様相1または2に係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とするものである。この場合、上記した作用効果(耐水性、耐湿性、強度、切断性)をバランスよく発揮できる床構造体が得られる。
(8)様相8の屋根構造体は、室外に対面する屋根材と、前記屋根材の内面側に設けられた下地板部材と、前記屋根材と前記下地板部材との間に介在する防水部材とを具備する屋根構造体において、前記下地板部材は、様相1または2に係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とするものである。
この場合、下地板部材はこれの面方向に複数並設され、各下地板部材同士の境界に防水部材が配置されている形態が例示される。上記した建築用パネルは高い防水性をもつ。従って、この建築用パネルで形成された各下地板部材同士の境界のみに防水部材を介在させれば良い。この場合、下地板部材の表面全体に防水部材を配置せずとも良く、施工の簡素化および施工コストの低減を図り得る。
また、屋根材は、雨水に触れる頻度が高い。このため屋根材に近い側の防水力は、屋根材から遠い側よりも要請される。そこで、建築用パネルを構成する第1外層および第2外層のうち、屋根材に近い側の一方は、屋根材から遠い側の他方よりも、樹脂材の配合比率が高い形態が例示される。この場合、屋根材に近い外層は樹脂材の配合比率が高くされているため、防水性を高めることができる。
本発明によれば、耐水性および耐湿性が向上すると共に切断性が向上する建築用パネル、壁構造体、ドア構造体、床構造体、屋根構造体が得られる。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る建築用パネル1を示す。建築用パネル1は、板状をなす内層10と、内層10の厚み方向の一方に接合された板状をなす第1外層11と、内層10の厚み方向の他方に接合された板状をなす第2外層12とを備える。第1外層11は、木粉と、木粉を保持する熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されている。第2外層12は、木粉と、木粉を保持する熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されている。内層10は、木粉と、木粉を保持する熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されている。ここで、内層10における木粉の配合比率は、第1外層11および第2外層12における木粉の配合比率よりも高く設定されている。従って、内層10における樹脂材の配合比率は、第1外層11における樹脂材の配合比率、第2外層12における樹脂材の配合比率よりも低く設定されている。このため建築用パネル1の主要素である内層10の過剰硬化が抑制され、建築用パネル1の切断性が向上する。故に、現場において建築用パネル1の切断性を容易に切断することができる。
換言すると、本実施形態によれば、第1外層11および第2外層12における樹脂材の配合比率は、内層10における樹脂材の配合比率よりも高く設定されている。このため外部の水分が第1外層11および第2外層12に浸透することが抑制され、建築用パネル1の耐水性および耐湿性が向上する。
本実施形態に係る出発原料の配合比率によれば、具体的には、質量%で、第1外層11を100%とするとき、第1外層11では、樹脂材は60〜80%、木粉は20〜40%とされている。また、質量%で、第2外層12を100%とするとき、第2外層12では、樹脂材は60〜80%、木粉は20〜40%とされている。質量%で、内層10を100%とするとき、内層10では、樹脂材は20〜40%、木粉は60〜80%とされている。なお、出発原料の配合比率は、成形後の建築用パネル1の配合比率に相当する。
厚みについては、第1外層11の厚みをT1とし、第2外層12の厚みをT2とし、内層10の厚みをT3とすると、T1=T2=T3とすることができる。またT1≒T2≒T3とすることができる。
建築用パネル1を製造する過程の一例について説明を加える。まず、熱可塑性樹脂材料からなる廃棄物の樹脂材を機械的に粉末状に粉砕した粉砕物と、廃棄物である木屑を機械的に粉末状に粉砕した木粉とを用意する。樹脂材を粉砕した粉砕物は、溶融した後に紡糸処理が施されて繊維化されている。繊維長は1マイクロメートル〜2ミリメートル程度、繊維径は5マイクロメートル〜20マイクロメートル程度とする。樹脂材を繊維化させるのは、三次元的な絡み度合を高めるためである。但し、サイズは上記に限定されるものではない。
そして、繊維化した樹脂材と木粉とを均一に攪拌混合して流動性を有する混合材料を形成する。この混合材料を成形型の吐出口から連続的に押し出し、パネル状をなす未硬化状態の三層構造体を得る。この三層構造体では、第1外層11となる層と、第2外層12となる層と、内層10となる層とが一体的に積層されている。この三層構造体をこれの厚み方向に軽く圧縮させた後、三層構造体に対して、加熱する操作(例えばマイクロ波加熱)と厚み方向に加圧する操作とを施す。三層構造体に含まれている熱可塑性樹脂は加熱されると、軟化して粘性が低下し、最終的には三層構造体の内部において溶融する。流動性を有する樹脂成分は、前記した加圧操作により、三層構造体の内部において効率よく分散される。ここで、木粉の1次粒子は微細であるため、木粉の1次粒子が樹脂成分の流動性を阻害することは防止され、樹脂成分の分散性が良好に確保される。溶融した樹脂材は冷却されると、固化する。このように未硬化の三層構造体の全体が硬化するため、第1外層11の内側表面および第2外層12の内側表面に内層10がそれぞれ密着した三層構造を有する建築用パネル1(図1参照)が得られる。
上記した廃棄物からなる樹脂材としては、熱可塑性樹脂が主要成分であれば特に限定されない。樹脂材としては、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル−スチレン(AS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタート(POM)、酢酸ビニルなどの1種または2種以上が例示される。
以上説明した本実施形態によれば、第1外層11および第2外層12における樹脂材の配合比率は、内層10における樹脂材の配合比率よりも高くされているため、外部からの水分の浸入が抑制され、建築用パネル1の耐水性および耐湿性が向上する。このように第1外層11および第2外層12の樹脂材配合比率は内層10の樹脂材配合比率よりも高いため、建築用パネル1の外郭を形成する第1外層11および第2外層12の強度ひいては硬度が良好に確保される。このため建築用パネル1にねじ等の取付工具(ねじ部材)を取り付けるとき、ねじ等の取付工具(ねじ部材)の取付強度が確保される。
更に製造過程において、配合されているバインダとして機能する樹脂材が一旦溶融した後に固化するため、溶融樹脂の流動による分散が期待でき、建築用パネル1の強度ムラが低減され、建築用パネル1の強度が良好に確保される。また、第1外層11における樹脂材の配合比率と第2外層12における樹脂材の配合比率とは基本的に同じとされているため、建築用パネル1の表面側と裏面側との強度バランスが良好に確保される。故に、使用期間が長くなったとしても、建築用パネル1の反り等の低減に貢献できる。更に第1外層11の厚みT1と第2層の厚みT2とが均等に設定されているため、建築用パネル1の表裏の強度バランスが一層良好に確保され、建築用パネル1の反り等の低減に貢献できる。
ところで、内層10における樹脂材の配合比率を第1外層11および第2外層12における樹脂材の配合比率と同程度とすることも考えられる。しかしこの場合には建築用パネル1が過剰に硬くなり、現場での切断性が低下するおそれがある。この点本実施形態によれば、内層10における木粉の配合比率は、第1外層11および第2外層12における木粉の配合比率よりも高くされている。即ち、内層10における樹脂材の配合比率は、第1外層11および第2外層12における樹脂材の配合比率よりも低くされている。このため建築用パネル1の主要素である内層10の過剰硬化が抑制され、建築用パネル1の切断性が向上し、現場において建築用パネル1を容易に切断することができる。また、厚み方向の中央領域に位置する内層10の過剰硬化が抑制されているため、内層10は第1外層11の変形、第2外層12の変形に対する緩衝作用を奏することができる。
(実施形態2)
図2は実施形態2に係る建築用パネル1を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第1外層11の厚みをT1とし、第2外層12の厚みをT2とし、内層10の厚みをT3とすると、T1=T2>T3またはT1≒T2>T3の関係とされている。なお本明細書ではT1≒T2はT1/T2=0.9〜1.1をいう。このように樹脂材の配合比率が高い第1外層11の厚みT1および第2外層12の厚みT2が内層10の厚みT3よりも相対的に厚くされているため、建築用パネル1の強度、耐水性および耐湿性が一層向上する。
(実施形態3)
図3は実施形態3に係る建築用パネル1を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第1外層11の厚みをT1とし、第2外層12の厚みをT2とし、内層10の厚みをT3とすると、T1=T2<T3、T1≒T2<T3の関係とされている。本実施形態によれば、内層10は第1外層11および第2外層12よりも木粉の配合比率が高く且つ樹脂の配合比率が低い。このような内層10の厚みT3が第1外層11の厚みT1および第2外層12の厚みT2よりも相対的に厚くされているため、耐水性および耐湿性を確保しつつ、建築用パネル1の切断性が向上し、現場施工性が向上する。
(実施形態4)
図4は実施形態4に係る建築用パネル1を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。建築用パネル1は、板状をなす内層10と、内層10の厚み方向の一方に接合された板状をなす第1外層11と、内層10の厚み方向の他方に接合された板状をなす第2外層12とを備える。第1外層11は、木粉と、鉄粉と、熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されている。
また、第2外層12は、木粉と、鉄粉と、熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されている。内層10は、木粉と、鉄粉と、熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されている。
本実施形態に係る配合比率によれば、質量%で、内層10を100%とするとき、内層10では、樹脂材は20〜40%、木粉は40〜50%、鉄粉は10〜30%とされている。質量%で、第1外層11を100%とするとき、第1外層11では、樹脂材は60〜80%、木粉は10%以上で20%未満、鉄粉は30%以下(0%を含まず)とされている。質量%で、第2外層12を100%とするとき、第2外層12では、樹脂材は60〜80%、木粉は10%以上で20%未満、鉄粉は30%以下(0%を含まず)とされている。なお、内層10における鉄粉の配合比率は、第1外層11および第2外層12における鉄粉の配合比率よりも高くされている。上記した鉄粉として鋳造工場などの工場からの廃棄物が利用されている。
本実施形態によれば、前述したように、第1外層11および第2外層12における樹脂材の配合比率は、内層10における樹脂材の配合比率よりも高くされているため、外部からの水分の浸入が抑制され、建築用パネル1の耐水性および耐湿性が向上する。このように第1外層11および第2外層12の樹脂材配合比率は内層10よりも高いため、第1外層11および第2外層12の硬度が確保される。このため建築用パネル1にねじ等の取付工具(ねじ部材)を取り付けるとき、ねじ等の取付工具(ねじ部材)の取付強度が確保される。
更に製造過程において、配合されているバインダとして機能する樹脂材が一旦溶融した後に固化しているため、溶融樹脂の流動による分散が期待でき、建築用パネル1の強度が良好に確保される。また、第1外層11における樹脂材の配合比率と第2外層12における樹脂材の配合比率とは基本的に同じとされているため、建築用パネル1の表裏の強度バランスが良好に確保され、建築用パネル1の反り等の低減に貢献できる。更に第1外層11の厚みT1と第2層の厚みT2とが均等に設定されているため、建築用パネル1の表裏の強度バランスが一層良好に確保され、建築用パネル1の反り等の低減に貢献できる。
また、内層10における樹脂材の配合比率を第1外層11および第2外層12における樹脂材の配合比率と同程度とすることも考えられる。しかしこの場合には建築用パネル1が過剰に硬くなり、現場での切断性が低下するおそれがある。この点本実施形態によれば、内層10における木粉の配合比率は、第1外層11および第2外層12における木粉の配合比率よりも高くされている。即ち、内層10における樹脂材の配合比率は、第1外層11および第2外層12における樹脂材の配合比率よりも低くされている。このため建築用パネル1の主要素である内層10の過剰硬化が抑制され、建築用パネル1の切断性が向上し、現場において建築用パネル1を容易に切断することができる。
本実施形態によれば、内層10における木粉の配合比率は、第1外層11および第2外層12における木粉の配合比率よりも高く設定されている。即ち、内層10において、熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材の配合比率は、第1外層11における樹脂材の配合比率、第2外層12における樹脂材の配合比率よりも低く設定されている。このため建築用パネル1の主要素である内層10の過剰硬化が抑制され、建築用パネル1の切断性が向上する。故に、現場において、建築用パネル1の切断性を容易に切断することができる。
更に本実施形態によれば、建築用パネル1を構成する第1外層11、第2外層12および内層10に鉄粉が含まれているため、建築用パネル1の比重が増加し、遮音性、減衰性、および耐衝撃性の向上を図り得る。殊に、内層10における鉄粉の配合比率は、第1外層11における鉄粉の配合比率および第2外層12における鉄粉の配合比率よりも高くされているため、内層10の比重が増加し、内層10における遮音性、減衰性、および耐衝撃性が向上する。
(実施形態5)
図5は実施形態5に係る建築用パネル1を示す。本実施形態は実施形態4と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第1外層11の厚みをT1とし、第2外層12の厚みをT2とし、内層10の厚みをT3とすると、T1=T2>T3、T1≒T2>T3とされている。このように樹脂材の配合比率が高い第1外層11および第2外層12の厚みT1,T2が内層10の厚みT3よりも相対的に厚くされているため、建築用パネル1の強度、耐水性および耐湿性が向上する。更に建築用パネル1に鉄粉が含まれているため、建築用パネル1の比重が増加し、建築用パネル1の遮音性、減衰性および耐衝撃性が向上する。
(実施形態6)
図6は実施形態6に係る建築用パネル1を示す。本実施形態は実施形態4と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第1外層11の厚みをT1とし、第2外層12の厚みをT2とし、内層10の厚みをT3とすると、T1=T2<T3、T1≒T2<T3の関係とされている。樹脂材の配合比率が低く且つ木粉の配合比率が高い内層10の厚みT3が相対的に厚くされているため、建築用パネル1の切断性が向上し、現場施工性が向上する。建築用パネル1に鉄粉が含まれているため、建築用パネル1の比重が増加し、建築用パネル1の遮音性、減衰性、および耐衝撃性が向上する。
(実施形態7)
本実施形態は実施形態4〜6と基本的には同様の構成、作用効果を有する。従って本実施形態は図4〜図6を準用できる。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態によれば、建築用パネル1を構成する第1外層11、第2外層12および内層10にそれぞれ鉄粉が含まれているため、建築用パネル1の比重が増加し、遮音性、減衰性、および耐衝撃性が向上する。殊に、第1外層11および第2外層12における鉄粉の配合比率は、内層10における鉄粉の配合比率よりも高くされているため、第1外層11および第2外層12の比重が増加し、第1外層11および第2外層12における遮音性、減衰性、および耐衝撃性が向上する。
(実施形態8)
本実施形態は実施形態4〜6と基本的には同様の構成、作用効果を有する。従って本実施形態は図4〜図6を準用できる。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態によれば、建築用パネル1を構成する内層10には鉄粉が含まれているため、比重が増加し、遮音性、減衰性、および耐衝撃性が向上する。しかしながら第1外層11および第2外層12には鉄粉が含まれていないか、あるいは、第1外層11および第2外層12に鉄粉が含まれているとしても、その配合比率は内層10における鉄粉の配合比率よりも低くされている。
このように第1外層11および第2外層12には鉄粉が含まれていないか、配合比率が内層10よりも少ない。このため、鉄粉が建築用パネルの表面に表出することが抑制され、水分または湿分が多い環境において建築用パネル1が使用されるときであっても、鉄粉の腐食が抑制される。
(実施形態9)
本実施形態は実施形態4〜8と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施形態によれば、予め、熱可塑性の溶融樹脂と鉄粉とを混合する操作を行ない、鉄粉の表面を樹脂で被覆し、樹脂被覆鉄粉を形成する。その後、この樹脂被覆鉄粉と樹脂廃材の樹脂材と木粉とを混合し、同様な製法で建築用パネル1を形成する。本実施形態によれば、鉄粉の表面を樹脂が覆う度合が増加するため、水分および湿分が多い環境で建築用パネル1が使用されるときであっても、鉄粉の腐食が防止される。
(実施形態10)
図7は建築物等の構造物に使用される床構造体を示す。床構造体は、横断面でI型をなす鋼材で形成した支持材50と、支持材50に支持されたコンクリート層52と、コンクリート層52の上面に支持された平板パネル54と、パネル54の上面54uに設けられたフローリング材56とを備える。平板パネル54は、上記した実施形態1〜9のうちのいずれかに係る建築用パネル1で形成されている。前述したように建築用パネル1は強度、耐水性および耐湿性が高いため、寸法安定性が高く、水分による反り等の変形が抑制される。このためコンクリート層52から放出される水分が多いときであっても、フローリング材56の反り等の変形が抑制される。更に切断性が良好であるため、施工性が確保される。建築用パネル1が鉄粉を含む場合には、床構造体における遮音性、減衰性の改善を期待できる。
なお、コンクリート層52から放出される水分が多いときには、建築用パネル1を構成する第1外層11および第2外層12のうち、コンクリート層52に近い側の一方は、コンクリート層52から遠い側の他方よりも、樹脂材の配合比率を高く設定することにしても良い。
また、室内に面するフローリング材56は、水に触れる頻度が高い。そこで、場合によっては、建築用パネル1を構成する第1外層11および第2外層12のうち、フローリング材56に近い側の一方は、フローリング材56から遠い側の他方よりも、樹脂材の配合比率を高く設定することにしても良い。この場合、第1外層11および第2外層12のうちフローリング材56に近い側は、樹脂材の配合比率が高くされているため、防水性を高めることができる。勿論、第1外層11および第2外層12において樹脂材の配合比率を同程度としても良い。
(実施形態11)
図8は建築物等の構造物に使用される壁構造体を示す。壁構造体は、間柱60と、間柱60の一端側に接合され室内に近い側の第1の壁体62と、間柱60の他端側に接合され第1の壁体62よりも室内から遠い側の第2の壁体64とを備える。第1の壁体62および第2の壁体64の双方は、上記した実施形態1〜9のうちのいずれかに係る建築用パネル1で形成されている。前述したようにこの建築用パネル1では、第1外層11および第2外層12の樹脂材配合比率は内層10の樹脂材配合比率よりも高いため、第1外層11および第2外層12の強度および硬度が確保され、高いねじ保持力をもつ。従って、ねじ等の取付工具(ねじ部材)を用いて手すり等を第1の壁体62に取り付けるとき、ねじ等の取付工具(ねじ部材)の取付強度が確保され、一般に第1の壁体62の裏面に配設される補強桟の簡素化または廃止を図り得る。更に切断性が良好であるため、施工性が確保される。建築用パネル1が鉄粉を含む場合には、壁構造体における遮音性、減衰性の改善を期待できる。
(実施形態12)
図9は建築物等の構造物に使用されるドア構造体を示す。ドア構造体は、芯材70と、芯材70の一端側に接合された第1のドア壁体72と、芯材70の他端側に接合された第2のドア壁体74とを備える。第1のドア壁体72および第2のドア壁体74の双方は、上記した実施形態1〜9のうちのいずれかに係る建築用パネル1で形成されている。この建築用パネル1は強度、耐水性および耐湿性が高いため、空気中の水分および湿分による反り等の変形が抑制される。更に切断性が良好であるため、施工性が確保される。建築用パネル1が鉄粉を含む場合には、ドア構造体における遮音性、減衰性の改善を期待できる。
(実施形態13)
図10は別の床構造体を示す。床構造体は、フローリング材80と、フローリング材80の上面80uに接合された表皮材82とを備える。フローリング材80は、上記した実施形態1〜9のうちのいずれかに係る建築用パネル1で形成されている。前述したようにこの建築用パネル1は強度、耐水性および耐湿性が高いため、空気中の水分および湿分による反り等の変形が抑制される。更に切断性が良好であるため、施工性が確保される。建築用パネル1が鉄粉を含む場合には、床構造体における遮音性、減衰性の改善を期待できる。
(実施形態14)
図11(A)は従来技術に係る外壁用の壁構造体の一部を示す。従来技術に係る壁構造体は、室外WAに対面するように立設された外壁材84と、外壁材84の内面側に設けられた下地板部材85と、下地板部材85よりも室内側に設けられた第1断熱材(ロックウール又はガラスウール)86と、第1断熱材86の内側に配置された第2断熱材(せっこうボート)87と、外壁材84と下地板部材85との間に介在する防水部材88とを備えている。外壁材84の下地となる下地板部材85を雨水から防水するため、下地板部材85の全面領域にシート状の防水部材88が使用されていた。また胴縁89(合板)は、防水部材88と外壁材84との間に介在しているが、防水されていないため、雨水による腐食劣化が進行するおそれがある。
そこで、図11(B)に示す本実施形態に係る外壁用の壁構造体が開発されている。この外壁用の壁構造体は建築物等の構造物に使用されるものであり、室外WAに対面するように鉛直方向に沿って立設された外壁材84と、外壁材84の内面側に設けられた下地板部材85Bと、下地板部材85Bよりも室内側に設けられた第1断熱材(ロックウール又はガラスウール)86と、第1断熱材86の内側に配置された第2断熱材(せっこうボート)87と、外壁材84と下地板部材85Bとの間に介在する防水部材88とを備えている。
下地板部材85Bは、上記した実施形態1〜9のうちのいずれかに係る建築用パネル1で形成されている。前述したようにこの建築用パネル1は強度、耐水性および耐湿性が高いため、空気中の水分および湿分による反り等の変形が抑制される。更に切断性が良好であるため、施工性が確保される。建築用パネル1が鉄粉を含む場合には、壁構造体における遮音性、減衰性の改善を期待できる。
上記した壁構造体の構築にあたり、下地板部材85Bはこれの面方向に複数並設されるものである(なお、図11(B)は、1枚の下地板部材85B付近を示し、他の下地板部材85Bの部分を省略している)。下地板部材85Bの継ぎ目領域を形成する端領域85e同士の境界には、防水部材88が配置されている。上記したように建築用パネル1は高い防水性をもつ。従って、この建築用パネル1で形成された下地板部材85Bは高い防水性をもつ。故に、下地板部材85Bの防水施工に当たり、図11(B)に示すように、複数の下地板部材85B同士の継ぎ目領域を形成する端領域85eの境界のみに、防水部材88を設ければよい。この結果、図11(A)に示す従来技術とは異なり、下地板部材85Bの中央領域85mと外壁材84の中央領域84mとの間には、防水部材88を配置せずとも良く、施工の簡素化および施工コストの低減を図り得る。
また胴縁89Bは、上記した実施形態1〜9のうちのいずれかに係る高い防水性をもつ建築用パネル1で形成されている。従って、胴縁89Bは、防水部材88と外壁材84の端領域84eと下地板部材85Bの端領域85eとの間に介在しているが、高い防水性をもつため、雨水による腐食劣化が抑制され、外壁構造の長寿命化を図り得る。
また、外壁材84は、雨水に触れる頻度が高い。このため外壁材84に近い側の防水力は、外壁材84から遠い側よりも要請される。そこで、下地板部材85Bに相当する建築用パネル1を構成する第1外層11および第2外層12のうち、外壁材84に近い側の一方は、外壁材84から遠い側の他方よりも、樹脂材の配合比率を高く設定することができる。この場合、第1外層11および第2外層12のうち外壁材84に近い側は、樹脂材の配合比率が高くされているため、防水性を高めることができる。
また、外壁用の壁構造体において、金属粉である鉄粉が配合されている建築用パネル1が用いられている場合には、比重が確保されるため、振動低減、減衰性向上などに貢献できる。金属粉である鉄粉が配合されている建築用パネル1が用いられている場合には、第1外層11および第2外層12のうち、外壁材84に近い側の一方は、外壁材84から遠い側の他方よりも、金属粉である鉄粉の配合比率を低く(0%も含む)設定することができる。
(実施形態15)
図12(A)は従来技術に係る屋根構造体を示す。従来技術に係る屋根構造体は、室外WAに対面するように配設された屋根材94と、屋根材94の内面側に設けられた下地板部材95とを備えている。屋根材94の下地となる下地板部材95を雨水から防水するため、下地板部材95の全面領域にシート状の防水部材(ルーフィング材)98が使用されていた。
そこで、図12(B)に示す本実施形態に係る屋根構造体が開発されている。この屋根構造体は建築物等の構造物に使用されるものであり、室外WAに対面するように配設された屋根材94と、屋根材94の内面側に設けられた下地板部材95Bと、屋根材94と下地板部材95Bとの間に介在する防水部材(ルーフィング材)98とを備えている。
下地板部材95Bは、上記した実施形態1〜9のうちのいずれかに係る建築用パネル1で形成されている。前述したようにこの建築用パネル1は強度、耐水性および耐湿性が高いため、空気中の水分および湿分による反り等の変形が抑制される。更に切断性が良好であるため、施工性が確保される。建築用パネル1が鉄粉を含む場合には、屋根構造体における雨音等の遮音性、減衰性の改善を期待できる。
上記した屋根構造体の構築にあたり、下地板部材95Bはこれの面方向に複数並設されるものである(なお、図12(B)は、1枚の下地板部材95B付近を示し、他の下地板部材95Bを省略している)。複数の下地板部材95Bの継ぎ目領域を形成する端領域95e同士の境界には、防水部材98が配置される。
上記したように建築用パネル1は高い防水性をもつ。従って、この建築用パネル1で形成された下地板部材95Bは高い防水性をもつ。故に、図12(B)に示すように、下地板部材95Bの継ぎ目領域を形成する端領域95eの境界のみに、防水部材98を設ければよい。この結果、図12(A)に示す従来技術とは異なり、下地板部材95Bの中央領域95mと屋根材94の中央領域94mとの間には、防水部材98を配置せずとも良く、施工の簡素化および施工コストの低減を図り得る。
また、屋根材94は、雨水に触れる頻度が高い。このため屋根材94に近い側の防水力は、屋根材94から遠い側よりも要請される。そこで、下地板部材95Bに相当する建築用パネル1を構成する第1外層11および第2外層12のうち、屋根材94に近い側の一方は、屋根材94から遠い側の他方よりも、樹脂材の配合比率を高く設定することができる。この場合、第1外層11および第2外層12のうち屋根材94に近い側は、樹脂材の配合比率が高くされているため、防水性を高めることができる。
また、屋根構造体において、金属粉である鉄粉が配合されている建築用パネル1が用いられている場合には、比重が確保されるため、振動低減、減衰性向上などに貢献できる。ここで、建築用パネル1を構成する第1外層11および第2外層12のうち、屋根材94に近い側の一方は、屋根材94から遠い側の他方よりも、金属粉である鉄粉の配合比率を低く(0%も含む)設定することができる。
(試験例)
実施形態1および実施形態4に係る建築用パネル1について試験片を作成し、試験を行った。耐水性についてはJIS A1437に準じて測定した。耐水性の%の数値は少ない方が好ましい。木ねじ保持力についてはJIS B1112に準じて測定した。木ねじ保持力は大きい方が好ましい。比重についてはJIS Z9807に準じて測定した。
実施形態1に係る建築用パネル1の試験片については、内層10では質量%で樹脂材40%、木粉60%とされている。
第1外層11では質量%で樹脂材70%、木粉30%とした。第2外層12では質量%で樹脂材70%、木粉30%とした。第1外層11の厚みT1は2ミリメートル、第2外層12の厚みT2は2ミリメートル、内層10の厚みT3は8ミリメートルとした。実施形態4に係る建築用パネル1の試験片については、内層10では質量%で樹脂材40%、木粉40%、鉄粉20%とした。第1外層11では質量%で樹脂材70%、木粉18%、鉄粉12%とされている。第2外層12では質量%で樹脂材70%、木粉18%、鉄粉12%とした。第1外層11の厚みT1は2ミリメートル、第2外層12の厚みT2は2ミリメートル、内層10の厚みT3は8ミリメートルとした。
更に比較形態としてパーティクルボード(厚み12ミリメートル)、せっこうボード(厚み12ミリメートル)および中密度繊維板(MDF,厚み12ミリメートル)についても同様に試験を行った。試験結果を表1に示す。表1に示すように、実施形態1および4共に、耐水性および木ねじ保持力が良好であり、比重も比較形態よりも高かった。
Figure 2007113328
更に、実施形態1に係る建築用パネル1および従来品を用い、実施形態10に係る床構造体、実施形態11に係る壁構造体、実施形態12に係るドア構造体を組み付け、試験を行った。同様に、実施形態4の建築用パネル1および従来品を用い、実施形態10に示す床構造体、実施形態11に係る壁構造体、実施形態12に係るドア構造体を組み付け、同様に試験を行った。ここで、従来品として表1に示したパーティクルボード、せっこうボード、中密度繊維板を用いた。試験結果を表2に示す。遮音特性はJIS A1417、JIS A1416に準じて試験した。木ねじ保持力については、JIS B1112に準じて試験した。表2に示すように、実施形態1の建築用パネル、実施形態4の建築用パネルを用いたときには、変形量が小さく、木ねじ保持力、遮音特性も良好であった。
Figure 2007113328
(他の実施形態)
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。例えば、三層構造体に対する加熱操作としてはマイクロ波加熱に限らず、電気ヒータによる加熱などが例示される。
本発明に係る建築用パネルは、床構造体、壁構造体、ドア構造体、屋根構造体等に利用される。
実施形態1に係る建築用パネルの断面図である。 実施形態2に係る建築用パネルの断面図である。 実施形態3に係る建築用パネルの断面図である。 実施形態4に係る建築用パネルの断面図である。 実施形態5に係る建築用パネルの断面図である。 実施形態6に係る建築用パネルの断面図である。 実施形態10に係る床構造体の構成図である。 実施形態11に係る壁構造体の構成図である。 実施形態12に係るドア構造体の構成図である。 実施形態13に係る床構造体の構成図である。 (A)は従来技術に係る壁構造体の構成図であり、(B)は実施形態14に係る壁構造体の構成図である。 (A)は従来技術に係る屋根構造体の構成図であり、(B)は実施形態15に係る屋根構造体の構成図である。
符号の説明
1は建築用パネル、10は内層、11は第1外層、12は第2外層、50は支持材、52はコンクリート層、54は平板パネル54,56はフローリング材、60は間柱、62は第1の壁体、64は第2の壁体、70は芯材、72は第1のドア壁体、74は第2のドア壁体、80はフローリング材、82は表皮材、84は外壁材、85Bは下地材部材、88は防水部材、94は屋根材、95Bは下地材部材、98は防水部材を示す。

Claims (19)

  1. 板状をなす内層と、前記内層の厚み方向の一方に接合された板状をなす第1外層と、前記内層の厚み方向の他方に接合された板状をなす第2外層とを具備しており、
    前記第1外層および前記第2外層は、木粉と、熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されており、
    前記内層は、前記第1外層および前記第2外層における前記木粉の配合比率よりも高い配合比率で配合された木粉と、前記第1外層および前記第2外層における前記樹脂材の配合比率よりも低い配合比率で配合され且つ熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されていることを特徴とする建築用パネル。
  2. 請求項1において、配合比率としては、質量%で、前記第1外層を100%とするとき、前記第1外層では、前記樹脂材は60〜80%、前記木粉は20〜40%とされており、
    前記第2外層を100%とするとき、前記第2外層では、前記樹脂材は60〜80%、前記木粉は20〜40%とされており、
    前記内層を100%とするとき、前記内層では、前記樹脂材は20〜40%、前記木粉は60〜80%とされていることを特徴とする建築用パネル。
  3. 請求項1または2において、前記第1外層、前記第2外層および前記内層のうちの少なくとも一つは、鉄粉を有することを特徴とする建築用パネル。
  4. 板状をなす内層と、前記内層の厚み方向の一方に接合された板状をなす第1外層と、前記内層の厚み方向の他方に接合された板状をなす第2外層とを具備しており、
    前記第1外層および前記第2外層は、木粉と、鉄粉と、熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されており、
    前記内層は、前記第1外層および前記第2外層における前記木粉の配合比率よりも高い配合比率で配合された木粉と、前記鉄粉と、前記第1外層および前記第2外層における前記樹脂材の配合比率よりも低い配合比率で配合され且つ熱可塑性樹脂材料を主要成分とする樹脂材とを基材として形成されていることを特徴とする建築用パネル。
  5. 請求項4において、前記内層における前記鉄粉の配合比率は、前記第1外層における前記鉄粉の配合比率および前記第2外層における前記鉄粉の配合比率よりも高くされていることを特徴とする建築用パネル。
  6. 請求項4または5において、質量%で、前記第1外層を100%とするとき、第1外層では、前記樹脂材は60〜80%、前記木粉は10%以上で20%未満、前記鉄粉は30%以下(0%を含まず)とされており、
    前記第2外層を100%とするとき、前記第2外層では、前記樹脂材は60〜80%、前記木粉は10%以上で20%未満、前記鉄粉は30%以下(0%を含まず)とされており、
    前記内層を100%とするとき、前記内層では、前記樹脂材は20〜40%、前記木粉は40〜50%、前記鉄粉は10〜30%とされていることを特徴とする建築用パネル。
  7. 請求項1〜6のうちのいずれか一項において、前記木粉および前記樹脂材は廃棄物であることを特徴とする建築用パネル。
  8. 支持材と、前記支持材に支持されたコンクリート層と、コンクリート層の上面に支持された平板パネルと、前記平板パネルの上面に設けられたフローリング材とを具備する床構造体において、
    前記平板パネルは、請求項1〜7のうちのいずれかに係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とする床構造体。
  9. 請求項8において、建築用パネルを構成する前記第1外層および前記第2外層のうち、前記コンクリート層に近い側の一方は、前記コンクリート層から遠い側の他方よりも、樹脂材の配合比率を高く設定していることを特徴とする床構造体。
  10. 請求項8において、建築用パネルを構成する前記第1外層および前記第2外層のうち、前記フローリング材に近い側の一方は、前記フローリング材から遠い側の他方よりも、樹脂材の配合比率を高く設定していることを特徴とする床構造体。
  11. 間柱と、前記間柱の一端側に接合され室内に近い側の第1の壁体と、前記間柱の他端側に接合され前記第1の壁体よりも室内から遠い側の第2の壁体とを具備する壁構造体において、
    前記第1の壁体および前記第2の壁体の一方または双方は、請求項1〜7のうちのいずれかに係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とする壁構造体。
  12. 室外に対面するように立設される外壁材と、前記外壁材の内面側に設けられた下地板部材と、前記下地板部材よりも室内側に設けられた断熱材と、前記外壁材と前記下地板部材との間に介在する防水部材とを具備する壁構造体において、
    前記下地板部材は、請求項1〜7のうちのいずれかに係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とする外壁用の壁構造体。
  13. 請求項12において、前記下地板部材はこれの面方向に複数並設され、各前記下地板部材同士の境界に前記防水部材が配置されていることを特徴とする外壁用の壁構造体。
  14. 請求項12または13において、前記建築用パネルを構成する前記第1外層および前記第2外層のうち、前記外壁材に近い側の一方は、前記外壁材から遠い側の他方よりも、前記樹脂材の配合比率が高いことを特徴とする外壁用の壁構造体。
  15. 請求項1〜7のうちのいずれかに係る前記建築用パネルで形成されている床構造体。
  16. 芯材と、前記芯材の一端側に接合され室内に近い側の第1のドア壁体と、前記芯材の他端側に接合され前記第1のドア壁体よりも室内から遠い側の第2のドア壁体とを具備するドア構造体において、前記第1のドア壁体および前記第2のドア壁体の一方または双方は、請求項1〜7のうちのいずれかに係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とするドア構造体。
  17. 室外に対面する屋根材と、前記屋根材の内面側に設けられた下地板部材と、前記屋根材と前記下地板部材との間に介在する防水部材とを具備する壁構造体において、前記下地板部材は、請求項1〜7のうちのいずれかに係る前記建築用パネルで形成されていることを特徴とする屋根構造体。
  18. 請求項17において、前記下地板部材はこれの面方向に複数並設され、各前記下地板部材同士の境界に前記防水部材が配置されていることを特徴とする屋根構造体。
  19. 請求項17または18において、前記建築用パネルを構成する前記第1外層および前記第2外層のうち、前記屋根材に近い側の一方は、前記屋根材から遠い側の他方よりも、前記樹脂材の配合比率が高いことを特徴とする屋根構造体。
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JP2018012976A (ja) * 2016-07-21 2018-01-25 フクビ化学工業株式会社 デッキ材およびこれを用いたデッキ構造
CN114319707A (zh) * 2021-08-30 2022-04-12 上海纤苏新材料科技有限公司 一种纤塑型材装配式墙体及其制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018012976A (ja) * 2016-07-21 2018-01-25 フクビ化学工業株式会社 デッキ材およびこれを用いたデッキ構造
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