JP2007112711A - チタンシリコンカーバイド焼結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チタン(Ti)、炭化珪素(SiC)、炭化チタン(TiC)の混合粉末をパルス通電加圧焼結することにより得られ、結晶粒径が10μm以下であり、炭化チタン(TiC)含有量が8wt%以下であることを特徴とするチタンシリコンカーバイド焼結体。
【選択図】図1
Description
現在、航空宇宙分野や高効率ガスタービン・エンジンなどにおいては超合金や、グラファト、炭化珪素、窒化珪素、サイアロンなどのセラミックスが用いられているが、超合金では耐熱性が劣り、セラミックスの場合は加工性が悪いことが実用上の問題となっている。
しかし、この均質化熱処理後も、なおセラミックである炭化チタン(TiC)相が残留して性質が劣化することが問題となっている。
また、1987年に後藤らによって、SiCl4、TiCl2、H2ガスを使ったCVDで厚膜状のチタンシリコンカーバイドが合成された。
前者は高温による合成が必要であり、後者は高純度の材料が得られるがバルク状の材料が得られないという問題がある。
最近高温において粉末法による種種の焼結プロセスによってチタンシリコンカーバイドを合成する方法が報告されており、主として以下のような反応によるものである:
(1)3Ti+Si+2C → Ti3SiC2
(2)3Ti+SiC+C → Ti3SiC2
上記反応(1)は多数の研究者によってTi/Si/C混合粉末から焼結成形することが試みられたものである。
この場合、高温・長時間の加熱焼結のために効率が悪く、エネルギー消費が多い。通常、結晶粒径が粗大化して不均一組織となり、特性が劣化している。
2.パルス通電加圧焼結により得られた上記1記載のチタンシリコンカーバイド焼結体。
3.相対密度99%以上であることを特徴とする上記1又は2記載のチタンシリコンカーバイド焼結体。
4.チタン(Ti)、炭化珪素(SiC)、炭化チタン(TiC)の混合粉末をパルス通電加圧焼結することを特徴とするチタンシリコンカーバイド焼結体の製造法。
5.焼結温度1250〜1450°C、焼結時間3分〜120分で、固相反応によりチタンシリコンカーバイドを合成することを特徴とする上記4記載のチタンシリコンカーバイド焼結体の製造法。
6.焼結温度1300〜1400°C、焼結時間15分〜60分で、固相反応によりチタンシリコンカーバイドを合成することを特徴とする上記4記載のチタンシリコンカーバイド焼結体の製造法。
7.焼結後の結晶粒径が10μm以下であり、炭化チタン(TiC)含有量が8wt%以下であることを特徴とする上記4〜6のそれぞれに記載のチタンシリコンカーバイド焼結体の製造法。
8.相対密度99%以上であることを特徴とする請求項4〜7のそれぞれに記載のチタンシリコンカーバイド焼結体の製造方法。
に関する。
これによって得られたチタンシリコンカーバイド焼結体は、結晶粒径が 10μm以下、炭化チタン(TiC)含有量が8wt%以下であり、また相対密度が99%である均一な組織の優れた特性を有するチタンシリコンカーバイド焼結体が得られる。
この混合粉末をグラファイトダイスに装入して、パルス通電加圧焼結装置によって固化成形する。焼結は真空において実施し、焼結温度は1250°Cから1450°Cの範囲で行う。
焼結温度は1250°C未満では焼結が十分でなく、未反応の炭化チタン(TiC)が多量に存在するので好ましくない。また、焼結温度が1450°Cを超えると結晶粒が粗大化し、エネルギーの消費量も増すので無駄である。より好ましい焼結温度は、焼結温度1300〜1400°Cである。
焼結の際、油圧によって20〜100MPaの圧力を加える。以上の工程によって、相対密度99%以上のチタンシリコンカーバイドが得られる。20MPa未満では、緻密なチタンシリコンカーバイド組織が得られ難い。また、100MPaを超える圧力を加えても密度の向上はなく、それ以上の加圧は無駄である。
まず原料として用いられるチタン粉末57.7wt%、炭化珪素粉末 24.2wt%および炭化チタン粉末18.1wt%をアルゴン雰囲気の容器で24時間を混合した。これらの粉末は、目的とするチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)の単一相になるように配合したものである。
この混合粉末をグラファイトダイスに装入して、パルス通電加圧焼結装置によって焼結した。焼結は真空において実施し、焼結温度1250°C、1300°C、1350°C、1400°C、1450°Cの5段階の範囲で、それぞれ15分間の焼結を実施した。
また、同様の混合粉末について、焼結温度1350°Cに設定し、焼結時間15分間、30分間、60分間、120分間の4段階に分けて焼結を実施した。焼結の際、油圧によって50MPaの圧力を加えた。これによって、いずれの焼結体も相対密度99%以上のものが得られた。
図1は焼結温度1250°C、1300°C、1350°C、1400°C、1450°Cの5段階の温度において、それぞれ15分間焼結したチタンシリコンカーバイド焼結体のX線回折パターンを示す。
また、図2は焼結温度1350°Cに設定し、焼結時間15分間、30分間、60分間、120分間の4段階に分けて焼結を実施した場合のチタンシリコンカーバイド焼結体のX線回折パターンを示す。
両図ともに金属性セラッミクチタンシリコンカーバイド焼結体(Ti3SiC2)(図中において「TSC」と表記)のピークが全焼結体において最強であることが分かる。しかし、図1及び図2において、少量の炭化チタン(TiC)のピークも見られる。
図3に示すように、焼結温度1350°C付近で最も炭化チタン(TiC)の含有量が低く約8wt%である。焼結時間を延長すると未反応炭化チタン(TiC)は減少すると考えられる。
しかし、図4に示すように、焼結温度を1250〜1350°Cの範囲で保持時間を延長しても炭化チタン(TiC)の含有量はほとんど低下していない。言い換えれば、15〜60分間ほどの短い焼結時間で充分反応を完成させる可能性を示唆している。
焼結温度の上昇、例えば1350°Cでの焼結によって、チタンシリコンカーバイド組織の中の炭化チタン(TiC)の量が減少し、結晶粒径が10μm以下の均一な組織になる。
このチタンシリコンカーバイド組織を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図5に示す。この図5に示すように、10μm以下の微細な結晶粒径をもつ均一が組織が得られているのが分かる。さらに、この温度で焼結時間を延長していくと、結晶粒が徐々に大きくなり、粗大化していく傾向にある。
比較のために、従来技術であるTi粉、Si粉及びC粉を用いて、実施例1と同様に混合し、この混合粉末をグラファイトダイスに装入して、パルス通電加圧焼結装置により、真空下、焼結温度1350°Cで15分間の焼結を実施した。反応は次の式で進む。
3Ti+Si+2C→Ti3SiC2
これによってチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)を得たが、該チタンシリコンカーバイド中に炭化チタン(TiC)が多量に含有されており、X線回折分析により、その含有量は41wt%に達した。このような炭化チタン(TiC)相の残留は、チタンシリコンカーバイドの性質を著しく劣化させるものである。
比較のために、従来技術であるTi粉、SiC粉及びC粉を用いて、実施例1と同様に混合し、この混合粉末をグラファイトダイスに装入して、パルス通電加圧焼結装置により、真空下、焼結温度1350°Cで15分間の焼結を実施した。反応は次の式で進む。
3Ti+SiC+C→Ti3SiC2
これによってチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)を得たが、該チタンシリコンカーバイド中に炭化チタン(TiC)が多量に含有されており、X線回折分析により、その含有量は39wt%に達した。このような炭化チタン(TiC)相の残留は、比較例1と同様にチタンシリコンカーバイドの性質を著しく劣化させるものである。
Claims (8)
- 結晶粒径が10μm以下であり、炭化チタン(TiC)含有量が8wt%以下であることを特徴とするチタンシリコンカーバイド焼結体。
- パルス通電加圧焼結により得られた請求項1記載のチタンシリコンカーバイド焼結体。
- 相対密度99%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のチタンシリコンカーバイド焼結体。
- チタン(Ti)、炭化珪素(SiC)、炭化チタン(TiC)の混合粉末をパルス通電加圧焼結することを特徴とするチタンシリコンカーバイド焼結体の製造法。
- 焼結温度1250〜1450°C、焼結時間3分〜120分で、固相反応によりチタンシリコンカーバイドを合成することを特徴とする請求項4記載のチタンシリコンカーバイド焼結体の製造法。
- 焼結温度1300〜1400°C、焼結時間15分〜60分で、固相反応によりチタンシリコンカーバイドを合成することを特徴とする請求項4記載のチタンシリコンカーバイド焼結体の製造法。
- 焼結後の結晶粒径が10μm以下であり、炭化チタン(TiC)含有量が8wt%以下であることを特徴とする請求項4〜6のそれぞれに記載のチタンシリコンカーバイド焼結体の製造法。
- 相対密度99%以上であることを特徴とする請求項4〜7のそれぞれに記載のチタンシリコンカーバイド焼結体の製造方法。
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