図1は、この発明の一実施形態に係るスリング式子守帯を横抱きで使用している状態を示している。図示するように、スリング式子守帯1は、たすき掛け可能な布製のスリング本体10を備える。スリング本体10の一方端部分と他方端部分とを使用者の肩の上またはその近傍で連結することになるが、その連結部分近傍に飾りリング21が取付けられていて、スリング本体10の一部が飾りリング21を通過するようにしている。
図1は横抱きの状態を示しているが、スリング本体10の一方端部分と他方端部分との連結位置を適宜変更することにより、縦抱きの状態で乳幼児を抱っこすることも可能である。
図2は、スリング式子守帯1を展開してその内面側を見せている平面図である。図示するように、スリング本体10の内面には、乳幼児の身体を拘束するための子供拘束部材30が取付けられている。子供拘束部材30は、乳幼児の股部を支えるようにスリング本体10の内面に固定して取付けられた股当て部31と、乳幼児の腹部に当てられるように股当て部から連続的に延びている腹当て部32と、乳幼児の背部に当てられるようにスリング本体の内面に固定して取付けられた背当て部33と、使用状態において乳幼児の頭頂部を護るように背当て部33から屈曲して折れ曲がるヘッドガード部34とを備える。
図3は、腹当て部32を折り返した状態を示している。図示するように、スリング式子守帯1は、スリング本体10と、腹当て部32とを連結する連結部材を備える。具体的には、連結部材は、背当て部33の両側縁から延びてきた一対の連結ベルト35と、各連結ベルト35に取付けられた一対の連結フック36と、腹当て部32に取付けられた一対の連結環39とを備える。乳幼児を抱っこする際には、一対の連結フック36と一対の連結環39とを連結することにより、乳幼児の身体を拘束する。
図3に示すように、一対の連結環39から離れた所に一対の連結環40が設けられている。これは、乳幼児の身体の大きさに応じて、連結フック36に連結されるべき連結環を選択できるようにするためである。乳幼児の身体が小さいときには連結フック36を一方の連結環39に連結し、乳幼児の身体が大きいときには連結フック36を他方の連結環40に連結する。
ヘッドガード部34の形状をしっかりと保つために、好ましくは、ヘッドガード部34にはヘッドガードパッドが収納されている。同様に、乳幼児の背中を適正に保持できるようにするために、背当て部33には、背当てパッド41(図7参照)が収納されている。スリング式子守帯1を小さく折畳むことができるようにするために、好ましくは、背当てパッド41は、背当て部33に取り出し可能に収納されている。
スリング式子守帯1を横抱きの状態で使用するとき、すなわち背当て部33をほぼ水平状態にして使用するときには、乳幼児の頭頂部を護るようにヘッドガード部34を背当て部33の上端から屈曲して立ち上がらせる。スリング式子守帯を縦抱きの状態で使用するとき、すなわち背当て部33を上下方向に立てた状態で使用するときには、乳幼児の頭部を開放するために、ヘッドガード部34を背当て部33の背面に折り返す。
図7に示すように、好ましくは、背当てパッド41は、多数の通気穴42を有する。また、背当てパッド41は、幅方向に延びる第1屈曲線37および第2屈曲線38を有しており、これらの屈曲線37,38を境にして折り曲げ可能とされている。背当てパッド41に屈曲線を設けて屈曲可能にしておけば、背当てパッド41を装着した状態のままでもスリング式子守帯1を小さく折畳むことが可能になる。
図2に示すように、たすき掛け時に連結されるべきスリング本体10の一方端部分11および他方端部分12には、それぞれ、第1ベルト13および第2ベルト14が取り付けられている。図4は、第1ベルト13を第2ベルト14に向かう方向に折り返した状態を示している。
第1ベルト13には、バックル部材の一方要素である受具15が取付けられ、第2ベルト14には、バックル部材の他方要素である差込み具16が取付けられている。図5に示すように差込み具16を受具15に嵌め入れることにより、スリング本体10の一方端部分11と他方端部分12とが連結される。
図4に示すように、第1ベルト13には、フック19、リング20および飾りリング21が取付けられている。フック19をリング20に連結すれば、第1ベルト13の長さが短くなる。したがって、乳幼児の身体の大きさに応じて、あるいは抱き方の変更に応じて、フック19とリング20とを連結したり、離したりする。
飾りリング21は、飾りのために設けられたものである。図6に示すように、スリング本体10の一方端部分から細長く延びている部分を飾りリング21に通すようにすれば、第1ベルト13、第2ベルト14、受具15および差込み具16を外から見えないように隠すことができるので、外観上の美感が向上する。このことは、図1を参照すれば明らかである。
図2に示すように、スリング本体10の内面には、第1ベルト13と第2ベルト14とを連結するように延びる第1補強帯17および第2補強帯18が縫い付けられている。第1補強帯17と第2補強帯18とは上下方向に間隔をあけて設けられており、それらの補強帯17,18の間に位置するスリング本体部分は、メッシュ状素材22で作られている。したがって、スリング式子守帯1は、通気性に優れたものとなる。
図2から明らかなように、背当てパッド41(図7)の第1および第2屈曲線37,38は、それぞれ、第1および第2補強帯17,18上に重なるように位置する。したがって、乳幼児を抱っこしている状態では、第1および第2補強帯17、18によって下から支えられている背当てパッド41は屈曲しないので、乳幼児の背中を適正な姿勢に維持できる。
図1〜図7はこの発明の一実施形態に係るスリング式子守帯を示すものであったが、種々の修正を施すことか可能である。修正事項のいくつかを図8〜図35を用いて説明する。
図8に示すスリング式子守帯100は、使用者の右肩上でたすき掛けされることを意図したものである。このような使用状態により適合させるために、図示した実施形態では、使用者の身体に接する側のスリング本体の側縁101を内側にややえぐれるように湾曲させている。このようにすれば、使用者の身体に接する側のスリング本体部分の嵩張りを小さくすることができる。
図8に示した実施形態では、通気性を良好にするために、強度面を考慮しならがスリング本体の複数箇所に通気窓102,103を設けている。通気窓102,103には、例えばメッシュ状素材を張っておく。通気窓102は乳幼児の頭部の両側方に位置する部分にあり、通気窓103は乳幼児の身体の両側方に位置する部分にある。
図8に示すスリング式子守帯100は、たすき掛けされるスリング本体の一方端部分と、この部分に近い側の背当て部または股当て部の側方部分とを連結する補助ベルト104をさらに備える。具体的には、補助ベルト104の一方端104aは、スリング本体の一方端部分に取付けられている第1ベルト13に取り付けられた環状帯105に取り外し可能に連結され、他方端104bは、背当て部33または股当て部31の背面に位置するスリング本体の外面上に取付けられている環状帯106に取り外し可能に連結されている。図9に示すように、補助ベルト104を備えることにより、スリング式子守帯100を横抱きの状態で使用するときに背当て部33を安定して水平状態で保持することが可能になる。
図10に示す実施形態では、第1ベルト13に取付けられた受具15と、第2ベルト14に取付けられた差込み具16との連結状態が不意に解かれた場合の危険性を回避するために、第1ベルト13に環状部材107を取付けている。この環状部材107を、差込み具16に係合させるように位置させておけば、受具15と差込み具16との連結が不意に外れても、第1ベルト13と第2ベルト14との連結状態が維持されるので、安全上好ましい。
図11は、背当てパッドの他の例を示している。図示する背当てパッド110は、比較的剛性のある芯材部分111と、この芯材部分111を覆う柔軟性素材からなるカバー部分112とを備える。芯材部分111は、幅方向に延びる第1屈曲線113と第2屈曲線114とを備える。図示するように、芯材部分111は、所定の幅寸法を有する上部領域と、この上部領域の下方に位置し上部領域の幅寸法よりも小さな幅寸法を有する下部領域とを含む。芯材部分111の下部領域の両側縁111aは、幅寸法が小さくなるように内側に後退しており、そのためこの部分に位置するカバー部分112aはやや幅広の帯部を形成する。身体の小さい乳幼児を横抱きの状態で保持するときには、カバー部分112の幅広帯部112aは芯材部分111から上方に屈曲するように折れ曲がる。乳幼児が成長して身体が大きくなったときには、乳幼児の背中がカバー部分112の幅広帯部112a上に位置するようになる。図11に示す背当てパッド110によれば、乳幼児の身体の大きさに合わすように形態が変化するので、乳幼児の保持を適切に行なうことができる。
図12は、スリング本体の内面に取付けられる子供拘束部材の他の例である。図示する子供拘束部材130は、曲げ剛性を有する背当て部133と、背当て部133から連続的に延びる股当て部131と、股当て部131から連続的に延びる腹当て部132とを備える。この実施形態における特徴は、腹当て部132の形状にある。すなわち、腹当て部132は、股当て部131との境界から両側方に大きく張り出した形状を有している。図示を省略した連結部材のフック(図2〜図4におけるフック36)が引掛けられる連結環134は腹当て部132の大きく張り出した両側方部分に位置している。従って、連結箇所に用いられる金具等が、乳幼児の太腿に触れないようにすることができる。
図13および図14は、スリング本体の内面の背当て部内に収納される背当てパッドの他の例を示している。曲げ剛性を有する背当てパッド140は、曲げ剛性を有する背当て芯材141と、その上に配置される柔らかいクッション材142と、それらを覆うカバー部材143とを備える。図示するように、使用者の身体側に位置する背当てパッド140の側縁部140aは、使用者の身体に沿うように凹状に湾曲した形状を有している。図示した実施形態では、背当て芯材141、クッション材142およびカバー部材143の全てが凹状に湾曲した形状を有しているが、他の実施形態として、背当て芯材141のみが凹状に湾曲した側縁部を持つようにし、柔らかいクッション材142およびカバー部材143がそのような凹状に湾曲した側縁部を持たず、直線的なものであってもよい。
前述した実施形態と同様に、背当てパッド140は、スリング式子守帯を小さく折畳むことができるようにするために、幅方向に延びる複数の屈曲線144,145を有し、この屈曲線を境にして折り曲げ可能に設けられている。好ましくは、スリング本体の内面には、背当て部に交差して延びる補強帯が縫いつけられており、背当てパッド140の屈曲線144,145はこの補強帯上に重なるように位置する。
図14に示すように、柔らかいクッション材142は、凹状に湾曲した背当て芯材141の側縁部を越えて背当て芯材の裏面にまで回りこんでいる。このようにすれば、使用者の身体に、柔らかいクッション材142の感触を与えることができるので好ましい。
図15および図16は、それぞれ、他の形態の背当てパッドを示している。生後間もない乳児は、腕をW字状に曲げ、脚をM字状に曲げる。このような姿勢を側方から圧迫すると乳児は窮屈に感じ、極端な場合には股関節脱臼を誘発するおそれがある。そこで、スリング本体内に包まれた乳児が、手足を比較的楽に動かすことができるようにするために、背当てパッド150および153は、それぞれ、逆台形形状を有する上方領域と、台形形状を有する下方領域とを有している。
具体的には、図15に示す背当てパッド150は、曲げ剛性を有するものであり、中央領域の両側方が内方に抉れる形状をしている。上方領域は幅広で滑らかな曲線状の輪郭を有している。下方領域も、同様に、幅広で滑らかな曲線状の輪郭を有している。さらに、背当てパッド150は、幅方向に延びる屈曲線151,152を有する。好ましくは、スリング本体に縫い付けられる補強帯が、屈曲線151,152に重なるように延びる。
図16に示す背当てパッド153は、曲げ剛性を有するものであり、逆台形形状を有する上方領域と、長方形形状を有する中央領域と、台形形状を有する下方領域とを有している。さらに、背当てパッド153は、幅方向に延びる屈曲線154,155を有する。好ましくは、スリング本体に縫い付けられる補強帯が、屈曲線154,155に重なるように延びる。
図13および図14に示した背当てパッド140と同様に、背当てパッド150,153は、曲げ剛性を有する背当て芯材と、その上に配置される柔らかいクッション材とを備えるようにしてもよい。
この発明の実施形態に係るスリング式子守帯の特徴の一つは、スリング式子守帯が荷重支え補強帯を備えていることにある。図17に図解的に示すスリング式子守帯は、たすき掛け可能な布製のスリング本体160と、このスリング本体に包まれた乳幼児を下から支える領域に延びるようにスリング本体160に装着された荷重支え補強帯161とを備える。荷重支え補強帯161は、たすき掛けされるスリング本体160の一方端部分と他方端部分とを連結してループ状に延びるループ帯の形態となっている。荷重支え補強帯161の途中位置には、補強帯161の両端を取外し可能に連結するバックル162が取付けられている。乳幼児の荷重を下から支える荷重支え補強帯161を備えることにより、スリング本体160に包まれる乳幼児を安定して保持することが可能になる。
なお、図2に示した実施形態において、第1補強帯17と第1ベルト13と第2ベルト14とでループ帯の形態となる荷重支え補強帯を形成している。
図18は、他の実施形態に係るスリング式子守帯を図解的に示している。図示するスリング式子守帯は、スリング本体165と、スリング本体165の縁部を補強する補強縁部166と、両端が補強縁部166に接続された荷重支え補強帯167とを備えている。
図19は、さらに他の実施形態に係るスリング式子守帯を図解的に示している。図示するスリング式子守帯は、図18の実施形態と同様に、スリング本体170と、補強縁部171と、荷重支え補強帯172とを備えている。この実施形態においては、補強縁部171は、スリング本体170の主要な縁部を補強すると共に、乳幼児を受入れる領域の上方を取り囲むように環状に延びている。荷重支え補強帯172の両端は、環状に延びる補強縁部171に接続されている。
図20は、さらに他の実施形態に係るスリング式子守帯を図解的に示している。図示するスリング式子守帯は、スリング本体175と、たすき掛けされるスリング本体175の一方端部分と他方端部分とを連結してループ状に延びるループ帯部176と、ループ帯部176から分岐して乳幼児を下から支える領域に延びる分岐帯部177とを備える。ループ帯部176および分岐帯部177が、荷重支え補強帯として機能する。
図21は、幌を備えたスリング式子守帯を図解的に示している。図示するスリング式子守帯は、好ましくは、今までに説明した特徴的な構成を備えている。
図21に示すスリング式子守帯は、たすき掛け可能な布製のスリング本体180と、スリング本体180に包まれた乳幼児の頭部の上方領域を覆うようにスリング本体180に取付けられた幌183とを備える。スリング本体180には、荷重支え補強帯として機能するループ帯部181および分岐帯部182が縫い付けられている。ループ帯部181は、たすき掛けされるスリング本体180の一方端部分と他方端部分とを連結してループ状に延び、分岐帯部182はループ帯部181から分岐して乳幼児を下から支える領域に延びている。
幌183は、好ましくはアーチ形状を有しており、その両端は荷重支え補強帯に接続されている。図示した実施形態では、幌183の両端が分岐帯部182に接続されている。このように幌183の両端を荷重支え補強帯に接続することにより、幌183の形状を安定して維持することができるようになる。
アーチ形状の幌183は、窓184と、この窓184を開閉するカバー185とを備える。窓184にはメッシュ地を張っておいても良い。幌183は、日除けとしての機能に加えて、乳幼児受入空間の明るさを調節する機能も併せ持つ。乳幼児受入空間を明るくするには幌を畳んで乳幼児受入空間の上方を大きく開放する。乳幼児受入空間を暗くするには幌をアーチ形状に展開して乳幼児受入空間の上方領域を部分的に閉鎖する。
幌183が窓184およびカバー185を備えることにより、乳幼児受入空間の明るさを段階的に調節することが可能になる。
図22に図解的に示すスリング式子守帯は、スリング本体180と、ループ帯部181と、分岐帯部182と、幌190とを備える。幌190は、アーチ形状を有し、その両端は荷重支え補強帯として機能する分岐帯部182に接続されている。
幌190の詳細を図23を参照して説明する。幌190は、相対的に剛性のある素材からなりアーチ状になって幅方向に延びる第1幌布191と、相対的に柔軟性のある素材からなり第1幌布191に隣接してアーチ状になって幅方向に延びる第2幌布192と、相対的に剛性のある素材からなり第2幌布192に隣接してアーチ状になって幅方向に延びる第3幌布193とを備える。第2幌布192の厚みは、第1幌布191および第3幌布193よりも小さい。
図23(a)は幌190の展開状態を示し、図23(b)は幌190の折畳み状態を示している。幌190の折畳み状態においては、第1幌布191と第3幌布193とが重ね合わされる。柔軟性のある第2幌布192は、重ねあわされた第1幌布191と第3幌布193との間に挟まれる。この実施形態によれば、剛性のある素材からなる2つの幌布191、193の間に柔軟性のある素材からなる幌布192を位置させているので、幌190を小さく折畳むことができると共に、折畳み形態を安定して維持できる。
図23に示した幌190は、スリング式子守帯の幌として利用され得るが、その他の育児器具にも適用することができる。例えば、乳母車、自動車用子供安全シート、室内用育児椅子、ベッド等のように乳幼児受入空間を有する育児器具に適用可能である。
図24は、スリング式子守帯を使用する母親や父親が楽に乳幼児を支えるようにするための工夫を施した実施形態を図解的に示している。図示するスリング式子守帯は、使用者の肩にたすき掛けされた状態で乳幼児の身体を包んで保持する布製のスリング本体200と、使用者の手を受入れる受入部を有し、スリング本体200の外面上に設けられる手受入部材201,203とを備える。一方の手受入部材201は、乳幼児の尻を下から支える位置にある。他方の手受入部材203は、乳幼児の背中を支える位置にある。
手受入部材は、使用者の手を受入れる受入部を有するものであれば、どのような形態のものであってもよい。図示した実施形態では、乳幼児の尻を支える位置にある一方の手受入部材201は手袋の形態を有している。図示するように手受入部材201をミトンの形態にすれば、手を簡単に差し入れることができるようになる。乳幼児の背中を支える位置にある他方の手受入部材203は、横から手を差し入れることができるようにした帯の形態を有している。
使用者は、例えば右手をミトンの形態の手受入部材201に差し入れて乳幼児の尻を下から支え、左手を帯の形態の手受入部材203に差し入れて乳幼児の背中を支える。ミトンの形態の手受入部材201は、外気温が高い季節においては不快感を与えるかもしれない。そこで、ミトンの形態の手受入部材201の上に重なるように、帯の形態の手受入部材202を設けておいても良い。このようにすれば、使用者は、暑い季節においては、手をミトン201と帯202との間に差し入れることができる。
スリング式子守帯は、使用者の肩にたすき掛けされて使用される。その際に、スリング式子守帯を使用者の身体に密着させておくのが安全上好ましい場合がある。そこで、図25〜図27に示す実施形態は、スリング本体と使用者の腰とを連結する結合部材を備える。
具体的には、図25に示すスリング式子守帯は、使用者の肩にたすき掛けされた状態で乳幼児の身体を包んで保持する布製のスリング本体210と、スリング本体210と使用者の腰とを連結する結合部材211とを備える。結合部材211は、使用者の腰に巻き付けられる腰ベルトまたは腰紐であり、使用者の腰に近接する領域にあるスリング本体210の外面上に取付けられている。
図26に図解的に示すスリング式子守帯は、使用者の腰に近接する領域にあるスリング本体215の外面上に取付けられた結合部材としてのループ状部材216を備える。例えば、使用者のズボンのベルト217をループ状部材216に通すことにより、スリング本体215を使用者の腰に密着させることができる。なお、図26は、横抱き状態のスリング式子守帯を示している。縦抱き状態においてもループ状部材216を使用できるようにするために、ループ状部材216をスリング本体215に対して回転可能に取付けても良い。
上記のように、一つの結合部材の向きを変えて、横抱きおよび縦抱きに対応しても良いが、他の実施形態として、スリング式子守帯は、横抱き時に使用される横抱き用結合部と、縦抱き時に使用される縦抱き用結合部とを含むものであってもよい。
図27は、図3に示した実施形態に対して、縦抱き用結合部218を取付けた例を示している。縦抱き用結合部218は、ズボンのベルト219を通すようにするためのループ状部材または帯状部材であり、股当て部31の背面に取付けられている。
スリング本体に包まれた乳幼児を騒音から守るために、スリング本体に防音材を取付けるようにしてもよい。図28に図解的に示すスリング式子守帯は、たすき掛け可能な布製のスリング本体220と、スリング本体220に包まれた乳幼児の両耳に近接して位置するようにスリング本体220の内面に配置された防音部材221とを備える。防音部材211は、スリング本体220に固定して取付けられても良いし、着脱可能に取付けられても良い。
図29は、防音部材を備えたスリング式子守帯の他の例を示している。図示するスリング式子守帯は、スリング本体230と、スリング本体230の内面上に配置されて乳幼児の頭部を保護する頭部パッド232と、曲げ剛性を有し、乳幼児の背部に当てられるようにスリング本体230の内面に配置される背当て部231とを備える。頭部パッド232は、乳幼児の両側頭部に近接する位置に立壁232aを有しており、この立壁232a中に防音部材を含む。なお、図示していないが、頭部パッド232は、乳幼児の後頭部を受入れる凹部を持つ枕を備えていても良いし、乳幼児の首を背後から支える隆起部を備えていても良い。
図30は、防音部材を備えた頭部パッド235の他の例を示している。図示する頭部パッド235は、両側部に断面半円形状の山部237を持つ枕236と、乳幼児の両側頭部に近接する1対の立壁239とを備える。各立壁239は、防音部材を含む。各立壁239の底面は、断面半円形状の凹部を有しており、各山部237上に位置する。各立壁239と各山部との連結は、連結ベルト240によって行われる。具体的には、連結ベルト240の一方端240aは立壁239の内側側面に固定され、他方端240bは枕236の穴238を通過して山部237の下を回って立壁239の外側側面に面ファスナを介して着脱可能に接続される。この頭部パッド235においては、図30において想像線で示すように、立壁239の立上り角度を変更することができる。従って、必要に応じて、乳幼児の両側方を開放したり、閉鎖したりすることができる。
図10に示した実施形態に係るスリング式子守帯は、たすき掛け可能な布製のスリング本体と、スリング本体の一方端部分と他方端部分とを着脱可能に連結するバックル部材とを備えていた。図31は、図10の実施形態に対して僅かな変形を加えたものである。具体的には、スリング式子守帯は、バックル部材を覆うように延在し、スリング本体の一方端部分に例えばスライドファスナ−250を介して取外し可能に連結される飾り部材251を備える。形態の異なる飾り部材251を複数種類準備しておけば、それらを適宜選択して使用することによりデザイン的な変化を楽しめる。図32は、スリング本体から取外された飾り部材251を示しており、スカーフとして使用され得る形態を有している。
上記のように飾り部材251をスリング本体から取外し可能に設けておけば、乳幼児が成長してスリング式子守帯が不要になった段階でも、乳幼児期の記憶を継続的に維持し得る記憶伝承品として保存しておくことができる。
図33は、取外し可能な飾り部材の保持構造の他の例を示している。たすき掛けされるスリング本体の一方端部分および他方端部分には、それぞれ、バックル15,16を保持するベルト13,14が取り付けられている。一方のベルト13には、飾り部材260を通すための飾りリング21が取り付けられている。この実施形態では、飾り部材260は、飾りリング21によってスリング本体に着脱可能に接続される。飾り部材260の上方部分を安定して保持するために、好ましくは、一方のベルト13に飾り部材260を通すためのリング261を取付けておく。
図34および図35は、取外し可能な飾り部材の他の例を示している。これらの図に示す飾り部材270、280は、スリング本体に包まれた乳幼児の上方空間を覆い得る形態を有している。図34に示す飾り部材270はレインカバーとして使用され得る形態を有し、図35に示す飾り部材280は蚊帳として使用され得る形態を有している。
以上、図面を参照してこの発明の種々の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。種々の実施形態の特徴を任意に組合せることが可能であるし、図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
1 スリング式子守帯、10 スリング本体、11 一方端部分、12 他方端部分、13 第1ベルト、14 第2ベルト、15 受具、16 差込み具、17 第1補強帯、18 第2補強帯、19 フック、20リング、21 飾りリング、22 メッシュ状素材、30 子供拘束部材、31 股当て部、32 腹当て部、33 背当て部、34 ヘッドガード部、35 連結ベルト、36 連結フック、37 第1屈曲線、38 第2屈曲線、39,40 連結環、41 背当てパッド、42 通気穴、100 スリング式子守帯、101 側縁、102,103 通気窓、104 補助ベルト、105,106 環状帯、107 環状部材、110 背当てパッド、111 芯材部分、112 カバー部分、113,114 屈曲線、130 子供拘束部材、131 股当て部、132 腹当て部、133 背当て部、134 連結環、140 背当てパッド、141 背当て芯材、142 クッション材、143 カバー部材、144,145 屈曲線、150 背当てパッド、151,152 屈曲線、153 背当てパッド、154,155 屈曲線、160 スリング本体、161 荷重支え補強帯、162 バックル、165 スリング本体、166 補強縁部、167 荷重支え補強帯、170 スリング本体、171 補強縁部、172 荷重支え補強帯、175 スリング本体、176 ループ帯部、177 分岐帯部、180 スリング本体、181 ループ帯部、182 分岐帯部、183 幌、184 窓、185 カバー、190 幌、191 第1幌布、192 第2幌布、193 第3幌布、200 スリング本体、201 ミトン、202,203 帯、210 スリング本体、211 結合部材、215 スリング本体、216 結合部材、217 ベルト、218 縦抱き用結合部、219 ベルト、220 スリング本体、221 防音部材、230 スリング本体、231 背当て部、232 頭部パッド、232a 立壁、235 頭部パッド、236 枕、237 山部、238 穴、239 立壁部、240 連結ベルト、240a 一方端、240b 他方端、250スライドファスナー、251 スカーフとして使用され得る飾り部材、270 レインカバーとして使用され得る飾り部材、280 蚊帳として使用され得る飾り部材。