JP2007111015A - 宿主dnaの欠失対象領域の欠失方法 - Google Patents

宿主dnaの欠失対象領域の欠失方法 Download PDF

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Abstract

【課題】宿主DNAのDNA断片を欠失させると同時に、形質転換体の選択に使用した選択マーカー遺伝子を欠失させる方法を提供する。
【解決手段】宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の5'側領域、3'側領域及び宿主DNAの有する第1相同組換え領域を有し、更に第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを有する供与体DNAと、宿主DNAとにおいて、前記5'側領域と前記第1相同組換え領域との間で相同組換え(第1相同組換え)を行い、上記第1相同組換え後の宿主DNAにおいて、宿主DNA由来の欠失対象領域の外側の3'側領域と供与体DNA由来の宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の3'側領域との間で相同組換え(第2相同組換え)を行うことで、上記第2相同組換え後には、宿主DNAから第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子及び欠失対象領域を欠失させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば、枯草菌ゲノム等を宿主DNAとして、当該宿主DNAの所定の領域を欠失させると同時に、選択に使用した選択マーカー遺伝子を欠失させる方法に関する。
従来より、遺伝子工学分野においては、形質転換体の選択手段として、薬剤耐性遺伝子等の選択マーカー遺伝子が使用されている。これら選択マーカー遺伝子は、形質転換体の選択手段としては有用であるが、選択マーカー遺伝子の種類によっては、宿主に残存させることによって環境に悪影響を及ぼすといった問題がある。また、1つの宿主に対して複数の遺伝子改変を行う際には、使用できる選択マーカー遺伝子の種類は限られる。そこで、形質転換体からの選択マーカー遺伝子の除去方法が望まれている。
一方、これまでには、リプレッサーとリプレッサーにより抑制されるプロモーターとを利用した遺伝子改変方法が幾つか開示されている。
非特許文献1には、バシルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)β-ラクタマーゼ遺伝子blaPの発現調節に関与するリプレッサー遺伝子blaIとこのリプレッサーにより抑制されるblaPプロモーターとを利用して、ゲノム上に存在する選択マーカー遺伝子を除去した枯草菌(Bacillussubtilis)組換え株を作製する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、選択マーカー遺伝子が除去された枯草菌組換え株が得られる効率は50%と低いものであった。
特許文献1には、CIリプレッサーとこのリプレッサーによって抑制されるプロモーターとを利用した遺伝子改変方法が開示されている(特許文献1の実施例参照)。具体的には、CIリプレッサー遺伝子が挿入されたλDNAを枯草菌ゲノムに導入する。一方、枯草菌ゲノムの他の部位には、CIリプレッサーによって抑制されるプロモーターとその下流にネオマイシン耐性遺伝子が組み込まれている。この場合には、CIリプレッサーによってプロモーターが抑制され、ネオマイシン耐性遺伝子の発現が起こらない。CIリプレッサー遺伝子が他のDNAに置き換わり、CIリプレッサー遺伝子が消失すると、プロモーターが駆動し、下流に存在するネオマイシン耐性遺伝子が発現することとなる。この原理によれば、ネオマイシン耐性によって、CIリプレッサー遺伝子の部位が他のDNAに置き換わった形質転換体が選択できることとなる。
これまでに、形質転換体の選択に使用した選択マーカー遺伝子とともに宿主DNAの所定の領域を効率良く欠失させる方法はなかった。
特開2000-316576号公報 A. Bransら, 「Applied And Environmental Microbiology」, 2004年, 第70巻, 第12号, p.7241-7250
本発明は、上述した実情に鑑み、宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の5'側領域、3'側領域及び宿主DNAの有する第1相同組換え領域を有し、更に第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを有する供与体DNAと、宿主DNAとにおいて、前記5’側領域と前記第1相同組換え領域との間で相同組換え(以下、「第1相同組換え」という場合がある)を行い、上記第1相同組換え後の宿主DNAにおいて、宿主DNA由来の欠失対象領域の外側の3'側領域と供与体DNA由来の宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の3'側領域との間で相同組換え(以下、「第2相同組換え」という場合がある)を行うことで、上記第2相同組換え後には、宿主DNAから欠失対象領域と上記選択マーカー遺伝子とを同時に欠失できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)供与体DNAと宿主DNAとの間で相同組換えを行う工程を含む宿主DNAの欠失対象領域を欠失させる方法であって、上記欠失方法は、宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の5'側領域、3'側領域及び宿主DNAの有する第1相同組換え領域を有し、更に第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを有する供与体DNAと、宿主DNAとにおいて、前記5'側領域と前記第1相同組換え領域との間で相同組換え(第1相同組換え)を行う第1工程と、上記第1相同組換え後の宿主DNAにおいて、宿主DNA由来の欠失対象領域の外側の3'側領域と供与体DNA由来の宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の3'側領域との間で相同組換え(第2相同組換え)を行う第2工程とを含み、上記第1相同組換え領域は、(a)欠失対象領域の一部又は全部からなる領域、又は(b)前記3'側領域の5'末端を含む領域であり、上記第2工程後には、宿主DNAから第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子及び欠失対象領域が欠失されることを特徴とする、宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
(2)上記宿主DNAにおいて、欠失対象領域、欠失対象領域の外側の5'側領域及び3'側領域以外の領域に、上記リプレッサーに制御されるオペレーターを含むプロモーターの下流に第2選択マーカー遺伝子が存在することを特徴とする、(1)記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
(3)上記第1工程後に、第1選択マーカー遺伝子を指標に、上記供与体DNA由来の宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の3'側領域と第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを有する形質転換体を選択する工程を含むことを特徴とする、(1)記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
(4)上記第1工程後に、第1選択マーカー遺伝子及び/又は第2選択マーカー遺伝子を指標に、上記供与体DNA由来の宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の3'側領域と第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを有する形質転換体を選択する工程を含むことを特徴とする、(2)記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
(5)上記第2工程後に、第1選択マーカー遺伝子を指標に、第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子及び欠失対象領域を欠失した形質転換体を選択する工程を含むことを特徴とする、(1)又は(3)記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
(6)上記第2工程後に、第1選択マーカー遺伝子及び/又は第2選択マーカー遺伝子を指標に、第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子及び欠失対象領域を欠失した形質転換体を選択する工程を含むことを特徴とする、(2)又は(4)記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
(7)上記選択マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか1記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
(8)上記リプレッサー遺伝子がaraR遺伝子であることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
(9)上記宿主が枯草菌であることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれか1記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
(10)(1)〜(9)のいずれか1記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法によって得られた形質転換体。
本発明により、宿主DNAの欠失対象領域と形質転換体の選択に使用した選択マーカー遺伝子とを同時に欠失できる宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法は、宿主DNAにおける欠失対象領域を欠失させるとともに、形質転換体の選択に用いた選択マーカー遺伝子を欠失させる方法である。本方法においては、先ず、宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の5'側領域、3'側領域及び宿主DNAの有する第1相同組換え領域を有し、更に第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを有する供与体DNAを作製する。供与体DNAにおける宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の5'側領域(以下、「5'外側領域」という)とは、宿主DNAにおける5'外側領域と相同組換えを生じうる程度に高い同一性を有する領域である。同様に、供与体DNAにおける宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の3'側領域(以下、「3'外側領域」という)とは、宿主DNAにおける3'外側領域と相同組換えを生じうる程度に高い同一性を有する領域である。
また、第1相同組換え領域とは、供与体DNAと宿主DNAとの間の第1相同組換えにおいて、上述した5'外側領域とともに相同組換えが生じる領域である。なお、供与体DNAにおける宿主DNAの有する第1相同組換え領域とは、宿主DNAにおける第1相同組換え領域と相同組換えを生じうる程度に高い同一性を有する領域である。
第1相同組換え領域は、(a)欠失対象領域の一部又は全部からなる領域、又は(b)3'外側領域の5'末端を含む領域である。上記(b)の領域としては、例えば、3'外側領域の5'末端を含む一部の領域、3'外側領域の全部、及び3'外側領域と宿主DNAにおける3'外側領域より更に3'側の領域とを含むものが挙げられる。さらに、欠失対象領域の3'末端を含む一部の領域、又は欠失対象領域の全部を含んでいてもよい。
以下の説明では、供与体DNAにおける宿主DNAの有する5'外側領域、3'外側領域及び第1相同組換え領域を、宿主DNAにおけるそれぞれの対応する領域と同様に、それぞれ5'外側領域、3'外側領域及び第1相同組換え領域という。
ここで、5'側及び3'側とは、DNA二重鎖におけるいずれか一方の鎖を基準として、欠失対象領域の5'末端側に続く方向及び3'末端側に続く方向を意味する。
なお、供与体DNAは、5'外側領域、3'外側領域、第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子、第1相同組換え領域の順に含まれる。あるいは、第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子との順序は逆であってもよい。
次に、供与体DNAと宿主DNAとを、相同組換えが生じる条件下に共存させる。当該条件下では、供与体DNAと宿主DNAとの間において、5'外側領域と第1相同組換え領域とで一組の鎖間交換構造の形成が起こり易くなる。この一組の鎖間交換構造が形成されることで、供与体DNAと宿主DNAとの間に二重交差の相同組換え(第1相同組換え)が生じ、供与体DNA由来の3'外側領域と第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを宿主DNAに導入することができる。宿主DNAにおける5'外側領域と第1相同組換え領域とによって挟まれる領域が存在する場合、上記宿主DNAへの導入と同時に当該挟まれる領域(欠失対象領域の一部)が宿主DNAから欠失する。
さらに、供与体DNAとの相同組換えを生じた宿主DNAには、3'外側領域が2つ存在することとなる。これら2つの3'外側領域は、一方が宿主DNAに由来するものであり、他方が供与体DNAに由来するものである。従って、所定の条件下に宿主DNAを存在させることで、宿主DNA中の3'外側領域間で1つの鎖間交換構造が形成され、相同組換え(第2相同組換え)が生じ、第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子及び宿主DNAにおける欠失対象領域(5'外側領域と第1相同組換え領域とによって挟まれる領域が存在する場合には、上記欠失対象領域の一部を除いた残部)が宿主DNAから欠失されることとなる。
なお、第1相同組換え領域が、例えば上記(b)の領域のうち欠失対象領域を含まないものである場合、上記第1相同組換えの時点で、欠失対象領域が宿主DNAから欠失することとなる。
欠失対象領域は、本方法適用前に既に宿主DNAに存在する領域であればいずれの領域であってよく、例えば、本来的に存在する領域でもよいし、本方法適用前に人為的に導入された領域でもよい。人為的に導入された領域としては、例えば、選択マーカー遺伝子やレポーター遺伝子を含む領域などが挙げられる。本発明に係る宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法では、欠失対象領域のサイズは、特に限定されないが、1bp以上が好ましく、0.2kb以上がより好ましく、0.5kb以上が最も好ましい。また、例えば枯草菌のゲノムにて生育に必須な遺伝子(以下、「生育必須遺伝子」という)を含まない連続した領域で最大の領域は、dltA遺伝子〜yycH遺伝子間の約200kbである(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100, 4679 (2003))。この観点から生育必須遺伝子を削除しないことを考慮し、欠失対象領域のサイズは、200kb以下が好ましく、160kb以下がより好ましく、120kb以下が更に好ましく、80kb以下が特に好ましく、40kb以下が最も好ましい。
また、宿主DNAにおける5'外側領域と第1相同組換え領域との間の距離は、特に限定されないが、例えば0kb〜200kb、特に0kb〜140kbであることが好ましい。
本発明においては、5'外側領域、3'外側領域及び第1相同組換え領域は、供与体DNAと宿主DNAとの間又は宿主DNA中での相同組換え過程において鎖間交換構造を形成する部位を含む領域である。従って、供与体DNAと宿主DNAとにおける、5'外側領域間、3'外側領域間及び第1相同組換え領域間の各領域間は、鎖間交換構造を形成しうる程度に高い同一性を有していることが好ましい。
具体的に、各領域間の同一性は、例えば、Lipman-Pearson法(Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことに基づいて計算することができる。当該計算の結果によれば、各領域間は、60%以上の同一性を有していればよく、80%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましく、99%以上の同一性を有していることが最も好ましい。
また、5'外側領域、3'外側領域及び第1相同組換え領域のサイズは、鎖間交換構造を形成しうるサイズであれば特に限定されないが、例えば、0.1kb〜3kbであることが好ましく、更には0.5kb〜3kbであることが好ましく、特に0.5kb〜2kbであることが好ましい。
本発明において、供与体DNAは、5'外側領域と3'外側領域と第1相同組換え領域と第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを含むDNAを意味する。供与体DNAは、リプレッサー遺伝子の発現を制御するプロモーターを含むことができる。供与体DNAにおいて、リプレッサー遺伝子に対するプロモーターの存在位置は、リプレッサー遺伝子の発現を制御できる位置であって、第1相同組換え後にリプレッサー遺伝子とともに宿主DNAに導入されるように、5'外側領域と第1相同組換え領域との間である。このような位置としては、例えば供与体DNAにおいて、各領域が5'外側領域、3'外側領域、第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子、第1相同組換え領域の順に並んでいる場合には、第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子との間の位置、あるいは供与体DNAにおいて、各領域が5'外側領域、3'外側領域、リプレッサー遺伝子、第1選択マーカー遺伝子、第1相同組換え領域の順に並んでいる場合には、3'外側領域とリプレッサー遺伝子との間の位置が挙げられる。同様に、供与体DNAは、第1選択マーカー遺伝子の発現を制御するプロモーターを含んでいてもよい。供与体DNAにおける第1選択マーカー遺伝子に対するプロモーターの存在位置は、上述したリプレッサー遺伝子に対するプロモーターの存在位置の決定に準じて適宜決定することができる。供与体DNAとしては、例えば、PCR産物等のDNA断片、ゲノムの全体若しくはその一部、プラスミド、シャトルベクター、ヘルパープラスミド、ファージDNA、ウイルスベクター、BAC(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 8242(1990))及びYAC(Science 236, 806 (1987))など、更にはプラスミド、シャトルベクター、ヘルパープラスミド、ファージDNA、ウイルスベクター、BAC及びYACなどにクローニングされたDNA断片やゲノムDNAの一部等などが挙げられる。例えば、プラスミドとしては、大腸菌(Escherichiacoli)由来のプラスミド(例えばpET30bなどのpET系、pBR322及びpBR325などのpBR系、pUC118、pUC119、pUC18及びpUC19などのpUC系、pBluescript等)、枯草菌(Bacillussubtilis)由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13などのYEp系、YCp50などのYCp系等)などが挙げられる。またファージDNAとしては、λファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)やPBS1ファージ(J. Bacteriol. 90, 1575 (1965))が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルスベクター、カリフラワーモザイクウイルスなどの植物ウイルスベクター、またはバキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。あるいは、LP(lysis of protoplasts)形質転換方法(T. Akamatsu及びJ. Sekiguchi, Archives of Microbiology, 1987, 146, p.353-357;T. Akamatsu及びH. Taguchi, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2001, 65,4, p.823-829)を用いる場合には、例えば、供与体DNAを有する枯草菌等の微生物自体を使用することができる。
また、選択マーカー遺伝子としては、特に限定されるものではないが、例えば、薬剤耐性遺伝子(クロラムフェニコール耐性遺伝子、エリスロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子及びブラストサイジンS耐性遺伝子等)が挙げられる。さらに、栄養要求性に関連する遺伝子の欠損等を選択マーカー遺伝子として使用することが可能である。なお、本発明においては、第1選択マーカー遺伝子と第2選択マーカー遺伝子とは、異なる種類のものである。
本発明において、リプレッサーとは、特異的なオペレーターを認識し、これに結合することによって、そのオペレーターを含むプロモーターに連なる遺伝子群、すなわちオペロンの発現を抑制し、負の調節を行うタンパク質を意味する。また、オペレーターとは、リプレッサーの結合部位を意味する。オペレーターは、プロモーターとオペロンの構造遺伝子との中間、又はプロモーターと一部重なり合ってオペロンの上流に存在する。すなわち、オペレーターは、プロモーターと存在位置が重複する場合がある。本発明において使用できるリプレッサー遺伝子/プロモーター(オペレーターを含む)としては、例えば、枯草菌に由来する、araR遺伝子(塩基配列:配列番号1、アミノ酸配列:配列番号2)/araA遺伝子プロモーター(配列番号3)又はaraE遺伝子プロモーター(配列番号4)、purR遺伝子(塩基配列:配列番号5、アミノ酸配列:配列番号6)/purE遺伝子プロモーター(配列番号7)、ctsR遺伝子(塩基配列:配列番号8、アミノ酸配列:配列番号9)/clpP遺伝子プロモーター(配列番号10)又はclpE遺伝子プロモーター(配列番号11)、lmrA遺伝子(塩基配列:配列番号12、アミノ酸配列:配列番号13)/yxaG遺伝子プロモーター(配列番号14)、treR遺伝子(塩基配列:配列番号15、アミノ酸配列:配列番号16)/treP遺伝子プロモーター(配列番号17)、exuR遺伝子(塩基配列:配列番号18、アミノ酸配列:配列番号19)/uxaC遺伝子プロモーター(配列番号20)、xylR遺伝子(塩基配列:配列番号21、アミノ酸配列:配列番号22)/xylA遺伝子プロモーター(配列番号23)、deoR遺伝子(塩基配列:配列番号24、アミノ酸配列:配列番号25)/dra遺伝子プロモーター(配列番号26)、及びiolR遺伝子(塩基配列:配列番号27、アミノ酸配列:配列番号28)/iolA遺伝子プロモーター(配列番号29)が挙げられる。なお、上述したリプレッサー遺伝子の塩基配列及びその対応するアミノ酸配列は、上記の配列番号に示される塩基配列及びその対応するアミノ酸配列に限定されない。各リプレッサーは、上記の配列番号に示されるアミノ酸配列において1又は数個(例えば1〜10個、1〜5個)のアミノ酸が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなり、且つリプレッサー機能を有するものであればよい。同様に、上述したプロモーターは、上記の配列番号に示される塩基配列に限定されない。各プロモーターは、上記の配列番号に示される塩基配列において1又は数個(例えば1〜10個、1〜5個)のヌクレオチドが置換、欠失または付加された塩基配列からなり、且つプロモーター機能を有し、リプレッサーで抑制されるもの(すなわち、オペレーター機能を有するもの)であればよい。なお、以下の説明で、「プロモーター」は、オペレーターを含むものを意味する。
宿主DNAとは、欠失対象領域、5'外側領域及び3'外側領域を有するDNAを意味する。さらに、宿主DNAには、欠失対象領域、5'外側領域及び3'外側領域以外の領域に、上述したリプレッサーに制御されるプロモーターの下流に第2選択マーカー遺伝子が存在する。なお、宿主DNAにおけるプロモーター及び第2選択マーカー遺伝子の存在位置は、選択の方法に応じて、適宜決定することができる。
宿主DNAとしては、所定の生物におけるゲノムDNA及びミトコンドリアDNA等を挙げることができる。宿主としては、枯草菌等のバチルス属、大腸菌等のエッシェリヒア属及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonasputida)等のシュードモナス属に属する細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)及びシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomycespombe)等の酵母、COS細胞及びCHO細胞等の動物細胞、Sf9等の昆虫細胞、並びにイネ科(イネ(Oryza sativa)、トウモロコシ(Zeamays))、アブラナ科(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、ナス科(タバコ(Nicotianatabacum)及びマメ科(ダイズ(Glycine max))等の植物が挙げられる。特に、枯草菌が好ましい。
本発明に係る宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法では、先ず5'外側領域と3'外側領域と第1相同組換え領域と第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを含む供与体DNAを準備する。5'外側領域、3'外側領域、第1相同組換え領域、第1選択マーカー遺伝子及びリプレッサー遺伝子(以下、「領域及び遺伝子等」という)は、例えば、それぞれこれら領域及び遺伝子等を有する生物のゲノムDNA等を鋳型として、該領域の両端の塩基配列に相補的なプライマーを用いたPCRによってDNA断片として容易に得ることができる。
一旦、領域及び遺伝子等の塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又はクローニングされたプローブを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることによって領域及び遺伝子等をDNA断片として得ることができる。
次いで、これら領域及び遺伝子等を含む各DNA断片を連結する。連結方法は、例えば精製された各DNA断片を適当な制限酵素で切断し、連結する方法が採用される。あるいは、これら領域及び遺伝子等を含むDNA断片にそれぞれ一部に相同な領域を持たせ、鋳型として、SOE(splicing by overlap extension)-PCR(Gene, 77, 61, (1989))を行うことで、各DNA断片を連結することができる。また、これら領域及び遺伝子等を含むDNA断片を、適当なベクターに順次挿入することによって連結してもよい。
一方、宿主DNAにおいては、使用するリプレッサーに対応するプロモーターとその下流に第2選択マーカー遺伝子とを導入する。プロモーター及び第2選択マーカー遺伝子の準備は、上述した供与体DNAの作製に準じた方法によって行うことができる。次いで、プロモーターと第2選択マーカー遺伝子とを含むDNA断片(PCR産物やベクター等)を宿主中に導入することにより形質転換体を作製する。
細菌へのDNA断片の導入方法は、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えば、カルシウムイオンを用いる方法及びエレクトロポレーション法等が挙げられる。また、宿主が枯草菌である場合には、コンピテントセル形質転換法(J. Bacterial. 93, 1925 (1967))やLP形質転換方法(T. Akamatsu及びJ. Sekiguchi, Archives of Microbiology, 1987, 146, p.353-357;T. Akamatsu及びH. Taguchi, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2001, 65,4, p.823-829)を用いることができる。
酵母へのDNA断片の導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えば電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、スフェロプラスト法及び酢酸リチウム法等が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)及びマウスL細胞などが用いられる。動物細胞へのDNA断片の導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法及びリポフェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞などが用いられる。昆虫細胞へのDNA断片の導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法及びエレクトロポレーション法等が挙げられる。
植物を宿主とする場合は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)及び植物培養細胞などが用いられる。植物へのDNA断片の導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法及びPEG法等が挙げられる。
以上のようにして、プロモーターと第2選択マーカー遺伝子とを含むDNA断片を宿主に導入することができる。なお、プロモーターと第2選択マーカー遺伝子とを、宿主DNAの特定部位に導入すべく、プロモーターと第2選択マーカー遺伝子とを含むDNA断片の両端に宿主DNAに対する相同領域を持たせる。このDNA断片を上述した導入方法で宿主に導入することで、宿主DNAとDNA断片との間で相同組換えが生じ、宿主DNAの所定の部位にプロモーターと第2選択マーカー遺伝子とを組み込むことができる。
DNA断片が宿主に組み込まれたか否かは、第2選択マーカー遺伝子を指標として確認することができる。あるいは、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法及びノーザンハイブリダイゼーション法等によりDNA断片が宿主に組み込まれたか否かの確認を行うことができる。例えば、形質転換体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。その後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物をバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認する。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法を採用してもよい。
本発明に係る宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法では、以上のように作製した供与体DNAと宿主DNAとの間において、相同組換えを行う。先ず、相同組換えが生じる条件下に、供与体DNAと宿主DNAとを近接させ、供与体DNAと宿主DNAとの間において、5'外側領域及び第1相同組換え領域における二重交差の相同組換えを生じさせる。その結果、供与体DNAの3'外側領域、第1選択マーカー遺伝子及びリプレッサー遺伝子を宿主DNAの5'外側領域と第1相同組換え領域との間に導入する。ここで、相同組換えが生じる条件下とは、宿主が本来的に有している組換え反応に関与する酵素等の機能を失っていない状態を意味する。供与体DNAと宿主DNAとの間の組換え方法としては、例えば、一般的なコンピテントセル形質転換方法(J. Bacterial. 93, 1925 (1967))、プロトプラスト形質転換法(Mol. Gen. Genet. 168, 111 (1979))、エレクトロポレーション法(FEMS Microbiol. Lett. 55, 135 (1990))又はLP形質転換方法(T. Akamatsu及びJ. Sekiguchi, Archives of Microbiology, 1987, 146, p.353-357;T. Akamatsu及びH. Taguchi, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2001, 65,4, p.823-829)が挙げられる。例えば、形質転換は、宿主が枯草菌である場合、コンピテントセル形質転換方法(J. Bacterial. 93, 1925 (1967))に従って以下の様に行うことができる。
宿主菌株を、SPI培地(0.20%(W/V) 硫酸アンモニウム、1.40%(W/V) リン酸水素二カリウム、0.60%(W/V) リン酸二水素カリウム、0.10%(W/V) クエン酸三ナトリウム二水和物、0.50%(W/V) グルコース、0.02%(W/V) カザミノ酸 (Difco)、5mM 硫酸マグネシウム、0.25μM 塩化マンガン、50μg/ml トリプトファン)において37℃で、例えば生育度(OD600)の値が1程度になるまで振盪培養する。振盪培養後、培養液の一部を9倍量のSPII培地(0.20% 硫酸アンモニウム、1.40%(W/V) リン酸水素二カリウム、0.60%(W/V) リン酸二水素カリウム、0.10% (W/V)クエン酸三ナトリウム二水和物、0.50%(W/V) グルコース、0.01%(W/V) カザミノ酸 (Difco)、5mM 硫酸マグネシウム、0.40μM 塩化マンガン、5μg/ml トリプトファン)に接種し、更に例えば生育度(OD600)の値が0.4程度になるまで振盪培養することで、宿主菌株からコンピテントセルに誘導することができる。
次いで、供与体DNAを、宿主菌株のコンピテントセルに添加する。添加する供与体DNA量は特に限定されないが、100pg〜100μg、好ましくは1ng〜10μgを添加する。またコンピテントセルは、105〜109CFU、好ましくは106〜108CFUを使用する。
供与体DNAと宿主DNAとの相同組換えを、図1に基づいてさらに具体的に説明する。図1においては、クロラムフェニコール耐性遺伝子が第1選択マーカー遺伝子であり、ネオマイシン耐性遺伝子が第2選択マーカー遺伝子である。また、araR遺伝子がリプレッサー遺伝子であり、araA遺伝子プロモーターがプロモーターである。
図1において、供与体DNAには、5'外側領域、3'外側領域、クロラムフェニコール耐性遺伝子(cat)、araR遺伝子(araR)、第1相同組換え領域の順に各領域が含まれる。なお、図1では、第1相同組換え領域は、欠失対象領域の一部である。一方、宿主DNAには、欠失対象領域、5'外側領域及び3'外側領域以外の領域に、araA遺伝子プロモーター(Para)とネオマイシン耐性遺伝子(Nm)とが挿入されている。当該宿主DNAを有する宿主(例えば、枯草菌)は、ネオマイシン耐性(NmR)である。なお、図1では、宿主DNAにおいて、5'外側領域と第1相同組換え領域とは隣接している。
先ず、供与体DNAを用いて宿主DNAを有する宿主(例えば、枯草菌)の形質転換を行うことで、供与体DNAと宿主DNAとの間で、5'外側領域及び第1相同組換え領域における二重交差の相同組換え(第1相同組換え)が生じる(図1では、相同組換えの態様を破線で示す)。その結果、宿主DNAの5'外側領域と第1相同組換え領域との間に、供与体DNAの3'外側領域、クロラムフェニコール耐性遺伝子及びaraR遺伝子を導入することができる。第1相同組換え後に得られた形質転換体においては、クロラムフェニコール耐性遺伝子が発現することとなる。従って、当該形質転換体は、クロラムフェニコール耐性(CmR)となる。また、得られた形質転換体は、araR遺伝子を発現する。araR遺伝子によってコードされるリプレッサータンパク質は、araA遺伝子プロモーターに結合し、当該プロモーターの下流に存在するネオマイシン耐性遺伝子の発現を抑制することとなる。従って、得られた形質転換体は、ネオマイシン感受性となる(NmS)。得られた形質転換体は、クロラムフェニコール耐性(ポジティブ選択)とネオマイシン感受性(ネガティブ選択)を指標に選択することができる。あるいは、形質転換体における第1相同組換えは、形質転換体の宿主DNAを鋳型とし、供与体DNAに由来する3'外側領域、クロラムフェニコール耐性遺伝子及びaraR遺伝子を対象としたPCRを行うことで確認することができる。
次いで、得られた形質転換体(例えば、枯草菌)を単コロニー化後、0〜48時間、好ましくは1〜24時間、特に好ましくは2〜3時間培養する。その間に、図1に示すように、第1相同組換え後の宿主DNAに内在する2つの3'外側領域の間で、相同組換えが生じることとなる(第2相同組換え)。その結果、宿主DNAに挿入されたクロラムフェニコール耐性遺伝子及びaraR遺伝子並びに欠失対象領域が、宿主DNAから欠失されることとなる。得られた形質転換体は、クロラムフェニコール耐性遺伝子が欠失したことにより、クロラムフェニコール感受性(CmS)となる。また、araR遺伝子が欠失したことにより、リプレッサータンパク質の発現が消失し、araA遺伝子プロモーターの下流に存在するネオマイシン耐性遺伝子が発現されることとなる。従って、得られた形質転換体は、ネオマイシン耐性(NmR)となる。得られた形質転換体は、クロラムフェニコール感受性(ネガティブ選択)とネオマイシン耐性(ポジティブ選択)を指標に選択することができる。あるいは、形質転換体における第2相同組換えは、形質転換体の宿主DNAを鋳型とし、5'外側領域と3'外側領域とを対象としたPCRを行うことで確認することができる。
一方、図1において、宿主DNAにおいて5'外側領域と第1相同組換え領域とが離れている場合には、まず第1相同組換えにおいて、供与体DNAの3'外側領域とクロラムフェニコール耐性遺伝子とaraR遺伝子とが宿主DNAに導入される。これと同時に、宿主DNAにおける5'外側領域と第1相同組換え領域とによって挟まれる欠失対象領域の一部が宿主DNAから欠失する。次いで、第2相同組換えにおいて、クロラムフェニコール耐性遺伝子、araR遺伝子及び宿主DNAにおける5'外側領域と第1相同組換え領域とによって挟まれる欠失対象領域の一部を除いた残部が宿主DNAから欠失されることとなる。
さらに、図1において、第1相同組換え領域が、例えば上記(b)の領域のうち欠失対象領域を含まないものである場合、まず第1相同組換えにおいて、供与体DNAの5'外側領域に隣接する3'外側領域とクロラムフェニコール耐性遺伝子とaraR遺伝子とが宿主DNAに導入される。これと同時に、宿主DNAにおける欠失対象領域が宿主DNAから欠失する。次いで、第2相同組換えにおいて、クロラムフェニコール耐性遺伝子及びaraR遺伝子が宿主DNAから欠失されることとなる。
以上のように説明した本発明に係る宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法によれば、宿主DNAのDNA断片を欠失させると同時に、形質転換体の選択に使用した第1選択マーカー遺伝子を確実に欠失させることができる。本発明に係る宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法では、選択マーカー遺伝子を指標とした場合に、第2相同組換え後の形質転換体が約100%(例えば、98%以上)の割合で得られる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例におけるDNA断片増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)には、GeneAmp PCR System(アプライドバイオシステムズ)を使用し、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ)と付属の試薬類を用いてDNA増幅を行った。PCRの反応液組成は、適宜希釈した鋳型DNAを1μL、センス及びアンチセンスプライマーを各々20pmol及びPyrobest DNA Polymeraseを2.5U添加して、反応液総量を50μLとした。PCRの反応条件は、98℃で10秒間、55℃で30秒間及び72℃で1〜5分間(目的増幅産物に応じて調整。目安は1kbあたり1分間)の3段階の温度変化を30回繰り返した後、72℃で5分間反応させることにより行った。なお、PCRにおいて用いたプライマーは、以下の表1に示すプライマーである。
Figure 2007111015
Figure 2007111015
また、以下の実施例において、遺伝子の上流・下流とは、複製開始点からの位置ではなく、上流とは各操作・工程において対象として捉えている遺伝子の開始コドンの5’側に続く領域を示し、一方、下流とは各操作・工程において対象として捉えている遺伝子の終始コドンの3’側に続く領域を示す。
さらに、以下の実施例における各遺伝子及び遺伝子領域の名称は、Nature, 390, 249-256,(1997)で報告され、JAFAN: Japan Functional Analysis Network for Bacillus subtilis (BSORF DB)でインターネット公開(http://bacillus.genome.ad.jp/、2004年3月10日更新)された枯草菌ゲノムデータに基づいて記載している。
〔実施例1〕マーカーフリー遺伝子改変株の作製
1. カセットの作製(PNm及びCRC)
図2には、本実施例で用いるPNm(ParaA-neo)カセット及びCRC(cat-araR)カセットを示す。PNmカセットは、枯草菌168株由来のaraA遺伝子プロモーター(ParaA)(配列番号3)の下流にネオマイシン耐性遺伝子(neo)を連結したカセットである。一方、CRCカセットは、クロラムフェニコール耐性遺伝子(cat)の下流にaraR遺伝子(塩基配列:配列番号1、アミノ酸配列:配列番号2)を連結したカセットである。なお、クロラムフェニコール耐性遺伝子(cat)とaraR遺伝子との間には、araR遺伝子プロモーター(配列番号58)が存在する。
以下では、PNmカセット及びCRCカセットの作製方法を説明する。
(1) PNmカセットの作製
枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示したParaf(配列番号30)及びPara/Nmr(配列番号31)のプライマーセットを用いて、ゲノム中のaraA遺伝子のプロモーター領域0.2kb断片(A)をPCRにより増幅した。また、プラスミドpUB110(Plasmid 15, 93 (1986))を鋳型とし、表1に示したNmf(配列番号32)及びNmr(配列番号33)のプライマーセットを用いて、プロモーターを含まない0.85kbのネオマイシン耐性遺伝子(Nm)断片をPCRによって調製した。
次いで、得られた断片(A)とNm断片を混合して鋳型とし、上記プライマーParaf(配列番号30)及びNmr(配列番号33)を用いたSOE(splicing by overlap extension)-PCR(Gene 77, 61 (1989))を行うことによって、araA遺伝子のプロモーター領域(オペレーター)の下流にネオマイシン耐性遺伝子断片(第2選択マーカー遺伝子)が連結したPNmカセット(1.1kb)を調製した。
(2) CRCカセットの作製
プラスミドpC194(J. Bacteriol. 150 (2) 815 (1982))を鋳型とし、表1に示したcatf(配列番号34)及びcatr(配列番号35)のプライマーセットを用いてクロラムフェニコール耐性遺伝子(Cm)断片(0.9kb)をPCRによって調製した。また、枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示したaraRf/Cm(配列番号36)及びaraRr(配列番号37)のプライマーセットを用いて、ゲノム中のプロモーター(配列番号58)を含むaraR遺伝子領域1.3kb断片(B)をPCRにより増幅した。
次いで、得られたCm断片と断片(B)を混合して鋳型とし、上記プライマーcatf(配列番号34)及びaraRr(配列番号37)を用いたSOE-PCRを行うことによって、クロラムフェニコール耐性遺伝子(Cm)(第1選択マーカー遺伝子)の下流にaraR遺伝子(リプレッサー遺伝子)が連結したCRCカセット(2.1kb)を調製した。
2. AR3株(オペレーターと第2選択マーカー遺伝子とを導入した宿主DNAを有する菌株)の作製
図3に示すように、マーカーフリー削除菌株構築の際のベース株であるAR3株を以下のように構築した。なお、図3において、B、D、L、M、N、P及びQの記号は、所定のL-アラビノース資化遺伝子(ara遺伝子)群である。また、Paraは、araA遺伝子プロモーターを意味する。
枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示したaraRfw(配列番号38)及びaraR/PNmr(配列番号39)のプライマーセットを用いて、ゲノム中のaraR遺伝子の上流に隣接する1.0kb断片(C)をPCRにより増幅した。また、上記ゲノムDNAを鋳型として、表1に示したaraR/PNmf(配列番号40)及びaraRrv(配列番号41)のプライマーセットを用いて、ゲノム中のaraR遺伝子の下流に隣接する1.0kb断片(D)をPCRにより増幅した。
次に、得られた1.0kb断片(C)、1.0kb断片(D)及び上記1(カセットの作製)で得られたPNmカセットの3断片を混合して鋳型として、表1に示したaraRfw2(配列番号42)及びaraRrv2(配列番号43)のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、3断片が、1.0kb断片(C)、PNmカセット、1.0kb断片(D)の順に含まれる3.1kbのPCR断片を得た。
さらに、コンピテントセル形質転換法(J. Bacterial. 93, 1925 (1967))によって、得られたPCR断片を用いて、枯草菌168株の形質転換を行った。形質転換後、ネオマイシン(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。
得られた形質転換体のゲノムDNAを抽出し、PCRによってaraR遺伝子が欠失し、相同組換えによりaraR遺伝子がPNmカセットに置換していることを確認した。以上のように、枯草菌におけるゲノムDNAのaraR遺伝子部位にPNmカセットを挿入したAR3株を構築した。
3. AR31株及びAR32株(第1相同組換え後の形質転換体)の作製
(1) AR31株の作製
以下に、図4に従って、AR31株の作製を説明する。
枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示したiolfw(配列番号44)及びiol/csbCUr(配列番号45)のプライマーセットを用いて、ゲノム中のiolR遺伝子を含む1.0kb断片(E)(5'外側領域)をPCRにより増幅した。また、上記ゲノムDNAを鋳型として、表1に示したiol/CRf(配列番号46)及びiolrv(配列番号47)のプライマーセットを用いて、ゲノム中のiolS遺伝子を含む1.0kb断片(F)(第1相同組換え領域)をPCRにより増幅した。さらに、上記ゲノムDNAを鋳型として、表1に示したcsbC-Df(配列番号48)及びcsbC/Cmr(配列番号49)のプライマーセットを用いて、ゲノム中のcsbC遺伝子の下流に隣接する1.0kb断片(G)(3'外側領域)をPCRにより増幅した。
次に、得られた1.0kb断片(G)及び上記1(カセットの作製)で得られたCRCカセットの2断片を混合して鋳型として、表1に示したcsbC-Df(配列番号48)及びaraRr(配列番号37)のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、2断片が、1.0kb断片(G)、CRCカセットの順に含まれる3.1kbのPCR断片(H)を得た。
次に、得られた1.0kb断片(E)、3.1kb断片(H)及び1.0kb断片(F)の3断片を混合して鋳型として、表1に示したiolfw2(配列番号50)及びiolrv2(配列番号51)のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、3断片が、1.0kb断片(E)、3.1kb断片(H)及び1.0kb断片(F)の順に含まれる5.1kbのPCR断片(供与体DNA)を得た。
さらに、コンピテントセル形質転換法(J. Bacterial. 93, 1925 (1967))によって、得られた5.1kbのPCR断片を用いて、AR3株の形質転換を行った。形質転換後、クロラムフェニコール(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した(形質転換体55個/mL)。
得られた形質転換体のゲノムDNAを抽出し、iolR遺伝子とiolS遺伝子との間に相同組換えによりcsbC遺伝子下流の1.0kb断片(G)とCRCカセットが挿入していることをPCRにより確認した。PCRの結果(電気泳動写真)を図5に示す。なお、図5において、各レーン1〜4は、図4に示す1〜4の領域に対応するPCR産物の結果を示す。尚、1〜4の領域の増幅には、それぞれiolfw2(配列番号50)とcatr(配列番号35)、csbC-Df(配列番号48)とaraRr(配列番号37)、catf(配列番号34)とiolrv2(配列番号51)、csbC-Df(配列番号48)とiolrv2(配列番号51)のプライマーセットを用いた。また、Mレーンは、分子量マーカーを示す。
図5に示すように、予想されるPCR産物の増幅が確認でき、iolR遺伝子とiolS遺伝子との間に相同組換えによりcsbC遺伝子下流の1.0kb断片(G)とCRCカセットが挿入していることを確認した。
以上のようにAR31株を構築した。
(2) AR32株の作製
以下に、図6に従って、AR32株の作製を説明する。
枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示したhutMfw(配列番号52)及びhutM-Dr(配列番号53)のプライマーセットを用いて、ゲノム中のhutM遺伝子の上流に隣接する1.0kb断片(I)(5'外側領域)をPCRにより増幅した。また、上記ゲノムDNAを鋳型として、表1に示したhutM/CRf(配列番号54)及びhutMrv(配列番号55)のプライマーセットを用いて、ゲノム中のhutM遺伝子の下流に隣接する1.0kb断片(J)(第1相同組換え領域)をPCRにより増幅した。
次に、得られた1.0kb断片(I)、上記3(1)(AR31株の作製)で得られた3.1kb断片(H)及び1.0kb断片(J)の3断片を混合して鋳型として、表1に示したhutMfw2(配列番号56)及びhutMrv2(配列番号57)のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、3断片が、1.0kb断片(I)、3.1kb断片(H)及び1.0kb断片(J)の順に含まれる5.1kbのPCR断片(供与体DNA)を得た。
さらに、コンピテントセル形質転換法によって、得られた5.1kbのPCR断片を用いて、AR3株の形質転換を行った。形質転換後、クロラムフェニコール(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した(形質転換体20個/mL)。
得られた形質転換体のゲノムDNAを抽出し、PCRによってhutM遺伝子が欠失し、相同組換えによりhutM遺伝子が3.1kbのPCR断片(H)に置換していることを確認した。PCRの結果(電気泳動写真)を図7に示す。なお、図7において、各レーン1〜4は、図6に示す1〜4の領域に対応するPCR産物の結果を示す。尚、1〜4の領域の増幅には、それぞれhutMfw2(配列番号56)とcatr(配列番号35)、csbC-Df(配列番号48)とaraRr(配列番号37)、catf(配列番号34)とhutMrv2(配列番号57)、csbC-Df(配列番号48)とhutMrv2(配列番号57)のプライマーセットを用いた。また、Mレーンは、分子量マーカーを示す。
図7に示すように、予想されるPCR産物の増幅が確認でき、hutM遺伝子が欠失し、相同組換えによりhutM遺伝子が3.1kbのPCR断片(H)に置換していることを確認した。
以上のようにAR32株を構築した。
4. マーカーフリー削除株(AR31d株及びAR32d株;第2相同組換え後の形質転換体)の選抜
(1) 3.8kb削除株(AR31d株)の選抜
以下に、図4に従って、AR31d株の選抜を説明する。
上記3(1)(AR31株の作製)で得られたAR31株をLB培地に植菌し、37℃で4時間振とう培養した。その培養液をLB培地で適当に希釈し、ネオマイシンを含むLB寒天培地にまき、37℃で一晩培養した。培養後、生育したコロニーの寒天培地にまく時の生菌数に対する割合は1.76 x 10-4であった。次に、そのコロニー100個をクロラムフェニコールを含むLB寒天培地にレプリカしたところ、全てクロラムフェニコール感受性であった。さらに、そのネオマイシン耐性でクロラムフェニコール感受性のコロニー6個からゲノムDNAを抽出し、iolfw(配列番号44)とcsbC/Cmr(配列番号49)のプライマーセットを用いたPCRによってiolS遺伝子からcsbC遺伝子までの3.8kbの断片(欠失対象領域)が欠失したことを確認した。PCRの結果(電気泳動写真)を図8に示す。なお、図8において、各レーン1〜6は、上述した6個のコロニーの各PCR産物の結果を示す。また、Mレーンは、分子量マーカーを示す。
図8に示すように、図4に示すiolR遺伝子と1.0kb断片(G)とを含む予想される2kbのPCR産物の増幅が確認でき、iolS遺伝子からcsbC遺伝子までの3.8kbの断片が欠失したことを確認した。このように得られた株をAR31d株と命名した。
(2) 42kb削除株(AR32d株)の選抜
以下に、図6に従って、AR32d株の選抜を説明する。
上記3(2)(AR32株の作製)で得られたAR32株をLB培地に植菌し、37℃で4時間振とう培養した。その培養液をLB培地で適当に希釈し、ネオマイシンを含むLB寒天培地にまき、37℃で一晩培養した。培養後、生育したコロニーの寒天培地にまく時の生菌数に対する割合は1.18 x 10-4であった。次に、そのコロニー100個をクロラムフェニコールを含むLB寒天培地にレプリカしたところ、98個がクロラムフェニコール感受性であった。さらに、そのネオマイシン耐性でクロラムフェニコール感受性のコロニー6個からゲノムDNAを抽出し、hutMfw(配列番号52)とcsbC/Cmr(配列番号49)のプライマーセットを用いたPCRによってhutM遺伝子からcsbC遺伝子までの42kbの断片(欠失対象領域)が欠失したことを確認した。PCRの結果(電気泳動写真)を図9に示す。なお、図9において、各レーン1〜6は、上述した6個のコロニーの各PCR産物の結果を示す。また、Mレーンは、分子量マーカーを示す。
図9に示すように、図6に示す1.0kb断片(I)と1.0kb断片(G)とを含む予想される2kbのPCR産物の増幅が確認でき、hutM遺伝子からcsbC遺伝子までの42kbの断片が欠失したことを確認した。このように得られた株をAR32d株と命名した。
図1は、供与体DNAと宿主DNAとの相同組換えの模式図を示す。 図2は、PNm(ParaA-neo)カセット及びCRC(cat-araR)カセットを示す。 図3は、AR3株(ベース株)の作製を示す。 図4は、AR31株及びAR31d株の作製を示す。 図5は、AR31株のゲノムDNAにおけるPCRの結果(電気泳動写真)を示す。 図6は、AR32株及びAR32d株の作製を示す。 図7は、AR32株のゲノムDNAにおけるPCRの結果(電気泳動写真)を示す。 図8は、AR31d株のゲノムDNAにおけるPCRの結果(電気泳動写真)を示す。 図9は、AR32d株のゲノムDNAにおけるPCRの結果(電気泳動写真)を示す。
配列番号30〜57は、プライマーである。

Claims (10)

  1. 供与体DNAと宿主DNAとの間で相同組換えを行う工程を含む宿主DNAの欠失対象領域を欠失させる方法であって、
    上記欠失方法は、
    宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の5'側領域、3'側領域及び宿主DNAの有する第1相同組換え領域を有し、更に第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを有する供与体DNAと、宿主DNAとにおいて、前記5’側領域と前記第1相同組換え領域との間で相同組換えを行う第1工程と、
    上記相同組換え後の宿主DNAにおいて、宿主DNA由来の欠失対象領域の外側の3'側領域と供与体DNA由来の宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の3'側領域との間で相同組換えを行う第2工程とを含み、
    上記第1相同組換え領域は、
    (a)欠失対象領域の一部又は全部からなる領域、又は
    (b)前記3'側領域の5'末端を含む領域、
    であり、
    上記第2工程後には、宿主DNAから第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子及び欠失対象領域が欠失されることを特徴とする、宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
  2. 上記宿主DNAにおいて、欠失対象領域、欠失対象領域の外側の5'側領域及び3'側領域以外の領域に、上記リプレッサーに制御されるオペレーターを含むプロモーターの下流に第2選択マーカー遺伝子が存在することを特徴とする、請求項1記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
  3. 上記第1工程後に、第1選択マーカー遺伝子を指標に、上記供与体DNA由来の宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の3'側領域と第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを有する形質転換体を選択する工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
  4. 上記第1工程後に、第1選択マーカー遺伝子及び/又は第2選択マーカー遺伝子を指標に、上記供与体DNA由来の宿主DNAの有する欠失対象領域の外側の3'側領域と第1選択マーカー遺伝子とリプレッサー遺伝子とを有する形質転換体を選択する工程を含むことを特徴とする、請求項2記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
  5. 上記第2工程後に、第1選択マーカー遺伝子を指標に、第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子及び欠失対象領域を欠失した形質転換体を選択する工程を含むことを特徴とする、請求項1又は3記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
  6. 上記第2工程後に、第1選択マーカー遺伝子及び/又は第2選択マーカー遺伝子を指標に、第1選択マーカー遺伝子、リプレッサー遺伝子及び欠失対象領域を欠失した形質転換体を選択する工程を含むことを特徴とする、請求項2又は4記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
  7. 上記選択マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
  8. 上記リプレッサー遺伝子がaraR遺伝子であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
  9. 上記宿主が枯草菌であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の宿主DNAの欠失対象領域の欠失方法によって得られた形質転換体。
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