JP2007110973A - 採卵用家禽飼料添加用組成物 - Google Patents

採卵用家禽飼料添加用組成物 Download PDF

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啓一 籠谷
Narihisa Obata
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Abstract

【課題】本発明は、揮発性の天然香辛料由来精油を採卵用家禽飼料に配合し、風味のよい家禽卵を効率よく家禽に産生させることを目的とする。
【解決手段】天然香辛料由来精油と穀物粉を含有することを特徴とする採卵用家禽飼料添加用組成物及びかかる組成物を家禽に給与する飼育方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然香辛料由来精油と小麦粉等の穀物粉とを含有する採卵用家禽飼料添加用組成物、該組成物を添加した採卵用家禽飼料、該飼料を給与して飼育する採卵用家禽の飼育方法に関する。
採卵用家禽飼料は、とうもろこし、マイロ、大豆粕、なたね粕、魚粉、油脂等を原料として製造されるが、特に魚粉等の魚類由来の原料を用いた飼料を給与して飼育した場合、得られる家禽卵は魚臭いという問題があった。このため、従来の家禽卵が持つ魚臭を大幅に低減させ、優れた風味を醸し出す飼料として天然香辛料や香草等を配合した飼料が知られている。この様な飼料としては、例えばニクズク科、アブラナ科、ミカン科、ゴマ科、コショウ科、セリ科、フトモモ科、ナス科、シソ科、クスノキ科及びショウガ科からなる群から選択される天然香辛料を添加した採卵用家禽飼料(特許文献1参照。)、レモンバーム、カモマイル及びオレガノから選択される香草・ハーブを含有する採卵用鶏の飼料(特許文献2参照。)等が知られている。また、コレステロール含有量が低く、抗菌性を有し、かつ風味のよい家禽卵を産生させるための飼料として、特定種類のスパイス・ハーブを含有した飼料(特許文献3参照。)やシソ科のハーブから選択される少なくとも1種を有効成分として含有することからなる家禽の卵中の肉斑及び/又は血斑を低減させる卵の品質改善剤、又は該改善剤を添加してなる家禽用の飼料(特許文献4参照。)等が知られている。
天然香辛料等の有用成分は精油であるが、天然香辛料等から抽出された精油をそのまま飼料に混合しても、飼料中において精油の安定性が悪く充分な効果が得られないことが知られている(特許文献1参照。)。このため、上記した天然香辛料や香草等は、採取された植物をそのまま又はその乾燥物、粉砕物、及びこれらをペレット等に成形した形態で飼料に配合されるものである。しかし、植物そのまま又はその乾燥物等では、それら天然香辛料や香草の有用成分である精油の含有割合が、天然香辛料や香草等の産地や採取時期等により異なり、一定の品質の飼料を調製することは困難である。このことは、天然香辛料等を配合した飼料を給与された家禽が製造する一定品質の家禽卵を安定供給することも困難となる。
特開平09−098725号公報 特開2002−095425号公報 特開2003−033141号公報 特開2004−242535号公報
本発明は、揮発性の天然香辛料由来精油を採卵用家禽飼料に配合し、風味のよい家禽卵を効率よく家禽に産生させることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究をおこなった。その結果、天然香辛料由来精油、例えばクローブから抽出された精油のオイゲノールを、小麦粉等の穀物粉と混合した組成物を飼料に配合すると、意外にも飼料中でのオイゲノールが安定であることを知見した。また、かかる組成物を家禽に給与すると、卵が有する抗酸化能が増強された風味のよい卵を効率よく産生させ得ることを知見した。本発明者らは、これら知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1] 天然香辛料由来精油と穀物粉を含有することを特徴とする採卵用家禽飼料添加用組成物、
[2] 穀物粉が小麦粉であることを特徴とする前記[1]記載の採卵用家禽飼料添加用組成物、
[3] 天然香辛料がクローブ、オレガノ、シナモン、ローズマリー及びセージから選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]又は[2]記載の採卵用家禽飼料添加用組成物、
[4] 天然香辛料由来精油がオイゲノール、カルバクロール、チモール、ケイヒアルデヒド、シネオール、ピネン、リモネン、カンファ、ボルネオール及びサルビオールから選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする前記[1]又は[2]記載の採卵用家禽飼料添加用組成物、
[5] 天然香辛料由来精油がオイゲノールを50質量%以上含有することを特徴とする前記[1]又は[2]記載の採卵用家禽飼料添加用組成物、
[6] 穀物粉に対する天然香辛料由来精油の含有割合が1〜10質量%であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の採卵用家禽飼料添加用組成物、
[7] 前記[1]〜[6]のいずれかに記載の採卵用家禽飼料添加用組成物を添加した家禽飼料を給与して飼育することを特徴とする採卵用家禽の飼育方法、
[8] 家禽飼料に対する天然香辛料由来精油の含有割合が0.01質量%以上1質量%未満であることを特徴とする前記[7]記載の採卵用家禽の飼育方法、
[9] 前記[8]記載の方法により飼育した家禽が産生する家禽卵、
[10] 前記[9]記載の家禽卵を用いて製造することを特徴とする家禽卵食品、及び
[11] 天然香辛料由来精油と穀物粉とを含有することを特徴とする家禽飼料、
に関する。
本発明に係る採卵用家禽飼料添加用組成物は、天然香辛料由来精油に穀物粉が配合されることによって、揮発性の天然香辛料由来精油が安定化されるという効果を有している。
また、かかる組成物を添加した家禽飼料を給与して飼育した家禽は、産卵率も良好であり、かつ該家禽が産卵した卵は、本発明に係る組成物を給与しないで飼育した家禽が産生する卵より重量も重く大きいので、卵の外見的品質を向上できる。
さらに、本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物を給与して飼育した家禽が産生する卵は、該組成物に含まれる精油成分が取り込まれているので、従来の卵が有する魚臭や生臭さ等の異臭が抑制され、風味がよい。また、本発明に係る採卵用家禽飼料添加用組成物に含まれる精油成分が卵に取り込まれることによって、従来卵が有する抗酸化能が増強される。
また、精油の含有割合が一定しない天然香辛料や香草をそのまま、又は飼料と混合して家禽に給与する場合と比較して、本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物は天然香辛料由来精油を含有するので、飼料に配合する天然香辛料等の有効成分である精油を常に一定濃度とすることができる。従って、本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物を飼料に配合することにより、前記卵の風味や抗酸化能等の効果を一定に保つことができることになり、常に一定品質の卵を安定に供給できる。
本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物を配合した家禽飼料を給与された家禽が産生する卵は、現在健康食品の分野で注目されている抗酸化能が強化された機能性卵として有用である。
本発明に係る採卵用家禽飼料添加用組成物に用いられる穀物粉は、穀物を粉引き機や粉砕機等で粉末としたものであればよく、穀物粉として通常市販されている穀物粉も用いることができる。穀物粉としては、具体的には、例えば小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、そば粉又はトウモロコシ粉等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。とりわけ小麦粉が好ましい。但し、糠類(穀物の種皮や胚芽等の粉末)、ふすま又は籾殻のみの粉末は、本発明に係る採卵用家禽飼料添加用組成物に用いられる穀物粉から除かれる。
本発明に係る採卵用家禽飼料添加用組成物に用いられる天然香辛料由来精油としては、特に限定されないが、ハッカ、ユーカリ、シトロネラ、カヤプテ、サルビア、タイム、クローブ、ベージル、ジャスミン、カモミル、ネロリ、ペリラ、マジョラム、ローレル、ジュニパーベリー、ナッツメグ、ジンジャー、オニオン、ガーリック、ベルガモット、ラベンダー、ローズマリー、オレガノ、ベージル、ペパーミント、樟脳、オレンジ、レモン、クラリーセージ、ローズ、セージ、プチグレン又はシナモン等に由来する精油が挙げられ、好ましくはクローブ(Eugenia caryophyllata又はSyzygium aromaticum)、オレガノ(Origanum compactum)、シナモン(Cinnamomum zeylanicum)、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)又はセージ(Salvia officinalis)等に由来する精油が挙げられる。これらは1種を選択して用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に係る天然香辛料由来精油は、通常、天然香辛料を水蒸気蒸留して得ることができる。例えばクローブ由来精油は、クローブの開花前の花蕾を摘み取り、良く乾燥して水蒸気蒸留することにより通常約15〜20質量%の収油率で得られる。
オレガノ由来精油は、花が咲いているオレガノ全草を、シナモン由来精油は、シナモンの花蕾、樹皮又は/及び葉を、ローズマリー由来精油は、ローズマリーの葉を、セージ由来精油はセージの花と葉を、それぞれクローブと同様に水蒸気蒸留することにより得ることができる。
本発明に係る採卵用家禽飼料添加用組成物は、天然香辛料由来精油と穀物粉を混合することにより得ることができる。該混合の方法は自体公知の方法を用いることができ、例えば、手による撹拌、撹拌棒や攪拌器等を用いることにより行うことができる。
本発明に係る天然香辛料由来精油は、アネトール、メントール、シトラール、シネオール、ゲランオール、ボルネオール、ラバンデュロール、リナロール、オイゲノール、カルバクロール、チモール、ケイヒアルデヒド、シネオール、ピネン、リモネン、カンファ、ボルネオール及びサルビオールから選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、オイゲノール、カルバクロール、チモール、ケイヒアルデヒド、シネオール、ピネン、リモネン、カンファ、ボルネオール及びサルビオールから選択される少なくとも1種を含有することがより好ましい。また天然香辛料由来精油がオイゲノールを約50質量%以上、好ましくは約70質量%以上、より好ましくは約80質量%以上含有することが好ましい。
本発明に係る採卵用家禽飼料添加用組成物は、穀物粉に対して、天然香辛料由来精油を約1質量%以上50質量%以下、好ましくは約1〜10質量%、より好ましくは約1〜5質量%含む場合が効果的である。
本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物は、そのまま家禽飼料として使用することができるが、通常は一般に使用される家禽飼料に添加することが便宜である。かかる飼料に含まれる原材料としては、特に限定されないが、例えばとうもろこし、マイロ、大麦、小麦又はそば等の穀類;ふすま、米糠、麦糠又はコーングルテンフィード等の糟糠類;大豆油粕、綿実油粕又はコーングルテンミール等の植物性油粕類;魚粉、ミートミール又はチキンミール;骨肉粉等の動物性原料等が挙げられる。これらは家禽の種類、日齢、家禽が産生する卵に要求される風味等を考慮して、1種類又は2種類以上を適宜配合することができる。
家禽飼料には、上記原料の他、卵の品質向上、家禽の抗ストレス等の目的で通常添加される添加物を配合してもよい。かかる添加物としては、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カキガラ又は卵殻等のミネラル類;ラード又は牛脂等の動物性油脂;食塩;無水ケイ酸;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB、ビタミンB、パントテン酸、コリン、ビタミンB12、ニコチン酸、ビタミンB、葉酸又はビタミンK等のビタミン類;硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、ヨウ素酸カルシウム等の微量金属元素;メチオニン、リジン、トリプトファン又はベタイン等のアミノ酸;エトキシキン等の抗酸化剤;硫酸コリスチン、エンラマイシン、アンプロリウム又はエトパベート等の抗菌剤;ぶどう糖、オリゴ糖等の糖類;デキストラン発酵副産濃縮液:パプリカ又はパプリカ抽出処理物等の色素;ゼオライト;木酢精製液;海藻;ヨモギ粉末;酵素処理ヤシ油かす等が挙げられる。これら添加物は、1種類又は2種類以上を配合できる。
また、家禽飼料は、原材料に該添加物が1種類又は2種類以上配合された市販の家禽用配合飼料等であってもよい。
上記添加物は、本発明に係る採卵用家禽飼料添加用組成物に添加してもよい。
本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物は、上記家禽飼料に添加、混合され、配合飼料として家禽に給与し得る。この場合、本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物は、家禽飼料に対する天然香辛料由来精油の含有割合が、約0.01質量%以上1質量%未満、好ましくは約0.01質量%以上0.4質量%未満、さらに好ましくは約0.025〜0.2質量%となるように添加され、混合されるのが好ましい。
本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物を上記家禽飼料に添加して混合する方法は、自体公知の方法を用いてよく、例えば攪拌器を用いる等適当な方法を用いて行うことができる。
本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物と家禽飼料との混合時期は限定されず、家禽飼料調製時でも、家禽への飼料給与直前であってもよい。
また、本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物は、採卵用家禽飼料に添加せず、そのまま家禽に給与することもできる。
また、本発明は、採卵用家禽飼料添加用組成物を添加した家禽飼料を家禽に給与して飼育する採卵用家禽の飼育方法に関する。採卵用家禽としては、特に限定されないが、例えばニワトリ(例えば、白色レグホン、ジュリア、マリア、デカルブホワイト、イサホワイト若しくはニーナ等の白卵産卵鶏種全般、デカリブブラウン、ソニア若しくはボリスブラウン等の色卵産卵鶏種全般、ロードアイランドレッド、名古屋コーチン、比内鶏、白色プリマスロック、アローカナ又は烏骨鶏等)、アヒル、うずら、ダチョウ、カモ等が好ましく挙げられる。
かかる家禽に給与する採卵用家禽飼料添加用組成物の量は、該組成物における天然香辛料由来精油の含有量、家禽の種類、日齢、大きさ等により異なるが、家禽飼料中の天然香辛料由来精油が、通常、採卵用ニワトリ(成鳥)1羽当たり約0.01g/日以上1g/日未満、好ましくは約0.02〜0.5g/日、さらに好ましくは約0.025〜0.2g/日程度となる量が好ましい。また、採卵用家禽飼料添加用組成物を添加した家禽飼料は、1日数回に分けて給与することが好ましい。
上記方法により飼育された家禽は、産卵率を向上させ得る。また該家禽が産卵した卵は、例えばサイズが大きい又は重量が重い等、外見的に高品質となり得る。また、該卵は、精油成分が卵内に移行するので、従来の魚臭等の異臭を大幅に低減させ、優れた風味を醸し出し、さらに卵が有する抗酸化能を向上させ得る。
上記方法により飼育された家禽が産生した家禽卵は、風味のよい卵として、また、抗酸化能を向上させた機能性卵としてそのまま食することができる。また該家禽卵は、そのまま加熱するか、あるいは調味料、他の食品物等と共に調理等して家禽卵食品とすることもできる。家禽卵食品としては、例えばゆで卵、温泉卵、出し巻き卵、オムレツ、茶碗蒸し、卵豆腐、伊達巻、卵スープ、ケーキ、カステラ、プリン、ドラ焼き、シュークリーム、マヨネーズ、タマゴサラダ又はドレッシング類等が挙げられるが、これらに限定されない。
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
採卵用家禽飼料添加用組成物
オイゲノールを80%含有するクローブオイルと小麦粉(赤馬車;奥本製粉社製)を以下の割合でそれぞれ混合し、均一な採卵用家禽飼料添加用組成物(実施例1−1、1−2、1−3)を得た。
実施例1−1
クローブオイル 2質量部
小麦粉 98質量部
実施例1−2
クローブオイル 5質量部
小麦粉 95質量部
実施例1−3
クローブオイル 10質量部
小麦粉 90質量部
クローブオイルの安定性試験
実施例1で得た採卵用家禽飼料添加用組成物(実施例1−1、1−2、1−3)を、飼料(米ぬか:小麦ふすま=1:1(質量部))に対してそれぞれ10質量%となるように添加し、混合して均一とした。採卵用家禽飼料添加用組成物(実施例1−1、1−2、1−3)を混合した家禽飼料を室温で一定期間(7日、30日、90日又は180日)放置した後、クローブオイルの有効成分であるオイゲノールをGC/MS−SIM(ガスクロマトグラフ/質量分析計−選択イオン検出)法によって測定した。なお、対照として、上記飼料にクローブオイルが10質量%となるように添加し、混合した飼料を使用した。
飼料中のオイゲノールは、採卵用家禽飼料添加用組成物(実施例1−1、1−2、1−3)またはクローブオイルを混合した飼料10gを水蒸気蒸留して抽出した。
GC/MS−SIMは、以下の条件で行なった。
GC/MS−SIM測定条件:
装置 :Agilent technologies製
GC:GC−5890II MS:5971A
カラム:Supelcowa×10[0.25mmφ×30m(膜厚0.25μm)]
カラム温度:40℃(0.5min)−20℃/min−280℃(10min)
注入温度:220℃
インターフェイス温度:280℃
キャリアーガス:ヘリウム 50kPa
注入法:スプリットレス 0.5min
EM電圧:2200eV
測定質量数:オイゲノール m/z=149,164(定量イオン)
注入量:1μL
その結果を表1に示した。クローブオイルだけを飼料に添加し、混合した対照と比較して、採卵用家禽飼料添加用組成物(実施例1−1、1−2、1−3)を飼料に混合した場合には、6ヶ月間経過した後であっても、クローブオイル(オイゲノール)が安定に存在し、クローブオイルが揮発や分解していないことがわかった。
Figure 2007110973
家禽飼育試験
(1)飼料
マルト成鶏用配合飼料(ネオセーフティ17;豊橋飼料株式会社製)に対して、採卵用家禽飼料添加用組成物(実施例1−2)を、表2の配合割合となるように添加し、均一に混合したものをそれぞれ試験飼料1、2、3とした。
Figure 2007110973
(2)試験家禽
試験家禽としてボリスブラウン(雌、130日齢)を使用した。ボリスブラウンは産卵率が安定するまで基礎飼料を給与した。産卵率が安定したボリスブラウン(153日齢)を基礎飼料給与群(以下、対照群という。)、試験飼料1給与群(以下、試験飼料1群という。)、試験飼料2給与群(以下、試験飼料2群という。)及び試験飼料3給与群(以下、試験飼料3群という。)の4群(各群:20羽)に分け試験に供した。
(3)家禽産生卵の品質
試験開始から、毎日家禽が産卵した卵を採卵し、産卵個数から産卵率を算出した。また卵重量及び食下量を測定した。
試験開始2週間の結果を表3に示した。試験飼料1群、2群及び3群は対称群に比較して、産卵率の増加が認められた。また、試験飼料1群、2群及び3群において、産卵個数及び平均卵重量の増大が認められた。なお、各群における食下量にほとんど差は認められなかった。また、黄身の色調、卵殻の強度に差は認められなかった。
Figure 2007110973
(4)試験家禽が産生した卵の食味評価
試験開始5週間後(189日齢)に、対照群と試験飼料2群が産卵した卵をゆで卵とし、該ゆで卵の臭い、味及び食感について対象群のそれとそれぞれ比較して評価した。評価は、ゆで卵を食したパネラー18人に対して行った。その結果を表4に示す。なお、ゆで卵は、鍋に卵と卵がかぶるくらいの水及び塩少々を入れて火にかけ、沸騰した後に10分間弱火でゆで、そして常温まで冷やすことによって作成した。
結果として、試験飼料2群を給与した家禽が産卵した卵は、通常の卵に比較して、臭い、味及び食感がよいことがわかった(表4)。
Figure 2007110973
(5)卵への精油の移行量の測定
卵黄1個分(約10〜15g)を500mLの丸底フラスコに入れ、蒸留水150mL、リン酸2mLを加えて水蒸気蒸留を行い、留液を150mL以上採取した。ついで、採取した留液約150mLにリン酸1mL、塩化ナトリウム30gを添加し、ヘキサン(和光純薬工業社製;残留農薬・PCB試験用)100mLを加え激しく振騰したのち、ヘキサン層を分離した。留液層にヘキサン100mLを再度加え同様に振騰してヘキサン層を分離した。分離したヘキサン層の溶液200mLを5mLまで減圧濃縮した。濃縮した液は、GC/MS−SIM測定用試料とした。該測定用試料はGC/MS−SIMを用いる定量分析に付し該試料中のオイゲノール量を測定した。
GC/MS−SIMは実施例2と同じ測定条件で行なった。
卵黄中のオイゲノール量の測定結果を表5に示す。試験開始2週間後(167日齢)における対照群の卵黄では、オイゲノール量は検出限界以下(50ppb以下)であった。一方、試験開始2週間後(167日齢)における試験飼料1群、2群及び3群の卵黄では、オイゲノールが検出され、該卵黄中のオイゲノール量は、飼料に含まれるクローブオイル(オイゲノール)の濃度に依存して増加した。本結果は、本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物を配合した飼料を給与した家禽は、天然香辛料由来精油成分を含有する卵を産卵し得ることを示している。
また、試験開始7週間後(203日齢)における試験飼料1群及び2群の卵黄では、試験開始2週間後の卵黄よりオイゲノール量が増加したが、試験開始12週間後(237日齢)における試験飼料1群の卵黄中のオイゲノールは試験開始7週間後のそれと殆ど同じであった。本結果は、本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物を配合した飼料を継続給与した家禽は、天然香辛料由来精油成分を一定量含有する卵を産卵し得ることを示している。これは、天然香辛料由来精油成分を一定量含む卵を安定供給できることを示すものである。
Figure 2007110973
(6)ラジカル捕捉活性の測定
試験開始5週間後(189日齢)の卵のラジカル捕捉活性(%)は、DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)−吸光度法によって測定した。
(イ)試料の調製
卵を90℃で10分間処理し、ゆで卵とし、卵黄と卵白を分離し、それぞれ凍結乾燥した。ついで、凍結乾燥した卵2個分の卵黄及び卵白に対し、それぞれメタノール(150mL)を加え、85℃で4時間加熱抽出後、約1/4まで減圧濃縮した。濃縮液をセライトでろ過し、ろ液をメタノールで50mLとし、試料とした。
(ロ)DPPH−吸光度法
上記(イ)で得た試料(0.4mL)にトリス塩酸緩衝液(pH7.3)を1.6mL加え、次いでDPPH(0.2mM)メタノール溶液を2.0mL加えて攪拌した。その後、その混合溶液を20分間常温で静置して吸光度計で波長517nmにおける吸光度を測定した。
(ハ)結果
卵黄のラジカル捕捉活性の結果を表6に示すが、試験飼料1群、2群及び3群の卵黄は、対照群の卵黄に比較して、ラジカル捕捉活性(%)が高かった。本結果は、本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物を配合した飼料が、卵の抗酸化能を増強させたことを示すものである。なお、卵白のラジカル捕捉活性は、試験飼料1群、2群又は3群と対照群との間に差は認められなかった。
Figure 2007110973
本発明の採卵用家禽飼料添加用組成物は、風味の良い卵、及び現在健康食品の分野で注目されている抗酸化能が強化された機能性卵を産生する家禽を飼育する家禽飼料に添加配合される組成物として有用である。

Claims (11)

  1. 天然香辛料由来精油と穀物粉を含有することを特徴とする採卵用家禽飼料添加用組成物。
  2. 穀物粉が小麦粉であることを特徴とする請求項1記載の採卵用家禽飼料添加用組成物。
  3. 天然香辛料がクローブ、オレガノ、シナモン、ローズマリー及びセージから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の採卵用家禽飼料添加用組成物。
  4. 天然香辛料由来精油がオイゲノール、カルバクロール、チモール、ケイヒアルデヒド、シネオール、ピネン、リモネン、カンファ、ボルネオール及びサルビオールから選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の採卵用家禽飼料添加用組成物。
  5. 天然香辛料由来精油がオイゲノールを50質量%以上含有することを特徴とする請求項1又は2記載の採卵用家禽飼料添加用組成物。
  6. 穀物粉に対する天然香辛料由来精油の含有割合が1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の採卵用家禽飼料添加用組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の採卵用家禽飼料添加用組成物を添加した家禽飼料を給与して飼育することを特徴とする採卵用家禽の飼育方法。
  8. 家禽飼料に対する天然香辛料由来精油の含有割合が0.01質量%以上1質量%未満であることを特徴とする請求項7記載の採卵用家禽の飼育方法。
  9. 請求項8記載の方法により飼育した家禽が産生する家禽卵。
  10. 請求項9記載の家禽卵を用いて製造することを特徴とする家禽卵食品。
  11. 天然香辛料由来精油と穀物粉とを含有することを特徴とする家禽飼料。
JP2005306230A 2005-10-20 2005-10-20 採卵用家禽飼料添加用組成物 Pending JP2007110973A (ja)

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