JP2007110969A - 昆虫の保管運搬方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】昆虫用容器を保存する環境の湿度及び温度が変化した場合であっても、昆虫用容器内を所望の湿度及び温度とし、昆虫用容器内での天敵昆虫の死亡を減少させる容器又は方法を提供する。
【解決手段】通気用開口部を有する蓋部、および昆虫を収容する本体部、を含む昆虫用容器であって、前記昆虫用容器内に空隙が生じないように前記本体部内に保湿緩衝材が充填され、かつ前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記保湿緩衝材が圧縮されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は昆虫の様々な形態を考慮した安全な保管及び運搬方法及びその装置に関するものである。
従来から、農作物に発生し被害をもたらす害虫の増加抑制は、化学殺虫剤を用いて行われてきた。近年、化学殺虫剤の使用量を減らすため防虫網、光質及び紫外線除去資材などの物理的な方法を用いて作物栽培圃場内への害虫の侵入を抑制し、被害を未然に防ぐ方法が行われるようになった(特許文献1及び2)。また、近年、生物を用いた病害虫の防除方法も広く普及し、天敵昆虫が農薬として使用されることも増えてきた。天敵昆虫の保管及び運搬は化学農薬と異なり、生物を保管し運搬するため温度や湿度を生息域に合わせて管理する必要があり、保管し運搬する場合は化学農薬とは異なる技術が必要である。
天敵昆虫の多くは天敵昆虫の態様に応じた形で保管運搬される(特許文献3及び4)。例えば、コナジラミ類の天敵昆虫であるオンシツツヤコバチまたはサバクツヤコバチはマミーをカードに貼り付けて容器に入れて運搬される。この場合温度の急激な変化を防ぎマミーの死亡を防ぐため、さらにこの容器を発泡スチロールの箱に入れる場合もある。また、アブラムシの天敵であるショクガタマバエは蛹の形態でバーミキュライトとともに250mlボトルに入れて運搬される。ハダニ類の天敵昆虫であるチリカブリダニ及びミヤコカブリダニはオガコとともにボトルに入れて運搬される。また、ハモグリコマユバチとイサエヤヒメコバチは成虫のままプラスチックボトルに入れて運搬される。
特開2003−299434号公報 特開平8−47361号公報 特願2005−46635 特願2005−98251
このように多くの天敵昆虫は、特有の態様に応じて保管運搬されているが、農家の手元に到着した天敵昆虫は、実際に蓋を開けるまで生死がわからず、蓋を解放するとすべての天敵昆虫が死亡していたという例もあり、これが問題となっていた。
天敵昆虫が保管及び運搬中に死亡する原因としては、温度が生育域外の域に達しボトル内で死亡する例もあるが、最近は保冷庫を使用するため温度管理の問題は少なくなった。しかし、保冷庫を使用すると夏期の外気温が高いときは、内部が結露して天敵昆虫に結露水滴が付着して死亡することがある。保冷庫は通常15度以下の低温にする必要があることから、容器内の結露を避けることは困難であった。ショクガタマバエを入れた容器では、低温で容器内が結露し、蛹から羽化した成虫のすべてが死亡していた例もある。
天敵昆虫の保管運搬にかかわる問題点は、低温となるとプラスチックボトル内部で結露水滴を発生するため、タイリクヒメハナカメムシや上記のダニなどの天敵昆虫はこの結露水滴に身体全体や羽根をとられて死亡することが多い。著しい場合はすべての天敵昆虫がボトル内で死亡したという例もある。また、ショクガタマバエでは、ボトル内のバーミキュライトの量が少ないためボトル内部が結露しやすく、内部に入れた本天敵の蛹がボトル内で羽化し、これらの成虫の羽が水滴に浸されすべて死亡するという例が認められた。これらの例は、ハモグリコマユバチ、イサエヤヒメコバチ、ハモグリミドリヒメコバチ、オンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチ、ムンドスツヤコバチ及びテントウムシ類等の天敵昆虫でも同様であった。ボトル内が結露しても、早急に結露水滴を取り除けば天敵昆虫の死亡は少なくできるはずであるが、現在の保管運搬方法では困難である。このためこの問題を解決する方法が求められていた。
また、作物栽培施設内は温度が高く、場所によっては直射日光が当たる場合もあり、これによって内部の温度が上がり成虫や蛹が死亡することがある。このため短時間で容器内の温度または湿度を人為的に回復させる容器又は方法が求められていた。
さらに、一般的には容器内の湿度が高いと昆虫の生育は安定する一方で、著しく湿度が低い乾燥状態では多くの昆虫は生育しにくく死亡する場合も多い。このため容器内の著しい湿度の低下も避けることが可能な容器又は方法が求められていた。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、昆虫用容器を保存する環境の湿度及び温度が変化した場合であっても、昆虫用容器内を所望の湿度及び温度とし、昆虫用容器内での天敵昆虫の死亡を減少させる容器又は方法を提供することが課題である。
本発明の昆虫用容器は、通気用開口部を有する蓋部、および昆虫を収容する本体部、を含む昆虫用容器であって、前記昆虫用容器内に空隙が生じないように前記本体部内に保湿緩衝材が充填され、かつ前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記保湿緩衝材が圧縮されることを特徴とする。
本発明の一実施形態では前記本体部内に収容される前記昆虫が農作物の害虫の天敵昆虫である。ここで、天敵昆虫はタイリクヒメハナカメムシ、ナミヒメハナカメムシなどのカメムシ類、ショクガタマバエ類、オンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチ、ムンドスツヤコバチ、イサエヤヒメコバチ、ハモグリコマユバチ、ハモグリミドリヒメコバチ、コレマンアブラバチ、ショクガタマバエ、テントウムシ類、天敵ダニ類及び有翅昆虫であることが好ましい。
一実施形態では、前記本体部に急速通気用開口部を形成し、前記急速通気用開口部には通気を遮断することができる密閉部材を設ける。
一実施形態では、前記通気用開口部がそれを覆うように設けられた蓋部通気性部材を有する。また、外気が乾燥している場合に容器内の過乾燥を抑制できるよう、通気用開口部を遮蔽する機能を持つ遮蔽部材をさらに有してもよい。
一実施形態では、前記急速通気用開口部がそれを覆うように設けられた本体部通気性部材を有する。
一実施形態では、前記蓋部が前記本体部の内側方向に延在するよう設けられた突部を有し、前記蓋部の本体部への取り付けにより前記突部が前記保湿緩衝材を圧縮する。
一実施形態では、前記蓋部が内蓋と外蓋を含み、前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記内蓋が前記保湿緩衝材を圧縮する。
一実施形態では、前記本体部が少なくとも100ml以上の内容積を有し、その材質がプラスチック製またはガラス製である。前記本体部は好ましくは250ml以上、更に好ましくは500ml以上の容積を有する。
さらに、本件発明の昆虫保管運搬方法は、通気用開口部を備える蓋部、および昆虫を収容する本体部を含む昆虫用容器、および前記昆虫用容器に収容される保湿緩衝材を準備するステップ、前記保湿緩衝材の一部と水を前記昆虫用容器に充填するステップ、前記昆虫を前記昆虫用容器に収容するステップ、充填した前記保湿緩衝材以外の前記保湿緩衝材を前記昆虫用容器に空隙が生じないように前記本体部に充填するステップ、および前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記保湿緩衝材を圧縮するステップ、を含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態では、前記昆虫が農作物の害虫の天敵昆虫である。
一実施形態では、前記容器の前記本体部に急速通気用開口部を設け、そして前記急速通気用開口部の通気を遮断するように設けた密閉部材を前記急速通気用開口部から前記密閉部材を外すステップを含む。
一実施形態では、前記蓋部が前記本体部の内側方向に延在する突部を備え、前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記突部が前記保湿緩衝材を圧縮するステップを含む。
一実施形態では、前記蓋部が内蓋と外蓋を含み、前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記内蓋が前記容器内に充填された前記保湿緩衝材を圧縮するステップを含む。
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
本件発明の昆虫用容器及び昆虫保管運搬方法は、昆虫用容器を保存する環境の湿度及び温度が変化した場合であっても、昆虫用容器内を所望の湿度及び温度にし、昆虫用容器内での天敵昆虫の死亡を減少させることが可能となる。
保管または運搬中に急激に気温が低下した場合も容器内の結露水滴の発生を抑制することができる。従来問題であった結露水滴が昆虫の羽根に付着して、あるいは水滴中で溺れて死亡する昆虫を減少させるという効果を発揮する。
昆虫用容器の上部と保湿緩衝材の間に空隙が生じないようにすることにより、容器内の温度が低下しても結露空間がないため、昆虫用容器内の水分が結露することがなくなる、あるいは容器内に含まれる水分を含んだ空気の総量が減少し結露水滴が発生を抑制することができる等の効果を奏する。また、保湿緩衝材が圧縮されることにより、昆虫用容器内の内容物間の空間をさらに減少させることができる、あるいは例えば昆虫用容器の運搬中の振動等で昆虫用容器内に空隙が生じないようにすることができる等の効果を奏する。さらに、本体部に急速通気用開口部を形成することにより、容器内部の水分がなくなり過乾燥の状態となった場合、高湿度状態にした大型の容器に入れて吸気することにより直ちに高湿度に戻すことが可能になり、昆虫の死亡を減少させることができる
以下、本発明の実施形態につき、図面を併用して詳細に説明する。
本発明は、図1に示すように、昆虫用容器10の上部に蓋部12を配置し、蓋部12には通気用開口部120を備えて、さらに通気用開口部を覆うように設けられた蓋部通気性部材122を貼り付ける。本体部11内部には容器内部の保湿のため底部に水分16を入れ、さらに本体部11には内容物として保湿緩衝材14を本体部の容積の約半分程度充填する。保湿緩衝材14を充填した後、昆虫18を入れ、その後保湿緩衝材14をさらに入れ、昆虫用容器内に空隙が生じないようにする。ここで、昆虫は成虫、幼虫、蛹、卵などの態様を含むものである。また、通気用開口部は図1に示すような1つの開口部であっても、多数の小孔であってもよい。さらに、保湿緩衝材14は容器内の保湿と天敵昆虫を保護する部材であり、例えばオガコ、またはフスマ、またはバーミキュライトが用いられる。
容器の大きさは収容する天敵の種類と個体数により異なり、例えば、天敵昆虫が大きい場合、天敵昆虫の個体数が多い場合、天敵昆虫が軟弱である場合等には比較的大きな容器を用いる場合が多い。例えば、タイリクヒメハナカメムシ成虫250頭を収容する場合、500mlのボトルを用いることが好ましい。なお、この場合保湿緩衝材のバーミキュライトは490ml程度とすることが好ましい。
図2の蓋部は、昆虫用容器10上部に被せる螺子式または挿入式の蓋部である。蓋部12の上面に通気用開口部120を設け、それを覆うように蓋部通気性部材122を配置する。この実施例において蓋部12は内蓋124及び外蓋126を含み、内蓋124は本体部11内の内容物を圧縮し固定する。これにより昆虫用容器内の内容物間の空間を減少させることができる。ここで、内蓋の上面には例えば多数の小孔等の内蓋通気用開口部が備えられ、外蓋の上面に備えられた通気用開口部120を通じて容器内の通気を保つ。なお、本実施例においては蓋部が外蓋と内蓋を含むものであるが、蓋部が本体部の内側方向に延在するように設けた突部を有し、蓋部の本体部への取り付けにより突起部が保湿緩衝材を圧縮するものであってもよい。蓋部通気性部材122は通気性を有する材質であり容器内の内容物が容器外に出ることを防止する。例えば網や通気性フィルム等が用いられる。
また、図1には急速通気用開口部110を示した。本体部11の側面に急速通気用開口部110を設け、そこに本体部通気性部材112を取り付け、その上に密閉部材114を貼り付ける。尚、この場合本体部11の側面に急速通気用開口部110を設けたが、底面であってもよい。好ましくは通気を効率的に行うべく本体部の高さの1/2よりも下の側面に設ける。
通常の場合、密閉部材114は貼り付けたままであるが、内部の温度または湿度を緊急的に調整する必要がある場合は、この密閉部材114を剥がすことにより、昆虫用容器10の内部を急速に所望の状態に戻すことが可能となる。急速通気用開口部110は、例えば直径1〜3cmとする。本体部通気性部材112は通気性を有する材質であり、容器内の内容物が容器外に出ることを防止する。例えば網や通気性フィルムが用いられる。密閉部材114は通気を遮断するものであり、例えばプラスチックフィルム、金属箔等のシート状の態様だけでなく、例えば螺子式または挿入式のプラスチック製の蓋の形態としてもよい。密閉部材は本体部から外すことが可能であることが好ましく、着脱可能であってもよい。
(試験例1)
表1に示すタイリクヒメハナカメムシ成虫を100個体ずつ本発明の昆虫用容器に入れて容器内部の湿度と死亡成虫率を調べた。対照として保湿緩衝材を入れない容器、蓋部に通気用開口部を設けない容器、水分を入れない容器、及び保湿緩衝材を半分のみ入れた区を設置した。なお、保湿緩衝材としてはバーミキュライトを用いた。各容器はタイリクヒメハナカメムシを入れた後、25℃で3時間保管した。次いで温度を8℃に落として4時間保管した後、常温に戻して死亡成虫率を調べた。
この結果、処理区の昆虫用容器内に入れたタイリクヒメハナカメムシはすべてが正常に生存していた一方で、無処理区では62%が死亡した。昆虫用容器に水を入れない場合は死亡数が増加し、通気用開口部なし区では15%、及び保湿緩衝材半分区では32%が死亡していた。昆虫用容器内の空隙が大きいほど内部の結露水滴の発生が多くなる傾向が認められ、死亡する成虫が多いことが判明した。また、容器内の保湿緩衝材が多くなると、8℃の低温とした場合であっても結露水滴は保湿緩衝材に吸水されることにより死亡率が低下することが明らかになった。
さらにオンシツツヤコバチ、コレマンアブラバチ、ハモグリコマユバチ及びショクガタマバエについても同様の実験を試みたが、結露水滴が多くなるほど死亡する個体が増加する傾向が認められた。
(試験例2)
次に、ハダニの天敵昆虫として知られるチリカブリダニ(商品名:スパイデックス(登録商標))及びミヤコカブリダニ(商品名:スパイカル(登録商標))を用いて同様の試験を行った。試験は同上の昆虫用容器100ml内に保湿緩衝材としてオガコを詰め、水分を所定量入れて、チリカブリダニ及びミヤコカブリダニを100頭ずつ入れ、しばらく静置した後、さらにその上にオガコを入れて容器内を満杯にして蓋部を取り付けた。28℃に3時間静置した後、8℃の低温器内に4時間入れた。昆虫用容器の他に、オガコを入れない無処理容器、水分を入れない容器、オガコを半分にした容器及び通気用開口部を備えない容器を準備し、同時に試験を行った。
この結果、昆虫用容器ではチリカブリダニの死亡成虫率は1%と少なかった。しかし、水を容器内に入れない場合は容器内が乾燥したため10%の個体が死亡した。また、蓋部に通気用開口部を設けない場合は15%のダニが結露水滴に張り付き死亡していた。保湿緩衝材を半分にしても結露し13%が死亡、無処理区では69%が死亡した。この結果、微小な天敵昆虫は容器内の結露により著しく大きな影響があることが判明した。さらに、容器内をオガコである保湿緩衝材で満杯にし、水分を入れることにより湿度を保ち、容器内の空隙をなくして結露しないようにすることで天敵昆虫の死亡率を著しく低減させることが可能であること判明した。
ミヤコカブリダニを用いた試験においても、上記のように該容器内にオガコを満杯にして保湿することで、低温下においても死亡した個体は認められなかった。しかし、これ以外の場合では、乾燥によって、または壁面に形成された結露水滴に付着することによって死亡する個体が認められた。
(試験例3)
本発明の昆虫用容器に6種類の天敵昆虫の成虫または蛹をそれぞれ入れて、25℃に24時間保存した後、10時間10℃に保存して生存数を調べた。天敵昆虫としては、ショクガタマバエの蛹100個、オンシツツヤコバチのマミー100個、イサエヤヒメコバチ蛹50個体、ハモグリコマユバチ蛹50個体、コレマンアブラバチマミー50個体、及びテントウムシ蛹50個体を供試した。
この結果、本発明の昆虫用容器に保存した場合、いずれの天敵昆虫の蛹等でも正常に羽化した成虫数は多かった。一方、無処理の場合は、内部で結露し蛹表面に水滴が付着することで成虫が溺死し、あるいは黴が発生して羽化しない個体が発生した。
(試験例4)
本発明の昆虫用容器にとして、50、100、250、500及び1000mlの容積のプラスチックボトル及びガラス瓶を用いて試験した。なお、天敵昆虫はショクガタマバエ蛹100頭とチリカブリダニ成虫1000頭とした。容器内には保湿緩衝材としてオガコ、及び水分を入れ、密閉部材としてポリプロピレン不織布を配備した。ショクガタマバエ蛹を入れた後、容器を2日間25℃の部屋に置き、12時間10℃の冷蔵庫内においた。その後、25℃の恒温室内で袋に入れたパット上にすべてを出して広げ、正常成虫率、羽化率、死亡虫数を調べた。また、チリカブリダニは、1日間25℃の恒温室に静置した後、8℃の低温室に入れて12時間保管し、その後25℃の高温室内でビニール袋に入れたパット上にあけて、正常成虫数と死亡虫数を調べた。
これらの試験の結果、両天敵昆虫の場合50ml容器ではやや小さいと考えられ、100ml以上あれば保存可能と考えられた。また、素材はプラスチックの方がガラスよりも適していると考えられた。
(試験例5)
本発明の昆虫用容器の500ml容器の側面の密閉部材を剥がして、蓋部には通気用開口部を設けて通気可能な状態にした。また、無処理区として密閉部材を備えた同じ容器を供試した。これらの容器にオガコを満杯に入れて、水を添加し蓋部を取り付けた。供試本数は各々5本とした。これらの容器を5℃の低温器に3時間入れておき内部が結露した状態にした。次に、これをコンテナーに入れて、2時間後に内部の湿度及び結露の有無を調べた。なお、コンテナーは下から吸気し、上から排気するように上部に吸引装置を付け、下部に小さな穴を開け空気の流れを作った。このときの外部の湿度は35%とした。容器内の湿度は湿度測定装置のセンサー部を入れて調べた。
これらの結果、昆虫用容器内の湿度は通気によって容易に低下させることができた。一方、通気できない容器では湿度は低下せず、結露水滴も残ったままであった。このことから本発明の昆虫用容器に密閉部材を設け、内部が結露し湿度が高くなりすぎたときに早急に低下させることが可能であることが判明した。
(試験例6)
本発明の昆虫用容器(500ml容器)の本体部の側面に設けられた密閉部材のシールを剥がし、蓋部には通気用開口部を設け蓋部通気性部材に網を用いることにより通気可能な状態にした。また、対照区として密閉部材のシールを貼り付けたままの同じ容器を供試した。これらの容器に保湿緩衝材であるオガコを満杯に入れて蓋部を取り付けた。供試本数は各々5本とした。これらの容器を、25℃の恒温器に24時間入れておき内部が乾燥した状態にした。次に、内部に濡れた木綿布を入れ密閉し湿度が99%になるようにしたコンテナー内に入れ、4時間後に内部の湿度及び結露の有無を調べた。このときの外部の湿度は35%とした。湿度は湿度測定装置のセンサー部を容器内に入れて調べた。
これの結果、密閉部材のシールを剥がすことと蓋部に通気用開口部を設けることで容器内の湿度を容易に高めることができた。一方、通気できない容器では湿度は十分に上がらず、また、無処理区では湿度は低いままであった。このことから昆虫用容器に急速通気用開口部を設けそれを覆うように本体部通気性部材を備えることで通気可能にし、容器内が乾燥し湿度が低くなりすぎたときに急速に高めることが可能であることが判明した。
本発明の昆虫用容器の概略図である。 蓋部の概略図である。
符号の説明
10 昆虫用容器
11 本体部
110 急速通気用開口部
112 本体部通気性部材
114 密閉部材
12 蓋部
120 通気用開口部
122 蓋部通気性部材
124 内蓋
126 外蓋
14 保湿緩衝材
16 水
18 昆虫

Claims (13)

  1. 通気用開口部を有する蓋部、および
    昆虫を収容する本体部、
    を含む昆虫用容器であって、
    前記昆虫用容器内に空隙が生じないように前記本体部内に保湿緩衝材が充填され、かつ
    前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記保湿緩衝材が圧縮される
    ことを特徴とする昆虫用容器。
  2. 前記本体部内に収容される前記昆虫が農作物の害虫の天敵昆虫であることを特徴とする請求項1に記載の昆虫用容器。
  3. 前記本体部に急速通気用開口部を形成し、
    前記急速通気用開口部には通気を遮断することができる密閉部材を設けた
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の昆虫用容器。
  4. 前記通気用開口部がそれを覆うように設けられた蓋部通気性部材を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の昆虫用容器。
  5. 前記急速通気用開口部がそれを覆うように設けられた本体部通気性部材を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の昆虫用容器。
  6. 前記蓋部が前記本体部の内側方向に延在するよう設けられた突部を有し、
    前記蓋部の本体部への取り付けにより前記突部が前記保湿緩衝材を圧縮する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の昆虫用容器。
  7. 前記蓋部が内蓋と外蓋を含み、
    前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記内蓋が前記保湿緩衝材を圧縮する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の昆虫用容器。
  8. 前記本体部が少なくとも100ml以上の内容積を有し、その材質がプラスチック製またはガラス製であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の昆虫用容器。
  9. 通気用開口部を備える蓋部、および昆虫を収容する本体部を含む昆虫用容器、および前記昆虫用容器に収容される保湿緩衝材を準備するステップ、
    前記保湿緩衝材の一部と水を前記昆虫用容器に充填するステップ、
    前記昆虫を前記昆虫用容器に収容するステップ、
    充填した前記保湿緩衝材以外の前記保湿緩衝材を前記昆虫用容器に空隙が生じないように前記本体部に充填するステップ、および
    前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記保湿緩衝材を圧縮するステップ、
    を含むことを特徴とする昆虫保管運搬方法。
  10. 前記昆虫が農作物の害虫の天敵昆虫であることを特徴とする請求項9に記載の昆虫保管運搬方法。
  11. 前記容器の前記本体部に急速通気用開口部を設け、そして
    前記急速通気用開口部の通気を遮断するように設けた密閉部材を前記急速通気用開口部から前記密閉部材を外すステップ
    を含むことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の昆虫保管運搬方法。
  12. 前記蓋部が前記本体部の内側方向に延在する突部を備え、
    前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記突部が前記保湿緩衝材を圧縮するステップ
    を含むことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の昆虫保管運搬方法。
  13. 前記蓋部が内蓋と外蓋を含み、
    前記蓋部の前記本体部への取り付けにより前記内蓋が前記容器内に充填された前記保湿緩衝材を圧縮するステップ
    を含むことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の昆虫保管運搬方法。
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