JP2007107590A - ボールねじ用シール部材およびボールねじ - Google Patents

ボールねじ用シール部材およびボールねじ Download PDF

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将人 加藤
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Abstract

【課題】ナット内部でのグリースの劣化の程度の確認を容易とし、適切な時期に適宜のメンテナンスを施すことを可能とし得るボールねじ用シール部材およびボールねじを提供する。
【解決手段】このボールねじ1は、ねじ軸3と、そのねじ軸3に対し複数のボール5を介して相対移動可能に外嵌するナット6とを備えている。そして、このナット6の軸方向両端部には、ナット6の内周面とねじ軸3の外周面との間をシールするラビリンスシール30(シール部材)が介装されており、このラビリンスシール30は、ナット6内を目視可能な透明度をもつ材料から形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボールねじ用シール部材およびボールねじに関する。
ボールねじは、その駆動時に想定される発熱量が大きい使用条件や、その稼働率が高い使用条件など、比較的に過酷な環境で使用されることも少なくない。そのため、このような過酷な環境で使用されるボールねじでは、その潤滑用のグリースの劣化も比較的に早くなり、これに応じて適切な時期に適宜のメンテナンスを施す必要がある。
そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、ボールねじの潤滑用のグリースに、明度1以上のグリースを用いている。これにより、その明度の変化から、グリースの劣化の程度を目視でも判断することを可能としている。
特開2001−304371号公報
しかしながら、実際に使用されるボールねじでは、大部分のものが、その内部への異物等の侵入を防止するために、ナットの軸方向両端部でのナット内周面とねじ軸の外周面との間にシール部材を介装している。そのため、実際の使用状態のままで、ナット内部でのグリースの変色を目視で確認することは困難である。仮にこれを確認する方法として、グリースを必要以上に給脂し、ナット端面でのシール部材の隙間から溢れ出たグリースにて確認する等の方法も考えられるが、この場合、グリースの劣化の程度に関わりなくグリースを必要以上に給脂しなければ判断できない。そのため、適切な時期に適宜のメンテナンスを施す上で十分とはいえない。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、ナット内部でのグリースの劣化の程度等の状態の確認を容易とし、適切な時期に適宜のメンテナンスを施すことを可能とし得るボールねじ用シール部材およびボールねじを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、ねじ軸と、該ねじ軸に対し複数のボールを介して相対回転可能に外嵌するナットと、を備えるボールねじに用いられ、前記ナットの軸方向両端部での前記ナット内周面と前記ねじ軸の外周面との間に介装されるシール部材であって、前記シール部材は、前記ナット内を目視可能な透明度をもつ材料から形成されていることを特徴としている。
ここで、前記シール部材の材料は、ナイロン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、スチレン・アクリロニトリルおよびポリエステルのうちのいずれかを用いてなる材料を好適に使用し得る。
また、本発明に係るボールねじは、上記本発明に係るボールねじ用シール部材を用いていることを特徴としている。なお、このボールねじには、その潤滑用のグリースに、明度1以上のグリースを好適に使用し得る。
上記本発明に係るシール部材は、ナット内を目視可能な透明度をもつ材料から形成されているので、これを装着したボールねじは、実際の使用状態のままで、ナット内部での、例えばグリースの変色等の状態を目視で確認することができる。
したがって、本発明によれば、ナット内部でのグリースの劣化の程度等の状態の確認を容易とし、適切な時期に適宜のメンテナンスを施すことを可能とし得るボールねじ用シール部材およびボールねじを提供することができる。
以下、本発明に係るボールねじの一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。ここで、本実施形態のボールねじは、ボール循環チューブを介してボールを循環させる外部循環方式の例である。なお、図1は、そのボールねじを説明する図であり、同図では、ナットをその軸線を含む断面で示している。
同図に示すように、このボールねじ1は、外周面に螺旋状のボール転動溝2を有して軸方向に延びるねじ軸3を備えている。そして、このねじ軸3に、その外径より大きな内径をもつ略円筒状のナット6が外嵌している。なお、この例では、ナット6の一端側には、フランジ20が形成されている。
ナット6は、その内周面に、ねじ軸3のボール転動溝2に対応する螺旋状の負荷ボール転動溝4を有しており、これらナット6の負荷ボール転動溝4とねじ軸3のボール転動溝2とは互いに対向して両者の間に螺旋状のボール軌道路7を形成している。そして、このボール軌道路7には複数のボール5が転動可能に装填されている。
また、ナット6の外面には、その一部を平坦にした据え付け面9がフライス等で加工され、この据え付け面9にボール軌道路7に連通する一対の取付け孔10がねじ軸3を跨ぐように形成されている。そして、この一対の取付け孔10に、略コ字状をなすボール循環チューブ8の両端をそれぞれ嵌め込むことにより、このボール循環チューブ8によって、ボール5をボール軌道路7の一端部から掬い上げボール軌道路7の他端部に戻すことによってボール5の無限循環路を形成している。
さらに、上記ナット6の両端には、ボールねじ用シール部材として、ナット6の内周面とねじ軸3の外周面との間の環状間隙をシールする接触型のラビリンスシール30がそれぞれ介装されている。このラビリンスシール30は、半透明のナイロン材料から形成されている。ここで、この「半透明」とは、当該ラビリンスシール30を装着した際に、ナット6内を目視可能な透明度をいう。
そして、このラビリンスシール30は、薄肉で略円環状をなして形成されており、その内周縁部が、ねじ軸3のボール転動溝2に弾接している。これにより、ボール5等に付着した潤滑用のグリース(不図示)の油分が微粒子としてねじ軸3とナット6の間から外部に放出されることを防止可能になっている。なお、このボールねじ1では、潤滑用のグリースとして、明度1以上のグリースを用いている。
次に、上記ラビリンスシール30およびボールねじ1の作用・効果について説明する。
このボールねじ1は、ねじ軸3またはナット6のいずれか一方の回転動作により、他方がねじ軸3の軸線方向にボール5の転動を介して相対移動することができる。そして、この相対移動の際には、ボール5がボール軌道路7を転動しつつ移動するが、ボール5がボール軌道路7の一端に至ると、ボール5はボール循環チューブ8の一端部からその管内に掬い上げられて内部の通路で案内され、他端部から再びボール軌道路7に入るという循環を繰り返すことでナット6(又はねじ軸3)を継続して移動させていくことができる。
そして、上述のように、ラビリンスシール30は、半透明の材料から形成されているので、これを装着したボールねじ1は、実際の使用状態のままで、ナット6内部でのグリースの変色等の状態を目視で確認することができる。したがって、ナット6内部でのグリースの劣化の程度等の状態を容易に確認し、適切な時期に適宜のメンテナンスを施すことができる。
また、このボールねじ1は、潤滑用のグリースとして、明度1以上のグリースを用いているので、目視で確認する場合でも、劣化等の状態の変化を、その明度の変化から容易に識別することができる。
なお、本発明に係るボールねじ用シール部材およびボールねじは、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、シール部材として、上述した構成のラビリンスシール30を例に説明したが、これに限定されず、シール部材の形状は、種々の形状とすることが可能であり、例えばその内径部の形状も、ねじ軸の断面形状と同一である必要はない。
また、上記実施形態では、ラビリンスシール30は、ナット6内を目視可能な透明度をもつ材料として、半透明のナイロン材料を使用した例で説明したが、これに限定されず、ナット6内を目視可能であればよく、例えばポリスチレン、ポリカーボネイト、スチレン・アクリロニトリルおよびポリエステルのうちのいずれかを用いてなる半透明の材料で形成してもよいし、あるいは上記ナイロンを含めてこれらの組合わせ等からなる複合材料を用いて形成してもよい。さらに、「ナット内を目視可能な透明度をもつ材料」とは、その色相による視認性を含む意味である。すなわち、例えばナット内部のグリスのもつ色相に対し、シール部材の色相を意図的に異ならせて構成することができる。このような構成とすれば、内部の色相の変化をより見やすくしたり、あるいは、内部の色相の変化とシール部材の色相とによる相互の色相の組合わせを通して認識される色相の経時変化を視認可能にすることによって、ナット内部の状態の確認をより容易とし、より適切な時期に適宜のメンテナンスを施すことを可能とすることもできる。なお、ナット6内を目視可能な透明度の程度は、半透明よりその透明度が高い、「透明」の材料を含むことは勿論である。
また、上記実施形態では、潤滑用のグリースに、明度1以上のグリースを用いた例で説明したが、これに限定されず、種々の潤滑剤が適用できる。また、グリース等の潤滑剤を用いない場合であっても、本発明に係るボールねじ用シール部材によればナット6内を目視可能とする上で好適に使用可能なことは勿論である。
なおまた、上記実施形態では、本発明に係るボールねじの一実施形態として、ボール循環チューブを用いた外部循環方式の例で説明したが、これに限定されず、例えば循環こまを用いた内部循環方式のボールねじであっても適用可能である。また、上記実施形態では、無限循環路内には、ボール5のみが装填されている例で説明したが、これに限定されず、例えば隣り合うボール同士の間に、合成樹脂製の間座部材を介装してよいし、例えばまた、上記実施形態では、無限循環路が一条の例で説明したが、二条以上の構成とする等、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
本発明に係るボールねじの一実施形態を説明する図である。
符号の説明
1 ボールねじ
2 ボール転動溝
3 ねじ軸
4 負荷ボール転動溝
5 ボール
6 ナット
7 ボール軌道路
8 ボール循環チューブ
9 据え付け面
10 取付け孔
20 フランジ
30 ラビリンスシール(シール部材)

Claims (4)

  1. ねじ軸と、該ねじ軸に対し複数のボールを介して相対移動可能に外嵌するナットと、を備えるボールねじに用いられ、前記ナットの軸方向両端部での前記ナット内周面と前記ねじ軸の外周面との間に介装されるシール部材であって、
    前記シール部材は、前記ナット内を目視可能な透明度をもつ材料から形成されていることを特徴とするボールねじ用シール部材。
  2. 前記シール部材の材料は、ナイロン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、スチレン・アクリロニトリルおよびポリエステルのうちのいずれかを用いてなる材料であることを特徴とする請求項1に記載のボールねじ用シール部材。
  3. 請求項1または2に記載のボールねじ用シール部材を用いていることを特徴とするボールねじ。
  4. 潤滑用のグリースに、明度1以上のグリースを用いていることを特徴とする請求項3に記載のボールねじ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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