JP2007107062A - 電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金 - Google Patents

電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金 Download PDF

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Abstract

【課題】Cr添加の効果をより良く発揮させることによって飛躍的に特性の向上したコルソン系合金を提供する。
【解決手段】Ni:2.5〜4.5質量%、Si:0.50〜1.2質量%、Cr:0.0030〜0.2質量%を含有し(但し、NiとSiの重量比が3≦Ni/Si≦7である。)、残部Cuおよび不可避的不純物から構成される銅合金であって、炭素の量が50質量ppm以下である電子材料用銅合金。
【選択図】図1

Description

本発明は析出硬化型銅合金に関し、とりわけ各種電子機器部品に用いるのに好適なCu−Ni−Si系銅合金に関する。
リードフレーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、スイッチ等の各種電子機器部品に使用される電子材料用銅合金には、基本特性として高強度及び高導電性(又は熱伝導性)を両立させることが要求される。近年、電子部品の高集積化及び小型化・薄肉化が急速に進み、これに対応して電子機器部品に使用される銅合金に対する要求レベルはますます高度化している。
高強度及び高導電性の観点から、近年、電子材料用銅合金として従来のりん青銅、黄銅等に代表される固溶強化型銅合金に替わり、析出硬化型の銅合金の使用量が増加している。析出硬化型銅合金では、溶体化処理された過飽和固溶体を時効処理することにより、微細な析出物が均一に分散して、合金の強度が高くなると同時に、銅中の固溶元素量が減少し電気伝導性が向上する。このため、強度、ばね性などの機械的性質に優れ、しかも電気伝導性、熱伝導性が良好な材料が得られる。
析出硬化型銅合金のうち、コルソン系合金と一般に呼ばれるCu−Ni−Si系銅合金は比較的高い導電性、強度、応力緩和特性及び曲げ加工性を兼備する代表的な銅合金であり、業界において現在活発に開発が行われている合金の一つである。この銅合金では、銅マトリックス中に微細なNi−Si系金属間化合物粒子を析出させることによって強度と導電率の向上が図れる。
Ni−Si系金属間化合物粒子の析出物は化学量論組成で一般に構成されており、例えば、特開2001−207229号公報では合金中のNiとSiの質量比を金属間化合物であるNi2Siの質量組成比(Niの原子量×2:Siの原子量×1)に近づけることにより、すなわちNiとSiの重量濃度比をNi/Si=3〜7とすることにより良好な電気伝導性が得られることが記載されている。
また、Cu−Ni−Si系合金には合金元素としてCrが添加されることがある。特許第2862942号公報には、Ni:1.5〜4.0質量%、Si:0.35〜1.0質量%、随意的に、Zr、Cr、Snの群から選ばれる少なくとも1種の金属:0.05〜1.0質量%、残部がCuおよび不可避的不純物から成るコルソン合金を加熱(又は冷却)する際に、400〜800℃の温度域では、前記コルソン合金の引張熱歪が1×10-4以下となるように前記コルソン合金を加熱(又は冷却)することを特徴とするコルソン合金の熱処理方法が記載されている。この方法によれば、熱処理時の鋳塊割れを防止することができるとされている。
特許第3049137号公報には、Ni:2〜5質量%、Si:0.5〜1.5質量%、Zn:0.1〜2質量%、Mn:0.01〜0.1質量%、Cr:0.001〜0.1質量%、Al:0.001〜0.15質量%、Co:0.05〜2質量%を含有し、不純物成分のSの含有量を15ppm以下に規制し、残部がCu及び不可避的不純物からなることを特徴とする曲げ加工性が優れた高力銅合金が記載されている。この発明によれば、Crは鋳塊の粒界を強化して、熱間加工性を高める元素であるとされている。また、0.1質量%を超えてCrが含有されると溶湯が酸化し、鋳造性が劣化するとされている。その他、該銅合金はクリプトル炉において大気中で木炭被覆下で溶解して鋳造することが記載されている。
特開2001−207229号公報 特許第2862942号公報 特許第3049137号公報
特開2001−207229号公報に記載のようにNiとSiの重量濃度比をNi/Si=3〜7に制御すれば特性改善が図れるが、比較的高い導電率を維持した状態で高強度を維持させることは困難であった。NiとSiの重量濃度を増加させると高強度が得られるが、導電率が低下する。更には熱間加工性も損ない、歩留が低下するため経済的でない。このように、Ni−Siの添加量を調整して成分制御を厳密に行っても飛躍的な特性改善は難しい。
特許第2862942号公報にはCr添加の効果について記載も示唆もない。また、該文献に記載の方法では鋳塊が大型化すると昇降温のコントロールが困難となる。従って、温度制御による以外の方法によって、特に合金元素の固有の作用に基づいたCu−Ni−Si系合金特性の改善によって鋳塊割れを防止できればより望ましい。
特許第3049137号公報にはCrは熱間加工性を高めるとの記載はあるが、その他の作用については記載がない。また、Cr添加による特性向上効果を発揮させるための濃度条件については記載があるが、その他の条件については記載がない。
そこで、本発明の課題の一つは、飛躍的に特性の向上したコルソン系合金を提供することである。より詳細には、Cr添加の効果をより良く発揮させることによって飛躍的に特性の向上したコルソン系合金を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、Crは一定の条件下においてコルソン系合金の強度及び導電率の向上に対して顕著な影響を与えることを見出した。特に、本発明者はCrと炭素の関係に着目するに至り、コルソン系合金中の含有炭素量を制御することでその効果をより良く引き出すことができることを見出した。
本発明は斯かる知見を基礎として完成したものであり、一側面において、Ni:2.5〜4.5質量%、Si:0.50〜1.2質量%、Cr:0.0030〜0.2質量%を含有し(但し、NiとSiの重量比が3≦Ni/Si≦7である。)、残部Cuおよび不可避的不純物から構成される銅合金であって、炭素の量が50質量ppm以下である電子材料用銅合金である。
また、本発明に係る電子材料用銅合金は一実施態様において、更にMg、Mn、Sn及びAgから選択される1種又は2種以上を総量で0.5質量%以下含有することができる。
また、本発明に係る電子材料用銅合金は別の一実施態様において、更にZn、P、As、Sb、Be、B、Ti、Zr、Al、Co及びFeから選択される1種又は2種以上を総量で2.0質量%以下含有することができる。
また、本発明は更に別の一側面において、上記銅合金を用いた伸銅品である。
また、本発明は更に別の一側面において、上記銅合金を用いた電子機器部品である。
本発明によれば、合金元素であるCr添加の効果がより良く発揮されるため、強度及び導電率が顕著に向上した電子材料用コルソン系銅合金が得られる。
Ni及びSiの添加量
Ni及びSiは、適当な熱処理を施すことにより金属間化合物としてニッケルシリサイド(Ni2Si等)を形成し、導電率を劣化させずに高強度化が図れる。SiとNiの重量比は上述したように量論組成に近い3≦Ni/Si≦7が好ましく、3.5≦Ni/Si≦5.0がより好ましい。
しかしながら、Ni/Siが上記範囲の比を有していてもSi添加量が0.5質量%未満では所望の強度が得られず、1.2質量%を超えると高強度化は図れるが導電率が著しく低下し、更には偏析部で液相を生成して熱間加工性が低下するので好ましくない。そこで、Si:0.5〜1.2質量%とすればよく、好ましくは0.5〜0.8質量%である。
Ni添加量はSi添加量に応じて上記の好ましい比を満足するように設定すればよく、Si添加量とバランスをとるためにNi:2.5〜4.5質量%とすればよく、好ましくはNi:3.2〜4.2質量%、より好ましくはNi:3.5〜4.0質量%である。
Crの添加量
通常のCu−Ni−Si系合金においてはNi−Si濃度を上昇させると、析出粒子の総数が増加するので、析出強化による強度上昇が図れる。一方、添加濃度上昇に伴い、析出に寄与しない固溶量も増すので、導電率は低下し、結局時効析出のピーク強度は上昇するが、ピーク強度となる導電率は低下する。しかしながら、上記のCu−Ni−Si系合金にCrを0.003〜0.2質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%添加すると最終特性において、同じNi−Si濃度を有するCu−Ni−Si系合金と比べて強度を損なわずに導電率を上昇でき、更に熱間加工性が改善されて歩留が高くなる。
Crは溶解鋳造時の冷却過程において結晶粒界に優先析出するため粒界を強化でき、熱間加工時の割れが発生しにくくなり、歩留低下を抑制できる。更にCrは、適当な熱処理を施すことにより銅母相中でSiとの化合物であるクロムシリサイド(Cr3Si等)を容易に析出することができるため、溶体化処理、冷延、時効処理を組み合わせて合金特性を作り込む工程でNi2Si等として析出しなかった固溶Si成分をCr3Si等として析出させることができる。このため、固溶Siによる導電率の低下を抑制し、強度を損なわずに導電率の上昇を図ることができる。
すなわち、溶解鋳造時に粒界析出したCrは溶体化処理などで再固溶するが、続く時効析出時に珪化物を生成する。通常のCu−Ni−Si系合金では添加したSi量のうち、時効析出に寄与しなかったSiは母相に固溶したまま導電率の上昇を抑制するが、珪化物形成元素であるCrを添加して、珪化物をさらに析出させることにより、従来のCu−Ni−Si系合金に比べて、固溶Si量を低減でき、強度を損なわずに導電率を上昇できる。
但し、0.003質量%未満ではその効果が小さく、0.2質量%を超えると熱間圧延中に強化に寄与しない粗大な介在物となりやすい。さらに最終特性においてCr−Si系析出物の加工硬化能は小さく、Crの過剰な添加は、強化に寄与しないCr−Si化合物を増加させ、加工性及びめっき性が損なわれるため好ましくない。
含有炭素量
Ni−Si系合金を溶解鋳造する場合には活性金属であるSiの酸化を抑制するため、還元性雰囲気での溶解鋳造を実施するのが通常である。大気で溶解鋳造する場合には、溶湯を被覆するため木炭やカーボンフラックス等、炭素成分を多く含んだ部材を使用する場合が多い。そのため、鋳造された合金には不純物としてCが比較的多く含まれることになる。
しかしながら、Crは銅溶湯中での炭化物形成能が高く、炭化物が生成すると凝固時に粒界析出するCr量が低下して粒界強化作用が弱まり、歩留改善効果を損なう。一旦生成したCr系炭化物は、溶体化処理で固溶させることは困難であり、時効析出に寄与するCr量が低減するばかりでなく、曲げ加工性やめっき性を損なうため、最終特性を大きく損なう。
本発明者は極微量含まれるCがCr添加によるCu−Ni−Si系合金の特性向上効果に大きく影響を与えるため、溶解鋳造時の炭素量を厳密に制御しておく必要性を見出した。また、含有炭素量が50質量ppm以下であれば熱間加工性を損なうことも、導電率上昇に寄与するCr3Si等を損なうこともほとんどないことも分かった。
含有炭素量を上記範囲に制御する方法には、例えば油分付着原料の低減、原料溶解後の攪拌、木炭被覆量の調整、活性金属の酸化を防ぐために溶解中の溶湯表面を木炭被覆するのではなく、アルゴン等の不活性ガスによって覆うこと、更には真空溶解法等の方法が挙げられる。これによって合金中の炭素の含有量を50質量ppm以下とすることができ、40質量ppm以下、30質量ppm以下、更には25質量ppm以下とすることもできる。本発明に係るCu−Ni−Si系合金の含有炭素量は例えば10〜30質量ppmである。
この点につき、上述した特許第3049137号にはCrが炭化物や酸化物などを形成して、粒界析出に寄与するCr濃度が激減した場合の効果について沈黙している。
Mg、Mn、Sn及びAg
本発明に係るCu−Ni−Si系合金にMg、Mn、Sn及びAgから選択される1種又は2種以上を総量で0.5質量%以下添加することで強度、導電率を大きく損なわずに応力緩和特性等を改善できる。その添加量は、0.01質量%未満では効果が不足し、0.5質量%を超えると鋳造性、熱間加工性などの製造性、製品の導電率を損なうので0.01〜0.5質量%添加するのが好ましい。
その他の添加元素
Zn、P、As、Sb、Be、B、Ti、Zr、Al、Co及びFeは所定量を添加することで様々な効果を示すが、相互に補完し、強度、導電率だけでなく曲げ加工性、めっき性や鋳塊組織の微細化による熱間加工性の改善のような製造性をも改善する効果もあるので本発明に係るCu−Ni−Si系合金にこれらの1種又は2種以上を求められる特性に応じて総量を2.0質量%以下として適宜添加することができる。その添加量は、これらの元素の総量が0.001質量%未満だと所望の効果が得られず、2.0質量%を超えると導電率の低下や製造性の劣化が顕著になるので総量で0.001〜2.0質量%とするのが好ましく、0.01〜1.0質量%とするのがより好ましい。
なお、本発明に係るCu−Ni−Si系合金の特性に悪影響を与えない範囲で本明細書に具体的に記載されていない元素が添加されてもよい。
次に本発明の製造方法に関して説明する。本発明に係るCu−Ni−Si系合金は、含有炭素量を制御することを除いて、Cu−Ni−Si系合金の慣例の製造方法により製造可能であり、当業者であれば組成や求められる特性に応じて最適な製法を選択することができるため特別の説明を要しないと考えられるが、以下に例示目的のための一般的な製造方法を説明する。
まず大気溶解炉を用い、電気銅、Ni、Si、Cr等の原料を溶解し、所望の組成の溶湯を得る。そして、この溶湯をインゴットに鋳造する。このとき投入原料中の油分調整、木炭被覆量の調整、還元雰囲気ガス導入の制御法、溶湯攪拌等によって含有炭素量を制御する。その後、熱間圧延を行い、冷間圧延と熱処理を繰り返して、所望の厚み及び特性を有する条や箔に仕上げる。熱処理には溶体化処理と時効処理がある。溶体化処理では、700〜1000℃の高温で加熱して、Ni−Si系化合物やCr−Si系化合物をCu母地中に固溶させ、同時にCu母地を再結晶させる。溶体化処理を、熱間圧延で兼ねることもある。時効処理では、350〜550℃の温度範囲で1時間以上加熱し、溶体化処理で固溶させたNi及びSiの化合物とCr及びSiの化合物を微細粒子として析出させる。この時効処理で強度と導電率が上昇する。より高い強度を得るために、時効前及び/又は時効後に冷間圧延を行なうことがある。また、時効後に冷間圧延を行なう場合には、冷間圧延後に歪取焼鈍(低温焼鈍)を行なうことがある。
本発明に係るCu−Ni−Si系銅合金は一実施形態において、0.2%耐力が780MPa以上でかつ導電率が45%IACS以上とすることができ、更には0.2%耐力が860MPa以上でかつ導電率が43%IACS以上とすることができ、更には0.2%耐力が890MPa以上でかつ導電率が40%IACS以上とすることもできる。
本発明に係るCu−Ni−Si系合金は種々の伸銅品、例えば板、条、管、棒及び線に加工することができ、更に、本発明によるCu−Ni−Si系銅合金は、高い強度及び高い電気伝導性(又は熱伝導性)を両立させることが要求されるリードフレーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、スイッチ、二次電池用箔材等の電子機器部品に使用することができる。
以下に本発明の具体例を示すが、これら実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
本発明の実施例に用いる銅合金は、表1に示すようにNi、Si及びCrの含有量をいくつか変化させた銅合金に適宜Mg、Mn、Sn、Ag、Ti、Fe、B及びCoを添加した組成を有する。また、比較例に用いる銅合金は、それぞれ本発明の範囲外のパラメータをもつCu−Ni−Si系合金である。
表1に記載の各種成分組成の銅合金を、高周波溶解炉で1300℃で溶製し、厚さ30mmのインゴットに鋳造した。この際、投入原料中の油分調整、木炭被覆量の調整、還元雰囲気ガス導入の制御法、溶湯攪拌等によって炭素量を制御した。次いで、このインゴットを1000℃で加熱後、板厚10mmまで熱間圧延し、速やかに冷却を行った。表面のスケール除去のため厚さ8mmまで面削を施した後、冷間圧延により厚さ0.2mmの板とした。次にNiおよびCrの添加量に応じて850〜1000℃で溶体化処理を120秒行い、これを直ちに水冷した。その後0.1mmまで冷間圧延して、最後に添加量に応じて400〜550℃で各1〜12時間かけて不活性雰囲気中で時効処理を施して、試料を製造した。
このようにして得られた各合金につき強度及び導電率の特性評価を行った。強度については圧延平行方向での引っ張り試験を行って0.2%耐力(YS;MPa)を測定し、導電率(EC;%IACS)についてはWブリッジによる体積抵抗率測定により求めた。
曲げ加工性の評価は、W字型の金型を用いて試料板厚と曲げ半径の比が1となる条件で90°曲げ加工を行なった。評価は曲げ加工部表面を光学顕微鏡で観察し、クラックが観察されない場合を実用上問題ないと判断して○とし、クラックが認められた場合を×とした。
炭素の含有量は金属試料を高周波燃焼させ、金属試料中の炭素をLECO社製CS-400を用いて高周波融解−赤外線吸収法により定量分析して測定した。
Figure 2007107062
Ni:2.7質量%、Si:0.6質量%を含有するCu−Ni−Si系合金
実施例1〜7及び比較例1、3、5及び9はNi:2.7質量%、Si:0.6質量%を含有する点で共通する。
実施例1から3まで順にCrの含有量を増加させていくとECの減少ができるだけ抑制されながらYSが向上していくのが分かる。
実施例4〜7では、更にMg、Mn、Sn及びAgを添加することで更にYSの向上が図れることが分かる。
しかしながら、比較例1はCrを含まないため固溶Siが多くなってECが低下し、熱間圧延時に軽微な割れを生じた。
比較例3はCrを含むが規定量よりも少ないためその効果が不十分であり、やはり固溶Siが多くなってECが低下し、熱間圧延時に軽微な割れを生じた。
比較例5は比較例3と同様にCr含有量が少なく、更にC含有量も規定量よりも多い。そのため、熱間圧延時に評価不可能となるほどの割れを生じた。
比較例9はCr含有量が規定量よりも多いために粗大Cr粒子が生成し、熱間圧延時に軽微な割れを生じると共に曲げ加工性も悪かった。
Ni:4.0質量%、Si:0.9質量%を含有するCu−Ni−Si系合金
実施例8〜16及び比較例2、4、6〜8及び10〜13はNi:4.0質量%、Si:0.9質量%を含有する点で共通する。
実施例8から11まで順にCrの含有量を増加させていくとECの減少ができるだけ抑制されながらYSが向上していくのが分かる。また、実施例1〜7よりもNi及びSiの含有量が高いためにYSが高く、それに応じてECが低い。
実施例12〜15では、更にMg、Mn、Sn及びAgを添加することで更にYSの向上が図れることが分かる。
実施例16では、その他の添加元素としてTi及びFeを加えたが、この場合もYSの向上が図れることが分かる。
しかしながら、比較例2はCrを含まないため固溶Siが多くなってECが低下し、熱間圧延時に軽微な割れを生じた。
比較例4はCrを含むが規定量よりも少ないためその効果が不十分であり、やはり固溶Siが多くなってECが低下し、熱間圧延時に軽微な割れを生じた。
比較例6は比較例4と同様にCr含有量が少なく、更にはC含有量も規定量よりも多い。そのため、熱間圧延時に評価不可能となるほどの割れを生じた。
比較例7及び8はC含有量が規定量よりも多いためにCrの炭化物が生成する一方で、クロムシリサイドの生成が減少して固溶Siが多くなってECが低下し、熱間圧延時に軽微な割れを生じた。更には曲げ加工性も悪かった。
比較例10はCr含有量が規定量よりも多いために粗大Cr粒子が生成し、熱間圧延時に軽微な割れを生じると共に曲げ加工性が悪かった。
比較例11は比較例10と同様にCr含有量が多く、更にC含有量も規定量よりも多かった。C含有量が規定量よりも多いためにCrの炭化物が生成する一方で、クロムシリサイドの生成が減少して固溶Siが多くなってECが低下した。更には曲げ加工性も悪かった。
比較例12及び13はMg及びMnを規定量を超えて添加した場合の例である。Mgを過剰に添加した比較例12では鋳肌の劣化によって熱間圧延時に割れを生じたため評価不可能となった。Mnを過剰に添加した比較例13では熱間圧延時に軽微な割れを生じると共にEC及び曲げ加工性が悪かった。
Ni:4.5質量%、Si:1.0質量%を含有するCu−Ni−Si系合金
実施例17〜20はNi:4.5質量%、Si:1.0質量%を含有する。
実施例1〜16よりもNi及びSiの含有量が高いためにYSが高く、それに応じてECが低い。
含有炭素量の影響
図1は、Ni、Si及びCrを規定範囲内で同様の含有量としつつ、炭素量を規定範囲とした場合(実施例9及び10)と、炭素量が規定範囲外の場合(比較例7及び8)とについてYSを横軸に、ECを縦軸にしてプロットした図である。炭素の含有量が25質量ppm程度異なるだけでもYS及びECに顕著な差が生じたことが分かる。
含有炭素量の影響を示す図である。

Claims (5)

  1. Ni:2.5〜4.5質量%、Si:0.50〜1.2質量%、Cr:0.0030〜0.2質量%を含有し(但し、NiとSiの重量比が3≦Ni/Si≦7である。)、残部Cuおよび不可避的不純物から構成される銅合金であって、炭素の量が50質量ppm以下である電子材料用銅合金。
  2. 更にMg、Mn、Sn及びAgから選択される1種又は2種以上を総量で0.5質量%以下含有する請求項1に記載の電子材料用銅合金。
  3. 更にZn、P、As、Sb、Be、B、Ti、Zr、Al、Co及びFeから選択される1種又は2種以上を総量で2.0質量%以下含有する請求項1又は2に記載の電子材料用銅合金。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の銅合金を用いた伸銅品。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載の銅合金を用いた電子機器部品。
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