JP2007103283A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガス密度によって負荷変化が小さいポンプを使用した場合であっても、コストアップを抑制しつつガス密度の推定精度の低下を防止することが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 燃料電池システム1のコントローラ70は、循環ポンプ42の脈動と燃料極側のガス密度との相関を示す相関データを予め記憶している。また、コントローラ70は、圧力センサ62の検出値から循環ポンプ42の脈動の大きさを検出し、検出した脈動と相関データとから、燃料極側のガス密度を求める。このように、脈動の大きさから燃料極側のガス密度を求めるため、たとえガス密度によって負荷変化が小さいポンプを使用した場合であっても、ガス密度の推定精度の低下を防止できる。また、脈動からガス密度を推定できるため、ガス密度を検出する高額なセンサを新たに設ける必要もない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
従来、燃料電池の燃料極側のガス濃度を適正範囲に保つために、燃料極側において循環させられるガスを外部に排出する燃料電池システムが知られている。ここで、燃料極側のガス濃度が適正範囲内であるか否かを判断するためには、燃料極側のガス密度を知る必要があり、従来の燃料電池システムでは、燃料極側においてガスを循環させる駆動源となる循環ポンプの負荷を計測することで、燃料極側のガス密度を推定する構成となっている(特許文献1参照)。
特開2004−165093号公報
しかし、従来の燃料電池システムにおいて循環ポンプの負荷によりガス密度を推定しようとしても、ガス密度によって負荷変化が小さいポンプ(容積式ポンプなど)を上記循環ポンプとして用いている場合には、ガス密度を正確に推定し難く、ガス密度の推定精度が低下してしまう。そこで、ガス密度を検出するセンサを設けることが考えられるが、ガス密度を検出するセンサは安価でなくコストアップを招いてしまう。
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コストアップを抑制しつつガス密度の推定精度の低下を防止することが可能な燃料電池システムを提供することにある。
本発明の燃料電池システムは、燃料電池と、ガス循環ラインと、循環ポンプと、脈動検出手段と、密度推定手段とを備えている。燃料電池は、燃料ガスの供給を受ける燃料極及び酸化剤ガスの供給を受ける酸化剤極を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電するものである。ガス循環ラインは、燃料電池の燃料極側から排出されたガスを循環させて再度燃料電池の燃料極側に送り込む流路となるものである。循環ポンプは、ガス循環ライン上に設けられ、燃料電池の燃料極側から排出されたガスを循環させて再度燃料電池の燃料極側に送り込む動力源となるものである。脈動検出手段は、循環ポンプの脈動の大きさを検出するものである。密度推定手段は、循環ポンプの脈動と燃料極側のガス密度との相関を示す相関データを記憶し、脈動検出手段により検出された脈動と相関データとから、燃料極側のガス密度を求めるものである。
本発明によれば、循環ポンプの脈動と燃料極側のガス密度との相関を示す相関データを記憶しておくと共に、循環ポンプの脈動の大きさを検出し、脈動と相関データとから、燃料極側のガス密度を求めることとしている。ここで、循環ポンプの脈動と燃料極側のガス密度とには一定の相関があり、この相関は循環ポンプの仕様等によって変化するが、予めこの相関を示す相関データを記憶しておくことで、検出した脈動の大きさから燃料極側のガス密度を求めることができる。これにより、たとえガス密度によって負荷変化が小さいポンプを使用した場合であっても、循環ポンプの脈動からガス密度を推定できるため、ガス密度の推定精度の低下を防止できる。しかも、脈動からガス密度を推定できるため、ガス密度を検出する高額なセンサを新たに設ける必要もない。従って、コストアップを抑制しつつガス密度の推定精度の低下を防止することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池10と、燃料ガス供給系20と、燃料ガス排出系(ガス排出手段)30と、ガス循環系40と、水分離器50と、温度センサ(温度検出手段)61と、圧力センサ(圧力検出手段)62と、コントローラ70とを備えている。
燃料電池10は、燃料ガス(水素ガス)と酸化剤ガス(酸素)とを反応させることにより発電を行うものであり、水素ガスの供給を受ける燃料極11と、酸素を含む空気の供給を受ける酸化剤極12とを有している。また、燃料極11と酸化剤極12とは電解質膜を挟んで重ね合わされることにより発電セルを構成しており、燃料電池10は、これら発電セルが複数層積層されたスタック構造となっている。
燃料ガス供給系20は、燃料電池10の各燃料極11に燃料ガスを供給するためのものであり、水素タンク21と、燃料ガス供給配管22と、圧力調整弁23とからなっている。水素タンク21は、燃料電池10の燃料極11に供給する水素ガスを蓄えておくものである。燃料ガス供給配管22は水素タンク21と燃料電池10の燃料極側とを接続し、水素タンク21からの燃料ガスを燃料電池10の燃料極11まで導くものである。圧力調整弁23は、燃料ガス供給配管22に設けられ、開度を調整することにより、水素タンク21から燃料電池10の燃料極側に供給される燃料ガスの供給量を制御するものである。また、圧力調整弁23は、燃料ガスの供給量を制御することにより燃料電池10の燃料極側の圧力を調整可能な構成となっている。
燃料ガス排出系30は、燃料電池10の燃料極側のガスを外部に排出するものであり、燃料ガス排出配管31と、パージ弁32とを備えている。燃料ガス排出配管31は、燃料電池10の燃料極側出口と外部とを接続し、燃料極側のオフガスを外部に導くための流路となるものである。パージ弁32は、燃料ガス排出配管31に設けられ、開度を調整することにより、燃料極側のオフガスの排出量を制御する構成となっている。
ガス循環系40は、発電に寄与することなく燃料電池10から排出された燃料ガスを再利用するためのものであって、燃料電池10の燃料極側から排出されるガスを燃料極側出口から入口に循環させるものである。このガス循環系40は、循環配管(ガス循環ライン)41と、循環ポンプ42とからなっている。
循環配管41は、燃料電池10の燃料極側出口から排出されたガスを燃料極側入口に循環させる流路となるものである。この循環配管41は、一端が燃料極側出口からパージ弁32に至るまでの燃料ガス排出配管31(図1に示す点A)に接続され、他端が圧力調整弁23から燃料極側入口に至るまでの燃料ガス供給配管22(図1に示す点B)に接続されている。循環ポンプ42は、循環配管41上に設けられ、燃料電池10の燃料極側から排出されるガスを燃料極側出口から燃料極側入口に循環させる動力源となるものである。この循環ポンプ42は、ピストン式、ダイヤフラム式、スクロール式、ルーツ式、スクリュー式、ベーン式、ギヤ式、斜板式などの容積式ポンプであり、流体を流動させるにあたり吐出圧力の脈動が発生するものである。
水分離器50は、燃料極側からのオフガスに含まれる水分を凝縮して回収するものであり、燃料極側出口から上記接続点Aに至るまでの燃料ガス排出配管31に設けられている。この水分離器50は、凝縮して取り出した水分を加湿器などに送るようになっている。
温度センサ61は、循環ポンプ42から接続点Bまでの循環配管41上に設けられ、燃料極側のガスの温度を検出するものである。圧力センサ62は、温度センサ61と同様に、循環ポンプ42から接続点Bまでの循環配管41上に設けられ、燃料極側のガスの圧力を検出するものである。すなわち、これらセンサ61,62は、循環ポンプ42の下流の温度及び圧力を検出する構成となっている。
コントローラ70は、燃料電池10の運転条件を制御するものであり、具体的には燃料電池10の運転圧力や温度、及び、各種弁23,32の開度などを制御するものである。また、コントローラ70は、脈動検出機能(脈動検出手段)を有しており、圧力センサ62により検出された圧力の変動から、循環ポンプ42の脈動の大きさを検出する構成となっている。さらに、コントローラ70は、循環ポンプ42の脈動と燃料極側のガス密度との相関を示す相関データを記憶している。
図2は、図1に示したコントローラ70が記憶する相関データを示す図である。なお、図2において縦軸は脈動の大きさを示し、横軸はガス密度を示している。循環ポンプ42の脈動と燃料極側のガス密度とには一定の相関があり、図2に示すように、脈動は、ガス密度が大きくなるに従って増大するようになっている。この相関は循環ポンプ42の仕様等によって変化するが、循環ポンプ42の仕様等が変わったとしても、予め調べておくことにより図2に示すような相関データを得ることができる。
さらに、コントローラ70は、密度推定機能(密度推定手段)を有しており、脈動検出機能により検出された循環ポンプ42の脈動の大きさと相関データとから、燃料極側のガス密度を求める構成となっている。このため、たとえガス密度によって負荷変化が小さい循環ポンプ42を使用した場合であっても、負荷変化に頼ることなくガス密度を推定でき、ガス密度の推定精度の低下を防止できる。また、燃料電池システム1において元々設置されている圧力センサ62から脈動を求め、脈動からガス密度を推定できるため、ガス密度を検出するセンサを新たに設ける必要もなくなっている。
なお、上記した圧力センサ62は、循環ポンプ42の下流に設置することにより、脈動の大きさを好適に検出できるが、望ましくは最適化された位置に設置することがよい。すなわち、循環ポンプ42と圧力センサ62とが近すぎると、例えば循環ポンプ42の吐出圧力が最大に増加する前に吐出圧力の低下を検出してしまうため、循環ポンプ42の脈動の大きさを正確に検出し難くなる。一方、循環ポンプ42と圧力センサ62とが遠すぎると、例えば循環ポンプ42の脈動が小さくなり脈動の大きさを正確に検出し難くなる。このため、循環ポンプ42から遠すぎず且つ近すぎない最適化された位置に圧力センサ62を設けることが望ましく、このような位置に圧力センサ62を設けることにより脈動の大きさの検出精度を向上させることができる。なお、最適化された位置は、配管径、流路形状、容積、及び測定したいガス密度範囲などから求めることができる。
また、コントローラ70は、上記機能の他に、燃料ガス濃度推定機能(燃料ガス濃度推定手段)、及び不純ガス濃度検出機能(不純ガス濃度検出手段)を有しており、温度センサ61により検出された温度、圧力センサ62により検出された圧力、及び推定したガス密度から、燃料極側の燃料ガス濃度および不純ガス濃度を推定する。具体的にコントローラ70は、以下の演算式から、水蒸気が飽和していると仮定して、燃料極側のガス中の燃料ガス濃度及び不純ガス濃度を求める。
[数1]
Xf=Pf/P×100
Xn=Pn/P×100
P=Pf+Pn+Pw
Pw=F(T) ex. Log(Pw=7.707406−1657.5/T)
ρ=(Pf/Mf+Pn/Mn+Pw/Mw)/R/T
なお、Xfは燃料ガスの体積濃度(%)であり、Xnは不純ガスの体積濃度(%)である。また、Pは燃料極側圧力(kPa)であり、Tは燃料極側のガス温度(K)である。Pfは燃料ガス分圧(kPa)であり、Pnは不純ガス分圧(kPa)であり、Pwは水蒸気分圧(kPa)である。ρは燃料極側のガス密度(kg/m)であり、Rは一般ガス定数(J/mol・K)である。Mfは燃料分子量であり、Mnは不純ガス分子量であり、Mwは水分子量である。
このように、コントローラ70は、ガス密度の他に、燃料ガス濃度や不純ガス濃度を求めることができる構成となっている。
図3は、本実施形態に係る燃料電池システム1の動作を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、コントローラ70は、圧力センサ62により検出された圧力の情報を入力する(ST1)。次に、コントローラ70は、入力した圧力の情報から、循環ポンプ42の脈動の大きさを求める(ST2)。そして、コントローラ70は、相関データに基づき、脈動の大きさからガス密度を求める(ST3)。
次に、コントローラ70は、温度センサ61により検出された温度の情報を入力する(ST4)。次いで、コントローラ70は、上記演算式から、燃料ガス濃度及び不純ガス濃度を求める(ST5)。そして、処理は終了する。
なお、本実施形態においてコントローラ70は、循環ポンプ42の容積比(吸気完了時の作動室の容積/排気完了時の作動室の容積)を変化させる容積比変化機能(容積比変化手段)、燃料電池10の燃料極側の圧力を調整する圧力調整機能(圧力調整手段)、及び循環ポンプ42の脈動周波数を調整する脈動周波数調整機能(脈動周波数調整手段)を有しており、図3に示す処理を実行するに先立って、これら3機能による処理を実行することが望ましい。
すなわち、コントローラ70は、循環ポンプ42の脈動の大きさを検出するに先だって、容積比変化機能により循環ポンプ42の容積比を大きくすることが望ましい。循環ポンプ42の容積比を大きくすると脈動が大きくなり、脈動の大きさを検出し易くすることができるためである。
また、コントローラ70は、循環ポンプ42の脈動の大きさを検出するに先だって、圧力調整機能により圧力調整弁23を制御して燃料極側の圧力を大きくすることが望ましい。圧力を大きくすることにより脈動が大きくなると、脈動の大きさを検出し易くすることができるためである。
さらに、コントローラ70は、循環ポンプ42の脈動の大きさを検出するに先だって、脈動周波数調整機能により循環ポンプ42の脈動周波数を小さくすることが望ましい。循環ポンプ42の脈動周波数を小さくすると、圧力センサ62の応答性が低くとも脈動を精度良く検出できるようになるためである。なお、脈動周波数は、循環ポンプ42の回転数を調整することで制御することができる。
また、本実施形態においてコントローラ70は、燃料ガス排出系30を制御してガス排出量を制御する排出量制御機能(排出量制御手段)、循環ポンプ42によるガスの循環流量を制御する循環流量制御機能(循環流量制御手段)、燃料ガス排出系30により排出されるガスを酸化剤ガスにより希釈する排ガス希釈機能(排ガス希釈手段)、及び燃料電池10の発電を制御する発電制御機能(発電制御手段)を有しており、求めた燃料ガス濃度及び不純ガス濃度に基づいて、これら4機能による処理を実行することが望ましい。
まず、排出量制御機能による処理を説明する。コントローラ70は、不純ガス濃度検出機能により推定された不純ガス濃度が第1所定濃度を上回る場合、燃料ガス排出系30によるガス排出量を多くすることが望ましい。これにより、燃料電池10の燃料極側に存在する不純ガスが多くなった場合に、燃料電池10の燃料極側から多くのガスが排出されることとなり、燃料電池の安定した発電の実現に寄与することができるためである。
なお、第1所定濃度とは、例えば燃料電池10の安定発電に必要な水素ストイキ比(水素ガス供給量/水素ガス消費量)を確保できるだけの不純ガスの濃度をいい、具体的には循環ポンプ42の能力や燃料電池10の特性によって決定されるものである。
また、コントローラ70は、不純ガス濃度検出機能により推定された不純ガス濃度が第1所定濃度を下回る場合、燃料ガス排出系30によるガス排出量を少なくすることが望ましい。これにより、燃料電池10の燃料極側に存在する不純ガスが少なくなった場合に、燃料電池10の燃料極側からあまりガスを排出せず、未利用の燃料ガスが多く排出されてしまう事態を防止できるためである。
特に、コントローラ70は、システム起動時において不純ガス濃度検出機能により推定された不純ガス濃度が第1所定濃度を下回る場合、燃料ガス排出系30によるガスの排出量を少なくして排出時間を短くすることが望ましい。不純ガス濃度が高くない場合にガスの排出時間を短くして、通常運転に移行するまでの起動時間を短くすることができるためである。
次に、流量制御機能による処理を説明する。コントローラ70は、不純ガス濃度検出機能により推定された不純ガス濃度が第1所定濃度を上回る場合、ガスの循環流量を多くすることが望ましい。燃料電池10の燃料極側に存在する不純ガスが多くなり燃料ガスが少なくなったと考えられる場合に、燃料電池10の燃料極側におけるガスの循環流量を多くして、発電に必要な燃料ガスを燃料電池10に供給することができるためである。
また、コントローラ70は、不純ガス濃度検出機能により推定された不純ガス濃度が第1所定濃度を下回る場合、ガスの循環流量を少なくすることが望ましい。燃料電池10の燃料極側に存在する不純ガスが少なくなり燃料極側に燃料ガスが多く存在すると考えられる場合に、燃料電池10の燃料極側におけるガスの循環流量を少なくして、循環ポンプの消費電力を抑制することができるためである。
次に、排ガス希釈機能による処理を説明する。まず、図1において図示していないが、燃料ガス排出配管31は、途中で酸化剤ガスの排出配管と接続されており、排出ガスは酸化剤ガスによって希釈されるようになっている。コントローラ70は、この希釈の際に用いられる酸化剤ガスの量を制御するようになっている。ここで、コントローラ70は、燃料ガス濃度推定機能により推定された燃料ガス濃度が第2所定濃度を上回る場合、希釈に用いる酸化剤ガス量を多くすることが望ましい。燃料電池10の燃料極側に存在するガスの燃料ガス濃度が高い場合に、燃料ガス濃度を好適に希釈したうえで排出を行うことができるためである。
なお、第2所定濃度とは、例えば燃料電池10の安定発電に必要な水素ストイキ比(水素ガス供給量/水素ガス消費量)を確保できるだけの燃料ガスの濃度をいい、具体的には循環ポンプ42の能力や燃料電池10の特性によって決定されるものである。
また、コントローラ70は、燃料ガス濃度推定機能により推定された燃料ガス濃度が第2所定濃度を下回る場合、希釈に用いる酸化剤ガス量を少なくすることが望ましい。酸化剤ガスによる希釈処理にあたり消費される電力量(例えば酸化剤ガスを燃料ガス排出配管31に導くためのポンプに必要となる電力量)を抑制することができるためである。
次に、発電制御機能による処理を説明する。コントローラ70は、アイドル運転時において燃料ガス濃度推定機能により推定された燃料ガス濃度が第2所定濃度を上回る場合、燃料電池10の発電を停止させることが望ましい。燃料電池10の発電を停止させると、燃料電池10の酸化剤極側から燃料極側に不純ガスが流入し、燃料ガス濃度が低下してしまうが、燃料ガス濃度が第2所定濃度を上回るため、燃料電池10による発電を停止させても、燃料ガス濃度が低下しすぎることがないためである。また、アイドル運転時には燃料電池10を停止させることにより(すなわちアイドリングストップすることにより)、燃費向上を図ることができるためである。
また、コントローラ70は、アイドル運転時において燃料ガス濃度推定機能により第2所定濃度を上回ったと推定された燃料ガス濃度がその後第2所定濃度を下回った場合、停止させた燃料電池10の発電を再開させることが望ましい。燃料ガス濃度が第2所定濃度を下回り、燃料ガス濃度が低下し過ぎてしまう場合には、発電を再開することで、更なる燃料ガス濃度の低下を防止することができるためである。
このようにして、本実施形態に係る燃料電池システム1によれば、循環ポンプ42の脈動と燃料極側のガス密度との相関を示す相関データを記憶しておくと共に、循環ポンプ42の脈動の大きさを検出し、検出した脈動と相関データとから、燃料極側のガス密度を求めることとしている。ここで、循環ポンプ42の脈動と燃料極側のガス密度とには一定の相関があり、この相関は循環ポンプ42の仕様等によって変化するが、予めこの相関を示す相関データを記憶しておくことで、検出した脈動の大きさから燃料極側のガス密度を求めることができる。これにより、たとえガス密度によって負荷変化が小さいポンプを使用した場合であっても、循環ポンプ42の脈動からガス密度を推定でき、ガス密度の推定精度の低下を防止できる。しかも、元々設置されている圧力センサ62から脈動を求めてガス密度を推定するため、ガス密度を検出するセンサを新たに設ける必要もない。従って、ガス密度によって負荷変化が小さいポンプを使用した場合であっても、コストアップを抑制しつつガス密度の推定精度の低下を防止することができる。
また、温度センサ61により燃料極側のガスの温度を検出し、圧力センサ62により燃料極側のガスの圧力を検出するため、検出温度、検出圧力、及び推定したガス密度から、燃料極側の燃料ガス濃度を推定することができる。
また、圧力センサ62は循環ポンプ42の下流の圧力を検出するため、脈動の大きさの検出感度を向上させることができる。
また、循環ポンプ42の脈動の大きさを検出するにあたり、循環ポンプ42の容積比を大きくすることとしている。このため、容積比を大きくして脈動を大きくし、脈動の大きさを検出し易くすることができる。従って、ガス密度の推定精度を高めることができる。
また、循環ポンプ42の脈動の大きさを検出するにあたり、燃料極側の圧力を大きくすることとしている。このため、圧力を大きくして脈動を大きくし、脈動の大きさを検出し易くすることができる。従って、ガス密度の推定精度を高めることができる。
また、循環ポンプ42の脈動の大きさを検出するにあたり、循環ポンプ42の脈動周波数を小さくすることとしている。ここで、循環ポンプ42の脈動周波数を小さくすると、応答性の低い圧力センサでも脈動の検出精度が向上する。従って、ガス密度の推定精度を高めることができる。
また、不純ガス濃度が第1所定濃度を上回る場合、燃料電池10の燃料極側からのガス排出量を多くすることとしている。このため、燃料電池10の燃料極側に存在する不純ガスが多くなった場合に、燃料電池10の燃料極側から多くのガスが排出されることとなり、不純ガスを多く排出して、燃料電池10の安定した発電の実現に寄与することができる。なお、ガス密度が第1所定密度(第1所定濃度から上記演算式より求められる密度)を上回る場合に燃料電池10の燃料極側からのガス排出量を多くするようにしてもよく、この場合においても同様に燃料電池10の安定した発電の実現に寄与することができる。
また、不純ガス濃度が第1所定濃度を下回る場合、燃料電池10の燃料極側からのガス排出量を少なくすることとしている。このため、燃料電池10の燃料極側に存在する不純ガスが少なく燃料ガスが多く存在する場合に、燃料電池10の燃料極側から多くのガスを排出せず、未利用の燃料ガスが多量に排出されてしまう事態を防止することとなる。これにより、燃料ガスを効率的に発電に用いることができ、燃料電池10の発電効率を高めることができる。なお、ガス密度が第1所定密度を下回る場合に燃料電池10の燃料極側からのガス排出量を少なくするようにしてもよく、この場合においても同様に燃料電池10の発電効率を高めることができる。
また、システム起動時において不純ガス濃度が第1所定濃度を下回る場合、燃料電池10の燃料極側からのガスの排出量を少なくして排出時間を短くすることとしている。このため、不純ガス濃度が高くない場合にガスの排出時間を短くして、通常運転に移行するまでの起動時間を短くすることができる。なお、システム起動時においてガス密度が第1所定密度を下回る場合に燃料電池10の燃料極側からのガスの排出時間を短くするようにしてもよく、この場合においても同様に通常運転に移行するまでの起動時間を短くすることができる。
また、不純ガス濃度が第1所定濃度を上回る場合、燃料電池10の燃料極側におけるガスの循環流量を多くすることとしている。このため、燃料電池10の燃料極側に存在する不純ガスが多くなり燃料ガスが少なくなったと考えられる場合に、燃料電池10の燃料極側におけるガスの循環流量を多くして、発電に必要な燃料ガスを燃料電池10に供給することができる。なお、ガス密度が第1所定密度を上回る場合に燃料電池10の燃料極側におけるガスの循環流量を多くするようにしてもよく、この場合においても同様に発電に必要な燃料ガスを燃料電池10に供給することができる。
また、不純ガス濃度が第1所定濃度を下回る場合、燃料電池10の燃料極側におけるガスの循環流量を少なくすることとしている。このため、燃料電池10の燃料極側に存在する不純ガスが少なくなり燃料ガスが多く存在すると考えられる場合に、燃料電池10の燃料極側におけるガスの循環流量を少なくして、循環ポンプ42の消費電力を抑制することができる。なお、ガス密度が第1所定密度を下回る場合に燃料電池の燃料極側におけるガスの循環流量を少なくするようにしてもよく、この場合においても同様に循環ポンプ42の消費電力を抑制することができる。
また、燃料ガス濃度が第2所定濃度を上回る場合、希釈に用いる酸化剤ガス量を多くすることとしている。このため、燃料電池10の燃料極側に存在するガスの燃料ガス濃度が高い場合に、燃料ガス濃度を好適に希釈したうえで排出を行うことができる。なお、ガス密度が第2所定密度を下回る場合に希釈に用いる酸化剤ガス量を多くするようにしてもよく、この場合においても同様に燃料ガス濃度を好適に希釈したうえで排出を行うことができる。
また、燃料ガス濃度が第2所定濃度を下回る場合、希釈に用いる酸化剤ガス量を少なくすることとしている。このため、酸化剤ガスによる希釈処理にあたり消費される電力量を抑制することができる。なお、ガス密度が第2所定密度(第2所定濃度から上記演算式より求められる密度)を上回る場合に希釈に用いる酸化剤ガス量を少なくするようにしてもよく、この場合においても同様に消費される電力量を抑制することができる。
また、アイドル運転時において燃料ガス濃度が第2所定濃度を上回る場合、燃料電池10の発電を停止させることとしている。ここで、燃料電池10の発電を停止させると、燃料電池10の酸化剤極側から燃料極側に不純ガスが流入し、燃料ガス濃度が低下してしまうが、燃料ガス濃度が第2所定濃度を上回るため、燃料電池10による発電を停止させても、燃料ガス濃度が低下しすぎることがない。また、アイドル運転時には燃料電池10を停止させることにより(すなわちアイドリングストップすることにより)、燃費向上を図ることができる。従って、アイドル運転時において燃料ガス濃度が第2所定濃度を上回る場合、燃料電池10の発電を停止させることで、燃料ガス濃度を低下させすぎることなく、燃費の向上を図ることができる。
なお、アイドル運転時においてガス密度が第2所定密度を下回る場合に燃料電池10の発電を停止させるようにしてもよく、この場合においても同様に燃料ガス濃度を低下させすぎることなく、燃費の向上を図ることができる。
また、アイドル運転時において第2所定濃度を上回ったと推定された燃料ガス濃度がその後第2所定濃度を下回った場合、停止させた燃料電池10の発電を再開させることとしている。このため、燃料ガス濃度が第2所定濃度を下回り、燃料ガス濃度が低下し過ぎてしまう場合には、発電を再開することとしている。これにより、更なる燃料ガス濃度の低下を防止することができる。なお、アイドル運転時において第2所定密度を下回ると推定されたガス密度がその後第2所定密度を上回った場合に停止させた燃料電池10の発電を再開させるようにしてもよく、この場合においても同様に更なる燃料ガス濃度の低下を防止することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 図1に示したコントローラが記憶する相関データを示す図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1…燃料電池システム
10…燃料電池
11…燃料極
12…酸化剤極
20…燃料ガス供給系
21…水素タンク
22…燃料ガス供給配管
23…圧力調整弁
30…燃料ガス排出系(ガス排出手段)
31…燃料ガス排出配管
32…パージ弁
40…ガス循環系
41…循環配管(ガス循環ライン)
42…循環ポンプ
50…水分離器
61…温度センサ(温度検出手段)
62…圧力センサ(圧力検出手段)
70…コントローラ(脈動検出手段、密度推定手段、燃料ガス濃度推定手段、容積比変化手段、圧力調整手段、脈動周波数調整手段、不純ガス濃度検出手段、排出量制御手段、循環流量制御手段、排ガス希釈手段、発電制御手段)

Claims (15)

  1. 燃料ガスの供給を受ける燃料極及び酸化剤ガスの供給を受ける酸化剤極を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電する燃料電池と、
    前記燃料電池の燃料極側から排出されたガスを循環させて再度燃料電池の燃料極側に送り込む流路となるガス循環ラインと、
    前記ガス循環ライン上に設けられ、前記燃料電池の燃料極側から排出されたガスを循環させて再度燃料電池の燃料極側に送り込む動力源となる循環ポンプと、
    前記循環ポンプの脈動の大きさを検出する脈動検出手段と、
    前記循環ポンプの脈動と前記燃料極側のガス密度との相関を示す相関データを記憶し、前記脈動検出手段により検出された脈動と前記相関データとから、前記燃料極側のガス密度を求める密度推定手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料極側のガスの温度を検出する温度検出手段と、
    前記燃料極側のガスの圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記温度検出手段により検出された温度、前記圧力検出手段により検出された圧力、及び前記密度推定手段により推定されたガス密度から、燃料極側の燃料ガス濃度を推定する燃料ガス濃度推定手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記脈動検出手段は、前記圧力検出手段により検出された圧力の変動から脈動の大きさを検出し、
    前記圧力検出手段は、前記循環ポンプ下流の圧力を検出する
    ことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記循環ポンプの容積比を変化させる容積比変化手段をさらに備え、
    前記容積比変化手段は、前記脈動検出手段によって前記循環ポンプの脈動の大きさを検出するにあたり、前記循環ポンプの容積比を大きくする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池の燃料極側の圧力を調整する圧力調整手段をさらに備え、
    前記圧力調整手段は、前記脈動検出手段によって前記循環ポンプの脈動の大きさを検出するにあたり、前記燃料極側の圧力を大きくする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記循環ポンプの脈動周波数を調整する脈動周波数調整手段をさらに備え、
    前記脈動周波数調整手段は、前記脈動検出手段によって前記循環ポンプの脈動の大きさを検出するにあたり、前記循環ポンプの脈動周波数を小さくする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池の燃料極側のガス内の不純ガス濃度を求める不純ガス濃度検出手段と、
    前記燃料電池の燃料極側のガスを外部に排出するガス排出手段と、
    前記ガス排出手段を制御してガス排出量を制御する排出量制御手段と、をさらに備え、
    前記排出量制御手段は、前記密度推定手段により推定されたガス密度が所定密度を上回る場合、または前記不純ガス濃度検出手段により推定された不純ガス濃度が所定濃度を上回る場合、前記ガス排出手段によるガス排出量を多くする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃料電池の燃料極側のガス内の不純ガス濃度を求める不純ガス濃度検出手段と、
    前記燃料電池の燃料極側のガスを外部に排出するガス排出手段と、
    前記ガス排出手段を制御してガス排出量を制御する排出量制御手段と、をさらに備え、
    前記排出量制御手段は、前記密度推定手段により推定されたガス密度が所定密度を下回る場合、または前記不純ガス濃度検出手段により推定された不純ガス濃度が所定濃度を下回る場合、前記ガス排出手段によるガス排出量を少なくする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池の燃料極側のガス内の不純ガス濃度を求める不純ガス濃度検出手段と、
    前記燃料電池の燃料極側のガスを外部に排出するガス排出手段と、
    前記ガス排出手段を制御してガス排出量を制御する排出量制御手段と、をさらに備え、
    前記排出量制御手段は、システム起動時において前記密度推定手段により推定されたガス密度が所定密度を下回る場合、またはシステム起動時において前記不純ガス濃度検出手段により推定された不純ガス濃度が所定濃度を下回る場合、前記ガス排出手段によるガスの排出量を少なくして排出時間を短くする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  10. 前記燃料電池の燃料極側のガス内の不純ガス濃度を求める不純ガス濃度検出手段と、
    前記循環ポンプによるガスの循環流量を制御する循環流量制御手段と、をさらに備え、
    前記循環流量制御手段は、前記密度推定手段により推定されたガス密度が所定密度を上回る場合、または前記不純ガス濃度検出手段により推定された不純ガス濃度が所定濃度を上回る場合、ガスの循環流量を多くする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  11. 前記燃料電池の燃料極側のガス内の不純ガス濃度を求める不純ガス濃度検出手段と、
    前記循環ポンプによるガスの循環流量を制御する循環流量制御手段と、をさらに備え、
    前記循環流量制御手段は、前記密度推定手段により推定されたガス密度が所定密度を下回る場合、または前記不純ガス濃度検出手段により推定された不純ガス濃度が所定濃度を下回る場合、ガスの循環流量を少なくする
    ことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  12. 前記燃料電池の燃料極側のガスを外部に排出するガス排出手段と、
    前記ガス排出手段により排出されるガスを酸化剤ガスにより希釈する排ガス希釈手段と、をさらに備え、
    前記排ガス希釈手段は、前記密度推定手段により推定されたガス密度が所定密度を下回る場合、または前記燃料ガス濃度推定手段により推定された燃料ガス濃度が所定濃度を上回る場合、希釈に用いる酸化剤ガス量を多くする
    ことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  13. 前記燃料電池の燃料極側のガスを外部に排出するガス排出手段と、
    前記ガス排出手段により排出されるガスを酸化剤ガスにより希釈する排ガス希釈手段と、をさらに備え、
    前記排ガス希釈手段は、前記密度推定手段により推定されたガス密度が所定密度を上回る場合、または前記燃料ガス濃度推定手段により推定された燃料ガス濃度が所定濃度を下回る場合、希釈に用いる酸化剤ガス量を少なくする
    ことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  14. 前記燃料電池の発電を制御する発電制御手段をさらに備え、
    前記発電制御手段は、アイドル運転時において前記密度推定手段により推定されたガス密度が所定密度を下回る場合、またはアイドル運転時において前記燃料ガス濃度推定手段により推定された燃料ガス濃度が所定濃度を上回る場合、前記燃料電池の発電を停止させる
    ことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  15. 前記発電制御手段は、アイドル運転時において前記密度推定手段により所定密度を下回ると推定されたガス密度がその後所定密度を上回った場合、またはアイドル運転時において前記燃料ガス濃度推定手段により所定濃度を上回ったと推定された燃料ガス濃度がその後所定濃度を下回った場合、停止させた燃料電池の発電を再開させる
    ことを特徴とする請求項14に記載の燃料電池システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018125069A (ja) * 2017-01-30 2018-08-09 パナソニックIpマネジメント株式会社 燃料電池システム及びその運転方法

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