JP2007101647A - 液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 表示品位を確保しつつも液晶注入工程を短時間で行うことが可能な液晶表示素子を提供することを目的とする。
【解決手段】 無機配向膜が形成された一対の基板(ガラス基板、シリコン基板)間に液晶を狭持した液晶表示素子において、ガラス基板1に形成された無機配向膜6が有するカラム構造体6aの傾斜方向b及びシリコン基板2に形成された無機配向膜7が有するカラム構造体7aの傾斜方向b’が、液晶注入口4の中心を通る中心線aと概ね直交するように液晶注入口4を配設する。これにより、液晶注入口4から液晶を注入する際の液晶の流動抵抗が減少し、液晶分子に不要なストレスを与えることなく円滑に液晶を注入することができるため、配向ムラの無い表示品位の高い液晶表示素子を短時間で製造することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】 無機配向膜が形成された一対の基板(ガラス基板、シリコン基板)間に液晶を狭持した液晶表示素子において、ガラス基板1に形成された無機配向膜6が有するカラム構造体6aの傾斜方向b及びシリコン基板2に形成された無機配向膜7が有するカラム構造体7aの傾斜方向b’が、液晶注入口4の中心を通る中心線aと概ね直交するように液晶注入口4を配設する。これにより、液晶注入口4から液晶を注入する際の液晶の流動抵抗が減少し、液晶分子に不要なストレスを与えることなく円滑に液晶を注入することができるため、配向ムラの無い表示品位の高い液晶表示素子を短時間で製造することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶表示素子に関するものである。
近年、液晶表示素子の高品質化へ向けての開発が進められており、液晶分子を基板面に対して均一かつ再現性よく傾斜させ、表示領域内で均一に配向させる技術が必要となっている。
例えば、負の誘電異方性を有する液晶材料を用いた液晶表示素子の電界効果複屈折モードにおいては、液晶分子を基板の法線方向から同一方向に傾斜させることが必要であり、この場合、配向膜としては基板面にSiOやSiO22のような無機物を斜方蒸着して形成された無機配向膜が用いられる。(例えば、特許文献1、2、3参照)
液晶分子は一対の基板に形成された無機配向膜間に挟持され、その長手方向が基板面に対して所定の傾斜角度(プレチルト角)を成すように配向する。液晶分子の傾斜角は表示品位に大きく影響を及ぼし、パネル面内の傾斜角のバラツキは1度以内が望ましいと言われている。
図6は、無機配向膜を有する従来の液晶表示素子を模式的に示す上面図である。当該図6に示すように、互いに対向する面に無機配向膜(不図示)が形成された一対の基板、例えばガラス基板1とシリコン基板2とがシール材(シールパターン)3を介して互いにオフセットした状態で貼り合わされ、その間隙内に液晶(不図示)が封入されている。シール材3の一端部には間隙内に液晶を注入するための液晶注入口4が設けられており、液晶を注入した上で封口材5にて封止されている。
また、図中の矢印aは液晶注入口4の中心を通る中心線で、矢印bはシリコン基板2に形成された無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向であり、矢印aと矢印bとは例えば45°の角度を成すように構成されている。尚、中心線aは液晶注入口幅の平均的な中間点を通る直線として考えるものである。
以上説明した従来の液晶表示素子を製造する際には、まず、シリコンウエハとガラスウエハの表面にSiO2からなる無機配向膜を斜方蒸着法により形成し、その後、シール材を介してシリコンウエハとガラスウエハとを互いに貼り合せた上で、スクライブ等により個々の液晶表示素子(空セル)に分断(個片化)する。そして、個片化された液晶表示素子の液晶注入口を真空中にて液晶材料と接触させ、毛細管現象により基板間(間隙内)へ液晶を注入する。その際、液晶材料がある程度間隙内へ注入された時点で真空状態を解除して大気圧状態とし、間隙空間内と外部との圧力差を利用して残りの液晶注入工程を行う。
上記の液晶注入工程で間隙空間内と外部との圧力差を利用して液晶の注入を行う際に、真空雰囲気中での液晶注入時間(真空注入時間)と大気圧雰囲気中での液晶注入時間(大気圧注入時間)は適宜選択される。図7は、従来の液晶表示素子に係る液晶注入工程の真空注入時間と大気圧注入時間との割合(一例)を示す図で、図中Aのグラフは真空注入時間を短く取った場合で、Bのグラフは真空注入時間を長く取った場合を示している。但し、ここでは液晶材料に負の誘電異方性を持つ液晶を用い、パネルサイズを20×18mm、基板間ギャップを2.8μmとしている(以下、本明細書においては同条件とする)。当該図7を参照すると、注入工程Aの如く真空注入時間を短く取った場合には、続く大気圧注入時間が真空注入時間より長くなっているのに対し、注入工程Bの如く真空注入時間を長く取った場合には、大気圧注入時間が真空注入時間より短くなっていることが分かる。更に、注入工程A、Bそれぞれの全所要時間(トータル注入時間)を比較すると、注入工程Bよりも注入工程Aの方が短時間であり、生産性の観点からはより優れていると言える。
しかしながら、注入工程Aは液晶の注入を短時間で行えるものの、液晶分子の配列状態にバラツキが生じることがある。これは、特に基板間に液晶を注入する際の液晶の注入速度差に起因するもので、一般的に斜方蒸着法により形成された無機配向膜上ではラビング法により形成された有機配向膜上に比べ液晶の移動速度が遅いため、注入口エリアと表示エリアとの間で注入速度に差が生じ易く(注入口エリアは狭小であるのに対し、表示エリアは広大であるため)、表示エリアの液晶注入口隣接側とそれと対向する側とでは液晶分子の配列状態にバラツキが生じ易い。液晶分子の配列状態がばらつくと、液晶表示素子のコントラストにムラが生じる。
また、液晶の注入速度に差が生じる他の要因として無機配向膜の表面形状が挙げられる。斜方蒸着法により形成された無機配向膜表面は、ラビング法により形成された有機配向膜表面に比べ配向規制力が小さいため、注入速度差の影響を受け易く配向不良が生じやすい。特に、無機配向膜表面のカラム構造体が液晶注入口側に傾いていると液晶の流動抵抗が高まり、それが注入速度に影響を与えて配向不良が発生する。
生産性の観点からは注入速度を早めて液晶注入工程を短時間で行うことが望ましいが、一方では注入速度を早めることで液晶分子の配列プロセスが乱れ、液晶分子の配列状態にバラツキが生じ易くなる。図8は、注入工程Aにて液晶の注入を行った場合の液晶分子の配列角度(プレチルト角)を示す図で、図中のA〜Dは図6中の各測定ポイントを示している。当該図8を参照すると、測定ポイントA〜Dの間でプレチルト角に差異があり、液晶分子の配列状態にバラツキがあることが分かる。
また、図9は、注入工程A、Bそれぞれにて液晶の注入を行った場合のプレチルト角の面内分布を示す図である。当該図9を参照すると、注入工程Aでは面内分布が大きく出ているのに対し、注入工程Bでは面内分布がほとんど生じていないことが分かる。液晶表示素子の表示品位を保つためには、液晶注入の際に極力面内での注入速度を一定に保つ必要があり、そのためには真空注入プロセスを長く維持しなければならず、必然的に注入時間は長くなる。注入時間は、液晶表示素子のサイズや間隙幅にもよるが、少なくとも1〜4時間を要する。
即ち、生産性の観点からすれば注入工程Aの如く真空注入時間を短く取ってトータル注入時間を短縮させるのが望ましいが、表示品位の観点からすれば(液晶分子の配列状態にバラツキを生じさせないためには)注入工程Bの如く注入工程の大半を真空状態にて行い、液晶の注入にそれ相応の長い時間をかけなければならず、互いに相容れない状況である。
特開平5−232487号公報
特開平11−95226号公報
特開平9−61826号公報
以上説明したように、生産性の観点からすれば真空注入時間を短く取ってトータル注入時間を短縮するのが望ましいが、品質の観点からすれば注入工程の大半を真空状態にて行い注入工程に長時間かけるのが望ましく、互いに相容れない状況である。本発明は、このような問題点に鑑みて成されたものであり、表示品位を確保しつつも液晶注入工程を短時間で行うことが可能な液晶表示素子を提供することを目的とする。
表面に無機配向膜が形成された一対の基板を少なくとも一端部に液晶注入口が設けられたシールパターンを介して貼り合せることで形成された間隙に液晶を封入してなる液晶表示素子であって、
前記無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向が前記液晶注入口の中心を通る中心線と概ね直交する液晶表示素子とする。
前記無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向が前記液晶注入口の中心を通る中心線と概ね直交する液晶表示素子とする。
本発明の液晶表示素子によれば、無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向を液晶注入口の中心を通る中心線と概ね直交させることで、液晶注入時の液晶の流動抵抗が減少して液晶注入速度が速まり、液晶注入工程が短縮化されると共に、液晶表示素子の液晶注入口エリアと表示エリアとの間で液晶注入速度差が緩和され、液晶注入プロセスが安定化して液晶の表示品位(プレチルト角の均一性)を向上させることが可能となる。
図1は、本発明の液晶表示素子を模式的に示す図で、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A’断面図である。尚、従来と同一部材には同一符号を付してある。当該図1に示すように、互いに対向する面にSiO2からなる無機配向膜6、7が形成された一対の基板、例えばガラス基板1とシリコン基板2とがシール材(シールパターン)3を介して互いにオフセットした状態で貼り合わされ、その間隙内に液晶8(例えば、負の誘電異方性を持つ液晶材料)が封入されている。シール材3の一端部には間隙内に液晶8を注入するための液晶注入口4が設けられており、液晶8を注入した上で封口材5にて封止されている。
以上のように、本発明の液晶表示素子は従来の液晶表示素子と基本的な構成は同じであり、特徴は液晶注入口と無機配向膜との位置関係にある。即ち、図1(A)に示すように本発明の液晶表示素子においては、液晶注入口4の中心を通る中心線aと無機配向膜6、7が有するカラム構造体6a、7aの傾斜方向b、b’とが互いに直交している。但し、ここで言う直交とは厳密に90°を成すという意味ではなく、ある程度の許容誤差(好ましくは±5°)が含まれるものである。
また、図1(B)に示すように、ガラス基板1に形成された無機配向膜6とシリコン基板2に形成された無機配向膜7とは、それぞれカラム構造体6a、7aの傾斜方向b、b’が互いに対向しており、それらの間に液晶分子が所定のプレチルト角を成して配列している。本発明の液晶表示素子では、液晶注入口4の中心線aと無機配向膜6、7が有するカラム構造体6a、7aの傾斜方向b、b’とが互いに直交していることで、液晶注入時の液晶分子には無機配向膜6、7が有するカラム構造体6a、7aの傾斜角に沿った流動抵抗成分が発生しないため、カラム構造体6a、7aの影響を受けることなく注入が可能であり、液晶注入口4付近とそれと対向する側との間で配向ムラが生じない。
図2は、本発明の液晶表示素子に係る液晶注入工程の真空注入時間と大気圧注入時間との割合(一例)を示す図である。当該図2を参照すると、真空注入時間と大気圧注入時間とを合わせ、約1時間で液晶注入工程が完了しており、従来の液晶表示素子における注入工程Aよりも短縮されていることが分かる。また、図3は、本発明の液晶表示素子における液晶分子の配列角度(プレチルト角)を示す図で、図中のA〜Dは図1中の各測定ポイントを示している。当該図3を参照すると、液晶注入工程を短時間(約1時間)で行っているにも関わらず、液晶分子のプレチルト角にバラツキが無いことが分かる。
図4は、本発明の液晶表示素子を製造する方法を示す工程フロー図で、図5は、本発明の液晶表示素子を製造する際に用いる斜方蒸着装置を示す模式図である。本発明の液晶表示素子を製造する各工程の流れは以下の通りである。尚、基本的な製造方法は従来と同様であるため詳細な説明は省略する。
工程A:洗浄を終えたシリコンウエハ9とガラスウエハ10を図5に示すような斜方蒸着装置11内に配置し、蒸着源12にSiO2を用いた斜方蒸着法(本実施例では斜方蒸着角度20°)によりそれぞれのウエハ9、10上に無機配向膜を形成する。尚、本実施例では2枚のウエハ9、10に同時に無機配向膜を形成しているが、1枚ずつ処理するようにしても構わない。
工程B:無機配向膜が形成された一対の基板(シリコンウエハ9、ガラスウエハ10)をそれぞれの無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向が互いに対向するようにシール材を介して貼り合わせる。その際、液晶注入口はその中心線と無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向とが互いに概ね直交する位置に設置される。
工程C:工程Bにより貼り合わされた一対の基板9、10をスクライブ法等により個片化(分断)する。
工程D:個片化された液晶表示素子(空セル)を真空雰囲気中に配置した上で液晶注入口を液晶材料に接触させ、毛細管現象を利用して間隙内へ液晶を注入する。尚、本実施例では真空状態にて液晶注入を30分行った後、大気圧状態にして更に30分の液晶注入を行っている。
工程E:液晶表示素子の液晶注入口に封口材を塗布して封口する。
工程B:無機配向膜が形成された一対の基板(シリコンウエハ9、ガラスウエハ10)をそれぞれの無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向が互いに対向するようにシール材を介して貼り合わせる。その際、液晶注入口はその中心線と無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向とが互いに概ね直交する位置に設置される。
工程C:工程Bにより貼り合わされた一対の基板9、10をスクライブ法等により個片化(分断)する。
工程D:個片化された液晶表示素子(空セル)を真空雰囲気中に配置した上で液晶注入口を液晶材料に接触させ、毛細管現象を利用して間隙内へ液晶を注入する。尚、本実施例では真空状態にて液晶注入を30分行った後、大気圧状態にして更に30分の液晶注入を行っている。
工程E:液晶表示素子の液晶注入口に封口材を塗布して封口する。
本発明の要旨は、無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向と液晶注入口の中心線とが互いに概ね直交する位置に液晶注入口を配設することで液晶注入時の液晶の流動抵抗を減少させることであるが、その意義は液晶材料をカラム構造体の傾斜方向に対して概ね直交する方向から注入させることである。従って、本発明の技術内容は、カラム構造体を有する無機配向膜を用いて構成される種々の液晶表示素子に適用することが可能であり、その態様は本明細書に記載した実施形態に限定されるものではない。
1 ガラス基板
2 シリコン基板
3 シール材
4 液晶注入口
5 封口材
6 無機配向膜
6a カラム構造体
7 無機配向膜
7a カラム構造体
8 液晶
9 シリコンウエハ
10 ガラスウエハ
11 斜方蒸着装置
12 蒸着源
a 液晶注入口の中心線
b カラム構造体の傾斜方向(ガラス基板側)
b’ カラム構造体の傾斜方向(シリコン基板側)
2 シリコン基板
3 シール材
4 液晶注入口
5 封口材
6 無機配向膜
6a カラム構造体
7 無機配向膜
7a カラム構造体
8 液晶
9 シリコンウエハ
10 ガラスウエハ
11 斜方蒸着装置
12 蒸着源
a 液晶注入口の中心線
b カラム構造体の傾斜方向(ガラス基板側)
b’ カラム構造体の傾斜方向(シリコン基板側)
Claims (1)
- 表面に無機配向膜が形成された一対の基板を一端部に液晶注入口が設けられたシールパターンを介して貼り合せることで形成された間隙に液晶を封入してなる液晶表示素子であって、
前記無機配向膜が有するカラム構造体の傾斜方向が前記液晶注入口の中心を通る中心線と概ね直交することを特徴とする液晶表示素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005288349A JP2007101647A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 液晶表示素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005288349A JP2007101647A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 液晶表示素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007101647A true JP2007101647A (ja) | 2007-04-19 |
Family
ID=38028674
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005288349A Pending JP2007101647A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 液晶表示素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007101647A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009300709A (ja) * | 2008-06-13 | 2009-12-24 | Sony Corp | 画像表示装置およびその調整方法 |
CN107479259A (zh) * | 2017-08-25 | 2017-12-15 | 上海天马有机发光显示技术有限公司 | 显示面板和显示装置 |
JP2019174574A (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-10 | シチズンファインデバイス株式会社 | 液晶パネル |
-
2005
- 2005-09-30 JP JP2005288349A patent/JP2007101647A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009300709A (ja) * | 2008-06-13 | 2009-12-24 | Sony Corp | 画像表示装置およびその調整方法 |
CN107479259A (zh) * | 2017-08-25 | 2017-12-15 | 上海天马有机发光显示技术有限公司 | 显示面板和显示装置 |
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JP7058534B2 (ja) | 2018-03-27 | 2022-04-22 | シチズンファインデバイス株式会社 | 液晶パネル |
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