JP2007100586A - 可変ターボ過給機およびこれを備えたエンジン - Google Patents

可変ターボ過給機およびこれを備えたエンジン Download PDF

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Abstract


【課題】コンパクト化を実現でき、圧油供給の構造をも簡素化できる可変ターボ過給機、およびこの可変ターボ過給機を備えたエンジンの提供。
【解決手段】ノズルベーンの回動調節用の油圧アクチュエータ50、およびこれへの圧油を制御するソレノイドバルブ60をベアリングハウジング40内の第1、第2収容部41,42に収容した。また、ソレノイドバルブ60を油冷するオイル流通部70を設けた。従って、それらをブラケット等を用いてベアリングハウジング40外部に取り付ける必要がなく、可変ターボ過給機をコンパクトにできる。しかも、ソレノイドバルブ60から油圧アクチュエータ50へは、ベアリングハウジング40内の流路45等を用いて圧油を供給でき、圧油供給用の配管等を省略できて、より一層コンパクトにできる。さらに、オイル流通部70を設けることで、排気タービンホイール側からの熱影響を抑制できて誤動作等を確実に防止できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、排気流速を調整するノズルベーンを備えた可変ターボ過給機、およびこの可変ターボ過給機を備えたエンジンに関する。
従来、排気タービンのノズル部に可動式のノズルベーンを設け、このノズルベーンを回動させることによりノズル開度(ノズル部の開口面積)を調整できるようにした可変ターボ過給機が知られている。この可変ターボ過給機によれば、排気ガス量が少ないエンジンの低速回転域では、ノズルベーンを回動させてノズル開度を小さくすればよく、こうすることで排気タービンに流入する排気ガスの流速が増加するため、排気タービンホイールの回転エネルギが大きくなり、よって給気コンプレッサの過給能力を上げることができる。
ノズルベーンを回動させる具体的な構造としては、複数のノズルベーンの1つに外部から回動駆動可能な回動駆動軸が連結されており、この回動駆動軸の途中には駆動用の回動レバーが取り付けられている。駆動用の回動レバーは連結リングを介して他のノズルベーンに設けられた従動用の回動レバーを回動させる。従って、一つのノズルベーンを回動駆動軸で回動させることにより、結果として全てのノズルベーンを回動させることが可能である(例えば特許文献1)。
特開2003−172145号公報
しかしながら、前記特許文献1の可変ターボ過給機では、回転駆動軸を駆動するアクチュエータが可変ターボ過給機の外部にブラケット等を介して取り付けられるため、アクチュエータとして小型のものを採用したり、アクチュエータをできる限り可変ターボ過給機に近づけて配置したりしないと、アクチュエータ配置用の大きなスペースを確保しなければならず、可変ターボ過給機のコンパクト化を阻害する可能性がある。
特にアクチュエータが油圧アクチュエータである場合には、油圧アクチュエータへの圧油の供給を制御する制御バルブをも配置する必要があるため、より大きな配置スペースが必要であるうえ、制御バルブとアクチュエータとを圧油供給用の外部配管で連通させるために、その連通構造も複雑となる。
本発明の目的は、コンパクト化を実現でき、圧油を供給するための構造をも簡素化できる可変ターボ過給機、およびこの可変ターボ過給機を備えたエンジンを提供することにある。
本発明の請求項1に係る可変ターボ過給機は、可変ターボ過給機において、排気タービンホイール外側のノズル部に互いに対向して設けられた導入壁と、前記排気ガス導入壁間に回動可能に軸支され、かつ前記排気タービンホイールの周方向に沿って所定間隔をあけて配置された複数のノズルベーンと、前記各ノズルベーンの回動軸の前記排気ガス導入壁から突出した部分に結合されたレバーと、前記レバーに連結されて当該レバー同士を連動させる連結リングと、前記各ノズルベーンの回動軸のうちの少なくとも一つの回動軸に連結されるか、または前記連結リングの少なくとも一箇所に設けられた被駆動部と、この被駆動部を駆動する流体アクチュエータと、この流体アクチュエータへの流体を制御するソレノイドバルブと、前記排気タービンホイールに設けられたシャフト支持用のベアリングが配置されるベアリングハウジングとを備え、このベアリングハウジング内には、前記流体アクチュエータを収容する第1収容部、前記ソレノイドバルブを収容する第2収容部、および前記ソレノイドバルブを冷却する冷媒流通部が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る可変ターボ過給機は、請求項1に記載の可変ターボ過給機において、前記ベアリングハウジングには、前記第1、第2収容部の前記排気タービンホイール側の位置に冷媒流通空間が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る可変ターボ過給機は、請求項1または請求項2に記載の可変ターボ過給機において、前記流体アクチュエータへ供給される流体は、エンジン潤滑用のオイルであることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る可変ターボ過給機は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の可変ターボ過給機において、前記ベアリングハウジングには、前記流体アクチュエータおよび前記ソレノイドバルブを前記第1、第2収容部に着脱可能に組み込むための組込用開口が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項5に係るエンジンは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の可変ターボ過給機を備えていることを特徴とする。
本発明の請求項6に係るエンジンは、請求項5に記載のエンジンにおいて、前記流体アクチュエータへ供給される流体は、エンジン潤滑用のオイルであるとともに、前記オイルをエンジン内の各所に圧送するオイルポンプと、このオイルポンプから圧送されるオイルの一部を昇圧して前記可変ターボ過給機に供給する昇圧ポンプとを備えていることを特徴とする。
本発明の請求項7に係るエンジンは、請求項5に記載のエンジンにおいて、前記流体アクチュエータへ供給される流体は、エンジン潤滑用のオイルであるとともに、前記オイルをエンジン内の各所に圧送するオイルポンプと、前記オイルを前記可変ターボ過給機に直接供給する前記オイルポンプとは別の油圧ポンプとを備えていることを特徴とする。
以上において、請求項1,5の発明によれば、ノズルベーンの回動調節用の流体アクチュエータ、およびこれへの流体を制御するソレノイドバルブをベアリングハウジング内の第1、第2収容部に収容するので、それらをブラケット等を用いてベアリングハウジングの外部に取り付ける必要がなく、可変ターボ過給機をコンパクトにできる。しかも、第1、第2収容部をベアリングハウジング内に設けることにより、第2収容部内のソレノイドバルブから第1収容部内の流体アクチュエータへは、ベアリングハウジング内に穿設された流路等を用いて流体を供給でき、流体供給用の配管等を省略できて、より一層コンパクトにできる。
なお、流体アクチュエータとしては、油圧アクチュエータや空圧アクチュエータを利用できる。
加えて、ベアリングハウジングに設けられた第1、第2収容部に流体アクチュエータおよびソレノイドバルブを収容すると、排気タービンホイール側からの熱が影響し、特にソレノイドバルブに不具合が生じる可能性があるが、本発明では、ソレノイドバルブを積極的に冷却するための冷媒流通部を設けたので、そのような熱影響を抑制できて誤動作等を確実に防止でき、コンパクト化を支障なく実現できる。
ここで、冷媒としては、水やオイル等を適用できる。
請求項2の発明によれば、第1、第2収容部の排気タービンホイール側に冷媒流通空間を設けるから、排気タービンホイール側から油圧アクチュエータおよびソレノイドバルブに伝達される熱を効果的に遮断でき、熱影響をさらに受けにくくできて信頼性が向上する。
請求項3の発明によれば、ソレノイドバルブの冷却用にエンジン潤滑用のオイルを用いるので、オイルの補給等をエンジンに対して行えばよく、メンテナンス性が良好である。
請求項4の発明によれば、流体アクチュエータおよびソレノイドバルブを、組込用開口を通してベアリングハウジングに着脱可能に収容するので、それらのメンテナンス時には、可変ターボ過給機ごとエンジンから外す必要がなく、メンテナンス性を大幅に向上させることができる。
請求項6の発明によれば、昇圧ポンプを用いてエンジンオイルを可変ターボ過給機に供給するので、オイルポンプからのオイルを昇圧して可変ターボ過給機に確実に供給できるうえ、昇圧ポンプとしては容量が小さくてよいから、場積をとらず、エンジン全体の小型化が阻害される心配がない。
請求項7の発明によれば、オイルポンプとは別の油圧ポンプを用いることで、エンジン各所にオイルを供給する回路と、可変ターボ過給機にオイルを供給する回路とを独立させることができるため、各回路に見合った容量のポンプを採用できて油冷・潤滑を確実に行えるとともに、特に流体アクチュエータへの圧油も良好に確保でき、流体アクチュエータの駆動をより安定して行える。
〔可変ターボ過給機の概略全体説明〕
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態に係る可変ターボ過給機1の全体を示す断面図が示されている。 この図において、可変ターボ過給機1は、排気タービン2と、給気コンプレッサ3とを備えて構成される。
排気タービン2は、図示しないエンジンの排気流路の途中に設けられ、排気ガスの流出入を案内する排気側ハウジング10と、排気側ハウジング10に収容された排気タービンホイール11とを備えている。
排気側ハウジング10は、流入先端側に向かって流路断面が小さくなる外周側の排気流入部12と、中央に形成された略円筒状の排気流出部13とを一体的に備えている。排気側ハウジング10の内部には、排気流出部13とは反対側の開口を塞ぐように排気側インナープレート14が設けられている。この排気側インナープレート14および排気側ハウジング10の間の隙間であって、排気タービンホイール11の外周に沿って設けられた隙間は、流入した排気を排気流入部12から排気タービンホイール11に送るノズル部15となっている。
ノズル部15は、排気側ハウジング10および排気側インナープレート14の互いに対向した部分に設けられた一対の排気ガス導入壁16(16A,16B)間の前述した隙間で形成される。一対の排気ガス導入壁16間の隙間には、複数のノズルベーン30が排気タービンホイール11の外周に沿って等間隔で設置されている。ノズルベーン30は、排気ガス導入壁16A,16Bに支持された回動軸31を備え、この回動軸31を中心に回動可能に設けられている。
排気タービンホイール11は、排気側インナープレート14を貫通したシャフト17を一体的に備えており、排気側ハウジング10の内部に回転可能に配置されている。排気タービンホイール11のシャフト17は、ジャーナルベアリング18を介してベアリングハウジング40で支持されている。
一方、給気コンプレッサ3は、図示しないエンジンの給気流路側に設けられ、外気(吸気)の流出入を案内する給気側ハウジング20と、給気側ハウジング20に収容されたインペラ21とを備えている。
給気側ハウジング20は、中央に形成された略円筒状の吸気流入部22と、その外周側に形成され、かつ流出先端側に向かって流路断面が大きくなる給気流出部23とを一体的に備えている。給気側ハウジング20は、吸気流入部22とは反対側の開口が給気側ハウジング蓋24で塞がれている。この給気側ハウジング蓋24は、外周を覆うV字クランプなどによって給気側ハウジング20に固定され、また、ベアリングハウジング40に図示しないボルトで固定されている。
インペラ21は、吸気流入部22に向かって突出した排気タービンホイール11のシャフト17にナットを用いて固定され、排気タービンホイール11と共に回転する。
このような構成の可変ターボ過給機1においては、エンジンから排出された排気ガスは、排気流路に接続された排気流入部12を通って排気タービン2内に流入する。その後、排気ガスは、排気流入部12で分配され、ノズル部15を通って排気タービンホイール11側に流入し、翼面の圧力差により排気タービンホイール11を回転させ、排気流出部13を通って排気流路に排出される。
そして、排気タービンホイール11の回転により、シャフト17を介してインペラ21が回転すると、インペラ21は、吸気流入部22から吸入される吸気を回転によって圧縮し、圧縮給気を給気流出部23から排出する。排出された圧縮給気は給気流路を通ってエンジンに供給される。
〔ノズルベーン周りの構造〕
以下には、ノズルベーン30を回動させるための構造について説明する。
図2には、図1のII−II線断面図が示されており、図3には、排気側インナープレート14が示されている。排気側インナープレート14の周方向に沿って複数のノズルベーン30が配置され、各ノズルベーン30の回動軸31で囲まれた領域の内側には、円環状の連結リング32が設けられている。この連結リング32の内周側または外周側(本実施形態では内周側)は、例えばベアリングハウジング40に嵌合された支持リング33で支持されており、連結リング32がシャフト17と同心円上で回動するようになっている。
各ノズルベーン30の回動軸31は、排気側インナープレート14を貫通して設けられ、貫通して突出した部分には回動レバー34が取り付けられている。また、連結リング32には、回動レバー34に対応した数の支持ピン35が等周間隔で植設されている。この支持ピン35は、直方体状の駒部材36を貫通しており、駒部材36が支持ピン35を中心に回動する。駒部材36は、回動レバー34に設けられたコ字形状の遊嵌部37に遊嵌されている。
各回動レバー34のうち、一つの回動レバー34には、ベアリングハウジング40内の支持孔40Aに挿入支持された回動駆動軸(被駆動部)38の一端が係合している。従って、回動駆動軸38が回動すると、この回動が回動レバー34を介して回動軸31に伝達されることとなる。
この際、回動駆動軸38の回動レバー34への係合は、回動駆動軸38に設けられた二面幅部分と回動レバー34に設けられた溝との間で行われる。また、図示を省略するが、当該一対の回動レバー34に限り、これらの回動レバー34と回動軸31との係合もやはり、回動軸31の二面幅部分と回動レバー34に設けられた溝との間で行われる。
このような構造では、回動駆動軸38がその端部に設けられた連結アーム39を介して流体アクチュエータとしての一つの油圧アクチュエータ50で回動駆動されるようになっている。各回動駆動軸38が油圧アクチュエータ50で回動駆動されると、前述したように、これと係合した回動レバー34が回動すると同時に、回動レバー34と係合した回動軸31が回動し、ノズルベーン30が回動する。加えて、回動レバー34に遊嵌した駒部材36を介して連結リング32が回動し、この連結リング32に駒部材36を介して遊嵌した他の全ての回動レバー34も回動し、これらの回動レバー34に取り付けられた回動軸31と一体の他のノズルベーン30も同時に回動し、全体のノズル開度が調節される。
なお、以上の構成によれば、回動駆動軸38により直に駆動される回動レバー34は駆動用であり、連結リング32を介して回動する回動レバー34が従動用といえる。また、従動用の回動レバー34と回動軸31とは、二面幅を用いた係合ではなく、回動軸31に螺合されるナット31A、あるいはかしめ、溶接等によって互いに取り付けられている。
〔油圧アクチュエータの駆動構造〕
図4は、図1のIV−IV線断面図である。この図において、油圧アクチュエータ50、および油圧アクチュエータ50への圧油の供給を制御するソレノイドバルブ60は、ベアリングハウジング40に設けられた第1、第2収容部41,42に収容されており、ベアリングハウジング40内において、シャフト17に近い側に油圧アクチュエータ50が収容され、シャフト17から離れた位置、つまりベアリングハウジング40の外周側にソレノイドバルブ60が収容されている。このように、油圧アクチュエータ50およびソレノイドバルブ60がベアリングハウジング40内に収容されることで、これらを従来のようなブラケットを介してベアリングハウジング40の外部に取り付ける場合に比して、ベアリングハウジング40周りの構造をコンパクトにできる。
油圧アクチュエータ50は、ベアリングハウジング40の第1収容部51に形成されたシリンダ51と、シリンダ51内をシャフト17に対して直交する方向に摺動するピストン52と、ピストン52に一体に設けられたロッド53とを備えている。シリンダ51およびピストン52で仕切られた部屋のうち、一方の部屋はソレノイドバルブ60側からの圧油が流入する圧油室54とされ、他方の部屋にはピストン52を圧油室54側に付勢するばね55が配置されている。
シリンダ51の一端側には、内部にピストン52を組み入れるための開口52Aが設けられており、この開口52Aには、複数の圧油排出口56Aを有する嵌合部材56が嵌め込まれている。ロッド53は、ピストン52の摺動方向に沿って両側に延設されており、ロッド53の一端には、回動駆動軸38側の連結アーム39との連結を図る連結部材57が設けられている。
また、このようなピストン52およびロッド53の一体部材をシリンダ51内に配置するためや、ロッド53の連結部材57と連結アーム39とを連結するために、ベアリングハウジング40の2箇所には組込用開口43が設けられている。各組込用開口43は通常時、閉塞カバー44で塞がれており、ピストン52、ロッド53、あるいは連結部材57の交換等、メンテナンスが必要になった場合には、この閉塞カバー44を外して必要な部品の着脱、交換作業を行うことになる。
以下には、油圧アクチュエータ50への圧油の供給を制御するソレノイドバルブ60について説明する。ソレノイドバルブ60は、印加される電流信号の大きさに比例した流量の圧油を油圧アクチュエータ50に供給する比例制御弁であり、ベアリングハウジング40の圧油流入口46からオイルフィルタ47を通して流入する圧油を制御する。具体的にソレノイドバルブ60は、ベアリングハウジング40に設けられた組込用開口48から第2収容部42に挿入され、この第2収容部42を構成する小径部42A、中径部42B、および大径部42Cにわたって収容されている。ソレノイドバルブ60のメンテナンスが必要な場合には、前記組込用開口48を通してソレノイドバルブ60を着脱することが可能である。
小径部42Aには、圧油を軸線方向からソレノイドバルブ60内部に流入させる先端部分が密着嵌合している。ソレノイドバルブ60内に流入した圧油は、図中に矢印で示すように、内部のバルブ動作によって流量がコントロールされた後、中径部42B内に密着嵌合した部分で仕切られる吐出空間に吐出し、流入流路45を通って油圧アクチュエータ50の圧油室54に供給される。大径部42Cには、ソレノイドバルブ60のソレノイド部分が収容されており、ソレノイドバルブ60と大径部42Cの内壁との間には所定の空間61が確保されている。この空間61は、組込用開口48に近い位置に設けられたシール部材62によって外部に対してシールされている。
以上の構成によれば、ソレノイドバルブ60から圧油が供給された油圧アクチュエータ50側では、その供給量に応じてピストン52およびロッド53が図中左右方向に摺動し、連結部材57および連結アーム39を介して回動駆動軸38を回動し、最終的には前述した全てのノズルベーン30を駆動してノズル開度を調整することが可能である。そして、油圧アクチュエータ50の圧油室54に流入した圧油は、ピストン52の外周に形成されたラビリンスシール部分を通して徐々に反対側の空間に漏れ、嵌合部材56の圧油排出口56Aからベアリングハウジング40内にドレーンされる。なお、そのような圧油としては、エンジン各所の潤滑および冷却に用いられるエンジンオイルが使用される。
〔可変ターボ過給機の潤滑・油冷構造〕
本実施形態の可変ターボ過給機1では、エンジンオイルを用いた潤滑・油冷構造を採用している。潤滑構造は、シャフト17を受けるジャーナルベアリング18周りを主に潤滑するものであり、油冷構造は、ソレノイドバルブ60周りを油冷するものである。
図1、図2、図4に基づき、ジャーナルベアリング18周りの潤滑構造について説明する。
ベアリングハウジング40内の中央には、ジャーナルベアリング18用の挿入孔を有したベアリング支持部71が設けられている。また、ベアリングハウジング40内には、ベアリング支持部71の外周面が露呈するようにドレーン空間72が設けられている。ドレーン空間72は、潤滑および冷却後のオイルを集約する空間であって、油圧アクチュエータ50の第1収容部51下方に設けられた主空間73と、図1、図4に示すように、排気タービン2側から給気コンプレッサ3側に向かって下り勾配を有し、かつベアリング支持部71の一部が軸方向に沿って露呈した案内空間74とを備えている。主空間73の底部分にはオイルをエンジン側に戻すためのドレーン孔75が設けられ、このドレーン孔75に向けて案内空間74が傾斜している。
一方、図2、図4に示すように、ドレーン孔75近傍には、ベアリング支持部71まで達したオイル導入用の導入流路76が鉛直に穿設されている。この導入流路76の先端は、ベアリング支持部71内に軸方向に沿って形成された分岐流路77に連通している。分岐流路77の一端は、ジャーナルベアリング18の排気タービン2側のオイル供給分部に連通しており、他端側は分岐流路77からさらに分岐してジャーナルベアリング18の給気コンプレッサ3側のオイル供給分部に連通しているとともに、給気コンプレッサ3側に設けられたスラストベアリング19用のオイル供給部分に連通している。
図2、図4において、エンジン側から廻ってきたオイルは、導入流路76を通ってジャーナルベアリング18周り、およびスラストベアリング19周りを潤滑した後、ジャーナルベアリング18の両端、およびスラストベアリング19周りから吐出し、給気コンプレッサ3側ではそのまま主空間73の底部分に滴下してドレーン孔75に至り、排気タービン2側では案内空間74に滴下して傾斜面を流れ落ち、ドレーン孔75に案内される。
図4に基づき、ソレノイドバルブ60周りの油冷構造について説明する。
ベアリングハウジング40には、油圧アクチュエータ50駆動用の圧油を供給するための前記圧油流入口46が設けられている。この圧油流入口46とソレノイドバルブ60用に設けられた第2収容部42の大径部42Cとは、小径の連通流路78で連通している。大径部42Cには、ソレノイドバルブ60外周との間に空間61が形成されているため、圧油流入口46に流入した圧油の一部は、連通流路78を通し冷却オイルとして空間61に流れ込み、ソレノイドバルブ60を冷却する。冷却した後の冷却オイルは、大径部42Cとドレーン空間72とを連通させる排出流路79を通して当該ドレーン空間72に吐出し、前述した潤滑オイルと共にドレーン孔75からエンジン側に戻される。そして、本実施形態では、連通流路78、空間61、および排出流路79により、本発明に係る冷媒流通部70が形成されている。この冷媒流通部70からなる油冷構造により、ソレノイドバルブ60を効率よく冷却でき、排気タービン2からの熱影響を抑制できる。
〔可変ターボ過給機の水冷構造〕
また、本実施形態では、油圧アクチュエータ50およびソレノイドバルブ60を冷媒としてのエンジン冷却水で冷却する水冷構造が採用されている。
図1、図2に示すベアリングハウジング40の内部において、油圧アクチュエータ50およびソレノイドバルブ60の第1、第2収容部41,42と、排気側インナープレート14に対向した壁部分との間には、ベアリング支持部71およびその周囲のオイルドレーン用の案内空間74を囲むように環状の冷媒流通空間80が設けられている。
図5、図6には、ベアリングハウジング40の全体斜視図およびその断面図が示されている。これらの図において、冷媒流通流通空間80内には、エンジン側から供給用の配管を通って廻ってきた冷却水が、ベアリングハウジング40の外周に設けられた一方の冷却水流通口81から流入する。流入した冷却水は、図6中に矢印で示すように、冷媒流通空間80内を周回して油圧アクチュエータおよびソレノイドバルブ(図6では図示略)を冷却した後、他方の冷却水流通口81から流出し、戻り用の配管を通してエンジン側に戻る。この水冷構造により、油圧アクチュエータ50およびソレノイドバルブ60をより有効に冷却でき、排気タービン2からの熱による構成部品の変形等を確実に防止できる。
〔冷却・潤滑オイルおよび冷却水の循環回路〕
図7には、前述した潤滑・油冷構造および水冷構造に係る循環回路の各例が模式的に示されている。
図7(A)に示した例では、エンジンEの図示しないフライホイール側にPTO(Power Take Off:動力取出装置)90が設けられ、このPTO90で取り出された動力で昇圧ポンプ91が駆動される。昇圧ポンプ91は、オイルパン92中のオイルポンプ93から圧送されるエンジンオイルを昇圧し、可変ターボ過給機1に供給する。従って、昇圧ポンプ91への配管94は、オイルポンプ93からメインギャラリ95への配管96から分岐して設けられ、昇圧ポンプ91から可変ターボ過給機1へは配管97が設けられている。このような昇圧ポンプ91は、オイルポンプ93からのオイルを昇圧するだけでよいので、低圧仕様でよく、コンパクトである。可変ターボ過給機1に送られたエンジンオイルは前述したように、各ベアリング周りの潤滑、およびソレノイドバルブの冷却に用いられる。潤滑・冷却後のオイルはオイルパン92に戻される。なお、図7において、オイルフィルタやオイルクーラ等の図示は省略されている。
また、エンジンEの冷却ファン(不図示)側に設けられたベルト駆動のウォータポンプ100により、エンジン冷却水がエンジンE内のウォータジャケットおよびラジエータ101間を循環する。ウォータポンプ100からエンジンEに戻る配管102からは可変ターボ過給機1側へ配管103が分岐しており、ラジエータ101通過後の冷却水が可変ターボ過給機1にも供給され、図示しないベアリングハウジングの前述した冷媒流通空間を廻って油圧アクチュエータおよびソレノイドバルブを冷却する。冷却後の冷却水は、戻り用の配管104を通ってエンジンE側からの配管105と合流し、ラジエータ101に流入する。ラジエータ101からの冷却水は、配管106を通ってウォータポンプ100に戻される。
図7(B)に示した別の例では、PTO90からの動力で駆動される油圧ポンプ98が設けられている。この油圧ポンプ98は、オイルパン92内のエンジンオイルを配管94にて直接的に引き込み、可変ターボ過給機1に圧送する。水冷構造に係る循環回路は(A)と同じである。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、図7(A)、(B)では、オイルポンプ93の他に昇圧ポンプ91や油圧ポンプ98を用いてエンジンオイルを可変ターボ過給機1に圧送していたが、オイルポンプ93を高圧仕様とした場合には、このオイルポンプ93のみでエンジンEの軸受やピストンクーリングのようなエンジンE各所の潤滑・冷却部分、および可変ターボ過給機1の油冷部分にオイルを圧送してもよい。
前記実施形態では、一対の回動駆動軸38を一つの油圧アクチュエータ50で駆動していたが、それぞれの回動駆動軸38を別々の油圧アクチュエータで駆動してもよく、このような場合には、各油圧アクチュエータの収容部がベアリングハウジング40に設けられることになる。
前記実施形態では、油圧アクチュエータ50にて回動軸31に延設された回動駆動軸38を駆動する構造を採用したが、ノズルベーンよりも外周側に配置された連結リングの周方向に沿った位置に被駆動部を設け、この被駆動部に一端が係合され、かつ油圧アクチュエータのロッド先端に他端が係合された連結アームを回動自在に設け、その油圧アクチュエータのロッドを進退させることで連結アームを介して連結リングを回動させ、この連結リングの回動により全てのレバーを回動させ、ひいては全ノズルベーンを回動させる構造であってもよい。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明は、可変ターボ過給機付きのエンジンを搭載した建設機械、輸送用トラック、工事用ダンプトラック、自家用車等に利用できる。
本発明の一実施形態に係る可変ターボ過給機の全体を示す断面図。 図1のII−II線断面。 図1のIII−III線断面であり、可変ターボ過給機の排気側インナープレートを示す正面図。 図1のIV−IV線断面図。 可変ターボ過給機のベアリングハウジングを示す全体斜視図。 可変ターボ過給機のベアリングハウジングを示す断面図。 可変ターボ過給機へ送られる冷却・潤滑オイルおよび冷却水の循環回路を説明するための模式図。
符号の説明
1…可変ターボ過給機、11…排気タービンホイール、16,16A,16B…導入壁、17…シャフト、18…ベアリングであるジャーナルベアリング、30…ノズルベーン、31…回動軸、38…被駆動部である回動駆動軸、40…ベアリングハウジング、41…第1収容部、42…第2収容部、43,48…組込用開口、50…油圧アクチュエータ、60…ソレノイドバルブ、70…冷媒流通部、80…冷媒流通空間、91…昇圧ポンプ、92…オイルパン、93…オイルポンプ、98…油圧ポンプ、E…エンジン。

Claims (7)

  1. 可変ターボ過給機において、
    排気タービンホイール外側のノズル部に互いに対向して設けられた導入壁と、
    前記排気ガス導入壁間に回動可能に軸支され、かつ前記排気タービンホイールの周方向に沿って所定間隔をあけて配置された複数のノズルベーンと、
    前記各ノズルベーンの回動軸の前記排気ガス導入壁から突出した部分に結合されたレバーと、
    前記レバーに連結されて当該レバー同士を連動させる連結リングと、
    前記各ノズルベーンの回動軸のうちの少なくとも一つの回動軸に連結されるか、または前記連結リングの少なくとも一箇所に設けられた被駆動部と、
    この被駆動部を駆動する流体アクチュエータと、
    この流体アクチュエータへの流体を制御するソレノイドバルブと、
    前記排気タービンホイールに設けられたシャフト支持用のベアリングが配置されるベアリングハウジングとを備え、
    このベアリングハウジング内には、前記流体アクチュエータを収容する第1収容部、前記ソレノイドバルブを収容する第2収容部、および前記ソレノイドバルブを冷却する冷媒流通部が設けられている
    ことを特徴とする可変ターボ過給機。
  2. 請求項1に記載の可変ターボ過給機において、
    前記ベアリングハウジングには、前記第1、第2収容部の前記排気タービンホイール側の位置に冷媒流通空間が設けられている
    ことを特徴とする可変ターボ過給機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の可変ターボ過給機において、
    前記流体アクチュエータへ供給される流体は、エンジン潤滑用のオイルである
    ことを特徴とする可変ターボ過給機。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の可変ターボ過給機において、
    前記ベアリングハウジングには、前記流体アクチュエータおよび前記ソレノイドバルブを前記第1、第2収容部に着脱可能に組み込むための組込用開口が設けられている
    ことを特徴とする可変ターボ過給機。
  5. エンジンにおいて、
    請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の可変ターボ過給機を備えている
    ことを特徴とするエンジン。
  6. 請求項5に記載のエンジンにおいて、
    前記流体アクチュエータへ供給される流体は、エンジン潤滑用のオイルであるとともに、
    前記オイルをエンジン内の各所に圧送するオイルポンプと、
    このオイルポンプから圧送されるオイルの一部を昇圧して前記可変ターボ過給機に供給する昇圧ポンプとを備えている
    ことを特徴とするエンジン。
  7. 請求項5に記載のエンジンにおいて、
    前記流体アクチュエータへ供給される流体は、エンジン潤滑用のオイルであるとともに、
    前記オイルをエンジン内の各所に圧送するオイルポンプと、
    前記オイルを前記可変ターボ過給機に直接供給する前記オイルポンプとは別の油圧ポンプとを備えている
    ことを特徴とするエンジン。
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