JP2007100402A - 土壌改良粒状物 - Google Patents

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Abstract

【課題】疎水性や生育性などに優れ、耐久性があり、かつ、加圧流動床複合発電方式力発電所から生ずる石炭灰を有効利用可能な土壌改良粒状物を提供する。
【解決手段】石灰石をボイラー内に添加して石炭燃焼による火力発電を行う、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を主原料とし、これに、当該石炭灰に対して、硬化させるのに十分な量の水を添加して、土壌改良粒状物を造粒する。造粒した土壌改良粒状物は、暗渠疎水材として有効利用することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を用いた土壌改良粒状物に関する。
農地の余剰水の排除が十分にできない場所や、水はけの悪い土地では、地下に連続した排水管を埋設して、降雨後残留する余剰水を排水する、いわゆる暗渠が敷設される。暗渠溝内の排水管の上には、暗渠へ向かう通水部を確保するため、透水性の良い疎水材が、充填されている。暗渠疎水材としては、籾がら、おが屑、カラマツや杉などの木材チップなどが利用されている。
ところが、これらの天然有機質材料は、わずか2年から3年で腐食してしまい、暗渠疎水材としての機能を果たさなくなる。そのため、暗渠内に埋めた疎水材を敷きなおす工事を行う必要があり、多額の費用がかかるという問題があった。そこで近年は、ロックウールと無機水硬性材料との混合物よりなる暗渠疎水材が開示されている(特許文献1参照)。
一方、石炭と石灰石とを混合燃焼する加圧流動床複合発電方式の火力発電所から発生する石炭灰の、有効利用が検討されている。例えば、この石炭灰をセメントと混合して得られた混合物は、海砂代替材、新素材コンクリート、石炭灰吹きつけコンクリートなどに利用されている。また、上記の石炭灰と、高炉スラグ微粉末やフライ・アッシュとを混練した、人口漁礁や海洋ブロックなどに利用可能な硬化体が開示されている(特許文献2参照)。
特開2000−73347号公報 特開2003−119068号公報
しかしながら、特許文献1においては、上記の無機水硬性材料は、製鉄所の高炉から出る高炉スラグ粉末を主成分としている。高炉スラグ粉末は、低い自硬性を有するので、暗渠疎水材としての耐久性を上げるために、水和刺激剤として生石灰、石膏、セメントクリンカーなどを配合する必要があった。さらに、ロックウールを用いるにあたっては、解繊や無機水硬性材料との混合などを必要とし、製造工程が多岐に渡り複雑であった。
また、特許文献2に記載の硬化体のように、加圧流動床複合発電方式の火力発電所から発生する石炭灰の従来の利用方法は、海洋への建築材料用途に限定されており、その他の分野、例えば農業分野などへの利用は具体的には検討されていなかった。このため前記の火力発電所から排出される石炭灰については、さらなる石炭灰の利用方法の開発が課題となっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、加圧流動床複合発電方式の火力発電所から発生する石炭灰を有効利用した、耐久性を有する土壌改良剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、石灰石をボイラー内に添加して、石炭燃焼による火力発電を行う加圧流動床複合発電方式の、火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰が自硬性を有し、これが農業資材である暗渠疎水材と適していることを発見した。本発明は、具体的には以下のようなものを提供する。
(1) 石灰石をボイラー内に添加して石炭燃焼による火力発電を行う、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を主原料とし、前記石炭灰に対して、硬化させるのに十分な量の水が当該石炭灰に添加されたものを、造粒してなる土壌改良粒状物。
加圧流動床複合発電方式の火力発電所では、石炭と石灰石を混合燃焼する。そのため、得られる石炭灰は、石灰石由来のカルシウムと原料石炭由来の硫黄とが反応して石膏(硫酸カルシウムの水和物)を形成する。すなわち、この石炭灰は水と混錬するのみで硬化する(自硬性)という特徴を有している。このため、石炭灰は、水と混錬するのみで容易に造粒できる。そして、この粒状物は、適度な疎水性を備え、アルカリ性のpHを有しているので、土壌改良材として好適に用いられる。
(2) 前記水の添加量は、前記石炭灰100質量部に対して、25質量部から30質量部の範囲である(1)記載の土壌改良粒状物。
本発明の土壌改良粒状物においては、水の添加量を上記の範囲とすることで、適度な造粒性が得られる。すなわち、水分が25質量部以上であるので充分な造粒性が得られ、また、水分が30質量部以下であるので、造粒後の形状維持性にも優れる。
(3) 前記土壌改良粒状物の平均粒子径が5mmから20mmの範囲である(1)または(2)記載の土壌改良粒状物。
本発明の土壌改良粒状物においては、粒状物の平均粒子径を上記の範囲とすることで、適度な疎水性が得られ、特に、後述する暗渠疎水材として好適になる。
(4) (1)から(3)いずれか記載の土壌改良粒状物を、土壌の暗渠疎水材として敷設する土壌改良方法。
(5) (1)から(3)いずれか記載の土壌改良粒状物を、配水管上に所定の厚さで敷設し、さらにその上に土壌を敷設してなる暗渠構造。
(6) 石灰石をボイラー内に添加して石炭燃焼による火力発電を行う、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を、暗渠疎水材料の土壌改良粒状物の原料として使用する方法。
(7) (5)記載の暗渠構造を使用して、前記暗渠構造を通過させた水をアルカリ側に改質する水質改質方法。
(8) (5)記載の暗渠構造を敷設した農地で農作物を生産する農作物生産方法。
本発明の土壌改良粒状物は、上記のように適度な疎水性を有し、籾殻などと比べて時間の経過により成分が変化することなく、安定していることから、農業用の暗渠疎水材および暗渠構造として好適に用いられる。
なお、この土壌改良粒状物は、酸化カルシウム(CaO)を含有することから、暗渠疎水材および暗渠構造を通過した水はアルカリ性を呈している。ここで、土壌のpHが低く、酸性である場合には、土壌中に浸み出した水により土壌が中性になる。
また、暗渠から排出される水は、降雨により希釈されて、中性となる。このため、前記の排出水は、農業用水基準値にも適合する。
本発明によれば、暗渠用疎水材としての耐久性が長く、土壌改良粒状物は、暗渠疎水材として敷設工事後、コンクリート製品より若干劣る程度である20年程度、排水能力を維持することができる。したがって、土壌改良粒状物を農業用暗渠に用いた場合、籾殻を暗渠に使用する場合と比べて工事をする頻度が少なくてすみ、暗渠の維持費用を節減することができる。また、暗渠疎水材の製造工程は石炭灰と水とを混錬するのみで、暗渠疎水剤を簡易に製造することができる。さらに、この暗渠疏水材は、火力発電所にて生成される石炭と石灰とを混合燃焼した際に生じる石炭灰を利用することにより製造することができるため、産業副産物としての石炭灰を有効利用することができる。
本発明の土壌改良粒状物は、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を主原料とし、この石炭灰を、硬化させるのに十分な量の水が当該石炭灰に添加されたものを造粒して得られる。後述する土壌改良粒状物の暗渠疎水材としての適正を試験するため、土壌改良粒状物の製造を行ったところ、好適に求めることができた。そこで、以下、本発明の土壌改良粒状物を量産することができる製造方法の一例に沿って具体的に説明する。
<石炭灰と水との混合工程>
図1は、本発明における土壌改良粒状物を粒状化する装置100の一例を示す図である。まず、この装置は、所定の容量を備え、石炭灰が投入されるサイロ10と、このサイロ10の下方に備え付けられた計量器11と、を備える。また、サイロ10に並列させて、水タンク17が備え付けられている。この計量器11と、水タンク17の下流には、これらの下部に備え付けられている排出口からの噴出物を受けられる位置に、ミキサー12が取り付けられている。
このミキサー12には、円筒状のケーシングの内側に、当該ケーシングの内側で回転する攪拌羽根12aが取り付けられている。そして、当該ミキサーの下部に設けられた排出口は、そのままサージビン13を形成するようになっており、サージビン13にて貯留された石炭灰と水との混合物は、サージビンに備え付けられた筒を通ってブリケットマシン14に投入される。
このブリケットマシン14は、前記の混合物を造粒するための粒状の凹みを一面に有するロールから成っている。このロールが二つ、接近して設置され、互いに向かい合う方向へ回転する。そして、回転する二つのロールの間を前記の混合物が通ることにより混合物が加圧され、造粒されるようになっている。
上記のブリケットマシンを通過した石炭灰と水との混合物は、ふるい18にて造粒された分と、粒状に成形されなかった分とに分けられる。粒造された造粒物は、養生ヤード15に載せられ、2、3日養生される。一方、粒状に成形されなかった分は、ベルトコンベア16により回収され、原料としてミキサー12に再び投入される。
[石炭灰]
本発明における「石炭灰」とは、石灰石をボイラー内に添加して、石炭燃焼による火力発電を行う加圧流動床複合発電方式の、火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を言う。加圧流動床複合発電方式による発電においては、石炭の燃焼によって生ずる硫黄酸化物を除去するため、燃料の石炭ともに石灰石をボイラー内に投入し、反応させることによって、生成するガス中の硫黄分を除去する炉内脱硫を行う。したがって、当該石炭灰は、酸化カルシウム(CaO)と、三酸化硫黄(SO)とを多く含有する。石炭灰の組成は、炭の種類により大きく変化するが、上記の他にSiO、Al、Feなどを含む。
[混水率]
水の添加は、石炭灰100質量部に対して、水25質量部から30質量部となるように行うことが好ましい。添加する水の量が25質量部以下では、硫酸カルシウム(CaSO)が石膏(CaSO・2HO)になるための必要な水分が足りないので、石炭灰と水との混合物は、ばさばさとした灰の形状を保ったままであり、この混合物の造粒性は低下する。逆に、添加する水の量が30質量部以上になると、前記の混合物の水分が過剰となり、液状になる。
なお、石炭灰の成分は、原料中の成分や上述した方法で燃焼したときの条件などの違いによって、若干異なるため、上記の混水率は、この石炭灰を硬化させるために十分な水の量であれば適宜設定されるものであり、必ずしも上記の範囲に限定されるものではない。
<造粒工程>
ミキサー12内で水と混練された石炭灰とは、サージビン13で一時貯留され、ここからブリケットマシン14に供給されて造粒される。その後、粒状物は、製品として養生ヤード15に送られ、造粒後2日から3日養生する。一方、粒状に成形されなかった分はベルトコンベア16により回収され、再度原料としてミキサー12に投入される。
ブリケットマシン14は、回転する一対のローラ表面上に多数の押し型があり、ここに上記水と混練された石炭灰とが送り込まれて所定形状に造粒される。ここで、上記の工程によって得られる水と混練された石炭灰とは、石炭に含まれる硫黄酸化物と、石灰石(CaCO)とが反応して生成される石膏を含有するため、自硬性という特徴を有している。このため、石炭灰と水との混合物は、容易に造粒できる。
本発明の造粒に用いられる造粒装置は、ブリケットマシン14のようなタイプのものには限定されず、所定の形状に成型可能な従来公知のペレタイザーなどが適宜利用できる。なお、造粒時の温度、圧力、時間などの条件は適宜設定可能であり限定されない。
造粒時の粒状混合物の寸法や形状は、特に限定されないが、粒状物の直径の最長部分の平均粒子径が、5mmから20mmの範囲に造粒することが好ましい。平均粒子径が5mm未満であると、後述する暗渠疎水材として用いた場合、粒状物と粒状物との間に生ずる隙が小さく、排水効果が低減される場合がある。また、平均粒子径が20mmを超えると、粒状物と粒状物との間に生ずる隙が大きいことから、配水管の表面に設けられた孔を通過しきれない水が、配水管の上部表面と疎水材の層の下部配水管側にたまることになり、疎水材としての機能が低減される場合がある。このため、上記の範囲が好ましい。さらに好ましくは9mmから13mmの範囲である。
<土壌改良粒状物とその利用方法>
上記の製造工程によって得られる本発明の土壌改良粒状物は、例えば、水はけの悪い土地に暗渠疎水材として用いることにより、土壌の排水を良好にすることができる。
上記の土壌改良粒状物を使用した暗渠構造を図2に示す。土壌改良粒状物21を配水管20上に所定の厚さで敷設し、さらにその上に土壌22を敷設することによって、農業用暗渠200が形成される。配水管20は表面に孔の設けられている配水管を用いる。配水管の形状は従来公知のもので特に限定されないが、コルゲート管が好ましく用いられる。暗渠の規模によって、配水管20の長さ、本発明の土壌粒状物21を敷設する厚さ、その上に土壌22を敷設する厚さは適宜異なる。図2は、好ましい敷設例として、直径10cmの配水管20上に、厚さ30cmの土壌改良粒状物21を敷設し、更に、厚さ40cmの土壌22の敷設した例である。このように、本発明の土壌改良粒状物は、暗渠における暗渠疎水材として特に好ましく用いられる。
なお、上述のように、本発明の土壌改良粒状物はアルカリ性であることから、酸性の土地に暗渠疎水材として用いた場合には、土壌の性質を中性に改良する効果も有する。
さらに、上述の暗渠構造を敷設した農地では、土壌の排水が良好になることで、土壌の透水性が良くなる。また、土壌改良粒状物は籾殻のように腐敗せず、排水効果が安定的に保たれることから、排水管理を容易に行うことができる。
<試験例>
[土壌改良粒状物の製造]
石炭灰として、広島県大崎発電所における加圧流動床複合発電方式の、火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を使用した。石炭灰の造粒には、太平洋機工株式会社製の石炭灰連続混合造粒設備WA−150型ユニットを使用した。この石炭灰の化学組成は、SiOが46%、Alが13%、Feが5%、CaOが21%、その他が15%であった。
上記の製造工程に沿って、石炭灰100質量部に対して、25質量部〜30質量部の水を添加し、平均粒径9mmから13mmの、略アーモンド形状の粒状物を製造した。
[水素イオン濃度の調査]
本発明における土壌改良粒状物が、暗渠疎水材として適しているかどうかについて、試験を行った。
予備試験として室内で本発明に使用する石炭灰の振盪水の調査を行った。前記石炭灰の振盪水は強アルカリ性であるが、水道水で希釈されると、中性となる。
前記石炭灰:水を1:5で振盪するとpHは11.6、電気伝導度(EC)は0.156Sm−1(1.56dSm−1)となる。この振盪水を水道水(pH6.3、EC0.025Sm−1(0.25dSm−1))で10倍希釈すると、pHは7.0、ECは0.047Sm−1(0.47dSm−1)である。
[暗渠排出水の水質調査]
暗渠から排出される水質が、農業用水基準値を満足するかどうかを試験するため、本発明における土壌改良粒状物を用いて暗渠を作製した。農業用水基準値とは、環境基本法による農業用利水点については、水素イオン濃度6.0以上7.5以下である。作製した実施例の暗渠の規模は図2に示す構造であり、配水管の長さが30m、暗渠の深さ80cm、幅30cmである。疎水材として、本発明における土壌改良粒状物を30cm投入したものと、比較例として、本発明の土壌改良粒状物の代わりにモミガラを50cm投入したもの(土壌は20cm)を作製した。
[暗渠による排水効果]
土壌水分の測定を、暗渠の真上の位置でおこなった。降水量は25mmであった。土壌含水比の経時変化を表1に示す。表1中の「16時間後」、「20時間後」とは降雨終了時より経過した時間を示す。疎水材の違いによる土壌中の水分の差は認められず、二つの資材の排水能力は同等である。
Figure 2007100402
暗渠からの排出水の水質を降雨後、経時的に調査した。降水量は51mmであった。排出水の水質の経時的変化を表2に示す。表2中の「19時間後」、「24時間後」とは、降雨終了時より経過した時間を意味する。
Figure 2007100402
本発明における実施例の土壌改良粒状物暗渠からの排出水は、降雨後、時間とともにpH、ECが顕著に低下した。一方、比較例のモミガラ暗渠からの排出水の、pH、ECの経時変化は、わずかであった。実施例と比べて、比較例の排出水のpHが高くなった原因は、モミガラが地下で嫌気的に分解され有機酸が発生したためと推察される。
また、暗渠からの排水を、排水路の水で10倍に希釈して、調査を行った。このときの降水量は28mmであった。排水路の水で希釈された暗渠排出水の水質を表3に示す。
Figure 2007100402
排水路の水で10倍に希釈されると、本発明の土壌改良粒状物暗渠からの排出水のpHは低下し、農業用水基準値(pH6.0〜pH7.5)内の値となった。この値の範囲内であれば、下流に生育する水稲に影響を及ぼさない。実施例の土壌改良粒状物暗渠からの排出水のpHは高いが、10倍に希釈すると、比較例と比べて顕著に変化することから、緩衝力が弱いと考えられる。このことは、当該排出水が、耕地中の水分や降雨、河川の水等の水質に同化しやすいと言える。一方、比較例のモミガラ暗渠からの排出水は、pHは低く、また、緩衝力が強く、排水路の水で希釈されてもpHの顕著な変化は認められなかった。
[土壌改良粒状物の作物への影響]
作物の根が暗渠疎水材まで到達することを想定し、作物の栽培試験を行った。コマツナ(夏楽天)を、a/5,000ワグネルポットに栽培した。本発明の土壌改良粒状物をポットの下部に3cm詰めたものを5株、対照として水田の作土に5株栽培して、本発明における土壌改良粒状物の作物への影響調査を行った。
ポットの下部に土壌改良粒状物を詰めて栽培したコマツナと、対照(土壌改良粒状物の代わりに水田の作土を使用)のコマツナとは、生育に有意差は認められなかった。下地部を観察すると、土壌改良粒状物を詰めて栽培したコマツナの根は、ポットの側壁にそって土壌改良粒状物の下部までもぐりこみ、1〜2本の根が前記土壌改良粒状物層の中心付近を突きぬけていた。根は健全であった。暗渠疎水材に土壌改良粒状物を使用しても、作物には影響がなかった。
Figure 2007100402
10株について調査したが、有意差は認められなかった。
[土壌改良粒状物の溶出試験]
土壌改良粒状物を「土壌汚染に係わる環境基準について(平成3年環境庁告示第46号)」の方法で分析した結果、ホウ素は検出されなかった。これは本発明における石炭灰のpHが高いことにより、ホウ素が不溶化したためと考えられる。本発明の使用による水稲のホウ素による障害発生のおそれは無い。ホウ素の分析は環境保険協会で行った。
[長期間(5ヶ月間)経過後の排出水pHの変化]
暗渠を完成させてから、累積降水量691mmとなった土壌改良粒状物暗渠からの排出水のpHは、7.4〜7.8であり、初期段階(暗渠完成後2ヶ月以内)より低くなった。これは土壌中を透過し、土壌中の各種成分を溶解した水が、疎水材である土壌改良粒状物を中和したためと推察される。モミガラ暗渠からの排出水pHは5.9〜6.2と初期段階より上昇した。これは、新鮮なモミガラの分解は、最初は激しく、時間の経過とともに穏やかになるという現象を反映したものと考える。pHの低下した時点の土壌改良粒状物排出水のホウ素濃度は0.225mgL−1であった。これは環境基準値(1mgL−1)以下であり、水稲に生育障害を発生させる恐れはない。ホウ素の分析は中電技術研究センターでおこなった。
暗渠完成5ヶ月後の暗渠排出水の水質を表5に示す。降水量は117mmであった。表5中、「20時間後」とは、降雨終了時からの経過時間を示す。
Figure 2007100402
[試験例総括]
上記の試験結果により、初期段階(完成後2ヶ月以内)では、実施例の土壌改良粒状物排出水のpHは高いが、排水路で希釈されることにより、適正なpHとなる。また、pHが高いためにホウ素の溶出もない。土壌改良粒状物に接触した植物根も障害を起こさない。疎水材としての排水能力も、比較例のモミガラのそれと同等である。5ヶ月を経過すると、土壌改良粒状物の排出水のpHは低下し中性に近づく。実施例のpHが低下しても、ホウ素濃度は環境基準値以下であり、水稲生育の障害とはならない。以上の結果、本発明における土壌改良粒状物は暗渠の疎水材として利用可能である。
本発明の土壌改良粒状物の製造装置の一例を示す概略図である。 本発明の土壌改良粒状物を使用した暗渠構造を示す模式図である。
符号の説明
100 粒状物製造装置
200 農業用暗渠
10 サイロ
11 計量器
12 ミキサー
12a 撹拌羽根
13 サージビン
14 ブリケットマシン
15 養生ヤード
16 ベルトコンベア
17 水タンク
18 ふるい
20 配水管
21 土壌改良粒状物
22 土壌

Claims (8)

  1. 石灰石をボイラー内に添加して石炭燃焼による火力発電を行う、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を主原料とし、
    前記石炭灰を硬化させるのに十分な量の水が当該石炭灰に添加されたものを造粒してなる土壌改良粒状物。
  2. 前記水の添加量は、前記石炭灰100質量部に対して、25質量部から30質量部の範囲である請求項1記載の土壌改良粒状物。
  3. 前記土壌改良粒状物の平均粒子径が5mmから20mmの範囲である請求項1または2記載の土壌改良粒状物。
  4. 請求項1から3いずれか記載の土壌改良粒状物を、土壌の暗渠疎水材として敷設する土壌改良方法。
  5. 請求項1から3いずれか記載の土壌改良粒状物を、配水管上に所定の厚さで敷設し、さらにその上に土壌を敷設してなる暗渠構造。
  6. 石灰石をボイラー内に添加して石炭燃焼による火力発電を行う、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を、暗渠疎水材料の土壌改良粒状物の原料として使用する方法。
  7. 請求項5記載の暗渠構造を使用して、前記暗渠構造を通過させた水をアルカリ側に改質する水質改質方法。
  8. 請求項5記載の暗渠構造を敷設した農地で農作物を生産する農作物生産方法。

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