JP2007099609A - 急硬性セメント混練物及び吹付材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水とセメントと石膏とを含有するセメント混練物に、エトリンガイト系急硬剤を添加してなる急硬性セメント混練物において、当該ニ水石膏と半水石膏及び/又はIII型無水石膏とを含有してなることを特徴とする急硬性セメント混練物。
【選択図】なし
Description
特に、トンネル、地下空間、法面等の建設工事において、吹付けコンクリートや吹付けモルタル等の吹付材料を用いた吹付け工法が用いられている。一般の吹付け工法においては、ベースコンクリート等のセメント混練物と急結剤を別々の輸送管を通して別経路で圧送し、圧送途中で合流混合した後に吹付けノズルの筒先より地山等に吹き付けている。
また、本発明は、エトリンガイト系急硬剤を添加する前のセメント混練物を長時間撹拌又は混練し続けなくとも直ちに強張らず、且つ石膏の添加量が少ないにも拘わらず高い初期強度が得られる吹付材料を提供することを目的とする。
物に添加することで高い初期強度が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、水とセメントと石膏とを含有するセメント混練物に、エトリンガイト系急硬剤を添加してなる急硬性セメント混練物において、当該石膏がニ水石膏と半水石膏及び/又はIII型無水石膏とを含有してなることを特徴とする急硬性セメント混練物及び急硬性セメント混練物からなる吹付材料を提供するものである。
また、本発明によれば、高い初期強度の吹付材料が得られる。即ち、エトリンガイト系急硬剤を添加する前のセメント混練物を長時間撹拌又は混練し続けなくとも直ちに強張らず、且つ石膏の添加量が少ないにも拘わらず高い初期強度の吹付材料が得られる。
また、エトリンガイト系急硬剤をセメント混練物に添加してから10分後の初期強度が高い急硬性セメント混練物及び吹付材料が得られる。本発明の急硬性セメント混練物及び吹付材料の初期強度は高いので、施工サイクルを短縮させることができ且つ工事の安全性が高い。また、施工サイクルを短くできるので、施工コストを抑制することも可能である。
本発明に使用する石膏は、二水石膏と半水石膏及び/又はIII型無水石膏とからなることが好ましく、このときのニ水石膏と半水石膏及び/又はIII型無水石膏の含有率は、それぞれ半水石膏とIII型無水石膏の含有率の合計が90〜10重量%、ニ水石膏の含有率が10〜90重量%であることが好ましい。これらの含有率にすることで、セメント混練物を強張らなくするための混練時間を短くすることができる。
さらに、セメント混練物を強張らなくするための混練時間を短くすることができ且つ急硬性セメント混練物の初期強度をより高くすることができることから、石膏におけるニ水石膏と半水石膏及び/又はIII型無水石膏の含有率は、半水石膏とIII型無水石膏の含有率の合計が80〜40重量%、ニ水石膏の含有率が20〜60重量%であることがより好ましく、半水石膏とIII型無水石膏の含有率の合計が75〜50重量%、ニ水石膏の含有率が25〜50重量%であることが最も好ましい。
水とセメントと石膏の三種が互いに接した後に混練し終えてから急結剤を添加するまでの間、セメント混練物は静置しても良いが、アジテータ等で低速撹拌することが好ましい。
さらに、水とセメントと石膏の三種が互いに接してからエトリンガイト系急硬剤を添加するまでの時間は10分以上とすることが好ましく、10〜120分とすることが高い初期強度及びエトリンガイト系急硬剤とセメント混練物との混合を良好にすることができる
ことからより好ましい。10分未満以下では初期強度が不充分になる虞がある。また、120分を超えるとセメント混練物のコンシステンシーが低下し、エトリンガイト系急硬剤とセメント混練物の混合が不充分になる虞があり、急硬性セメント混練物の初期強度の変動が大きくなる虞がある。
また、エトリンガイト系急硬剤には、カルシウムアルミネート類等のエトリンガイトを生成する物質の他に、各種の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物等の配合も可能である。
[使用材料]
セメント:普通ポルトランドセメント(SO3量:2.5重量%)
高性能減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤(商品名;NT−1000,(株)エヌエムビー製)
細骨材:海砂(密度:2.56g/cm3,粗粒率:2.26)と石灰石砕砂(密度:2.66g/cm3,粗粒率:3.04)の6:4(重量比)の混合物
粗骨材:砕石(密度:2.72g/cm3,最大寸法:15mm)
石膏:石膏1〜8
石膏1:II型無水石膏(ブレーン比表面積:6200cm2/g,SO3量:58.5重量%)
石膏2:半水石膏(ブレーン比表面積:4000cm2/g,SO3量:55.2重量%)
石膏3:二水石膏(ブレーン比表面積:4000cm2/g,SO3量:46.5重量%)
石膏4:石膏2と石膏3を重量比で5:5とした混合物
石膏5:石膏2と石膏3を重量比で5:3とした混合物
石膏6:石膏2と石膏3を重量比で3:1とした混合物
石膏7:石膏2と石膏1を重量比で3:1とした混合物
石膏8:石膏2と硫酸ナトリウム粉末(SO3量:55.5重量%)を重量比で3:1とした混合物
エトリンガイト系急硬剤:12CaO・7Al2O3組成の非晶質からなるカルシウムアルミネート粉末とアルミン酸ナトリウム粉末を重量比で9:1とした混合物
石膏9:III型無水石膏(ブレーン比表面積:5800cm2/g,SO3量:57.0重量%)
石膏10:石膏9と石膏3を重量比で3:1とした混合物
容量1リットルのポリカップの中に、普通ポルトランドセメント500gに石膏40gを混合した粉体540gを投入する。さらに、水244gと高性能減水剤6gを加え、撹拌羽(直径4cm)付ハンドミキサを用いて1250rpmの回転数で3分間混合し、セメント混練物に相当するセメントペーストを製造した。製造したセメントペーストを、直ちに塩化ビニール製フローコーン(内径50mm,高さ51mm)に詰めた。
フローコーン内でセメントペーストを30分間静置した後、フローコーンを引き抜き、セメントペーストの広がり(フロー値)を直交する2点で測定し、その平均値をフロー値として求めた。フロー値が55mmを超えたものを強張りが発生していないと判断し、フロー値が55mm以下のもの又はフローコーンからセメントペーストが抜けなかったものを強張りが発生したと判断した。
表1に、用いた石膏の種類、各セメントペーストにおけるセメントと石膏の合計100重量部に対するセメントペーストに含まれるSO3量及び強張り発生の有無を示した。
なお、試験は20℃、湿度80%の恒温室内で行った。
1リットル容ポリカップ中に、普通ポルトランドセメント500gに石膏40gを混合した粉体540gを投入した。さらに、水と高性能減水剤を合計で250g加え、撹拌羽(直径4cm)付ハンドミキサを用いて1250rpmの回転数で3分間混合し、セメント混練物に相当するセメントペーストを製造した。製造したセメントペーストを、30分間静置した後、55秒間再度混練を行いその後5秒間で所定量のエトリンガイト系急硬剤を投入し更に5秒間混練を行い、急硬性セメント混練物(急硬性セメントペースト)を製造した。
この作製した急硬性セメントペーストに、先端が平面な直径2mmの丸鋼からなる貫入針を1インチ貫入させたときの抵抗値、即ちプロクター貫入抵抗値を、エトリンガイト系急硬剤の添加10分(材齢10分)後に測定した。このプロクター貫入抵抗値は、急硬性セメントペーストの初期強度特性を示すものである。この材齢10分のプロクター貫入抵抗値が70N/mm2以上であると、同じ組成で更に骨材を加え吹付けコンクリートとしたときの材齢10分の圧縮強度が3N/mm2以上であることを意味する。
表4に示す配合のセメント混練物に相当するベースコンクリートを容量100リットルのパン型ミキサで練混ぜ製造した。練混ぜ方法は、粗骨材、細骨材の一部、セメント、石膏、細骨材の残りの順序でミキサ内に投入し、15秒間混合した後に、別途混合した水及び高性能減水剤をミキサ内に投入し、所定時間練混ぜた。
製造したベースコンクリートは、容量100リットルの傾胴式ミキサに移し30分間静置した後、1分間傾胴式ミキサで再度混練した。再度混練したベースコンクリートを吹付け装置(商品名「アリバ260」)を使用して圧送し、別途急結剤供給装置(日本プライブリコ(株)製,商品名「Qガン」)を使用して圧送したエトリンガイト系急硬剤とY字管で合流混合させて、急硬性コンクリート即ち急硬性セメント混練物を製造した。
このときのエトリンガイト系急硬剤の添加量は、セメント100重量部に対して8.0重量部とした。
また、ベースコンクリートを再度混練したときに、ベースコンクリートが強張りミキサ内に貼り付いたままの状態で、再度混練できなかった試験水準については吹き付けを行わなかった。
強張りの有無の判断は、ベースコンクリートを再度混練したときに、ベースコンクリートが強張りミキサ内に貼り付いたままの状態で、再度混練できなかったものを「有り」、再度混練できたものを「無し」と判断した。
また、吹付けコンクリートとしての適否判断は、吹き付けた急硬性コンクリートが硬化する前に垂れなかったものを「適」、吹き付けた急硬性コンクリートが硬化する前に垂れたもの及びベースコンクリートが強張ったため吹き付けできなかったものを「不適」と判断した。
半水石膏のみの石膏2を用いたセメント混練物は、混練時間が短い場合は静置しておくと強張りが生じる(試験No.27)。
本発明の吹付け材料は、地山等に吹き付けた吹付材料の初期強度が高いので、トンネル等のコンクリートを吹き付ける建設工事に好適に用いることができる。
吹き付けた吹付材料の初期強度が高いので、工期を短くする必要のある建設工事に、特に好適に用いることができる。
Claims (4)
- 水とセメントと石膏とを含有するセメント混練物に、エトリンガイト系急硬剤を添加してなる急硬性セメント混練物において、当該石膏がニ水石膏と半水石膏及び/又はIII型無水石膏とを含有してなることを特徴とする急硬性セメント混練物。
- 石膏が、ニ水石膏と半水石膏及び/又はIII型無水石膏とからなり、これらの含有率がそれぞれ90〜10重量%及び10〜90重量%であることを特徴とする請求項1記載の急硬性セメント混練物。
- セメントと石膏の合計100重量部に対し、セメント混練物に含まれるSO3が5重量部を超えることを特徴とする請求項1又は2記載の急硬性セメント混練物。
- 請求項1〜3何れか一項に記載の急硬性セメント混練物からなる吹付材料。
Priority Applications (1)
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JP2006160693A JP2007099609A (ja) | 2005-09-08 | 2006-06-09 | 急硬性セメント混練物及び吹付材料 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013544224A (ja) * | 2010-11-30 | 2013-12-12 | コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー | 吹付けコンクリート用のセメント水和生成物 |
Citations (3)
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JPH09169557A (ja) * | 1995-10-17 | 1997-06-30 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 吹付材料及びそれを用いた吹付工法 |
JPH09249440A (ja) * | 1996-03-14 | 1997-09-22 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 吹付材料及びそれを用いた吹付工法 |
JPH1045441A (ja) * | 1996-07-31 | 1998-02-17 | Chichibu Onoda Cement Corp | 高強度吹付けコンクリート用セメントおよび高強度吹付けコンクリート |
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2006
- 2006-06-09 JP JP2006160693A patent/JP2007099609A/ja active Pending
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