JP2007099526A - ガラス製プリフォームロットおよびその生産方法、光学素子の製造方法 - Google Patents

ガラス製プリフォームロットおよびその生産方法、光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】各プリフォーム、成形体間の体積のバラツキが非常に制御されたガラス製プリフォームロット、成形体(母材)ロットを提供する。
【解決手段】SiO2の含有量を0〜20質量%の範囲に制限されたガラスからなる球状のプリフォームまたはプリフォーム母材で構成された平均質量が200mg以下、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス製プリフォームロットまたはプリフォーム母材ロット。所定質量のガラス滴を流出ノズルの流出口から滴下し、得られたガラス滴を精密プレス成形に供するガラス製プリフォームまたは成形体に成形する工程を繰り返して、複数のガラス製プリフォームからなるガラス製プリフォームロットまたは複数の成形体からなるガラス製成形体ロットを生産する方法。ガラス製プリフォームロットから取り出したガラス製プリフォームを加熱し、プレス成形型を使用して精密プレス成形する光学素子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス製光学素子を精密プレス成形で製造する際に使用するガラス製プリフォームが複数個集まって構成されるガラス製プリフォームロットおよびその生産方法、ならびに光学素子の製造方法に関する。
非球面レンズなどのガラス製光学素子を高精度に製造する技術として精密プレス成形法が知られている。この方法はモールドオプティクス成形法とも呼ばれ、精密に加工した成形面を有するプレス成形型を用いて、加熱されたガラス製のプリフォームをプレス成形し、光学素子全体の形状を成形するとともに、成形面を精密にガラスに転写して光学機能面を形成する。このような方法は例えば特許文献1に開示されている。
また、上記光学素子を製造するために用いられるガラスプリフォームは、例えば、特許文献2に開示されている、熔融したガラスを流出して、所望質量の熔融ガラス塊を分離し、このガラス塊が冷却する過程でプリフォームに成形する方法により生産することができる。
特開平10−316448号公報 特開2002−121032号公報
近年、カメラ付き携帯電話のように撮像装置を内蔵する小型機器の需要が高まっている。このような撮像装置に組み込まれる撮像光学系は、超小型のレンズにより構成され、各レンズを精密に位置決め固定するために、位置決め基準面を備えることが好ましい。例えば、レンズ同士の間隔を精密に決めるための位置決め基準面としては、レンズ面の外周に設けた平面部を用い、レンズ同士の光軸を合わせるための位置決め基準面としては、レンズ側面を用いることができる。精密プレス成形は光学機能面を精密に形成できるだけでなく、光学機能面を含む型成形面を転写して形成する面同士の位置関係、角度をも精密に形成することができるので、位置決め基準面も型成形面を転写して形成すれば、光学機能面と位置決め基準面とを一括して形成することができる。
このように精密プレス成形の特質を活かせば効率よく超小型の光学素子を製造することができるが、一方でプリフォームの体積を精密に管理しないと、次のような問題がおきる。
まず、プリフォームの体積がプレス成形型を型閉めした状態で形成される空間の容積よりも大きい場合、プレス成形型を構成する型部材同士の間、例えば上型と胴型の間や下型と胴型の間にはみ出し、成形バリとなって型の摺動性を損ない、生産停止の原因になったり、プレス成形型の破損の原因になったりする。
一方、プリフォームの体積がプレス成形型を型閉めした状態で形成される空間の容積よりも小さい場合、前記空間へのガラスの充填が不十分になり、光学機能面の面精度が低下したり、ガラスの位置決め基準面になるはずの部分が型部材に到達せず、位置決め基準面が形成されなくなったりする。
したがって、光学機能面と位置決め基準面とを一括して形成する方法を可能にするには、体積精度、すなわち質量精度が高いプリフォームの使用が望まれる。
前述のように、ガラス製プリフォームを生産性よく製造する方法として、熔融したガラスを流出して、所望質量の熔融ガラス塊を分離し、このガラス塊が冷却する過程でプリフォームに成形する方法がある(特許文献2)。この方法を用いてプリフォームを生産すれば、ガラスの熔融から始まって、上記光学素子を極めて高い生産性のもとに量産することができる。しかし、上述のように、プリフォームの体積を精密に管理する必要があるが、従来のガラス製プリフォームを生産方法では、プリフォームの体積に僅かなバラツキがあり、上記プレス成形方法を用いるには、必ずしもプリフォームの体積管理は充分ではなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小型の光学素子の精密プレス成形に適した、比較的軽量なプリフォームが複数集まって構成されるガラス製プリフォームロットであって、各プリフォーム間の体積のバラツキが非常に制御されたガラス製プリフォームロットを提供することを目的とする。さらに本発明は、前記各プリフォーム間の体積のバラツキが非常に制御されたプリフォームロットを熔融ガラスから生産する方法を提供することを目的とする。加えて本発明は、熔融ガラスからプリフォームの母材となるガラス成形体が複数集まったガラス成形体ロットであって、ガラス成形体間の体積のバラツキが非常に制御されたガラス成形体ロットを生産する方法、前記ガラス成形体ロットのガラス成形体からプリフォームを製造する方法、前記プリフォームロットの各プリフォームを精密プレス成形して光学素子を作製する光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は以下のとおりである。
[1] 精密プレス成形に供する複数のガラス製プリフォームからなるガラス製プリフォームロットにおいて、SiO2の含有量を0〜20質量%の範囲に制限されたガラスからなる球状のプリフォームで構成された平均質量が200mg以下、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス製プリフォームロット。
[2] SiO2含有ガラス、B23およびLa23を含有するガラス、リン酸塩ガラス、フツリン酸塩ガラスのいずれか一種のガラスからなるプリフォームで構成された[1]に記載のガラス製プリフォームロット。
[3] 比重が3.3以上のガラスからなるプリフォームで構成された[1]または[2]に記載のガラス製プリフォームロット。
[4] 精密プレス成形に供するガラス製プリフォームに加工するための複数のプリフォーム母材からなるプリフォーム母材ロットにおいて、SiO2の含有量を0〜20質量%の範囲に制限されたガラスからなる球状のプリフォーム母材で構成された平均質量が200mg以下、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のプリフォーム母材ロット。
[5] SiO2含有ガラス、B23およびLa23を含有するガラス、リン酸塩ガラス、フツリン酸塩ガラスのいずれか一種のガラスからなるプリフォーム母材で構成された[4]に記載のプリフォーム母材ロット。
[6] 比重が3.3以上のガラスからなるプリフォーム母材で構成された[4]または[5]に記載のプリフォーム母材ロット。
[7] 所定質量のガラス滴を流出ノズルの流出口から滴下し、得られたガラス滴を精密プレス成形に供するガラス製プリフォームに成形する工程を繰り返して、複数のガラス製プリフォームからなるガラス製プリフォームロットを生産する、ガラス製プリフォームロットの生産方法において、SiO2の含有量が0〜20質量%の範囲であるガラスからなるガラス滴を滴下し、滴下したガラスを、質量が200mg以下である球状のプリフォームに成形し、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス製プリフォームロットを生産する、前記ガラス製プリフォームロットの生産方法。
[8] 所定質量のガラス滴を流出ノズルの流出口から滴下し、得られたガラス滴を成形する工程を繰り返して、複数のガラス成形体ロットを生産する、ガラス成形体ロットの生産方法において、SiO2の含有量が0〜20質量%の範囲であるガラスからなるガラス滴を滴下し、滴下したガラスを、質量が200mg以下である球状のガラス成形体に成形し、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス成形体ロットを生産する、前記ガラス成形体の生産方法。
[9] [8]に記載の方法により生産したガラス成形体ロットの各ガラス成形体の全表面を研磨して、同一直径を有する精密プレス成形に供するガラス製プリフォームを製造するガラス製プリフォームの製造方法。
[10] [1]〜[3]のいずれかに記載のガラス製プリフォームロットから取り出したガラス製プリフォーム、[7]または[9]に記載の方法により作製したガラス製プリフォームロットから取り出したガラス製プリフォームを加熱し、プレス成形型を使用して精密プレス成形する光学素子の製造方法。
[11] ガラス製プリフォームのプレス成形型による精密プレス成形は、プレス成形型を型閉めした状態で形成される密閉空間内に前記ガラスを充填することで行われる[10]に記載の光学素子の製造方法。
[12] 自由表面からなる稜を有する精密プレス成形品を成形する[11]に記載の光学素子の製造方法。
[13] 少なくとも2面以上の位置決め基準面を精密プレス成形によって形成する[10]〜[12]のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
本発明によれば、小型光学素子の精密プレス成形による製造に適した軽量かつ質量ばらつきの小さいガラス製プリフォームロットを提供することができる。
さらに本発明によれば、小型光学素子の精密プレス成形による製造に適した軽量かつ質量ばらつきの小さいガラス製プリフォームロットを生産することができる。
本発明によれば、小型光学素子の精密プレス成形による製造に適した軽量かつ質量ばらつきの小さいガラス成形体のロット、特に研磨によって精密プレス成形用のガラス製プリフォームに仕上げられる質量バラツキの小さいガラス成形体のロットを生産することができる。さらに前記ガラス成形体を研磨することにより質量バラツキの小さいガラス製プリフォームを量産することができる。
本発明によれば、上記質量バラツキの小さいプリフォームを使用して効率よく、光学素子、特に小型、あるいは小型で型転写面からなる位置決め基準面を有する光学素子を量産することができる。
カメラ付き携帯電話のように撮像装置を内蔵する小型機器に組み込まれる小型光学素子は、前述のように精密プレス成形により一緒に形成される光学機能面と位置決め基準面を備えることが好ましい。このような光学素子を精密プレス成形する際、ガラス製プリフォームの体積を精密に管理しなければならないことは前述のとおりである。
上記光学素子成形用のプリフォームとしては、質量が200mg以下のものが適している。そして、精密プレス成形で光学素子の光学機能面および位置決め基準面を一緒に形成する際に使用するプリフォームには±0.3%以内の質量公差が求められる。
上記プリフォームの製造には、熔融ガラスを流出して目的質量の熔融ガラス滴を分離する方法が高い生産性が得られるので適している。具体的には、ノズル内を流下した熔融ガラスをノズル流出口から滴下し、得られたガラス滴をプリフォームに形成する方法が適している。ガラス滴の質量は、ノズル流出口に垂下するガラスに作用する下向きの加速度、ノズル下端の外径、熔融ガラスの表面張力などによって決まる。したがって、これらの条件を一定にすれば、一定質量のガラス滴を滴下し続けることが可能になる。
しかし、目的とするプリフォーム質量に対する質量公差の割合を小さくしようとすると、上記諸条件を一定に維持するだけでは質量のバラツキを抑えることが難しくなる。ノズル流出口からガラス滴が滴下する様子を高速度カメラで撮影すると、まず、垂下する熔融ガラスと流出口から流出しようとする熔融ガラスの間にくびれが生じ、次第にくびれが細く長く延びながらガラスの下端部が下降していく。このくびれが糸状に細く長く延びきったときに糸状部分でガラスがちぎれ、ちぎれた箇所よりも上のガラスは表面張力によってノズル流出口近くまで戻り、ノズル流出口に垂下するガラスとなる。一方、ちぎれた箇所よりも下のガラスは分離したガラス滴に取り込まれる。
さらによく観察すると、ガラスの滴下ごとにちぎれる位置が変動していることがわかった。ちぎれる位置が高くなると、糸状部分のうちガラス滴に取り込まれる量が多くなり、ガラス滴の質量が僅かに増加し、ちぎれる位置が低くなると、糸状部分のうちガラス滴に取り込まれる量が少なくなり、ガラス滴の質量が僅かに減少する。この質量変動が質量公差を大きくすることが判明した。
さらに詳細に分析したところ、糸状部分が長いと、ちぎれる位置が変動しやすく、結果としてガラス滴の質量変動が大きくなりやすいこと、糸状部分が短い状態でちぎれる場合は、ガラス滴の質量変動が小さいことが判った。そして、ガラス流出時の失透を防止する条件下では、糸状部分が長いか短いかはガラスによって決まることも判った。
さらに、種々の組成のガラスを用いて検討したところ、糸状部分の長短を決める主要因はガラス中のSiO2の含有量であり、SiO2の量があるレベルよりも多いと糸状部分が長くなり、少ないと糸状部分が短くなることも判明した。即ち、SiO2の量を制限すれば、滴下時の糸状部分の長さを外乱を受けにくい程度に短くすることができ、ガラス滴の質量変動を小さく抑えることができる。
先に説明したように、モバイル機器内蔵の小型光学素子等に使用されるプリフォームには、軽量かつ高い質量精度が求められる。小型光学素子をアライメントして撮像光学系を組み立てる際、複数の小型光学素子の光軸を精密に一致させるとともに各素子間の距離、撮像素子との距離が正確に保たれるように各素子を位置決め固定するためのホルダーを使用すると組立て作業が容易になる。上記ホルダーに各素子をはめ込めば位置決め調整をしなくても、正確なアライメントならびに組立てが可能となる。そのためには、光学素子に光学機能面とともに少なくとも2つの位置決め基準面を精密プレス成形で一括して形成することが望まれる。このような精密プレス成形では、プレス成形型で囲まれたキャビティと呼ばれる空間にガラスを過不足なく充填する必要がある。プリフォームの体積が少しでも過剰だと、プレス成形時にガラスがプレス成形型を構成する型部材間のクリアランス部に進入して成形バリとなり、精密プレス成形工程を停止させてしまったり、成形バリが成形品や型成形面を傷つけてしまうおそれがある。逆にプリフォームの体積が少しでも不足すると、ガラスがキャビティ内に充填不足となり、光学機能面や位置決め基準面の転写不足がおき、所要の目的を達成することができない。このような問題は目的とする光学素子が小さいほど、顕著になりやすい。
そこで、本発明はプリフォーム質量の過不足がないようにするため、平均質量が200mg以下であり、前記質量に対する質量公差が±0.3%以内のガラス製プリフォームロットを、プリフォームを構成するガラス中のSiO2量を所定の量以下に制限することにより提供する。本発明者は上記知見に基づき、前記平均質量ならびに質量公差に対して適切なSiO2含有量を実験化学的に見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、精密プレス成形に供する複数のガラス製プリフォームからなるガラス製プリフォームロットにおいて、SiO2の含有量を0〜20質量%の範囲に制限されたガラスからなる球状のプリフォームで構成された平均質量が200mg以下、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス製プリフォームロットである。
ここでプリフォームロットとは、同種のガラスからなり、形状、質量ともに揃った複数個のプリフォームの集合を意味する。例えば、所定の光学素子を量産する場合、必要な個数のプリフォームからなるプリフォームロットを用意し、前記ロットからプリフォームを取り出して、同一形状のプレス成形型を使用して精密プレス成形することにより、同一形状の光学素子を量産することができる。このとき、プレス成形型を複数セット使用してもよいし、一つのプレス成形型セットを使用して次々とプリフォームを精密プレス成形してもよい。プリフォームロットは複数のプリフォームロットにより構成されると考えることもできる。例えば、1000個のプリフォームから構成されるロットについては、100個のプリフォームから構成される10のロットにより構成されると考えることもできるし、10個のプリフォームから構成される100のロットにより構成されると考えることもできる。本発明の好ましい態様においてロットを構成するプリフォームの個数は500個以上、好ましくは1000個以上、より好ましくは2000個以上、さらに好ましくは5000個以上である。個数の上限は、光学素子の必要個数により決めればよい。
尚、あるプリフォームロットが、プリフォームロットを構成するプリフォームの平均質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内であるかは、500個のプリフォームからなるプリフォームロットにより検証することができる。プリフォームロットが、500個のプリフォームからなる場合、前記平均質量に対する質量公差の割合は、好ましくは±0.29%以内、より好ましくは±0.28%以内である。また、プリフォームロットを構成するプリフォームの数が500個以上であっても、平均質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内であることが好ましく、上記のように、好ましくは1000個以上、より好ましくは2000個以上、さらに好ましくは5000個以上であっても、平均質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内であることが好ましい。
本発明の好ましい態様は、精密プレス成形時にプレス成形型の成形面を転写して形成する面と自由表面からなる表面を有する光学素子を精密プレス成形するためのプリフォームからなるガラス製プリフォームロットである。
本発明のプリフォームによって作られる光学素子は、光学機能面のほかに位置決め基準面を有する。例えば、レンズの位置決め基準面はレンズ同士の間隔を決めるための基準面とレンズの光軸同士を正確に一致させるための基準面とする。これら基準面をホルダーに当接させることにより、各レンズを正確にアライメントすることができる。レンズを例にとると、各レンズ面の周りを取り囲むように鍔状の平坦部を形成し、レンズ2面の2つの鍔状平坦部が互いに平行になるようにする。前記一方の鍔状平坦部を位置決め基準面とし、ホルダーに当接する。他方の鍔状平坦面には前記当接した状態を維持するための圧力を加え、レンズをホルダーに固定する。このようなレンズで2つの鍔状平坦部間の距離(エッジ厚という。)は成形時にレンズが破損することなく、かつホルダーに固定する際にレンズが破損することのない範囲で短く(エッジ厚を薄く)することが望ましい。このようなレンズは、2つの鍔状平坦部間の側面、すなわちエッジと呼ばれる部分を第2の位置決め基準面とする。第2の位置決め基準面はレンズの光軸を合わせるための基準面である。したがって、エッジは精密プレス成形時にプレス成形型成形面を転写した面とする。エッジに転写するプレス成形型部材はスリーブ型あるいは胴型と呼ばれる部材である。小型光学素子を成形するときに使用するスリーブ型は内部の上下型を挿入する細長い貫通孔を備える。この貫通孔内面の一部がエッジに転写される成形面となる。上下型成形面にはガラスの離型性を向上させる離型膜を設けるがスリーブ型の貫通孔内面に均一な厚みの離型膜を設けることは困難であるため、エッジに転写される部分には離型膜は形成されていない。したがって、プレス成形時にガラスがスリーブ型貫通孔内面に融着しないようにするには、エッジの面積をガラスが破損しない範囲で小さくし、ガラスとスリーブ型の接触面積を必要最小限にすればよい。
このような理由により、エッジ厚は薄くするが、エッジ厚が薄いレンズを精密プレス成形する際、ガラスはレンズ面となる部分から充填され、次第にスリーブ型方向に押し広げられる。このとき、2つの鍔状平坦部を転写成形する上型成形面と下型成形面の間の空間の容積が小さいため、プリフォームを構成するガラスの量が僅かでも過剰だとガラスは前記空間からはみ出して成形バリが生じ、前記ガラスの量が僅かでも少ないと、プレスしてもガラスがスリーブ型に到達せず、位置決め基準面となるエッジが形成されなくなってしまう。
つまり、上記光学素子を成形するためのプリフォームでは200mg以下の質量のうち、過不足が許容されるのは±0.3%以内の範囲である。したがって、本発明では、ロットを構成するプリフォームの平均質量を200mg以下、好ましくは150mg以下、より好ましくは1〜140mgとし、質量公差を±0.3%以内、好ましくは±0.2%以内、より好ましくは±0.11%以内、さらに好ましくは±0.10以内、いっそう好ましくは±0.09以内とする。
ここで、平均質量とは各プリフォームの質量から算定される相加平均値(Mav)である。また、質量公差とは、ロットを構成するプリフォーム中、質量が最大のプリフォームの質量(Mmaxという。)と質量が最小のプリフォームの質量(Mminという。)から、±(Mmax− Mmin)/2Mavという式により算定される値である。
ロットを構成するプリフォームの個数が多い場合は、前記ロットから無作為に所定の数のプリフォームを抽出し、抽出したプリフォームを用いてMav、Mmax、Mminを求めてもよい。
次にプリフォームを構成するガラスについて詳説する。なお、特記しない限りガラス成分の含有量は質量%表示とする。
前述のように、本発明者らの実験により、熔融ガラスの糸状部分の長さはガラス中のSiO2量により定まること判明した。SiO2の含有量が20%を超えると糸状部分が長くなり、どこで分離がおきるか外部環境の影響を受けやすくなる。それに対し、SiO2の含有量を0〜20%の範囲に制限することにより、外部環境により分離箇所の変動がおきにくくなり、質量公差の小さい軽量のプリフォームからなるロットを得ることができる。SiO2の量の好ましい範囲は0〜17%、より好ましい範囲は0〜15%、さらに好ましい範囲は0〜12%、より一層好ましい範囲は0〜10%、なお一層好ましい範囲は0〜9%である。
本発明におけるガラスとしては、SiO2含有ガラス、B23およびLa23含有ガラス、リン酸ガラス、フツリン酸ガラスなどを例示することができる。
SiO2含有ガラスとしては、SiO2 1〜20%、B23 0〜65%、Li2O 0〜12%、Na2O 0〜12%、K2O 0〜12%、MgO 0〜30%、CaO 0〜30%、SrO 0〜30%、BaO 0〜30%、ZnO 0〜40%、La23 0〜50%、Gd23 0〜40%、Y23 0〜20%、ZrO2 0〜15%、TiO2 0〜20%、Ta25 0〜30%、WO3 0〜20%、Nb25 0〜30%を含むガラスを例示することができる。
このガラスにおいて精密プレス成形により適するものは、Li2OとZnOの合計含有量が1%以上のガラスであり、ガラス転移温度が610℃以下のガラスが好ましい。
23およびLa23を含有するガラスとしては、SiO2 0〜20%、B23 1〜65%、Li2O 0〜12%、Na2O 0〜12%、K2O 0〜12%、MgO 0〜30%、CaO 0〜30%、SrO 0〜30%、BaO 0〜30%、ZnO 0〜40%、La23 1〜50%、Gd23 0〜40%、Y23 0〜20%、ZrO2 0〜15%、TiO2 0〜40%、Ta25 0〜30%、WO3 0〜20%、Nb25 0〜45%、Bi23 0〜45%を含むガラスを例示することができる。
このガラスにおいて精密プレス成形により適するものは、Li2OとZnOの合計含有量が1%以上のガラスであり、ガラス転移温度が630℃以下のガラスが好ましい。
リン酸ガラスとしては、P25 1〜50%、SiO2 0〜20%、B23 0〜35%、Li2O 0〜12%、Na2O 0〜12%、K2O 0〜12%、MgO 0〜30%、CaO 0〜30%、SrO 0〜30%、BaO 0〜30%、ZnO 0〜40%、La23 0〜20%、Gd23 0〜20%、Y23 0〜20%、ZrO2 0〜15%、TiO2 0〜30%、Ta25 0〜20%、WO3 0〜20%、Nb25 0〜45%、Bi23 0〜45%を含むガラスを例示することができる。
このガラスにおいて、Li2Oの量が0.1%以上であることがガラス転移温度を低下させ、プレス成形時の温度を低下させる上から好ましい。
フツリン酸ガラスとしては、カチオン%表示にて、P5+ 5〜50%、Al3+ 0.1〜30%、Mg2+ 0〜20%、Ca2+ 0〜25%、Sr2+ 0〜30%、Ba2+ 0〜30%、Li+ 0〜30%、Na+ 0〜10%、K+ 0〜10%、Y3+ 0〜10%、La3+ 0〜5%、Gd3+ 0〜5%を含有し、F-とO2-の合計量に対するF-の含有量、すなわちモル比F-/(F-+O2-)が0.25〜0.95であるガラスを例示することができる。このフツリン酸ガラスは低分散特性の実現に好適である。
また、別のフツリン酸ガラスとしては銅含有フツリン酸ガラスを例示することができる。このガラスは近赤外線吸収機能を有し、CCDやCMOSなどの半導体撮像素子の色感度補正機能を有する光学素子の材料となる。同様の機能を有するガラスとしては銅含有リン酸ガラスを例示することができるが、耐候性の面から銅含有フツリン酸ガラスは銅含有リン酸ガラスよりも優れている。近赤外線吸収機能を有する半導体撮像素子の色感度補正用素子を構成する銅含有ガラスは、熔融温度が高すぎるとガラス中のCu2+が還元されてCu+になるため、色感度補正機能が低下する。SiO2の量が増加すると熔融温度が高くなるため、銅含有ガラスではSiO2を含まないことがより好ましい。
上記各ガラスともSiO2の量は0〜20%であり、SiO2の含有量の好ましい範囲は上記のとおりである。なお、リン酸ガラス、フツリン酸ガラスはSiO2を含まないことがより好ましい。
なお、SiO2の量が同程度であれば比重の大きいガラスのほうが、糸状部分が長くならずに熔融ガラスの分離がおきるため、プリフォームを構成するガラスの比重を3.3以上とすることが好ましく、3.4以上とすることがより好ましい
23およびLa23含有ガラス、リン酸ガラスの場合、比重を大きくするという観点からLa23、Gd23、Y23、Yb23、Nb25、Ta25、WO3、TiO2およびBi23の合計量を20%以上にすることが好ましく、25%以上にすることがより好ましく、30%以上にすることがさらに好ましい。
ロットを構成する各プリフォームの形状は球である。小型光学素子を精密プレス成形する際、球状のプリフォームを使用すると下型成形面が凹形状であれば、成形面の中心にプリフォームを安定して配置することができる。なお、SiO2の量が20%以下に制限されているガラスは、ガラス滴の状態で表面張力により球になろうとする傾向が強く、真球に近い形状にプリフォームを成形しやすいという特長も有する。
ここまでは、プリフォームロットについて説明したが、以下、精密プレス成形に供するガラス製プリフォームに加工するための複数のプリフォーム母材からなるプリフォーム母材ロットについて説明する。
本発明のプリフォーム母材ロットは、精密プレス成形に供するガラス製プリフォームに加工するための複数のプリフォーム母材からなるプリフォーム母材ロットにおいて、SiO2の含有量を0〜20質量%の範囲に制限されたガラスからなる球状のプリフォーム母材で構成された平均質量が200mg以下、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のプリフォーム母材ロットである。
プリフォーム母材ロットは複数のプリフォーム母材の集合である。ロットの概念は上記プリフォームロットにおけるロットの概念と同じである。プリフォーム母材は、その表面を機械加工(例えば、研磨)することによりプリフォームとすることができる。その際、本発明のプリフォーム母材ロットを用い、各プリフォーム母材とも機械加工によるガラスの除去量を等しくすれば、等質量のプリフォームからなるロット、すなわち、本発明のプリフォームロットを得ることができる。
プリフォーム母材は、前述のプリフォームと同様にガラス滴の滴下により生産されるが、プリフォーム母材を成形するときのガラス滴の滴下においても上述した現象がおき、糸状部分が長くなって母材の質量変動が大きくなるかどうかはガラス中のSiO2の量による。プリフォーム母材とプリフォームは、加工によりプリフォームに仕上げられるかどうかという点を除けば、製法、好ましいガラス組成、比重、ロットを構成する母材の個数(ロットを構成するプリフォームの個数)、平均質量および平均質量に対する質量公差の割合の好ましい範囲もすべて共通する。
次にガラス製プリフォームロットの生産方法(ガラス製プリフォームの量産方法)について説明する。
本発明のガラス製プリフォームロットの生産方法は、所定質量のガラス滴を流出ノズルの流出口から滴下し、得られたガラス滴を精密プレス成形に供するガラス製プリフォームに成形する工程を繰り返して、複数のガラス製プリフォームからなるガラス製プリフォームロットを生産する、ガラス製プリフォームロットの生産方法において、
SiO2の含有量が0〜20質量%の範囲であるガラスからなるガラス滴を滴下し、滴下したガラスを、質量が200mg以下である球状のプリフォームに成形し、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス製プリフォームロットを生産する、前記ガラス製プリフォームロットの生産方法である。
まず、ガラス原料を加熱、熔融し、清澄、均質化して得られた熔融ガラスを、熔融ガラスを蓄積する容器からパイプ中を流してパイプ下端のノズルへと導く。熔融ガラスはノズル下端のガラス流出口から流出するが、単位時間あたりのガラス流出量が一定になるようにパイプおよびノズルの温度を制御する。
ガラス流出口から流出した熔融ガラスは表面張力によりノズル下端に垂下する。ノズル下端に熔融ガラスが留まろうとする力よりも垂下するガラスに働く下向きの力が強くなったときにノズル下端から熔融ガラスが滴下する。ここで、単位時間あたりのガラス流出量を一定にしているので、熔融ガラスの滴下は一定の周期でおきる。熔融ガラス滴の質量は、質量で表した単位時間あたりのガラス流出量に前記周期を乗じたものとなる。
ノズル下方に凹部を有する成形型を搬入し、凹部外縁面で滴下するガラス滴を受けて凹部内に転がす又は滑らせて導入し、凹部底部に設けたガス噴出口から上向きに噴出するガスにより凹部内でガラス滴を上下動させながら球状のプリフォームに成形する。プリフォームの量産は複数の成形型を用意して成形型を次々とノズル下方に搬入してはガラス滴を受け、ガラス滴を受けた成形型をノズルから搬出して、空の成形型をノズル下方に搬入してガラス滴の滴下に備える。ガラス滴を載せた成形型を移動しながら凹部内でプリフォームに成形し、プリフォームが変形しない温度域にまで冷却した後、成形型からプリフォームを取り出し、空の成形型として再びノズル下方に搬入する。このような工程を複数の成形型毎に次々と行うことによりプリフォームを量産する。ここで得られるプリフォーム量産品はプリフォームロットに相当する。
次にガラス成形体ロットの生産方法(ガラス成形体の量産方法)について説明する。ガラス成形体の一例として前記プリフォームやプリフォーム母材を例示することができる。
本発明のガラス成形体ロットの生産方法は、所定質量のガラス滴を流出ノズルの流出口から滴下し、得られたガラス滴を成形する工程を繰り返して、複数のガラス成形体ロットを生産する、ガラス成形体ロットの生産方法において、
SiO2の含有量が0〜20質量%の範囲であるガラスからなるガラス滴を滴下し、滴下したガラスを、質量が200mg以下である球状のガラス成形体に成形し、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス成形体ロットを生産する、前記ガラス成形体の生産方法である。
ガラス成形体がプリフォームである場合は、前述のプリフォームの生産方法と同じである。ガラス成形体がプリフォーム母材である場合は、本発明によりプリフォーム母材ロットを作製することができる。その場合、前記ガラス成形体の全表面を研磨して同一直径の精密プレス成形に供するガラス製プリフォームを製造することができ、プリフォーム母材ロットについてこの研磨加工をすることで、ガラス製プリフォームロットを生産することができる。
ガラス成形体を構成するガラスの組成、比重、その他性質は前述のプリフォームと同様である。
なお、プリフォーム表面に傷、汚れなどの欠陥があると光学素子の欠陥の原因となるから、プリフォーム母材の研磨ではプリフォーム表面に傷が残らないよう滑らか表面に仕上げることが適当である。また、研磨終了後には研磨剤が残らないようにプリフォームを洗浄して清浄な表面にする。
次に、光学素子の製造方法について説明する。
本発明の光学素子の製造方法は、前記各ガラス製プリフォームロットから取り出したガラス製プリフォーム、または前記各方法により作製したガラス製プリフォームを加熱し、プレス成形型を使用して精密プレス成形する光学素子の製造方法である。
前記取り出されるプリフォームは、すべて目的とする質量に精密に一致する質量を有する球状プリフォームなので、精密プレス成形時にプレス成形型の成形面を転写して形成する面と自由表面からなる表面を有する小型光学素子を安定して製造することができる。
精密プレス成形は、上型、下型、スリーブ型を含むプレス成形型を用いて、加熱してプリフォームをプレス成形し、プレス成形型の成形面の形状を正確にガラスに転写成形する方法である。プレス成形型の型材の加工および型材の材質、上型、下型の成形面に形成する離型膜、離型膜の形成法、精密プレス成形を行う雰囲気の種類などは公知の技術を適用すればよい。
例えば、上型、下型、スリーブ型を備えたプレス成形型を使用し、上型、下型、スリーブ型の各成形面をガラスに転写するとともに、上型成形面を転写して形成した面とスリーブ型成形面を転写して形成した面のなす稜および/または下型成形面を転写して形成した面とスリーブ型成形面を転写して形成した面のなす稜を自由表面にする精密プレス成形を行って、同一形状の光学素子を量産する。
精密プレス成形法の一例としては、球状プリフォームをスリーブ型の貫通孔内に挿入した凹面形状の下型成形面の中心に配置し、下型成形面に成形面が対向するように上型をスリーブ型の貫通孔内に挿入する。この状態でプリフォームとプレス成形型を一緒に加熱して、プリフォームを構成するガラスの温度が、106dPa・sの粘度を示す温度にまで上昇したときに、上型と下型でプリフォームを加圧する。加圧されたプリフォームは上型、下型、スリーブ型により囲まれた空間(キャビティという。)内に押し広げられる。このようにして、ガラス製プリフォームをキャビティ内でプレスして、プレス成形型を型閉めした状態で形成される密閉空間であるキャビティ内にガラスを充填する。
型閉め状態での上型、下型、スリーブ型の各成形面の相対位置、面法線のなす角度を精密に形成しておく。このようなプレス成形型を使用して上記成形を行えば、光学機能面と位置決め基準面を互いに高精度の位置関係、角度で形成することができる。
図3に示すレンズの成形を例にすると、上型成形面の中央部をレンズの光学機能面であるレンズ面を転写成形する面とし、周辺部を鍔状平坦部を転写成形する輪帯状の平面とする。下型成形面についても同様に中央部をレンズ面を転写成形する面、周辺部を鍔状平坦部を転写成形する輪帯上の平面とする。プレス成形終了まで上下型の向きを互いに対向するように、かつ上下型の中心軸が一致するように正確に維持する。
プレス成形型を型閉めした状態で形成される密閉空間内にガラスを充填することにより、スリーブ型貫通孔の内面がガラスに転写される。スリーブ型貫通孔の中心軸と前記貫通孔内面の角度を精密に形成しておき、プレス成形終了まで前記貫通孔の中心軸と上下型中心軸とが精密に一致するよう維持することにより、図3に示すレンズのように、2つのレンズ面10および11、2つの鍔状平坦部7a、7b、スリーブ型の内面が転写成形されるレンズのエッジ6の相対位置、互いの面のなす角度を正確に形成することができる。そして、2つの鍔状平坦部のうちの一方とエッジを位置決め基準面として、鍔状平坦部のうちの一方をレンズ間の距離を正確に位置決めする基準面として使用し、エッジをレンズ間の光軸を正確に一致させるための基準面として使用することができる。
そして、スリーブ型貫通孔の内面とガラスの融着を防止するため、レンズが破損しない範囲でエッジ厚を薄くしても、目的とするレンズの質量に対して各プリフォームの質量が正確に定められているので、スリーブ型貫通孔の内面が転写されて位置決め基準面として機能するエッジを成形することができるし、成形バリが発生して光学素子の量産工程を停止させてしまうこともない。
なお、エッジ6と鍔状平坦部7a、7bの交わる稜9a、9bを自由表面で形成することが望ましい。エッジと鍔状平坦部が形成されていれば、位置決め機能に支障をきたすおそれはなく、しかも稜が鋭利になっているとホルダーにはめ込む際に稜が欠けたり、稜がホルダーを削ってしまい、発塵の原因になる。塵が撮像素子の受光面に付着すると画質が大幅に低下してしまうため、このようなトラブルを防止する上から、自由表面からなる稜を有する精密プレス成形品を成形することが望ましい。
光学素子には、少なくとも2面以上、具体的には2面あるいは3面の位置決め基準面を精密プレス成形によって形成することが望ましい。前記2面あるいは3面の位置決め基準面は互いに非平行に形成されることが好ましい。このように互いに非平行な2つの基準面を用いて光学素子を位置決めすれば、光学系における光学素子の位置決めと、向きを精度よく決めることができる。レンズのように回転対称性を有する光学素子は2つの基準面があればよい。プリズムのような回転対称性のない光学素子の場合には、3つの位置決め基準面を形成し、光学系における位置決めとその位置における向きを精度よく決める。
このようにして作製した光学素子には必要に応じて反射防止膜などの光学多層膜を形成してもよい。
実施例について説明する。
(実施例1)
まず、表1に示すSiO2の量が20質量%以下の光学ガラスA、Bが得られるようにガラス原料を秤量、調合して十分撹拌し、熔融容器内に導入して、加熱、熔融し、清澄、撹拌して均質な熔融ガラスを用意した。熔融ガラスを図1に示す装置を用いて熔融ガラス滴からガラスプリフォームを生産した。
熔融容器底部に接続したパイプ1を開いて一定流量で熔融ガラスをパイプ下端に取り付けたノズル2から流出する。ノズルおよびパイプ、そして熔融容器はそれぞれ、ガラスが失透せず、所望の流出量が得られる粘度になるよう、温度制御されている。
パイプ1の下端およびノズル2の外周には図1に示すようにガス流路形成用カバー3が設けられ、ガス流路形成用カバーとパイプおよびノズルの間の空間にガスを流すためのガス流路4を設けている。そして、ガス流路形成用カバー下端には開口部3−1を設け、前記開口部からノズル先端を突出させている。ノズル、ガス流路形成用カバー、ガス流路形成用カバー開口部はそれぞれノズルの中心軸の周りに対称に配することが好ましい。また、ガス流路形成用カバー開口部から排出されるガスも上記中心軸の周りに均等に流すことが望ましい。
本実施例では、ノズル下端に垂下する熔融ガラスが一定周期で落下するように、パイプの内径、ノズルの内外径、パイプとノズルの温度を調整して、ガラスの流出量を制御している。ガラス流出口から流出する熔融ガラスはノズル下端に垂下するが、垂下した熔融ガラスには、ガス流路形成用カバー開口部から下向きに一定の流量で連続して噴出すガスが噴きかかり、下向きの風圧が加わる。
ノズルの外周を囲むように図示しない高周波誘導コイルを配置し、高周波電流を流して、ノズルを高周波誘導加熱する。
熔融ガラスの落下は熔融ガラスがノズル下端に留まろうとする力よりも垂下する熔融ガラスに働く重力が大きくなったときにおきる。しかし、この方法では、ノズル下端に留まろうとする力で決まる質量のガラス滴しか得られず、より軽量のガラス滴を滴下することができない。
しかし、本実施例によれば垂下する熔融ガラスはガスによる風圧により下向きの力を受けるから、その分、より軽量のガラス滴を得ることができる。そして、ガス流量が一定になるようにマスフローコントローラなどによりガスの流量制御を行えば、ガラス滴の質量を安定化することができる。
熔融ガラス滴は、ノズル下方で待機する成形型5で受ける。成形型5の垂直断面を図2に示す。成形型のガラス滴受け面5−1で滴下するガラス滴を受ける。ガラス滴受け面5−1は同じく成形型上面に設けられた凹部5−2の方向に傾斜しているので、ガラス滴は受け面5−1から凹部5−2へとすべり込む、あるいは転がり込む。
凹部5−2の断面は図2に示すように下から上に向けてラッパ状に広がる形状を有し、凹部底部には上向きにガスを噴出するガス噴出口が1つ設けられている。凹部に導入したガラス滴は凹部底部に向けて凹部内壁を転がりながら下降するが、凹部の内径が下に行くにつれて減少するようになっているので、ガラス滴は下降するほど上向きの風圧を強く受けることになる。その結果、ガラス滴は凹部内で上昇するが、上昇すると上向きの風圧が弱まるので、凹部内壁に沿って転がりながら下降する。すると、再び上向きの風圧を強く受けるようになるので、ガラス滴は凹部内を上昇しては凹部内壁を転がりながら下降するという運動を短時間で繰り返し行うことになる。ガラス滴が凹部内壁を転がる方向はランダムであるから、上記運動を繰り返すうちにガラス滴は球状化しながら冷却し、球プリフォームに成形される。冷却してプリフォームが変形しない温度になった時点で凹部内のプリフォームを取り出し、ガラスが割れないスピードで室温まで冷やす。
複数個の成形型を用いて上記工程を繰り返すことにより、等質量の球状プリフォームを量産することができる。このようにして光学ガラスからなる所望質量であって質量公差の小さい球状のプリフォームからなるプリフォームロットを得た。使用したガラス、得られたプリフォームの個数、平均質量、質量公差、直径を表1に示す。
Figure 2007099526
(実施例2)
実施例1と同様の方法で球状のプリフォーム母材を量産した。使用したガラス、得られた母材の個数、平均質量、平均質量に対する質量公差の割合、質量公差、直径を表1に示す。これらプリフォーム母材からなるロットをアニールして歪みを低減した後、研磨して、プリフォーム母材の平均質量に対する質量公差の割合と同等の値を有するプリフォームロットを得た。
(実施例3)
実施例1、2で得た各プリフォームロットを使用して、図3に示す概観の断面形状を有する小型非球面レンズを精密プレス成形により得た。いずれのレンズも破損は見られず、レンズとして十分な光学性能を有していた。また、各レンズのエッジ6、鍔状平坦部7はプレス成形型成形面が転写されたものであり、エッジと鍔状平坦部が交わる稜は丸みを帯びた自由表面であった。そして成形バリの発生は認められなかった。
これらの非球面レンズは携帯電話に内蔵される撮像装置の撮像光学系を構成するレンズとして機能する。このようにして得たレンズと、形状以外は全く同じ方法で作製した位置決め基準面としてエッジと鍔状平坦部を有するレンズを、レンズホルダーに組み込み、位置決め基準面をホルダーに当接した状態で固定することにより、各レンズを正確にホルダー内に配列することができた。
[比較例]
表1に示すSiO2含有量が46質量%のガラスを使用して、表1に示すプリフォームを作製したところ、質量公差が大きく、質量がばらついたロットになってしまった。
このロットを使用して上記と同様の方法により小型非球面レンズを精密プレス成形したところ、エッジ全体が自由表面になって位置決め基準面として機能しないレンズや、成形バリが発生してプレス成形型が摺動しなくなってしまうなどのトラブルが発生してしまった。
熔融ガラス滴からガラスプリフォームを生産する装置の説明図。 熔融ガラス滴からガラスプリフォームを生産するための成形型の垂直断面図。 本発明の光学素子の一態様であるレンズの断面説明図。

Claims (13)

  1. 精密プレス成形に供する複数のガラス製プリフォームからなるガラス製プリフォームロットにおいて、
    SiO2の含有量を0〜20質量%の範囲に制限されたガラスからなる球状のプリフォームで構成された平均質量が200mg以下、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス製プリフォームロット。
  2. SiO2含有ガラス、B23およびLa23を含有するガラス、リン酸塩ガラス、フツリン酸塩ガラスのいずれか一種のガラスからなるプリフォームで構成された請求項1に記載のガラス製プリフォームロット。
  3. 比重が3.3以上のガラスからなるプリフォームで構成された請求項1または2に記載のガラス製プリフォームロット。
  4. 精密プレス成形に供するガラス製プリフォームに加工するための複数のプリフォーム母材からなるプリフォーム母材ロットにおいて、
    SiO2の含有量を0〜20質量%の範囲に制限されたガラスからなる球状のプリフォーム母材で構成された平均質量が200mg以下、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のプリフォーム母材ロット。
  5. SiO2含有ガラス、B23およびLa23を含有するガラス、リン酸塩ガラス、フツリン酸塩ガラスのいずれか一種のガラスからなるプリフォーム母材で構成された請求項4に記載のプリフォーム母材ロット。
  6. 比重が3.3以上のガラスからなるプリフォーム母材で構成された請求項4または5に記載のプリフォーム母材ロット。
  7. 所定質量のガラス滴を流出ノズルの流出口から滴下し、得られたガラス滴を精密プレス成形に供するガラス製プリフォームに成形する工程を繰り返して、複数のガラス製プリフォームからなるガラス製プリフォームロットを生産する、ガラス製プリフォームロットの生産方法において、
    SiO2の含有量が0〜20質量%の範囲であるガラスからなるガラス滴を滴下し、滴下したガラスを、質量が200mg以下である球状のプリフォームに成形し、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス製プリフォームロットを生産する、前記ガラス製プリフォームロットの生産方法。
  8. 所定質量のガラス滴を流出ノズルの流出口から滴下し、得られたガラス滴を成形する工程を繰り返して、複数のガラス成形体ロットを生産する、ガラス成形体ロットの生産方法において、
    SiO2の含有量が0〜20質量%の範囲であるガラスからなるガラス滴を滴下し、滴下したガラスを、質量が200mg以下である球状のガラス成形体に成形し、前記質量に対する質量公差の割合が±0.3%以内のガラス成形体ロットを生産する、前記ガラス成形体の生産方法。
  9. 請求項8に記載の方法により生産したガラス成形体ロットの各ガラス成形体の全表面を研磨して、同一直径を有する精密プレス成形に供するガラス製プリフォームを製造するガラス製プリフォームの製造方法。
  10. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス製プリフォームロットから取り出したガラス製プリフォーム、請求項7または9に記載の方法により作製したガラス製プリフォームロットから取り出したガラス製プリフォームを加熱し、プレス成形型を使用して精密プレス成形する光学素子の製造方法。
  11. ガラス製プリフォームのプレス成形型による精密プレス成形は、プレス成形型を型閉めした状態で形成される密閉空間内に前記ガラスを充填することで行われる請求項10に記載の光学素子の製造方法。
  12. 自由表面からなる稜を有する精密プレス成形品を成形する請求項11に記載の光学素子の製造方法。
  13. 少なくとも2面以上の位置決め基準面を精密プレス成形によって形成する請求項10〜12のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
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