JP2007098569A - ドリル - Google Patents

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Abstract

【課題】ドリル本体の剛性を高く保つとともに、良好な穴位置精度を得る。
【解決手段】刃先部10の外周に形成する切屑排出溝11を1条のみとする。先端逃げ面12における軸線O方向の最も先端側に突出した最先端を1点で構成するとともに、軸線O上に位置させる。刃先部10を軸線O方向の先端側から見たとき、先端逃げ面12を、周方向に沿って配列された第2〜4逃げ面14B,14C,14Dと、これら第2〜4逃げ面14B,14C,14Dに囲まれるとともに軸線Oに交差する逆側第1逃げ面14Eとからなる多段面状とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、被削材に穴明け加工を施すために用いられるドリルに関し、とくに、プリント基板や、微少な金属部品、プラスチック等の被削材に小径深穴の孔部を穴明け加工するのに用いられる小型ドリルに関するものである。
一般に、小型ドリルは、穿孔すべき穴がきわめて小径であり、軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分に例えば直径0.01〜3.175mm程度の小径棒状の刃先部が設けられ、後端側部分にドリル本体を工作機械の回転軸に把持するための比較的大径のシャンク部が刃先部と一体にまたはろう付けや締まり嵌め等で接続されて設けられている。刃先部の材質は、通常、超硬合金が採用され、シャンク部は超硬合金やスチール等の鋼材が採用されている。
このような小型ドリルとしては、従来より、刃先部に2条の切屑排出溝が形成され、これら切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面と刃先部の先端逃げ面との交差稜線部にそれぞれ切刃が形成された2枚刃のものがよく用いられているが、2枚刃の小型ドリルでは、その芯厚が薄くならざるを得ず、ドリル本体の剛性が小さくなって、刃先部の折損や穴曲がりによる穴位置精度の低下がとくに生じやすいという問題がある。
これに対し、ドリル本体の剛性を大きく確保できる小型ドリルの一例として、特許文献1に開示されているようなものがあり、このような小型ドリルは、刃先部に1条の切屑排出溝が形成されているとともに、切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面と刃先部の先端逃げ面との交差稜線部に1つの切刃が形成されて1枚刃とされたものである。
また、刃先部の先端逃げ面には、軸線に直交する方向に延びる略直線状をなすチゼルエッジが軸線付近に形成されており、この略直線状をなすチゼルエッジが、先端逃げ面における軸線方向の最も先端側に突出した最先端となっている。
実開平7−33514号公報(第1〜3図)
しかしながら、上記のような1枚刃の小型ドリルでは、被削材の穴明け加工の際に、この被削材に対して、軸線に直交する方向に延びるチゼルエッジが線接触で食い付いていく、あるいは、チゼルエッジにおける(軸線から離間した)一端から食い付いていくことになるので、ドリル本体の振れが生じやすく、高い直進性を得ることができなくなってしまう。これにより、上記のようなドリル本体の剛性を大きく確保できる1枚刃ドリルであっても、依然として良好な穴位置精度を得ることができないのが現状であった。
また、昨今では、穴明け効率をより高めるため、重ねて加工する被削材の重ね枚数の増加(加工穴の深穴化)、さらには、配線密度の高密度化などによる加工穴の小径化が進んでおり、このため、穿孔する加工穴の穴径が小さく、穴深さと穴径との比が大きい小径深穴加工が増加してきている。
それゆえ、穿孔する加工穴の穴径が1mm以下、穴深さと穴径との比が5以上となるような小径深穴加工になってくると、使用する小型ドリルもその剛性を確保しづらくなっていくので、もともとドリル本体の剛性を確保しづらい上記の2枚刃ドリルでは、その剛性不足ゆえに穴位置精度のさらなる低下を招いてしまうのはもちろんのこと、上記のような1枚刃ドリルであっても、穴位置精度の低下が顕著になってしまう。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、ドリル本体の剛性を高く保つことができるとともに、良好な穴位置精度を得ることができるドリルを提供することを目的とする。
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端から後端側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面と前記刃先部の先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されてなるドリルにおいて、前記切屑排出溝が1条のみであり、前記先端逃げ面における前記軸線方向の最も先端側に突出した最先端が1点で構成されているとともに、この最先端と前記軸線との距離が、前記刃先部の最大外径Dに対して、(5/100)D以下とされていることを特徴とするものである。
このような構成とされた本発明では、刃先部に設けられる切屑排出溝が1条のみであるために、刃先部に2条の切屑排出溝が設けられたドリルに比べて芯厚が厚くなって、ドリル本体の剛性を高く保つことができる。さらに、先端逃げ面における最先端が1点で構成され、かつ、この最先端が軸線近傍に位置していることから、被削材の穴明け加工の際には、先端逃げ面における最先端をなす軸線近傍の1点から被削材に食い付いていくことになり、ドリル本体の振れを生じさせることなく、ドリル本体の直進性を高めることができる。
また、前記刃先部を前記軸線方向の先端側から見たとき、前記先端逃げ面が、周方向に沿って配列された複数の逃げ面と、これら周方向に沿って配列された複数の逃げ面に囲まれるとともに前記最先端に交差するように形成された逆側第1逃げ面とからなる多段面状とされていてもよい。
このような構成とすると、先端逃げ面に対して逃げを与えるために、この先端逃げ面を周方向に沿って配列された複数の逃げ面からなる多段面状としたときでも、これら複数の逃げ面のうちで逆側第1逃げ面の径方向外方側に連なる逃げ面を形成するときの加工誤差を、逆側第1逃げ面が残っている分だけ吸収することができるので、この逃げ面の加工精度によって先端逃げ面における最先端をなす1点が軸線近傍からずれてしまうといったおそれをなくすことができる。
ここで、前記刃先部を前記軸線方向の先端側から見たとき、前記逆側第1逃げ面上における前記軸線から最も離間した点と前記軸線との距離は、前記刃先部の最大外径Dに対して、(1/3)D以下とされていることが好ましい。
また、前記切屑排出溝のドリル回転方向前方側に連なり、前記刃先部の先端から後端側に向けて延びるとともに、その途中で前記切屑排出溝に切れ上がる副溝部が形成されていてもよい。
このような構成とすると、先端逃げ面を再研磨することによって再利用を図る場合に、研磨すべき先端逃げ面が副溝部の形成されている分だけ小さくなるので、例えば多段面状の先端逃げ面を構成するときには、この先端逃げ面を構成する逃げ面の数を少なくでき、研磨すべき逃げ面の数が減少して、再研磨に要する手間や時間を減らすことができる。さらに、副溝部は、刃先部の先端から後端側に向けて延びる溝状に形成されているため、再研磨後の先端逃げ面を研磨前と同一形状に維持できて、穴明け性能を変化させてしまうことがないとともに、途中部分で切屑排出溝に切れ上がるため、ドリル本体の剛性を必要以上に低めてしまうことがない。
また、とくに、被削材に穿孔する穴の穴径が1mm以下、かつ、穴深さと穴径との比が5以上とされるような小径深穴加工に用いられる小型ドリルのように、刃先部の最大外径Dが1mm以下、かつ、刃先部の有効刃長Lと刃先部の最大外径Dとの比L/Dが5以上とされていて、ドリル本体の剛性を確保しづらく、穴位置精度の低下を招きやすい場合に、本発明を有効に活用することができる。
本発明によれば、刃先部に設けられた切屑排出溝が1条のみであることによって、ドリル本体の剛性を高く保つことができるのに加え、先端逃げ面における最先端を軸線近傍の1点で構成していることから、被削材の穴明け加工の際には、軸線近傍に位置する先端逃げ面における最先端の1点から被削材に食い付かせることができ、ドリル本体の振れを生じさせず、ドリル本体の直進性を高めて良好な穴位置精度を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明するが、まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態による小型ドリルの刃先部の要部拡大側面図、図2は図1におけるI方向矢視図、図3は図2におけるII方向矢視図である。
本第1実施形態による小型ドリルのドリル本体は、その後端側部分が工作機械の回転軸に把持されるシャンク部とされているとともに、先端側部分が刃先部10とされている。
この刃先部10は、図1〜図3に示すように、軸線O回りに回転される軸線Oを中心とした略多段円柱状をなし、その先端側部分に位置する第1刃先部10Aと、第1刃先部10Aの外径Dよりも一段小さい外径を有して第1刃先部10Aの後端側に段差を介して連なる第2刃先部10Bとから構成されている。つまり、刃先部10は、いわゆるアンダーカットタイプとされており、この刃先部10の最大外径Dは、第1刃先部10Aの外径D(後述するマージン部24を円弧とする仮想の円の外径)となっている。なお、刃先部10の最大外径Dは、1mm以下に設定されている。
そして、刃先部10の外周には、その先端から後端側に向けて延びるようにして刃先部10の先端逃げ面12及び外周面に開口する1条の切屑排出溝11が軸線Oを含まないように形成されており、この切屑排出溝11は、刃先部10の先端から後端側に向かうにしたがいドリル回転方向T後方側に向けて軸線Oを中心として螺旋状にねじれている。
ここで、刃先部10における切屑排出溝11が形成された部分の軸線O方向での長さ、すなわち、切削に使用できる刃先部10の有効刃長Lは、刃先部10の最大外径D(第1刃先部10Aの外径D)に対する比L/Dが5以上となるように設定されている。
また、切屑排出溝11におけるドリル回転方向T前方側を向く壁面の先端側領域がすくい面11Aとされ、このすくい面11Aの先端縁、すなわち、すくい面11Aと刃先部10の先端逃げ面12との交差稜線部には、軸線O付近から径方向外方側へ向かって延びて、刃先部10の外周面と交差する略直線状をなす切刃13が形成されている。
この略直線状をなす切刃13には、径方向外側に向かうにしたがい軸線O方向の後端側及びドリル回転方向T後方側へ向かうような傾斜が付けられていて、切刃13が芯上がりとなるように配置されている。
ここで、刃先部10の先端逃げ面12の形状を説明するため、刃先部10を軸線O方向の先端側から見たときについて考え、図2に示すような仮想のX−Y軸を導入する。
このX−Y軸は、軸線O上で互いに直交して交差することによって軸線Oを原点とするとともに、そのX軸を切刃13と平行に位置させており、また、X軸については、Y軸を挟んで切刃13の位置している領域(図2中、右側)を正の領域とし、Y軸については、X軸を挟んで切屑排出溝11が開口している領域(図2中、上側)を正の領域としている。
先端逃げ面12は、図2に示すように、複数の平坦な逃げ面から構成された多段面状をなしており、具体的には、切刃13からドリル回転方向T後方側に向かって、平坦面である第1〜4逃げ面14A,14B,14C,14Dが周方向に沿って順次配列されて配置され、かつ、軸線O付近に、平坦面である逆側第1逃げ面14Eが配置されるとともに、この逆側第1逃げ面14Eと第4逃げ面14Dとのドリル回転方向T後方側に、平坦面である逆側第2逃げ面14Fが配置されることによって構成されていて、合計6つの平坦面からなる多段面状をなしている。
第1逃げ面14Aは、その面上における最も軸線Oに近い点が軸線Oに一致するようにして、X,Yがともに正の領域内に配置されており、この第1逃げ面14Aのドリル回転方向T後方側には第2逃げ面14Bが連なっている。
第1逃げ面14Aと第2逃げ面14Bとの交差稜線15は、X軸上に沿って位置し、かつ、軸線Oを内周端15Aとするとともに、この内周端15Aから径方向外方側へ向かって略直線状に延びて、刃先部10の外周面に交差する点を外周端15Bとしている。
なお、第1逃げ面14Aのドリル回転方向T前方側の稜線、つまり、第1逃げ面14Aと切屑排出溝11におけるドリル回転方向T前方側を向く壁面の先端側領域であるすくい面11Aとの交差稜線をなす切刃13は、X,Yがともに正の領域内でX軸と平行に位置し、かつ、軸線O付近を内周端13Aとするとともに、この内周端13Aから径方向外方側へ向かって略直線状に延びて、刃先部10の外周面に交差する点を外周端13Bとしている。
第2逃げ面14Bは、その面上における最も軸線Oに近い点が軸線Oに一致するようにして、Xが正,Yが負の領域内とX,Yがともに負の領域内とに亘って配置されており、この第2逃げ面14Bのドリル回転方向T後方側には第3逃げ面14Cが連なっている。
第2逃げ面14Bと第3逃げ面14Cとの交差稜線16は、X,Yがともに負の領域内に位置し、かつ、逆側第1逃げ面14Eが形成されている分だけ軸線Oから離間した位置を内周端16Aとするとともに、この内周端16Aから径方向外方側へ向かってドリル回転方向T前方側へ傾斜しつつ略直線状に延びて、刃先部10の外周面に交差する点を外周端16Bとしている。
第3逃げ面14Cは、X,Yがともに負の領域内に配置されており、この第3逃げ面14Cのドリル回転方向T後方側には第4逃げ面14Dが連なっている。
第3逃げ面14Cと第4逃げ面14Dとの交差稜線17は、X,Yがともに負の領域内に位置し、かつ、第2逃げ面14Bと第3逃げ面14Cとの交差稜線16の内周端16Aを内周端17Aとするとともに、この内周端17Aから径方向外側へ向かってドリル回転方向T後方側へ傾斜しつつ略直線状に延びて、刃先部10の外周面に交差する点を外周端17Bとしている。
第4逃げ面14Dは、X,Yがともに負の領域内とXが負,Yが正の領域内とに亘って配置されており、この第4逃げ面14Dのドリル回転方向T後方側には逆側第2逃げ面14Fが連なっている。
第4逃げ面14Dと逆側第2逃げ面14Fとの交差稜線18は、Xが負,Yが正の領域内に位置し、かつ、逆側第1逃げ面14Eが形成されている分だけ軸線Oから離間したY軸上の位置を内周端18Aとするとともに、この内周端18Aから径方向外方側へ向かってドリル回転方向T後方側へ傾斜しつつ略直線状に延びて、刃先部10の外周面に交差する点を外周端18Bとしている。
逆側第1逃げ面14Eは、その面上における最も軸線Oに近い点が軸線Oに一致するようにして、X,Yがともに負の領域内で、第2〜4逃げ面14B,14C,14Dに囲まれるようにして軸線O付近に配置されており、この逆側第1逃げ面14Eのドリル回転方向T後方側には、第4逃げ面14Dと同じく、逆側第2逃げ面14Fが連なっている。
逆側第1逃げ面14Eと逆側第2逃げ面14Fとの交差稜線19は、X軸上に沿って位置し、かつ、軸線Oを内周端19Aとするとともに、この内周端19Aから径方向外方側へ向かって略直線状に延びて、第4逃げ面14Dと逆側第2逃げ面14Fとの交差稜線18と交差する点(=交差稜線18の内周端18A)を外周端19Bとしている。
また、この逆側第1逃げ面14Eは、X,Yがともに負の領域内において、第2〜4逃げ面14B,14C,14Dに囲まれて配置されているため、Xが負,Yが正の領域内に位置する逆側第2逃げ面14Fとの交差稜線19を有するだけでなく、第2逃げ面14Bとの交差稜線20、第4逃げ面との交差稜線21をも有している。
逆側第1逃げ面14Eと第2逃げ面14Bとの交差稜線20は、X,Yがともに負の領域内に位置し、かつ、軸線Oを内周端20Aとするとともに、この内周端20Aから径方向外方側へ向かって略直線状に延びて、第2逃げ面14Bと第3逃げ面14Cとの交差稜線16及び第3逃げ面14Cと第4逃げ面14Dとの交差稜線17と交差する点(=交差稜線16の内周端16A=交差稜線17の内周端17A)を外周端20Bとしている。
逆側第1逃げ面14Eと第4逃げ面14Dとの交差稜線21は、X,Yがともに負の領域内に位置し、かつ、逆側第1逃げ面14Eと第2逃げ面14Bとの交差稜線20の外周端20B(=交差稜線16の内周端16A=交差稜線17の内周端17A)と、逆側第1逃げ面14Eと逆側第2逃げ面14Fとの交差稜線19の外周端19B(第4逃げ面14Dと逆側第2逃げ面14Fとの交差稜線18の内周端18A)とを結んだY軸と平行な略直線とされている。
これにより、逆側第1逃げ面14Eは、互いに直交する第4逃げ面14Dとの交差稜線21及び逆側第2逃げ面14Fとの交差稜線19と、これら交差稜線21,19に傾斜して交差する第2逃げ面14Bとの交差稜線20とを3つの辺とした略直角三角形状をなすことになる。
なお、この逆側第1逃げ面14Eについて、第2逃げ面14Bとの交差稜線20の外周端20B(=交差稜線16の内周端16A=交差稜線17の内周端17A)と、逆側第2逃げ面14Fとの交差稜線19の外周端19B(=交差稜線18の内周端18A)とを比較したときには、交差稜線20の外周端20Bの方が、軸線Oから離間した位置にあり、この外周端20Bが、逆側第1逃げ面14E上における軸線Oから最も離間した点となっている。
そして、軸線Oと交差稜線20の外周端20Bとの距離xが、刃先部10の最大外径Dに対して、(1/3)D以下となるように設定されている。
逆側第2逃げ面14Fは、その面上における最も軸線Oに近い点が軸線Oに一致するようにして、Xが負,Yが正の領域内とX,Yがともに正の領域内とに亘って配置されており、この逆側第2逃げ面14Fのドリル回転方向T後方側には切屑排出溝11のドリル回転方向Tの前方側部分が開口させられている。
逆側第2逃げ面14Fのドリル回転方向T後方側の稜線、つまり、逆側第2逃げ面14Fと切屑排出溝11におけるドリル回転方向T後方側を向く壁面との交差稜線22は、刃先部10の外周面と交差する点を外周端22Bとしているとともに、この外周端22Bから径方向内方側へ向かってドリル回転方向T前方側に凸となるように湾曲しつつ延びて、軸線O付近で切刃13と交差する点(=切刃13の内周端13A)を内周端22Aとしている。
逆側第2逃げ面14Fは、X,Yがともに正の領域内に至るようにも配置されているため、第1逃げ面14Aとの交差稜線23を有しており、この交差稜線23は、X,Yがともに正の領域内に位置し、かつ、軸線Oを内周端23Aとするとともに、この内周端23Aから径方向外方側へ向かって略直線状に延びて、切屑排出溝11に交差する点(=交差稜線22の内周端22A=切刃13の内周端13A)を外周端23Bとしている。
また、この逆側第2逃げ面14Fと第1逃げ面14Aとの交差稜線23と、逆側第1逃げ面14Eと第2逃げ面14Bとの交差稜線20とは、軸線Oに関して互いに略反対側に向かって延びるように配置されている、つまり、これら交差稜線23と交差稜線20とが略同一直線上に配置されるようになっている。
先端逃げ面12は、先端面視については、図2に示すように、第1〜4逃げ面14A,14B,14C,14D及び逆側第1,2逃げ面14E,14Fからなる6つの平坦な逃げ面が上述したように配置されることによって多段面状に構成されているのであり、また、側面視については、図1及び図3に示すように、これら6つの平坦な逃げ面に対して、それぞれ軸線Oに近づくにしたがい軸線O方向の先端側に向かうような傾斜が付けられているとともに、これら平坦な逃げ面同士が交差してできる交差稜線にも、それぞれ軸線Oに近づくにしたがい(径方向内方側へ向かうにしたがい)軸線O方向の先端側へ向かうような傾斜が付けられている。
これにより、面上における最も軸線Oに近い点を軸線O上に位置させている4つの逃げ面、すなわち、第1,2逃げ面14A,14B及び逆側第1,2逃げ面14E,14F同士が交差してできる1点(4つの交差稜線15,19,20,23同士が交差してできる1点=内周端15A,19A,20A,23A)が、先端逃げ面12において軸線O方向の最も先端側に突出した最先端とされるとともに、この最先端が軸線O上に位置させられている(先端逃げ面12における最先端と軸線Oとの距離がゼロに設定されている)。
また、これら4つの逃げ面(第1,2逃げ面14A,14B及び逆側第1,2逃げ面14E,14F)同士の交差稜線15,19,20,23のうち、軸線Oを挟んで互いに略反対側に位置する一対の交差稜線20,23に与えられた傾斜(軸線Oに近づくにしたがい軸線O方向の先端側に向かうような傾斜)は、互いに略同一に設定されているとともに、他の交差稜線15,19に与えられた傾斜よりも小さく設定されている。
このため、これら軸線O上に内周端15A,19A,20A,23Aを位置させている4つの交差稜線15,19,20,23のうち、一対の交差稜線20,23が、軸線O方向の最も先端側に位置して、所定の先端角が与えられたチゼルエッジをなすことになる。
また、刃先部10の側面視について、図1及び図3に示すように、切刃13の外周端13Bと先端逃げ面12における最先端(=内周端15A,19A,20A,23A)との軸線O方向での距離aと、(第1逃げ面14Aと第2逃げ面14Bとの)交差稜線15の外周端15Bと先端逃げ面12における最先端との軸線O方向での距離bとを比較すると、a<bとなるように設定されており、切刃13のドリル回転方向T後方側に連なる第1逃げ面14Aと第2逃げ面14Bとには、切刃13からドリル回転方向T後方側に向かうにしたがい順次大きくなるような逃げ角が与えられている。
なお、本第1実施形態においては、例えば、第1逃げ面14Aの逃げ角が15゜に設定されるとともに、第2逃げ面14Bの逃げ角が40゜に設定されている。
さらに、刃先部10の側面視について、図1及び図3に示すように、(第2逃げ面14Bと第3逃げ面14Cとの)交差稜線16の外周端16Bと先端逃げ面12における最先端との軸線O方向での距離cと、(第3逃げ面14Cと第4逃げ面14Dとの)交差稜線17の外周端17Bと先端逃げ面12における最先端との軸線O方向での距離dと、(第4逃げ面14Dと逆側第2逃げ面14Fとの)交差稜線18の外周端18Bと先端逃げ面12の最先端との軸線O方向での距離eと、(逆側第2逃げ面14Fと切屑排出溝11におけるドリル回転方向T後方側を向く壁面との)交差稜線22の外周端22Bと先端逃げ面12の最先端との軸線O方向での距離fとを比較すると、これら距離c,d,e,fのうち、距離dが最も小さくなるように設定され、また、距離a,bを含めて比較すると、a<b<d<c,e<fとなるように設定されており、第2〜4逃げ面14B,14C,14D及び逆側第2逃げ面14Fには、距離c,d,e,fに対応するような逃げが与えられている。
ここで、上記の交差稜線16,17,18,22は、軸線O方向の先端側から見たときにXが負の領域内(Y軸を挟んで切刃13と反対側の領域内)に位置しているため、これら交差稜線16,17,18,22のうちで、先端逃げ面12の最先端との軸線O方向での距離が最も小さい外周端17Bを有する交差稜線17が、軸線O方向の先端側から見たときのXが負の領域内において、軸線O方向の最も先端側に位置していることになる。
また、刃先部10において、切屑排出溝11を除く外周面は、切屑排出溝11におけるドリル回転方向T前方側を向く壁面と交差する軸線Oを中心とした断面略円弧状をなすマージン部24と、このマージン部24のドリル回転方向T後方側に連なって、切屑排出溝11のドリル回転方向T後方側を向く壁面の外周側稜線部と交差するとともにマージン部24がなす円弧よりも一段小さい外径を有する軸線Oを中心とした断面略円弧状をなす二番取り面25とから構成されている。
これらマージン部24と二番取り面25とは、切屑排出溝11と同様に、刃先部10の先端から後端側に向かうにしたがいドリル回転方向T後方側に向けて軸線Oを中心として螺旋状にねじれるように形成されており、刃先部10の有効刃長L全域に亘って形成されている。
なお、軸線O方向の先端側から見たときに、二番取り面25が先端逃げ面12に交差している部分が、Xが負,Yが正の領域内に位置しているため、上記の交差稜線18,22は、二番取り面25と交差する点を外周端18B,22Bとする一方、上記の切刃13及び交差稜線15,16,17は、マージン部24と交差する点を外周端13B,15B,16B,17Bとしていることになる。
以上のような構成とされた小型ドリルは、そのドリル本体が軸線O回りに回転されつつ、軸線O方向の先端側に向かって送りが与えられることにより、刃先部10に形成された1枚の切刃13で被削材を切削するとともに、この切刃13にて生成される切屑を切屑排出溝11に沿って刃先部10の後端側に排出して、小径深穴の孔部を穴明け加工していく。
ここで、上記の交差稜線15,16,17,18,22と先端逃げ面12の最先端との軸線O方向での距離b,c,d,e,fのそれぞれと、上記の切刃13の外周端13Bと先端逃げ面12の最先端との軸線O方向での距離aとの差b−a,c−a,d−a,e−a,f−aについては、ドリル本体が軸線O回りに1回転するごとに、このドリル本体が軸線O方向の先端側に向かって移動させられる送り量F[μm/rev.]よりも大きくなるようにそれぞれ設定されている。
この穴明け加工の際には、まず、軸線O上に位置する先端逃げ面12の最先端(内周端15A,19A,20A,23A)が最初に被削材に接触して食い付き、その後、被削材との接触箇所が、軸線Oから一対の交差稜線20,23(チゼルエッジ)に沿って径方向外方側へ延びて、最終的に、交差稜線23の外周端23Bに交差している切刃13の内周端13Aから外周端13Bに至るようにして、切刃13の略全長が被削材に接触することにより、この切刃13で被削材が切削されて穴明け加工が進行していくのである。
また、このとき、軸線O方向の先端側から見たときのY軸を挟んで切刃13と反対側の領域(Xが負の領域)について、刃先部10の先端逃げ面12が、第2〜4逃げ面14B,14C,14D及び逆側第2逃げ面14Fとが周方向に沿って配列されてなる多段面状とされているとともに、これらの逃げ面同士の交差稜線16,17,18のうちの1つである交差稜線17が、軸線O方向の最も先端側に位置させられていることから、この交差稜線17の少なくとも径方向内方側の一部分(例えば、約半分程度の長さ)が、切刃13と同様に被削材に接触するようになっている(これに加えて、第2逃げ面14Bと第3逃げ面14Cとの交差稜線16の少なくとも径方向内方側部分を被削材と接触させるようにしてもよい)。
このように、穴明け加工の際に、交差稜線17を被削材に接触させるため、本第1実施形態においては、この交差稜線17の外周端17Bと先端逃げ面12の最先端との軸線O方向での距離dと、切刃13の外周端13Bと先端逃げ面12の最先端との軸線O方向での距離aとの差d−aが、例えば、2〜500[μm]の範囲に設定され、また、ドリル本体に与えられる送り量Fが、例えば、1〜100[μm/rev.]に設定されている。
上記のような本第1実施形態の小型ドリルでは、その刃先部10に設けられた切屑排出溝11が1条のみであるために、刃先部10の芯厚を十分に大きく確保できることとなり、2条の切屑排出溝が設けられた小型ドリルと比較して、ドリル本体の剛性を圧倒的に高く保つことが可能となり、剛性不足に起因する刃先部10の折損や穴曲がりを抑制することができる。
さらに、この小型ドリルを用いて被削材に穴明け加工を施すときには、先端逃げ面12の最先端をなす軸線O上に位置する1点(内周端15A,19A,20A,23A)から、被削材に対して食い付いていくことになるので、従来のような軸線に直交する方向に延びるチゼルエッジから線接触で食い付く、あるいは、チゼルエッジの一端から食い付いていくようなことがなくなって、ドリル本体の振れ回りを抑制することができる。
それゆえ、本第1実施形態の小型ドリルでは、剛性を大きく確保できるのに加えて、ドリル本体の振れを生じさせることなく高い直進性を得ることができるので、穿孔する加工穴の穴径が1mm以下、かつ、穴深さと穴径との比が5以上となるような小径深穴加工に用いられる場合のように、刃先部10の最大外径Dが1mm以下、かつ、刃先部10の有効刃長Lと刃先部の最大外径Dとの比L/Dとの比が5以上に設定されていたとしても、高い穴位置精度を得ることができるのである。
なお、本第1実施形態においては、先端逃げ面12における最先端をなす1点を、軸線O上に位置させる(先端逃げ面12における最先端をなす1点と軸線Oとの距離がゼロとなる)ようにしたが、これに限定されることなく、先端逃げ面12における最先端をなす1点と軸線Oとの距離が、(5/100)D以下の範囲に設定されていれば、この最先端をなす1点が軸線Oからずれていたとしても、上述したような効果を何の遜色もなく奏することができる。
また、刃先部10を軸線O方向の先端側から見たときには、X,Yがともに負の領域内に位置する先端逃げ面12部分が、周方向に沿って配列された第2〜4逃げ面14B,14C,14Dと、これら第2〜4逃げ面14B,14C,14Dに囲まれた逆側第1逃げ面14Eとからなる多段面状とされており、さらに、逆側第1逃げ面14E上における最も軸線Oに近い点が軸線Oに一致しているとともに、この逆側第1逃げ面14Eの径方向外方側に第3,4逃げ面14C,14Dが配置された構成となっている。
このように、第3,4逃げ面14C,14Dの径方向内方側に、軸線Oを含む逆側第1逃げ面14Eを残すような構成としたことによって、これら第3,4逃げ面14C,14Dを形成するときの加工誤差が生じた場合であっても、この加工誤差を逆側第1逃げ面14Eが形成されている分だけ吸収することができる。
つまり、これら第3,4逃げ面14C,14Dが軸線Oを越えるように形成されてしまうおそれを低減させ、これにともない、先端逃げ面12における最先端をなす1点が、軸線Oからずれてしまうような事態を低減させることができるのである。
この逆側第1逃げ面14Eは、限りなく小さく形成されていてもよい、極端には形成されていなくてもよい(逆側第1逃げ面14E上における軸線Oから最も離間した点と軸線Oとの距離xがゼロになってもよい)が、上記のような加工誤差について考えると、刃先部10を軸線O方向の先端側から見たとき、逆側第1逃げ面14E上における軸線Oから最も離間した点と軸線Oとの距離xが、刃先部10の最大外径Dに対して、(1/3)D以下となる範囲の大きさで、この逆側第1逃げ面14Eが形成されていることが好ましい。
ここで、逆側第1逃げ面14E上における軸線Oから最も離間した点と軸線Oとの距離xが、(1/3)Dより大きくなってしまうと、X,Yがともに負となる領域に対して十分な逃げを与えることができないおそれがあり、被削材との干渉がひどくなりすぎて、穴明け加工に支障をきたしてしまうおそれがある。
次に、本発明の第2実施形態を説明するが、上述した第1実施形態と同様の部分には同一の符合を用いてその説明を省略する。
図4は本発明の第2実施形態による小型ドリルの刃先部の要部拡大側面図、図5は図4におけるIII方向矢視図、図6は図5におけるIV方向矢視図、図7は図5におけるV方向矢視図である。
本第2実施形態による小型ドリルの刃先部10の外周には、図4〜図7に示すように、切屑排出溝11のドリル回転方向T前方側に連なり、刃先部10の先端から後端側に向けて延びるようにして刃先部10の先端逃げ面12及び外周面に開口する1条の副溝部30が軸線Oを含まないように形成されており、この副溝部30は、切屑排出溝11と同様に、刃先部10の先端から後端側に向かうにしたがいドリル回転方向T後方側に向けて軸線Oを中心として螺旋状にねじれている。
副溝部30は、軸線O方向の先端側から見て図5に示すように、Xが負,Yが正の領域内に位置して切屑排出溝11と連通する部分から、ドリル回転方向T前方側へ向かって、先端逃げ面12における軸線Oの周囲を略半円形に残しつつ延びており、この副溝部30におけるドリル回転方向T後方側を向く(ドリル回転方向T前方側に凸となるように湾曲する)壁面30Aが、Xが正,Yが負の領域内において先端逃げ面12と交差させられている。
このため、複数の平坦な逃げ面から構成された多段面状をなす先端逃げ面12は、図5に示すように、切刃13からドリル回転方向T後方側に向かって、平坦面である第1,2逃げ面14A,14Bが周方向に沿って順次配列されて配置され、かつ、軸線O付近において、第2逃げ面14Bのドリル回転方向T後方側に、平坦面である逆側第1逃げ面14Eが配置されるとともに、この逆側第1逃げ面14Eのドリル回転方向T後方側に、平坦面である逆側第2逃げ面14Fが配置されることによって構成されていて、合計4つの平坦面からなる多段面状をなしている。
また、Xが正,Yが負の領域内とX,Yがともに負の領域内とに亘って配置された第2逃げ面14Bにおいて、Xが正,Yが負の領域内に位置する部分のドリル回転方向T後方側には、副溝部30のドリル回転方向Tの前方側部分が開口させられ、X,Yがともに負の領域内に位置する部分のドリル回転方向T後方側には、逆側第1逃げ面14Eが連なっている。
第2逃げ面14BにおけるXが正,Yが負の領域内に位置する部分のドリル回転方向T後方側の稜線、つまり、第2逃げ面14Bと副溝部30におけるドリル回転方向T後方側を向く壁面30Aとの交差稜線31は、刃先部10の外周面と交差する点を外周端31Bとしているとともに、この外周端31Bから径方向内方側へ向かってドリル回転方向T前方側に凸となるように湾曲しつつ延びて、後述する交差稜線32に接続されている。
そして、第2逃げ面14BにおけるX,Yがともに負の領域内に位置する部分の外周側稜線(第2逃げ面14BにおけるX,Yがともに負の領域内に位置する部分と副溝部30の壁面との交差稜線32)と、逆側第1逃げ面14Eの外周側稜線(逆側第1逃げ面14Eと副溝部30の壁面との交差稜線33)と、逆側第2逃げ面14FにおけるXが負,Yが正の領域内に位置する部分の外周側稜線(逆側第2逃げ面14FにおけるXが負,Yが正の領域内に位置する部分と副溝部30の壁面との交差稜線34)とによって、軸線Oを中心とした略半円弧が構成されている。
すなわち、Xが負の領域内に位置する先端逃げ面12(第2逃げ面14BにおけるXが負の領域に位置する部分、逆側第1逃げ面14E、逆側第2逃げ面14FにおけるXが負の領域に位置する部分)は、刃先部10に副溝部30が形成されていることにより、軸線O方向の先端側から見たときに、軸線Oを中心とした略半円形をなしているのである。
なお、軸線O方向の先端側から見たときに、刃先部10における切屑排出溝11及び副溝部30を除く外周面を構成するマージン部24及び二番取り面25のうち、二番取り面25が先端逃げ面12に交差している部分が、Xが正,Yが負の領域内に位置しているため、上記の交差稜線31は、二番取り面25と交差する点を外周端31Bとしていることになる。
また、副溝部30は、切屑排出溝11と同様に、刃先部10の先端から後端側へ向かうにしたがいドリル回転方向T後方側にねじれつつ延びているのであるが、第1刃先部10Aを越えて第2刃先部10Bに至る部位付近で、そのねじれ角を急激に大きくすることにより、副溝部30のドリル回転方向T後方側に連なる切屑排出溝11におけるドリル回転方向T後方側を向く壁面に切れ上がっている。
上記のような本第2実施形態の小型ドリルでは、上述した第1実施形態と同様の構成を採用した部分には同一の効果を得ることができるのに加えて、先端逃げ面12の再研磨工程を容易化することが可能となっている。
つまり、穴明け加工の継続で切刃13及び先端逃げ面12が摩耗したときに、先端逃げ面12を砥石で再研磨することによって小型ドリルの再利用を図ろうとする場合、研磨の対象である先端逃げ面12が副溝部30の形成されている分だけ小さくなっているので、この先端逃げ面12を構成する複数の逃げ面の数が少なくなり(合計6つの平坦な逃げ面から構成された多段面状の先端逃げ面12を有する第1実施形態の小型ドリルに対して、第2実施形態の小型ドリルの先端逃げ面12は合計4つの平坦な逃げ面からなる多段面状となっている)、研磨すべき逃げ面の数が減少して、再研磨に要する手間や時間を減らすことができるのである。
そして、このように、先端逃げ面12を再研磨した後であっても、副溝部30が、切屑排出溝11と同様に、刃先部10の先端から後端側に向けて延びる溝状をなしているために、切刃13及び先端逃げ面12の形状を同一に維持することができ、穴明け性能を変化させてしまうことがない。
しかも、副溝部30は、第1刃先部10Aを越えて第2刃先部10Bに至る部分で切屑排出溝11に切れ上がっており、刃先部10の有効刃長L全域に亘って形成されているわけではないので、ドリル本体の剛性を必要以上に低めることがなく、かつ、この副溝部30と切屑排出溝11とが互いの空間を連通させているため、切屑詰まりの生じやすい刃先部10の先端側部分でも切屑排出性を良好に保つことが可能となっている。
また、上記の各実施形態においては、刃先部10をアンダーカットタイプのもので説明しているが、これに限定されることなく、刃先部10の外径Dがその先端から後端まで一定とされたストレートタイプであってもよいし、刃先部10の外径が先端から後端側に向かうにしたがい徐々に小さくなるようなバックテーパを有していてもよい(この場合、刃先部10の先端部分の外径が最大外径Dとなる)。
さらに、上記の各実施形態においては、刃先部の最大外径Dが1mm以下、かつ、有効刃長Lと最大外径Dとの比L/Dが5以上となるような小型ドリルについて説明したが、この範囲に限定されることなく、これより大きい最大外径Dをもつドリルや、L/Dが5より小さいドリルにおいても本発明を適用することで上述したような効果を奏することができる。
本発明の一例による小型ドリル(上述の第1実施形態に基づいた小型ドリル)を実施例とし、軸線に直交する方向に延びる略直線状のチゼルエッジが先端逃げ面の最先端に形成された1枚刃である従来の小型ドリルを従来例として、被削材の穴明け加工試験を行った。
これら実施例,従来例に共通して、刃先部の最大外径Dが0.11mmの小型ドリルを用い、被削材とされる基板(厚み0.2mmのBTレジンの両面板を4枚重ねたもの)にあて板(厚み0.2mmのLE400)と敷板をつけて、穴明け加工を行った。小型ドリルの回転数は155000[min−1]、送り量Fは9.01[μm/rev.]としてステップ送りはせずに被削材の穴明け加工を行い、小型ドリルが基板を抜けた位置についてのねらい位置とのズレ量を、500穴毎に区分けして3000穴まで計測してプロットした。
実施例による穴明け加工試験の結果を図8に示し、従来例による穴明け加工試験の結果を図9に示す。
図8に示す実施例では、3000穴まで安定して良好な穴位置精度を得ることができるという結果が得られているのに対し、図9に示す従来例では、軸線に直交する方向に延びる略直線状のチゼルエッジの存在によって、食い付き時のドリル本体の振れが生じてしまい、良好な穴位置精度を得ることができないという結果が得られた。
本発明の第1実施形態による小型ドリルの刃先部の要部拡大側面図である。 図1におけるI方向矢視図である。 図2におけるII方向矢視図である。 本発明の第2実施形態による小型ドリルの刃先部の要部拡大側面図である。 図4におけるIII方向矢視図である。 図5におけるIV方向矢視図である。 図5におけるV方向矢視図である。 本発明の一例である小型ドリルを用いて行った被削材の穴明け加工試験の結果を示すグラフである。 従来の小型ドリルを用いて行った被削材の穴明け加工試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
10 刃先部
11 切屑排出溝
12 先端逃げ面
13 切刃
14A 第1逃げ面
14B 第2逃げ面
14C 第3逃げ面
14D 第4逃げ面
14E 逆側第1逃げ面
14F 逆側第2逃げ面
17 第3逃げ面と第4逃げ面との交差稜線
30 副溝部
O 軸線
T ドリル回転方向
x 逆側第1逃げ面上における軸線から最も離間した点と軸線との距離

Claims (4)

  1. 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端から後端側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面と前記刃先部の先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されてなるドリルにおいて、
    前記切屑排出溝が1条のみであり、
    前記先端逃げ面における前記軸線方向の最も先端側に突出した最先端が1点で構成されているとともに、この最先端と前記軸線との距離が、前記刃先部の最大外径Dに対して、(5/100)D以下とされていることを特徴とするドリル。
  2. 請求項1に記載のドリルにおいて、
    前記刃先部を前記軸線方向の先端側から見たとき、前記先端逃げ面が、周方向に沿って配列された複数の逃げ面と、これら周方向に沿って配列された複数の逃げ面に囲まれるとともに前記最先端に交差するように形成された逆側第1逃げ面とからなる多段面状とされていることを特徴とするドリル。
  3. 請求項2に記載のドリルにおいて、
    前記刃先部を前記軸線方向の先端側から見たとき、前記逆側第1逃げ面上における前記軸線から最も離間した点と前記軸線との距離が、前記刃先部の最大外径Dに対して、(1/3)D以下とされていることを特徴とするドリル。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のドリルにおいて、
    前記刃先部の最大外径Dが1mm以下、かつ、前記刃先部の有効刃長Lと前記刃先部の最大外径Dとの比L/Dが5以上とされていることを特徴とするドリル。
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