JP2007091601A - フルオロスルホニル基を有する新規なシラン化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】フルオロスルホニル基を有する新規なシラン化合物、該シラン化合物の製造方法、該シラン化合物を加水分解して縮合反応させる縮合物の製造方法を提供する。
【解決手段】下式(1)で表される化合物、下式(3)で表される化合物と下式(2)で表される化合物をハイドロシリレーション反応させる下式(1)で表される化合物の製造方法、および下式(1)で表される化合物を加水分解により縮合反応させる下式(1)で表される化合物に基づく単位を含む縮合物の製造方法(ただし、Xは塩素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を、mは1〜3の整数を、nは0〜6の整数を、示す。)。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)、
CH2=CH(CH2)nSO2F (3)、
HSi(X)m(R)3−m (2)。
【選択図】なし
【解決手段】下式(1)で表される化合物、下式(3)で表される化合物と下式(2)で表される化合物をハイドロシリレーション反応させる下式(1)で表される化合物の製造方法、および下式(1)で表される化合物を加水分解により縮合反応させる下式(1)で表される化合物に基づく単位を含む縮合物の製造方法(ただし、Xは塩素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を、mは1〜3の整数を、nは0〜6の整数を、示す。)。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)、
CH2=CH(CH2)nSO2F (3)、
HSi(X)m(R)3−m (2)。
【選択図】なし
Description
本発明は、フルオロスルホニル基を有する新規なシラン化合物、該シラン化合物の製造方法、および該シラン化合物を加水分解により縮合反応させる縮合物の製造方法に関する。
スルホン酸基に化学変換できる基(スルホン酸類縁基ともいう。)と加水分解性シリル基とを有するシラン化合物を加水分解縮合反応させた縮合物から得られるスルホン酸基を有するポリマーは、固体酸触媒、イオン交換樹脂、電解質等として有用である。
該シラン化合物としては、フルオロスルホニル基が結合したポリフルオロ(アルコキシアルキル)基とトリアルコキシ基とを有するシラン化合物(たとえば、Si(OCH3)3(CH2CH2CF2CF2OCF2CF2SO2F)。)(特許文献1参照。)、およびクロロスルホニル基が結合したアルキル基とトリアルコキシ基とを有するシラン化合物(たとえば、Si(OCH2CH3)3(CH2CH2CH2SO2Cl)。)(非特許文献1参照。)が知られている。
該シラン化合物としては、フルオロスルホニル基が結合したポリフルオロ(アルコキシアルキル)基とトリアルコキシ基とを有するシラン化合物(たとえば、Si(OCH3)3(CH2CH2CF2CF2OCF2CF2SO2F)。)(特許文献1参照。)、およびクロロスルホニル基が結合したアルキル基とトリアルコキシ基とを有するシラン化合物(たとえば、Si(OCH2CH3)3(CH2CH2CH2SO2Cl)。)(非特許文献1参照。)が知られている。
特許文献1に記載のシラン化合物はアルコールに対する親和性が高いポリフルオロアルキレン構造を含むため、該シラン化合物の縮合物はアルコールを透過しやすい。そのためアルコールの透過が好ましくない用途(たとえば、直接メタノール型燃料電池に用いられる電解質。)に該シラン化合物の縮合物を用いた場合には、充分な物性を得られない問題がある。
非特許文献1に記載のシラン化合物におけるスルホン酸類縁基は化学的に不安定なクロロスルホニル基であり、該シラン化合物は貯蔵安定性と加水分解縮合反応におけるハンドリング性が低い問題がある。
一方、フルオロスルホニル基が結合したアルキル基と加水分解性シリル基とを有するシラン化合物は知られておらず、その物性に関しては全く未知であった。
非特許文献1に記載のシラン化合物におけるスルホン酸類縁基は化学的に不安定なクロロスルホニル基であり、該シラン化合物は貯蔵安定性と加水分解縮合反応におけるハンドリング性が低い問題がある。
一方、フルオロスルホニル基が結合したアルキル基と加水分解性シリル基とを有するシラン化合物は知られておらず、その物性に関しては全く未知であった。
本発明者らは、鋭意検討の結果、フルオロスルホニル基が結合したアルキル基と加水分解性シリル基とを有するシラン化合物、その製造方法、およびその縮合物を見出した。
すなわち、本発明は下記の発明を提供する。
<1>:下式(1)で表される化合物(ただし、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基または塩素原子を、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を、mは1〜3の整数を、nは0〜6の整数を、示す。以下同様。)。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)。
<2>:下式(11)で表される化合物(ただし、X1は炭素数1〜4のアルコキシ基を、n1は0〜6の整数を、示す。以下同様。)。
Si(X1)3(CH2CH2(CH2)n1SO2F) (11)。
すなわち、本発明は下記の発明を提供する。
<1>:下式(1)で表される化合物(ただし、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基または塩素原子を、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を、mは1〜3の整数を、nは0〜6の整数を、示す。以下同様。)。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)。
<2>:下式(11)で表される化合物(ただし、X1は炭素数1〜4のアルコキシ基を、n1は0〜6の整数を、示す。以下同様。)。
Si(X1)3(CH2CH2(CH2)n1SO2F) (11)。
<3>:下式(3)で表される化合物と下式(2)で表される化合物をハイドロシリレーション反応させる式(1)で表される化合物の製造方法。
CH2=CH(CH2)nSO2F (3)、
HSi(X)m(R)3−m (2)。
<4>:式(1)で表される化合物を加水分解縮合反応させる、式(1)で表される化合物に基づく単位を含む縮合物の製造方法。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)。
<5>:式(1)で表される化合物が加水分解縮合した単位を含む縮合物。
CH2=CH(CH2)nSO2F (3)、
HSi(X)m(R)3−m (2)。
<4>:式(1)で表される化合物を加水分解縮合反応させる、式(1)で表される化合物に基づく単位を含む縮合物の製造方法。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)。
<5>:式(1)で表される化合物が加水分解縮合した単位を含む縮合物。
本発明の化合物におけるスルホン酸類縁基はフルオロスルホニル基であるため、本発明の化合物は貯蔵安定性と縮合反応におけるハンドリング性に優れる。また本発明の化合物はスルホン酸類縁基が結合するアルキレン構造にフッ素原子が含まれない。そのため本発明の化合物の縮合物はアルコールとの親和性が低い特性を有する。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本発明は下記化合物(1)を提供する。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)
Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基であるのが好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であるのが好ましい。
Rは、炭素数1〜4のアルキル基であるのが好ましく、メチル基またはエチル基であるのが特に好ましい。
mは、化合物(1)の加水分解において高度な架橋構造を形成できることから、2または3であるのが好ましく、3であるのが特に好ましい。
nは、1〜6の整数であるのが好ましい。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)
Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基であるのが好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であるのが好ましい。
Rは、炭素数1〜4のアルキル基であるのが好ましく、メチル基またはエチル基であるのが特に好ましい。
mは、化合物(1)の加水分解において高度な架橋構造を形成できることから、2または3であるのが好ましく、3であるのが特に好ましい。
nは、1〜6の整数であるのが好ましい。
本発明の化合物(1)は、下記化合物(11)、下記化合物(12)または下記化合物(13)であるのが好ましく、下記化合物(11)であるのが特に好ましい(ただし、X1、X2およびX3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基を、R2およびR3は、それぞれ独立にメチル基またはエチル基を、n1、n2およびn3は、それぞれ独立に1〜6の整数を、示す。以下同様。)。
Si(X1)3(CH2CH2(CH2)n1SO2F) (11)、
Si(X2)2(R2)(CH2CH2(CH2)n2SO2F) (12)、
Si(X3)(R3)2(CH2CH2(CH2)n3SO2F) (13)。
Si(X1)3(CH2CH2(CH2)n1SO2F) (11)、
Si(X2)2(R2)(CH2CH2(CH2)n2SO2F) (12)、
Si(X3)(R3)2(CH2CH2(CH2)n3SO2F) (13)。
化合物(1)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
Si(OCH3)3(CH2CH2(CH2)2SO2F)、
Si(OCH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)、
Si(OCH3)3(CH2CH2(CH2)6SO2F)、
Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)2SO2F)、
Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)、
Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)6SO2F)、
SiCl3(CH2CH2(CH2)2SO2F)、
SiCl3(CH2CH2(CH2)4SO2F)、
SiCl3(CH2CH2(CH2)6SO2F)。
Si(OCH3)3(CH2CH2(CH2)2SO2F)、
Si(OCH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)、
Si(OCH3)3(CH2CH2(CH2)6SO2F)、
Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)2SO2F)、
Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)、
Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)6SO2F)、
SiCl3(CH2CH2(CH2)2SO2F)、
SiCl3(CH2CH2(CH2)4SO2F)、
SiCl3(CH2CH2(CH2)6SO2F)。
化合物(1)は、下記化合物(3)と下記化合物(2)をハイドロシリレーション反応させて製造するのが好ましい。
CH2=CH(CH2)nSO2F (3)、
HSi(X)m(R)3−m (2)。
CH2=CH(CH2)nSO2F (3)、
HSi(X)m(R)3−m (2)。
ハイドロシリレーション反応においては、化合物(2)の1モルに対して化合物(3)の0.8〜3倍モルを反応させるのが好ましい。反応温度は、50〜150℃であるのが好ましい。反応圧力は、加圧、減圧、大気圧のいずれであってもよい。
ハイドロシリレーション反応は、触媒の存在下に行うのが好ましい。触媒は、白金系触媒(H2PtCl6、Pt−ジビニルテトラメチルシロキサン錯体等。)が好ましい。
ハイドロシリレーション反応は、触媒の存在下に行うのが好ましい。触媒は、白金系触媒(H2PtCl6、Pt−ジビニルテトラメチルシロキサン錯体等。)が好ましい。
ハイドロシリレーション反応は、非プロトン性溶媒の存在下に行うのが好ましい。非プロトン性溶媒としては、トルエン、キシレン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。
本発明においては、化学的に安定なフルオロスルホニル基を有する化合物(3)を用いてハイドロシリレーション反応を行うため、化合物(1)を高収率に製造できる。
nが1〜6の整数である化合物(3)は新規化合物である。該化合物(3)は、下記化合物(8)とCH3SO2ClをN(CH2CH3)3の存在下に反応させて下記化合物(7)を得て、つぎに該化合物(7)とLiBrをアセトンの存在下に反応させて下記化合物(6)を得て、つぎに該化合物(6)とNa2SO3を水の存在下に反応させて下記化合物(5)を得て、つぎに該化合物(5)とSOCl2を反応させて下記化合物(4)を得て、つぎに該化合物(4)とKFを反応させて製造するのが好ましい。
CH2=CH(CH2)nOH (8)、
CH2=CH(CH2)nOSO2CH3 (7)、
CH2=CH(CH2)nBr (6)、
CH2=CH(CH2)nSO3Na (5)、
CH2=CH(CH2)nSO2Cl (4)。
CH2=CH(CH2)nOH (8)、
CH2=CH(CH2)nOSO2CH3 (7)、
CH2=CH(CH2)nBr (6)、
CH2=CH(CH2)nSO3Na (5)、
CH2=CH(CH2)nSO2Cl (4)。
化合物(2)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
HSi(OCH3)3、
HSi(OCH2CH3)3、
HSiCl3。
HSi(OCH3)3、
HSi(OCH2CH3)3、
HSiCl3。
本発明の化合物(1)は、フルオロスルホニル基が結合したアルキル基と、加水分解性シリル基(トリクロロシリル基、またはトリアルコキシシリル基。)とを有する特徴ある構造の新規化合物である。
化合物(1)の加水分解性シリル基を加水分解して化合物(1)を縮合反応させることによる加水分解縮合反応により、化合物(1)に基づく単位(以下、単に単位(a)という。)を含む縮合物(以下、単に本発明の縮合物ともいう。)を製造するのが好ましい。
加水分解縮合反応においては、1種の化合物(1)を加水分解により単縮合反応させてもよく、1種以上の化合物(1)と、化合物(1)と共縮合しうる他の化合物とを加水分解により共縮合反応させてもよい。該他の化合物としては、加水分解性シリル基を有する化合物(1)以外の化合物、加水分解性シリル基と反応する反応性基(水酸基が好ましい。)を有する化合物等が挙げられる。加水分解性シリル基を有する化合物(1)以外の化合物の具体例としては、Si(OCH3)4、Si(OCH2CH3)4、Si(CH3)(CH3)3、Si(Ph)(OCH3)3、Si(NCO)4等が挙げられる。
また、化合物(1)の加水分解縮合反応においては、化合物(1)中の全ての式Xで表される基を加水分解縮合させてもよく、化合物(1)中の一部の式Xで表される基を加水分解縮合させてもよい。たとえば、mが1である化合物(1)中の全ての式Xで表される基を加水分解縮合させた場合の単位(a)は下記単位(a1)であり、mが2である化合物(1)中の全ての式Xで表される基を加水分解縮合させた場合の単位(a)は下記単位(a2)であり、mが3である化合物(1)中の全ての式Xで表される基を加水分解縮合させた場合の単位(a)は下記単位(a3)である。このようにmが2または3である化合物(1)の縮合物においては、ポリシロキサン結合からなる架橋構造が形成されうる。
化合物(1)の加水分解縮合反応は、加水分解性シリル基を有する公知のシラン化合物を加水分解させる公知の方法にしたがって実施するのが好ましい。たとえば、化合物(1)とアルコールを含む溶液に水と触媒を添加して化合物(1)の加水分解性シリル基を加水分解縮合反応させる方法が挙げられる。フルオロスルホニル基は化学的に安定であるため、本発明の加水分解縮合においては化合物(1)のフルオロスルホニル基は加水分解されることなく保持されやすい。そのため本発明の縮合物においては、フルオロスルホニル基の含有量を調整しやすい効果と、縮合物の物性を調整しやすい効果とがある。
本発明の縮合物におけるフルオロスルホニル基は、スルホン酸基またはスルホン酸基のアルカリ金属塩に化学変換するのが好ましい。化学変換の方法は、特に限定されず、たとえば本発明の縮合物をアルカリ金属水酸化物水溶液に浸漬させてから、適宜、硫酸水溶液に浸漬させる方法が挙げられる。
フルオロスルホニル基をスルホン酸基に化学変換した本発明の縮合物は、固体酸触媒、イオン交換樹脂、電解質等として有用である。本発明の縮合物は、スルホン酸基が結合する基にフッ素原子が含まれない。そのため、スルホン酸基が結合する基にフッ素原子を含む従来の縮合物に比較して、本発明の縮合物はアルコールの透過量が低い効果がある。したがって、本発明の縮合物は直接メタノール型燃料電池に用いられる電解質として特に有用である。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されない。ただし、1H−NMRに用いたD2Oに含まれるHのケミカルシフトは4.65ppmとした。
[例1]化合物(34)の製造例
以下の反応ルートを経由することにより、化合物(84)から化合物(34)を製造した。
以下の反応ルートを経由することにより、化合物(84)から化合物(34)を製造した。
丸底フラスコ(内容積2L)に、化合物(84)(100g)、CH2Cl2(500g)およびN(CH2CH3)3(112g)を仕込んだ。つぎに丸底フラスコの内温を10〜20℃に保持し、CH3SO2Cl(115g)を滴下しながら撹拌した。さらに丸底フラスコの内温を25℃に保持し、2時間撹拌した。つづいて、丸底フラスコにイオン交換水(500g)を添加して2層分離液を得た。2層分離液の下層を回収し、減圧留去して化合物(74)(174g)を得た。
フラスコ(内容積2L)に、化合物(74)(173g)およびアセトン(350g)を仕込んだ。つぎにフラスコの内温を20℃に保持し、LiBr(169g)を添加しながら撹拌した。さらにフラスコ内溶液を、1時間、加熱還流した。フラスコ内溶液を濾別し、濾液加熱して溶媒留去した。濾液を冷却すると、結晶が析出したので濾別して濾液を回収した。回収した結晶に水を添加して2層分離液を得た。前記濾液と2層分離液の上層の液を混合してから、減圧蒸留して化合物(64)(101g)を得た。
丸底フラスコ(内容積1L)に、イオン交換水(283g)およびNa2SO3(68.6g)を仕込み撹拌した。つぎに化合物(64)(88.5g)を添加して、フラスコ内溶液を6時間、加熱還流した。水を減圧留去してから、トルエンを加え減圧留去を続けた。つぎに12時間、真空乾燥(100℃)して、化合物(54)とNaBrを主成分とする白色固体(151g)を得た。
別の丸底フラスコ(内容積1L)に、CH2Cl2(356g)、前記白色固体(70g)およびジメチルホルムアミド(0.70g)を仕込んだ。丸底フラスコの内温を19〜22℃に保持し、SOCl2(144g)を滴下して撹拌した。さらにフラスコ内溶液を7.5時間、加熱還流した。つぎに丸底フラスコを氷水とCH2Cl2を加えて得た2層分離液の有機層を回収し濃縮して化合物(44)を含む液体(43g)を得た。
丸底フラスコ(内容積300mL)に、該液体(42g)およびCH3CN(100g)を仕込んだ。丸底フラスコにKF(27g)を添加し、撹拌しながら、8時間、加熱還流した。フラスコ内溶液を濾別して得た濾液を濃縮し、イオン交換水(100g)を添加して2層分離液を得た。2層分離液の下層の液を、回収し、さらに蒸留して化合物(34)(純度96.5%)を含む留分(24g)を得た。化合物(34)の赤外分光スペクトル(透過)を測定した結果、フルオロスルホニル基に起因するピークは1402cm−1に確認された。化合物(34)の1H−NMRおよび19F−NMRを以下に示す。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3)δ(ppm);5.8(m,1H)、5.1−5.0(m,2H)、3.4(m,2H)、2.1(m,2H)、2.0(m,2H)、1.6(m,2H).
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm);52.9(1F)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm);52.9(1F)。
[例2(実施例)]Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)の製造例
ポリテトラフルオロエチレン製内袋を備えた反応器(ステンレス鋼製、内容積50mL)に、化合物(34)(1.40g)、HSi(OCH2CH3)3(4.16g)、3質量%のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含むキシレン(26mg)およびトルエン(15g)を入れ、反応器の内温を100℃に保持して1時間反応を行った。反応器内容物を回収し、減圧留去してから、さらにカラムクロマトグラフィーで精製して、Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)(2.29g)を得た。1H−NMRおよび19F−NMRを以下に示す。
ポリテトラフルオロエチレン製内袋を備えた反応器(ステンレス鋼製、内容積50mL)に、化合物(34)(1.40g)、HSi(OCH2CH3)3(4.16g)、3質量%のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含むキシレン(26mg)およびトルエン(15g)を入れ、反応器の内温を100℃に保持して1時間反応を行った。反応器内容物を回収し、減圧留去してから、さらにカラムクロマトグラフィーで精製して、Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)(2.29g)を得た。1H−NMRおよび19F−NMRを以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):0.63(2H),1.23(9H),1.36−1.54(6H),1.90−2.00(2H),3.32−3.39(2H),3.81(6H)。
19F−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):52.8(1F)。
19F−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):52.8(1F)。
[例3(実施例)]Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)の加水分解縮合反応例
プラスチック製ビーカー(内容積50mL)に、Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)(4.13g)、Si(OCH2CH3)4(7.80g)、イオン交換水(3.6g)、エタノール(4.6g)、10mol/Lの塩酸水溶液(0.01g)およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(1.82g)を入れ、25℃にて120時間保持した。つぎにビーカー内容物をシャーレに移し、シャーレを密閉して30℃から70℃へ48時間かけて加温処理して透明の固形バルク体を得た。固形バルク体の赤外分光スペクトル(透過)を測定した結果、フルオロスルホニル基に起因する1397cm−1のピークが確認された。また固形バルク体の赤外分光スペクトル(透過)の測定においては、806、946、1064(νSi−O)、1193、1466、2925(νC−H)、および3304(νO−H)cm−1にピークが確認された。
プラスチック製ビーカー(内容積50mL)に、Si(OCH2CH3)3(CH2CH2(CH2)4SO2F)(4.13g)、Si(OCH2CH3)4(7.80g)、イオン交換水(3.6g)、エタノール(4.6g)、10mol/Lの塩酸水溶液(0.01g)およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(1.82g)を入れ、25℃にて120時間保持した。つぎにビーカー内容物をシャーレに移し、シャーレを密閉して30℃から70℃へ48時間かけて加温処理して透明の固形バルク体を得た。固形バルク体の赤外分光スペクトル(透過)を測定した結果、フルオロスルホニル基に起因する1397cm−1のピークが確認された。また固形バルク体の赤外分光スペクトル(透過)の測定においては、806、946、1064(νSi−O)、1193、1466、2925(νC−H)、および3304(νO−H)cm−1にピークが確認された。
本発明によれば、貯蔵安定性と加水分解縮合反応におけるハンドリング性に優れる、加水分解性シリル基とフルオロスルホニル基を有する新規なシリル化合物が提供される。本発明のシリル化合物を加水分解縮合反応させて得た縮合物は、化学変換することにより容易にスルホン酸基を有する縮合物に変換できる。該縮合物は、固体酸触媒、イオン交換樹脂、電解質等として有用であり、直接メタノール型燃料電池に用いられる電解質として特に有用である。
Claims (5)
- 下式(1)で表される化合物。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)。
ただし、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基または塩素原子を、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を、mは1〜3の整数を、nは0〜6の整数を、示す。 - 下式(11)で表される化合物。
Si(X1)3(CH2CH2(CH2)n1SO2F) (11)。
ただし、X1は炭素数1〜4のアルコキシ基を、n1は0〜6の整数を、示す。 - 下式(3)で表される化合物と下式(2)で表される化合物をハイドロシリレーション反応させる下式(1)で表される化合物の製造方法。
CH2=CH(CH2)nSO2F (3)、
HSi(X)m(R)3−m (2)、
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)。
ただし、Xは塩素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を、mは1〜3の整数を、nは0〜6の整数を、示す。 - 下式(1)で表される化合物を加水分解縮合反応させる、下式(1)で表される化合物に基づく単位を含む縮合物の製造方法。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)。
ただし、Xは塩素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を、mは1〜3の整数を、nは0〜6の整数を、示す。 - 下式(1)で表される化合物が加水分解縮合した単位を含む縮合物。
Si(X)m(R)3−m(CH2CH2(CH2)nSO2F) (1)。
ただし、Xは塩素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を、mは1〜3の整数を、nは0〜6の整数を、示す。
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JP2005280008A JP2007091601A (ja) | 2005-09-27 | 2005-09-27 | フルオロスルホニル基を有する新規なシラン化合物 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
CN115947751A (zh) * | 2023-03-15 | 2023-04-11 | 北京奇点势能科技有限公司 | SuFEx点击化学硫醚硅烷偶联剂及其制备方法和应用 |
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2005
- 2005-09-27 JP JP2005280008A patent/JP2007091601A/ja active Pending
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