JP2007090328A - 分子媒介種材料、分子媒介種組成物及び分子濃縮装置 - Google Patents

分子媒介種材料、分子媒介種組成物及び分子濃縮装置 Download PDF

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Abstract

【課題】二酸化炭素、窒素酸化物及び硫黄酸化物などを溶媒中で捕捉・同伴・放出し得る分子媒介種材料、分子媒介種組成物及びこれを用いた分子濃縮装置を提供すること。
【解決手段】酸化還元処理によって対象分子の捕捉及び脱離を制御可能であり、且つその酸化還元状態を電気化学的に制御可能な荷電部位と、非プロトン性の極性基を有する分子媒介種材料である。酸化還元電位が+1000mV〜−3000mV(Ag/Ag+基準)である。対象分子が、一酸化炭素、二酸化炭素、二硫化炭素、窒素酸化物又は硫黄酸化物である。
上記分子媒介種材料と分子性溶媒を含有して成る分子媒介種組成物である。
電解質槽、一対の電極及び電極間の電位差制御手段を備え、電解質槽には、分子媒介種材料や分子媒介種組成物を含有する電解液が満たされる分子濃縮装置である。
【選択図】なし

Description

本発明は、分子媒介種材料、分子媒介種組成物及び分子濃縮装置に係り、更に詳細には、二酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)を所定溶媒中で捕捉・放出等し得る材料、これを含む組成物及びこれを用いた分子濃縮装置に関する。
近年、地球環境の保護、特に地球温暖化を防止すべく、二酸化炭素や窒素酸化物などのいわゆる温室効果ガスの放出量削減に大きな関心が寄せられている。
特に、二酸化炭素の固定化・隔離・分離濃縮などについては、従来から、膜分離、吸着分離及び吸収分離技術を適用した手法が実施されていたが、これらの手法はいずれも低濃度の二酸化炭素を分離・濃縮するには十分とは言い難かった。
これに対し、近時では、所定のCOメディエータ(媒介種)を有機溶媒やイオン液体に溶解させた電解質を用い、電解酸化還元処理によって二酸化炭素を電気化学的に濃縮できることが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
この手法は、電解質中でCOメディエータが二酸化炭素を同伴して一方の電極側に搬送し、二酸化炭素を一方の電極側に電気化学的にポンピングして分離濃縮するので、従来法に比し低濃度の二酸化炭素を含むガスからの分離濃縮が可能であり、且つ高純度の二酸化炭素を分離濃縮できる利点を有する。
The Journal of Electrochemical Society 150(5) D91−98(2003)
しかしながら、かかる従来の電気化学的分離濃縮法にあっては、COメディエータの電解質溶液に対する溶解度が高いとは言い難く、このため、二酸化炭素の濃縮速度が十分ではなく濃縮効率に難点があった。
一方、二酸化炭素以外の温室効果ガスなどについて、このような電気化学的分離濃縮法を適用した事例は、現時点では見当たらない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二酸化炭素、窒素酸化物及び硫黄酸化物などを溶媒中で捕捉・同伴・放出し得る分子媒介種材料、分子媒介種組成物及びこれを用いた分子濃縮装置を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の荷電部位と極性基を有する材料が、二酸化炭素その他のガス分子を有意に媒介し得ることを知見し、この材料を用いることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の分子媒介種材料は、酸化還元処理によって対象分子の捕捉及び脱離を制御可能であり、且つその酸化還元状態を電気化学的に制御可能な荷電部位と、非プロトン性の極性基を有することを特徴とする。
また、本発明の分子媒介種材料の好適形態は、上記酸化還元処理が電解酸化又は電解還元であり、上記対象分子を捕捉及び脱離する酸化還元電位が、この電解酸化又は電解還元に用いられる溶媒の電位窓の範囲内に含まれることを特徴とする。
更に、本発明の分子媒介種材料の他の好適形態は、上記酸化還元電位が+1000mV〜−3000mV(Ag/Ag+基準)であることを特徴とする。
更にまた、本発明の分子媒介種材料の更に他の好適形態は、上記極性基が、芳香族環を構成する水素原子の2個以上を酸素原子で置換した構造を有することを特徴とする。
また、本発明の分子媒介種材料の他の好適形態は、上記非プロトン性極性基中に、電気的に極性を有する部位と、極性を有しない部位が共存していることを特徴とする。
更に、本発明の分子媒介種材料の更に他の好適形態は、上記極性基が、ポリエーテル基及びポリエーテルを除くヘテロ原子を含むオリゴマー鎖から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする。
更にまた、本発明の分子媒介種材料の他の好適形態は、上記極性基が、ハロゲン基、ヘテロ環式基、ヒドロキシアルキル基、アセトキシアルキル基、ニトリル基、トシル基及びメシル基から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする。
また、本発明の分子媒介種材料の更に他の好適形態は、上記極性基が、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、ハロゲノアルキル基、アリール基及びアルキルアリール基から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする。
更に、本発明の分子媒介種材料の他の好適形態は、骨格内に、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン又はフェナントレンキノン構造を有することを特徴とする。
更にまた、本発明の分子媒介種材料の更に他の好適形態は、次の一般式(1)又は(2)
Figure 2007090328
Figure 2007090328
(式中のSUBは、水素、塩素、臭素、アセチル基又はオリゴエチレンオキシド鎖(−(OCHCH−CH)、n=2〜10を示し、少なくとも1以上のオリゴエチレンオキシド鎖を含む。)
で表される構造を有することを特徴とする。
また、本発明の分子媒介種材料の他の好適形態は、対象分子が、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、二硫化炭素(CS)、窒素酸化物(NOx)又は硫黄酸化物(SOx)であることを特徴とする。
一方、本発明の分子媒介種組成物は、上述の如き分子媒介種材料と分子性溶媒を含有して成ることを特徴とする。
また、本発明の分子媒介種組成物の好適形態は、上記分子性溶媒が、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、アセトン、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする。
更に、本発明の分子媒介種組成物の他の好適形態は、上記分子性溶媒への溶解度が、常温(−10〜40℃)において、0.1モル/L以上であることを特徴とする。
他方、本発明の分子濃縮装置は、電解質槽、一対の電極及びこれら電極間の電位差制御手段を備える分子濃縮装置であって、
電解質槽には、上述の分子媒介種材料又は上述の分子媒介種組成物を含有する電解液が満たされ、
一方の電極に対象分子を含む気体を接触させ、他方の電極から対象分子を回収し得ることを特徴とする。
本発明によれば、所定の荷電部位と極性基を有する材料を用いることとしたため、二酸化炭素や窒素酸化物などを溶媒中で捕捉・放出し得る分子媒介種材料、分子媒介種組成物及びこれを用いた分子濃縮装置を提供することができる。
以下、本発明の分子媒介種材料につき詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く、本発明の分子媒介種材料は、酸化還元処理によって対象分子を捕捉可能な状態となり且つその酸化還元状態を電気化学的に制御可能な荷電部位と、非プロトン性の極性基を有する化合物である。
ここで、対象分子としては、特に限定されるものではないが、常温で気体の分子種であり、例えば、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、二硫化炭素(CS)、窒素酸化物(NOx)又は硫黄酸化物(SOx)を挙げることができる。
また、上述の荷電部位については、酸化還元活性を有し、対象分子との結合定数が酸化型と還元型とで大きく変化する構造を有することが好ましい。
例えば、対象分子がCOの場合には、次の一般式(3)
Figure 2007090328
で表される反応を電気化学的に制御できる構造を有することが望ましい。
更に、かかる荷電部位としては、電解酸化又は電解還元に用いられる溶媒の電位窓の範囲内に含まれる酸化還元電位を有することが好ましい。
代表的には、対象分子がCOの場合、酸化還元電位が+1000mV〜−3000mV(Ag/Ag+基準)であることが好ましい。
上記酸化還元電位外では、メディエーター分子又はそれを溶解させた電解質溶液が不可逆な構造変化を起こし、目的の分子の捕捉・放出ができない。
上記荷電部位としては、芳香族環を構成する水素原子の2個以上を酸素原子で置換した構造を有する部位を挙げることができる。
具体的には、対象分子がCOの場合は、置換又は非置換のベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン又はフェナントレンキノン構造を有する部位を例示できる。
一方、本発明の分子媒介種材料における非プロトン性極性基としては、電気的に極性を有する部位と、極性を有さない部位が一つの官能基に共存していることが好ましい。
これにより、電解質溶液中への溶解度を飛躍的に向上させることを実現でき、対象分子の効率的な補足の点で有利である。
なお、非プロトン性であることが好適な理由は、対象分子の捕捉の際に、プロトンが電解還元によって生じたアニオン部位の対カチオンとなることで、目的の捕捉分子と競合し、効率的な捕捉を妨げるためである。
また、かかる非プロトン性極性基は、電解質溶液への親和性を向上し、当該分子媒介種材料を液化するのに寄与し得る。
かかる極性基としては、ポリエーテル基、ポリエーテル基以外のヘテロ原子を含むオリゴマー鎖などを例示することができ、具体的には、繰り返し単位2〜10のポリエチレンオキシド基 ポリプロピレンオキシド基、ポリエチレンイミン基、ポリエチレンスクシネート基及びポリプロピオラクトン基を挙げることができる。
これらは、ポリエーテル鎖を1〜4本含むことが特に好ましい。
また、かかる極性基の他の例としては、塩素臭素などのハロゲノ基、ピペリジノ基やメチルピペリジノ基などのヘテロ環式基、メトキシ基、エトキシ基、アセチル基及びヒドロフラン環などのヒドロキシアルキル基、アセトキシアルキル基、ニトリル基、トシル基又はメシル基を挙げることができる。
更に、かかる極性基の更に他の例としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基又はハロゲノアルキル基、アリール基及びアルキルアリール基を挙げることができる。
対象分子がCOの場合、上述した分子媒介種材料の典型例としては、次の一般式(1)又は(2)
Figure 2007090328
Figure 2007090328
(式中のSUBは、水素、塩素、臭素、アセチル基又はオリゴエチレンオキシド鎖(−(OCHCH−CH)、n=2〜10を示し、少なくとも1以上のオリゴエチレンオキシド鎖を含む。)
で表される構造を有する化合物を挙げることができる。
次に、本発明の分子媒介種組成物について詳細に説明する。
上述如く、本発明の分子媒介種組成物は、上述した分子媒介種材料と分子性溶媒を含有して成るものである。
ここで、分子性溶媒は、いわゆるイオン液体以外の溶媒を意味しており、油系や水系の各種溶媒を挙げることができる。本発明においては、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、アセトン、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド、又はこれらの任意の混合物を用いることが好ましい。
かかる分子性溶媒に対する分子媒介種材料としては、一般的に非水系電解質溶液に用いられるもの、例えば、各種分子性溶媒への溶解度が、常温(−10〜40℃)において、0.1モル/L以上であるものが好ましい。
また、上記分子性溶媒と、分子媒介種材料の好適な混合物としては、該分子媒介種材料が0.05〜0.5モル/L程度の割合で含まれるものが望ましい。
0.05モル/Lよりも分子媒介種材料が低濃度の場合は、対象分子の捕捉を十分に行うことが困難となることがある。また、0.5モル/Lを超えた高濃度の場合は、溶液の粘性の上昇により、酸化還元速度が低下することがある。
次に、本発明の分子濃縮装置について説明する。
上述の如く、本分子濃縮装置は、電解質槽、一対の電極及びこれら電極間の電位差制御手段、例えばポテンシオスタット等を備えて成る。
また、電解質槽には電解液が満たされる。この電解液は、上記分子媒介種材料若しくは上記分子媒介種組成物、又はこれらに電解質を加えて成る。
更に、一方の電極に対象分子を含む気体(低濃度の対象分子)を接触させ、他方の電極から対象分子を回収し得る。
ここで、本発明の分子濃縮装置の一実施形態により、対象分子(CO)が濃縮される原理について説明する。
図1に、CO吸脱着能を有する分子媒介種材料を溶媒に溶解し、気相をCOとした系における典型的なサイクリックボルタンメトリーの模式図を示す。図中の矢印は、電位の走査方向を示す。
図2に、CO濃縮系における電子とCOの動きを模式化した図を示す。
なお、後述する実施例では、キノンの水素をジエチレングリコール、トリエチレングリコール、塩素などで置換した系について述べるが、ここでは、簡便のため分子媒介種材料としてキノンを用いた系について説明する。
図3に、二室型電解質槽を用いた分子濃縮装置を示す。
この分子濃縮装置は、CO放出槽1とCO吸着槽2を通路3で連結した二室型電解質槽を備え、該電解質層には分子媒介種組成物を含む電解液が満たされている。
また、CO放出槽1は、CO放出側グラッシーカーボン電極4を備え、CO吸着槽2は、CO吸着側グラッシーカーボン電極5を備えている。
更に、これら双方の電極は電気的に接続されている。また、電極間にポテンシオスタット6を備えている。
CO吸着槽2のグラッシーカーボン電極5に、低濃度CO(8)が接触するように、バブリングする。このとき、CO吸着側グラッシーカーボン5は、ポテンシオスタット6により、図1に示す電位V1より卑な電位に設定する。
このため、この電極上では、以下の一般式、
C + 2e → D
で表される反応により酸化体Cから還元体Dが生成される。
この還元体Dは、COとの親和性が高いため、直ちにバブリングされているCOと結合し、Bが形成される。また、このBは、濃度勾配によってCO放出槽1へ移動する。
CO放出槽のグラッシーカーボン電極4では、図1に示す電位V2より貴な電位に設定する。
このため、この電極上では、以下の一般式、
B → A + 2e
で表される反応が起こる。
このAは、COとの親和性が低いため、直ちにCOを放出してCとなる。Cは濃度勾配によって、CO吸着槽2へ拡散する。
以上のサイクルを循環することで、COのみが選択的にCO吸着槽2からCO放出槽1へ移動し、結果として低濃度CO(8)を100%CO(7)へ濃縮することができる。
なお、分子濃縮装置に用いる分子媒介種材料には、以下の(1)〜(5)に示す特性が要求される。
(1)酸化体と還元体において、COとの親和性が変化すること。
(2)溶媒への溶解度が高いこと。
(3)分子媒介種材料の溶媒内における拡散速度が高いこと。
(4)分子媒介種材料の電極反応が充分に速いこと。
(5)分子媒介種材料とCOの吸着、脱離が充分に速いこと。
本発明の分子濃縮装置では、(1)の特性は、CO濃縮に関する必須事項であり、(2)〜(5)の特性は、CO濃縮速度を向上させるために望まれる事項である。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例1では、酸化体と還元体において、COとの親和性が変化すること、を確認した。また、実施例1,2では、比較例1,2に対して分子媒介種材料の溶媒への溶解度が高いこと、を確認した。
(実施例1)
分子媒介種材料としてジエチルグリコールキノン(DEG−Q)を2種類の調製方法により得た。
(1)DEG−Qの調製1
水素化ナトリウム(NaH)6.0gにトルエン100mlを加え、懸濁液とした後、これを氷浴中で冷却した。
一方、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DEGMME)20mlにトルエン80mlを加え、均一溶液とした。氷浴中に置いたNaH/トルエン懸濁液を攪拌しながら、そこにDEGMME/トルエンを徐々に滴下した。この際、反応に従って水素ガスが発生するので、これを系中から追い出し、圧力が一定になるようにした。
DEGMMEの滴下終了後、反応溶液の温度を徐々に上げ、室温になった後、更に12時間反応を続けた。その後、反応溶液をガラスフィルターでろ過し、未反応物を取り除いた。その一方で、クロラニル10g/トルエン200mlの懸濁液を調製し、氷浴中に置いた。NaHとDEGMMEの反応によって得られた溶液を、氷浴中のクロラニル/トルエン懸濁液に約一時間かけてゆっくりと滴下した。
滴下終了後、反応溶液の温度を徐々に上昇させ、室温になった後、更に2時間攪拌を続けた。反応溶液に生じた白色沈殿をろ別した後、トルエンを留去した。石油エーテル溶液相を回収した後、石油エーテルを留去した。得られた固体粉末をクロロホルムの溶液とした後、シリカゲルカラムを通過させた。回収された鮮橙色の溶液からクロロホルムを留去した。
(2)DEG−Qの同定
同定はH−NMRによって行った。
H−NMRDEG−Q(δ,ppm)=
3.26(3H,−C2H4−OCH3),3.40−3.41(2H,−O−CH2−CH2−OCH3),3.53−3.55(2H,−O−CH2−CH2−O−CH3),3.75−3.76(2H,−CH2−O−C2H4−OCH3),4.72−4.73(2H,C(quinone)(=CCl,−C=O)−O−CH2−)
(3)DEG−Qの調製2
DEGMME11mlにトルエン200mlを加え、氷浴中で冷却した。この溶液にクロラニル10.5gを加えた後攪拌し、懸濁液とした。
一方で、トリエチルアミン(TEA)15mlにトルエン35mlを加え、溶液とした。このTEAのトルエン溶液を先に調製したDEGMME/クロラニルのトルエン溶液に氷浴中でゆっくりと滴下した。滴下終了後、徐々に室温に戻し、更に約5時間攪拌を続けた。反応溶液をペーパーフィルターでろ過し、副生物であるTEAの塩酸塩を除去した。このろ液から一度トルエンを留去した後、もう一度冷トルエン300mlを加えることで残存するTEA塩酸塩の大部分を析出させ、ペーパーフィルターでろ別した。得られた溶液からトルエンを留去させると、針状の粗結晶が得られた。生成物をクロロホルムの濃厚溶液とした後にシリカゲルカラムを通過させ、残存のTEA塩酸塩をほぼ完全に除去した。最後にエーテル中で再結晶することにより、目的物を得た。
(4)DEG−Qの同定
同定はH−NMRによって行った。
H−NMRDEG−Q(δ,ppm)=
3.32(3H,−C2H4−OCH3),3.46−3.49(2H,−O−CH2−CH2−OCH3),3.59−3.61(2H,−O−CH2−CH2−O−CH3),3.77−3.79(2H,−CH2−O−C2H4−OCH3),4.67−4.68(2H,C(quinone)(=CCl,−C=O)−O−CH2−)
得られたDEG−Qをアセトニトリル中に1mmol/Lの割合で溶解させた後、CVを測定した。この結果を図4に示す。上のグラフはN雰囲気下、下のグラフはCO雰囲気下での測定結果である。また、このときの走査速度は50mV/secとした。なお、電位は銀−塩化銀基準である。
このグラフから明らかなように、CO存在下では、CVの形状が明らかにN雰囲気下の場合と異なる。このことは、従来例と同様に、卑な電位では、DEG−Qの還元体がCOと結合し、貴な電位においてCOとDEG−Qの結合した還元体が酸化されていることを示している。
(実施例2)
分子媒介種材料としてトリエチレングリコールキノン(TEG−Q)を次の調製方法により得た。
(1)TEG−Qの調製
TEGMME15mlにトルエン150mlを加え、氷浴中で冷却した。この溶液にクロラニル10.2gを加えた後攪拌し、懸濁液とした。
一方で、TEA17mlにトルエン35mlを加え、溶液とした。このTEAのトルエン溶液を先に調製したTEGMME/クロラニルのトルエン溶液に氷浴中でゆっくりと滴下した。
滴下終了後、徐々に室温に戻し、更に約5時間攪拌を続けた。反応溶液をペーパーフィルターでろ過し、副生物であるTEAの塩酸塩を除去した。このろ液から一度トルエンを留去した後、もう一度冷トルエン300mlを加えることで残存するTEA塩酸塩の大部分を析出させ、ペーパーフィルターでろ別した。得られた溶液からトルエンを留去させても、結晶にはならず、粘性の液体が得られた。生成物をクロロホルムの濃厚溶液とした後にシリカゲルカラムを通過させ、残存のTEA塩酸塩をほぼ完全に除去した。
(2)TEG−Qの同定
同定はH−NMRによって行った。
H−NMRTEG−Q(δ,ppm)=
3.36(3H,−C2H4−OCH3),3.51−3.64(6H,−CH2−O−C2H4−OCH3),4.66−4.67(2H,C(quinone)(=CCl,−C=O)−O−CH2−)
(比較例1,2)
比較のために、従来からCOの電気化学濃縮の媒体として用いられている2,6−di−tert−butyl−1,4−bennzoquinone(DtBBQ)及びPhenanthrenequinone(PhQ)を用意した。
実施例1,2及び比較例1,2で得た材料について、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドへの常温における溶解度を測定した。この結果を表1に示す。それぞれの溶媒への溶解度も示す。
Figure 2007090328
表1から、DEG−Qは、DtBBQと比較して溶解度が非常に高いことがわかる。
なお、DEG−Qは、メタノール、エタノールクロロホルム、塩化メチレン、アセトン、トルエン、へキサン、ポリエチレングリコール400、ポリプロピレングリコール400などにも優れた溶解性を示す。
気相をCOとした系におけるCVを示すグラフである。 電子とCOの動きを示す模式図である。 二室型電解質槽を用いた分子濃縮装置の一例を示す概略図である。 実施例1におけるCVを示すグラフである。
符号の説明
1 CO放出槽
2 CO吸着槽
3 分子媒介種組成物
4 CO放出側グラッシーカーボン電極
5 CO吸着側グラッシーカーボン電極
6 ポテンシオスタット
7 高濃度CO
8 低濃度CO

Claims (16)

  1. 酸化還元処理によって対象分子の捕捉及び脱離を制御可能であり、且つその酸化還元状態を電気化学的に制御可能な荷電部位と、非プロトン性の極性基を有することを特徴とする分子媒介種材料。
  2. 上記酸化還元処理が電解酸化又は電解還元であり、上記対象分子を捕捉及び脱離する酸化還元電位が、この電解酸化又は電解還元に用いられる溶媒の電位窓の範囲内に含まれることを特徴とする請求項1に記載の分子媒介種材料。
  3. 上記酸化還元電位が+1000mV〜−3000mV(Ag/Ag+基準)であることを特徴とする請求項2に記載の分子媒介種材料。
  4. 上記荷電部位が、芳香族環を構成する水素原子の2個以上を酸素原子で置換した構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の分子媒介種材料。
  5. 上記荷電部位が、骨格内に、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン又はフェナントレンキノン構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の分子媒介種材料。
  6. 上記非プロトン性極性基中に、電気的に極性を有する部位と、極性を有しない部位が共存していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の分子媒介種材料。
  7. 上記極性基が、ポリエーテル基及びポリエーテルを除くヘテロ原子を含むオリゴマー鎖から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の分子媒介種材料。
  8. 上記極性基が、ハロゲン基、ヘテロ環式基、ヒドロキシアルキル基、アセトキシアルキル基、ニトリル基、トシル基及びメシル基から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の分子媒介種材料。
  9. 上記極性基が、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、ハロゲノアルキル基、アリール基及びアルキルアリール基から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の分子媒介種材料。
  10. 次の一般式(1)又は(2)
    Figure 2007090328
    Figure 2007090328
    (式中のSUBは、水素、塩素、臭素、アセチル基又はオリゴエチレンオキシド鎖(−(OCHCH−CH)、n=2〜10を示し、少なくとも1以上のオリゴエチレンオキシド鎖を含む。)
    で表される構造を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の分子媒介種材料。
  11. 上記対象分子が、一酸化炭素、二酸化炭素、二硫化炭素、窒素酸化物又は硫黄酸化物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の分解媒介種材料。
  12. 請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の分子媒介種材料と分子性溶媒を含有して成ることを特徴とする分子媒介種組成物。
  13. 上記分子性溶媒が、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、アセトン、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項12に記載の分子媒介種組成物。
  14. 上記分子性溶媒への溶解度が、常温において、0.05モル/L以上であることを特徴とする請求項12又は13に記載の分子媒介種組成物。
  15. 電解質槽、一対の電極及びこれら電極間の電位差制御手段を備える分子濃縮装置であって、
    電解質槽には、請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の分子媒介種材料を含有する電解液が満たされ、
    一方の電極に対象分子を含む気体を接触させ、他方の電極から対象分子を回収し得ることを特徴とする分子濃縮装置。
  16. 電解質槽、一対の電極及びこれら電極間の電位差制御手段を備える分子濃縮装置であって、
    電解質槽には、請求項12〜14のいずれか1つの項に記載の分子媒介種組成物を含有する電解液が満たされ、
    一方の電極に対象分子を含む気体を接触させ、他方の電極から対象分子を回収し得ることを特徴とする分子濃縮装置。
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