JP2007090089A - 超高感度核磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

超高感度核磁気共鳴イメージング装置 Download PDF

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Michiya Okada
道哉 岡田
Takeshi Wakuta
毅 和久田
Shigeru Kadokawa
滋 角川
Yutaka Morita
裕 森田
Katsuzo Aihara
勝蔵 相原
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Abstract

【課題】
細胞スケールの空間分解能をもつ核磁気共鳴イメージング法を実現することによって、タンパク質の細胞内での挙動を把握することを可能にする。また、その技術を利用して高品位のタンパク質を育成する工業的な手段を提示する。
【解決手段】
細胞の大きさの1/10程度の空間分解能を実現するため、従来用いられなかったソレノイド検出コイルと14テスラ以上の高磁場NMRとの組み合わせで、高感度計測を実現する。その上で、0.001ppmの磁場均一度と組み合わせることで、0.5μm と従来不可能であった超高感度NMRイメージングを実現する。
【効果】
タンパク質分子の物理化学的挙動を、明らかにすることが容易になり、生物情報ネットワーク解明や、細胞の代謝プロセスを解明できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、超高感度核磁気共鳴イメージング装置に関わり、主として、細胞,生物組織,研究用小動物などの生物試料の高分解能イメージング、或いは、高分解能イメージングを応用したタンパク質の高品位結晶育成と育成過程のその場観察及び育成方法に係わる。
核磁気共鳴(NMR)を利用したイメージング法は近年急激な進歩を遂げつつある。将来、NMR法を強力な超電導磁石技術と組み合わされることによって、人体、或いは、小動物や細胞組織などの生物内部における細胞の代謝やタンパク質の情報ネットワーク解析を可能にすることができれば、その結果として、細胞内におけるタンパク質の構造や機能を明らかにすることが可能になるため、疾病の予防や新薬の開発など、ライフサイエンス研究に大きな威力を発揮すると期待されている。近年では、核磁気共鳴分光法を用いて複雑な分子構造をもつタンパク質などの有機化合物を原子レベルで効率よく構造解析することが可能になってきた。本発明の対象とするのは、小動物や細胞組織などの生物内部における細胞の代謝やタンパク質の情報ネットワーク解析を可能にするに必要な空間分解能で1ミクロン以下、好ましくは0.1 ミクロン程度の超高感度核磁気共鳴イメージング装置であって、いわゆるミリメートル級の画像分解能を必要とする人体の断層撮影を目的とした医療用MRI画像診断装置とは、空間分解能で3桁、超電導磁石の磁場強度で1桁以上高く、磁場均一度は4桁、安定度についても3桁高い性能が要求され、全く異なる設計技術,装置製作技術が要求される特殊なイメージング装置である。
従来、核磁気共鳴イメージング装置は、医療用の画像診断装置として知られており、人体の一部又は全身用として、磁場強度として0.2 〜8Tまで用いられており、一般には、0.3〜1.5テスラ程度の磁場が利用されることが多い。このような核磁気共鳴イメージング装置に関する最新技術の詳細は「MR撮像技術学」日本放射線技術学会、オーム社出版局、2001年に記載されている。超電導磁石を利用したイメージングでは、0.5 テスラ以上の磁場が利用され、医療用核磁気共鳴画像診断装置における画像の空間分解能は概ね0.2mm 程度である。
核磁気共鳴分析法を、有機物やタンパク質の構造解析に利用する目的で14〜21Tの程度の高磁場を利用した分光装置も開発されている。このような高磁場NMRを核磁気共鳴に利用する場合の典型的な装置構成に関連する最近の発明には、超伝導磁石に関わる発明として、多層空芯ソレノイドコイルの典型的な構成として特開2000−147082号公報等があり、また、信号検出技術に関連する発明として、鳥かご型超伝導検出コイルを開示した米国特許6121776号,従来の鞍型コイル、或いは、鳥かご型コイルによる信号検出技術を開示した例として、特開2000−266830号公報,特開平6−
237912号公報などがある。これらの報告によれば、従来の高分解能核磁気共鳴分析装置は、全て鉛直方向の磁場を発生するソレノイドコイルの組み合わせによって構成された超電導磁石装置を用い、400〜900MHzの電磁波を試料に照射し、試料から発せられる共鳴波を鞍形または鳥籠型の検出コイルを利用して検出している。また、米国特許6121776号の例にあるように、受信時の熱ノイズを低減するために低温に冷却された検出器を利用し、S/N感度比を改善する工夫がなされている場合もある。
歴史的にみて、核磁気共鳴分光装置は、基本的にはアンテナ及び磁石等のシステムの基本構成を同一に保ち、超電導磁石の中心磁場強度を高める方法によって感度向上を果たしてきた。従い、現在迄に報告されている最高のNMR測定感度は900MHzのNMR装置により得られ、中心磁場21.1 テスラの大型超電導磁石が利用されているが、装置の基本構成は特開2000−147082号公報のような旧来技術と何ら変わっていない。試料としては溶液を用いたタンパク質が一般的であって、中心磁場向上は、NMR分光法における感度の向上と、化学シフトの分離を明確にする効果がある。
検出コイル形状による感度向上効果については、荒田洋治著、「NMRの書」2000年、丸善、p326に記載されているように、従来、検出コイルとしてソレノイドコイルを利用すれば、鞍形、あるいは鳥籠型に比較して様々な利点があることが知られていた。たとえば、インピーダンスのコントロール容易性,フィリングファクタ,RF磁場の効率などの点で優れているなどである。同著によれば、しかし、従来の超電導磁石の構成では、水溶液中に微量に溶解したタンパク質の計測用途等の、感度を重視する場合には、磁場に対して垂直に置かれたサンプル管の周りにソレノイドコイルを巻くことは実際には不可能であり、一般には利用されていない。特に例外的に、微量のサンプル溶液を用いて感度よく測定する場合に限り利用される場合があり、特別にデザインしたミクロサンプル管を利用して、特別のプローブを用いて計測する方法が知られていた。
また、特殊な例では、最近では特開平11−248810号公報のように、高温超電導のバルク磁石を水平方向に着磁し、ソレノイドコイルでNMR信号を検出する方法が考案されている。また、特開平7−240310号公報では、装置の天井高さの制約を取り除くための一般的なNMR用途に適した超電導磁石と冷却容器の構成方法を開示しているが、高分解能イメージングに必要な検出感度の向上方法や磁場均一度、磁場の時間安定度に対する技術的な対応方法等については知られていない。
近年、生命科学は著しい進歩を遂げたが、生物細胞レベルでのタンパク質分子の機能と構造との相関への理解はまだ不十分である。自然界には概ね10の11乗種類のタンパク質が存在するが、その構造が明らかになったタンパク質分子は、10の三〜四乗のオーダーに過ぎず、生物内部における代謝,タンパク質情報伝達ネットワークの解明など、高分解能NMRイメージングを利用した研究はこれからである。
更に、タンパク質の良質な単結晶を得ることは、生命科学の進歩にとってきわめて重要であるが、十分な解析を行い得るような良質のタンパク質結晶を育成することは、従来、まだ困難であって、その育成には数ヶ月から数年を必要とする。その最も大きな原因としては、タンパク質の結晶化が、経験に依存した試行錯誤法によって行われていることにある。1980年代の半ばから、タンパク質結晶の成長メカニズムが検討されてきたが、これまでのところ、結晶が成長する基本的なメカニズムは、無機,有機,低分子,高分子に限らず、ほぼ同じメカニズムで説明できることが分かっている。高分解能NMRイメージングは、このようなタンパク結晶成長メカニズム解明や、育成条件制御の自動化・最適化にも利用可能と考えられる。
近年、ライフサイエンス研究に対するニーズの高まりとともに、生物細胞,生体組織,小動物などを利用し、生命のメカニズム研究が進められている。核磁気共鳴イメージング法を用いて、タンパク質の生体内での代謝や情報ネットワークを明らかにすることができれば、生命科学の進歩において、価値ある成果を得ることができると考えられる。しかしながら、現在の核磁気共鳴分析装置では、空間分解能は概ね0.2 ミリメートル程度であって、細胞のサイズである1〜10ミクロン程度の微細領域を画像化できていない。そこで、本発明では、細胞のサイズよりも一桁小さいスケールで、画像のイメージングを可能にする方法を提供することとした。そして、そのような方法を応用して、生物細胞などの代謝や生物情報ネットワーク解析、或いは、タンパク質結晶のその場育成などに利用可能とすることで、生命科学の発展に大きく貢献することができる。このようなニーズに核磁気共鳴分析装置を適合させるには、生物学の研究ニーズに適合した試料空間を維持したまま、測定感度の向上をはかる必要があり、超伝導磁場の安定性の確保も必須である。空間分解能の向上のため、測定感度の向上と、試料空間の磁場均一度が重要である。従い、今後の分子生物学に基づく研究の解析に用いられる核磁気共鳴分析装置は、「核磁気共鳴イメージング」と称されるべきものであって、従来のNMRと比較して特段に優れた検出感度と安定性が要求されるほか、安定的なNMRシグナルの検出が必要である。磁場が不均一であれば、イメージの判別が困難になるなどの問題を生じる。よって、分子生物学研究の様々な解析を目的とした今後のNMR技術は、従来の一般的なNMR装置の単純な延長上にはない新たな技術開発が必要であることにまず留意しておく必要がある。
一例をあげると、一般的なNMR装置の磁場均一度の仕様は、試料空間で0.01ppm,時間安定度で0.01ppm/hである。これを一般的な用途の600MHzのプロトンNMRで換算すると、6Hzの許容誤差になる。しかしながら、前述した核磁気共鳴イメージングの場合では、少なくとも、1.0Hz 以下の空間、及び、時間分解能が必要であり、望ましくは0.5Hz 以下が必要である。これらの磁場均一度と磁場の時間的安定度を実現可能な方法で、超伝導磁石や検出コイルを最適に構成する必要がある。従い、従来一般的に利用されていたNMR装置の性能では不十分であり、従来より、1桁以上高い安定性と磁場均一度が要求される。
従来技術は、主として、磁場強度の向上に頼って感度向上したため、装置が大型化し、漏洩磁界の問題と床強度の問題から、専用の建物を必要とするなど、設置性の問題も新たに生じた。さらに、超電導磁石のコストが増大するなどの課題を生じた。また、この方法による感度向上は、超電導材料の臨界磁界による制約で概ね21Tの上限に達し、これ以上の感度向上のためには、磁場強度に頼ることのない新たな手段による検出感度向上技術が望まれていた。
前述したように、ソレノイドコイルを利用した高感度測定の方法は、極く微量の特別のサンプル管と特別の検出プローブで利用可能であったが、細胞内のイメージングには、分解能の点で適用できなかった。また、特開平11−248810号公報の例にあるように、強力な磁石によって水平方向に磁場を発生し、ソレノイドコイルでNMR信号を検出する方式では、高温超電導体の表面で10T未満の磁場を発生できるのみであって、試料部分の磁場は高々数テスラ程度であって、細胞のイメージングに必要な11テスラ以上の磁場、好ましくは14.1 テスラ以上の磁場を所望の試料空間に発生することはこの方法では不可能であった。また、この方法では、細胞のイメージングに必要な時間安定度1.0 Hz/時以下を達成することは、高温超伝導体の磁束クリープ現象の効果で実質的に困難であった。また、タンパク質の解析に必要な、磁場均一度についても、直径10mm×長さ20mmの空間でプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz 以内の磁場均一度を達成することは、高温超電導バルク体材料の製造プロセスに起因した不均質性から困難であった。
このように、従来技術は、タンパク質の解析ニーズに対応するためのブレークスルー技術の開発が求められている一方で、磁場による感度向上の限界に達してしまった現在、さらなる感度向上のための新しい解決方法が求められていた。
今後ニーズが高まると考えられる細胞内における代謝反応のその場観察やタンパク質情報ネットワークのイメージング法による解析などを効率よくかつ精度良く解析する場合には、経験的には、600〜900MHz、中心磁場で14〜21T程度で、適切なサンプル量で測定できることが望ましく、現状より計測感度を高め、スループットを高めることが望まれている。
本発明では、生物学研究ニーズに対応できる1〜30mm径のサンプル室を用い、600MHz(14.1T)以上でNMRシグナルの計測感度を従来の少なくとも3倍程度高め、かつ、細胞内のイメージング解析に必要な超伝導磁石の時間的安定度及び空間的均一度を提供可能な新規な核磁気共鳴分析装置を提供することにある。なお、本発明の構成は、システムの運転温度を4.2K と定めるものではない。なお、本発明を応用して、極限性能を目指すことも可能であり、用途によっては、従来の磁場限界であった、21.1T すなわち900MHzで1.8K で運転する事があってもよく、その場合、従来の方式と比較して3倍程度の感度向上が可能であり、従来の不可能であった磁場強度による検出感度限界を大きくうち破ることが初めて可能になった。
発明者らは、鋭意研究を重ねることによって、現状の高分解能核磁気共鳴イメージング装置に共通する問題とその対策法を考案した。現状の核磁気共鳴装置は、コストと設置性を両立させるために、磁場均一度の優れた多層空心ソレノイドコイルの中心に、溶液試料をおき、鞍型または鳥籠式のアンテナで検出する方法で発展してきた。歴史的には、400MHz未満の低い磁界から、計測技術と解析法の進歩によってNMRが発展するにつれ、この基本的な形式を守ったまま、中心磁場の強大化によって計測感度を向上させてきた。また、最近は熱ノイズを減らすために超電導式の鳥籠型アンテナを用いる例も報告されている。我々は、磁場強度を同一としたまま、従来よりも著しく信号強度を高める方法について鋭意検討を重ねてきた。その結果、以下に述べる新規な方法によれば、この問題を解決できることを見いだした。
そのポイントは、試料空間として直径が1〜30mmで、高さ20〜60mmので400
MHz以上のプロトン核磁気共鳴周波数、好ましくは600MHz〜900MHz程度で、ソレノイド方式の検出コイルを適用することによって感度向上を図るものである。原理的には、検出コイルの形状因子の差によって少なくとも2.5〜2.8倍の感度向上が期待できる筈であり、その他の因子によって更に向上が期待でき、撮像に要するデータの積算時間は1/10以下に短縮することができる。サンプルは装置上部から鉛直方向に挿入される。鉛直方向を巻軸としたソレノイドコイルでNMR信号を感度よく検出するには、超電導磁石で発生する磁場を水平方向に配置し、その均一磁界中心に、サンプルを配置できるようにする必要がある。そのため、超電導磁石の構成は、従来の単純なソレノイド磁石と異なり、左右に分割された一対のスプリットマグネットで構成する必要が生じる。ここで、代謝や細胞内、或いは、細胞間のタンパク質情報ネットワーク解析のイメージングという特殊な分析用途に対応するためには、先に述べたように、時間安定度でプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz/時(h)、試料空間の空間的な均一度で1.0Hz以下に超伝導磁石を最適設計・製作する必要がある。これは従来より一桁以上厳しい設計であって、公知の技術を単純に組み合わせただけで構成できる範囲内にはない。そのため、各スプリットマグネットは、計算機上では有効桁数の限界である0.000ppmの高精度の磁場を発生できるよう十分な設計検討を行った後、Nb3Sn 等の高磁場超電導線からなるコイルとNbTi超電導線からなる低磁界用超伝導コイルの最適な配置と組み合わせで構成する。スプリットマグネットを使った高分解能NMR装置構成の例はない。発明者らは、鋭意研究を重ねて、世界で初めて細胞スケールの生物情報の解析に適用できる時間安定度と空間的な安定度、すなわち、プロトン核磁気共鳴周波数で、試料空間内で1.0Hz 以内、1時間あたり1.0Hz 以内を、本装置構成で達成できることを見いだした。我々が鋭意蓄積したマグネット最適化技術によって、従来困難であった複雑なスプリットコイルシステム系の均一磁界の設計を可能とした。低温容器を含めた磁石部分の大きさは、1台あたり、概ね幅1m,高さ1m程度でまとめることが可能であって、漏洩磁場を低く抑えながら、省スペースで集積度の高い実験装置を構成でき、データの積算時間は概ね10倍の高スループットな「核磁気共鳴イメージング装置」構成を提供できることを見いだした。
すなわち、超電導磁石,傾斜磁場コイル,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴イメージング装置において、直径で概ね1〜30mmのサンプル室に細胞,生物組織,研究用小動物などの生物試料が挿入され、該超電導磁石が左右に分割されたスプリット磁石であって、該磁石の発生する磁場方向が概ね水平方向であって、かつ該受信コイルがソレノイドコイルであり、該生物試料のイメージングにおいて、該生物試料を形成する細胞の1/10以下の空間分解能とすることで解決できる。
また、超電導磁石,傾斜磁場コイル,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴イメージング装置において、直径で概ね1〜30mmのサンプル室に細胞,生物組織,研究用小動物などの生物試料が挿入され、該超電導磁石が左右に分割されたスプリット磁石であって、該磁石の発生する磁場方向が概ね水平方向であって、かつ該受信コイルがソレノイドコイルであり、該試料は水平方向に、かつ、該磁場方向と直交する方向から挿入され、かつ、該生物試料のイメージングにおいて、該生物試料を形成する細胞の1/10以下の空間分解能とすることで解決できる。
また、超電導磁石,傾斜磁場コイル,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴イメージング装置において、直径で概ね1〜30mmのサンプル室に細胞,生物組織,研究用小動物などの生物試料が挿入され、該超電導磁石が左右に分割されたスプリット磁石であって、該磁石の発生する磁場方向が概ね水平方向であって、かつ該受信コイルがソレノイドコイルであり、該試料は概ね鉛直方向に、かつ、該磁場方向と直交する方向から挿入され、かつ、該生物試料のイメージングにおいて、該生物試料を形成する細胞の1/10以下の空間分解能とすることで解決できる。
また、超電導磁石,傾斜磁場コイル,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴イメージング装置において、サンプル管に水などに溶解されたタンパク質試料が挿入され、該超電導磁石が左右に分割されたスプリット磁石であって、該磁石の発生する磁場方向が概ね水平方向であって、かつ該受信コイルがソレノイドコイルであり、該試料は鉛直方向に、かつ、該磁場方向と直交する方向から挿入され、磁場中において高品位のタンパク質結晶を育成でき、該液中に溶解された該タンパク質が結晶化する際に、該タンパク質結晶の表面性状を観察するに十分な程度の空間分解能を有し、該結晶の成長速度及び成長面を核磁気共鳴イメージングによってその場観察可能であって、得られた情報から結晶育成条件を適切に制御可能とすることで解決できる。
更に、該核磁気共鳴イメージング装置において、該超電導磁石の発生する定常磁場が
11T以上、好ましくは14.1T 以上であって、かつ、該定常磁場の変動によるプロトン核磁気共鳴周波数の1時間あたりの変動が1.0Hz 以下であって、かつ、試料空間の該定常磁場の均一度はプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz以下として、解決できる。
更に、該核磁気共鳴イメージング装置において、イメージング空間分解能が1ミクロン以下、好ましくは0.1 ミクロン以下とすることで解決できる。
このようにして、該核磁気共鳴イメージング装置において、生物組織におけるタンパク質情報ネットワーク情報伝達を二次元もしくは三次元画像情報としてイメージング可能とすることができ、分子生物学研究の進展に寄与できる。
また、該核磁気共鳴イメージング装置において、該受信コイルが酸化物系高温超電導材料、もしくは、二硼化マグネシウムで形成されており、コイル温度が5K以上40K以下とすることで、高感度・高分解能な計測が可能になる。
本発明の超高感度核磁気共鳴イメージング法では、たとえば、14.1T(600MHz)の核磁気共鳴周波数の場合、プロトンの化学シフトは、すなわち、線幅は、およそ10
ppm 、すなわち、6000Hzであるので、このままでは、μmサイズの分解能を得ることができない。そこで、プロトンNMRをスペクトル分解してイメージングすることで、分解能を高める。すなわち、傾斜磁場を印加して核スピンに位置情報付与し、その後、プロトンNMRスペクトルを計測し、特定のスペクトル線の二次元画像を得る。特定のスペクトル線の線幅は0.01ppm(0.014G )程度であるから、空間分解能を飛躍的に増加できる。たとえば、10mmの試料空間に、280Gの傾斜磁場を与え、特定のスペクトル線の空間分布を観察すれば、0.5 ミクロンの空間分解能を得ることが可能になる。このような計測を可能にするには、600MHz(14.1T) の計測空間で磁場均一度で
0.001ppmが必要であり、更に、高感度計測法により微弱なスペクトルを効率よく積算する必要があり、本発明のソレノイド方式のシグナル検出コイルが必須である。
細胞,生体組織,小動物などの生物試料の内部で、どのようなメカニズムでタンパク質の情報が伝達され、代謝などの生命活動が進んでゆくのかというメカニズム研究において、非破壊法で細胞内部を観察できる核磁気共鳴イメージングは、絶大なる威力を発揮できる。これによって、個々のタンパク質が、細胞や生体組織、或いは、生物のスケールでどのような役割(機能)を有するかを解明することが可能になるため、ライフサイエンス研究を大きく前進させることができる。
更に、タンパク質分子の物理化学的挙動を、結晶成長プロセスを通じて明らかにすることできれば、溶液から固体へ結晶化する相変化する過程を詳細に解析することで、タンパク質分子の物理学的な挙動を明らかにすることが可能になる。従って、たとえば、タンパク質結晶成長形態の溶解度に及ぼす圧力の効果を調べることで、タンパク質分子の特定の表面に水が水和する際の体積を見積もることができるようになる。
このようにして、タンパク質の機能や結晶成長メカニズムを解明できれば、様々なタンパク質分子を基板上に任意の方向に配向させることができるようになり、バイオコンピュータや分子リアクター分子モーターなどが実現可能になる。無機半導体基板上に、任意のタンパク質をヘテロエキタキシャルに成長させることができれば、光センサーなど様々な応用が可能になると考えられる。
本発明によって、タンパク質間の相互作用解析が可能になるほか、従来比3倍の超高感度のNMR測定により、1ミクロン以下の分解能によるイメージングが可能になる。また、本発明は、共鳴周波数が600MHz以上であればよく、たとえば、中心磁場を現在の超電導技術の最高水準である900MHzで運転すれば、従来の2.7GHz 相当の検出感度が得られる。これは、従来全く不可能であった超高感度なシグナル検出感度に初めて到達できる効果がある。
今後、ポストゲノム時代において、タンパク質の構造解析競争が進むと考えられ、構造が明らかになったタンパクを利用する時代を迎えるとき、既知のタンパク質の機能と相互の関係、すなわち、相互作用スクリーニングに対するニーズが高まると期待される。具体的には、テイラーメイド創薬,バイオ産業,食品,医療分野などで広く応用される。5〜10年後の近い将来、タンパク質の立体構造解明が進んだ状況下において、その構造情報を積極的に活用した生命現象の解明とその制御への取り組みが進むと予測される。本発明のNMRイメージング技術を利用することで、このような時代における生命科学研究において、構造が既知となったタンパク質の生物内部での機能とその制御、或いは結晶化による応用などを効率的に推進できる。分子モーターやバイオコンピュータなどの産業応用の創生には、計算シミュレーションなどと組み合わせた分子設計支援を経ながら、先端バイオテクノロジーを駆使した最適な開発が必要である。本発明によって、開発コスト,期間が大幅に短縮される。このような波及効果が我が国、及び世界人類に及ぼす波及効果は計り知れない。技術的側面から見た場合、本発明のNMR技術によれば、検出感度が従来比で3倍以上に向上するため、積算時間が1/10に短縮でき、細胞内のイメージングが可能になる。従い、生体に及ぼす微量金属の影響なども効率よく研究できる。具体例としては、生体内と同濃度の金属元素がタンパク質の存在状態に及ぼす影響や生体内での標識されたタンパク質や微量元素の動態を、イメージング法を利用してリアルタイムに追跡することで、生体内の微量元素やタンパク質が関わっている数多くの疾患、例えば、アルツハイマー症などの治療法開発や発病前の慢性・難治療性疾患の早期診断(糖尿病やクロイツェフトヤコブ病等)にも応用できる可能性がある。また、本計測技術によれば、計測機器としてのメンテナンス性や、設置性を大きく改善でき、導入メリットが大きい。特に、比較的小規模の実験施設でも900MHz級の大型実験装置に近い高品位なデータ取得が可能になる。
(実施例1)
本発明の第1の実施例を図1に示す。超電導磁石1,2,3は試料に近い内側ほど、超電導臨界磁界の高い材料でコイルが形成されている。たとえば、超電導磁石1はNb3Al 、超電導磁石2はNb3Sn 、超電導磁石3はNbTiであるが、必要に応じて組み合わせコイルの発生磁場と均一度が所望の値となるように最適な組み合わせをしてもよい。たとえば、Bi2Sr2CaCu29等のBi系やY1Ba2Cu37系等の超電導材料を用いたり、MgB2 などを用いても良い。これらの組み合わせからなる超電導磁石は磁場発生方向は水平方向である。図1において、直径1〜30mmで水と同等の磁気的性質を持つガラス製の容器に小動物や細胞,生体組織などの生物試料4は装置上部から磁場中心に挿入され鉛直方向に置かれており、磁場は試料に横方向から印加される。従って、おのおのの超電導磁石は、水平方向を巻き軸としてソレノイド状に巻かれ、左右対称に配置されている。磁石の最大幅は400mm、最大高さは700mmであって、コンパクトに集約されている。磁石中心部では、磁場の均一度は0.001ppm以下、プロトン核磁気共鳴周波数で表記すると0.5Hz 以下に調整され、時間安定度は0.001ppm/h以下、プロトン核磁気共鳴周波数で表記すると0.5 Hz/時以下であった。この場合、必要に応じて、磁場中心付近に均一度調整用のコイルが配置されてもよい。調整には常温部で導線を用いて調整するか、或いは、低温部で別の超電導線を用いて調整するか、或いは両者を組み合わせて調整しても良い。たとえば、プロトン核磁気共鳴周波数で600MHzのNMRとして用いる場合には、中心磁場は概ね14.1T で磁場均一度は18mm球でプロトン核磁気共鳴周波数で表記すると0.5Hz以下とする。この条件では、コイルの運転温度を4.2Kとし、液体ヘリウムのポンピングは不要であり簡便に運転できる。試料は鉛直方向から挿入される。
本方式によれば、水平方向に磁場を発し、鉛直方向上部から試料を挿入するため、試験管内に納めた生体組織などの溶液がこぼれる心配がない。また、検出コイルを下部から挿入する構成であるため、試料スペースを十分に確保することができ、生体試料の分析に感度を必要とする測定に対して試料空間を最大限有効に活用することができる。また、検出コイル系を低温に冷却する場合であっても、このような配置によって、生物タンパク質による情報ネットワークのイメージングなどで各種の条件変更を容易に実施することができる。NMR信号の検出には、常温に保持された銅製のソレノイドコイル、または、5〜
20Kに冷却されたY系酸化物超伝導材料又はMgB2 からなるソレノイドコイルが用いられ、アンテナ用検出コイル5として、装置下部から磁場中心に挿入され、試料の入ったガラス管の周囲に配置され、信号ケーブル6を介して、検出された信号を外部に送る構成になっている。装置下部から挿入することで、サンプルスペースを広くとれるほか、計測系からの試料に対する振動ノイズを低減できる。超電導磁石は永久電流スイッチ9によって永久電流モードに保持されており、磁場の時間的な変動は1時間あたり0.5Hz 以下に調整されている。超電導磁石は、液体ヘリウム7に浸漬され低温に保持され、外側を液体窒素8で覆う二重構造とすることによって、ヘリウムの消費を節約する構成となっている。液体ヘリウムで冷却する代わりに、パルス管冷凍機など、振動の問題がない冷凍機を用いて、超電導磁石を直接冷却しても良い。なお、磁石周囲の漏洩磁界を低減することは、装置の設置性,安全性の観点から重要であり、設置条件に合わせた磁気シールドを付与したマグネット構成とすることができる。
以上述べたように、本実施例では、このような構成により、中心磁場は14.1T でプロトン核磁気共鳴周波数で600MHzを得たが、図7の比較例に示すような従来構成のNMRシステムと比較して、シグナル・ノイズ比(S/N)比で比較して、概ね3倍に向上でき、同一試料の細胞組織をイメージングする場合のNMR信号積算計測で比較した場合には、同水準のデータ積算時間が10倍に高速化された。また、0.001ppmの磁場均一度によって、イメージングの分解能を向上させることが可能になり、1〜10μmの細胞より一桁小さな空間分解能である0.5μm を実現できた。本発明の超高感度核磁気共鳴イメージング法では、たとえば、14.1T(600MHz) の核磁気共鳴周波数の場合、プロトンの化学シフトは、すなわち、線幅は、およそ10ppm 、すなわち、6000
Hzであるので、このままでは、μmサイズの分解能を得ることができなかった。そこで、プロトンNMRをスペクトル分解してイメージングすることで、分解能を高めた。すなわち、傾斜磁場を印加して核スピンに位置情報付与し、その後、プロトンNMRスペクトルを計測し、特定のスペクトル線の二次元画像を得た。特定のスペクトル線の線幅は0.01ppm(0.014G)程度であったので、空間分解能を飛躍的に増加できた。10mmの試料空間に、280Gの傾斜磁場を与え、特定のスペクトル線の空間分布を観察し、0.5 ミクロンの空間分解能を得ることができた。このような計測を可能にするには、600MHz(14.1T)の計測空間で磁場均一度で0.001ppmが必須であり、更に、高感度計測法により微弱なスペクトルを効率よく積算する必要があり、本発明のソレノイド方式のシグナル検出コイルが必須であった。これにより、細胞内のタンパク質の代謝反応などをイメージングによって観察可能になった。なお、装置からの漏洩磁場の5ガウスラインは、垂直方向に2m、水平方向には最大で3mであった。これにより、特殊な専用建築物を利用しないで設置が可能になった。
(実施例2)
本発明の第2の実施例を図2に示す。本実施例では、第1の実施例と構成は概ね同一であるが、低温容器が、左右の超電導磁石で分割されており、ユーザーの利用空間に開放性を持たせている。すなわち、従来の密封型の試料空間と異なり、サンプル室の周辺に開放空間10があるため、たとえば、試料に光照射,レーザ光照射などを容易に行いながら、光合成などダイナミックな生物組織の挙動を計測することができる。このようなダイナミックなNMR信号を観察できるので、たとえば、タンパク質のシグナル伝達や、光合成反応などを調べることができる。なお、このような特殊な実験の場合には、超電導磁石は、液体ヘリウムをポンピングして冷却し、1.8K で運転することによって、900MHz程度の中心磁場(21.1T) で運転することができる。この場合の検出感度は、図8の従来方式のNMR装置に換算すると2GHz以上のNMRと同等であり、従来の超電導材料の臨界磁界を大きく上回る。そのため、従来方式ではこのような検出感度は到達不可能であったが、本発明によれば、従来技術で到達できない、高水準の検出感度を600〜900MHz(21.1T) の磁場強度で容易に実現できる。この場合でも、従来の900MHz級のNMR装置と比較して、装置の鉛直方向の漏洩磁界に大きな違いがあり、本発明の場合には、鉛直方向で3m、コイル軸方向(水平方向)で最大で4.5mであった。
(実施例3)
本発明の第3の実施例を図3に示す。本実施例では、生物試料を装置上部から挿入し、側面から計測プローブを挿入する。このような構成によって、防震装置を備えた架台11を低く設計できるので、装置高さを低くとることが可能になり、操作性が向上すると共に、装置に床面から伝搬する振動を低減することが可能になる。従って、設置性とメンテナンス性に優れた、経済効果の大きなシステムを提供できる。
(実施例4)
本発明の第4の実施例を図4に示す。本実施例では、生物試料を装置側面から挿入し、もう一方の側面に貫通孔12を設け計測プローブを挿入する。このような構成によって、天井高さに制約がある場合などで、装置高さを低くとることが可能になり、大幅な操作性が向上すると共に、装置に床面から伝搬する振動を低減することが可能になる。従って、建物設置性とメンテナンス性に優れた、経済効果の大きなシステムを提供できる。
(実施例5)
本発明の第5の実施例を図5に示す。生物試料4は、酸素供給装置13を用い、生きた状態に保たれている試料に送られる。NMR信号は、プリアンプ14を経由して、制御部15に送られる。NMR信号取得には各種のパルスシーケンスが適用される。必要に応じて、パルスが発信され、パルスシーケンスは傾斜磁場と組み合わせ、画像化され、表示画面16に出力される。なお、信号の熱ノイズを低減するため、プリアンプ14を液体窒素温度程度に冷却して使用することもできる。図6は、本発明の検出プローブ構成の詳細を示す。生物試料4は小動物である。生物試料4は水と同等の性質をもつ直径1〜30mmのガラス管に挿入され、装置下部から磁場中心には位置される。ソレノイド式の検出コイル17は、材質としては銅又は超電導線が用いられる。超電導線の場合には、概ね4〜20Kにヘリウムガス25で冷却される。銅線の場合には常温度に保持されることもある。
3軸の傾斜磁場コイル19,20,21,22,23,24の組み合わせで、任意の方向に任意の磁場勾配を印加でき、パルスシーケンスと組み合わせてイメージングに利用される。検出された信号は、リード線18によって、プリアンプに送られる。
本発明の方法によれば、従来の3倍の、感度向上が図れ、メンテナンス性に優れるほか、実施例2で述べたような光照射実験なども可能になる効果がある。また、検出コイルをソレノイド形状でかつ超電導にすることで、従来の10倍以上の感度向上でき、たとえば、900MHz(21.1T)で応用すれば、従来の2.7GHz 相当の検出感度が得られるため、従来到達不可能であった検出感度を実現できる効果がある。
(実施例6)
本発明の第6の実施例を図7に示す。装置の基本構成は、本発明の実施例5と同一である。本実施例では、磁場中において、タンパク質の育成を行っている。試験管のなかに溶解したタンパク質26を凝固させながら結晶を育成する。酸素の流量や試料の温度条件を変化させることによって、結晶育成条件を制御できる。このような状況で育成する過程を、0.5 ミクロン程度の空間分解能の高感度イメージング観察することで、タンパク質の良質な結晶を成長させることができる。
(比較例1)
本発明の比較例のNMR装置構成として、従来の600MHz級のNMRイメージング装置の典型的な構成を図8に示す。中心磁場は14.1T である。鳥籠形状の受信コイル27と超電導磁石28,29,30が多層空心ソレノイドコイルである。この検出方法で本発明と同等に感度を向上するには、中心磁場を高めるしか方法はないが、現時点では
21Tが限界であって、同一の周波数(中心磁場強度)であれば、本発明と比較して検出感度は1/3倍程度劣る。画像解析の空間分解能は、40μmであって、これは、磁場均一度が悪く、感度が低いためであった。
(比較例2)
本発明の比較例のNMR装置構成として、従来の鳥籠プローブ27の構成を図9に示す。従来の方法では、鞍形コイルを用いる場合もあるが、感度的には比較例1との組み合わせによる方法では、本発明の実施例1と同一の検出感度を得ることは不可能であった。この検出方法で感度を向上するには、温度を下げる以外に方法はなく、現状では超電導を利用する方法も提案されているが、コスト増とメンテナンス性の問題が生じる。また、本発明のソレノイド式検出コイルに比較して、検出感度が概ね1/3と低く、イメージングに必要なスペクトル強度を得ることが困難であった。
(比較例3)
本発明の比較例を図10に示す。公知の水平方向に均一磁場を発生する汎用のNMR用ソレノイドコイル用い、公知の水平磁場型の配置として、公知の比較例2の鳥かご型検出コイルと組み合わせ、タンパク質の水溶液を、水平方向の連通孔から試験管を計測部に挿入した。計測部位の磁場によって概ね400MHzの核磁気共鳴信号を得たが、試料空間の直径10mm,長さ20mmでは、20Hzの誤差に相当する磁場の空間的な不均一さを生じた。また、1時間あたりの磁場の不均一は10Hz/hであった。これらの値は、汎用NMR装置としては標準的な値であるが、本発明の目的とする高分解能イメージングには一桁精度が不足であった。
(比較例4)
本発明の比較例を図11に示す。公知の水平方向に均一磁場を発生する汎用のNMR用ソレノイドコイル用い、公知の水平磁場型の配置として、装置上部から、計測部位まで、連通孔を通して、公知の比較例2の鳥かご型検出コイルと組み合わせ、タンパク質の水溶液を試験管に挿入した。上部から計測器を挿入したため、連通孔の最大直径で200mmと大型化した。結果として中心磁場強度が低下した。磁場強度を鋭意調整しても磁場中心では300MHzの核磁気共鳴信号までしかとれなかった。また、試料空間の直径10mm,長さ20mmでは、10Hzの誤差に相当する磁場不均一であった。これらの値は、汎用
NMR装置としては標準的な値であるが、高分解能NMRイメージングには一桁精度が不足であった。
(比較例5)
本発明の比較例を図12に示す。公知の垂直方向に均一磁場を発生する汎用の18T級のNMR用ソレノイドコイルを2台用い、公知の水平磁場型の配置と組み合わせた。そして、装置上部から、計測部位まで、直径70mmの連通孔を通し、本発明のソレノイド型検出コイルと組み合わせ、小動物を挿入した。上部から、全ての計測器及び溶液試料を挿入した。2つの磁石システムの中心軸方向で、おのおのの磁石の最高磁場は18Tであった。また、磁場の時間安定度は0.001ppm/h程度であった。しかし、試料空間の定常磁場強度は、7.5T であり、試料空間磁場の均一度は100ppm 以下であり、高分解能
NMRイメージング装置として計測に利用できない水準であった。
(比較例6)
本発明の比較例を図13に示す。公知の垂直方向に磁場を発生する高温超伝導バルク磁石32と組み合わせたソレノイド巻き線された検出コイル31を用いて、小動物のNMRイメージング計測を構成した例である。ソレノイドコイルが磁場均一領域から大きくはみ出して巻き線されていることが特徴で、広範囲の磁束の変化をとらえる反面、均一な磁界内に検出コイルが配置された場合に比較して、画像測定精度に欠ける。また、バルク磁石では、磁石の最高磁場は10Tであったが、試料空間での最高磁場は4Tであった。磁場の均一度は、高温超伝導体の不均一性によって、200〜500ppm 以下であった。また、磁場の時間安定度は、高温超伝導体の磁束クリープ現象によって、20〜100ppm/h程度であった。これらによって、本発明が目的とする画像分解能に到達することが全く利用できないシステムであった。
本発明のNMRイメージング装置構成例。 本発明の開放型NMRイメージング装置構成例。 本発明のイメージング装置構成例。 本発明のNMRイメージング装置構成例。 本発明のNMRイメージングシステム構成例。 本発明のNMR信号検出コイルの構成例。 本発明の磁場中結晶育成装置構成例。 比較例のNMRイメージング装置の構成。 比較例のNMR信号検出コイル構成。 比較例のNMRシステム組み合わせ構成。 比較例のNMRシステム組み合わせ構成。 比較例のNMRシステム組み合わせ構成。 比較例のNMRシステム組み合わせ構成。
符号の説明
1,2,3…超電導磁石、4…生物試料、5…アンテナ用検出コイル、6…信号ケーブル、10…開放空間、12…貫通孔、14…プリアンプ、15…制御部、17…ソレノイド式の検出コイル。

Claims (8)

  1. 超電導磁石,傾斜磁場コイル,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴イメージング装置において、直径で概ね1〜30mmのサンプル室に細胞,生物組織,研究用小動物などの生物試料が挿入され、該超電導磁石が左右に分割されたスプリット磁石であって、該磁石の発生する磁場方向が概ね水平方向であって、かつ該受信コイルがソレノイドコイルであり、該生物試料のイメージングにおいて、該生物試料を形成する細胞の1/10以下の空間分解能を有することを特徴とする超高感度核磁気共鳴イメージング装置。
  2. 超電導磁石,傾斜磁場コイル,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴イメージング装置において、直径で概ね1〜30mmのサンプル室に細胞,生物組織,研究用小動物などの生物試料が挿入され、該超電導磁石が左右に分割されたスプリット磁石であって、該磁石の発生する磁場方向が概ね水平方向であって、かつ該受信コイルがソレノイドコイルであり、該試料は水平方向に、かつ、該磁場方向と直交する方向から挿入され、かつ、該生物試料のイメージングにおいて、該生物試料を形成する細胞の1/10以下の空間分解能を有することを特徴とする超高感度核磁気共鳴イメージング装置。
  3. 超電導磁石,傾斜磁場コイル,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴イメージング装置において、直径で概ね1〜30mmのサンプル室に細胞,生物組織,研究用小動物などの生物試料が挿入され、該超電導磁石が左右に分割されたスプリット磁石であって、該磁石の発生する磁場方向が概ね水平方向であって、かつ該受信コイルがソレノイドコイルであり、該試料は概ね鉛直方向に、かつ、該磁場方向と直交する方向から挿入され、かつ、該生物試料のイメージングにおいて、該生物試料を形成する細胞の1/10以下の空間分解能を有することを特徴とする超高感度核磁気共鳴イメージング装置。
  4. 超電導磁石,傾斜磁場コイル,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴イメージング装置において、サンプル管に水などに溶解されたタンパク質試料が挿入され、該超電導磁石が左右に分割されたスプリット磁石であって、該磁石の発生する磁場方向が概ね水平方向であって、かつ該受信コイルがソレノイドコイルであり、該試料は鉛直方向に、かつ、該磁場方向と直交する方向から挿入され、磁場中において高品位のタンパク質結晶を育成でき、該液中に溶解された該タンパク質が結晶化する際に、該タンパク質結晶の表面性状を観察するに十分な程度の空間分解能を有し、該結晶の成長速度及び成長面を核磁気共鳴イメージングによってその場観察可能であって、得られた情報から結晶育成条件を適切に制御可能であることを特徴とする超高感度NMRイメージング装置。
  5. 請求項1,2,3、又は4の該核磁気共鳴イメージング装置において、該超電導磁石の発生する定常磁場が11T以上、好ましくは14.1T 以上であって、かつ、該定常磁場の変動によるプロトン核磁気共鳴周波数の1時間あたりの変動が1.0Hz 以下であって、かつ、試料空間の該定常磁場の均一度はプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz 以下であることを特徴とする超高感度核磁気共鳴イメージング装置。
  6. 請求項1,2,3,4、又は5の該核磁気共鳴イメージング装置において、イメージング空間分解能が1ミクロン以下であることを特徴とする溶液用核磁気共鳴分析装置。
  7. 請求項1,2,4又は5の該核磁気共鳴イメージング装置において、生物組織におけるタンパク質情報ネットワーク情報伝達を二次元もしくは三次元画像情報としてイメージング可能であることを特徴とする超高感度核磁気共鳴イメージング装置。
  8. 請求項1,2,3,4,5又は6の該核磁気共鳴イメージング装置において、該受信コイルが酸化物系高温超電導材料、もしくは、二硼化マグネシウムで形成されており、コイル温度が5K以上40K以下であることを特徴とする超高感度核磁気共鳴イメージング装置。
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