JP2007087986A - 高圧処理装置および高圧処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 注入バルブを開いて高圧流体に薬液を注入して処理流体を得るとともに、該処理流体を用いて被処理体の表面に対して所定の表面処理を施す装置および方法において、注入バルブを開いた直後での薬液の濃度変動を抑えて表面処理の安定化を図る。
【解決手段】 分岐位置BPでの高圧配管26内の高圧流体圧力がSCF側圧力計27で検知されるとともに、薬液ライン内の薬液圧力が薬液側圧力計36で検知される。そして、薬液圧力値が高圧流体圧力値P1以上となったことを確認した上で、注入バルブ34を開いて高圧流体への薬液注入が実行される。したがって、注入バルブ34が開いた直後に高圧流体が高圧配管26から注入バルブ34を通じて薬液ラインに流れ込むという逆流現象が確実に防止され、薬液ライン内での薬液の濃度変動が効果的に防止される。
【選択図】 図1
【解決手段】 分岐位置BPでの高圧配管26内の高圧流体圧力がSCF側圧力計27で検知されるとともに、薬液ライン内の薬液圧力が薬液側圧力計36で検知される。そして、薬液圧力値が高圧流体圧力値P1以上となったことを確認した上で、注入バルブ34を開いて高圧流体への薬液注入が実行される。したがって、注入バルブ34が開いた直後に高圧流体が高圧配管26から注入バルブ34を通じて薬液ラインに流れ込むという逆流現象が確実に防止され、薬液ライン内での薬液の濃度変動が効果的に防止される。
【選択図】 図1
Description
この発明は、高圧流体と薬液との混合物を処理流体として被処理体の表面に接触させて前記被処理体の表面に対して所定の表面処理を施す高圧処理装置および高圧処理方法に関するものである。この被処理体としては、例えば半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、光ディスク用基板などの各種基板(以下、単に「基板」という)が含まれる。
半導体製造プロセスの中でレジストを用いてパターン形成する場合、パターン形成後に不要となるレジストや、エッチングの時に生成して基板上に残存してしまうエッチングポリマー等の不要物・汚染物質を基板から除去するための洗浄工程が必須工程となる。そこで、高圧流体と薬液との混合物を処理流体として基板の表面に接触させて該基板に対して洗浄処理を施す高圧処理装置が知られている(特許文献1参照)。
この高圧処理装置では、基板がセットされた処理チャンバーに対して高圧流体と薬液との混合物を処理流体として供給することで基板洗浄を行っている。さらに詳しく説明すると、この高圧処理装置は、高圧流体を処理チャンバーに供給する高圧流体供給手段と、薬液を処理チャンバーに供給する薬液供給手段とを備えている。そして、高圧流体供給手段では、高圧ポンプが設けられており、この高圧ポンプを作動させることで処理チャンバーに連通される高圧配管を介して高圧流体を処理チャンバーに圧送している。この高圧配管には、高圧ポンプと処理チャンバーとの間に設けられた分岐位置(薬液供給点)で分岐配管が分岐し、薬液供給手段に延設されている。また、薬液供給手段では、送液ポンプが分岐配管に設けられており、薬液を前記分岐位置に向けて送液可能となっている。この分岐配管には、分岐位置と送液ポンプとの間に注入バルブが設けられており、装置全体を制御する制御手段からの動作指令に応じて注入バルブが開閉駆動することで分岐位置への薬液の注入および注入停止が制御される。すなわち、処理流体(高圧流体+薬液)による洗浄処理を行う際には、注入バルブが開いて分岐位置で高圧流体に対して薬液が注入されて処理流体が調製される。そして、該処理流体が処理チャンバーに供給されて洗浄処理が実行される。
また、配管に逆止弁が設けられており、逆止弁を介して処理流体を供給する高圧処理装置が知られている(特許文献2)。
上記のように高圧流体に対して薬液を注入して処理流体を得ているため、処理流体の成分を精度良く保つためには、分岐配管を介して高圧流体に注入される薬液の濃度を一定に保つことが重要となる。しかしながら、従来技術では、分岐配管内での薬液の圧力に関して特段の注意が払われていなかったために、分岐配管内での薬液濃度が変動してしまうことがあり、その結果、処理流体の成分が変動して洗浄処理が安定しないという問題があった。すなわち、この種の高圧処理装置では、高圧流体として1MPa以上の圧力の流体が用いられており、この高圧流体に薬液を注入する時には、注入バルブを開いて送液ポンプによって薬液を高圧流体に送り込む必要がある。このため、仮に注入バルブを開いた際に分岐配管内の薬液圧力が高圧流体の圧力よりも低いと、注入バルブを開いた瞬間に同バルブを通じて高圧流体が高圧配管から分岐配管に流れ込んで分岐配管内での薬液濃度が変動してしまう。そして、このようにして濃度変動が生じた薬液を用いてしまうと、処理流体の成分変動が生じてしまう。
また、配管に逆止弁を用いても同様であり、高圧配管の内圧が低くなってしまうと、不必要な薬液の注入が行われるという問題点があった。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、注入バルブを開いて高圧流体に薬液を注入して処理流体を得るとともに、該処理流体を用いて被処理体の表面に対して所定の表面処理を施す装置および方法において、注入バルブを開いた直後での薬液の濃度変動を抑えて表面処理の安定化を図ることを目的とする。
この発明にかかる高圧処理装置は、高圧流体と薬液との混合物を処理流体として被処理体の表面に接触させて被処理体の表面に対して所定の表面処理を施す高圧処理装置であって、上記目的を達成するため、その内部に表面処理を行うための処理チャンバーを有する圧力容器と、処理チャンバーに連通される高圧配管を介して高圧流体を処理チャンバーに圧送する高圧ポンプと、高圧ポンプと処理チャンバーとの間に設けられた分岐位置で高圧配管から分岐する、分岐配管を介して薬液を分岐位置に向けて送液する送液ポンプと、分岐位置と送液ポンプとの間で分岐配管に設けられ、開閉駆動することで分岐位置への薬液の注入および注入停止を制御する注入バルブと、分岐位置または分岐位置に対する一次側での高圧配管内における高圧流体の圧力を検知する第1圧力検知手段と、注入バルブと送液ポンプとの間での分岐配管内における薬液の圧力を検知する第2圧力検知手段と、第2圧力検知手段により検知された薬液圧力値が第1圧力検知手段により検知された高圧流体圧力値以上となったことを確認した上で、注入バルブを開いて高圧流体に薬液を注入して処理流体を得る制御手段とを備えていることを特徴としている。
また、この発明にかかる高圧処理方法は、その内部に処理チャンバーを有する圧力容器と、処理チャンバーに連通される高圧配管を介して高圧流体を処理チャンバーに圧送する高圧ポンプと、高圧ポンプと処理チャンバーとの間に設けられた分岐位置で高圧配管から分岐する、分岐配管を介して薬液を分岐位置に向けて送液する送液ポンプと、分岐位置と送液ポンプとの間で分岐配管に設けられ、開閉駆動することで分岐位置への薬液の注入および注入停止を制御する注入バルブとを備えた高圧処理装置において、分岐位置で高圧流体に薬液を注入して処理流体を得るとともに、該処理流体を処理チャンバーに導入することで処理チャンバー内の被処理体の表面に接触させて被処理体の表面に対して所定の表面処理を施す高圧処理方法であって、上記目的を達成するため、分岐位置または分岐位置に対する一次側での高圧配管内における高圧流体の圧力を検知する第1工程と、注入バルブを閉じたまま送液ポンプを作動させながら、注入バルブと送液ポンプとの間での分岐配管内における薬液の圧力を検知する第2工程と、第1工程により検知された高圧流体圧力値と第2工程により検知された薬液圧力値とを比較し、薬液圧力値が高圧流体圧力値以上となったことを確認した上で、注入バルブを開いて高圧流体に薬液を注入させる第3工程とを備えたことを特徴としている。
このように構成された発明(高圧処理装置および高圧処理方法)では、注入バルブを開くことで分岐位置(薬液注入位置)において高圧流体に薬液が注入されて処理流体が得られるが、この注入バルブを開くタイミングは分岐位置または分岐位置に対する一次側での高圧配管内における高圧流体の圧力(高圧流体圧力)と、注入バルブと送液ポンプとの間での分岐配管内における薬液の圧力(薬液圧力)とを考慮して決定されている。すなわち、薬液圧力値が高圧流体圧力値以上となったことを確認した上で、注入バルブを開いて高圧流体に薬液が注入される。更に、意図しない薬液の注入が行われることを確実に防止する。
ここで、注入バルブと送液ポンプとの間での分岐配管内を流れる薬液の流量または流速を検知する流量検知手段をさらに設け、注入バルブを開くと、流量検知手段による検知結果に基づき送液ポンプを制御して単位時間当たりに分岐位置に送液される薬液量を調整するように構成してもよい。このように薬液量を調整することで処理流体を調製しながら該処理流体による表面処理を行っている間においても常に適量の薬液が高圧流体に注入されて処理流体の調製が行われている。このため、処理流体中の薬液濃度を正確に制御することができる。その結果、表面処理の安定化をさらに向上させることができる。
また、注入バルブと送液ポンプとの間に設けられたドレン位置で分岐配管から分岐する、ドレン配管にドレンバルブを設け、該ドレンバルブを開閉駆動することで注入バルブと送液ポンプとの間で分岐配管に存在する薬液の排液および排液停止を制御するように構成してもよい。このように構成された発明では、注入バルブを閉じることで高圧流体への薬液の注入を完了した後で、ドレンバルブを開いて薬液圧力値を常圧に調整することができる。
なお、本発明において、用いられる高圧流体としては、安全性、価格、超臨界状態にするのが容易、といった点で、二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素以外には、水、アンモニア、亜酸化窒素、エタノール等も使用可能である。高圧流体を用いるのは、拡散係数が高く、溶解した汚染物質を媒体中に分散することができるためであり、その高圧流体を超臨界流体にした場合には、気体と液体の中間の性質を有するようになり、拡散係数は気体に近づき、微細なパターン部分にもよく浸透することができる。また、超臨界流体の密度は、液体に近く、気体に比べて遥かに大量の添加剤(薬液)を含むことができる。
ここで、本発明における高圧流体とは、1MPa以上の圧力の流体である。好ましく用いることのできる高圧流体は、高密度、高溶解性、低粘度、高拡散性の性質が認められる流体であり、さらに好ましいものは超臨界状態または亜臨界状態の流体である。二酸化炭素を超臨界流体とするには31゜C、7.4MPa以上とすればよく、特に洗浄処理には、5〜30MPaの亜臨界(高圧流体)または超臨界流体を用いることが好ましく、7.4〜20MPaでこれらの処理を行うことがより好ましい。
以上のように、この発明にかかる高圧処理装置および高圧処理方法によれば、薬液圧力値が高圧流体圧力値以上となっている場合にのみ注入バルブを開くように構成しているので、注入バルブが開いた直後に高圧流体が注入バルブを通じて分岐配管に流れ込むという逆流現象を確実に防止することができる。このため、分岐配管内の薬液濃度が変動するのを効果的に防止することができ、薬液の濃度変動を抑えて表面処理の安定化を図ることができる。また、薬液の注入タイミングを正確に制御することが出来る。
図1は、この発明にかかる高圧処理装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の装置を制御する電気的構成を示すブロック図である。この高圧処理装置は、圧力容器1の内部に形成される処理チャンバー11に超臨界二酸化炭素または超臨界二酸化炭素と薬液との混合物を処理流体として導入し、その処理チャンバー11において保持されている略円形の半導体ウエハなどの基板に対して所定の洗浄処理、リンス処理および乾燥処理を行う装置である。以下、その構成および動作について詳細に説明する。
この高圧処理装置は、大きく分けて3つのユニット、(1)処理流体を調製して処理チャンバー11に供給する処理流体供給ユニットAと、(2)圧力容器1を有し、圧力容器1の処理チャンバー11内で処理流体により基板に付着するレジスト等を剥離除去して基板を洗浄する洗浄ユニットBと、(3)洗浄処理に使用された高圧流体などを回収して貯留する貯留ユニットCを備えている。
これらのユニットのうち、処理流体供給ユニットAには、本発明の「高圧流体」として超臨界二酸化炭素(以下「SCF」という)を圧力容器1に向けて圧送する高圧流体供給部2と、レジストおよびレジスト残渣を剥離させるのに好適な薬液を供給するための薬液供給部3とが設けられている。
この高圧流体供給部2は、高圧流体貯留タンク21と高圧ポンプ22を備えている。上記のように高圧流体として、超臨界二酸化炭素を用いる場合、高圧流体貯留タンク21には、通常、液化二酸化炭素が貯留されている。また、過冷却器(図示省略)で予め流体を冷却して、高圧ポンプ22内でのガス化を防止してもよい。そして、該流体を、高圧ポンプ22で加圧すれば高圧液化二酸化炭素を得ることができる。また、高圧ポンプ22の出口側は第1ヒータ23、高圧弁24および第2ヒータ25を設けた高圧配管26により圧力容器1に連通されている。そして、装置全体を制御するコントローラ5からの開閉指令に応じて高圧弁24を開成することで、高圧ポンプ22で加圧された高圧液化二酸化炭素を第1ヒータ23により加熱して高圧流体としてSCFを得るとともに、このSCFを圧力容器1に直接的に圧送する。
この高圧弁24と第2ヒータ25との間には分岐位置BPが設けられ、この分岐位置BPで高圧配管26は分岐し、その分岐配管31が薬液供給部3の薬液貯留タンク32と連通されている。そして、薬液供給部3からレジスト等の剥離成分を有する薬液が分岐配管31を介して高圧配管26に送り込まれる。これによって分岐位置(薬液注入位置)BPでSCFと薬液とが混合されて処理流体が調製される。このように薬液の混合により流体温度が所望のプロセス温度未満に温度低下する場合には、第2ヒータ25が処理流体を加熱して超臨界状態に戻し、圧力容器1に供給する。なお、この分岐位置BPには、本発明の「第1圧力検知手段」に相当するSCF側圧力計27が配置されており、分岐位置BPでの高圧配管26内の流体圧力を検知可能となっている。
薬液供給部3は、上記したようにレジスト等を剥離除去するための薬液を供給するものであり、薬液を貯留する薬液貯留タンク32を備えている。この薬液貯留タンク32は分岐配管31により高圧配管26と連通されている。また、この分岐配管31には、送液ポンプ33および注入バルブ34が設けられている。このため、コントローラ5からの開閉指令にしたがって注入バルブ34の開閉動作を制御することで、適切なタイミングで薬液貯留タンク32内の薬液が高圧配管26に送り込まれて分岐位置BPで処理流体(SCF+薬液)が調製される。そして、処理流体が圧力容器1の処理チャンバー11に供給される。
また、この実施形態では、送液ポンプ33と注入バルブ34との間での分岐配管31内を流れる薬液の流量(または流速)を検知する流量計35が設けられている。このように流量計35が本発明の「流量検知手段」として機能しており、流量計35による検知結果を示す信号がコントローラ5に与えられる。そして、この信号に基づきコントローラ5は送液ポンプ33を制御して単位時間当たりに分岐位置BPに送液される薬液量を調整可能となっている。そこで、この実施形態では、後述するタイミングで薬液量の調整を行い処理流体中の薬液濃度を正確に制御している。
また、この流量計35と注入バルブ34との間で分岐配管31に本発明の「第2圧力検知手段」に相当する薬液側圧力計36が配置されており、注入バルブ34に対する1次側(送液ポンプ33側)での分岐配管31内の薬液圧力を検知可能となっている。この圧力計36の出力信号はコントローラ5に与えられており、この信号に基づきコントローラ5は送液ポンプ33を制御して分岐配管31内での薬液圧力を調整可能となっている。そこで、この実施形態では、後述するように薬液圧力の調整を行った上で注入バルブ34を開いている。
さらに薬液供給部3では、送液ポンプ33と注入バルブ34との間に設けられたドレン位置DPで分岐配管31からドレン配管37が分岐して設けられている。そして、このドレン配管37にドレンバルブ38が設けられている。このため、コントローラ5からの開閉指令に応じてドレンバルブ38を開成駆動することで送液ポンプ33と注入バルブ34との間に存在する薬液を分岐配管31から排液して薬液圧力値を調整可能となっている。
洗浄ユニットBでは、圧力容器1が高圧配管12により貯留ユニットCの貯留部4と連通されている。また、この高圧配管12には圧力調整弁13が介挿されている。このため、圧力調整弁13を開くと、圧力容器1内の処理流体などが貯留部4に排出される一方、圧力調整弁13を閉じると、圧力容器1に処理流体を閉じ込めることができる。また、圧力調整弁13の開閉制御により処理チャンバー11内の圧力を調整することも可能である。
貯留ユニットCの貯留部4としては、例えば気液分離容器等を設ければ良く、気液分離容器を用いてSCFを気体部分と液体部分とに分離し、別々の経路を通して廃棄する。あるいは、各成分を回収(および必要により精製)して再利用してもよい。なお、気液分離容器により分離された気体成分と液体成分は、別々の経路を通して系外へ排出してもよい。
次に、上記のように構成された高圧処理装置による処理方法について図3を参照しつつ説明する。図3は図1の装置による洗浄工程を示す図である。この装置の初期状態では、すべての弁13、24、34、37は閉じられるとともに、ポンプ22,33も停止状態にある。また、薬液供給部3では、注入バルブ34に対する一次側(送液ポンプ33側)は常圧となっている。なお、この明細書および図面では、分岐配管31内のうち注入バルブ34に対する一次側を適宜「薬液ライン」と称する。
そして、産業用ロボット等のハンドリング装置や搬送機構により被処理体たる基板が1枚、処理チャンバー11にローディングされると、処理チャンバー11を閉じて処理準備を完了する。それに続いて、高圧弁24を開いてSCFを高圧流体供給部2から処理チャンバー11に圧送可能な状態にした後、高圧ポンプ22を作動させて処理チャンバー11へのSCF圧送を開始する。これによりSCFが処理チャンバー11に圧送されていき、処理チャンバー11内の圧力が徐々に上昇していく。このとき、圧力調整弁13をコントローラからの開閉指令に応じて開閉制御することで処理チャンバー11内の圧力が一定、例えば20MPa程度に保たれる。また、分岐位置BPにおける高圧配管26内の高圧流体の圧力がSCF側圧力計27により検知され、その圧力値P1を示す信号がコントローラ5に与えられる。なお、この開閉制御による圧力調整は後で説明する減圧処理が完了するまで継続される。さらに処理チャンバー11の温度調整が必要な場合は圧力容器1の近傍に設けた加熱器(図示省略)により、表面処理に適した温度に設定する。
次いで、図3に示すように、タイミングT1で送液ポンプ33を稼動させる。この実施形態では、注入バルブ34およびドレンバルブ38はともに閉じられているため、送液ポンプ33の稼動開始から薬液ライン内の薬液圧力が徐々に上昇していく。また、薬液圧力は薬液側圧力計36によって検知され、薬液圧力値を示す信号が連続的に、または断続的にコントローラ5に与えられる。そして、コントローラ5は、薬液圧力値が高圧流体圧力値P1以上となった時点で注入準備が完了したと判断し、注入バルブ34に対して開成指令を与える。これに応じて注入バルブ34が開いて高圧流体への薬液注入が行われて分岐位置BPで処理流体が得られる(タイミングT2)。そして、該処理流体(SCF+薬液)が処理チャンバー11に圧送されて洗浄処理が開始される。
このように注入バルブ34の開成より洗浄工程が始まるが、このときSCFや薬液(洗浄成分)の送給は連続的に行う。また、この実施形態では、特に注入バルブ34を開いた直後よりコントローラ5は流量計35からの信号に基づき送液ポンプ33を制御して単位時間当たりに分岐位置(薬液注入位置)BPに送液される薬液量が一定量となるように流量制御している。このため、処理流体中の薬液濃度が正確に制御される。この流量制御は、薬液注入を行っている間、実行されて所望成分の処理流体が処理チャンバー11に供給されて基板に付着しているレジスト、レジスト残渣などの不要物質が剥離除去される。また、不要物質を随伴させた処理流体は高圧配管12を通じて貯留ユニットCの貯留部4へ送られる。
そして、洗浄工程が完了すると、注入バルブ34を閉じるとともに、送液ポンプ33を停止して薬液注入を停止する(タイミングT3)。また、薬液注入の停止後のタイミングT4でドレンバルブ38を開いて薬液ライン内の薬液を排液して薬液圧力を減圧する。そして、薬液ライン内の薬液圧力が常圧まで減圧されると、ドレンバルブ38を閉じる(タイミングT5)。こうして、薬液ラインの減圧調整を行っている間も、SCFの圧送についてはそのまま継続され、SCFのみが処理チャンバー11に供給されてSCFによるリンス工程が実行される。なお、この実施形態では、SCFのみによるリンス工程を実行しているが、メタノールなどのアルコール成分をSCFに混合させてリンス工程を行うように構成してもよい。
このリンス工程が完了すると、高圧ポンプ22を停止してSCF圧送を停止する。そして、圧力調整弁13の開閉を制御することで処理チャンバー11内を常圧に戻す。この減圧過程において、処理チャンバー11内に残留するSCFはほとんど瞬時に気体になって蒸発するので、基板表面にシミ等が発生するなどの不具合を発生させることなく、基板を乾燥させることができる。しかも、近年、基板表面に微細パターンが形成されることが多く、乾燥処理の際に微細パターンが破壊されるという問題がクローズアップされているが、減圧乾燥を用いることで上記問題を解消することができる。
そして、処理チャンバー11が常圧に戻ると、処理チャンバー11を開き、産業用ロボット等のハンドリング装置や搬送機構により洗浄処理済みの基板をアンロードする。こうして、一連の表面処理、つまり洗浄処理(レジスト剥離除去処理)+リンス処理+乾燥処理が完了する。そして、次の未処理基板が搬送されてくると、上記動作が繰り返されていく。
以上のように、この実施形態にかかる高圧処理装置および高圧処理方法によれば、分岐位置BPでの高圧配管26内の高圧流体圧力をSCF側圧力計27で検知するとともに、薬液ライン内の薬液圧力を薬液側圧力計36で検知し、薬液圧力値が高圧流体圧力値P1以上となったことを確認した上で、注入バルブ34を開いて高圧流体への薬液注入を実行している。したがって、注入バルブ34が開いた直後においてSCF(高圧流体)が高圧配管26から注入バルブ34を通じて薬液ラインに流れ込むという逆流現象を確実に防止することができる。その結果、薬液ライン内での薬液の濃度変動を効果的に防止することができ、表面処理を安定して行うことができる。また、薬液の注入タイミングも確実に制御され、意図しない薬液の注入を防止することが出来る。
また、この実施形態では、注入バルブ34を開いて薬液注入を開始した後においては、流量計35により検知される薬液ラインでの薬液流量(または流速)に基づき単位時間当たりに分岐位置BPに送液される薬液量が一定量となるように流量制御しながら、上記のようにして調製された処理流体により洗浄処理が行われている。したがって、洗浄処理を行っている間、処理流体中の薬液濃度が常に正確に制御される。その結果、表面処理の安定化をさらに向上させることができる。また洗浄処理の間、流量制御を行いながら薬液側圧力計36からの検知結果に基づき薬液ライン内での薬液圧力が常に高圧流体圧力値P1とほぼ一致またはそれ以上となるように圧力制御を同時行うように構成してもよい。
さらに、この実施形態では、コントローラ5が注入バルブ34の開閉を制御することによって高圧流体への薬液注入および注入停止を制御しているため、次のような作用効果も得られる。すなわち、単に高圧配管26から薬液ラインへのSCF(高圧流体)の逆流を防止する観点からすれば、注入バルブ34の代わりに逆止弁を設けることも考えられる。しかしながら、逆止弁を用いた場合、薬液ラインの薬液圧力が高圧配管26内のSCF側圧力よりも大きくなるという開成条件が満足されると、如何なる装置状態であっても薬液が高圧配管26に供給されてしまう。そのため、例えばプロセス条件などに応じてSCFの圧力を変化させている間に、上記開成条件が満足されてしまうと、薬液が高圧配管26に流れ込んでしまい、プロセス条件の変更を良好に行うことが困難となる。また、このような問題は、メンテナンスなどの都合により高圧配管26から意図的にSCFを抜き取る場合、あるいは機械的および制御的なトラブルにより高圧配管26内の圧力が低下する場合にも生じる。これに対し、本実施形態では、コントローラ5が高圧流体圧力値と薬液圧力値とをモニターしながら、該圧力値に基づき注入バルブ34を開閉制御し、これによって薬液注入および注入停止が制御される。したがって、プロセス条件の変更時やメンテナンス時などにおいて、コントローラ5が注入バルブ34を適切に制御することで薬液注入が不適切に実行されるのを未然に、しかも確実に防止することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、分岐位置BPでの高圧流体圧力を検知しているが、図4に示すように、分岐位置BPに対する一次側での高圧配管26内における高圧流体の圧力を検知するようにしてもよい。つまり、SCF側圧力計27を分岐位置BPに対し高圧ポンプ22側(同図の左手側)に設けて分岐位置BPの上流側圧力を検知するようにしてもよい。この場合、SCF側圧力計27により検知される高圧流体圧力値P1は分岐位置BPでの高圧流体圧力値Pbpよりも常に若干高くなる。というのも、高圧配管26を高圧流体に流通する間に圧損が発生するからである。したがって、薬液ライン内の薬液圧力値が高圧流体圧力値P1と同一となった時点で注入バルブ34を開いたとしても、その薬液圧力値は分岐位置BPでの高圧流体圧力値よりも高くなっており、逆流を確実に防止することができる。また、高圧流体側の圧力検知位置を分岐位置BPに対する一次側とすることでSCF側圧力計27の配置に対する設計自由度を向上させることができる。
また、上記実施形態では、基板を1枚ずつ処理する枚葉方式の処理装置に対して本発明を適用しているが、複数枚の基板を同時に処理する、いわゆるバッチ方式の処理装置に対しても本発明を適用することができる。また、上記実施形態では、1つの薬液供給部3を設けた高圧処理装置に対して本発明を適用しているが、複数の薬液供給部を備えた高圧処理装置に対しても本発明を適用することができる。
高圧流体に薬液を注入して処理流体を得るとともに、該処理流体を半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、光ディスク用基板などの被処理体の表面に接触させて洗浄、現像、エッチングなどの表面処理を施す高圧処理装置や高圧処理方法に適用できる。
1…圧力容器
11…処理チャンバー
22…高圧ポンプ
26…高圧配管
27…SCF側圧力計(第1圧力検知手段)
31…分岐配管
33…送液ポンプ
34…注入バルブ
35…流量計(流量検知手段)
36…薬液側圧力計(第2圧力検知手段)
37…ドレン配管
38…ドレンバルブ
BP…分岐位置
DP…ドレン位置
11…処理チャンバー
22…高圧ポンプ
26…高圧配管
27…SCF側圧力計(第1圧力検知手段)
31…分岐配管
33…送液ポンプ
34…注入バルブ
35…流量計(流量検知手段)
36…薬液側圧力計(第2圧力検知手段)
37…ドレン配管
38…ドレンバルブ
BP…分岐位置
DP…ドレン位置
Claims (4)
- 高圧流体と薬液との混合物を処理流体として被処理体の表面に接触させて前記被処理体の表面に対して所定の表面処理を施す高圧処理装置において、
その内部に前記表面処理を行うための処理チャンバーを有する圧力容器と、
前記処理チャンバーに連通される高圧配管を介して高圧流体を前記処理チャンバーに圧送する高圧ポンプと、
前記高圧ポンプと前記処理チャンバーとの間に設けられた分岐位置で前記高圧配管から分岐する、分岐配管を介して薬液を前記分岐位置に向けて送液する送液ポンプと、
前記分岐位置と前記送液ポンプとの間で前記分岐配管に設けられ、開閉駆動することで前記分岐位置への薬液の注入および注入停止を制御する注入バルブと、
前記分岐位置または前記分岐位置に対する一次側での前記高圧配管内における高圧流体の圧力を検知する第1圧力検知手段と、
前記注入バルブと前記送液ポンプとの間での前記分岐配管内における薬液の圧力を検知する第2圧力検知手段と、
前記第2圧力検知手段により検知された薬液圧力値が前記第1圧力検知手段により検知された高圧流体圧力値以上となったことを確認した上で、前記注入バルブを開いて前記高圧流体に薬液を注入して前記処理流体を得る制御手段と
を備えたことを特徴とする高圧処理装置。 - 前記注入バルブと前記送液ポンプとの間での前記分岐配管内を流れる薬液の流量または流速を検知する流量検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記注入バルブを開くと、前記流量検知手段による検知結果に基づき前記送液ポンプを制御して単位時間当たりに前記分岐位置に送液される薬液量を調整する請求項1記載の高圧処理装置。 - 前記注入バルブと前記送液ポンプとの間に設けられたドレン位置で前記分岐配管から分岐する、ドレン配管に設けられ、開閉駆動することで前記注入バルブと前記送液ポンプとの間で前記分岐配管に存在する薬液の排液および排液停止を制御するドレンバルブをさらに備え、
前記制御手段は、前記注入バルブを閉じることで前記高圧流体への薬液の注入を完了した後で、前記ドレンバルブを開閉制御して前記薬液圧力値を常圧に調整する請求項1または2記載の高圧処理装置。 - その内部に処理チャンバーを有する圧力容器と、前記処理チャンバーに連通される高圧配管を介して高圧流体を前記処理チャンバーに圧送する高圧ポンプと、前記高圧ポンプと前記処理チャンバーとの間に設けられた分岐位置で前記高圧配管から分岐する、分岐配管を介して薬液を前記分岐位置に向けて送液する送液ポンプと、前記分岐位置と前記送液ポンプとの間で前記分岐配管に設けられ、開閉駆動することで前記分岐位置への薬液の注入および注入停止を制御する注入バルブとを備えた高圧処理装置において、前記分岐位置で高圧流体に薬液を注入して処理流体を得るとともに、該処理流体を前記処理チャンバーに導入することで前記処理チャンバー内の被処理体の表面に接触させて前記被処理体の表面に対して所定の表面処理を施す高圧処理方法であって、
前記分岐位置または前記分岐位置に対する一次側での前記高圧配管内における高圧流体の圧力を検知する第1工程と、
前記注入バルブを閉じたまま前記送液ポンプを作動させながら、前記注入バルブと前記送液ポンプとの間での前記分岐配管内における薬液の圧力を検知する第2工程と、
前記第1工程により検知された高圧流体圧力値と前記第2工程により検知された薬液圧力値とを比較し、前記薬液圧力値が前記高圧流体圧力値以上となったことを確認した上で、前記注入バルブを開いて前記高圧流体に薬液を注入させる第3工程と
を備えたことを特徴とする高圧処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005271326A JP2007087986A (ja) | 2005-09-20 | 2005-09-20 | 高圧処理装置および高圧処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005271326A JP2007087986A (ja) | 2005-09-20 | 2005-09-20 | 高圧処理装置および高圧処理方法 |
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2007087986A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021044457A (ja) * | 2019-09-12 | 2021-03-18 | 東京エレクトロン株式会社 | 基板処理装置の洗浄方法及び基板処理システム |
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2005
- 2005-09-20 JP JP2005271326A patent/JP2007087986A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021044457A (ja) * | 2019-09-12 | 2021-03-18 | 東京エレクトロン株式会社 | 基板処理装置の洗浄方法及び基板処理システム |
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Legal Events
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