JP2007087954A - 電子スピン偏極検出の方法および配置 - Google Patents

電子スピン偏極検出の方法および配置 Download PDF

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Abstract

【課題】写像する電子顕微鏡の光学コラム内、または電子分光計のビーム出射口後部において、スピン偏極を分析するための方法と、その方法を実施するための適切なシステムを提供する。
【解決手段】散乱電子を検出するため、光電子の光学経路上に偏光感度を有する散乱ターゲット(1)と位置敏感型検出器、または複数の検出器からなる配置を含んでいる。その際、分析される電子線スピン偏極の横の位置分布も同時検出され、それによって、スピン偏極検出器の測定効率は、1〜2段階向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、同時写像する電子顕微鏡の電子スピン偏極を分析するための2つの方法と、該当するシステムに関するものである。各システムは、散乱電子検出のため、光電子光学経路上に偏光感度を有する錯乱ターゲットと位置敏感型検出器、もしくは複数の検出器から構成される配置を含んでいる。
電子線のスピン偏極を分析するには、スピン依存性モット散乱、低速電子線回折または低速電子線散乱、並びに強磁性体ターゲットへの交換散乱など様々な方法が知られている。その概説は、J. Kessler によって書かれている[“Polarized Electrons”, 1st Edition, Springer Verlag, Berlin]。電子スピン偏極分析の重要な用途は、電子顕微鏡の分野(例えば、J. Kirschner [“Polarized Electrons at Surfaces”,Springer Tracts in Mod. Phys. Vol. 106, Berlin(1985)]を参照)および磁気プローブ顕微鏡([H. Hopster und H.P Oepen (Hrsg.) “Magnetic Microscopy of Nanostructures”, Springer, Berlin (2005)] )の分野である。周知の例として、偏極分析による走査型電子顕微鏡あるいはスピン分解光電子分光がある。磁気プローブの場合、分析される電子のスピン偏極には、検査試料の磁化構造に関する重要な情報が含まれている。スピン偏極の高さは、関連する試料磁化の尺度である。さらに、電子スピン偏極ベクトルの方向と試料の局所磁化の方向との間には、直接的な相関関係が存在する。従って、スピン分解写像は、強磁性体試料の磁区構造を直接写したり、あるいは、例えば超高速励起プロセスの磁化特性といった運動力の作用を、時間的に分解しながら追跡したりするのに適している。
従来までのスピン偏極分析装置は、いずれも、使用されたスピン依存散乱プロセスが、電子強度の大幅な損失を特徴とするという点に根本的問題がある。もっとも広く拡散するプロセスやモット散乱、および低速電子線回折の場合、強度損失はおよそ3段階に及ぶ。さらに分析力(非対称機能A)がこれに加わるが、これは100%より遥かに小さい。典型的な値は25%程度であるため、いわゆる品質関数A2lは、典型値の10−4にしかならない。その結果、非常に長い計測時間が生じる。すなわち、多くの場合、小さな信号強度ではスピン分解測定は不可能である。
本発明は、請求項1および8に準拠する方法の特徴により、顕微鏡および分光実験における偏極分析の効率を、偏極分布の同時検出によって高めるという課題を解決する。このことから、スピン分解の同時画像が可能となる。すなわち、スピン偏極の横の位置分布は、電子線を解析することによって検出可能である。典型的な顕微鏡実験においては、計測効率が2段階以上も向上し、分光実験では1段階以上向上する。この方法は、高エネルギー電子線(運動エネルギー > 10 keV)にも、また低エネルギー電子線(運動エネルギーが稀少eV 〜100 eV 位まで)にも適している。第1の場合、スピン偏極分析はモット散乱またはメラー散乱の周知の原則に従って行われ、一方、第2の場合には低速電子線回折または強磁性体ターゲットへの交換散乱が利用される。従来の方法と比べて、本発明に基づいた方法の有利な点は、電子顕微鏡においてはスピン分解(すなわちスピンフィルター)像のダイレクトな同時写像が可能になることであり、また分光においては散乱電子または光電子のスピン分解の角度分布もしくはエネルギー分布を同時に検出することが可能になることである。
以下に、本発明の様々な実施方法および適用例を、図による見本を示しながら、より詳しく説明する。
発明に基づく位置敏感型スピン偏極の有利な実施方法は、同質の表面をもつターゲットでのスピン依存散乱により、散乱全体、とくに散乱における電子の側面分布のスピンフィルタリングが達成されることを利用する。同質のターゲット表面は、明確な結晶方位をもつ単結晶に、適切な準備を施すことによって得られる。最適な例は、(100)方位をもつWolfram単結晶の表面である。その他には、原子番号の高い素材による整った(エピタキシャルの)層を、適切な基板の上に蒸着させる方法がある。モット散乱または分散した低速電子線回折には、十分に同質の微晶性構造をもつ多結晶層を使用することができる。図1は、非対称配列で同時写像する電子顕微鏡の光電子コラム内において、この実施方法を描いた図である。入射ビームは、第1トランスファーレンズ(2)を介して散乱ターゲット(1)に写像され、散乱または回折の後、第2トランスファーレンズを介して画面上もしくは中間画面(4)上に写像される。図1およびそれ以降の図は、模式的に簡略化されている。実際には、トランスファーレンズは、さらに多くのレンズエレメントから成り、中間画面(4)の後部には、さらに拡大を行うためのレンズ(投影)が取り付けられている。
図に描かれた配列において、Pで示されているスピン偏極ベクトルの成分は、図面に対して垂直に解析される。単結晶の散乱ターゲットの場合、回折角度はエネルギーに依存する。適切な散乱エネルギーの場合、選択された回折反射のために、周辺ビーム(7)によって制限される入射光線束が、アパーチャ(9)を通過することができるように回折される。このことは、中心ビーム(6)と周辺ビーム(8)とによって表されている。高すぎる散乱エネルギーまたは低すぎる散乱エネルギーをもつ電子、ならびに非弾性または拡散性の散乱電子は、アパーチャ(9)によって遮断され、画面(4)に現れる像には影響しない。これは、低すぎるエネルギーに対応する周辺ビーム(10)によって明瞭化されている。この配置は、入射ビームのエネルギー範囲が低速電子線回折によるスピン分析には大きすぎる場合にとりわけ有効である。この配列での実例は、104.5eVの散乱エネルギーでのWolframの(100)表面の回折、および(2.0)ビームの偏極感受性の使用である。解析力は、約27%である [J. Kirschner, ”Polarized Electrons at Surfaces”, 第3章1.1]。
多結晶層での拡散する散乱の場合、または高エネルギーでのモット散乱の場合、回折反射は発生せず、エネルギー分散の効果はない。この場合、アパーチャ(9)は写像のために使用される散乱角度範囲の選択および非弾性的に散乱した電子を区別する役割を果たす。トランスファーレンズ(2)の像距離に対する散乱ターゲット上のビーム直径の割合は、中間像の焦点距離が斜めに配置された散乱ターゲット上で十分な大きさを持つように選択される。トランスファーレンズ(3)は、この場合、散乱ターゲットの表面に対して垂直に配置されている。バーニア調整のため、散乱ターゲット(1)は傾けることができ、その表面法線(12)を中心として回転することができる。
図2a は、入射度=出射角度という条件が満たされている、対称配列における模式図である。この場合の写像には、(0.0)ビームとも呼ばれるミラービームが成功した。エネルギー分散は皆無である。表面法線(12)は、低く指示されたターゲット結晶の方向と一致する。この配列での実例は、約30eVまたは7eVの散乱エネルギーでのWolframの(100)表面の回折、および(0.0)ミラービームの偏極感受性の使用である。アパーチャ(11)は、写像のために使用される散乱角度範囲を制限する働きがある。単結晶またはエピタキシャル層での回折の場合、ターゲット結晶は、(0.0)ビームに鏡のように作用する。拡散する散乱(多結晶層またはモット散乱)の場合、(2)と(3)両方のトランスファーレンズの焦点深度は、斜めに配置された散乱ターゲットに関して十分な大きさがなくてはならない。
その他に、スピン感受性を有する散乱ターゲットとして強磁性体層を使用することもできる。この場合、スピンフィルター作用は交換散乱に基づいている [R. Bertacco, D. Onofrio, F. Ciccaci, Rev. Sci. Instrum. 70 (1999) 3572]。図2(b) は、強磁性体の散乱ターゲット(1)の模式図である。この散乱ターゲット(1)は磁気ヨーク(13)の上に取り付けられており、電流を使って磁化コイル(14)を介して磁化することができる。さらに、図面に垂直に第2のコイルを取り付けることが可能である。これによって、図面に対して平行な、あるいは垂直な方向 (MpまたはMs) に磁化を調整することができる。これらのベクトルは、スピン偏極分析のための量子化方向を決定する。
図3a-cは、達成可能なエネルギー分解および角度分解の量的評価にとって重要なパラメータを示している。電子顕微鏡のコントラスト絞り(15)とその散乱ターゲットからの距離によって決定される図3aの視角Δαは、放射電子顕微鏡では1mradより小さい(高解像度での典型は0.2mradより小さい)。規定エネルギーE0のエネルギー変動ΔEによって、角度変化Eεが生じる。Δε=Δαによって、両方の放射円錐がオーバーラップを始める。これが、散乱エネルギー104.5eVの場合に、ΔE<500meV(高解像度<100meVの場合)へと、達成可能なエネルギー分解を制限する。
図3bは、拡散する低速電子線散乱または高エネルギーでのモット散乱の場合を示している。アパーチャ(11)は、写像される散乱角度を決定する。アパーチャの直径は、散乱ターゲット(1)の各点から始まる散乱円錐の受容角を規定する。トランスファーレンズ(3)の色収差により、アパーチャ(11)はさらにエネルギーフィルターとしても作用する。
図3c は、周辺ビーム(7)の発散によって生じる散乱ターゲット上の角度ヴァリエーションを示している。ビームの広がり角Δθは、単結晶での回折の場合に最大約35mradになり、これは非対称機能が強い角度依存性を示すためである[J. Kirschner, “Polarized Electrons at Surfaces”, 第3章1.1を参照]。このことから、トランスファーレンズ(2)の画像幅は、散乱ターゲット上のビーム直径Dに応じて十分に大きくなければならない。拡散する低速電子線散乱および高エネルギーでのモット散乱の場合、角度間隔はこれよりもさらに大きくならなくてはならない。というのも、角度依存性がより少ないためである [モット散乱に関しては、J. Kessler, “Polarized Electrons”, 第 3 章 5.1 を参照]。ここでは、Δθ>200 mrad までの値が可能である。
図3d に、顕微鏡の光学経路の例を示す。ここではアパーチャ(11)が、開口角度も、散乱角度も制限している。
特殊な実施方法では、ビームガイドに磁場(16)を用いる。図4aおよびb に、2つの可能な配置を示す。同様の磁場は、低エネルギー電子顕微鏡に用いられる [E.Bauer “LEEM-Basics”, Surf. Rev. Lett. 5 (1998) 1275]。この実施方法の有利な点は、入射ビーム(7)および散乱ビーム(8)の両方が表面法線(12)に対して平行、あるいはほぼ平行になることである。トランスファーレンズ(17)は、非常に小さな散乱エネルギーを実現するために、液浸レンズとして働かせることができる。この配置の実例は、2eV程度の散乱エネルギーとミラービームの偏極感受性を用いた場合、コバルトの(0001)表面での回折である。図4aの配置は、2回にわたる90°偏向によって、電子顕微鏡の直線状のコラムが全体的に保たれるという有利な点がある。
位置敏感型スピン偏極検出器は、またエネルギーフィルター電子顕微鏡にも用いることができる。この場合、散乱エネルギーフィルターによっても、またブロックタイムフィルタリングによってもエネルギー選択が可能である。
電子分光計のスピン偏極分析のための、発明に基づいた配置は、様々な入射エネルギーや入射角をもつ電子の、分光計の出射スリット部分における空間的な距離間隔を利用する。
図5は、静電半球型分析器と組み合わせた、発明に基づく配置であり、外球(19)、内球(20)、入射スリット(21)および出射スリット(22)から成る。散乱ターゲット(1)は、分析器後部の光学経路内にある。図に示された実施方法では、ビームがトランスファーレンズ(2)を通って散乱ターゲット(1)に写像され、トランスファーレンズ(3)を通って位置敏感型検出器(18)に写像される。アパーチャ(11)は、散乱角範囲を制限し、非弾性散乱電子を区別する働きがある。
エネルギースペクトルの多チャンネル偏極分析を図5aに示す(視野方向は、分散面に対して垂直)。エネルギーの拡散した電子線(23)は、最初のトランスファーレンズ(2)を通過して散乱ターゲット(1)に写像される。散乱後、スピンフィルターされたビームは、2番目のトランスファーレンズ(3)を通り、位置敏感型電子検出器(18)に写像される。検出器上での衝突地点の違いは、エネルギーの違いと一致している。そのため、スピンフィルターされたエネルギースペクトルが同時に得られる。典型的なエネルギー間隔は、1eV(高解像度の分光)から数10eVまでの範囲にある。2eVのエネルギー間隔および25meVの選択エネルギー分解に関しては、最良の場合で、多チャンネル検出による計測効率の利益がファクター80になる。実際には、トランスファーレンズ(2)と(3)の不完全な写像(色収差)によって、検出器上で解像される点の数は制限される。大きなエネルギー間隔には、高エネルギーでのモット散乱の原則が有利に働く。その理由は、低速電子線回折が強いエネルギー依存性を示すからである。約3eVまでのエネルギー間隔は、低速電子線回折により同時に分析され得る。
角度分布の多チャンネル偏極分析を、図5bに示す(分散面の視野方向)。入射角に関して拡散した電子線(24)は、トランスファーレンズ(2)を通って散乱ターゲット(1)へ写像され、その後、図に表示されていないトランスファーレンズ(3)を通って位置敏感型検出器(18)に写像される。この場合、検出器上における電子の衝突地点の違いは、角度の違いに一致している。従って、スピンフィルターされた角度分布が同時に得られる。半球型分析器の典型的な角度間隔は、中心電子線から±180mradの範囲にある。選択角度分解9mradでは、多チャンネル検出による計測効率の利益は、この場合、ファクター40に規定されている。エネルギー分析器の入射レンズは、放射角範囲の代わりに、試料上の層状部分が同時に分析できるように作動させることもできる。
図5cでは、エネルギー拡散面および角度拡散面が互いに垂直となっている。このことから、先に挙げた2つの方式を二次元の多チャンネル検出と組み合わせることが可能である。この場合、原則的に計測効率の利益は3段階アップする。しかしながら、使用可能な散乱ターゲットの角度受容およびエネルギー受容とトランスファーレンズの写像エラーとによって、実質的には限度がある。分かりやすくするために、図5(a)におけるエネルギー間隔の光線束(23)と図5bにおける角度間隔の光線束(24)は、それぞれ5本の電子線だけで表示されている。さらに、電子の軌道は破線のみで示されているだけだが、実際には、分析器内における光線束の広がりは有限である。
とりわけ簡単な実施方法を用いた場合は、トランスファーレンズ(2)を省略して散乱ターゲットを分光器の出射スリット(22)のすぐ後ろに取り付けることが可能である。この発明に基づく実施方法を図6aに示す。この場合の散乱エネルギーは、分光器の電子運動エネルギー(パスエネルギー)に等しいか、もしくはほぼ等しくなる。この実施方法の実例は、30eVまたは7eVあたりの散乱エネルギーにおけるWolframの(100)表面での回折およびミラービームの偏極感受性の使用である。位置敏感型検出器(18)を散乱ターゲット(1)の極めて近くに配置すれば、トランスファーレンズ(3)も省略することが可能である。この発明に基づく実施方法を図6bに示す。この場合、アパーチャ(11)によるエネルギー選択はない。従って、例えば遅延板(25)など、非弾性散乱電子を抑制する装置を位置敏感型検出器(18)の前に取り付ける必要がある。
実際には、低速電子線回折を用いることによって、約3eVまでのエネルギー間隔を同時に検知することができる。有効なエネルギー間隔を広げるために、セグメントに分割した散乱ターゲット(26)を取り付けることができる。この実施方法を図6cに示す。(26)の個々のセグメントは、入射ビームのエネルギーバリエーションを均一化するために、様々な電圧で作動させることができる。最上位のセグメントは、電圧U1であり、最下位のセグメントは電圧U2である。その中間にあるセグメントの電圧は、線形の分圧器に応じて、最上位と最下位の値の中間にある。U1とU2を適切に選択することによって、エネルギーの拡散した光線束(23)の全電子を、同じエネルギーでセグメントに分割された分散ターゲットに衝突させることができるようになる。各セグメントの電気絶縁性を伴ったセグメント化は、散乱ターゲットとしてエピタキシャル層を用いることにより達成される。最良のエピタキシャル層の例は、(1120)方位のサファイア基板に、(110)方位のWolframである。図1〜6における光電子の光学経路は、すべて模式的に簡略化されている。
非対称配列における、電子顕微鏡のコラム内散乱ターゲットでのモット散乱もしくは低速電子線回折に基づく、電子スピン偏極の位置敏感型分析の配置図である。 対称な45°配列における、電子顕微鏡のコラム内散乱ターゲットでのモット散乱 または低速電子線回折 (a) もしくは交換散乱 (b) に基づく、電子スピン偏極の位置敏感型分析の配置図である。 角度分解およびエネルギー分解を定義するための模式図である。 直交配列 (a) および非直交配列 (b) において、磁場使用下における電子顕微鏡コラム内での図1に基づく配置図である。 1Dエネルギー範囲 (a)、1D角度範囲または位置範囲 (b)、もしくは2Dエネルギーおよび角度範囲 (c) を同時検出するための電子分光計のビーム出射後部における、電子スピン偏極の位置敏感型分析の配置図である。 電子分光計のビーム出射後部における、電子スピン偏極の位置敏感型分析に有利な構成である。この分光計の場合、第1トランスファーレンズ (a) または両方のトランスファーレンズ (b) を省略することが可 能である。または、より大きな電子のエネルギー範囲もしくは角度範囲を同時 に検出可能とするため、散乱ターゲットがセグメントに分割されている (c)。
符号の説明
1 スピン偏極分析の散乱ターゲット
2 第1光電子トランスファーレンズ
3 第2光電子トランスファーレンズ
4 画面または中間画面
5 入射ビームの光電子軸
6 散乱ビームの光電子軸
7 像の周辺ビーム
8 選択エネルギー(規定エネルギー)の光学経路
9 エネルギー選択のためのアパーチャ
10 低エネルギーの光学経路
11 散乱角度範囲を制限するためのアパーチャ
12 表面法線
13 磁気ヨーク
14 磁化コイル
15 顕微鏡のコントラスト絞り
16 ビーム変動のための磁場
17 光電子トランスファーレンズ
18 散乱電子の位置敏感型検出器
19 エネルギー分析器の外球
20 エネルギー分析器の内球
21 エネルギー分析器の入射スリット
22 エネルギー分析器の出射スリット
23 平行分析されるエネルギー間隔の光線束
24 平行分析される角度間隔の光線束
25 非弾性散乱電子を抑制するための遅延板
26 セグメントに分割された散乱ターゲット
Δαθ 入射する中心ビームの広がり角
Δθ 入射する電子線の周辺ビームの広がり角
D 散乱ターゲットのビーム直径
E 電子エネルギー
Φ 電子分光計内の角度
P 偏極ベクトルの分析成分
Mp 強磁性体散乱ターゲット磁化の平行成分
Ms 強磁性体散乱ターゲット磁化の垂直成分
B 図面に対して垂直である磁場

Claims (21)

  1. 偏光感度を有する散乱ターゲットを含み、同時写像する電子顕微鏡の光学経路における電子スピン偏極の位置敏感型の分析方法と光電子ビームガイドのための配置。その際、偏光感度を有する散乱ターゲットを介して、ビーム内電子スピン偏極度の横の分布が同時分析され、顕微鏡の画像検出器上に確認できるようになっている。
  2. スピンフィルターされた試料の光電子像が蛍光板または顕微鏡の画像検出器上に写像されるように、散乱ターゲットおよびビームガイドが配置され、調整されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. スピンフィルターされた光電子の回折像、すなわち試料から放射された電子のスピンフィルター分散が、蛍光板または顕微鏡の画像検出器上に写像されるように、散乱ターゲットおよびビームガイドが配置され、調整されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. エネルギーフィルターまたはブロックタイムフィルターされた電子を横に分解して分析することを特徴とする、前述の1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  5. ビームガイドのための配置に、磁場または電場を含むことを特徴とする、前述の1つまたは複数の請求項に記載の方法を実施するための配置。
  6. ビームガイドのための配置が、丸い光電子レンズによって構成されることを特徴とする、前述の1つまたは複数の請求項に記載の方法を実施するための配置。
  7. 散乱ターゲットが、中間画面、回折部分内もしくは近くに配置されているか、または平行なビームガイド付近に配置されていることを特徴とする、前述の1つまたは複数の請求項に記載の方法を実施するための配置。
  8. 偏光感度を有する散乱ターゲットと位置敏感型分析器を含む、電子分光計ビーム出射口後部の光学経路における位置敏感型電子偏極分析の方法。その際、偏光感度を有する散乱ターゲットを介して、電子スピン偏極度の横の分布が、分光計のビーム出射口後部で同時に分析され、位置敏感型検出器上で確認できるようになっている。
  9. 電子分光計ビーム出射口後部のトランスファーレンズによって、電子が散乱ターゲット上に写像されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 散乱ターゲット後部のトランスファーレンズによって、電子が位置敏感型検出器上に写像されることを特徴とする、請求項8および9のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  11. エネルギー間隔の範囲内で、スピン偏極分布が1次元多チャンネル検出法において同時分析されることを特徴とする、請求項8〜10のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  12. 角度間隔の範囲内で、スピン偏極分布が1次元多チャンネル検出法において同時分析されることを特徴とする、請求項8〜10のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  13. 層状になっている試料の位置間隔の範囲内で、スピン偏極分布が1次元多チャンネル検出法において同時分析されることを特徴とする、請求項8〜10のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  14. エネルギーと角度(または位置)間隔の範囲内で、スピン偏極分布が2次元多チャンネル検出法において同時分析されることを特徴とする、請求項8〜10のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  15. 散乱ターゲットが様々な電位をもつ複数のセグメントから構成され、それにより単結晶散乱ターゲットでの低速電子線回折を用いた、より大きなエネルギー間隔および角度間隔の同時分析が可能であることを特徴とする、請求項8〜14のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法を実施するための配置。
  16. 散乱電子の角度間隔とエネルギー間隔とを制限するために、散乱ターゲット後部のトランスファーレンズの光学経路にアパーチャを取り付けていることを特徴とする、請求項1〜15のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法を実施するための配置。
  17. 位置敏感型検出器が、散乱電子を、個々のカウント数として、電流として、あるいは明るさの分布として蛍光板上に検出することを特徴とする、請求項1〜15のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  18. 偏極分析に利用される散乱の非対称性が、原子番号の高い散乱ターゲットでの周知のモット散乱原則に基づいていることを特徴とする、請求項1〜17のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  19. 偏極分析に利用される散乱の非対称性が、単結晶や多結晶の散乱ターゲットもしくは薄い層でのスピン依存性低速電子線回折 (または散乱) の周知の原則に基づいていることを特徴とする、請求項1〜17のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  20. 偏極分析に利用される散乱の非対称性が、強磁性体散乱ターゲットもしくは薄い強磁性体層での交換散乱の周知の原則に基づいていることを特徴とする、請求項1〜17のうち、1つまたは複数の請求項に記載の方法。
  21. 強磁性体散乱ターゲットもしくは強磁性体層の磁化方向が、磁化装置によって電極交換するか、または90°回転することにより、スピン偏極ベクトルの2つの直交成分を分析することができるのを特徴とする、請求項20に記載の方法。
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