JP2007084582A - 孔版印刷用インキおよび孔版印刷方法 - Google Patents

孔版印刷用インキおよび孔版印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 インキが低粘度であっても被印刷体へのインキ転移量を制御することができ、画像性、乾燥性に優れた印刷物を得ることができる孔版印刷用インキ、および、そのインキを用いた孔版印刷方法を提供する。
【解決手段】 23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおけるインキ粘度が500mPa・s以下であり、23℃においてインキから直径15mmのクロム鋼球を150mm/sで引き上げたときのインキ曳糸長が30mm以上であり、かつ、ロスマイルス法により測定した泡高さが20mm以下である孔版印刷用インキとする。
回転自在でその外周壁の表面に孔版原紙が装着されるドラムと、このドラムの前記外周壁の最大印刷エリアより印刷上流側からインキを供給するインキ供給手段と、給紙された印刷媒体を前記外周壁に押圧するプレスロールと、インキを回収するインキ回収手段とを備えた孔版印刷装置と上記インキを用いて、孔版印刷を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、孔版原紙(マスター)が装着されたドラムに印刷媒体を押圧しつつ搬送して、孔版原紙の穿孔より滲み出るインキを印刷媒体に転移させる孔版印刷装置に好ましく用いられる孔版印刷用インキ、およびそのインキを用いた孔版印刷方法に関する。
孔版印刷方式は、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷のような印刷方式に比べて、使用後に洗浄等の煩雑な作業を行う必要がない、専門のオペレーターを必要としない等の操作性の良さ、簡便性を備えている。サーマルヘッドをデバイスとして用いる感熱製版方式を用いて以来、孔版印刷方式において画像処理のデジタル化が図られるようになり、高品位の印刷物を短時間で簡便に得られるようになったため、情報処理端末としてもますますその利便性が認められている。
孔版印刷用インキとしては、従来から一般に油中水(W/O)型エマルションインキが使用されている。W/O型エマルションインキは、印刷機を非使用状態に放置したときに、印刷機内部のインキが大気と接触していても、インキの成分構成や物性の変化を抑制する機能を有している。すなわち、エマルションインキの内相成分である水は、外相成分である油によって覆われているため、その蒸発が抑制されている。
W/O型エマルションインキにより印刷された印刷物におけるインキの乾燥は、インキが被印刷体(印刷媒体)である印刷用紙の紙繊維の間へ浸透することと、紙繊維との接触によりエマルションが油相と水相に徐々に分離して、インキの主成分である水が大気と接触して蒸発することとにより進行すると考えられている。しかし、被印刷体に転移したインキ中の水は、印刷後の短時間のうちには大気と接触することができないため、印刷直後の乾燥性は浸透乾燥に頼ったものとなるところ、W/O型エマルションインキの粘度はある程度高く設計されているため浸透速度は速くなく、印刷直後のインキ乾燥性は充分とはいえなかった。
印刷物の乾燥を速めることは、孔版印刷にとって極めて重要な課題である。印刷物が乾燥しないと作業者はその印刷物を取り扱うことができず、孔版印刷の「短時間で高品質の印刷物を得る」利点が充分に活かされないからである。
そこで、印刷物の乾燥性を高めるために様々な改良がなされており、たとえば、紫外線照射により定着乾燥する孔版印刷用紫外線硬化型インキが知られている(特許文献1)。また、環境保全性、安全性の観点から孔版印刷用の水性インキが開発されており、印刷直後の印刷面に塩基を加えて水性インキの紙への浸透性を高める孔版印刷方法が知られている(特許文献2)。
一方、本出願人は、新たな印刷システムに基づく印刷装置を開発している(特許文献3、特許文献4)。これらの装置においては、インキは、印刷モード時に、ドラム外周壁の上流に設けられたインキ供給部からドラム外周壁の表面に供給されるようになっており、従来の装置のように、開放系のインキ溜まり等においてインキが放置された状態に置かれることがない。つまり、ドラムに供給されたインキはドラムの外周壁と孔版原紙の間の略密閉空間に保持され、大気との接触が最低限に抑えられる。
したがって、この新しい装置では、孔版印刷装置内におけるインキ中の水分の蒸発やインキの変質が防止され、その結果、乾燥性に優れ、印刷直後に取り扱っても画像が擦れることのない高品質な印刷物を提供することができるというメリットがある。
特開2002−30238号公報 特開2001−302955号公報 特開2004−122712号公報 特開2005−53209号公報
しかし、上記特許文献1および2に開示された、化学反応による乾燥方式を利用した場合、硬化エネルギーの照射装置や反応液の塗布装置、そのためのエネルギー等が必要とされ、また高価な原材料をインキ中に含有させる必要もあった。
また、孔版印刷においては、孔版原紙と印刷用紙とが押し当てられた時の印刷圧力により、インキは孔版原紙の穿孔部を通過して印刷用紙表面へと転移するので、仮に印刷用紙へのインキの浸透速度を速めるためにインキの粘度を低くすると、インキは穿孔部を通過しやすくなってインキ転移量が過剰となり、細字や細線などが滲んで繊細な画像が得られないとともに乾燥性が悪い、という問題があった。
上記特許文献3および4に開示された新しい印刷装置では、製版済みの孔版原紙が装着されたドラムの版胴とプレスロールとの間に印刷媒体(印刷用紙)を供給して、このプレスロールによって印刷媒体をドラムの外周壁に押圧しながら、つまり印刷圧力をかけながら印刷媒体にインキを転移するようになっている。印刷後の印刷媒体は、ドラムの回転とともに印刷圧力から開放され、剥離される。インキは、印刷方向の上流から供給され、上記プレスロールの押圧を受けて外周壁と孔版原紙との間でしごかれながら、下流側に拡散され、インキ回収手段により回収されるようになっている。
しかし、このインキの回収が充分に行われない場合があり、その結果、孔版原紙の後端部から未回収のインキが漏れ出て印刷物を汚してしまうという、従来の装置にはない、特有の問題があることがわかってきた。
そこで、本発明は、インキが低粘度であっても被印刷体へのインキ転移量を制御することができるとともに、上記の新しい孔版印刷装置を用いた場合にインキの回収不良が発生せず、それにより画像性、乾燥性に優れた印刷物を得ることができる孔版印刷用インキ、および、そのインキを用いた孔版印刷方法を提供することを目的とする。
本発明は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおけるインキ粘度が500mPa・s以下であり、23℃においてインキから直径15mmのクロム鋼球を150mm/sで引き上げたときのインキ曳糸長が30mm以上であり、かつ、ロスマイルス法により測定した泡高さが20mm以下である孔版印刷用インキに関する。
別の本発明は、回転自在でその外周壁の表面に孔版原紙が装着されるドラムと、このドラムの前記外周壁の最大印刷エリアより印刷上流側からインキを供給するインキ供給手段と、給紙された印刷媒体を前記外周壁に押圧するプレスロールと、インキを回収するインキ回収手段とを備えた孔版印刷装置(以下、これを「RK装置」ともいう。)を用い、製版済みの孔版原紙を装着したドラムを回転させながらプレスロールで押圧することによって、製版済みの孔版原紙の穿孔部からインキを通過させて印刷媒体に転移させる孔版印刷方法であって、前記インキとして、上記本発明に係る孔版印刷用インキを使用する孔版印刷方法に関する。
本発明に係る孔版印刷用インキは、低粘度であっても、インキ曳糸長が特定値以上となっているので、被印刷体へのインキの転移量を制御することができ、その結果、細字や細線などが繊細に表現され、かつ、乾燥性に優れた画像を提供することができる。
さらに、本発明に係る孔版印刷用インキは、その泡高さが制限されたインキとなっているので、RK装置を使用する印刷に用いた場合に、インキ回収部における回収不良が抑制されて、未回収インキによる汚れのない印刷物を提供することができる。
本発明に係る孔版印刷用インキ(以下、孔版印刷用インキを単に「インキ」ともいう。)は曳糸性を有するものであり、具体的には、23℃においてインキから直径15mmのクロム鋼球を150mm/sで引き上げたときのインキ曳糸長が30mm以上であることが好ましく、40mm以上であることがより好ましく、50mm以上であることが一層好ましい。
曳糸長の測定は、具体的には、図24に示したような測定機器を用いて行うことができる。この測定機器は、インキの入った容器201、直径15mmのクロム鋼球202、ステッピングモータ203、ベルト204を備えている。クロム鋼球202は、ステッピングモータ203により回転するベルト204に固定されており、一定速度で上下するようになっている。測定環境を23℃とし、容器201内のインキにクロム鋼球202全体を、その球の上部がちょうどインキ液面のラインと一致するように浸漬し、毎秒150mmの速度で垂直に引き上げたときの様子を、測定機器の正面に設置された撮影機(図示せず)を用いて撮影・録画し、インキ液面と鋼球との間に形成されたインキ曳糸がちぎれる直前のインキ曳糸の最大長(インキ液面と鋼球下部との距離)を、録画した画像から読みとるようにする。
上記測定方法による曳糸長が30mm以上であるような曳糸長の大きいインキにおいて印刷用紙への転移量が少なくなる理由については、次のように考えられる。すなわち、曳糸長の大きいインキでは、インキは容易に分裂しない、つまり分かれにくいという性質がある。印刷用紙にインキが転移するには、その前段階として、インキは孔版原紙の各穿孔部に分かれて通過しなくてはならないので、このような物性のインキは孔版原紙の穿孔部から押し出されにくいと考えられる。あるいは、インキが印刷用紙と接触しても、インキは容易に分裂しないために、印刷用紙に転移しにくいとも考えられる。これらまたはその他の理由により、印刷用紙へのインキ転移量が少なくなるものと考えられる。
この曳糸長の上限については特に限定はされないが、500mm以下であることが好ましく、250mm以下であることがより好ましく、200mm以下であることが一層好ましい。曳糸長が500mmを越えると、インキ転移量が抑制されすぎて、細字・細線などが一部欠損する恐れがあり、また、250mmを超えると、画像にベタ部分がある場合にベタ部分にムラが発生する恐れがある。この理由も定かではないが、孔版原紙と印刷用紙とが剥離したときに、孔版原紙の穿孔部から印刷用紙に転移したインキと転移していないインキとが互いに引き合ってしまい、形成される画像にムラが発生してしまうものと考えられる。
このような曳糸長の大きいインキでは、低粘度のインキであっても、その印刷用紙への転移量が抑制される。その結果、印刷物の乾燥性が良好であるとともに、細字や細線がにじむことなく鮮鋭な、良質な画像を得ることができる。
上記RK装置においては、たとえば画像面積率の高い画像を印刷すると、印刷時に孔版原紙の穿孔部から空気が流入しやすくなり、曳糸性の高いインキの場合には特に、インキが空気を抱き込んで、回収予定の体積よりもインキの体積が増加してしまい、インキの回収不良が発生する。この回収不良の発生を防止するために、RK装置のインキ回収部の形状を変えてインキを完全に回収しようとしたが、これのみでは充分な改善には至らなかった。
曳糸長の大きなインキの場合は、孔版原紙から印刷後の印刷用紙が剥離する際に、印刷用紙に転移したインキと孔版原紙側のインキとの間に応力が働き、RK装置の略密閉空間が減圧状態となって、孔版原紙の穿孔部から空気が流入しやすくなると考えられる。
そこで、さらにインキの特性について検討し、ロスマイルス法により測定した泡高さを20mm以下とすることで、画像面積率の高い画像の印刷時であっても、インキ内への空気の抱き込みが抑制されて、インキの回収不良を防止できることを見いだした。
ロスマイルス法による泡高さの測定は、23℃環境下で、次のようにして行う。まず、直径50mmの円柱型ガラス容器に50mlの測定インキを入れておき、そのインキ液面から900mmの高さから、200mlの測定インキを、10ml/secの速度でインキ液面に落下させる。全量落下5分後の泡の高さを測定し、泡高さとする。
この泡高さは、10mm以下であることがより好ましい。
さらに、インキは、従来のインキに比べて低粘度であり、具体的には、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおけるインキ粘度が500mPa・s以下である。この粘度は、300mPa・s以下であることがより好ましく、100mPa・s以下であることが特に好ましい。一方、同様に測定したインキ粘度は、1.5mPa・s以上であることが好ましく、3.0mPa・s以上であることがより好ましく、5.0mPa・s以上であることが一層好ましい。
インキの粘度を上記範囲にすることで、被印刷体へのインキの浸透速度を高めて、容易に印刷物の乾燥性を高めることができる。
インキの粘度が低い場合は、インキ内に空気を抱き込みやすくなるが、本発明に係る泡立ちの少ないインキを用いることにより、低粘度のインキであっても、空気の流入を抑制できる。
さらに、仮にインキの粘度が高い場合は、プレスロールによる押圧力を高く設定する必要が生じ、これが高すぎるとインキ転移量が多くなったり孔版原紙の伸びによる画像伸縮が発生したりする恐れがあるが、インキの粘度を低くすることにより、こうした問題が発生することもなく、RK装置におけるインキの供給が最適なものとなり、印刷面端部における画像欠けがなく、かつ、印刷媒体へのインキの浸透速度を向上させることができ、容易に印刷物の乾燥性を高めることができる。
なお、従来の市販の孔版印刷用エマルションインキの曳糸長および粘度を、それぞれ上記と同様に測定してみたところ、理想科学工業株式会社製「RISO SOYインク RP(黒)」は粘度が1000Pa・s(100万mPs・s)以上、曳糸長が25mmであり、株式会社リコー製「インキ タイプ400(黒)」では粘度が1000Pa・s以上、曳糸長が20mmであった。これらのインキは、インキの粘度を高くしてインキが版の穿孔部を通過する際の流動抵抗を上げることによりインキ転移量を抑制するものであり、本発明に係るインキが、いかに従来のインキとは異なる物性を有する新規なインキであるかが明らかである。
インキの形態については、特に限定されないが、水性インキの形態とすることが好ましい。インキ中に含有されている水は、印刷直後に大気中へ蒸発しやすく、さらに、印刷時にインキが印刷用紙の繊維間に圧入されて浸透することによって、印刷用紙内部において、インキと空気との界面が急速に拡がって水が蒸発しやすくなるため、印刷物の乾燥性をさらに向上させることができる。
水性インキの場合は、通常、水と着色剤と曳糸性付与剤が含まれていることが好ましい。
水は、印刷物の乾燥性を高める観点から、水性インキ中に50重量%以上含まれていることが好ましく、65重量%以上含まれていることがより好ましい。一方、水の配合量の上限は、特に限定はなく、他の配合成分とのバランスから適宜設定すればよく、たとえば80重量%以下程度であることが好ましい。
RK装置では、印刷機内部のインキは密閉されていて水分が大気中へ蒸発することが防止されるので、高含水の水性インキの使用にも適している。
インキは、インキに適度な曳糸性を付与することができる曳糸性付与剤を含むことが好ましい。なかでも、インキの曳糸性を適切に制御可能であることから、直鎖構造型の不飽和カルボン酸系水溶性高分子、分子量が5万以上のポリアルキレンオキサイド、および直鎖構造型(メタ)アクリルアミド系水溶性高分子のいずれか1種以上を好ましく用いることができる。ここで、本明細書では、アクリル酸またはメタクリル酸をまとめて「(メタ)アクリル酸」と記すこととし、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミドとメタクリルアミドを意味する。
直鎖構造型の不飽和カルボン酸系水溶性高分子としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、分岐架橋していない直鎖構造型の不飽和カルボン酸系水溶性高分子が好ましい。
Figure 2007084582
(式中、R,R,Rはそれぞれ独立にH、CH、(CH)nCOOH(nは0または1の整数)を表す。)
ここで、2以上のカルボキシル基を含む場合に、それらが酸無水物を形成していてもよい。共重合体となっている場合の共重合形式は、ランダム型、交互型、ブロック型等のいずれの形態であってもよい。
この不飽和カルボン酸系水溶性高分子としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の不飽和カルボン酸を主鎖に含む水溶性高分子が挙げられ、それらの塩も含まれる。この不飽和カルボン酸系水溶性高分子は、水に溶解させると数多くの陰電荷をもつ超多価イオン高分子となり、この強いイオン雰囲気と直鎖高分子という構造がもたらす立体的な絡み合いなどにより曳糸性付与効果が生じると考えられる。
さらに具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−スルホン酸系モノマー共重合体、(メタ)アクリル酸−イタコン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリルアミド共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸−ビニルピロリドン共重合体、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリクロトン酸、ポリイタコン酸、無水マレイン酸−アルキルビニルエーテル共重合体、および、それらの塩等が挙げられる。
塩としては、一価金属塩、アミン塩が好ましく、たとえばポリ(メタ)アクリル酸であれば、それらの塩として、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリ(メタ)アクリル酸トリエタノールアミン等が挙げられる。他にも、好ましい例として、ポリイタコン酸ナトリウム、ポリマレイン酸ナトリウム、アクリル酸−メタクリル酸共重合体ナトリウム、アクリル酸−マレイン酸共重合体ナトリウム、アクリル酸−アクリルアミド共重合体ナトリウム等が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸系水溶性高分子が未中和タイプである場合は、通常、インキ中には、これらの水溶性高分子とともに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカリ性中和剤が添加される。不飽和カルボン酸系水溶性高分子の中和塩が用いられる場合は、これらのアルカリ性中和剤を添加する必要はない。
不飽和カルボン酸系水溶性高分子が直鎖構造型であれば、同一分子構造の化合物のなかで比較した場合、その重量平均分子量が大きいほどインキ曳糸長を大きくすることが可能であり、インキ中の含有量が少ないほどインキ粘度を低くすることが可能である。
上記不飽和カルボン酸系水溶性高分子のなかでも、インキの粘度を高くすることなく曳糸長を大きくすることが可能なことから、不飽和カルボン酸モノマー(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸)のみから構成された重合体(単独重合体もしくは共重合体)およびこれらの重合体の塩が好ましく用いられ、ポリアクリル酸およびその塩が特に好ましく用いられる。
ポリアクリル酸およびその塩を含め不飽和カルボン酸系水溶性高分子は、重量平均分子量が1万以上のものが好ましく、10万以上のものがより好ましく、60万以上のものがさらに好ましく、120万以上であるものが特に好ましく用いられる。分子量が1万未満であると、インキの曳糸長を大きくするためには不飽和カルボン酸系水溶性高分子を多く含有させる必要があり、その結果インキを低粘度にすることが困難になる。また、分子量は1000万以下のものが好ましく、600万以下のものがより好ましい。分子量が1000万を超えると、少量の含有量でインキの曳糸長を大きくすることが可能である反面、大きすぎない曳糸長を得るためには含有量を微量にする必要があり、安定したインキ物性を得ることが困難になる。
ポリアルキレンオキサイドのアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが好ましく用いられる。単一のアルキレン基を含むものでも、複数種のアルキレン基を含むものであってもよい。具体的には、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体を好ましく用いることができ、特に、ポリエチレンオキサイドを用いることが好ましい。エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体の場合は、エチレンオキサイドの重合比率(モル比)が0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることが一層好ましい。
ポリアルキレンオキサイドの分子量(重量平均分子量)は、低粘度インキの転移量を制御するとの効果を得るために5万以上のものが選ばれ、30万以上であることが好ましく、100万以上であることが一層好ましい。一方、分子量の上限値は、特に制限はないが、1000万以下であることが好ましく、配合量の調整のしやすさの観点からは、800万以下程度であることが好ましい。
ポリアルキレンオキサイドは、直鎖構造をとる高分子であり、水に溶解させると、その分子構造がもたらす分子内結合角の自由度の高さ、直鎖高分子という構造がもたらす立体的な絡み合い、酸素原子の極性がもたらす水分子との親和性、などから水中で特異的な挙動を示す。
直鎖構造型(メタ)アクリルアミド系水溶性高分子の「直鎖構造型」とは、分岐鎖(枝分かれ)や架橋構造・環状構造を有さない、1本の鎖状構造であることをいう。
これには、(メタ)アクリルアミドのホモポリマーの他、(メタ)アクリルアミドを主鎖に含むコポリマーも含まれる。この場合のコモノマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸(以下、両者をまとめて「(メタ)アクリル酸」と記す。)、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩;(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸等の不飽和スルホン酸およびそれらの塩;等の誘導体が挙げられる。塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の一価金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩が好ましい。共重合体の場合は、(メタ)アクリルアミドの重合比率(モル比)が0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることが一層好ましい。
直鎖構造型(メタ)アクリルアミド系水溶性高分子の分子量(重量平均分子量)は、低粘度インキの転移量を制御するとの効果を得るために5万以上のものが好ましく、30万以上であることがより好ましく、100万以上であることが一層好ましい。一方、分子量の上限値は、特に制限はないが、3000万以下であることが好ましく、配合量の調整のしやすさの観点からは、1500万以下程度であることが好ましい。
直鎖構造型(メタ)アクリルアミド系水溶性高分子は、直鎖構造をとる高分子であり、水に溶解させると、その分子構造がもたらす分子内結合角の自由度の高さ、直鎖高分子という構造がもたらす立体的な絡み合いなどから水中で特異的な挙動を示す。
上記のような曳糸性付与剤の含有量は、その種類によって異なるが、インキ全量に対し、通常は0.01〜5重量%であることが好ましく、0.03〜2重量%であることがより好ましく、0.03〜0.5重量%であることがさらに好ましく、0.05〜0.2重量%であることが一層好ましい。
曳糸性付与剤の配合量が多すぎると、インキが高粘度化しやすく、印刷物の乾燥性が悪くなる場合がある。
なお、他のインキ成分の影響でインキ曳糸長が増減することがあるので、曳糸性付与剤の種類や含有量は、他のインキ成分の影響を考慮して適宜調整することが好ましい。
インキの着色剤としては、顔料または染料を用いることができ、2種以上を併用してもよい。顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。染料としては、たとえば、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等のうち水溶性の染料および還元等により水溶性になった水溶性染料を用いることができる。
顔料、染料のいずれかもしくは両方を着色剤として用いてもよいが、顔料を用いることにより画像の滲みや裏抜けが少なく、耐候性にも優れたインキとすることができるため好ましい。
一方、後述するが分散剤を配合する必要がないという観点からは、染料を用いることも好ましい。
顔料を用いる場合は、インキの泡立ちを抑制するために、自己分散性顔料を用いることが好ましい。自己分散性顔料には、化学的または物理的処理により顔料の表面に親水性官能基が導入されているので、この官能基によって、顔料分散剤を使用しなくても、顔料粒子が水中で安定に分散することができる。
顔料分散剤を配合した場合、そのすべての分子が顔料表面に吸着しているわけではなく、一部の分散剤は溶媒中に溶解またはミセルの状態で存在している。この顔料表面に吸着していないフリーの分散剤は、その種類によっては泡立ちを促進する作用をもたらすため、顔料分散剤を使用しないことは、インキの泡立ちを抑制する一手段となる。
自己分散性顔料としては、有機顔料、無機顔料、カーボンブラック等の、上記例示の顔料を用いることができる。
自己分散性顔料に導入させる親水性官能基としては、イオン性を有するものが好ましく、顔料表面をアニオン性またはカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定に分散させることができる。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基等が好ましい。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基などが好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
親水性官能基の導入量については、水中で顔料が安定に分散しうる必要量を顔料表面に化学結合させればよく、特に限定されない。
さらに、上記のイオン性官能基に加えて、ラクトン基などの非イオン性官能基を導入してもよい。
顔料表面の処理方法としては、ジアゾ化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミ
ン酸処理、真空プラズマ処理などが挙げられる。
別法として、自己分散性顔料を用いることが好ましいのと同じ理由から、マイクロカプセル化顔料を使用することも好ましい。これは、表面が疎水性の顔料を親水性の樹脂で覆ってマイクロカプセル化した顔料であり、それ自身で安定に分散することができる。
マイクロカプセル化顔料の顔料としては、有機顔料、無機顔料、カーボンブラック等の、上記例示の顔料を用いることができる。
マイクロカプセル化顔料の作製は、従来公知の手法を用いることができる。たとえば、界面重合法、in situ重合法等の化学的方法;液中乾燥法、コアセルベーション法等の物理化学的方法;噴霧乾燥法、乾式混合法等の機械的方法が挙げられる。
より具体的には、顔料粒子を高分子化合物で分散させ、高分子化合物を有機溶剤で溶解した後、水中で転相乳化する方法(特開平8−71405号公報参照)、顔料粒子表面にモノマーを吸着させた後、重合させる方法(色材協会誌、70巻、503頁(1997)参照)、顔料粒子表面に重合開始剤を導入した後、モノマーと共に重合させる方法(色材協会誌、69巻、743頁(1996)、同72巻、748頁(1999)参照)等を挙げることができる。
マイクロカプセル化顔料の表面に親水基を導入するためには、親水性官能基を有するモノマーを被覆用ポリマーの構成成分として用いる必要がある。親水性官能基としては、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基のいずれであってもよく、任意の2種以上を併用してもよい。
アニオン性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸、アリルスルホン酸など、従来公知のものを使用することができる。これらをそのまま使用してもよいし、塩基で中和してから使用してもよい。
カチオン性基の導入法としては、ジメチルアミノエチル基やジエチルアミノエチル基等の3級アミンを4級化した第4級アンモニウム基を含むビニルモノマー等を使用するか、3級アミンを有するモノマーを使用して3級アミノ基を導入してから、4級化して使用するのが好ましい。
ノニオン性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、など従来公知のものを使用することができる。
被覆用ポリマーの構成成分として、上記の親水性官能基を有するモノマー以外に、従来公知のモノマーまたはオリゴマーを使用することができるが、単官能モノマーまたはオリゴマーを用いることが好ましい。
たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニルなどのビニルモノマー類、スチレンなどが挙げられる。
上記の自己分散性顔料およびマイクロカプセル化顔料は、それら以外の着色剤と併用することもできる。通常の顔料を併用しても、それを単独で用いた場合に比べ、必要とされる顔料分散剤の配合量が減少するので、その分、インキの泡立ちを抑制することができるからである。
自己分散性顔料を含め、インキ中の着色剤の含有量は、通常1〜20重量%であり、3〜15重量%であることが好ましい。印刷物の印刷濃度をより高めるために、5重量%以上含有させることがさらに好ましく、7重量%以上含有させることが一層好ましい。
インキには、印刷中の孔版原紙の穿孔部における乾燥を防止する等の観点から、水溶性有機溶剤を配合することが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物が用いられる。たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン;アセチン類(モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン);トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール類の誘導体;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオジグリコール、スルホランを用いることができる。平均分子量200、300、400、600等の平均分子量が190〜630の範囲にあるポリエチレングリコール、平均分子量400等の平均分子量が200〜600の範囲にあるジオール型ポリプロピレングリコール、平均分子量300、700等の平均分子量が250〜800の範囲にあるトリオール型ポリプロピレングリコール、等の低分子量ポリアルキレングリコールを用いることもできる。これらの水溶性有機溶剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性有機溶剤のインキ中の含有量は、2種以上が用いられる場合はその合計含有量として、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。その含有量の上限に関しては、特に限定はされないが、画像の裏抜けを少なくするため、45重量%以下程度であることが好ましく、35重量%以下程度であることがより好ましい。水よりも高沸点の、より好ましくは沸点が150℃以上の水溶性有機溶剤をインキ中に5重量%以上含有させることにより、印刷中の孔版原紙穿孔部の乾燥を有効に防止でき好ましい。
インキには、粘度調整剤として、任意の増粘剤を配合することができ、たとえば、水溶性高分子系増粘剤や粘土鉱物系増粘剤の1種以上を使用することができる。
水溶性高分子系増粘剤としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子を用いることができる。
天然高分子としては、たとえば、アラビアガム、カラギーナン、グアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガントガム、コーンスターチ、コンニャクマンナン、寒天等の植物系天然高分子;プルラン、キサンタンガム、デキストリン等の微生物系天然高分子;ゼラチン、カゼイン、にかわ等の動物系天然高分子、を用いることができる。
半合成高分子としては、たとえば、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系半合成高分子;ヒドロキシエチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、シクロデキストリン等のデンプン系半合成高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸系半合成高分子;ヒアルロン酸ナトリウム、を用いることができる。
合成高分子としては、たとえば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリクロトン酸、ポリイタコン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−イタコン酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、アクリル酸−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−スルホン酸系モノマー共重合体、アクリル酸−ビニルピロリドン共重合体、無水マレイン酸−アルキルビニルエーテル共重合体等の不飽和カルボン酸系合成高分子;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド等のビニル系合成高分子;ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリウレタンを用いることができる。
これらの増粘剤のなかでも、側鎖に多数の解離基をもった電解質型増粘剤である不飽和カルボン酸系水溶性高分子増粘剤は、少量でも所望の増粘効果が得られることなどから好ましく用いられる。ここで、不飽和カルボン酸系合成高分子としては、上記例示のように、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の不飽和カルボン酸を主鎖に含む水溶性高分子が挙げられ、上記の未中和タイプだけでなく、これらの中和塩もその範疇に含まれる。中和塩としては、たとえば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩が挙げられ、具体的には、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸トリエタノールアミン、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸アンモニウム、ポリイタコン酸ナトリウム、ポリマレイン酸ナトリウム、アクリル酸−メタクリル酸共重合体ナトリウム、アクリル酸−マレイン酸共重合体ナトリウム等を好ましく用いることができる。
粘土鉱物系の増粘剤としては、たとえば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト系粘土鉱物を用いることができる。
なお、増粘剤として例示した上記水溶性高分子は、その種類と量によっては、インキの増粘剤以外にも、印刷用紙への着色剤の定着剤等として用いることができる。また、着色剤として顔料を用いる場合においては、顔料の分散剤として用いることもできる。
インキには、上記の成分に加え、任意に、顔料分散剤、消泡剤、定着剤、表面張力低下剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜含有させることができる。
特に、顔料分散剤として、芳香族スルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、ビスフェノールスルホン酸ポリマー、ポリスチレンスルホン酸、およびポリイソプレンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらはいずれも、表面張力が比較的高く(濡れにくく)、かつ、泡立ちが少ないものであり、本発明のインキへの使用に適している。
顔料分散剤は、インキ中に0.1〜10重量%程度含まれることが好ましく、0.5〜5重量%程度であることがより好ましい。
芳香族スルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物は、下記一般式(2)で表される水溶性高分子であり、主鎖に芳香環とメチレン基を含んでいる。
Figure 2007084582
上記式(2)中、Arはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン等の芳香環を示す。これらの芳香環は、メチル基などのアルキル基やヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。具体的には、トルエン、フェノール、クレゾール、メチルナフタレン、ナフトールなどの芳香環が挙げられる。芳香環におけるスルホン酸基の置換位置および置換数は、任意である。
式(2)中のMは、水素;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニア;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミンを示す。
nは、好ましくは5〜20である。
このような化合物としては、たとえば、花王(株)製の「デモールN」(ナフタレンスルホン酸ナトリウム・ホルムアルデヒド縮合物)、同「デモールSS−L」(ナフトールスルホン酸ナトリウム・クレゾールスルホン酸ナトリウム・ホルムアルデヒド縮合物)、第一工業製薬(株)製の「ラベリンAN−40」(メチルナフタレンスルホン酸ナトリウム・ホルムアルデヒド縮合物)、「ラベリンWP」(クレオソート油残基スルホン酸ナトリウム・ホルムアルデヒド縮合物)等の市販品を用いることができる。
メラミンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物は、下記一般式(3)で表される水溶性高分子であり、メラミンをスルホン化してホルムアルデヒドにより縮合した化合物(スルホン化メラミン樹脂)であって、主鎖にメラミン環とメチレン基を含んでいる。トリアジン環に結合する3つのアミノ基のうち、縮合に関与していないアミノ基がアミドスルホン酸基(−NHRSOMまたは−NHSOM)となっている。
Figure 2007084582
上記式(3)中、Rは単結合、またはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基を表す。
式(3)中のMは、水素;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニア;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミンを示す。
このメラミンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物は、メラミンスルホン酸・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物のように、スルホン化されていないメラミンを一部に含む共重合体であってもよい。
メラミンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物の重量平均分子量は、5000〜50万程度であることが好ましく、1万〜10万程度のものがより好ましい。
市販品としては、たとえば、日産化学工業(株)製「SMF L−35B」(式(3)中のRがメチレン基、Mがナトリウムである化合物)等を好ましく用いることができる。
リグニンスルホン酸は、リグニンの基本構造であるフェニルプロパン構造の側鎖α位またはβ位にスルホン酸基(−SOH)またはその塩(リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン塩等)が導入されたものであり、ベンゼン環2個に対し約1個の割合でスルホン酸基が入っている。
リグニンスルホン酸の重量平均分子量は、1000〜10万程度のものが好ましく、5000〜2万程度のものがより好ましい。
市販品として、たとえば、日本製紙ケミカル(株)製のサンエキスシリーズ(P252等)、パニオールシリーズ(NDP、ODP等)、バニレックスシリーズ(HW、N、RN等)、パールレックスシリーズ(NP、DP等)を好ましく使用できる。
ビスフェノールスルホン酸ポリマーは、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどのベンゼン環に、スルホン酸基またはその塩(リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン塩等)が導入されたポリマーである。スルホン酸基の導入位置は、水酸基の隣であることが好ましく、導入数は、ベンゼン環1個あたり1〜2個であることが好ましい。
スルホン酸基は、オキシ基(−O−)、置換または無置換のイミノ基(−NX−;Xは水素、またはアルキル基、アリール基等の1価の有機基)、メチレン等のアルキレン基(−R−)、フェニレン等のアリーレン基(−Ar−)、アラルキレン基(−R−Ar−)、−O−R−、−O−Ar−、−NX−R−、−NX−Ar−などの任意の2価のスペーサ基を介して導入されていてもよい。
ビスフェノールスルホン酸ポリマーの重量平均分子量は、5000〜5万程度のものを用いることが好ましい。
市販品として、たとえば日本製紙ケミカル(株)製のビスパーズシリーズ(P121(重量平均分子量15,000)、P125(同10,000)、P215(同20,000)等)を用いることが好ましい。
ポリスチレンスルホン酸は、下記一般式(4)で表される繰り返し単位を主鎖に含む水溶性高分子である。
Figure 2007084582
上記式(4)中、RおよびR’は、各々独立に、水素、またはメチル基等のアルキル基を示し、Mは、水素;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニア;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミンを示す。
ポリスチレンスルホン酸は、式(4)の繰り返し単位からなるホモポリマーであってもよいし、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸およびそのエステル類、クロトン酸、マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル等の、式(4)の繰り返し単位と共重合可能な不飽和二重結合を有するコモノマーとのコポリマーであってもよい。
ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量は、5000〜5万程度であることが好ましい。
市販品としては、たとえばライオン(株)製の「ポリティPS−1900」(式(4)中のRおよびR’が水素、Mがナトリウム、重量平均分子量14,000である化合物)等を使用することができる。
ポリイソプレンスルホン酸は、イソプレンスルホン酸またはその塩(リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン塩等)を主鎖に含む水溶性高分子であり、ホモポリマーであっても、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸およびそのエステル類、クロトン酸、マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル等の、イソプレンスルホン酸と共重合可能な不飽和二重結合を有するコモノマーとのコポリマーであってもよい。
具体的には、ポリイソプレンをスルホン化して得られる重合体(イソプレンスルホン酸とイソプレンとの重合体)、イソプレン−スチレン共重合体をスルホン化して得られる重合体(イソプレンスルホン酸とスチレンとのコポリマー)等が好ましい。
ポリイソプレンスルホン酸の重量平均分子量は、1,000〜20万程度であることが好ましい。
市販品として、たとえばJSR(株)製の「ダイナフローK114」(イソプレンスルホン酸−スチレン共重合体ナトリウム塩)、「ダイナクリンW109」(イソプレンスルホン酸−アクリル酸共重合体ナトリウム塩)等を用いることが好ましい。
さらに、このインキは、消泡剤を含むことが好ましい。消泡剤としては、オイルタイプ、活性剤タイプ、エマルションタイプ等の任意のものを用いることができる。また、消泡剤は、抑泡剤、破泡剤、脱泡剤のいずれであってもよい。
具体的には、たとえば、シリコーン系、アルコール系、エーテル系、ポリエーテル系のものを好ましく使用できる。
シリコーン系消泡剤としては、自己乳化型シリコーン(GE東芝シリコーン(株)製「TSA780」)、エマルジョン型シリコーン(GE東芝シリコーン(株)製「TSA770」)等を好ましく使用できる。
アルコール系消泡剤としては、オクチルアルコールエチレンオキサイド付加型アセチレンジオール(エアープロダクツ社製「サーフィノール420」)等が挙げられる。
消泡剤は、インキ中に、0.001〜2.0重量%程度配合されることが好ましく、0.005〜0.5重量%であることがより好ましい。
インキ中にアルカリ可溶性樹脂を含有させて、印刷用紙等の被印刷体への着色剤の定着剤等として用いることができる。着色剤として顔料を用いる場合は、顔料の分散剤としてアルカリ可溶性樹脂を用いることもできる。アルカリ可溶性樹脂とは、水には不溶性であるが、アルカリの存在下では水可溶性になる高分子のことを意味する。したがって、たとえばアクリル酸-アクリル酸エステル共重合体のように、化合物名が同じであっても、本発明においては、その溶解性により水溶性高分子またはアルカリ可溶性樹脂に分類される。
アルカリ可溶性樹脂としては、たとえば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。これらのアルカリ可溶性樹脂は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア水、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等の任意のアルカリで中和して、水可溶性にして用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂は、多量に含有させると印刷機の非使用後の印刷性能に支障をきたす恐れがあるため、インキ中に固形分換算で5重量%以下の範囲で含有させることが好ましく、より好ましくは3重量%以下である。
インキに水中油(O/W)型樹脂エマルションを含有させて、印刷用紙等の印刷媒体への着色剤の定着剤等として用いることができる。着色剤として顔料を用いる場合においては、この樹脂エマルションを顔料の分散剤として用いることもできる。
水中油(O/W)型樹脂エマルションとしては、たとえば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等の樹脂エマルションを用いることができる。これらの2種以上を併用してもよい。
樹脂エマルションは、多量に含有させると印刷機の非使用後の印刷性能に支障をきたす恐れがあるため、インキ中に固形分換算で5重量%以下の範囲で含有させることが好ましく、より好ましくは2重量%以下である。
印刷物の画質を向上させるために、インキ中に体質顔料を含有させることができる。
体質顔料としては、たとえば、白土、タルク、クレー、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウムを用いることができ、これらの2種以上を併用してもよい。
体質顔料は、多量に含有させると印刷媒体への着色剤の定着を阻害したり、印刷機の非使用後の印刷性能に支障をきたす恐れがあるため、5重量%以下の範囲で含有させることが好ましく、より好ましくは2重量%以下である。
さらに、表面張力低下剤として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤をインキに含有させることができる。
インキの粘度やpHを調整するために、インキに電解質を配合することもできる。電解質としては、たとえば、硫酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸カリウム、ホウ酸ナトリウムが挙げられ、2種以上を併用してもよい。硫酸、硝酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン等も、インキの増粘助剤やpH調整剤として用いることができる。
酸化防止剤を配合することにより、インキ成分の酸化を防止し、インキの保存安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、たとえば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムを用いることができる。
防腐剤を配合することにより、インキの腐敗を防止して保存安定性を向上させることができる。防腐剤としては、たとえば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のトリアジン系防腐剤;2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシド、8−オキシキノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバメート系防腐剤;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸を用いることができる。
インキは、水と着色剤と曳糸性付与剤と、必要に応じて適宜配合される上記の成分とを混合させて製造することができ、その詳細は特に限定されることはない。たとえば、一部の水と顔料と顔料分散剤とを混合し、ボールミル、ビーズミル等の分散手段を用いて顔料を分散させ、一方で、残りの水と曳糸性付与剤と水溶性有機溶剤とを混合し、そして、両者を混ぜ合わせるようにしてもよい。
次に、上記インキを用いた孔版印刷において好ましく使用される孔版印刷装置(RK装置)について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜図7は第1実施形態を示し、図1は孔版印刷装置の概略構成図、図2はドラムの斜視図、図3は図2中A1−A1線に沿う断面図、図4は図2中B1−B1線に沿う断面図、図5はインキ供給部を示すドラムの平面図、図6は図5中C1−C1線に沿う断面図、図7はインキの拡散メカニズムを説明する部分断面図である。
この実施形態に示す孔版印刷装置は、回転自在で、且つ、インキ不透過性部材で形成された外周壁を有し、この外周壁の表面に孔版原紙が装着されるドラムと、このドラムの前記外周壁の最大印刷エリアより印刷上流位置にインキ供給部を有し、このインキ供給部より前記外周壁の表面にインキを供給するインキ供給手段と、給紙された印刷媒体を前記外周壁に押圧するプレスロールとを備えている。
図1に示すように、孔版印刷装置は、原稿読み取り部1と、製版部2と、印刷部3と、給紙部4と、排紙部5および排版部6とから主に構成されている。
原稿読み取り部1は、印刷すべき原稿が載置される原稿セット台10と、原稿セット台10上の原稿の有無を検出する反射型の原稿センサ11,12と、原稿セット台10の原稿を搬送する原稿搬送ロール13,14と、原稿搬送ロール13,14を回転駆動させるステッピングモータ15と、原稿搬送ロール13,14によって搬送される原稿の画像データを光学的に読み取り、これを電気信号に変換する密着型のイメージセンサ16と、原稿セット台10より排出される原稿を載置する原稿排出トレー17とを有する。そして、原稿セット台10に載置された原稿が原稿搬送ロール13,14によって搬送され、この搬送される原稿の画像データをイメージセンサ16が読み取る。
製版部2は、ロールされた長尺状の孔版原紙18を収容する原紙収容部19と、この原紙収容部19の搬送下流に配置されたサーマルヘッド20と、このサーマルヘッド20の対向位置に配置されたプラテンロール21と、このプラテンロール21およびサーマルヘッド20の搬送下流に配置された一対の原紙送りロール22,22と、プラテンロール21および原紙送りロール22を回転駆動させるライトパルスモータ23と、一対の原紙送りロール22,22の搬送下流に配置された原紙カッタ24とを有する。
そして、プラテンロール21と原紙送りロール22の回転により長尺状の孔版原紙18を搬送し、イメージセンサ16で読み取った画像データに基づきサーマルヘッド20の各点状発熱体が選択的に発熱動作することにより孔版原紙18に感熱穿孔して製版し、この製版された孔版原紙18を原紙カッタ24で切断して所定長さの孔版原紙18を作製する。
印刷部3は、メインモータ25の駆動力によって図1の矢印A方向に回転するドラム26と、このドラム26の外周面に設けられ、孔版原紙18の先端をクランプする原紙クランプ部27と、ドラム26の外周面に孔版原紙18が巻き付け装着されているか否かを検出する原紙確認センサ28と、ドラム26の基準位置を検出する基準位置検出センサ30と、メインモータ25の回転を検出するロータリエンコーダ31とを有する。基準位置検出センサ30の検出出力を基にロータリエンコーダ31の出力パルスを検出することによってドラム26の回転位置を検出することができるようになっている。
また、印刷部3は、ドラム26の下方位置に配置されたプレスロール35を有し、このプレスロール35はソレノイド装置36の駆動力によってドラム26の外周面に押圧する押圧位置と、ドラム26の外周面から離間する待機位置との間で変移可能に構成されている。プレスロール35は、印刷モードの期間(試し刷りを含む)にあっては押圧位置に常時位置され、印刷モード以外の期間にあっては待機位置に位置されるようになっている。
そして、製版部2から搬送される孔版原紙18の先端を原紙クランプ部27でクランプし、このクランプした状態でドラム26が回転されて孔版原紙18がドラム26の外周面に巻き付け装着され、ドラム26の回転に同期して給紙部4より給紙される印刷用紙(印刷媒体)37をプレスロール35でドラム26に巻装された孔版原紙18に押圧することによって印刷用紙37に孔版原紙18の穿孔からインキ56が転移されて画像が印刷されるようになっている。
給紙部4は、印刷用紙37が積層される給紙台38と、この給紙台38から最上位置の印刷用紙37のみを搬送させる1次給紙ロール39,40と、この1次給紙ロール39,40によって搬送された印刷用紙37をドラム26の回転に同期してドラム26とプレスロール35間に搬送する一対の2次給紙ロール41,41と、この一対の2次給紙ロール41,41間に印刷用紙37が搬送されたか否かを検出する給紙センサ42とを有する。1次給紙ロール39,40には給紙クラッチ43を介してメインモータ25の回転が選択的に伝達されるように構成されている。
排紙部5は、印刷処理された印刷用紙37をドラム26から分離する用紙分離爪44と、この用紙分離爪44によりドラム26から離間された印刷用紙37が搬送される搬送通路45と、この搬送通路45より排紙される印刷用紙37が載置される排紙台46とを有する。
排版部6は、ドラム26の外周面よりクランプ解除された孔版原紙18の先端を導き、この導いた使用済みの孔版原紙18をドラム26より引き剥がしながら搬送する排版搬送手段47と、この排版搬送手段47により搬送されて来る孔版原紙18を収納する排版ボックス48と、排版搬送手段47により排版ボックス48内に搬送されて来た孔版原紙18を排版ボックス48の奥に押し込む排版圧縮部材49とを有する。
図2〜図4に示すように、ドラム26は、装置本体H(図1に示す)に固定された支軸50と、この支軸50に各軸受51を介して回転自在に支持された一対の側円板52,52と、この一対の側円板52,52間に固定された円筒状の外周壁53とを備えている。この外周壁53は一対の側円板52,52と一体となってメインモータ25の回転力により回転駆動されるようになっている。また、外周壁53は、剛性を有し、かつ、インキ56を通過させないインキ不透過性部材にて形成されている。インキ不透過性部材の種類によっては、外周壁53の外周面を凹凸のない円筒面に形成する等の目的で、テフロン(登録商標)加工のようなフッ素樹脂加工、ニッケルメッキ、ニッケルクロムメッキ、溶融亜鉛メッキ、陽極酸化処理など、各種公知の表面加工処理を外周壁53に施してもよい。
原紙クランプ部27は、外周壁53の支軸50の軸方向に沿って形成されたクランプ用凹部53aを利用して設けられている。原紙クランプ部27はその一端側が外周壁53に回転自在に支持され、図4にて仮想線で示すクランプ解除状態では外周壁53より突出するが、図4にて実線で示すクランプ状態では外周壁53より突出しないように設けられている。したがって、原紙クランプ部27は、外周壁53上に突出することなく孔版原紙18をクランプすることができるようになっている。
この外周壁53は、図2,図4の矢印A方向に回転され、原紙クランプ部27より少し回転した位置が印刷開始ポイントとされている。したがって、回転方向Aが印刷方向Mとなり、印刷開始ポイントより下方のエリアが印刷エリアとされる。この第1実施形態では最大印刷エリアはA3サイズの印刷が可能な領域に設定されている。そして、外周壁53の最大印刷エリアより印刷方向Mの上流位置にはインキ供給手段54のインキ供給部55Aが設けられている。
インキ供給手段54は、図2〜図6に示すように、インキ56が溜められたインキ容器57と、このインキ容器57内のインキ56を吸引するインキポンプ58と、このインキポンプ58によって吸引されたインキ56を供給する第1パイプ59と、この第1パイプ59の他端が接続され、内部にインキ通路60が形成され、かつ、180度対向位置に孔61が形成された支軸50と、この支軸50の外周側に回転自在に支持され、孔61に連通可能な連通孔62が形成されたロータリジョイント63と、このロータリジョイント63に一端が接続され、他端が外周壁53に導かれた第2パイプ64と、この第2パイプ64の他端側が開口されたインキ供給部55Aとから構成されている。
インキ供給部55Aは、第2パイプ64からのインキ56を印刷直交方向Nに拡散するインキ拡散溝65と、このインキ拡散溝65の印刷直交方向Nに間隔を置いて開口された複数の連通孔66と、この複数の連通孔66に連通し、外周壁53の表面に開口されたインキ拡散供給部としてのインキ供給口55aとから構成されている。
図5および図6に示すように、インキ拡散溝65と複数の連通孔66およびインキ供給口55aは、外周壁53の印刷方向Mの直交方向(即ち、印刷直交方向N)に沿って形成されたインキ供給用凹部67と、この内部に配置されたインキ分配部材68とによって形成されている。インキ供給口55aは、印刷直交方向Nに沿って形成され、外周壁53の印刷直交方向Nにほぼ均等にインキ56を供給するようになっている。
次に、前記構成の孔版印刷装置の動作を簡単に説明する。
まず、製版モードが選択されると、製版部2では、プラテンロール21と原紙送りロール22の回転により孔版原紙18を搬送し、原稿読み取り部1で読取った画像データに基づきサーマルヘッド20の多数の発熱体が選択的に発熱動作することにより孔版原紙18に感熱穿孔して製版し、この製版した孔版原紙18の所定箇所を原紙カッタ24で切断して所望寸法の孔版原紙18を作る。
印刷部3では、製版部2で製版された孔版原紙18の先端をドラム26の原紙クランプ部27でクランプし、このクランプした状態でドラム26が回転されて孔版原紙18をドラム26の外周面に巻き付け着版する。
次に、印刷モードが選択されると、印刷部3ではドラム26が回転駆動されると共に、インキ供給手段54の駆動が開始される。すると、インキ56がインキ供給口55aより外周壁53に供給され、この供給されたインキ56が外周壁53と孔版原紙18の間に保持されると共に、プレスロール35が待機位置から押圧位置に変位される。
このドラム26の回転に同期して給紙部4では印刷用紙37をドラム26とプレスロール35との間に給紙する。給紙された印刷用紙37は、プレスロール35によってドラム26の外周壁53に押圧されると共に、ドラム26の外周壁53の回転によって搬送される。つまり、印刷用紙37は孔版原紙18に密着されつつ搬送される。
また、この印刷用紙37の搬送と並行して、図7に示すように、ドラム26の外周壁53と孔版原紙18の間に保持されたインキ56は、プレスロール35の押圧力によってしごかれながら印刷方向Mの下流に拡散されると共に、この拡散されたインキ56が孔版原紙18の穿孔よりにじみ出て印刷用紙37側に転移される。以上により、印刷用紙37にはドラム26の外周壁53とプレスロール35の間を通過する過程でインキ画像が印刷される。ドラム26の外周壁53とプレスロール35の間を抜けた印刷用紙37は、その先端側が用紙分離爪44でドラム26より剥ぎ取られ、ドラム26より離間された印刷用紙37は搬送通路45を介して排紙台46に排紙され、ここに積載される。
設定印刷枚数の印刷が完了すると、ドラム26の外周壁53の回転が停止されると共に、インキ供給手段54の駆動が停止される。これにより、外周壁53へのインキ56の供給が停止される。また、プレスロール35が押圧位置から待機位置に戻され、待機モードに入る。
新たな製版を開始する等によって排版モードが選択されると、ドラム26の原紙クランプ部27がクランプ解除位置に変位され、クランプ解除された孔版原紙18の先端側がドラム26の回転に伴って排版搬送手段47で導びかれ、排版ボックス48に収納される。
以上、この孔版印刷装置では、ドラム26の外周壁53にインキ56が供給され、このインキ56がプレスロール35の押圧力でしごかれることによって外周壁53上に拡散されると共に、この拡散されたインキ56がプレスロール35の押圧力によって孔版原紙18の穿孔より印刷用紙37に転移される。したがって、印刷モードが終了されると、ドラム26に供給されたインキ56は、ドラム26の外周壁53と孔版原紙18の間の略密閉空間に保持され、大気との接触が最低限に抑えられる。これにより、印刷を長時間行わなくてもインキ56が変質することがなく、インキ56の変質を確実に防止することができる。また、ドラム26の内部には従来例のようにインキ供給のための各種ロールを配置する必要がない。これにより、ドラム26をより一段と小型・軽量化することができる。
また、ドラム26の外周壁53をインキ不透過性部材で形成すれば良いので、材料選択のバリエーションが広がると共に、シンプルな構造で良いため、低コストで製造することができる。さらに、ドラム26の強度アップが容易にできるため、印圧の変動等による画像ムラを防止することができる。
さらに、インキ56は、基本的に大気との接触が最低限に抑えられるため、ほとんど劣化しない最良の状態で印刷に供される。また、インキ56の劣化防止管理が必要ないため、インキ56の垂れ落ち防止管理が必要ないため、インキ56の選択自由度を広げることができる。
第1実施形態では、原紙クランプ部27がドラム26の外周壁53の表面より突出しないので、プレスロール35の駆動が容易である。つまり、印刷モード時に、プレスロール35が原紙クランプ部27に衝突するのを回避するために、ドラム26の回転毎にプレスロール35を押圧位置と待機位置との間で変位させる必要がない。これによって、プレスロール35による騒音やリバウンドによる画質劣化等の不具合を解消することができる。
図8および図9は、インキ供給部の変形例を示し、図8はインキ供給部を示すドラムの一部の平面図、図9は図8中C4−C4線に沿う断面図である。
図8および図9に示すように、この変形例のインキ供給部55Dは、第2パイプ64からのインキを印刷直交方向Nに拡散するインキ拡散溝65と、このインキ拡散溝65の印刷直交方向Nに等間隔を置いて一端が開口され、他端が外周壁53の表面側に開口されたインキ拡散供給部としての複数のインキ供給口55dとを備えている。インキ拡散溝65およびインキ供給口55dは外周壁53の印刷直交方向Nに沿って形成されたインキ供給用凹部67と、この内部に配置されたインキ分配部材68とによって形成されている。
この変形例のインキ供給部55Dにあっては、インキ56が各インキ供給口55dの全周囲方向に均等に分散される状態で外周壁53上に供給され、外周壁53の印刷直交方向Nをトータルとして見た場合に印刷直交方向Nにほぼ均等にインキ56が供給される。
そして、この変形例のインキ供給部55Dでは、プレスロール35がインキ供給口55d上を通過する際にインキ供給口55dに落ち込まない。従って、プレスロール35の落ち込み音と振動の発生を防止できる。
第2の実施形態として、この孔版印刷装置には、上記外周壁に、最大印刷エリアより外側で、かつ、孔版原紙で覆われる位置にインキ漏れ防止溝が設けられていることが好ましい。これにより、外周壁と孔版原紙との間のインキが最大印刷エリアより外側に漏れると、その漏れたインキがインキ漏れ防止溝に入り込むため、インキが孔版原紙のエッジより漏れるのを確実に防止することができる。
さらに、このインキ漏れ防止溝は:外周壁のサイドからのインキ漏れを確実に防止するために、最大印刷エリアより印刷直交方向の左右外側位置に設けられていること;外周壁のエンドからのインキ漏れを確実に防止するために、最大印刷エリアより印刷下流位置に設けられていること;外周壁のトップからのインキ漏れを確実に防止するために(それにより、原紙クランプ部がインキに汚れることに起因するクランプ不良、着版不良、孔版原紙の皺等を防止できる。)、最大印刷エリアの上流の前記インキ供給部より更に印刷上流位置に設けられていること;より確実にインキ漏れを防止するために、また各インキ漏れ防止溝を幅狭に形成して孔版原紙のインキ漏れ防止溝への落ち込みを防止するために、複数本設けられていること;がそれぞれ好ましい。
図10〜図13は、この第2実施形態を示し、図10はドラムの斜視図、図11は図10中A2−A2線に沿う断面図、図12は図10中B2−B2線に沿う断面図、図13はドラムの外周壁を展開した概略図である。
図10〜図13に示すように、この第2実施形態では、ドラム26の外周壁53の最大印刷エリアSより外側位置で、かつ、孔版原紙18で覆われる位置にインキ漏れ防止溝71が設けられている。また、このインキ漏れ防止溝71は、最大印刷エリアSより印刷直交方向Nの左右外側位置に設けられている。さらに、インキ漏れ防止溝71は、印刷方向Mに沿って連続的に形成されていると共に、最大印刷エリアSの印刷方向Mより広い範囲に亘って形成されている。すなわち、もしインキ拡散溝65やインキ供給口55aから真横にインキ56が拡散した場合でも、漏れないように、インキ漏れ防止溝71の先端は少なくともドラム回転方向のインキ供給位置と同じ位置から設置されていることが望ましい。また、インキ漏れ防止溝71はインキ供給部55Aのインキ拡散溝65やインキ供給口55aの幅より、約10mmほど外側に設置されている。なお、他の構成は、前記第1実施形態と同一であるため同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この第2実施形態にあっても、前記第1実施形態と同様に、印刷を長時間行わなくてもインキ56が変質せず、しかも、ドラム26の小型・軽量化を図ることができる。
また、この第2実施形態において、インキ漏れ防止溝71は、最大印刷エリアSより印刷直交方向Nの左右外側位置に設けられているので、外周壁53の最大印刷エリアSより印刷直交方向Nに漏れるインキ56がインキ漏れ防止溝71に入り込むため、外周壁53のサイドからのインキ漏れをより確実に防止することができる。
第3の実施形態として、この孔版印刷装置は、上記外周壁の最大印刷エリアより外側に流出したインキを回収するインキ回収手段を有することが好ましい。これにより、余分なインキをドラムの外周壁より除去することができると共に、インキの再利用を図ることができる。
後述する本発明に係る孔版印刷方法において使用する孔版印刷装置には、このインキ回収手段が設けられている。
さらに、このインキ回収手段は、プレスロールのしごきによって印刷下流側に流出したインキをドラムの外周壁より除去して再利用するために、上記外周壁の最大印刷エリアより印刷下流位置にインキ回収溝を有し、このインキ回収溝に溜まったインキを回収することが好ましく、このインキ回収溝にインキ流通可能な落ち込み防止部材が配置されていることがより好ましい。この落ち込み防止部材により、孔版原紙がインキ回収溝に落ち込むことがなく、孔版原紙がインキ回収溝のインキ回収経路を塞ぐことによる回収効率の低下を防止できる。また、孔版原紙がインキ回収溝のエッジに貼り付いてその箇所で孔版原紙がインキをシールすることがなく、プレスロールのしごきによってインキがスムーズにインキ回収溝に流れ込むため、インキのエンド漏れが発生しない。さらに、プレスロールがインキ回収溝上を通過する際にインキ回収溝に落ち込まないため、プレスロールの落ち込み音と振動の発生を防止できる。
この落ち込み防止部材は、上記ドラムの上記外周壁と同一周面を形成することが好ましい。これにより、プレスロールがほぼ同じ円周上を移動することになるため、プレスロールの落ち込み音と振動を完全に防止できる。また、インキ回収手段は、インキ漏れ防止溝に溜まったインキを確実に除去してインキの再利用を図るため、インキ回収溝としてインキ漏れ防止溝を利用し、インキ漏れ防止溝に溜まったインキを回収することが好ましい。
図14〜図16はこの第3実施形態を示し、図14はドラムの斜視図、図15は図14中A3−A3線に沿う断面図、図16は図14中B3−B3線に沿う断面図である。
図14〜図16に示すように、この第3実施形態では、前記第1実施形態と比較して、外周壁53の最大印刷エリアSより漏れたインキ56を回収するインキ回収手段73Aが付加されている。
このインキ回収手段73Aは、外周壁53の最大印刷エリアSより印刷下流位置に形成されたインキ漏れ防止溝72と、このインキ漏れ防止溝72の一端が開口された第3パイプ74と、この第3パイプ74の他端側が接続され、連通孔75が形成されたロータリジョイント63と、このロータリジョイント63が回転自在に支持され、連通孔75が接続可能な孔76aおよび内部にインキ通路76bが形成された支軸50と、この支軸50に一端が接続された第4パイプ77と、この第4パイプ77の途中に介在され、紙粉等をトラップするフィルタ80と、第4パイプ77の途中に介在され、第4パイプ77内のインキ56を吸引するインキポンプ(例えばトロコイドポンプ)78と、第4パイプ77の他端が接続された回収容器79とから構成されている。
インキ漏れ防止溝72の配置位置は、最大印刷エリアSより印刷下流位置で、かつ、印刷直交方向Nに沿って連続的に形成されている。ただし、インキ漏れ防止溝72は、第3パイプ74の一端が接続されるため、インキ回収用凹部81と、この内部に配置されたパイプ固定部材82とを利用して形成されている。ロータリジョイント63は、インキ供給手段54のものと兼用されている。支軸50は、インキ供給手段54のインキ通路にも使用するため、2重パイプの構造になっている。なお、他の構成は、前記第1実施形態と同一であるため同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この第3実施形態にあっても、前記第1実施形態と同様に、印刷を長時間行わなくてもインキ56が変質せず、しかも、ドラム26の小型・軽量化を図ることができる。
この第3実施形態では、外周壁53の最大印刷エリアSより外側に漏れたインキ56を回収するインキ回収手段73Aを備えたので、余分なインキ56をドラム26の外周壁53より除去することができると共に、インキ56の再利用を図ることができる。
この第3実施形態では、インキ供給用のインキ容器57とインキ回収用の回収容器79とをそれぞれ備えているため、回収インキを再利用しないようにすることもできる。
この第3実施形態では、インキ回収手段73Aの第4パイプ77の途中にフィルタ80を介在したので、紙粉等の混入しないインキ56を確実に回収容器79に戻すことができる。従って、回収インキの質向上に寄与する。しかし、フィルタ80は、インキの再利用に際して必要不可欠なものではなく、設置しない実施態様としてもよい。
この第3実施形態にあって、印刷モード時にインキ供給手段54とインキ回収手段73Aとを常時駆動するように制御すれば、印刷モード時にインキ供給部55Aよりインキが外周壁53に連続的に供給され、この外周壁53よりインキ漏れ防止溝72に入り込んだインキ56が常時回収されるため、インキ56が外周壁53に滞留することを可及的に防止することができる。また、適量のインキ56を外周壁53に常時保持させることができる。このため、大量の連続印刷時であっても所望のインキ濃度の印刷物を得ることができる。なお、インキ漏れ防止溝72の配置は、前記第2実施形態のような配置としても良い。
図17(a)〜(c)はインキ漏れ防止溝の変形例を示し、図17(a)はインキ漏れ防止溝付近の断面図、図17(b)はインキ漏れ防止溝付近の一部平面図、図17(c)は孔版原紙の挙動を説明する断面図である。
図17(a)、(b)に示すように、変形例として、インキ漏れ防止溝72の内部に落ち込み防止部材である螺旋リング部材92が固定されていることが好ましい。具体的には、螺旋リング部材92は、そのバネ性を利用して、インキ漏れ防止溝72内に圧入されることによって固定されている。螺旋リング部材92の上面高さは外周壁53の表面と同一か若干低く設定されている。他の構成は同一であるため、図面の同一構成箇所に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この変形例では、図17(a)に示すように、孔版原紙18がインキ回収手段の吸引力によってインキ漏れ防止溝72内に落ち込むことがない。したがって、孔版原紙18がインキ漏れ防止溝72のインキ回収経路を塞ぐことによる回収効率の低下を防止できる。また、図17(c)に示すように、孔版原紙18がインキ漏れ防止溝72のエッジに貼り付いてその箇所で孔版原紙18がインキをシールすることがなく、プレスロール35のしごきによってインキがスムーズにインキ漏れ防止溝72に流れ込むため、インキのエンド漏れが発生しない。さらに、プレスロール35がインキ漏れ防止溝72上を通過する際にインキ漏れ防止溝72に落ち込まないため、プレスロール35の落ち込み音と振動の発生を防止できる。
図18は、孔版印刷装置の第4実施形態を示し、ドラムの外周壁を展開した概略図である。同図に示すように、この実施形態では、インキ回収手段73Dがドラムの外周壁53の最大印刷エリアSより印刷下流位置にインキ回収溝94を有し、このインキ回収溝94に溜まったインキを回収するように構成されている。つまり、インキ漏れ防止溝72を利用して最大印刷エリアSより外側に流出したインキを回収するのではなく、インキ回収溝94を用いて最大印刷エリアSより印刷下流外側に流出したインキを回収している。
このように、インキ漏れ防止溝72の代わりに、その同じ位置にインキ回収溝94を設けることができる。インキ回収溝94は、印刷方向Mに2列で、かつ、印刷直交方向Nに間隔を置いて形成された多数の開口部94aより構成されている。
この第4実施形態では、プレスロールのしごきによって印刷下流側に流出したインキがドラムの外周壁53より除去されると共に、インキの再利用を図ることができる。
また、孔版原紙18がインキ回収手段73Dの吸引力によってインキ回収溝94内に落ち込むことがない。したがって、孔版原紙18がインキ回収溝94のインキ回収経路を塞ぐことによる回収効率の低下を防止できる。また、孔版原紙18がインキ回収溝94のエッジに貼り付いてその箇所で孔版原紙18がインキをシールすることがなく、プレスロールのしごきによってインキがスムーズにインキ回収溝94に流れ込むため、インキのエンド漏れが発生しない。さらに、プレスロールがインキ回収溝94上を通過する際にインキ回収溝94に落ち込まないため、プレスロール35の落ち込み音と振動の発生を防止できる。
第5の実施形態として、この孔版印刷装置は、インキ供給部からの印刷直交方向のインキ供給量を制御するインキ量調整手段を有し、孔版原紙の穿孔率に応じてこのインキ量調整手段を制御することが好ましい。これにより、穿孔率の多い区間ではインキの供給量を多くし、穿孔率が少ない区間ではインキの供給量を少なくして、必要な区間に必要な量だけインキを供給することができ、余分なインキ供給を可及的に防止することができる。つまり、効率の良いインキ拡散を行うことができる。
さらに、インキ供給部からの印刷直交方向のインキ供給量を制御するインキ量調整手段を有し、給紙する印刷媒体のサイズに応じてインキ量調整手段を制御することが好ましい。これにより、印刷媒体の存在する区間ではインキを供給し、印刷媒体の存在しない区間ではインキを供給しないようにして、必要な区間にのみインキを供給することができ、余分なインキ供給を可及的に防止することができる。つまり、効率の良いインキ拡散を行うことができる。
図19〜図21はこの第5実施形態を示し、図19はドラムの断面図、図20は最大印刷エリアを6分割エリアに分割した状態を示す説明図、図21は制御ブロック図である。
図19に示すように、この第5実施形態では、インキ供給部55Aへのインキ供給は、印刷直交方向Nに等間隔に配置されたインキ供給通路83a〜83fを介して行われ、この各インキ供給通路83a〜83fにはインキ流通量を制御する制御バルブ84a〜84fが取り付けられている。6つのインキ供給通路83a〜83fおよび制御バルブ84a〜84fは、外周壁53の最大印刷エリアを印刷直交方向Nに6分割した場合にその上流位置に配置され、各分割エリアE1〜E6(図20に示す)のインキ供給をほぼ担当することになる。つまり、6つの制御バルブ84a〜84fはインキ供給部55Aからの印刷直交方向Nのインキ供給を制御するインキ量調整手段を構成している。制御バルブ84a〜84fは、バルブコントローラ85によってそれぞれ開閉量が制御されるようになっている。
一方、図21に示すように、この第5実施形態は、穿孔率解析部86を有し、この穿孔率解析部86は原稿読み取り部1からの画像データより各分割エリアE1〜E6における穿孔率の程度を検出するようになっている。制御部87は、この穿孔率の程度に応じてバルブコントローラ85に開閉状態の指令を出力するようになっている。具体的には、穿孔率が多ければバルブ開口量を大きく、穿孔率が少なければバルブ開口量を小さくするよう指令を送るようになっている。なお、他の構成は、前記第1実施形態と同一であるため同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この第5実施形態にあっても、前記第1実施形態と同様に、印刷を長時間行わなくてもインキ56が変質せず、しかも、ドラム26の小型・軽量化を図ることができる。
また、この第5実施形態では、インキ供給部55Aからの印刷直交方向Nのインキ供給量を制御することができる複数の制御バルブ84a〜84fを有し、孔版原紙18の穿孔率に応じて各制御バルブ84a〜84fを制御するようにしたので、穿孔率の多い区間ではインキの供給量を多くし、穿孔率が少ない区間ではインキの供給量を少なくすることにより、必要な区間に必要な量だけインキ56を供給することができ、余分なインキ供給を可及的に防止することができる。つまり、効率の良いインキ拡散を行うことができると共に、インキ漏れの確率を低く抑えることができる。
図22は第5実施形態の変形例を示す制御ブロック図である。
この変形例では、用紙サイズ検出手段88を有し、この用紙サイズ検出手段88は給紙台にセットされた印刷用紙の用紙サイズ(用紙幅)を検出するようになっている。制御部87は用紙サイズ検出手段88からの検出結果(用紙サイズ)に応じてバルブコントローラ85に開閉状態の指令を出力するようになっている。具体的には、印刷用紙の存在する分割エリアでは制御バルブを開位置とし、印刷用紙の存在しない分割エリアでは制御バルブを閉位置とするよう指令を送るようになっている。なお、他の構成は、前記第5実施形態と同一であるため詳細な説明を省略する。
この変形例では、インキ供給部からの印刷直交方向のインキ供給量を制御することができる複数の制御バルブを有し、給紙する印刷用紙のサイズに応じて各制御バルブを制御するようにしたので、印刷用紙の存在する区間ではインキ56が供給され、印刷用紙の存在しない区間ではインキ56が供給されないため、必要な区間にのみインキ56を供給することができ、余分なインキ供給を可及的に防止することができる。つまり、効率の良いインキ拡散を行うことができると共に、インキ漏れの確率を低く抑えることができる。なお、前記第5実施形態の穿孔率に応じた制御と、前記第5実施形態の変形例の用紙サイズに応じた制御とを共に行ってもよい。
第6の実施形態として、この孔版印刷装置において、印刷モード時に上記インキ供給手段とインキ回収手段とを常時駆動させることが好ましい。これにより、印刷モード時にインキ供給部よりインキが外周壁に連続的に供給され、この外周壁よりインキ漏れ防止溝に入り込んだインキが常時回収されるため、インキが外周壁に滞留することを防止することができる。また、適量のインキを外周壁に常時保持させることができるため、大量の連続印刷時であっても所望のインキ濃度の印刷物を得ることができる。
第7の実施形態として、この孔版印刷装置において、上記プレスロールの幅は、印刷直交方向の左右外側位置にそれぞれ設けられたインキ漏れ防止溝で、かつ、この双方のインキ漏れ防止溝の各外エッジよりも内側を押圧する幅に設定されることが好ましい。これにより、プレスロールがインキ漏れ防止溝を密閉状態で押圧しないため、インキ漏れ防止溝内のインキがプレスロールの押圧によってインキ漏れ防止溝の外側に漏れる事態を防止できる。また、インキ回収手段がインキ漏れ防止溝のインキを吸引力で回収する構成である場合には、プレスロールがインキ漏れ防止溝より外側を押圧しないためにインキ漏れ防止溝の外側に漏れたインキがプレスロールで押圧されず、インキ回収手段の吸引によって漏れインキが再びインキ漏れ防止溝に回収される確率が高くなる。
図23はこの第7実施形態を示し、ドラムとプレスロールの正面図である。図23に示すように、この第7実施形態では、プレスロール35の幅Dは、印刷直交方向Nの左右外側位置にそれぞれ設けられたインキ漏れ防止溝71,71で、かつ、この双方のインキ漏れ防止溝71,71の各外エッジ71cよりも内側を押圧するように設定されている。つまり、プレスロール35の幅Dは、最大印刷エリアSの幅と、左右のインキ漏れ防止溝71,17の外エッジ幅との間の寸法に設定される。
この第7実施形態では、プレスロール35がインキ漏れ防止溝71,71の幅の全体を押圧しないため、インキ漏れ防止溝71,71内のインキがプレスロール35の押圧によってインキ漏れ防止溝71,71の外側に漏れる事態を防止できる。また、インキ回収手段がインキ漏れ防止溝71,71のインキを吸引力で回収する構成である場合には、プレスロール35がインキ漏れ防止溝71,71より外側を押圧しないためにインキ漏れ防止溝71,71の外側に漏れたインキがプレスロール35で押圧されず、インキ回収手段の吸引によって漏れインキが再びインキ漏れ防止溝71,71に回収される確率が高くなる。
別の孔版印刷装置として、たとえば、回転自在で、かつ、表面に孔版原紙が装着される外周壁を有し、この外周壁がインキを通過しないベース壁と該ベース壁の少なくとも最大印刷エリアの表面に配置された多孔質シート部材とを有し、この多孔質部材と前記ベース壁の間に少なくとも最大印刷エリアの全域に亘ってインキ通過路が設けられたドラムと、前記インキ通過路にインキを供給するインキ供給手段と、前記インキ通過路内のインキを回収するインキ回収手段と、給紙された印刷媒体を前記外周壁に押圧するプレスロールとを備えた孔版印刷装置を用いることもできる。
本発明に係る孔版印刷方法は、回転自在でその外周壁の表面に孔版原紙が装着されるドラムと、このドラムの前記外周壁の最大印刷エリアより印刷上流側からインキを供給するインキ供給手段と、給紙された印刷媒体を前記外周壁に押圧するプレスロールと、インキを回収するインキ回収手段とを備えた孔版印刷装置を用いて行われ、製版済みの孔版原紙を装着したドラムを回転させながらプレスロールで押圧することによって、製版済みの孔版原紙の穿孔部からインキを通過させて印刷媒体に転移させる孔版印刷方法である。
インキとして、上述の本発明に係るインキが用いられる。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、「重量%」を単に「%」と記す。表1中、各成分の配合量は有効成分換算値であり、たとえば自己分散性顔料の配合量は顔料分換算値である。
(実施例1)
曳糸性付与剤として直鎖構造型ポリアクリル酸ナトリウム(日本純薬(株)製「アロンビスM」、平均分子量200万〜300万)0.2%、エチレングリコール(和光純薬工業(株)製「エチレングリコール」)15.0%、蒸留水47.3%を混合し、充分に撹拌して直鎖構造型ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を調製した。
これに、着色剤として自己分散性カーボンブラック分散液(オリヱント化学工業(株)製「ボンジェットブラックCW−1」、顔料分20%)37.5%を混合して、実施例1のインキを得た。
(実施例2)
着色剤として直接染料(ダイワ化成(株)製「Daiwa IJ−Blue 319H」)を使用した以外は、実施例1と同様にしてインキを得た。
(実施例3)
着色剤としてカーボンブラック(三菱化学(株)製「#40」)7.5%、顔料分散剤として芳香族スルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物(花王(株)製「デモ−ルN」)1.5%、蒸留水21.0%を混合し、ビーズミルで充分に分散させて顔料分散液30.0%を調製した。
以降は実施例1と同様にして、インキを得た。
(実施例4〜8、比較例1〜2)
表1に示す配合とした以外は、実施例3と同様にして、各実施例および各比較例のインキを得た。
(実施例9)
顔料分散液を調製する際に、消泡剤としてオクチルアルコールエチレンオキサイド付加型アセチレンジオール(エアープロダクツ社製「サーフィノール420」)0.01%を混合した以外は、比較例1と同様にしてインキを得た。
(実施例10)
消泡剤としてエマルジョン型シリコーン(GE東芝シリコーン(株)製「TSA−737S」)を使用した以外は、実施例9と同様にしてインキを得た。
(比較例3)
エチレングリコール15.0%、蒸留水47.5%、および自己分散性カーボンブラック分散液37.5%を混合し、充分に撹拌してインキを得た。
(比較例4)
着色剤として直接染料を使用した以外は、比較例3と同様にしてインキを得た。
(比較例5)
エチレングリコール15.0%、蒸留水46.4%、粘度調整剤としてカルボキシメチルセルロールナトリウム(関東化学(株)製)1.1%を混合し、充分に撹拌した。これに、自己分散性カーボンブラック分散液37.5%を混合し、充分に撹拌してインキを得た。
表1中、メラミンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物は日産化学工業(株)「SMF L−35B」(メラミンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、固形分35%)、リグニンスルホン酸は日本製紙ケミカル(株)製「パールレックスNP」(リグニンスルホン酸のナトリウム塩)、ポリスチレンスルホン酸はライオン(株)製「ポリティPS−1900」(ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩、固形分37%)、ビスフェノールスルホン酸ポリマーは日本製紙ケミカル(株)製「ビスパースP125」(ビスフェノールスルホン酸ナトリウムポリマー)、ポリイソプレンスルホン酸はJSR(株)「ダイナフローK114」(イソプレンスルホン酸−スチレン共重合体のナトリウム塩、固形分30%)、ポリアクリル酸誘導体はジョンソンポリマー(株)製「ジョンクリル60」(スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸アンモニウム塩共重合体水溶液、固形分34%)、ポリカルボン酸誘導体は日本油脂(株)製「ポリスターOM」(オレフィン・マレイン酸共重合体のナトリウム塩、固形分25%)である。
得られた各インキの曳糸長は、図24にその概略を模式的に示したような測定器を用いて測定した。すなわち、23℃の環境温度下で、容器201内にインキを満たし、この中にクロム鋼球202(直径15mm)の全体を、その球の上部がちょうどインキ液面のラインと一致するように浸漬し、その後このクロム鋼球を毎秒150mmの速度で垂直に引き上げたときの様子を、撮影機(ソニー株式会社製3CCDカラービデオカメラモジュールXC−003)(図示せず)を用いて正面から撮影し、インキ液面と鋼球との間に形成されたインキ曳糸がちぎれる直前のインキ曳糸の最大長(インキ液面と鋼球下部との距離)を、録画した画像から読みとった
得られた各インキの泡高さを、23℃環境下において、ロスマイルス法により測定した。直径50mmの円柱型ガラス容器に50mlの測定インキを入れておき、そのインキ液面から900mmの高さから、200mlの測定インキを、10ml/secの速度でインキ液面に落下させる。全量落下5分後の泡の高さを測定し、泡高さとした。
得られた各インキの粘度(23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおけるインキ粘度)を、ハーケ社製応力制御式レオメータRS75(コーン角度1°、直径60mm)を用いて測定した。
上記インキを用い、上記図1〜7に示した孔版印刷装置(理想科学工業株式会社製試作品)により、印刷用紙(理想科学工業株式会社製「理想用紙薄口」)に印刷を行った。孔版原紙は、600dpiのサーマルヘッドによって製版し、画像形成率は2%、20%、60%の3水準とした。
「画像形成率」とは、「主走査方向10ドット」×「副走査方向10ドット」の画像形成可能エリアを想定した場合のドットの穿孔率であり、100ドット分すべてを穿孔すると画像形成率は100%となり、100ドット中20ドットを穿孔させた場合20%となる。実際には、「10×10ドット」を繰り返し単位として、B4サイズの孔版原紙全面にわたって、均一に穿孔を形成した。
得られた印刷物におけるインキの回収不良に基づく汚れの有無、細字の鮮鋭性、および乾燥性を評価した。
汚れがなく印刷できたものを○、汚れが発生していたものを×とした。
細字の精鋭性の評価は目視で行い、細字(6ポイント)の判読が充分に可能であったものを○、判読が困難だったものを△、判読が不可能だったものを×とした。
印刷物の乾燥性は、画像に触れたときの指の汚れで評価し、印刷した3秒後に触れても指が汚れなかったものを○、5秒後であれば汚れなかったものを△、5秒後でも汚れたものを×とした。
得られた結果を、表1に併せて示す。
Figure 2007084582
上記表に示されているように、実施例では良好な印刷物を得ることができた。
好適な孔版印刷装置の第1実施形態を示し、その概略構成図である。 好適な孔版印刷装置の第1実施形態を示し、ドラムの斜視図である。 好適な孔版印刷装置の第1実施形態を示し、図2中A1−A1線に沿う断面図である。 好適な孔版印刷装置の第1実施形態を示し、図2中B1−B1線に沿う断面図である。 好適な孔版印刷装置の第1実施形態を示し、インキ供給部を示すドラムの平面図である。 好適な孔版印刷装置の第1実施形態を示し、図5中C1−C1線に沿う断面図である。 好適な孔版印刷装置の第1実施形態を示し、インキの拡散メカニズムを説明する部分断面図である。 好適な孔版印刷装置の第1実施形態のインキ供給部の変形例を示し、ドラムの一部の平面図である。 好適な孔版印刷装置の第1実施形態のインキ供給部の変形例を示し、図8中C4−C4線に沿う断面図である。 好適な孔版印刷装置の第2実施形態を示し、ドラムの斜視図である。 好適な孔版印刷装置の第2実施形態を示し、図10中A2−A2線に沿う断面図である。 好適な孔版印刷装置の第2実施形態を示し、図10中B2−B2線に沿う断面図である。 好適な孔版印刷装置の第2実施形態を示し、ドラムの外周壁を展開した概略図である。 好適な孔版印刷装置の第3実施形態を示し、ドラムの斜視図である。 好適な孔版印刷装置の第3実施形態を示し、図14中A3−A3線に沿う断面図である。 好適な孔版印刷装置の第3実施形態を示し、図14中B3−B3線に沿う断面図である。 インキ漏れ防止溝の変形例を示し、(a)はインキ漏れ防止溝付近の断面図、(b)はインキ漏れ防止溝付近の一部の平面図、(c)は孔版原紙の挙動を説明する断面図である。 好適な孔版印刷装置の第4実施形態を示し、ドラムの外周壁を展開した概略図である。 好適な孔版印刷装置の第5実施形態を示し、ドラムの断面図である。 好適な孔版印刷装置の第5実施形態を示し、最大印刷エリアを6分割エリアに分割した状態を示す説明図である。 好適な孔版印刷装置の第5実施形態を示し、制御ブロック図である。 好適な孔版印刷装置の第5実施形態の変形例を示す制御ブロック図である。 好適な孔版印刷装置の第7実施形態を示し、ドラムとプレスロールの正面図である。 曳糸長の測定に用いられる機器を模式的に示した概略構成図である。
符号の説明
18 孔版原紙
26 ドラム
35 プレスロール
37 印刷用紙(印刷媒体)
53 外周壁
54 インキ供給手段
55A,55B,55C,55D インキ供給部
55d インキ供給口
56 インキ
71,71a,71b,72,90,90a,90b インキ漏れ防止溝
73A,73B,73C インキ回収手段
84a〜84f 制御バルブ(インキ量調整手段)
92 螺旋リング部材(落ち込み防止部材)
94 インキ回収溝
M 印刷方向
N 印刷直交方向

Claims (5)

  1. 23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおけるインキ粘度が500mPa・s以下であり、23℃においてインキから直径15mmのクロム鋼球を150mm/sで引き上げたときのインキ曳糸長が30mm以上であり、かつ、ロスマイルス法により測定した泡高さが20mm以下である孔版印刷用インキ。
  2. 消泡剤を含む請求項1記載の孔版印刷用インキ。
  3. 自己分散性顔料、マイクロカプセル化顔料、または染料のいずれか1種以上を含む請求項1または2記載の孔版印刷用インキ。
  4. 芳香族スルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、ビスフェノールスルホン酸ポリマー、ポリスチレンスルホン酸、およびポリイソプレンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料分散剤を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の孔版印刷用インキ。
  5. 回転自在でその外周壁の表面に孔版原紙が装着されるドラムと、このドラムの前記外周壁の最大印刷エリアより印刷上流側からインキを供給するインキ供給手段と、給紙された印刷媒体を前記外周壁に押圧するプレスロールと、インキを回収するインキ回収手段とを備えた孔版印刷装置を用い、製版済みの孔版原紙を装着したドラムを回転させながらプレスロールで押圧することによって、製版済みの孔版原紙の穿孔部からインキを通過させて印刷媒体に転移させる孔版印刷方法であって、
    前記インキとして、請求項1〜4のいずれか1項記載の孔版印刷用インキを使用する孔版印刷方法。
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