JP2007084510A - 毛髪化粧料およびそれに含まれる有機顔料ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

毛髪化粧料およびそれに含まれる有機顔料ナノ粒子の製造方法 Download PDF

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淑記 藤原
Katsu Kobayashi
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Abstract

【課題】有機顔料誘導体と有機顔料とを溶解し、貧溶媒中で微粒子生成させる有機顔料ナノ粒子の製造方法を提供し、またその微粒子またはそれを含有する分散液等を用いることで、毛髪等を鮮明な色調に強く染色することができ染色性が高く、優れた褪色抵抗力を示して経日で色落ちしにくい毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種と、有機顔料の少なくとも1種とを有する有機顔料ナノ粒子を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
Figure 2007084510

(式中、Pigは有機顔料残基を表し、Lは連結基を表し、Rはカチオン性基を表す。mは1〜4までの整数を表す。Mは対イオンを表し、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた染色力を有し、毛髪に対し鮮明で広い範囲の色を付与することができ、経日による色落ちの少ない毛髪化粧料に関し、およびそれに含まれる有機顔料ナノ粒子の製造方法に関する。
従来、永久毛髪化粧料として酸化染料が使用されてきた。これは、サイズの小さな染料前駆体を毛髪中に浸透させ、毛髪内部で酸化して、分子サイズの比較的大きな染料分子として染色するものである。これにより長期間にわたる着色が保持される。しかしながら、この方法では鮮やかな色調の染毛効果を得ることができない。
これに対し、染毛濃度を向上する為に直接染料としてニトロ染料やカチオン染料を用いることが試みられている(例えば、特許文献1、2、3、4、5参照)。しかしこれらは、半永久毛髪化粧料もしくは一時的毛髪化粧料とよばれるものであり、その名のとおり着色の保持期間が短いことと、染毛濃度が十分でないことなどが、欠点として挙げられている。とくにニトロ染料を用いた場合には経日での色落ちが著しく色がくすみ易く、カチオン染料を用いた場合にはシャンプー洗髪による色落ちが大きい。さらに染料においては、近年、その安全性(染料前駆体自身、制御不能な中間生成物、及び最終生成物等の安全性)も求められ、開発の自由度が制限されている。
そこで顔料を使用することが試みられており、例えば、特定の界面活性剤とポリマーとを用いた化粧料が開示されているが(例えば特許文献6)、単に顔料をそのまま用いたのでは、着色力、シャンプー耐性が低く、満足できるものではない。
一方、顔料の製造方法に関しては、有機顔料をアミド系溶媒に溶解して、これを貧溶媒に注入することで有機顔料粒子を析出生成する方法が開示されている(特許文献7)。そして得られた顔料粒子の用途としてインクや電子材料などが挙げられているが、染毛化粧料と異なる用途である。
特開平6−271435号公報 特開2001−261535号公報 特表平8−501322号公報 特表平8−507545号公報 特開2003−342139号公報 特開2000−191473号公報 特開2004−091560号公報
本発明は、有機顔料誘導体と有機顔料とを溶解し、貧溶媒中で微粒子生成させる有機顔料ナノ粒子の製造方法の提供を目的とし、またその微粒子またはそれを含有する分散液等を用いることで、毛髪等を鮮明な色調に強く染色することができ染色力が高く、優れた褪色抵抗力を示して経日で色落ちしにくい毛髪化粧料の提供を目的とする。
上記の課題は、以下の手段により達成された。
(1)下記一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種と、有機顔料の少なくとも1種とを有する有機顔料ナノ粒子を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
Figure 2007084510
(式中、Pigは有機顔料残基を表し、Lは連結基を表し、Rはカチオン性基を表す。mは1〜4までの整数を表す。Mは対イオンを表し、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表す。)
(2)前記有機顔料ナノ粒子が、一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種および有機顔料の少なくとも1種を良溶媒に溶解した溶液(a)と、前記良溶媒に相溶する貧溶媒(b)とを混合して、分散生成させた有機顔料ナノ粒子であることを特徴とする(1)記載の毛髪化粧料。
(3)下記一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種および有機顔料の少なくとも1種を良溶媒に溶解した溶液(a)と、前記良溶媒に相溶する貧溶媒(b)とを混合して、前記有機顔料誘導体および有機顔料から少なくともなる粒径1μm以下のナノ粒子として分散生成させた分散液中の有機顔料ナノ粒子を濃縮した有機顔料分散体を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
Figure 2007084510
(式中、Pigは有機顔料残基を表し、Lは連結基を表し、Rはカチオン性基を表す。mは1〜4までの整数を表す。Mは対イオンを表し、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表す。)
(4)下記一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種および有機顔料の少なくとも1種を塩基性溶媒に溶解させた溶液(a)と、前記塩基性溶媒に相溶する貧溶媒(b−1)または酸性溶媒(b−2)とを混合し、前記有機顔料誘導体および前記有機顔料から少なくともなる粒径1μm以下のナノ粒子として分散生成させた分散液中の有機顔料ナノ粒子を濃縮した有機顔料分散体を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
Figure 2007084510
(式中、Pigは有機顔料残基を表し、Lは連結基を表し、Rはカチオン性基を表す。mは1〜4までの整数を表す。Mは対イオンを表し、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表す。)
(5)前記分散液から分離した有機顔料ナノ粒子を含有することを特徴とする(3)または(4)記載の毛髪化粧料。
(6)下記一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種および有機顔料の少なくとも1種を良溶媒に溶解した溶液(a)と、前記良溶媒に相溶する貧溶媒(b)とを混合して、前記有機顔料誘導体および前記有機顔料から少なくともなるナノ粒子を分散生成させることを特徴とする有機顔料ナノ粒子の製造方法。
Figure 2007084510
(式中、Pigは有機顔料残基を表し、Lは連結基を表し、Rはカチオン性基を表す。mは1〜4までの整数を表す。Mは対イオンを表し、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表す。)
本発明の毛髪化粧料は、十分な染色性と洗髪に対しての高い持続性を有するものであり、より詳しくは、鮮明な色調で高い染毛力を可能とし、優れた褪色抵抗力(例えば、日光、洗髪、汗、摩擦、熱等に対する抵抗力)を発揮し経日での色落ちを抑えることを可能とする。また本発明の製造方法によれば、上記のような優れた毛髪化粧料としうる有機顔料ナノ粒子を得ることができる。
本発明の毛髪化粧料は有機顔料誘導体および有機顔料を少なくとも含有して形成された有機顔料ナノ粒子を含むものであり、好ましくは有機顔料誘導体および有機顔料を溶解した溶液(a)と、貧溶媒(b)とを混合して分散生成させた有機顔料ナノ粒子を含むものである。以下に本発明について詳細に説明する。
[有機顔料]
本発明の毛髪化粧料に用いられる有機顔料は、色相的に限定されるものではない。詳しくは、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンもしくはイソビオラントロン系顔料、またはそれらの混合物などが挙げられる。
更に詳しくは、例えば、C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン系顔料、C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン系顔料、C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合系顔料、C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントイエロー150(C.I.番号48545)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン系顔料、C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール系顔料、C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ系顔料、C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン系顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン系顔料が挙げられる。
本発明の毛髪化粧料においては、2種類以上の有機顔料または有機顔料の固溶体を組み合わせて用いることもできる。
[有機顔料誘導体]
本発明の毛髪化粧料においては、前記有機顔料とともに有機顔料誘導体を用いる。この有機顔料誘導体は下記一般式(1)で表される。
Figure 2007084510
一般式(1)中、Pigは有機顔料残基を表し、その有機顔料は色相的に制限されるものではなく、その好ましい範囲は前述の「有機顔料」の項で述べたものと同様である。
一般式(1)中、Lは連結基を表し、具体的には例えば、単結合、−SO−、−SONH−、−SONHSO−、−CONH−、−CONHCO−、−COO−、−NHSO−、−NHSONH−、−NHCO−、−NHCONH−などが挙げられ、−SONH−、−CONH−が好ましい。
一般式(1)中、mは1〜4までの整数を表す。
一般式(1)中、Rはカチオン性基を表し、炭素原子数1〜4までのトリアルキルアンモニウム基、炭素原子数1〜4までのN−アルキルイミダゾリウム基であることが好ましい(本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていてもよいことを意味し、特に断らない限り、その置換基はどのような置換基でもよく、例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。)。
一般式(1)中、Mは対イオンを表し、特に限定は無く、無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン化物陰イオン(例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、アリ−ルスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリ−ルジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキルスルホン酸イオン(例えばメタンスルホン酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどが挙げられ、ハロゲン化物陰イオン、酢酸イオン、アルキルスルホン酸イオンが好ましい。
一般式(1)中、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表し、カチオン性基の電荷および対イオンの電荷の関係で定まり、1〜3であることが実際的である。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
Figure 2007084510
Figure 2007084510
Figure 2007084510
Figure 2007084510
Figure 2007084510
一般式(1)で表される有機顔料誘導体は、通常の方法で合成することができるが、例えば、塗装工学 24巻491頁(1989年)や色材協会研究発表会130頁(1986年)に記載された方法によって合成することができる。
[有機顔料ナノ粒子の製造方法]
本発明の毛髪化粧料に含まれる有機顔料ナノ粒子は、本発明の製造方法、すなわち有機顔料と有機顔料誘導体を溶解した溶液(a)と、その溶媒に相溶する有機顔料に対する貧溶媒(b)とを良溶媒に混合して分散粒子化法によって形成したものであることが好ましい(本発明において、この粒子化法により得られた有機顔料粒子液を「分散液」ともいう。)。
−良溶媒−
本発明の毛髪化粧料において、有機顔料および有機顔料誘導体を溶解するために用いられる良溶媒は、有機顔料および有機顔料誘導体を溶解することが可能で、有機顔料粒子作製時に用いる貧溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に制限はない。良溶媒は、有機顔料または有機顔料誘導体の良溶媒への溶解度としていうと、その溶解度が0.2質量%以上であるものが好ましく、0.5質量%以上であるものがより好ましい。この溶解度は酸性または塩基性で溶解された場合の溶解度であってもよい。また、良溶媒と貧溶媒との相溶性もしくは均一混合性は、良溶媒の貧溶媒に対する溶解度が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
良溶媒としては、例えば、水系溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、二硫化炭素、脂肪族系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、スルホキシド系溶媒またはアミド系溶媒が好ましく、水系溶媒、スルホキシド系溶媒またはアミド系溶媒がより好ましく、スルホキシド系溶媒またはアミド系溶媒が特に好ましい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。脂肪族系溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。スルホキシド系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF との塩などが挙げられる。
有機顔料溶液の濃度としては、有機顔料と有機顔料誘導体との合計濃度でいうと、溶解時の条件における有機顔料の良溶媒に対する飽和濃度乃至これの1/100程度の範囲が好ましい。有機顔料及び有機顔料誘導体の個々の濃度として具体的に示すと、有機顔料の濃度は0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。有機顔料誘導体の濃度は0.1〜5質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
有機顔料/有機顔料誘導体の比率に特に制限はないが、100/1〜1/1が好ましく、50/1〜10/1がより好ましい。有機顔料と、有機顔料誘導体の基体となる顔料は同一であっても異なっていてもよいが、色素間相互作用が得られやすいため、類似骨格を有する顔料であることが好ましい。
有機顔料溶液の調製条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−10〜150℃が好ましく、−5〜130℃がより好ましく、0〜100℃が特に好ましい。
本発明の毛髪化粧料においては、カチオン性基を置換基として有する顔料誘導体(例えば、イオン性顔料塩)と有機顔料とを含有し形成された有機ナノ粒子を有するため、粘度低下や分散安定性が改良さるものである。さらに、本発明の毛髪化粧料においては、上述のように、好ましくは有機顔料と有機顔料誘導体とを適切に組み合わせて溶解した溶液から、分散粒子化法により生成させた有機顔料ナノ粒子を含有するため、単に両者を固体の状態で混合したのでは得られない、微粒子内部または表面における制御した分子配置を可能とし、しかも単分散のナノ粒子として得られるため、毛髪表面から内部に強く定着してシャンプーなどでも剥れにくい強い染毛が可能となる。
本発明の毛髪化粧料を作製する際に用いられる有機顔料溶液中の有機顔料および有機顔料誘導体は、良溶媒中に均一に溶解されるが、酸性でもしくはアルカリ性で溶解することも好ましい。一般に分子内にアルカリ性で解離可能な基を有する顔料の場合はアルカリ性が、アルカリ性で解離する基が存在せず、プロトンが付加しやすい窒素原子を分子内に多く有するときは酸性が用いられる。例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合系顔料はアルカリ性で、フタロシアニン系顔料は酸性で溶解される。ただし、本発明の毛髪化粧料においては、アルカリで解離する置換基を有した顔料が好ましく、そのため塩基性条件とした良溶媒を用いて、有機顔料および有機顔料誘導体を溶解することが好ましい。
アルカリ性で溶解させる場合に用いられる塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化バリウムなどの無機塩基、またはトリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、金属アルコキシドなどの有機塩基であるが、好ましくは無機塩基である。
使用される塩基の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、無機塩基の場合、好ましくは有機顔料に対して1.0〜30モル当量であり、より好ましくは1.0〜25モル当量であり、特に好ましくは1.0〜20モル当量である。有機塩基の場合、好ましくは有機顔料に対して1.0〜100モル当量であり、より好ましくは5.0〜100モル当量であり、さらに好ましくは20〜100モル当量である。
酸性で溶解させる場合に用いられる酸は、硫酸、塩酸、もしくは燐酸などの無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸であるが好ましくは無機酸である。特に好ましくは硫酸である。
使用される酸の量は、有機顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、塩基に比べて過剰量用いられる場合が多い。無機酸および有機酸の場合を問わず、好ましくは有機顔料に対して3〜500モル当量であり、より好ましくは10〜500モル当量であり、さらに好ましくは30〜200モル当量である。
−貧溶媒−
本発明の毛髪化粧料において、有機顔料ナノ粒子を生成させるために用いられる貧溶媒は、有機顔料を溶解せず、有機顔料粒子作製時に用いる良溶媒と相溶する、あるいは均一に混ざるものであれば特に制限はない。有機顔料の貧溶媒に対する溶解度は0.02質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。貧溶媒と良溶媒との相溶性もしくは均一混合性の好ましい範囲は前述のとおりである。
貧溶媒としては、例えば、水系溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、二硫化炭素、脂肪族系溶媒、ニトリル系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水系溶媒、アルコール系溶媒またはエステル系溶媒が好ましい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。脂肪族系溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF6 との塩などが挙げられる。
本発明の毛髪化粧料においては、細かい粒子を効率よく析出させることが好ましく、そのため有機顔料ナノ粒子を生成させる貧溶媒として酸性の溶媒を用いることが好ましい。酸性貧溶媒として好ましくは、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、リン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。
[有機顔料ナノ粒子生成時の条件]
有機顔料を有機顔料ナノ粒子として生成させる際の条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜60℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。
有機顔料溶液と貧溶媒との混合方法に特に制限はないが、一方を撹拌しておき、そこに他方を添加することが好ましく、有機顔料溶液を、撹拌した貧溶媒に添加することが特に好ましい。添加にはポンプ等を用いることもできるし、用いなくてもよい。また、液中添加でも液外添加でもよいが、液中添加がより好ましい。液中添加の際の添加口は1つでもよいし、複数用いてもよい。添加口径は20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。
一方を撹拌する際の撹拌速度は100〜10000rpmが好ましく150〜8000rpmがより好ましく、200〜6000rpmが特に好ましい。
有機顔料溶液と貧溶媒の比(良溶媒/貧溶媒)は体積比で1/50〜2/3が好ましく、1/40〜1/2がより好ましく、1/20〜3/8が特に好ましい。
有機顔料ナノ粒子として調製したのちの分散液の濃度は有機顔料ナノ粒子を分散させることができれば特に制限されないが、分散溶媒1000mlに対してナノ粒子が10〜40000mgの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜30000mgの範囲であり、特に好ましくは50〜25000mgの範囲である。
[有機顔料ナノ粒子の粒径、単分散性]
有機顔料ナノ粒子の粒径に関しては、計測法により数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、各種の平均径(数平均、長さ平均、面積平均、重量平均、体積平均等)などがあり、本発明においては、特に断りのない限り、粒径とは数平均径をいう。本発明の毛髪化粧料を製造する際に形成する有機顔料ナノ粒子(一次粒子)の粒径は、1μm以下であり(例えば、その大きさの結晶または会合体であり)、1〜200nmであることが好ましく、2〜100nmであることが特に好ましい。
また、粒子の単分散性を表す指標として、本発明においては、特に断りのない限り、体積平均粒径(Mv)と数平均粒径(Mn)の比(Mv/Mn)を用いる。本発明の毛髪化粧料を製造する際に調製する有機顔料ナノ粒子分散液に含まれる粒子(一次粒子)の単分散性、つまりMv/Mnは、1.0〜2.0であることが好ましく、1.0〜1.8であることが特に好ましい。
[分散液の濃縮、分離]
分散液の濃縮方法は、目的とする濃度に濃縮できれば特に制限はないが、例えば、分散液に、抽出溶媒を添加して混合し、有機顔料ナノ粒子を該抽出溶媒相に濃縮しながら抽出し、必要に応じてその濃縮抽出液をフィルターなどによりろ過して濃縮ナノ粒子液とする方法(濃縮抽出法)、遠心分離によって有機顔料ナノ粒子を沈降させて濃縮する方法(遠心分離法)、限外ろ過により脱塩濃縮を行う方法(限外ろ過法)、真空凍結乾燥により溶媒を昇華させて、または加熱ないし減圧による溶媒を乾燥させて濃縮する方法(乾燥法)等が好ましい。またはこれらの組合せなどが非常に好ましく用いられる。
濃縮後の有機顔料ナノ粒子の濃度に関しては、1〜100質量%が好ましく、5〜100質量%がより好ましく、10〜100質量%が特に好ましい。ここで濃度が100質量%またはそれに近いものとは溶媒や分散媒を除去して分離された有機顔料ナノ粒子を意味する。本発明の毛髪化粧料においては、濃縮後の有機顔料分散液だけではなく、上記のように溶媒などを除去して分離した有機顔料ナノ粒子を用いることも好ましい。
限外ろ過により濃縮または分離する場合、例えばハロゲン化銀乳剤の脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することができる。リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)No.10208(1972)、No.13 122(1975)およびNo.16 351(1977)が知られている。操作条件として重要な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に選定することができるが、目的の有機顔料ナノ粒子分散物を処理する上では、粒子の凝集を抑えるために最適条件を見いだす必要がある。また、膜透過より損失する溶媒を補充する方法においては、連続して溶媒を添加する定容式と断続的に分けて添加する回分式とがあるが、脱塩処理時間が相対的に短い定容式が好ましい。こうして補充する溶媒には、イオン交換または蒸留して得られた純水を用いることが好ましい。
[毛髪化粧料]
本発明の毛髪化粧料は、有機顔料ナノ粒子分散液またはその濃縮により得た有機顔料分散体をそのままで用いてもよく、そこから分離した有機顔料ナノ粒子を用いてもよく、また、その他の溶剤、助剤、色素化合物等を混合して用いてもよい(本発明において「料」または「剤」とは、特定の染毛化合物(有機顔料、有機顔料誘導体等)を意味するだけではなく、それを含む分散液、またはその他の化合物や溶媒等との混合物、すなわち組成物や、さらには、後述するように1剤からのみなるものでなく、2剤以上をセットした多剤形式の剤を包含する意味である。)。したがって、本発明の毛髪化粧料は、目的に応じて、溶剤や添加剤と組み合わせることにより、永久的ヘアカラーとしての染毛剤、半永久的ヘアカラーもしくは一時的ヘアカラーとしての毛髪料や毛髪化粧品などにすることができる。
本発明の毛髪化粧料において、有機顔料および有機顔料誘導体の合計含有量は、全組成(以下、2剤以上をセットした場合は各剤の混合後の総量を意味する。)中に、0.0001〜80質量%が好ましく、より好ましくは0.001〜60質量%、特に好ましくは1〜50質量%である。
本発明の毛髪化粧料は、通常、毛髪化粧料が用いられるpH2〜11の広い範囲で保存安定性に優れるため、その範囲内の任意のpHで使用することができ、pH5以上の範囲で使用することが染色性の点から好ましい。
本発明の毛髪化粧料に用いられるアルカリ剤としては、例えばアンモニア;モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン又はこれらの塩等のアルカノールアミン;グアニジン炭酸塩等のグアニジウム塩;水酸化ナトリウム等の水酸化物などが挙げられる。アルカリ剤の含有量は、全組成中の0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
本発明の毛髪化粧料は、酸化剤に対して十分安定なので、酸化剤と混合した後に毛髪に適用することができる。換言すれば、粒子化法により生成させた有機顔料ナノ粒子を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤の2剤式にすることができる。この場合、染色と脱色が同時に行われ、より鮮やかな染色が得られる。
酸化剤としては、例えば過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩などが挙げられる。なかでも、毛髪に対する脱色性、染毛化合物の安定性及び有効性の点から過酸化水素が特に好ましい。また、過酸化水素を他の酸化剤と組み合わせて用いることもできる。酸化剤の含有量は、全組成中の0.5〜10質量%が好ましく、特に1〜8質量%がより好ましい。
粒子化法により生成させた有機顔料ナノ粒子、その分散液、または濃縮分散体を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を用いた2剤形式とする場合、第1剤:第2剤の混合割合は、容積比で2:1〜1:3の範囲であるのが好ましい。
本発明の毛髪化粧料に、ポリオール類又はポリオールアルキルエーテル類、カチオン性又は両性ポリマー類、シリコーン類を加えると均一な染毛が得られるとともに、毛髪の化粧効果を改善することができ好ましい場合がある。
本発明の毛髪化粧料には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、炭化水素類、動植物油脂、高級脂肪酸類、有機溶剤、浸透促進剤、カチオン界面活性剤、天然又は合成の高分子、高級アルコール類、エーテル類、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、蛋白誘導体、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
本発明の毛髪化粧料は、その剤形式に関し通常の方法に従って製造でき、1剤式、アルカリ剤を含有する組成物と酸化剤を含有する組成物からなる2剤式、あるいはこれに過硫酸塩等の粉末状の酸化剤を加えた3剤式の形態とすることができる。2剤式又は3剤式の場合、粒子化法により生成させた有機顔料ナノ粒子、その分散液、または濃縮分散体は、上記組成物の少なくとも1つに配合すればよい。本発明の毛髪化粧料は、1剤式の場合は直接毛髪に塗布することにより使用され、2剤式又は3剤式の場合は染毛時にこれらを混合し毛髪に塗布することにより使用することができる。
またその形態は、粉末状、透明液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、エアゾール、エアゾールフォーム状等とすることができる。毛髪に適用する段階(2剤式又は3剤式の場合は混合後)における粘度は、2000〜100000mPa・sが好ましい。ここで、粘度は、ブルックフィールド回転粘度計(No.5スピンドル、5rpm)を用いて20℃で測定した値である。
(実施例1−1)
顔料(ピグメントレッド122)3gおよび化合物(2−1)3gを、ジメチルスルホキシドと8mol/L−水酸化カリウム水溶液を6:1で混合した溶液に、顔料および化合物(2−1)の総濃度が150mmol/Lとなるよう溶解した顔料溶液Aを調製した。さらにこれとは別に貧溶媒として水を準備した。
ここで、18℃に温度コントロールし、藤沢薬品工業社製GK−0222−10型ラモンドスターラーにより500rpmで攪拌した貧溶媒の水1000mlに、顔料溶液Aを日本精密化学社製NP−KX−500型大容量無脈流ポンプを用いて流速50ml/minで200ml注入して、ナノ顔料粒子を形成し分散液を調製した。この分散液中のナノ顔料粒子について、日機装社製ナノトラックUPA−EX150を用いて、粒径、単分散度を測定したところ、数平均粒径80nm、Mv/Mn1.65であった。
次に、この分散液を限外濾過装置(アドバンテック東洋(株)社製、UHP−25K、分画分子量20万)により液量を保持するよう蒸留水を加えながら濃縮して、1質量%顔料微粒子分散液試料P−1を得た。
(実施例1−2)
化合物(2−1)とピグメントレッド122に代え、化合物(1−1)とピグメントイエロー74、化合物(3−1)とピグメントバイオレット19、または化合物(4−2)とピグメントブルー15:3を用いた以外は実施例1−1と同様にして、それぞれ1質量%の顔料分散液試料P−2、P−3、P−4を得た。
(比較例1)
化合物(2−1)を用いず、ピグメントレッド122のみを6g使用した以外は、実施例1−1と同様にして比較のための1質量%の顔料分散液試料H−3を得た。
(実施例2、比較例2)
1質量%の分散液試料P−1〜P−4、および特開2003−342139号公報(特許文献5)に開示された染料(比較染料1、2とする:各々の染料200mgをイオン交換水19.2gに溶解させた1質量%の染料水溶液)、比較分散液試料H−3を、それぞれアルカリ性過酸化物を含む水ベースの組成物に溶解し、処方Aを有する組成物を調製し、本発明の毛髪化粧料試料CP−1〜CP−4、比較のための毛髪化粧料試料CH−1〜CH−3とした。
〔処方A〕
1質量%の顔料分散液試料(または1質量%の染料水溶液) 20.0g
ベンジルアルコール 5.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 0.01g
水酸化アンモニウム(25質量%) 5.0g
過酸化水素(50質量%) 6.0g
水 全量を100gとする (pH 10.0)
Figure 2007084510
(試験例1)
損傷のないヤギ毛1gあたり1.75gの処方Aの毛髪化粧料試料を27℃で18分間適用した。染色が終了したのち、各毛束を水洗し、シャンプー(花王(株)社製メリット(商品名))により洗浄し、乾燥した。その後、毛束の色を測定した。染色後の各ヤギ毛サンプルに関して、カラーリング処理前後の毛束のL、a及びb値をミノルタ社製色計測器で計測し、ΔLとΔEの値を、次式に従って算出した。
ΔE=(ΔL2+Δa2+Δb21/2
それぞれの毛髪化粧料試料についての測定試験結果を表1に示す。
Figure 2007084510
表1の結果より、本発明の微粒子分散物を用いた毛髪化粧料は染色性に優れていることがわかる。
(試験例2)
試験例1で使用した後の各毛束を用い、上記と同じシャンプーにより20回洗浄した後のΔE値をそれぞれ測定した。結果を表2にし示した。
Figure 2007084510
表2の結果より本発明の毛髪化粧料は洗浄に対して高い耐性を示すことが分かる。
(試験例3)
実施例1−1および1−2で調製した顔料分散液試料P−1〜P−4、および比較染料1,2を、それぞれ日光の直射する環境下に30日間静置し褪色試験を行った。褪色試験の結果、顔料分散液試料P−1〜P−4はいずれも、比較染料1,2より高い光堅牢性を示した。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種と、有機顔料の少なくとも1種とを有する有機顔料ナノ粒子を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
    Figure 2007084510
    (式中、Pigは有機顔料残基を表し、Lは連結基を表し、Rはカチオン性基を表す。mは1〜4までの整数を表す。Mは対イオンを表し、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表す。)
  2. 前記有機顔料ナノ粒子が、一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種および有機顔料の少なくとも1種を良溶媒に溶解した溶液(a)と、前記良溶媒に相溶する貧溶媒(b)とを混合して、分散生成させた有機顔料ナノ粒子であることを特徴とする請求項1記載の毛髪化粧料。
  3. 下記一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種および有機顔料の少なくとも1種を良溶媒に溶解した溶液(a)と、前記良溶媒に相溶する貧溶媒(b)とを混合して、前記有機顔料誘導体および前記有機顔料から少なくともなる粒径1μm以下のナノ粒子として分散生成させた分散液中の有機顔料ナノ粒子を濃縮した有機顔料分散体を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
    Figure 2007084510
    (式中、Pigは有機顔料残基を表し、Lは連結基を表し、Rはカチオン性基を表す。mは1〜4までの整数を表す。Mは対イオンを表し、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表す。)
  4. 下記一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種および有機顔料の少なくとも1種を塩基性溶媒に溶解させた溶液(a)と、前記塩基性溶媒に相溶する、貧溶媒(b−1)または酸性溶媒(b−2)とを混合し、前記有機顔料誘導体および前記有機顔料から少なくともなる粒径1μm以下のナノ粒子として分散生成させた分散液中の有機顔料ナノ粒子を濃縮した有機顔料分散体を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
    Figure 2007084510
    (式中、Pigは有機顔料残基を表し、Lは連結基を表し、Rはカチオン性基を表す。mは1〜4までの整数を表す。Mは対イオンを表し、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表す。)
  5. 前記分散液から分離した有機顔料ナノ粒子を含有することを特徴とする請求項3または4記載の毛髪化粧料。
  6. 下記一般式(1)で表される有機顔料誘導体の少なくとも1種および有機顔料の少なくとも1種を良溶媒に溶解した溶液(a)と、前記良溶媒に相溶する貧溶媒(b)とを混合して、前記有機顔料誘導体および前記有機顔料から少なくともなるナノ粒子を分散生成させることを特徴とする有機顔料ナノ粒子の製造方法。
    Figure 2007084510
    (式中、Pigは有機顔料残基を表し、Lは連結基を表し、Rはカチオン性基を表す。mは1〜4までの整数を表す。Mは対イオンを表し、nは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の整数を表す。)
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