JP2007079227A - 波長変換素子および波長可変光源 - Google Patents
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Abstract
【課題】 赤外光、近赤外光、中赤外光を発生することができ、広い波長変換帯域が得られ、波長変換帯域内での出力変動が小さい波長可変光源を提供する。
【解決手段】 波長可変が可能な励起光源11と、励起光源11からの励起光を入力し、第二高調波発生により励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子13とを備え、波長変換素子13は、光の伝播方向に分極反転周期が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、波長変換素子13の中央部の反転周期の変化に比べて、端部の反転周期の変化が大きい構造を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 波長可変が可能な励起光源11と、励起光源11からの励起光を入力し、第二高調波発生により励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子13とを備え、波長変換素子13は、光の伝播方向に分極反転周期が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、波長変換素子13の中央部の反転周期の変化に比べて、端部の反転周期の変化が大きい構造を有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、波長変換素子および波長可変光源に関し、より詳細には、第二高調波発生、和周波発生、差周波発生を用いて、入力された光の波長を変換して出力する波長変換素子およびこれを備えた波長可変光源に関する。
従来、波長を掃引することができるレーザ光源として、半導体レーザと外部グレーティングとを光学的に結合させた構造の光源が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この光源は、グレーティングを機械的に回転させるなどして、波長可変を実現している。従って、波長可変の速度に限界がある。また、この光源は、使用する半導体レーザの利得波長領域によって波長領域が決まってしまう。現在、商用化されている波長は、およそ600〜1600nmの間で、波長可変範囲が20〜100nm程度である。この種の半導体レーザは、波長可変レーザとしては最も一般的なものであり、通信波長帯である1.3〜1.6μmの波長において、比較的安価な製品が実現されている。しかしながら、他の波長帯域の光源は、市場規模・需要・技術的な困難性などの影響で通信波長帯の製品と比較して、2〜3倍と高価である。
また、レーザ光源は、例えば、種々のガスの吸収を測定してガスのセンシングや分光を行うなどの計測分野にも応用されている。計測分野では、高速な波長掃引が可能で、ガスの吸収の大きな種々の波長の光源が必要となる。多くのガスは、2〜5μm帯の近赤外から中赤外波長、700〜800nm帯の赤外波長において吸収がみられる。しかしながら、2〜5μm帯の波長では、一部の特殊な波長を除いて半導体レーザが実現されておらず、波長可変が可能な半導体レーザも実現されていない。
700〜800nm帯においては、外部グレーティングを用いた半導体レーザ、DBR(Distributed Bragg Reflector)レーザなどの波長可変レーザ(例えば、非特許文献2参照)が知られている。しかしながら、波長可変レーザは、高速な波長掃引ができない、モードホッピングのために、安定な波長掃引ができないという問題があった。
M. Notomi, et al., "Broad-Band Tunable Two-Section Laser Diode with External Grating Feedback", IEEE Photonics Tech. Lett. Vol.2, No.2, pp.85-87, 1990/9
T. Hirata, et al., "Fabrication and Characteristics of GaAs-AlGaAs Tunable Laser Diodes with DBR and Phase-Control Sections Integrated by Compositional Disordering of a Quantμm Well", IEEE J. of Quantμm Electronics, Vol.27, No.6, pp.1609-1615, 1991/6
Y. Tohmori, et al., "Broad-Range Wavelength-Tunable Superstructure Grating (SSG) DBR Lasers", IEEE J. of Quantμm Electronics, Vol.29, No.6, pp.1817-1823, 1993/6
S. L. Lee, et al., "Dynamic Responses of Widely Tunable Sampled Grating DBR Lasers", IEEE Photonics Tech. Lett. Vol.8, No.12, pp.1597-1599, 1996/12
Y. Nishida, et al., "Direct-bonded QPM-LN ridge waveguide with high damage resistance at room temperature", Electronics Lett. 3rd April 2003 Vol.39, No.7
T. Suhara, et al., "Theoretical Analysis of Waveguide Second-Harmonic Generation Phase Matched with Uniform and Chirped Gratings", IEEE J. of Quantμm Electronics, Vol.26, No.7, pp.1265-1276, 1990/7
高速に波長掃引が可能な光源として、SSG−DBR−LD(Superstructure Grating DBR LD)(例えば、非特許文献3参照)、SG−DBR−LD(Sampled Grating DBR LD)(例えば、非特許文献4参照)が知られている。これらの光源は、上述した外部グレーティングを用いた光源よりも、さらに安価に入手が可能である。しかしながら、その多くは光通信波長帯である1.55μm帯向けに開発されているため、計測分野において用いられる波長帯では使用できないという問題があった。
通信波長帯である1.3〜1.6μmの波長の半導体レーザの作製技術と比較すると、他の波長領域の半導体レーザの作製技術は、導波路を埋め込み構造にできない、グレーティングの作製技術が異なるなどの違いがみられる。従って、上述したSSG−DBR−LD、SG−DBR−LDを、その他の波長領域で動作させることが難しいという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、赤外光、近赤外光、中赤外光を発生することができ、広い波長変換帯域が得られ、波長変換帯域内での出力変動が小さい波長可変光源を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、入力された光の波長を変換して出力する波長変換素子であって、前記光の伝播方向に分極反転周期が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の反転周期の変化に比べて、端部の反転周期の変化が大きい構造を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、入力された光の波長を変換して出力する波長変換素子であって、前記光の伝播方向に一定の分極反転周期を有し、該分極反転周期に対する位相が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の位相の変化に比べて、端部の位相の変化が大きい構造を有することを特徴とする。
請求項3に記載の波長可変光源は、波長可変が可能な励起光源と、該励起光源からの励起光を入力し、第二高調波発生により前記励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子とを備え、該波長変換素子は、前記光の伝播方向に分極反転周期が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の反転周期の変化に比べて、端部の反転周期の変化が大きい構造を有することを特徴とする。
請求項4に記載の波長可変光源は、波長可変が可能な励起光源と、該励起光源からの励起光を入力し、第二高調波発生により前記励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子とを備え、該波長変換素子は、前記光の伝播方向に一定の分極反転周期を有し、該分極反転周期に対する位相が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の位相の変化に比べて、端部の位相の変化が大きい構造を有することを特徴とする。
請求項5に記載の波長可変光源は、波長可変が可能な第1の励起光源と、固定波長の第2の励起光源と、前記第1および第2励起光源からの励起光を合波して入力し、差周波波発生または和周波発生により前記励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子とを備え、該波長変換素子は、前記光の伝播方向に分極反転周期が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の反転周期の変化に比べて、端部の反転周期の変化が大きい構造を有することを特徴とする。
請求項6に記載の波長可変光源は、波長可変が可能な第1の励起光源と、固定波長の第2の励起光源と、前記第1および第2励起光源からの励起光を合波して入力し、差周波波発生または和周波発生により前記励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子とを備え、該波長変換素子は、前記光の伝播方向に一定の分極反転周期を有し、該分極反転周期に対する位相が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の位相の変化に比べて、端部の位相の変化が大きい構造を有することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、1.25〜1.65μm帯の波長可変半導体レーザの出力を波長変換して赤外、近赤外、中赤外光を発生でき、かつ広い波長変換帯域が得られ、波長変換帯域内での出力変動を小さくできるため、安価で高速に広帯域な波長掃引が可能な光源を実現することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態の波長可変光源は、1.25〜1.65μm帯の波長可変半導体レーザと、LiNbO3、LiTaO3等の強誘電体の分極を交互に反転した構造を有する波長変換素子を備える。波長変換素子の分極反転構造は、素子内の光の伝播方向にその反転周期が連続的に変化し、かつ単調増加または単調減少している。加えて、素子の中央部の反転周期の変化に比べて、端部の反転周期の変化が大きくなる構造を有している。
また、波長変換素子の分極反転構造は、一定の反転周期を有し、かつ分極反転周期に対する位相が光の伝播方向に連続的に変化し、かつ素子の中心を対称にして単調増加または単調減少している。すなわち、素子の中央部の位相の変化に比べて、端部の位相の変化が大きくなる構造を有している。この波長変換素子における、第二高調波発生、和周波発生、差周波発生を用いて、波長可変半導体レーザの波長を変換して出力する。
例えば、1.5〜1.6μm帯の波長可変半導体レーザと波長変換素子とを組み合わせて、第二高調波を発生させれば、波長750nm〜800nmの波長可変光源を実現することができる。波長可変半導体レーザとして、上述したSSG−DBR−LD、SG−DBR−LDを用いることができる。
和周波発生、差周波発生を利用する場合には、波長可変半導体レーザに加えて、第2の固定波長半導体レーザを用いる。2つのレーザの出力光を光合波器で合波して、波長変換素子に入力する。波長可変光源の出力を大きくするために、半導体レーザの出力を、光ファイバ増幅器を用いて増幅してから、波長変換素子に入力しても良い。
例えば、1.5〜1.6μm帯の波長可変半導体レーザと固定波長半導体レーザと波長変換素子とを組み合わせて、和周波発生を行えば、750nm〜800nm以外の可視領域から赤外領域までの波長可変光源を実現することもできる。また、1.5〜1.6μm帯の波長可変光源と1μm帯の固定波長半導体レーザと波長変換素子とを組み合わせて、差周波発生を行えば、3μm帯の波長可変光源を実現することができる。
図1に、本発明の実施例1にかかる波長可変光源の構成を示す。波長可変光源は、1.55μm帯で波長可変が可能なSSG−DBR−LDを用いた励起光源11と、その出力を増幅するEr添加光ファイバ増幅器(EDFA)12と、LiNbO3からなり分極反転構造を有する波長変換素子13とが縦続に接続されている。励起光源11からの出力光のパワーは1mWであり、EDFA12により300mWまで増幅される。EDFA12の出力光は、波長変換素子13に入力され、第二高調波発生により775nm帯の光に変換される。波長変換素子13の導波路から出射された励起光と変換光とを、ダイクロイックミラーにより分離すれば、変換光のみを取り出すことができる。波長変換素子13は、ウエハ接合法(例えば、非特許文献5参照)により作製された基板に、ダイシングによって形成した光導波路が形成されている。
LiNbO3の分極反転構造により位相整合特性、すなわち波長変換可能な波長帯域特性が決定される。比較参考のために、図2に、周期18μmの一定の反転周期で作製した長さ50mmの波長変換素子の波長変換効率を示す。この図の縦軸は、ピークの波長変換効率を1として、規格化した値を示している。ピーク波長における変換効率は1000%/Wである。図2に示したように、励起光波長に対する帯域は約0.2nmであり、変換光波長は励起光波長の半分となるため、変換光波長における帯域は約0.1nmとなる。一定の反転周期で作製した波長変換素子は、変換後の帯域が非常に狭いため、励起光波長を可変にすることがむずかしい。
比較参考のために、図3に、波長変換帯域を拡大するために、反転周期を変化させた波長変換素子の構造(例えば、非特許文献6参照)を点線で示す。反転周期は、長さ50mmの波長変換素子内の光の伝播方向に線形に変化(チャープ)させている。このときの位相整合曲線を図4の点線で示す。図4に示したように、波長変換帯域が拡大されているものの、帯域内の変換効率の変化が大きいため、波長を掃引した場合に出力の変動が大きくなってしまう。
図3に、実施例1にかかる波長変換素子の分極反転構造を実線で示す。長さ50mmの波長変換素子内の光の伝播方向に、分極反転の周期を18.3μmから17.7μmまで非線形的に単調減少させ、かつ端部での反転周期の変化が、中央部の反転周期の変化と比較して大きく変化するようにする。このときの位相整合曲線を図4の実線で示す。図4に示したように、励起光の波長変換帯域は10nm以上であり、線形なチャープを用いた場合と比較して、帯域内の変換効率の変動を小さく抑えることができる。
実施例1によれば、波長変換素子の分極反転周期を非線形に変調することにより、広い帯域を確保しながら帯域内での変換効率の波長に対する変動を小さくできるので、波長掃引時の出力変動を小さく抑えることができる。また、第二高調波の出力を一定とするために、波長可変半導体レーザの駆動電流のフィードバック制御を行う場合に、駆動電流の変動を小さく抑えることができ、安定した動作を実現できる。
実施例1に用いた波長変換素子13の変換効率は20%/Wであり、EDFA12からの出力を波長変換素子13に入力した結果、9mWの変換光出力が得られる。励起光源11のSSG−DBR−LDの波長を、1547nmから1557nmまで変化させた場合、773.5nmから778.5nmの第二高調波を安定して出力することができる。実施例1によれば、SSG−DBR−LDを用いた広帯域波長変換により、775nm帯における高速な波長掃引が可能となる。
図5に、本発明の実施例2にかかる波長可変光源の構成を示す。実施例1では第二高調波発生を用いたが、実施例2では和周波発生を用いて波長可変光源を構成する。波長可変光源は、1.55μm帯で波長可変が可能なSSG−DBR−LDを用いた励起光源21と、1.6μmのDFB−LDを用いた第2の励起光源24とを備えている。2つの励起光は、光ファイバカプラ25で合波され、EDFA22に入力される。励起光源21からの出力光のパワーは1mWであり、EDFA22により300mWまで増幅される。
EDFAの出力光は、LiNbO3からなり分極反転構造を有する波長変換素子23に入力され、和周波発生により800nm帯の光に変換される。波長変換素子23の導波路から出射された励起光と変換光とを、ダイクロイックミラーにより分離すれば、変換光のみを取り出すことができる。波長変換素子23は、ウエハ接合法により作製された基板に、ダイシングによって形成した光導波路が形成されている。
実施例2の波長変換素子は、反転周期を19μmとし、反転周期ごとの位相を変調することにより波長変換帯域を拡大する。図6に、実施例2にかかる波長変換素子の分極反転構造を示す。長さ50mmの波長変換素子中心を対称にして、光の伝播方向に位相を0から45ラジアンまで単調増加させる。このようにして、素子の中央部の位相の変化に比べて、端部の位相の変化が大きくなる構造を有している。
図7に、実施例2にかかる波長変換素子の位相整合曲線を示す。励起光の波長変換帯域は25nm以上であり、波長変換帯域内の変換効率の変動も小さく抑えることができる。波長変換素子の分極反転位相を非線形的に変調することにより、広い帯域を確保しながら帯域内での変換効率の波長に対する変動を小さくできるので、波長掃引時の出力変動を小さく抑えることができる。また、第二高調波の出力を一定とするために、波長可変半導体レーザの駆動電流のフィードバック制御を行う場合に、駆動電流の変動を小さく抑えることができ、安定した動作を実現できる。
実施例2に用いた波長変換素子23の変換効率は80%/Wであり、EDFA22からの出力を波長変換素子23に入力した結果、2.25mWの変換光出力が得られる。励起光源21のSSG−DBR−LDの波長を、1564nmから1597nmまで変化させた場合、795.7nmから804.2nmの和周波を安定して出力することができる。実施例2によれば、SSG−DBR−LDを用いた広帯域波長変換により、800nm帯における高速な波長掃引が可能となる。
なお、1.5〜1.6μm帯の固定波長半導体レーザと1μm帯の波長可変半導体レーザを用いて、波長可変光源を構成することができる。実施例2の構成によれば、高価な1μm帯の波長可変半導体レーザに比べて、安価な1.5〜1.6μm帯の波長可変半導体レーザが利用できる点で有利である。
図8に、本発明の実施例3にかかる波長可変光源の構成を示す。実施例1,2では励起光よりも短波長側への波長変換を行ったが、差周波発生を行うことで励起光よりも長波長側への波長変換を実現することもできる。波長可変光源は、1.55μm帯で波長可変が可能なSSG−DBR−LDを用いた励起光源31と、波長1.064μmのFP−LDを用いた第2の励起光源34とを備えている。励起光源31からの出力光のパワーは1mWであり、EDFA32により200mWまで増幅される。第2の励起光源34からの出力光のパワーは100mWであり、ファイバグレーティング36によりシングルモード化され、光ファイバカプラ35で励起光源31の出力と合波される。
光ファイバカプラ35の出力光は、LiNbO3からなり分極反転構造を有する波長変換素子33に入力され、差周波発生により3400nm帯の光に変換される。波長変換素子33の導波路から出射された励起光と変換光とを、ダイクロイックミラーにより分離すれば、変換光のみを取り出すことができる。波長変換素子33は、ウエハ接合法により作製された基板に、ダイシングによって形成した光導波路が形成されている。
比較参考のために、図9に、周期30μmの一定の反転周期で作製した長さ50mmの波長変換素子の波長変換効率を示す。この図の縦軸は、ピークの波長変換効率を1として、規格化した値を示している。ピーク波長における変換効率は160%/Wである。図9に示したように、変換光波長における帯域は約7nmとなる。一定の反転周期で作製した波長変換素子は、変換後の帯域が非常に狭いため、励起光波長を可変にすることがむずかしい。
比較参考のために、図10に、波長変換帯域を拡大するために、反転周期を変化させた波長変換素子の構造(例えば、非特許文献6参照)を点線で示す。反転周期は、長さ50mmの波長変換素子内の光の伝播方向に線形に変化(チャープ)させている。このときの位相整合曲線を図11の点線で示す。図11に示したように、波長変換帯域が拡大されているものの、帯域内にリップルが存在するため、波長を掃引した場合に出力の変動が大きくなってしまう。
図10に、実施例3にかかる波長変換素子の分極反転構造を実線で示す。長さ50mmの波長変換素子内の光の伝播方向に、分極反転の周期を29.9μmから30.1μmまで非線形的に単調増加させ、かつ端部での反転周期の変化が、中央部の反転周期の変化と比較して大きく変化するようにする。このときの位相整合曲線を図11の実線で示す。図11に示したように、励起光の波長変換帯域は24nm以上であり、線形なチャープを用いた場合と比較して、帯域内の変換効率の変動を小さく抑えることができる。
実施例3に用いた波長変換素子33の変換効率は40%/Wであり、EDFA32からの出力を波長変換素子33に入力した結果、4mWの変換光出力が得られる。励起光源31のSSG−DBR−LDの波長を、1547nmから1552nmまで変化させた場合、3383nmから3407nmの差周波を安定して出力することができる。実施例3によれば、SSG−DBR−LDを用いた広帯域波長変換により、3400nm帯における高速な波長掃引が可能となり、ガスの吸収スペクトルの同定や複数ガスの検出などが可能となる。
実施例3では、波長1.064μmのFP−LDを用いた第2の励起光源34とファイバグレーティング36とにより、シングルモード化したレーザ光を出力するが、Nd:YAG,NdYVO4,Yb:YAGなどの固体レーザを用いることもできる。これらは、いずれも高出力な光源が容易に入手可能であり、実施例3の構成により、安価に高出力で高速波長掃引が可能な3400nm帯光源を実現することができる。
なお、1.06μm帯の波長可変半導体レーザと1.55μm帯の固定波長半導体レーザを用いて、波長可変光源を構成することができる。この構成によれば、波長変換素子の分極反転の周期を変化させなくても広帯域な波長変換を行うことができる。しかしながら、この構成では、1.55μm帯に比べて高価な1.06μm帯の波長可変光源が必要になるうえ、高速な波長掃引が不可能である。
図12に、本発明の実施例4にかかる波長可変光源の構成を示す。実施例3では3μm帯への波長変換を行ったが、励起光源の波長と波長変換素子の設計を変更することにより、さらに長波長側への波長変換を実現することもできる。波長可変光源は、1.3μm帯で波長可変が可能な外部グレーティングフィードバック型半導体レーザを用いた励起光源41と、波長1.024μmのFP−LDを用いた第2の励起光源44とを備えている。励起光源41からの出力光のパワーは10mWであり、Pr添加光ファイバ増幅器(PDFA)42により100mWまで増幅される。第2の励起光源44からの出力光のパワーは150mWであり、ファイバグレーティング46によりシングルモード化され、光ファイバカプラ45で励起光源41の出力と合波される。
光ファイバカプラ45の出力光は、LiNbO3からなり分極反転構造を有する波長変換素子43に入力され、差周波発生により4500nm帯の光に変換される。波長変換素子43の導波路から出射された励起光と変換光とを、ダイクロイックミラーにより分離すれば、変換光のみを取り出すことができる。波長変換素子43は、ウエハ接合法により作製された基板に、ダイシングによって形成した光導波路が形成されている。
比較参考のために、図13に、周期26μmの一定の反転周期で作製した長さ50mmの波長変換素子の波長変換効率を示す。この図の縦軸は、ピークの波長変換効率を1として、規格化した値を示している。ピーク波長における変換効率は60%/Wである。図13に示したように、変換光波長における帯域は約4.4nmとなる。一定の反転周期で作製した波長変換素子は、変換後の帯域が非常に狭いため、励起光波長を可変にすることがむずかしい。
実施例4の波長変換素子は、反転周期を26μmとし、反転周期ごとの位相を変調することにより波長変換帯域を拡大する。図14に、実施例4にかかる波長変換素子の分極反転構造を示す。長さ50mmの波長変換素子中心を対称にして、光の伝播方向に位相を7.4から0ラジアンまで単調増加させる。このようにして、素子の中央部の位相の変化に比べて、端部の位相の変化が大きくなる構造を有している。
図15に、実施例4にかかる波長変換素子の位相整合曲線を示す。励起光の波長変換帯域は32nm以上であり、励起光源41の波長を1324から1327nmまで変化させた場合、4482から4515nmの差周波を安定して出力することができる。波長変換素子の変換効率は8%/Wであり、4500nm帯の出力は0.6mWが得られる。
本発明にかかる実施形態を、種々のガスの吸収を測定してガスのセンシング、分光を行う計測分野へ応用することができる。本実施形態によれば、広帯域の波長データを測定することができるので、複数のガス種の検出を可能にしたり、複雑な吸収スペクトルの分析からガス種の同定が容易になる。
11,21,31,41 励起光源
12,22,32 EDFA
13,23,33,43 波長変換素子
24,34,44 第2の励起光源
25,35,45 光ファイバカプラ
36,46 ファイバグレーティング
42 PDFA
12,22,32 EDFA
13,23,33,43 波長変換素子
24,34,44 第2の励起光源
25,35,45 光ファイバカプラ
36,46 ファイバグレーティング
42 PDFA
Claims (6)
- 入力された光の波長を変換して出力する波長変換素子であって、
前記光の伝播方向に分極反転周期が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、
前記波長変換素子の中央部の反転周期の変化に比べて、端部の反転周期の変化が大きい構造を有することを特徴とする波長変換素子。 - 入力された光の波長を変換して出力する波長変換素子であって、
前記光の伝播方向に一定の分極反転周期を有し、該分極反転周期に対する位相が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、
前記波長変換素子の中央部の位相の変化に比べて、端部の位相の変化が大きい構造を有することを特徴とする波長変換素子。 - 波長可変が可能な励起光源と、
該励起光源からの励起光を入力し、第二高調波発生により前記励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子とを備え、
該波長変換素子は、前記光の伝播方向に分極反転周期が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の反転周期の変化に比べて、端部の反転周期の変化が大きい構造を有することを特徴とする波長可変光源。 - 波長可変が可能な励起光源と、
該励起光源からの励起光を入力し、第二高調波発生により前記励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子とを備え、
該波長変換素子は、前記光の伝播方向に一定の分極反転周期を有し、該分極反転周期に対する位相が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の位相の変化に比べて、端部の位相の変化が大きい構造を有することを特徴とする波長可変光源。 - 波長可変が可能な第1の励起光源と、
固定波長の第2の励起光源と、
前記第1および第2励起光源からの励起光を合波して入力し、差周波波発生または和周波発生により前記励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子とを備え、
該波長変換素子は、前記光の伝播方向に分極反転周期が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の反転周期の変化に比べて、端部の反転周期の変化が大きい構造を有することを特徴とする波長可変光源。 - 波長可変が可能な第1の励起光源と、
固定波長の第2の励起光源と、
前記第1および第2励起光源からの励起光を合波して入力し、差周波波発生または和周波発生により前記励起光と異なる波長の変換光を出力する波長変換素子とを備え、
該波長変換素子は、前記光の伝播方向に一定の分極反転周期を有し、該分極反転周期に対する位相が連続的に変化し、かつ単調に増加しまたは単調に減少し、および、前記波長変換素子の中央部の位相の変化に比べて、端部の位相の変化が大きい構造を有することを特徴とする波長可変光源。
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