JP2007078332A - 輻射冷房装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 部屋1の天井及び/又は壁に設置された輻射パネル21にて輻射冷房を行う輻射冷房装置の制御方法であって、前記部屋1内の温度及び湿度から露点温度を算出し、輻射パネル21の表面温度を、継続的に前記露点温度より高い温度となるよう制御すると共に、前記露点温度が31℃以下に設定した上限温度以上になった場合には、輻射冷房装置の単独運転を停止することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
輻射冷房装置として、特許文献1には、輻射パネルの輻射面に吸水性の薄膜体を設け、該輻射面に生じる結露水を効果的に回収できるようにした輻射式空気調和装置が提案されている。また、特許文献2には、温度に応じて対流冷暖房と輻射冷暖房とを単独又は併用運転する輻射冷暖房装置の温度制御方法が記載されている。
また、特許文献2の温度制御方法も、輻射冷暖房装置による効率的な冷暖房という観点から改善の必要があった。
本発明の輻射冷房装置によれば、部屋の天井及び/又は壁に設置された輻射パネルにより、人が感じる快適感との関係において無駄のない効率的な輻射冷房を自動的に行うことができる。
図1は、本発明の一実施形態としての輻射冷房装置を、次世代省エネルギー基準(1999年基準)を満たす木造住宅の部屋に適用した状態を示す平面図である。
次世代省エネルギー基準(1999年基準)は、1999年3月に改正告示された「建築主の判断基準」(性能規定)及び「設計、施行の指針」(仕様規定)を意味する。次世代省エネルギー基準(1999年基準)は、日本全国をI地域〜VI地域に区
分し、各区分毎に、天井、床、壁の熱抵抗値をそれぞれ所定の値以上とすることを規定したものである。例えば、III地域及びIV地域では、天井、床、壁の熱抵抗値を、順
に4.0m2k/W以上、2.6m2k/W以上、2.0m2k/W以上とすることが規定されている。
この基準を満たす建物においては、最高気温が30℃を超えるような日においても、必要に応じて通風することにより、建物内の部屋の温度を外気温よりも低く保つことができ、本発明の効果が一層確実に奏される。
尚、温湿度センサー23,24は、直接又は間接的に温度と湿度を検知し得る限り、温度の検知部分と湿度の検知部分とが一体でも分離していても良い。パネル温度センサー25及び外気温センサー26としては、それぞれ熱電対を用いたもの等、各種公知のものを用いることができる。
演算部22aは、中央演算装置(CPU)や記憶装置(RAM、ROM、HDD等)等を備えたコンピューターからなり、記憶装置内に記憶させた所定のプログラムに従って、各センサーからの信号の入力、露点温度の算出、輻射パネルの設定温度の決定、冷媒循環装置27への制御信号の出力等を行う。
先ず、操作及び表示パネルを操作して、輻射冷房装置の電源をONにすると、外気温センサー26からの信号が、演算部22aに入力され、外気温Toが算出される(ステップS1)。そして、算出された外気温Toと予め32℃に設定された基準温度とが比較され(ステップS2)、外気温Toがその基準温度未満である場合には、操作及び表示パネルと、冷媒循環装置27に対して、輻射冷房装置の単独運転停止信号が出力される(ステップS3)。この場合には、操作パネルには、輻射冷房装置の単独運転を行わない旨が表示され、冷媒循環装置27は作動しない。
外気温Toが基準温度以上であり、輻射冷房装置の単独運転を行わない場合には、本実施形態におけるように、冷媒循環装置27を作動させず、輻射冷房装置による輻射冷房を行わなくても良いが、別に設けた除湿機や、別に設けたエアコン等の対流式冷房装置を作動させ、それらと併用するかたちで輻射冷房装置による輻射冷房を行っても良い。このように除湿機や対流式冷房装置と併せて運転する状態は、輻射冷房装置の単独運転を停止した状態に含まれる。
具体的には、図2に示すように、露点温度Tdpが25℃未満であるか否かが判断され(ステップ6)、25℃未満である場合には、輻射パネルの表面温度の設定値Tpが26℃に決定される(ステップ7)。露点温度Tdpが25℃未満でない場合には、それより1℃高い26℃未満であるか否かが判断され(ステップ8)、26℃未満である場合には、輻射パネルの表面温度の設定値Tpが27℃に決定される(ステップ9)。露点温度Tdpが26℃未満でない場合には、それより1℃高い27℃未満であるか否かが判断され(ステップ10)、27℃未満である場合には、輻射パネルの表面温度の設定値Tpが28℃に決定される(ステップ11)。露点温度Tdpが27℃未満でない場合には、28℃未満であるか否かが判断され(ステップ12)、28℃未満である場合には、輻射パネルの表面温度の設定値Tpが29℃に決定される(ステップ13)。露点温度Tdpが28℃未満でない場合には、29℃未満であるか否かが判断され(ステップ14)、29℃未満である場合には、輻射パネルの表面温度の設定値Tpが30℃に決定される(ステップ15)。
制御部22は、冷媒循環装置27に対して制御信号を発した後、制御部22は、操作及び表示パネルから運転停止命令が入力されていないか否かを確認し(ステップ16)、運転停止命令が入力されていない場合は、ステップ1に戻って、再び同様のステップを繰り返す。尚、運転停止命令が入力されている場合には、運転を停止する(ステップ18)。
更に、本実施形態においては、上記のように、輻射パネルの表面温度の設定値を、算出された露点温度Tdpよりも若干高い温度に決定し、該輻射パネル21の表面温度を露点温度よりも若干高い温度になるように制御している。そのため、結露を生じさせないようにしながら、輻射パネルの表面温度を比較的低温でき、輻射冷房装置の運転開始後、早期に人が快適に感じる状態とすることができる。
本実施形態においては、29℃以上の温度範囲においても、上述した一定の法則に従うと仮定すれば、露点温度Tdpが29℃超30℃未満の場合の輻射パネルの表面温度の設定値Tpは31℃となり、露点温度Tdpが30℃超31℃未満の場合のパネルの表面温度の設定値Tpは32℃となる。本実施形態においては、このように仮定した場合に、輻射パネルの表面温度の設定値が31℃を超えることになる露点温度になった場合に、即ち、算出した露点温度Tdpが29℃以上となった場合に、制御部22から、操作及び表示パネルと、冷媒循環装置27に対して、輻射冷房装置の単独運転停止信号が出力され、輻射冷房装置の単独運転が停止される(ステップ17)。これにより、操作及び表示パネルに、輻射冷房装置の単独運転を行わない旨が表示され、冷媒循環装置27が作動しないか、冷媒循環装置27が既に作動していた場合には停止する。
表面温度の設定値が31℃を超えることなることを理由に輻射冷房装置の単独運転を行わない場合、本実施形態におけるように、冷媒循環装置27を作動させず又は作動を停止して、輻射冷房装置による輻射冷房を行わなくても良いが、別に設けた除湿機や、別に設けたエアコン等の対流式冷房装置を作動させ、それらと併用するかたちで輻射冷房装置による輻射冷房を行っても良い。このように除湿機や対流式冷房装置と併せて運転する状態は、輻射冷房装置の単独運転を停止した状態に含まれる。
例えば、上述した実施形態においては、25℃超29℃未満の温度領域を1℃毎に区分し、算出した露点温度Tdpが含まれる区分の上限値の温度の値よりも1℃高い温度を、輻射パネルの表面温度の設定値Tpとしたが、これに代えて、25℃超29.5℃未満の温度領域を0.5℃毎に区分し、算出した露点温度Tdpが含まれる区分の上限値の温度の値よりも0.5℃高い温度を、輻射パネルの表面温度の設定値Tpとした場合には、輻射冷房装置の単独運転を停止する露点温度は30℃となる。
また、輻射パネル21の表面温度の設定値を該露点温度よりも若干高い温度に決定する一定の法則が、輻射パネル21の表面温度の設定値を、絶えず、算出した露点温度よりもX℃(例えば0.5℃)高い温度とするという法則(Tp=Tdp+X℃)である場合には、輻射冷房装置の単独運転を停止する露点温度は(31−X)℃となる。
図3に示す実施形態は、輻射パネル21を、上述した実施形態においては一つの壁に設置したのに代えて、部屋の天井部に設置した点のみが相違する。本実施形態について特に説明しない点は、上述した実施形態と同様であり、図1と同様の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、部屋の天井部に輻射パネル21を設置を設置して輻射冷房装置を構成した場合においても、上述した実施形態と同様の制御を行うことで、同様の作用効果が奏される。
本発明者らは、通風の室を被験者に体験してもらい、室内温熱環境と快適感の対応関係を調べた。
1.実験概要
実験は、2004年8月7日〜10日に住友林業株式会社の筑波研究所にある躯体性能の異なる二つの実験棟で行なった。二つの実験棟は、一方が新省エネ基準(1992年基準)で建てられた「従来棟」で、他方が次世代省エネ基準(1999年基準)で建てられた「環境共生棟」である。表1に仕様を示す。従来棟は環境共生棟よりも天井高が60mm高く、南側のガラス戸の高さが60mm長い。それ以外は平面形状・寸法は同じである。図4に環境共生棟の平面図を示す。環境共生棟は従来棟に比べ、天井の断熱性が向上されているほか、壁面にはしっくいシートが貼付され、床下には蓄熱(冷)材が入っている。天井断熱材の熱コンダクタンスは従来棟(グラスウール100mm)が0.45W/m2・K、環境共生棟(セルロースファイバー230mm)が0.15W/m2・Kである。環境共生棟の床下にある蓄熱(冷)材の熱容量は14.0kJ/Kであり、同じ体積のコンクリートがあった場合(6.5kJ/K)の2倍程度である。被験者は各棟2人ずつ図4に示すように南側の窓から1.5mm室内側の位置に座る。
両棟ともに室内の各壁面温度・風速・温湿度・グローブ温度を測り、また、外気の温湿度・風向風速を2秒間隔で測定した。室内の風速計は図4に示すように被験者の胸面から水平に30cm離れた位置に設置した。各実験室では、被験者は半袖長ズボンで椅子に座って過ごし、主として次の4つについてあてはまるものを絶えず答えてもらうようにした。「風が吹いていて心地良い」・「風が吹いて心地良くない」・「風が吹いていなくて心地良い」・「風が吹いていなくて心地良くない」(以下、「風あり快適」・「風あり不快」・「風なし快適」・「風なし不快」)の4つである。図4に示すように、2人の被験者の間に机を置き、その上にこれら4つを記した紙を置いて必要に応じてマグネットを移動させて申告を表示してもらった。
マグネットをどう動かしたかは全てビデオカメラで撮影した。全ての実験が終了した後に、撮影記録結果を整理して、環境物理量の測定値に対応づけられるように、被験者実験中の各時刻1秒ごとにマグネットが「風あり快適」・「風あり不快」・「風なし快適」・「風なし不快」のいずれになっているかを各被験者ごとに調べた。被験者が2秒毎に1回申告しているとみなせば総計115200回の申告を得たことになる。これらを環境物理量の測定データと対応させて考察することにした。
従来棟の室内空気温はエアコンを使用し始める14時45分まで外気温とほぼ同じように変化した。環境共生棟の室内空気温も同様の傾向が見られるが、外気温よりも約1℃低くなった。
扇風機による通風促進室と自然通風室における被験者の快適感申告について考察した。被験者の申告結果は、上述したように、2秒間隔で測定した環境物理量に合わせて2秒間隔の申告データとしてビデオテープの記録データから抽出した。その申告総数は累計54030回である。申告の内訳は風ありが合計17393回、風なしが合計36637回であった。一つひとつの申告には対応する室内の空気温・湿度・周壁平均温があるので、風あり申告と風なし申告について空気温と周壁平均温については1℃刻みで、湿度について1%刻みで分類した。図6〜9は分類結果を示す。
例えば、図6で室内空気温33℃は32.5℃以上33.5℃未満を、室内相対湿度52%は51.5%以上52.5%未満を意味し、これらの範囲に入る全申告のうち快適申告となった割合が図中のプロット記号で示してある。なお、風ありでも風なしでも全申告の0.5%(風ありで87回、風なしで183回)以下を無視することにした。図中の記号は、快適申告の割合が100%が●、90%以上100%未満が○、50%以上90%未満が△、0%以上50%未満が×を意味する。
図6は風あり快適申告の割合が室内空気温と相対湿度によってどのような分布になるかを示す。風あり申告が得られた時間帯の平均風速は0.2m/sである。周壁平均温は31〜35℃の間にあり、平均値は33℃だった。室内空気温が33℃の場合では相対湿度が52〜54%で快適割合が100%となっている。室内空気温が35℃の場合では快適割合が100%となるのは相対湿度が47〜49%である。空気温が高めであれば湿度は低めでなければならないという常識的な結果となっている。
図7は風なし快適申告の割合について図6と同様に室内空気温・室内相対湿度の分布を求めたものである。風なし申告の室内平均風速は0.1m/sである。周壁平均温は31℃〜35℃の範囲にあり平均値は風ありと同じで33℃だった。図7には風なし快適申告の割合が100%のプロットがない。快適申告の割合は相対湿度が50%を下回る場合でも非常に低い。
図8は風あり快適申告の割合が室内空気温と周壁平均温によってどのように分布するかを示す。この分布に対応する相対湿度は46〜69%で、平均値は56%である。風あり快適申告の割合が100%となるのは周壁平均温が31℃で室内空気温が31〜33℃の組み合わせである。この場合の相対湿度は60〜64%であった。また、室内空気温35℃で周壁平均温が33℃の組み合わせでも風あり快適割合が100%となっているが、その条件での平均風速は0.25m/sで相対湿度は49〜59%であった。この条件では平均風速の高さと相対湿度の低さが快適申告の割合を100%にしたと考えられる。
図9は風なし快適申告についての結果である。相対湿度は46〜69%の範囲にあり、平均値は58%である。風なし快適割合が100%の組み合わせは周壁平均温が31℃で室内空気温が31℃のみである。この場合の相対湿度は60〜63%であった。
以上から、自然通風室は、周壁平均温を31℃以下にすると、快適と申告する人の割合がほぼ100%となることが判る。尚、ここでは、周壁平均温であるが、部屋を囲む4つの壁の少なくとも一つの壁の表面を31℃以下に冷やせば、輻射による吸熱により、他の壁も同様の温度となると思われるため、少なくとも一面に輻射パネルを配置すれば良い。
11 窓(開口部)
12 すだれ(日射遮蔽)
21 輻射パネル
22 制御部
23,24 温湿度センサー
25 パネル温度センサー
26 外気温センサー
27 媒循環装置
Claims (6)
- 部屋の天井及び/又は壁に設置された輻射パネルにて輻射冷房を行う輻射冷房装置の制御方法であって、
前記部屋内の温度及び湿度から露点温度を算出し、前記輻射パネルの表面温度を、継続的に前記露点温度より高い温度となるよう制御すると共に、前記露点温度が、31℃以下に設定した上限温度以上になった場合には、輻射冷房装置の単独運転を停止することを特徴とする輻射冷房装置の制御方法。 - 前記輻射パネルの表面温度を、前記露点温度より常に若干高い温度となるように制御する請求項1記載の輻射冷房装置の制御方法。
- 前記部屋内の温度及び湿度から算出した前記露点温度に応じて、一定の法則の下に、輻射パネルの表面温度の設定値を、該露点温度より0℃超3.0℃以下高い温度に決定し、該一定の法則に従うと仮定すれば、前記設定値が31℃以上になる露点温度になった場合に、輻射冷房装置の単独運転を停止する請求項1又は2記載の輻射冷房装置の制御方法。
- 前記部屋は、次世代省エネルギー基準(1999年基準)を満たす建物の部屋である請求項1〜3の何れかに記載の輻射冷房装置の制御方法。
- 部屋の天井及び/又は壁に設置された輻射パネルと該輻射パネルの表面温度を自動制御可能な制御部とを備えた輻射冷房装置であって、
前記制御部は、前記部屋内の温度及び湿度から露点温度を算出し、継続的に前記輻射パネルの表面温度を、前記露点温度より高い温度となるよう制御すると共に、前記露点温度が、31℃以下に設定した上限温度以上になった場合には、輻射冷房装置の単独運転を停止するようになされている輻射冷房装置。 - 前記部屋内の温度及び湿度を検知する温湿度センサー、前記輻射パネルの表面温度を検知するパネル温度センサー、輻射パネルに循環させる冷媒の温度及び/又は流量を任意に変更できる冷媒循環装置を備え、前記制御部は、前記温湿度センサー及び前記パネル温度センサーからの信号により露点温度を算出すると共に該露点温度に応じた輻射パネルの設定温度を算出し、前記輻射パネルの表面温度を、算出した設定温度に変更させるための信号を前記冷媒循環装置に対して出力するようになされている請求項5記載の輻射冷房装置。
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