JP2007077298A - 熱伝導性樹脂組成物、その構造体及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塊状もしくは球状の黒鉛微粉またはこれらの混合物と樹脂とを含むことを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。黒鉛微粉としては、平均粒径(D50)が1〜100μmであることが好ましい。また、樹脂としては、耐熱性樹脂が好ましい。
【選択図】なし
Description
[2]塊状もしくは球状の黒鉛微粉またはこれらの混合物と樹脂とからなる前記1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
[3]黒鉛微粉のBET比表面積が5m2/g以下である前記1または2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
[4]黒鉛微粉の平均粒径(D50)が1〜100μmの範囲内にある前記1から3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
[5]樹脂が耐熱性樹脂である前記1から4のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
[6]耐熱性樹脂がシリコーン樹脂またはポリエーテルサルホンである前記5に記載の熱伝導性樹脂組成物。
[7]黒鉛微粉と樹脂との総量に対して、黒鉛微粉の含有量が40質量%以上90質量%以下である前記1から6のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
[8]熱伝導率が3W/(m・K)以上である前記1から7のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
[9]前記1から8のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる構造体。
[10]前記9に記載の構造体を備えた電子機器。
[11]前記9に記載の構造体を備えたインクジェットプリンター。
[12]前記9に記載の構造体を備えたコンパクトディスクドライブ。
[13]前記9に記載の構造体を備えたデジタルバーサタイルディスクドライブ。
[14]前記12に記載のコンパクトディスクドライブを備えた電子機器。
[15]前記13に記載のデジタルバーサタイルディスクを備えた電子機器。
[熱伝導性樹脂組成物に用いる樹脂]
本発明で用いる樹脂としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を用いることが出来る。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、α−オレフィンコポリマー、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、スチレン系ブロックコポリマー樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリサルホン、非晶ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、シンジオ型ポリスチレン、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー及びこれらの混合物などを用いることが出来る。
これらの中で、耐熱性が高いという理由でポリエーテルサルホン、耐熱性と柔軟性が高いという理由でシリコーン樹脂が好ましい。
本発明で用いる黒鉛微粉は、塊状または球状のものである。
塊状黒鉛としては、スリランカ等で天然に産出される天然の塊状黒鉛や、塊状の石油コークスを黒鉛化して得られる人造黒鉛などが挙げられる。天然の塊状黒鉛(Vein Graphite)は、鱗状黒鉛(Crystalline Graphite)の一種で鱗片状黒鉛(Flake Graphite)よりも粒子の厚みが厚い。天然の塊状黒鉛の製品例としては、伊藤黒鉛工業株式会社製の鱗状(塊状)黒鉛(スリランカ産)が挙げられる。また、人造の塊状黒鉛の製品例としては、日本黒鉛工業株式会社製のPAGシリーズ、HAGシリーズや、株式会社エスイーシー製のSGLシリーズや、昭和電工株式会社製のSCMGシリーズなどが挙げられる。
本発明の熱伝導性樹脂は、上述の樹脂と塊状もしくは球状の黒鉛微粉またはこれらの混合物とが含有されてなる。黒鉛微粉の含有比率は、樹脂と黒鉛微粉の合計100質量%を基準として、40〜90質量%の範囲が好ましい。さらに、50〜80質量%が特に好ましい。黒鉛微粉の含有比が40質量%未満の場合は、高い熱伝導率が得られない。また、黒鉛微粉の含有比が90質量%を超える場合は、樹脂組成物の成形加工が困難になる傾向がある。
本発明の構造体は、上記の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる。成形方法は、特に限定されない。例えば、射出成形、射出圧縮成形、プレス成形、押出成形等の樹脂成形の分野で一般的に用いられている方法を使用することが出来る。成形法の選択に当たっては、用いる樹脂、黒鉛微粉の含有量、成形品の形などを総合的に判断して最適な成形法を用いる必要がある。しかし、異方性フィラーを用いる場合とは異なり、いかなる成形法によっても成形体の熱伝導率の異方性は小さい。
本発明の構造体は、熱伝導率の異方性が小さく高い熱伝導性を有するので、放熱の方向に異方性がないことを要求される分野において有用である。
ポリエーテルサルホン(レーデルA−300A:ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製)30質量%と人造黒鉛微粉(SCMG−A:昭和電工株式会社製、塊状黒鉛、平均粒径28μm、BET比表面積2.2m2/g)70質量%の混合物をラボプラストミル(東洋精機工業株式会社製)にて320℃、40回転/分で10分間溶融混練し、熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、50t圧縮成形機(NIPPO ENGINEERING社製 E−3013)を用いて、温度320℃、圧力15MPaで2分間加圧し100mm×100mm×2mm厚の平板状構造体に成形した。この構造体の熱伝導率を下記のレーザーフラッシュ法により測定した。
ポリエーテルサルホン(レーデルA−300A)30質量%と人造黒鉛微粉(UFG30:昭和電工株式会社製、鱗片状黒鉛、平均粒径11μm、BET比表面積17m2/g)70質量%の混合物をラボプラストミルにて320℃、40回転/分、10分間溶融混練し、熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を50t圧縮成形機を用いて、温度320℃、圧力15MPaで2分間加圧し100mm×100mm×2mm厚の平板状構造体に成形した。この構造体の熱伝導率を下記のレーザーフラッシュ法により測定した。
実施例1及び比較例1の構造体の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により以下の式を用いて評価した。
熱伝導率=熱拡散率×比熱容量×密度
熱伝導性樹脂組成物の平板から直径10mmの円盤を切り出し、その円盤の厚み方向の熱拡散率をLaser Flash TC−7000(真空理化株式会社製)で20℃において測定した。
熱伝導性樹脂組成物の粉末の比熱容量は、示差走査熱量計DSC7(パーキンエルマー社製)を用いて、JIS K 7123に準拠して測定した。具体的には、熱伝導性樹脂組成物およそ10mgをアルミニウムパンに封入した。サンプルパンと空パンをホールダーにセットした。0℃で15分間保持した後、10℃/分の昇温速度で50℃まで昇温し、熱伝導性樹脂組成物のDSC曲線を得た。同様の温度プロファイルで、基準物質であるα−アルミナおよそ10mgのDSC曲線を得た。熱伝導性樹脂組成物とα−アルミナのDSC曲線から熱伝導性樹脂組成物の比熱容量を評価した。
熱伝導性樹脂組成物の平板から、20mm×20mm×2mm厚の試験片を切り出し、DENSI METER(東洋精機工業株式会社製)を用いて、JIS K 7112に準拠して測定した。
シリコーン樹脂(TSE201J:GE東芝シリコーン株式会社製)100質量部と加硫剤(TC−8:GE東芝シリコーン株式会社製)2質量部と人造黒鉛微粉(SCMG−A)600質量部をラボプラストミルにて50℃、40回転/分、10分間溶融混練し、熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、50t圧縮成形機を用いて、温度170℃、圧力15MPaで10分間加圧し100mm×100mm×5mm厚の平板状構造体に成形した。この熱伝導率成形体の熱伝導率をホットワイヤ法により測定した。
シリコーン樹脂(TSE201J)100質量部と加硫剤(TC−8)2質量部と人造黒鉛微粉(UFG30)600質量部をラボプラストミルにて50℃、40回転/分、10分間溶融混練し、熱伝導性樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を100mm×100mm×5mm厚の平板を成形できる金型に入れて、50t圧縮成形機を用いて、温度170℃、圧力15MPaで10分間加圧した後、金型を開いて平板状の成形体を取り出したが、硬化が十分に進行しておらず、構造体を得ることは出来なかった。
実施例2の構造体の熱伝導率は、迅速熱伝導率計QTM−500(京都電子工業株式会社製)を用いて、ホットワイヤ法により測定した。
Claims (15)
- 塊状もしくは球状の黒鉛微粉またはこれらの混合物と樹脂とを含むことを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
- 塊状もしくは球状の黒鉛微粉またはこれらの混合物と樹脂とからなる請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 黒鉛微粉のBET比表面積が5m2/g以下である請求項1または2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 黒鉛微粉の平均粒径(D50)が1〜100μmの範囲内にある請求項1から3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 樹脂が耐熱性樹脂である請求項1から4のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 耐熱性樹脂がシリコーン樹脂またはポリエーテルサルホンである請求項5に記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 黒鉛微粉と樹脂との総量に対して、黒鉛微粉の含有量が40質量%以上90質量%以下である請求項1から6のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 熱伝導率が3W/(m・K)以上である請求項1から7のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 請求項1から8のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる構造体。
- 請求項9に記載の構造体を備えた電子機器。
- 請求項9に記載の構造体を備えたインクジェットプリンター。
- 請求項9に記載の構造体を備えたコンパクトディスクドライブ。
- 請求項9に記載の構造体を備えたデジタルバーサタイルディスクドライブ。
- 請求項12に記載のコンパクトディスクドライブを備えた電子機器。
- 請求項13に記載のデジタルバーサタイルディスクを備えた電子機器。
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- 2005-09-15 JP JP2005267833A patent/JP2007077298A/ja active Pending
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