JP2007077048A - ペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤及びその製造方法 - Google Patents

ペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 即効性と持続性とを兼備するとともに、剤形の小型化が可能なペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ペプチドホルモンが生体適合性ナノ粒子の内部に加えて外層にも封入されたペプチドホルモン封入ナノ粒子を用いることにより、ナノ粒子の外層に封入されたペプチドホルモンにより製剤の即効性を高め、ナノ粒子の内部に封入されたペプチドホルモンを徐放させることにより製剤の持続性を高めることができる。また、ナノ粒子の内部に加えて外層にもペプチドホルモンが封入されるため、製剤中のペプチドホルモン含量を高めることができ、剤形の小型化が可能な医薬製剤となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ナノ粒子内にインスリン、カルシトニン等のペプチドホルモンを封入して成るペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤及びその製造方法に関する。
近年、ライフスタイルの変化や人口増加に伴い糖尿病患者が増加している。糖尿病は、免疫異常やウィルス感染等により膵臓のランゲルハンス島β細胞が破壊され、インスリン分泌不全となって発症するインスリン依存性のI型と、遺伝的素質に加えてライフスタイ
ルが原因となり、インスリン作用の相対的不足によって発症するインスリン非依存性のII
型に大別される代謝性疾患である。
糖尿病の治療法は、患者の症状に応じて食事療法、運動療法、薬物療法など様々であるが、I型の糖尿病患者のほとんどはインスリンを体外から摂取することで血糖値を制御す
る必要がある。インスリンの生理活性作用には、摂食後の血糖値の上昇に応じた量のインスリンが分泌され、血糖値を正常値に維持する血糖値降下作用の他、アミノ酸の取り込みやタンパク質及びグリコーゲンの合成促進作用、分解抑制作用等、多くの作用があり、このうちの血糖値降下作用を利用したI型糖尿病の治療薬として広く使用されている。
このインスリンに代表されるペプチドホルモンは、消化管内で酵素分解を受けやすいため、利便性の高い経口投与製剤では生体内利用率が極めて低くなる。そのため、従来、皮下注射によるインスリン投与が行われている。しかし、インスリンを皮下注射により投与する場合、急激な血糖値の低下により人体に強い負荷を与えるおそれがある上、インスリンを酵素分解する肝臓を通過することにより生体内利用率が低下(肝初回通過効果)することが知られている。
そこで、例えば特許文献1及び2には、生体内分解性高分子の金属塩のマイクロカプセルにインスリンを封入し、投与後初期のインスリン過剰放出を抑制する徐放性製剤が開示されている。しかし、血液中のインスリンレベルを一定に維持して血糖値を常に正常値に維持するためには、患者自身の手で毎日頻回(1〜5回程度)の皮下注射を行う必要があり、注射時の苦痛及び利便性を改善し、患者のコンプライアンスを向上させる新たな投与方法の開発が望まれていた。
このような背景のもと、経口、注射以外のインスリン投与経路として、肺、鼻腔の経粘膜を利用する投与経路が盛んに研究されている。中でも肺胞を経由して送達する経肺ルートは、消化管に比べタンパク質分解酵素が少ないこと、肺胞の比表面積は約100m2と非常に広く、小腸粘膜の表面積(200m2)に匹敵すること、上皮細胞が薄く、血中への薬物移行性が良いこと、さらには肝初回通過効果を回避できること等、高い生体内利用率の獲得に有利な条件が揃っている。
経肺ルートで投与される経肺投与製剤としては、これまで噴霧乾燥技術でインスリンを複合粉末化した吸入製剤や、球形析晶法を用いてインスリンと高分子とをコンポジット化して形成された高分子ナノ粒子等の実用化が試みられている。しかし、水中エマルション溶媒拡散法に代表される従来の球形析晶法を用いて製造されたインスリン封入高分子ナノ粒子は嵩密度が低く、実用的な経肺投与量(1回当り吸入量100mg以下)とするには製剤中のインスリン含量を高める必要があった。
そこで、例えば特許文献3には、インスリンにポリエチレングリコール(PEG)を結合させることにより、高分子ナノ粒子内への封入率を高め、且つナノ粒子の破壊(バースト)を抑制するとともに、投与初期における血糖値の低下を抑制する方法が開示されている。しかし、特許文献3の方法では、予めインスリンへのPEG結合処理を行う必要があり、製造工程数が増加する。また、投与初期においてもある程度の血糖値低下作用を発現させる必要があるところ、PEG結合処理されたインスリンを用いた場合は血糖値低下作用のコントロールが困難となる。
また、インスリンと同様にペプチドホルモンの一種であるカルシトニンは、甲状腺C細胞より体内に分泌され、副甲状腺ホルモンとともに血中カルシウム濃度を低下させ、破骨細胞に直接作用して骨の溶解を抑制する働きがあり、骨粗鬆症の予防及び治療薬として用いられているが、インスリンよりもさらに高分子ナノ粒子内への封入が困難であり、高濃度カルシトニン製剤の開発が望まれていた。
一方、薬物及び生体適合性高分子からなるナノ粒子と糖アルコールとを含む液体原料を流動ガス中に噴霧する噴霧乾燥式流動層造粒法により、いわゆるDrug Delivery System(以下、DDSという)に好適な取り扱い性に優れた薬物含有複合粒子の製造方法及び経肺投与薬剤への適用性が提案されている(特許文献4参照)。しかし、ペプチドホルモンをナノ粒子内に封入し、それを用いて実用的な経肺投与量を満足する経肺投与薬剤とするためには、複合粒子内のペプチドホルモン封入率をさらに高めるという改良の余地が残されていた。
特開2001−233788号公報 特開2002−114667号公報 特表2004−534721号公報 特開2004−262810号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、ペプチドホルモンの薬効について即効性と持続性とを兼備するとともに、ペプチドホルモン含量を高めることにより剤形の小型化が可能なペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、低コストで環境負荷も少ないペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、生体適合性ナノ粒子の内部及び該粒子の外層にペプチドホルモンを封入して成るペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤である。
また本発明の第2の構成は、上記構成の医薬製剤において、前記ペプチドホルモンが、インスリンであることを特徴としている。
また本発明の第3の構成は、上記構成の医薬製剤において、前記ペプチドホルモンが、カルシトニンであることを特徴としている。
また本発明の第4の構成は、上記構成の医薬製剤において、前記生体適合性ナノ粒子を構成する生体適合性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、若しくは乳酸・グリコール酸共重合体のいずれかであることを特徴としている。
また本発明の第5の構成は、上記構成の医薬製剤において、前記ペプチドホルモンを内部に封入した前記生体適合性ナノ粒子が結合剤によって複合化されるとともに、当該結合剤を外層としてペプチドホルモンを封入したことを特徴としている。
また本発明の第6の構成は、上記構成の医薬製剤において、前記結合剤が糖アルコールであることを特徴としている。
また本発明の第7の構成は、上記構成の医薬製剤が経肺投与用途に使用されることを特徴としている。
また本発明の第8の構成は、ポリビニルアルコール水溶液に、少なくともペプチドホルモンの溶液と生体適合性高分子を有機溶媒に溶解させた溶液との混合液を加えて、前記ペプチドホルモンが前記生体適合性高分子の内部に封入されたペプチドホルモン封入ナノ粒子の懸濁液を生成するナノ粒子形成工程と、前記ペプチドホルモン封入ナノ粒子の懸濁液から前記有機溶媒を留去する溶媒留去工程と、前記有機溶媒が留去された前記ペプチドホルモン含有ナノ粒子を前記ペプチドホルモンが含まれた結合剤によって複合化する複合化工程と、を有することを特徴とする医薬製剤の製造方法である。
また本発明の第9の構成は、上記構成の医薬製剤の製造方法において、前記複合化工程が凍結乾燥により行われることを特徴としている。
また本発明の第10の構成は、上記構成の医薬製剤の製造方法において、前記複合化工程が噴霧乾燥式流動層造粒法により行われることを特徴としている。
また本発明の第11の構成は、ポリビニルアルコールの水溶液に、少なくとも親水性のペプチドホルモンの溶液と親水性修飾処理された生体適合性高分子を有機溶媒に溶解させた溶液との混合液を加えて、前記親水性のペプチドホルモンが前記生体適合性高分子の内部及び外層のいずれにも封入されたペプチドホルモン含有ナノ粒子の懸濁液を生成するナノ粒子形成工程と、前記ペプチドホルモン含有ナノ粒子の懸濁液から前記有機溶媒を留去する溶媒留去工程と、を含むことを特徴とする医薬製剤の製造方法である。
また本発明の第12の構成は、上記構成の医薬製剤の製造方法において、前記ポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール濃度が0.5重量%未満であることを特徴としている。
また本発明の第13の構成は、上記構成の医薬製剤の製造方法において、前記溶媒留去工程の後に、さらに前記ペプチドホルモン封入ナノ粒子の懸濁液からポリビニルアルコールを除去する除去工程を有することを特徴としている。
また本発明の第14の構成は、上記構成の医薬製剤の製造方法において、前記ポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール濃度が0.1重量%以上10重量%以下であることを特徴としている。
また本発明の第15の構成は、上記構成の医薬製剤の製造方法において、前記有機溶媒が少なくともアセトンを含むことを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、ナノ粒子の外層に封入されたペプチドホルモンにより製剤の即効性を高めることができ、ナノ粒子の内部に封入されたペプチドホルモンを徐々に放出させることにより製剤の持続性を高めることができる。また、ナノ粒子の内部に加えて外層にもペプチドホルモンが封入されるため、製剤中のペプチドホルモン含量を高めることができ、剤形の小型化が可能な医薬製剤が提供される。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の医薬製剤において、ペプチドホルモンとしてインスリンを用いることにより、ナノ粒子の外層に封入されたインスリンにより即効的な血糖値降下作用を高め、ナノ粒子の内部に封入されたインスリンにより持続的な血糖値降下作用を高めたインスリン製剤となる。また、製剤中のインスリン含量を高めることができ、剤形の小型化も実現可能となる。さらに、ナノ粒子内部及び外層のインスリンの封入割合を調整して血糖値降下作用について即効性と持続性のバランスをとることにより、食前、食後等の服用場面に応じた適切な作用を発現するインスリン製剤を提供することができる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成の医薬製剤において、ペプチドホルモンとしてカルシトニンを用いることにより、従来ナノ粒子内への封入が難しく、僅かしか封入できなかったカルシトニンを外層に封入して封入率を高めることができ、剤形の小型化が可能な高濃度カルシトニン製剤が提供される。また、ナノ粒子内部及び外層のカルシトニンの封入割合を調整することにより、血中カルシウム濃度低下作用について即効性と持続性を兼ね備えたカルシトニン製剤となる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の医薬製剤において、生体適合性高分子としてポリ乳酸、ポリグリコール酸、若しくは乳酸・グリコール酸共重合体のいずれかを用いることにより、生体への刺激・毒性が低くペプチドホルモンを内包可能であり、且つペプチドホルモンの効力を保持したまま長期間保存できるとともに、生体適合性高分子の分解によりペプチドホルモンの徐放が可能となる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の医薬製剤において、結合剤によってナノ粒子を複合化するとともに、結合剤から成る外層にペプチドホルモンを封入することにより、簡便な方法でナノ粒子の外層にペプチドホルモンを封入可能となる。さらに、容器への充填時に取り扱いが容易で使用時には再分散可能な凝集粒子となるため、ナノ粒子の取り扱い性も向上する。
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の医薬製剤において、結合剤として糖アルコールを用いて複合化することにより、複合化されたナノ粒子の分散性、耐熱性が向上するとともに、一旦ナノ粒子内に封入されたペプチドホルモンの粒子表面への再漏出を防止できる。
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の医薬製剤を経肺投与用途に使用することにより、製剤中のペプチドホルモン含量を高めて実用的な経肺投与量を実現することができる。特に、糖尿病の治療に用いられるインスリン製剤の場合、経口投与における生体内利用率の低下及び皮下注射における苦痛及び利便性を改善して患者のコンプライアンスを向上させることができる。
また、本発明の第8の構成によれば、ポリビニルアルコール水溶液に、少なくともペプチドホルモンの溶液と生体適合性高分子を有機溶媒に溶解させた溶液との混合液を加えて、ペプチドホルモンが前記生体適合性高分子中に封入されたペプチドホルモン封入ナノ粒子の懸濁液とし、該懸濁液から有機溶媒を留去した後、ペプチドホルモンが含まれた結合剤によって複合化して医薬製剤を製造することにより、製剤中のペプチドホルモン含量が高く、且つ容器への充填時に取り扱いが容易で、使用時には再分散可能な凝集粒子に複合化することができる医薬製剤を簡便且つ低コストで製造することができる。
また、本発明の第9の構成によれば、上記第8の構成の医薬製剤の製造方法において、複合化工程を凍結乾燥によって行うことにより、ナノ粒子の複合化を良好に且つ効率よく行うことができる。
また、本発明の第10の構成によれば、上記第8の構成の医薬製剤の製造方法において、複合化工程を噴霧乾燥式流動層造粒法によって行うことにより、ナノ粒子が弱く一次凝集した複合粒子を容易に且つ短時間で製造することができる。
また、本発明の第11の構成によれば、ポリビニルアルコールの水溶液に、少なくとも親水性のペプチドホルモンの溶液と親水性修飾処理された生体適合性高分子を有機溶媒に溶解させた溶液との混合液を加えて、親水性のペプチドホルモンが生体適合性高分子の内部及び外層のいずれにも封入されたペプチドホルモン含有ナノ粒子の懸濁液とし、該懸濁液から有機溶媒を留去して医薬製剤を製造することにより、親水性のペプチドホルモンの封入率を向上させたナノ粒子を、複合化工程を設けずに製造することができる。
また、本発明の第12の構成によれば、上記第8乃至第11のいずれかの構成の医薬製剤の製造方法において、ポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール濃度を0.5重量%未満とすることにより、高濃度のポリビニルアルコール水溶液を用いた場合のように、ナノ粒子を遠心分離などで洗浄して余剰のポリビニルアルコールを除去する除去工程が不要となるため、製造時の工程と時間が削減できる。
また、本発明の第13の構成によれば、上記第8乃至第12のいずれかの構成の医薬製剤の製造方法において、溶媒留去工程の後に、さらにペプチドホルモン封入ナノ粒子の懸濁液からポリビニルアルコールを除去する除去工程を設けることにより、高濃度のポリビニルアルコール水溶液を用いてナノ粒子を形成した後、余剰のポリビニルアルコールを除去することができ、ナノ粒子中に封入されるペプチドホルモンの封入率を安定させることができる。
また、本発明の第14の構成によれば、上記第13の構成の医薬製剤の製造方法において、ポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール濃度を0.1重量%以上10重量%以下とすることにより、ポリビニルアルコール水溶液の濃度(粘度)を有機溶媒の拡散に対して適切な範囲に維持することができる。
また、本発明の第15の構成によれば、上記第8乃至第14のいずれかの構成の医薬製剤の製造方法において、有機溶媒としてアセトンを用いることにより、人体に対する悪影響のおそれの少ない医薬製剤を製造することができ、且つ環境への負荷も低減される。
本発明に用いられるペプチドホルモン封入ナノ粒子は、ペプチドホルモンを生体適合性高分子内に封入して、ナノ単位の大きさの粒子(ナノスフェア)としたものである。このナノ粒子又はナノ粒子から放出されたペプチドホルモン、及びその両方が粘膜を経て血中に到達することができるため、DDS製剤の材料として好適に用いることができる。
本発明においては、ナノ粒子の内部のみでなく外層にもペプチドホルモンを封入したことを特徴とする。このような構成により、ナノ粒子内部から徐放的に放出されるペプチドホルモンとは別に、投与直後にナノ粒子の外層から溶け出すペプチドホルモンを作用させることで医薬製剤に即効性と持続性の両方を付与することができる。また、ナノ粒子内部への封入が困難なペプチドホルモンの場合、外層にも封入することでトータルの封入量が増加するため、封入率を高めることができる。
ナノ粒子の外層にペプチドホルモンを封入する方法としては、ナノ粒子を粉末化させる際に再分散可能な凝集粒子(ナノコンポジット)に複合化し、複合化に用いた結合剤を外層としてナノ粒子の表面にさらにペプチドホルモンを付着させる方法が挙げられる。ナノコンポジットの構造を図1に示す。ナノコンポジット1は、生体適合性ナノ粒子2を結合剤3により複合化して成り、ペプチドホルモン4は、ナノ粒子2の内部のみでなく、結合剤3で形成されたナノ粒子2の外層にも封入されている。
ナノ粒子の複合化方法としては、凍結乾燥法、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法等が挙げられるが、凍結乾燥法が好適に用いられる。例えば、ペプチドホルモンが水溶性(親水性)の場合、一旦封入されたペプチドホルモンがナノ粒子表面へ漏出すると、周囲に存在する水に再溶解する。この水を系外に除去すると、その分だけペプチドホルモン成分が減少して封入率にばらつきが発生してしまう。そこで、有機または無機の結合剤を再分散可能に複合化させ、ペプチドホルモンの溶解した水を除去せずにそのままナノ粒子と共に凍結乾燥させることが好ましい。このとき、結合剤と共にペプチドホルモンをさらに追加することにより、結合剤で形成される外層中に所定量のペプチドホルモンを封入することができる。
結合剤は、複合化の際にナノ粒子の外層を形成するとともに、ペプチドホルモンの封入率のばらつきを効果的に防止し、且つナノ粒子の取り扱い性を高める作用も兼ね備えている。このような結合剤としては、例えばマンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、マルチトース、キシリトース等の糖アルコールやショ糖等が挙げられる。
また、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法(例えば、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン(株)製)を使用して圧縮力および剪断力を加えること)により複合化しても良い。特に、流動層乾燥造粒法の中でも粒子化する材料を含む混合物を流動ガス中に噴霧する噴霧乾燥式流動層造粒法を用いた場合、時間と手間のかかる凍結乾燥工程を省略可能となり、複合粒子を容易に且つ短時間で製造できるため工業化にも有利となる。
噴霧乾燥式流動層造粒法では、具体的には、図2に示すような、噴霧乾燥式流動層造粒・コーティング型の粉体処理装置5を用いることで、複合粒子(ナノコンポジット)を得る。
上記粉体処理装置5は、大略的に、略円筒形状の空間である上方部位と、同じく略円筒形状の空間で上方部位よりも内径の小さい下方部位と、上方部位および下方部位をつなぎ、内径が連続的に変化し、かつ断面が略台形状の中部位との3つの空間が一体化してなる流動層空間6を内部に有するケーシング7、該ケーシング7の最下部に設けられ、上方の流動層空間6に対して液体原料を噴射可能とするスプレーノズル8、流動層空間6の上方部位において、下方側に突出する2つのバッグフィルタ9a・9b、図示しない液体原料供給部、および、流動層空間6に乾燥・流動化用エアー(噴霧乾燥のための流動ガス)を供給する、同じく図示しないエアー供給部を備えている。
上記粉体処理装置5では、はじめ何もない流動層空間6内に、液体原料を噴霧することで、粒子の凝集造粒とレイヤーリング造粒との繰り返しにより、顆粒状の粉体を形成することができる。それゆえ、装置構成が簡単で製造プロセスを簡素化できる上に、良質の顆粒を製造できるという利点がある。
本発明では、上記凝集造粒およびレイヤーリング造粒を利用して、内部にペプチドホルモンを封入した生体適合性ナノ粒子およびペプチドホルモンを添加した結合剤としての糖アルコールを分散・懸濁させた液体原料(混合物)を流動層空間6内に噴射して、第1のコンポジット粒子(複合粒子)10を生成粒子とする。
具体的には、まず、図2の左図に示すように、液体原料供給部から供給された上記液体原料(図中矢印S)を流動層空間6内に噴射する。噴霧供給された液体原料のスプレーミスト径は数μm〜数十μm程度と極めて微小な液滴であるため、液体原料は流動層空間6を上昇していく過程で瞬間的に固化されて、第1のコンポジット粒子10となって、流動層空間6上方のバッグフィルタ9a・9bに捕集される。
上記バッグフィルタ9a・9bでは、パルスジェット逆洗方式により、間欠的に第1のコンポジット粒子10をケーシング7の下方のスプレーゾーン8aに払い落とす。このスプレーゾーン8aは、スプレーノズル8から液体原料が噴射される領域であるため、ここで第1のコンポジット粒子10の表面に液体原料が付着し、凝集しつつ成長して、より大きな第2のコンポジット粒子(複合粒子)11になる。この過程が凝集造粒である。
また、上記凝集造粒と同時に、より大きく成長した第2のコンポジット粒子11に対しては、液体原料がその第2のコンポジット粒子11の表面へ直接付着し、さらに乾燥され固化される。これによって、第2のコンポジット粒子11はさらに成長する。この過程がレイヤーリング造粒である。このような凝集造粒とレイヤーリング造粒とが継続することで、図2の中図に示すように、第2のコンポジット粒子11の流動層(図中矢印F)が流動層空間6内に形成される。
これ以降に供給された液体原料は、ほぼ全てが第2のコンポジット粒子11の表面に付着して展延し、さらに析出して乾燥される。すなわち、流動層が形成された後はレイヤーリング造粒が進展する。そのため、このレイヤーリング造粒の期間を調節することで、第2のコンポジット粒子11の球形化と重量の増加とを制御することが可能となり、図2の右図に示すように、最終的に、適度な平均粒径を有する第2のコンポジット粒子11となる。また、条件によって多孔質の粒子など粒子物性を制御することもできる。また、この部分でパルス的にジェットエアを当てることで、コンポジット粒子群の凝集塊を解砕して粒径コントロールができる。
なお、噴霧乾燥式流動層造粒法においては、結合剤として結晶性の弱い糖アルコールを用いると、複合化の際にアモルファス化してしまい良好に粒子化できなくなる。そのため、結晶性の強いマンニトールを用いることが好ましい。
以上のようにして得られた複合粒子は、使用前まではナノ粒子が集まった取り扱いやすい凝集粒子となっており、使用時に水分に触れることで糖アルコールが溶解し、糖アルコールに保持されていたペプチドホルモンと、ペプチドホルモンを内包したナノ粒子とに復元できる複合粒子となる。
本発明に用いられる生体適合性高分子は、生体への刺激・毒性が低く、生体適合性で、投与後分解して代謝される生体内分解性のものが望ましい。また、内包するペプチドホルモンを持続して徐々に放出する粒子であることが好ましい。このような素材としては、特にポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)を好適に用いることができる。PLGAは薬物を内包可能であり、当該薬物の効力を保持したまま長期間保存できることが知られている。さらに、生体内の酵素によるPLGAの分解により、数時間から数十時間単位の徐放ができると考えられる。
PLGAの分子量は、5,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、15,000〜25,000の範囲内であることがより好ましい。乳酸とグリコール酸との組成比は1:99〜99:1であればよいが、乳酸1に対しグリコール酸0.333であることが好ましい。また、乳酸およびグリコール酸の含有量が25重量%〜65重量%の範囲内であるPLGAは、非晶質であり、かつアセトン等の有機溶媒に可溶であるから、好適に使用される。
生体適合性高分子としては、ほかに、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。また、これらのコポリマーであるアスパラギン酸・乳酸共重合体(PAL)やアスパラギン酸・乳酸・グリコール酸共重合体(PALG)を用いても良く、アミノ酸のような荷電基あるいは官能基化し得る基を有していてもよい。
上記以外の生体適合性高分子としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンのようなポリアルキレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルエステルのようなポリビニル化合物、アクリル酸とメタクリル酸とのポリマー、セルロースおよび他の多糖類、ならびにペプチドまたはタンパク質、あるいはそれらのコポリマーまたは混合物が挙げられる。また、ナノ粒子の表面に粘膜付着性を高めるキトサンを複合化したり、リン脂質(レシチン/フォスファチジルコリン)を複合化させてもよい。
また、PLGAの表面をポリエチレングリコール(PEG)で修飾しておくと、特に親水性のペプチドホルモンとPLGAとの親和性が向上し、封入が容易になるため好ましい。特に、生体適合性高分子として疎水性ポリマーブロックと親水性ポリマーブロックが結合したブロック共重合体を用いて、親水性ポリマーブロックが粒子表面の外殻部(シェル部)に、疎水性ポリマーブロックが粒子内部(コア部)に位置するコアシェル構造の生体適合性ナノ粒子を形成し、当該シェル部を外層としてペプチドホルモンを封入する方法を用いることもできる。このようなナノ粒子の構造を図3に示す。
生体適合性ナノ粒子2は、疎水性ポリマーブロック12と、親水性ポリマーブロック13が結合したブロック共重合体14が多数凝集して形成されたものであり、貧溶媒として水相を用いた水中エマルジョン法で調製すると、図3に示すように、親水性ポリマーブロック13が粒子表面に張り出して外殻部(シェル部)15を形成し、疎水性ポリマーブロック12は粒子内部(コア部)16に位置するコアシェル構造を形成する。
親水性ポリマーブロック13は、水分子を引き付けて保持する能力が高いため、親水性ポリマーブロック13が張り出したシェル部15は、貧溶媒中の水分子を引き付けて水和相を形成する。親水性のペプチドホルモン4は、ナノ粒子晶析時に有機溶媒(良溶媒)の拡散に伴い貧溶媒中へと拡散するが、親水性ポリマーブロック13と相互作用することにより、貧溶媒中への漏出が抑制され、主としてナノ粒子2のシェル部15での封入が可能になると考えられる。
なお、ペプチドホルモン4の親水性が弱くなると、親水性ポリマーブロック13との相互作用も弱くなってシェル部15への封入率が低下するが、反対に疎水性ポリマーブロック12との相互作用によりコア部16への封入率が向上するため、ペプチドホルモン4が両親媒性であってもナノ粒子全体として高い封入率が確保される。
従って、従来の球形晶析法では製造が困難であった、親水性のペプチドホルモンの封入率を高めたナノ粒子を簡便且つ低コストで製造することができる。また、ナノ粒子を複合化することなくナノ粒子の外層にペプチドホルモンを封入可能となるため、製造工程も簡素化される。さらに、コアシェル構造を有する図3のナノ粒子を前述した方法で複合化することにより、シェル部15のさらに外側に形成される結合剤層3(図1参照)にもペプチドホルモン4が封入されるため、ペプチドホルモン4の封入率を一層高めることができる。
なお、貧溶媒として油相を用いた油中エマルジョン法でナノ粒子を調製しても良い。その場合、疎水性ポリマーブロック12が粒子表面に張り出してシェル部15を形成し、親水性ポリマーブロック13はコア部16に位置する。即ち、図3の構成とは逆のコアシェル構造を有するため、親水性のペプチドホルモン4は主にコア部16に封入されることとなる。この場合、即効性を高めるためにはナノ粒子2を複合化し、結合剤層3(図1参照)にもペプチドホルモン4を封入しておくことが望ましい。
生体適合性のブロック共重合体14としては、生体への刺激・毒性が低く、生体適合性で、投与後分解して代謝される生体内分解性のものが望ましい。また、内包するペプチドホルモンを持続して徐々に放出する粒子であることが好ましい。このような素材としては、特に疎水性ポリマーブロック12がポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)で構成され、親水性ポリマーブロック13がポリエチレングリコール(PEG)で構成されたPEG−PLGA共重合体を好適に用いることができる。
ナノ粒子に内包されるペプチドホルモンとしては、インスリン、カルシトニン、ガストリン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、オキシトシン、ヴァソプレッシン(抗利尿性ホルモン)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、成長ホルモン、ソマトスタチン(成長ホルモン分泌抑制ホルモン)、インターフェロン等が挙げられる。
上記ペプチドホルモンの中でも、特に、糖尿病の治療に用いられるインスリンは、後述するように製剤に即効性、持続性を兼備させることで効果が向上することから、ナノ粒子に封入するペプチドホルモンとして好適である。また、骨粗鬆症の予防及び治療薬に用いられるカルシトニンは、従来、ナノ粒子内部への封入が極めて困難であったが、上記方法によってナノ粒子の外層へ封入することにより、高濃度カルシトニン製剤の材料として好適に用いられる。因みに、インスリンは非親水性であり、カルシトニンは親水性が強い。
これらのペプチドホルモンのナノ粒子内部及び外層への封入率が高いほど、製剤中のペプチドホルモンの含有量も高くなるため好ましい。但し、ナノ粒子外層への封入率の増加は、製剤としては即効性の強いものとなり、ナノ粒子内部への封入率の増加は持続性に優れたものとなることから、この即効性と持続性の両者を製剤の剤形や服用場面等に応じてバランス良く備えるようにすべきである。そのため、ナノ粒子内部へのペプチドホルモンの封入率は、生体適合性高分子に対し0.01重量%以上20重量%以下が好ましく、0.1重量%以上10重量%以下が特に好ましい。
また、上記ペプチドホルモンのうち何れか1種のみを封入しても良いが、特に効能や作用機序の異なるペプチドホルモンを複数種封入しておけば、各成分の相乗効果が期待できる。さらに、ペプチドホルモンと共に、例えばビタミン誘導体等の、ペプチドホルモン以外の成分を封入することもできる。
また、ナノ粒子内部及び外層へのペプチドホルモンの封入割合は、ナノ粒子を用いて製造される医薬製剤の作用機序や、要求される即効性、持続性の程度等により適宜設定することができる。即ち、薬剤投与後から血中等の目標部位到達までに時間を要する製剤や、投与後長期間に亘る効果の持続性が要求される製剤の場合は、ナノ粒子内部への封入割合を高くすれば良い。一方、短時間で血中等の目標部位に到達する製剤や、投与直後より効果の発現が要求される製剤の場合は、ナノ粒子の外層への封入割合を高くすれば良い。
ペプチドホルモンの封入割合は、ナノ粒子の複合化に用いられる結合剤を外層として封入する場合は、ナノ粒子形成時に添加するペプチドホルモン量と、結合剤と共に複合化するペプチドホルモン量の調整、或いはナノ粒子を形成する生体適合性高分子の種類により変更可能である。一方、コアシェル構造を有するナノ粒子のシェル部を外層として封入する場合は、シェル部の大きさはブロック共重合体を構成する親水性ポリマーブロックの分子量に依存するため、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックの分子量をペプチドホルモンの封入割合に応じて選択すれば良い。
本発明に用いられるペプチドホルモン封入ナノ粒子は、1,000nm未満の平均粒子径を有するものであれば特に制限はないが、目標部位への到達効率を高めるためには平均粒子径を300nm以下とすることが好ましい。一方、前述したようにナノ粒子の粒子径が小さくなるほど封入率も低くなるため、平均粒子径は30nm以上とすることが好ましい。
本発明に用いられるペプチドホルモン封入ナノ粒子の製造方法としては、目的の物質を1,000nm未満の粒子径を有する粒子に加工することができる方法であれば特に限定されるものではないが、球形晶析法を用いることが非常に好ましい。球形晶析法は、化合物合成の最終プロセスにおける結晶の生成・成長プロセスを制御することで、球状の結晶粒子を設計し、その物性を直接制御して加工することができる方法である。球形晶析法の一つに、エマルジョン溶媒拡散法(ESD法)がある。
ESD法は、次に示すような原理によって、ナノスフェアを製造する技術である。本法には、薬物を封入する基剤ポリマーとなるPLGA等を溶解できる良溶媒と、これとは逆にPLGAを溶解しない貧溶媒の二種類の溶媒が用いられる。この良溶媒には、PLGA等を溶解し、且つ貧溶媒へ混和するアセトン等を用いる。そして、貧溶媒には、通常、ポリビニルアルコール水溶液等を用いる。
操作手順としては、まず、良溶媒中にPLGAを溶解後、このPLGAが析出しないように、薬物溶解液を良溶媒中へ添加混合する。次に、このPLGAと薬物の混合液を、貧溶媒中に攪拌下、滴下すると、混合液中の良溶媒(アセトン)が貧溶媒中へ急速に拡散移行する。その結果、貧溶媒中で良溶媒の自己乳化が起き、サブミクロンサイズの良溶媒のエマルジョン滴が形成される。さらに、良溶媒と貧溶媒の相互拡散により、エマルジョン内から良溶媒であるアセトンが貧溶媒へと継続的に拡散していくので、エマルジョン滴内のPLGA並びに薬物の溶解度が低下し、最終的に、薬物を包含した球形結晶粒子のPLGAナノスフェアが生成する。
上記球形晶析法では、物理化学的な手法でナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ粒子が略球形であるため、均質なナノ粒子を、触媒や原料化合物の残留といった問題を考慮する必要がなく、容易に形成することができる。その後、良溶媒である有機溶媒を減圧留去し(溶媒留去工程)、ペプチドホルモン封入ナノ粒子粉末を得る。そして、得られた粉末をそのまま、或いは必要に応じて凍結乾燥等により複合化し(複合化工程)、複合粒子とした後、容器内に充填してペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤とする。
このようにして製造された医薬製剤は、経肺投与用、皮下及び静脈注射用、或いは経皮、経口投与用等の種々の用途に使用することができる。特に、経肺投与用途に使用した場合、高濃度のペプチドホルモンを含有するため剤形の小型化が可能となり、実用的な経肺投与量を満足できる製剤となる。また、経口投与用途に用いる場合は、外層に封入されたペプチドホルモンが消化酵素による分解を受けにくくなるように、キトサン等の賦形剤を用いて錠剤化するか、カプセル内に充填してカプセル剤とすることが好ましい。
上記球形晶析法で用いられる良溶媒および貧溶媒の種類、並びに液体架橋剤の種類は、目的となる薬物の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではないが、ペプチドホルモン封入ナノ粒子は、人体へ直接投与する医薬製剤の原料として用いられるため、人体に対して安全性が高く、且つ環境負荷の少ないものを用いる必要がある。このような貧溶媒としては、例えばポリビニルアルコール水溶液が好適に用いられ、良溶媒としては、例えばアセトンのみ、若しくはアセトンとエタノールの混合液が好適に用いられる。なお、余剰のポリビニルアルコールが残存している場合は、溶媒留去工程の後に、遠心分離等によりポリビニルアルコールを除去する工程(除去工程)が設けられる。
ポリビニルアルコール水溶液の濃度、或いはアセトンとエタノールの混合比や、結晶析出時の条件や機械的剪断力の加え方も特に限定されるものではなく、目的となる薬物の種類や、球形造粒結晶の粒径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよいが、ポリビニルアルコール水溶液の濃度が高いほどナノ粒子表面へのポリビニルアルコールの付着が良好となり、乾燥後の水への再分散性が向上する反面、ポリビニルアルコール水溶液の濃度が所定以上になると、貧溶媒の粘度が上昇して良溶媒の拡散性に悪影響を与える。そのため、ポリビニルアルコールの重合度やけん化度によっても異なるが、ナノ粒子形成工程後に除去工程を設ける場合は0.1重量%以上10重量%以下が好ましく、2%程度がより好ましい。なお、除去工程を設けない場合は0.5重量%以下とすることが好ましい。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、本発明のペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤の製造方法及び作用効果について、インスリン製剤及びカルシトニン製剤を例に挙げて具体的に説明する。
[インスリン封入PLGAナノスフェアの調製法]
インスリン(ウシ由来、SIGMA製、28.0units/mg)100mgを0.01mol/Lの塩酸18mLに溶解させた。生体適合性高分子である乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA:分子量20,000、乳酸/グリコール酸=75/25、Tg=45℃、和光純薬製PLGA7520)2gをその良溶媒であるアセトン100mLに溶解してポリマー溶液とした後、前記インスリン−塩酸溶液を添加して混合液とする。次にこの混合液を、貧溶媒として調製した2重量%のポリビニルアルコール(PVA:ポバール403、クラレ社製)水溶液250mL中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によってインスリン封入PLGAナノスフェアの懸濁液を得た。
続いて、減圧下アセトンを留去した後、遠心分離操作(遠心加速度41,000G)によりインスリン封入PLGAナノスフェアの沈殿を回収し、沈殿を精製水に再懸濁して再度遠心分離操作を行い、過剰のポリビニルアルコールを除去した。上澄みを除去後、−45℃で凍結乾燥し粉末化して、水への再分散性の良好なインスリン封入PLGAナノスフェア粉末を得た。
[インスリン封入PLGAナノコンポジット製剤の調製法]
精製水(pH=6.8、以下同じ)にトレハロース(林原製)700mgを溶解させ、さらにインスリン(ウシ由来、SIGMA製)12.4mgを懸濁させ50mLにメスアップした。このインスリン懸濁液を、実施例1で得られたナノスフェア粉末350mgを精製水100mLに再懸濁させた懸濁液中に添加し、均一に混合した後、−45℃で凍結乾燥して、ナノ粒子の内部及び外層にインスリンが封入された本発明のPLGAナノコンポジット製剤を得た。
比較例1
実施例2のインスリン懸濁液に代えて、精製水にトレハロース(林原製)700mgを溶解し50mLとしたトレハロース水溶液を用い、実施例2と同様の方法によりナノ粒子の内部にのみインスリンが封入されたPLGAナノコンポジット製剤を得た。
比較例2
実施例1で得られたナノスフェア粉末に代えて、インスリンを封入していないPLGAナノスフェアを用い、比較例1と同様の方法によりナノ粒子の内部及び外層にインスリンが封入されていないPLGAナノコンポジット製剤を得た。
[インスリン封入PLGAナノコンポジット製剤中のインスリン含有率の評価]
実施例2及び比較例1、2で得られた各PLGAナノコンポジット製剤中の組成重量割合を測定した。実施例2及び比較例1、2のナノコンポジット製剤を30mgずつ秤量し、それぞれ精製水10.0mLでメスアップしてトレハロースを溶解させた。このとき析出するPLGAナノスフェア及び外層中のインスリンを遠心分離操作(遠心加速度41,000G、−20℃、20分)により固形分として単離した。
次に、実施例2及び比較例1の製剤から単離された固形分にアセトニトリル3.0mLを加えてPLGAを溶解し、ナノスフェア内のインスリンを漏出させた。漏出したインスリンを0.01Nの塩酸で溶解させつつ10mLにメスアップし、再析出したPLGAを遠心分離操作により除去した後、上清20μLを高速液体クラマトグラフィー(HPLC)により定量して粒子内部及び外層に封入されたインスリン量を測定した。
ここで、比較例1のHPLC実測値はPLGAナノスフェア内部のインスリン含有量と見なすことができ、この値は同一バッチで晶析作製したナノスフェアからなる実施例2のナノスフェア内部のインスリン含有量にも適用できる。従って、実施例2のHPLC実測値(内部及び外層のトータル値)と比較例1のHPLC実測値(内部値)とを用いて、実施例2のナノコンポジット製剤におけるナノ粒子内部と外層(トータル値−内部値)のインスリン量がそれぞれ算定された。
HPLCの操作条件としては、移動相(アセトニトリル/1.2体積%過塩素酸水溶液=35/65)を、40℃に設定したカラム(日本分光製、Finepak SIL300C18T−5)内を流速1.5mL/分で流し、検出器(島津製作所製、SPD−6AV)を用いて検出波長214nmでインスリンのピークを検出した。結果を表1に示す。
Figure 2007077048
表1から明らかなように、トレハロース水溶液にインスリンを懸濁させた液を用いて複合化した実施例2の製剤では、外層のトレハロースにもインスリンが封入されていた。一方、トレハロース水溶液を用いて複合化した比較例1の製剤では、PLGAナノスフェア内部にのみインスリンが封入されていた。なお、実施例2においてはナノスフェアの内部と外層に1:1の割合でインスリンが封入されるようにインスリンの仕込み量を設定したが、晶析及び凍結乾燥プロセスでの各成分のロス等により、内部及び外層へのインスリンの封入割合は約6:4となっていた。
また、いずれのナノコンポジット製剤においてもPLGAナノスフェアとトレハロースの重量比はほぼ1:2となっていた。こうして調製された略同一剤形サイズの実施例2及び比較例1のナノコンポジット製剤におけるインスリン濃度は、各々0.41及び0.25(units/mg)であった。従って、同一ユニットを投与する条件下では、外層にもインスリンを封入した実施例2の製剤は、比較例1に比べて剤形の小型化が可能であることが確認された。
[インスリン封入PLGAナノコンポジット製剤の再分散時における粒度分布]
比較例1で得られたPLGAナノコンポジット製剤を水中へ再分散させた際のPLGAナノスフェア粒子の粒度分布を動的光散乱法により測定した。結果を図4に示す。図4から明らかなように、再分散したPLGAナノスフェア粒子の粒子径は100nm〜600nmの範囲に分布しており、平均粒子径は215nmであった。なお、同様の方法により実施例2及び比較例2のナノコンポジット製剤を再分散させた際の平均粒子径を測定したところ、それぞれ217nm及び210nmであり、粒子径分布についても各製剤で大きな差は認められなかった。
実施例2及び比較例1、2で作製されたPLGAナノコンポジット製剤を、ヒトと体内動態の類似するビーグル犬に経肺投与し、所定時間毎に血中グルコース濃度の変化を測定した。
なお、ビーグル犬の個体当たりの吸気量が少ないことや、呼吸タイミングの制御ができないことから、製剤粉末の経肺投与は困難であると判断し、ナノコンポジット製剤を少量の生理食塩水に分散させ、超音波ネブライザーによりミスト化したものを気管挿入カテーテルを介してビーグル犬の自発呼吸により肺内へ送達する方法を用いた。ナノコンポジット製剤がドライパウダーとして経肺投与されると、肺内の微量水分を吸収してナノスフェアに再分散されるものと考えられるが、上記の送達方法によれば、予めナノスフェアに再分散させたことになるので、実際に近い評価結果が得られるものと判断した。
また、インスリンは分散溶媒のpHにより溶解性や重合度が変化し、投与後の吸収性にも影響を及ぼすと考えられるため、それらの変動を最小限に抑制する目的からpH=6.0の生理食塩水に各製剤を用時に分散させたところ、pHの変動はほとんど見られないことを確認した。そして、インスリン濃度が一定(0.054mg/mL)になるように、実施例2及び比較例1の製剤濃度を夫々1.83mg/mL、3.01mg/mLにした。
[ナノコンポジット製剤の投与法]
吸入システムの概略図を図5に示す。各製剤の分散液を超音波ネブライザー20(NE−U17、オムロンヘルスケア製)に仕込み、1.0mL/分の一定流量でミストを発生させた。このミストを、排気ポンプ21により12.0L/分の気流を流通させたメイン配管22(帯電防止処理した内径15mmのテフロン(商標)製ホース)内へ混合させた。メイン配管22中のミストの一部はビーグル犬の自発呼吸によりバイパス配管23(帯電防止処理した内径19mmのポリエチレン製ホース)内へ流れ込み、さらにビーグル犬の気管支に挿入したカテーテル24(内径8mmの塩化ビニール製低圧カフ付気管内チューブ)を介して肺内まで送達された。
また、ビーグル犬の自発呼吸により圧力変動の少ない安定した吸入を遂行するために、分岐後のメイン配管22に逆止弁25を設け、補助エアーを取り込ませて吸入システムの排気量を一定に維持した。一方、ビーグル犬により吸入されなかった余剰ミストは、メイン配管22に設置した回収トラップ26及び回収フィルター27(ガラス繊維フィルターGB−100R、アドバンテック東洋製)で捕集した。
インスリンの投与量は、ヒトの臨床治験データ(0.15units/kg)に基づき、ビーグル犬の平均体重を10kgとして1.5unitsに設定した。上記吸入システムを用いた投与では調剤量の20%がビーグル犬の肺内に送達されると推定して、実施例2の製剤18.3mg、比較例1の製剤30.1mgに生理食塩水を加えて全量を10mLとしたものを分散液とした。なお、比較例2については比較例1と同様に、30.1mgの製剤に生理食塩水を加えて全量を10mLとした。
また、投与経路による差を評価するための比較対照例として、インスリン5.4mgに生理食塩水を加えて全量を100mLとしたインスリン懸濁液(pH=6.0、インスリン濃度0.054mg/mL)を皮下注射製剤としてビーグル犬の背部皮下に1mL(インスリン投与量として0.054mg=1.5units)注射した。ビーグル犬は3匹(雌、12〜16ヶ月齢、体重7.25kg、11.10kg、10.10kg)使用し、インスリン皮下注射、比較例2、比較例1、実施例2の順に薬剤投与した。なお、各製剤の投与終了後、2週間の休薬期間を設けた。
[血中グルコースレベルの測定]
インスリン製剤の投与及び採血パターンを図6に示す。インスリン製剤の投与25分前にビーグル犬の橈側皮静脈から1.0mL採血し、測定された血中グルコース濃度を標準血中グルコース濃度(=100)とした。その後、ペントバルビタールナトリウム(ネンブタール、大日本製薬製)を静脈から投与して麻酔し、ビーグル犬(投与前16〜18時間から投与後24時間絶食)を側臥してカテーテルを気管内に挿管して吸入システムと接続した。10分間ミストを吸入させた後、一定時間毎(投与終了後0.17、0.5、2、4、8、12、24時間)に採血し、遠心分離して得た血清を自動血液分析装置(TBA−200FR、東芝製)により、酵素法(HK−G6PDH法)を用いて標準血中グルコース濃度に対する血中グルコース濃度の割合(血中グルコースレベル)を測定した。また、皮下投与についても吸入投与と同条件にて採血し、血中グルコースレベルを測定した。測定結果を図7に示す。
図7から明らかなように、インスリン皮下注射による投与では、インスリンが皮下から速やかに吸収されるため、投与後10分から血中グルコースレベルの低下が認められ、投与後4時間で初期値の75%まで低下して作用のピークを迎え、その後投与から8時間経過した時点で作用が消失した。
一方、比較例1及び実施例2のインスリン製剤の吸入による投与では、皮下注射と同様に投与後10分から血中グルコースレベルが低下した。比較例1の製剤では、投与直後の血中グルコースレベルの低下が皮下注射よりも速く、実施例2の製剤では、即効性は皮下注射とほぼ同等であり、共に皮下注射と同等以上の即効性が認められた。さらに、比較例1及び実施例2のインスリン製剤は12時間に亘って効果が持続し、共に皮下注射に比べて顕著な持続性が認められた。
特に、投与後30分から10時間までの血中グルコースレベルは、皮下注射に比べて変動が少なく安定に推移している。この結果より、インスリンをPLGAナノスフェア内に封入することにより、肺胞部でのインスリンの徐放化が可能となり、製剤処方の最適化を進めていくことでインスリンの徐放性や基礎インスリンレベルの確立に貢献しうることが示唆された。なお、インスリンを含まない比較例2の製剤の吸入による投与では、血中グルコースレベルの経時的変化はほとんど認められなかった。このことから、PLGAナノコンポジット粒子自体の吸入行為、並びに基剤としてのPLGAナノスフェアが血中グルコース濃度の変動に影響を及ぼさないことが確認された。
[ナノコンポジット製剤のミスト径分布測定]
ビーグル犬が吸入しているミスト径を評価するため、ビーグル犬の吸入試験と同条件下で、吸入システム(図5参照)のカテーテル24の先端にカスケードインパクター(ITP02−105、In Tox Products製)を接続して、上述した各製剤の分散液のミストを発生させ、7段階に分級捕集(吸入流量500mL/分、捕集時間5分)した。ミストの捕集にはガラス繊維フィルター(GB−100R、アドバンテック東洋製)を用い、捕集前後の乾燥させたフィルターの重量差から各段階の製剤捕集重量を求め、空気力学的径を評価した。測定結果を表2及び図8に示す。
Figure 2007077048
表2及び図8から明らかなように、気管支に相当する第2ステージ(空気力学的径で4.0μm)以降に回収された各製剤のミスト頻度は74.7〜87.6%と高い値を示した。また、各製剤の空気力学的平均径は1.50〜2.51μmと微小であり、気管支への送達率については各製剤間で大差はなかった。一方、肺胞に対応する第5ステージ(空気力学的径で1.05μm)以降への到達率は21.8〜46.3%であり、肺胞への送達率は比較例1及び2の製剤でほぼ同等であり、実施例2の製剤はそれらの約半分程度の値であった。
この原因としては、実施例2のナノコンポジット製剤においては分散液中の設定製剤濃度が1.83mg/mLであるのに対し、比較例1及び比較例2のナノコンポジット製剤においては3.01mg/mLであり、設定製剤濃度が1.64倍高くなっているため、その分だけ分散液中のPLGAナノスフェアの含有量が多くなり、気液界面の張力を低下させていると推定され、これが気液界面でのより微細なミストの生成に寄与し、肺胞への到達率を高めているものと考えられる。
また、上記の結果を踏まえて実施例5における血中グルコースレベルの低下作用を考察すると、比較例1のナノコンポジット製剤は、血中へインスリンが移行し易い肺胞部へより多く送達されており、そこでPLGAナノスフェア内部の比較的表面付近に封入されていたインスリンが即効的に溶出し、血中へ速やかに吸収されたものと推定された。他方、実施例2のナノコンポジット製剤は、肺胞以降へ送達されるミストの割合は比較例1に比べ半数程度であるものの、PLGAナノスフェアの外層に含浸されていたインスリンがPLGAナノスフェア表面に吸着され、この吸着インスリンがナノスフェアに同伴されて肺胞部に送達されて即効性に寄与しているものと推定された。
なお、インスリンのPLGAナノスフェア表面への吸着は、インスリン未封入のPLGAナノスフェアの生理食塩水懸濁液にインスリンを添加して分散させ、超音波処理した後、遠心分離によりPLGAナノスフェアを単離し、これを生理食塩水で再分散後、凍結乾燥して得られたナノスフェア粉末を実施例3と同様の方法で処理し、HPLCで分析したところ、インスリンが検出されたことから確認された。
[ビーグル犬によるナノコンポジット製剤の吸入量の測定]
ビーグル犬のナノコンポジット製剤の吸入量を評価するため、吸入システム(図5参照)のカテーテル24に実験動物用人工呼吸器(SN−480−3、シナノ製作所製)をガラス繊維フィルター(GB−100R、アドバンテック東洋製)を介して接続し、吸入システムをビーグル犬の吸入試験と同条件下で運転した。人工呼吸器の運転条件をビーグル犬の麻酔下呼吸回数(12回/分)及び呼吸量(208mL/回)に設定し、ミストを発生させた。10分間の模擬吸入運転を実施し、ガラス繊維フィルターによる製剤捕集重量からビーグル犬の推定吸入量を算出したところ、実施例2及び比較例1のナノコンポジット製剤の吸入量は、それぞれ0.064mg/分及び0.116mg/分であった。
[インスリン封入PLGAナノコンポジット製剤の薬理効果]
血中グルコース濃度低下作用を示す総面積AAC(時間濃度曲線下面積;ここでは図7の折れ線グラフよりも上側で且つ血中グルコースレベル100より下側部分の面積)を算出し、これをビーグル犬が摂取したインスリン量で除した値(%×時間/units)を指標として、実施例2、比較例1のインスリン製剤の吸入投与、及び比較対照例である皮下投与における薬理効果を評価した。なお、各製剤の相対的薬理効果を評価するため、インスリンの皮下投与値を基準(=100)として比較した。結果を表3に示す。
Figure 2007077048
実施例7の結果より、実施例2及び比較例1のインスリン製剤の吸入速度は各々0.064mg/分及び0.116mg/分であるため、ビーグル犬が10分間の吸入試験で摂取した有効インスリン量は、それぞれ0.26units及び0.29unitsであった。図7から求めたAAC値をこれらのユニット値で除し、さらにインスリン皮下注射の結果を100として示した相対的薬理効果は、実施例2で347、比較例1で383となり、いずれも皮下注射の結果を大きく上回った。この原因としては、前述したようにPLGAナノスフェアが肺胞まで送達され、その滞留時間が延長されることにより、皮下投与法に比べて薬物の徐放効果や酵素分解の抑制効果が顕著に現れるためと考えられる。
また、実施例2のインスリン製剤は、比較例1に比べてPLGAナノスフェア含有量が少ないにも係わらず比較例1とほぼ同等の薬理効果を示した。これは、実施例6のミスト径分布の評価結果から、実施例2のインスリン製剤では比較例1に比べてPLGAナノスフェア粒子が肺胞に到達する頻度は小さいものの、気管支に相当する第2ステージ以降の到達頻度は同等であるため、PLGAナノスフェアの外層中に含浸されたインスリンが分散液中でやや大きなミストとなって飛翔し、気管支や細気管支に沈着するものと考えられる。
これらの部位は、肺胞に比べて吸収速度は遅いと考えられるが、インスリンの到達作用部位が比較例1に比べて拡大されるため、広範囲の組織部位から血中に移行することにより薬理効果が向上したものと推定される。さらに、実施例2のインスリン製剤ではPLGAナノスフェアの外層中にインスリンを高い含量で配合できるので、高い薬理効果を備えるとともに比較例1に比べ剤形の小型化が可能となり、臨床試験への応用において実用的な経肺投与量を実現する有用な粒子設計法となる。
[カルシトニン封入PLGAナノスフェアの調製法]
カルシトニン(Biosciences社製)250mgをメタノール50mLに溶解させた。生体適合性高分子である乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA:和光純薬製PLGA7520)5gをアセトン100mLに溶解した後、前記カルシトニンのメタノール溶液を添加、混合した。この混合液を、貧溶媒として調製した2重量%のポリビニルアルコール(PVA:クラレ社製)水溶液500mL中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によってカルシトニン封入PLGAナノスフェアの懸濁液を得た。
続いて、減圧下40℃、100rpmで攪拌を続け、2時間有機溶媒を留去した後、遠心分離操作(20,000rpm、−20℃、20分)によりカルシトニン封入PLGAナノスフェア表面の余剰PVAを除去し、上澄みを除去後、沈殿を回収した。沈殿を精製水に再懸濁して再度遠心分離操作を行い過剰のポリビニルアルコールを除去した。上澄みを除去し、得られた沈殿を精製水150mLに再懸濁した後、−45℃で一日間凍結乾燥し粉末化して、水への再分散性の良好なカルシトニン封入PLGAナノスフェア粉末を得た。
[カルシトニン封入PLGAナノコンポジット製剤の調製法]
精製水150mLにトレハロース(林原製)1.4gを溶解させ、さらにカルシトニン(Biosciences社製)1.4mgを溶解させた。このカルシトニン溶解液を、実施例9で得られたナノスフェア粉末700mgを精製水100mLに再懸濁させた懸濁液中に添加し、均一に混合した後、−45℃で一晩凍結乾燥して、ナノ粒子の内部及び外層にカルシトニンが封入された本発明のPLGAナノコンポジット製剤を得た。
精製水150mLにトレハロース(林原製)1.4gを溶解させ、さらにカルシトニン(Biosciences社製)2.8mgを溶解させたカルシトニン溶解液を用い、実施例10と同様の方法によりナノ粒子の内部及び外層にカルシトニンが封入された本発明のPLGAナノコンポジット製剤を得た。
精製水150mLにトレハロース(林原製)1.4gを溶解させ、さらにカルシトニン(Biosciences社製)4.2mgを溶解させたカルシトニン溶解液を用い、実施例10と同様の方法によりナノ粒子の内部及び外層にカルシトニンが封入された本発明のPLGAナノコンポジット製剤を得た。
比較例3
実施例10のカルシトニン溶解液に代えて、精製水150mLにトレハロース(林原製)1.4gを溶解したトレハロース水溶液を用い、実施例10と同様の方法によりナノ粒子の内部にのみカルシトニンが封入されたPLGAナノコンポジット製剤を得た。
[カルシトニン封入PLGAナノコンポジット製剤の再分散時における粒度分布及びカルシトニン含有率の評価]
実施例10〜12、及び比較例3で得られたナノコンポジット製剤を水中に再分散し、実施例4と同様に動的光散乱法により平均粒子径を測定したところ、いずれの製剤も215nm〜230nmの範囲であり、粒子径分布についても各製剤で大きな差は認められなかった。また、HPLCを用いて実施例3と同様の手順で各製剤のカルシトニン含有率を定量した。各製剤におけるPLGAナノスフェア、外層(トレハロース)及び内部及び外層に含有されるカルシトニンの重量割合、並びに各製剤中のカルシトニン量(units/mg)を表4に示す。
Figure 2007077048
表4から明らかなように、各製剤におけるカルトニンの重量割合は、実施例10〜12及び比較例3の順に、各々0.20重量%、0.26重量%、0.33重量%、0.13重量%であった。トレハロース水溶液にカルシトニンを溶解させた液を用いて複合化した実施例10〜12の製剤では、外層のトレハロースにもカルシトニンが封入されていた。一方、トレハロース水溶液を用いて複合化した比較例3の製剤では、PLGAナノスフェア内部にのみカルシトニンが封入されていた。なお、実施例10〜12においてはナノスフェアの内部と外層に2:1、1:1、及び2:3の割合でカルシトニンが封入されるようにカルシトニンの仕込み量を設定しており、実際の封入割合もほぼ理論値と一致していた。
また、いずれのナノコンポジット製剤においてもPLGAナノスフェアとトレハロースの重量比はほぼ1:2となっていた。こうして調製された実施例10〜12及び比較例3のナノコンポジット製剤におけるカルシトニン濃度は、各々14.0、18.62、23.26、及び9.32(units/mg)であった。従って、同一ユニットのカルシトニンを投与する条件下では、外層にもカルシトニンを封入した実施例10〜12の製剤は、比較例3に比べて実施例10〜12の順に剤形が小型化できることになる。
[カルシトニン封入PLGAナノコンポジット製剤の薬理効果]
実施例10〜12及び比較例3で調製したカルシトニン封入PLGAナノコンポジット製剤の薬理効果をラットにより評価した。評価手順を以下に示す。
1)投与3時間前にラットの気管および頸静脈を露出させた。
2)投与0.5時間前に採血し、この血中カルシウム濃度を基準(=100)とした。
3)気管支に7号カニューレを挿入し、その先に、実施例10〜12及び比較例3で調製したナノコンポジット製剤を、カルシトニンの投与量がラットの体重(kg)あたり100unitsになるように充填したチューブを取り付けた。このチューブに三方活栓を取り付け、さらにシリンジを取り付けた。シリンジ内に空気を入れ、これを圧縮した後、三方活栓を解放することによって、ナノコンポジット粒子をラットの肺内に投与した。
4)投与後、0.5、1、2、4、8、12、24時間ごとに採血した。各血液は遠心分離し、得られた血清中のカルシウム濃度を、自動血液分析装置を用いて測定した。標準血中カルシウム濃度に対する各時間の血中カルシウム濃度の割合(血中カルシウムレベル)を算出した。
結果を図9に示す。
外層にカルシトニンを含有しない比較例3の製剤を投与した場合、血中カルシウムレベルは投与後4時間まで徐々に低下したのに対し、外層にカルシトニンを含浸させた実施例10〜12の製剤は、投与後0.5〜2時間のうちに即効的な作用が認められた。これは外層のカルシトニンが吸収効率の高い肺胞からより即効的に吸収されたためであると考察した。
また、持続性については、比較例3の製剤では投与後12時間に亘って血中カルシウムレベル低下作用が観察され、実施例10〜11の製剤も比較例3と同程度の持続性が確認されたのに対し、実施例12の製剤では投与後8時間で投与前と同程度の血中カルシウム濃度に戻った。これは、カルシトニンを内包したナノスフェア量が多いほど、カルシトニンが酵素分解を受けにくく、かつ吸収部位に十分長く留まったPLGAナノスフェアが加水分解により内包するカルシトニンを長時間に亘って徐々に放出し、血中に吸収されたためであると考察した。また、比較例3の製剤の薬理効果(AAC;時間濃度曲線下面積)を100としたとき、各製剤の相対的な薬理効果は、実施例10〜12の順に各々85、70、45となった。
以上の結果から、ナノスフェアに内包したカルシトニンと外層のカルシトニンの配合割合を1:0.5乃至1:1に粒子設計した実施例10及び11の製剤は、外層にカルシトニンを含浸していない比較例3の製剤と比較して、同程度の即効性と持続性を兼ね備えることが実証されたことより、剤形の小型化にも有利な粒子設計であることが示唆された。
ペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む本発明の医薬製剤は、ナノ粒子の外層に封入されたペプチドホルモンにより即効性を高め、且つナノ粒子の内部に封入されたペプチドホルモンにより持続性を高めることができるため、即効性と持続性のバランスのとれた医薬製剤を提供できる。また、ナノ粒子の内部に加えて外層にもペプチドホルモンが封入されるため、製剤中のペプチドホルモン含量を高めて剤形の小型化が可能となる。特に、ペプチドホルモンとして、糖尿病の治療薬であるインスリンや、骨粗鬆症の治療薬であるカルシトニンを用いた経肺投与製剤に好適である。
また、ナノ粒子を形成する材料として、生体への刺激・毒性が低く、投与後分解して代謝される生体適合性高分子を用いるので、人体への安全性を確保するとともに、ペプチドホルモンの効力を保持したまま長期間保存でき、さらに生体適合性高分子の分解によりペプチドホルモンの徐放が可能となる。特に、生体適合性高分子としてPGA、PLA、若しくはPLGAを用いた場合に好適である。
また、結合剤を用いてペプチドホルモン含有ナノ粒子を複合化しておけば、簡便な方法でナノ粒子の外層にペプチドホルモンを封入可能となる。さらに、容器への充填時に取り扱いが容易で使用時には再分散可能な凝集粒子となる。特に、結合剤として糖アルコールを用いた場合、複合化されたナノ粒子の分散性、耐熱性が向上するとともに、一旦ナノ粒子内に封入されたペプチドホルモンの粒子表面への再漏出を防止できる。
また、球形晶析法を用いてナノ粒子を形成する本発明の医薬製剤の製造方法は、ペプチドホルモンの溶液と生体適合性高分子の有機溶媒溶液の混合液を加えるポリビニルアルコール水溶液の濃度を0.5重量%以下とすることで、高濃度のポリビニルアルコール水溶液を用いた場合のように、ナノ粒子を遠心分離などでの洗浄が不要となるため手間と時間が削減でき、製造面で有利となる。
一方、高濃度のポリビニルアルコール水溶液を用いてナノ粒子を形成した後、ナノ粒子を遠心分離などで洗浄して余剰のポリビニルアルコールを除去する工程を設けた場合、ナノ粒子中に封入されるペプチドホルモンの封入率を安定化することができる。このとき、ポリビニルアルコール水溶液の濃度を0.1重量%以上10重量%以下とすることで、貧溶媒の粘度を良溶媒の拡散に影響を与えない程度に抑えることができる。
また、人体や環境への影響の少ないアセトン、エタノールなどを良溶媒として用いたので、人体へ直接投与する医薬製剤の原料として安全性の高いものとなる。また、複合化工程を凍結乾燥或いは噴霧乾燥式流動層造粒法により行うこととすれば、ナノ粒子の複合化を良好に且つ効率よく行うことができる。
は、本発明の医薬製剤に用いられるペプチドホルモン含有ナノコンポジットの構造を示す模式図である。 は、噴霧乾燥式流動層造粒法によるナノ粒子の複合化工程の一例を示す模式図である。 は、コアシェル構造を有するペプチドホルモン含有ナノ粒子の構造を示す模式図である。 は、実施例4において、PLGAナノコンポジット製剤を水中へ再分散させた際のPLGAナノスフェア粒子の粒度分布を動的光散乱法により測定した結果を示すグラフである。 は、ナノコンポジット製剤の分散液をミスト化したものをビーグル犬の自発呼吸により肺内へ送達する吸入システムの概略図である。 は、実施例5におけるインスリン製剤の投与及び採血パターンを示す図である。 は、実施例5における血中グルコースレベルの測定結果を示すグラフである。 は、実施例6において、ビーグル犬の吸入するミストの空気力学的径を測定した結果を示すグラフである。 は、実施例14における血中カルシウムレベルの測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 ナノコンポジット
2 生体適合性ナノ粒子(ナノスフェア)
3 結合剤(外層)
4 ペプチドホルモン
5 粉体処理装置
6 流動層空間
8 スプレーノズル
8a スプレーゾーン
9a バッグフィルタ
9b バックフィルタ
10 コンポジット粒子
11 コンポジット粒子
12 疎水性ポリマーブロック
13 親水性ポリマーブロック
14 ブロック共重合体
15 シェル部
16 コア部
20 超音波ネブライザー
21 排気ポンプ
22 メイン配管
23 バイパス配管
24 カテーテル
25 逆止弁
26 回収トラップ
27 回収フィルター

Claims (15)

  1. 生体適合性ナノ粒子の内部及び該粒子の外層にペプチドホルモンを封入して成るペプチドホルモン封入ナノ粒子を含む医薬製剤。
  2. 前記ペプチドホルモンが、インスリンであることを特徴とする請求項1に記載の医薬製剤。
  3. 前記ペプチドホルモンが、カルシトニンであることを特徴とする請求項1に記載の医薬製剤。
  4. 前記生体適合性ナノ粒子を構成する生体適合性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、若しくは乳酸・グリコール酸共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  5. 前記ペプチドホルモンを内部に封入した前記生体適合性ナノ粒子が結合剤によって複合化されるとともに、当該結合剤を外層としてペプチドホルモンを封入したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  6. 前記結合剤が糖アルコールであることを特徴とする請求項5に記載のインスリン製剤。
  7. 経肺投与用途に使用されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  8. ポリビニルアルコール水溶液に、少なくともペプチドホルモンの溶液と生体適合性高分子を有機溶媒に溶解させた溶液との混合液を加えて、前記ペプチドホルモンが前記生体適合性高分子の内部に封入されたペプチドホルモン封入ナノ粒子の懸濁液を生成するナノ粒子形成工程と、
    前記ペプチドホルモン封入ナノ粒子の懸濁液から前記有機溶媒を留去する溶媒留去工程と、
    前記有機溶媒が留去された前記ペプチドホルモン含有ナノ粒子を前記ペプチドホルモンが含まれた結合剤によって複合化する複合化工程と、
    を有することを特徴とする医薬製剤の製造方法。
  9. 前記複合化工程が凍結乾燥により行われることを特徴とする請求項8に記載の医薬製剤の製造方法。
  10. 前記複合化工程が噴霧乾燥式流動層造粒法により行われることを特徴とする請求項8に記載の医薬製剤の製造方法。
  11. ポリビニルアルコールの水溶液に、少なくとも親水性のペプチドホルモンの溶液と親水性修飾処理された生体適合性高分子を有機溶媒に溶解させた溶液との混合液を加えて、前記親水性のペプチドホルモンが前記生体適合性高分子の内部及び外層のいずれにも封入されたペプチドホルモン含有ナノ粒子の懸濁液を生成するナノ粒子形成工程と、
    前記ペプチドホルモン含有ナノ粒子の懸濁液から前記有機溶媒を留去する溶媒留去工程と、
    を含むことを特徴とする医薬製剤の製造方法。
  12. 前記ポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール濃度が0.5重量%未満であることを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれか1項に記載の医薬製剤の製造方法。
  13. 前記溶媒留去工程の後に、さらに前記ペプチドホルモン封入ナノ粒子の懸濁液からポリビニルアルコールを除去する除去工程を有することを特徴とする請求項8乃至請求項12のいずれか1項に記載の医薬製剤の製造方法。
  14. 前記ポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール濃度が0.1重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項13に記載の医薬製剤の製造方法。
  15. 前記有機溶媒が少なくともアセトンを含むことを特徴とする請求項8乃至請求項14のいずれか1項に記載の医薬製剤の製造方法。
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