JP2007076573A - スタビライザ駆動装置における故障時停止機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】
航空機操縦系統の操舵力を伝える主軸装置が破損する重大な故障が生じた場合副軸を介して継続作動を保証するスタビライザ駆動装置を提供する。
【解決手段】
ボールネジが外周に形成された筒状のネジ杆と、このネジ杆にボールを介して螺合されたナットからなる主軸装置を有し、この主軸装置におけるナットの作動を航空機の翼に連動させる連動機構を備えたスタビライザ駆動装置において、ネジ杆に挿設されネジ杆を回転自在に保持する副軸と、ネジ杆またはハウジングが破損したときこれを検知する検知機構と、この検知機構の作動により主軸装置と副軸を一体的に結合させ主軸装置を副軸に拘束させる拘束機構を設け、尾翼操舵力を直ちに停止させるとともに尾翼の角度を故障直後の位置に機械的に停止保持させ飛行の安全を確保するスタビライザ故障時停止機構。
【選択図】 図1
航空機操縦系統の操舵力を伝える主軸装置が破損する重大な故障が生じた場合副軸を介して継続作動を保証するスタビライザ駆動装置を提供する。
【解決手段】
ボールネジが外周に形成された筒状のネジ杆と、このネジ杆にボールを介して螺合されたナットからなる主軸装置を有し、この主軸装置におけるナットの作動を航空機の翼に連動させる連動機構を備えたスタビライザ駆動装置において、ネジ杆に挿設されネジ杆を回転自在に保持する副軸と、ネジ杆またはハウジングが破損したときこれを検知する検知機構と、この検知機構の作動により主軸装置と副軸を一体的に結合させ主軸装置を副軸に拘束させる拘束機構を設け、尾翼操舵力を直ちに停止させるとともに尾翼の角度を故障直後の位置に機械的に停止保持させ飛行の安全を確保するスタビライザ故障時停止機構。
【選択図】 図1
Description
本発明は航空機操縦系統に使用されるスタビライザ駆動装置の故障時停止機構に関するものである。
スタビライザ駆動装置は図4に示すとおり、機体構造5と支軸7を中心に回転できる尾翼との間に配置され、主軸装置1に加えられた回転力をボール1Bおよびナット1Nにより直線力に変換し、連動機構を介して再び回転力に変えて尾翼の角度を制御する航空機操縦系統の一部である。航空機操縦系統の構成装置およびシステムはより高い信頼性と飛行安全性が求められている。そのために航空機操縦系統は、構成装置またはシステムの一部に重大な故障が生じても、その故障が飛行安全上重大な障害とならないよう安全側に働く二重または三重のバックアップ機能・機構が組み込まれる工夫がなされている(たとえば特許文献1参照)。
スタビライザ駆動装置は図5に示すとおりである。すなわちボールネジが外周に形成され内面にスプライン1SPを設けた筒状のネジ杆1BSと、このネジ杆1BSにボール1Bを介して螺合されたナット1Nと、ハウジング1Hと、ハウジング1Hと回転駆動部4との間に組み込まれたスラスト軸受1Jからなる主軸装置1と、外面にスプライン2SPを設け前記ネジ杆1BSを回転自在に保持する副軸2Sと、揺動杆2Gからなる副軸装置2および回転駆動部4ならびに副軸回転駆動部8から構成されている。
以上の構成であるから航空機操縦系統のスタビライザ駆動装置は、構造体の一部が破損する重大な故障が生じてもその故障が飛行安全上重大な障害を与えることはない。すなわち通常の操舵作動時、外部ギアを介してスタビライザ駆動力が回転駆動部4に加えられ、ネジ杆1BSを回転させる。このときネジ杆1BS内面に設けたスプライン1SPと副軸2Sの外面に設けたスプライン2SPが噛みあっているので副軸2Sはアイドル回転している。ボール1Bおよびナット1Nはネジ杆1BSの回転力を直線力に変換し、この直線力を連動機構を介し機体構造5の図4に示す支軸7を中心に回転する尾翼に操舵力として伝えられ、飛行時の空力的安定性をはかる。尾翼に加わる空力的負荷である回転力は逆に連動機構を介しナット1Nの直線力として加えられ、この直線力がネジ杆1BSを回転させることなく、回転駆動部4、スラスト軸受1Jおよびハウジング1Hを介して機体構造5に伝えられるので、操舵力が加えられなくても尾翼は空力負荷により回転することはない。
スタビライザ駆動装置において操舵力を伝える主軸装置が機械的に破損する重大な故障が生じても、破損破断部位によっては副軸を介して継続作動が可能であるので、故障の発見が遅れ十分なる耐久強度を有していない副軸の構成品がやがては機械的に破断し飛行安全上重大な障害を起こす危険がある。また副軸の耐久強度を主軸装置と同程度以上に増すことは、スタビライザ駆動装置そのものが大きくなり、製作コスト、ランニングコスト、重量および占有空間の面で著しく不利となる。
本発明が提供する航空機操縦系統のスタビライザ駆動装置は、上記課題を解決するために、ボールネジが外周に形成された筒状のネジ杆と、このネジ杆にボールを介して螺合されたナットからなる主軸装置を有し、この主軸装置におけるナットの作動を航空機の翼に連動させる連動機構を備えたスタビライザ駆動装置において、前記ネジ杆に挿設されネジ杆を回転自在に保持する副軸と、ネジ杆またはハウジングが破損したときこれを検知する検知機構と、この検知機構の作動により主軸装置と副軸を一体的に結合させ主軸装置を副軸に拘束させる拘束機構を設けたものである。
本発明が提供する航空機のスタビライザ駆動装置は、主軸装置のネジ杆またはハウジングに破損故障が生じたとき、この故障を検知する検知機構が作動し主軸装置と副軸を一体的に結合させ主軸装置を副軸に拘束されるので、尾翼の動きを直ちに停止させ故障直後の位置に機械的に固定させることができるので、主軸装置の破損が飛行安全上重大な障害を起こす危険はない。また副軸を介しての継続作動はできないので、設計上副軸の耐久強度を増す必要はなくスタビライザ駆動装置構造をコンパクトに構成することができ、製作コスト、ランニングコストおよび重量、占有空間の面で著しく不利となることはない。
本発明の特徴は、ボールネジが外周に形成された筒状のネジ杆と、このネジ杆にボールを介して螺合されたナットからなる主軸装置を有し、この主軸装置におけるナットの作動を航空機の翼に連動させる連動機構を備えたスタビライザ駆動装置において、前記ネジ杆に挿設されネジ杆を回転自在に保持する副軸と、ネジ部が破損したときこれを検知する検知機構と、この検知機構の作動により主軸装置と副軸を一体的に結合させ主軸装置を副軸に拘束させる拘束機構を設けたことにある。本発明の第2の特徴は、副軸の役割を主軸装置破損故障時の操舵および尾翼の固定から、尾翼の固定に限定することにより副軸構成部品に耐久強度の必要がなく、スタビライザ駆動装置をコンパクトに構成したことにある。以下に本発明に係る一実施例について説明する。
本発明が提案するスタビライザ駆動装置における主軸副軸切替機構部3は、図4に示すとおり主軸装置1と副軸装置2の下部に配置されている。主軸装置1と副軸装置2とのインターフェースは図1に示すとおり、複数個のロック用ボール3Bと、ピストン状の外筒開口部付近の外周面にロック用ボール3Bを収容する複数個の円錐形の凹部を有し、外筒閉口部にスプライン3SPを形成したピストン3Pと、円筒形で下端部に支軸6を挿入するための一対の貫通孔を有し、内部に圧縮バネ3SPRを収容するためのばね座を有するガイド3Gを介してとられている。副軸2Sと揺動杆2Gとの結合は、スリーブ2SBの内筒面に切られたねじと揺動杆2Gの外筒面に切られたネジとの締結によりおこなわれている。圧縮バネ3SPRはピストン3Pとガイド3Gの内筒部に組み込まれている。図1は正常作動時の主軸副軸切替機構図、図2は主軸装置破断故障時の主軸副軸切替機構図を示す。図5と同じものには同じ番号を付してある。
通常の操舵作動時は背景技術で説明したとおり図5において、本スタビライザ駆動装置の操作力は外部から回転駆動部4を介して加えられ、ネジ杆1BSを回転させる。このとき副軸2Sはアイドル回転している。ネジ杆1BSの外周にはボールネジが形成され、このネジ杆1BSにボール1Bを介してナット1Nが螺合されている。ボール1Bおよびナット1Nはネジ杆1BSの回転力を直線力に変換し、この直線力を連動機構を介し機体構造5に取り付けられた支軸7を中心に回転する尾翼に操舵力として伝えられ飛行時の空力的安定性をはかる。
ネジ杆1BSの外周はボールネジとボール1Bとナット1Nの組合せとなっているが、回転運動を直線運動に変換する機構例えば梯形ネジとナットとの組合せでもよい。逆に尾翼に加わる空力的負荷である回転力は連動機構を介しナット1Nの直線力として加えられ、この直線力がネジ杆1BSを回転させることなく回転駆動部4のスラスト面に伝達され、スラスト軸受1Jおよびハウジング1Hを介して機体構造5に伝えられるので、操舵力が加えられなくても尾翼は空力負荷により回転することはない。
正常作動時における主軸副軸切替機構の状態は図1に示すとおりである。すなわち副軸2Sはスリーブ2SBによって揺動杆2Gに取り付けられており、軸方向の動きは制限されているが自由に回転が可能である。ガイド3Gの下端部には支軸6を通す貫通孔があけられ、中間部にはロック用ボール3Bを収容する複数個の孔があけられ、先端内筒部にはスプライン3SPが切られてピストン3Pと噛みあっている。ピストン3Pには圧縮バネ3SPRのばね力が加えられているが、ロック用ボール3Bが円錐形のくぼみにはまりこみ、圧縮バネ3SPのばね力による軸方向力はガイド3Gにより拘束されており、軸直角方向力は揺動杆2Gの凸部により拘束されているので図1の状態にある。揺動杆2Gおよびガイド3Gは機体構造5に取り付けられた支軸6により拘束され回転できない。
図5のA部またはB部に示す主軸装置1の箇所に破損故障が生じたとき、主軸装置1による軸方向拘束力がなくなるので、のばね力により副軸2S、スリーブ2SBおよび揺動杆2Gが上方に移動し、ロック用ボール3Bの軸直角方向の拘束力がなくなりピストン3Pの溝にはまっていたロック用ボール3Bが外れ、ピストン3Pは圧縮バネ3SPのばね力により図2に示す位置まで移動し、ピストン3Pと副軸2Sのスプライン2SP、3SPが噛み合い、副軸2Sの回転力が拘束され、拘束が解除されることはない。尾翼に加わる空力的負荷である回転力は連動機構を介しナット1Nの直線力として加えられるが、この直線力は拘束をなくした主軸装置1に代わり副軸2Sに伝えられ、スリーブ2SBおよび揺動杆2Gから支軸6を介して機体構造5に伝えられるので、操舵力が加えられなくても尾翼は空力負荷により回転することはない。また副軸2Sに加わる回転力は同じく副軸2S、ピストン3P、ガイド3G、支軸6を介して機体構造5に伝えられる拘束される。従って操舵力を伝える主軸装置1が機械的に破損する重大な故障が生じても尾翼は空力負荷により回転することはない。
本発明が提案するスタビライザ駆動装置における他の実施例の概要は図3に示すとおりである。図3において図5と同一符号の部品は図5と同一であり詳細説明は省略する。スタビライザ駆動装置における主軸副軸切替機構は副軸2S、揺動杆2G、スリーブ2SB、ロック用ボール3B、ピストン3P、ガイド3Gおよび圧縮バネ3SPRから構成されている。これらは図5に示す主軸装置1のネジ杆1BSの内部に収納されており図1および図2において操舵力を伝える主軸装置1は省略されている。
基本作動は実施例1の作動と同様であるが、本実施例では図5に示すA部が折損故障したときネジ杆1BSと、副軸2Sとの間の外部負荷により誘起されるトルクにより生じる位相差により、ロック用ボール3Bが軸回転したときネジ杆1BSの溝部に落ち、ピストン3Pが圧縮バネ3SPのばね力により下方に移動し、揺動杆2Gの内面に切られたスプライン2SPと噛み合いネジ杆1BSの回転を止める。
本発明は構成装置の一部に破断故障が生じてもその故障が飛行安全上重大な障害とならないより高い信頼性と飛行安全性が求められる航空機操縦系統のスタビライザ駆動装置に利用することができる。
1 主軸装置
1BS ネジ杆
1N ナット
1B ボール
1R 回転駆動部
1J スラスト軸受
1H ハウジング
1SP スプライン
2 副軸装置
2S 副軸
2G 揺動杆
2SB スリーブ
2SP スプライン
3 主軸副軸切替機構部
3B ロック用ボール
3P ピストン
3G ガイド
3SP スプライン
3SPR 圧縮バネ
4 回転駆動部
5 機体構造
6 支軸
7 支軸
8 副軸回転駆動部
1BS ネジ杆
1N ナット
1B ボール
1R 回転駆動部
1J スラスト軸受
1H ハウジング
1SP スプライン
2 副軸装置
2S 副軸
2G 揺動杆
2SB スリーブ
2SP スプライン
3 主軸副軸切替機構部
3B ロック用ボール
3P ピストン
3G ガイド
3SP スプライン
3SPR 圧縮バネ
4 回転駆動部
5 機体構造
6 支軸
7 支軸
8 副軸回転駆動部
Claims (1)
- ボールネジが外周に形成された筒状のネジ杆と、このネジ杆にボールを介して螺合されたナットからなる主軸装置を有し、この主軸装置におけるナットの作動を航空機の翼に連動させる連動機構を備えたスタビライザ駆動装置において、前記ネジ杆に挿設されネジ杆を回転自在に保持する副軸と、ネジ杆が破損したときこれを検知する検知機構と、この検知機構の作動により主軸装置と副軸を一体的に結合させ主軸装置を副軸に拘束させる拘束機構を設けたことを特徴とするスタビライザ駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005269479A JP2007076573A (ja) | 2005-09-16 | 2005-09-16 | スタビライザ駆動装置における故障時停止機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005269479A JP2007076573A (ja) | 2005-09-16 | 2005-09-16 | スタビライザ駆動装置における故障時停止機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007076573A true JP2007076573A (ja) | 2007-03-29 |
Family
ID=37937285
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005269479A Pending JP2007076573A (ja) | 2005-09-16 | 2005-09-16 | スタビライザ駆動装置における故障時停止機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007076573A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013525191A (ja) * | 2010-04-30 | 2013-06-20 | グッドリッチ アクチュエーション システムズ エスアーエス | 飛行制御アクチュエータにおける主荷重経路の破損を検出するための装置 |
-
2005
- 2005-09-16 JP JP2005269479A patent/JP2007076573A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013525191A (ja) * | 2010-04-30 | 2013-06-20 | グッドリッチ アクチュエーション システムズ エスアーエス | 飛行制御アクチュエータにおける主荷重経路の破損を検出するための装置 |
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