JP2007073994A - 水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法 - Google Patents

水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水蒸気が弱不活性雰囲気を形成することを利用して、溶融はんだを水蒸気雰囲気で覆い、さらに水蒸気の凝縮を防止して、溶融はんだの酸化を防止する。また、水蒸気雰囲気により溶融はんだの酸化を防止したプリント配線板のはんだ付け方法を提供する。
【解決手段】 酸化を防止するため溶融はんだ2を覆い、内部を水の沸点以上の温度に保持しながら水蒸気を供給口から供給するとともに、排出口15から排気して内部を大気圧に保持することにより水蒸気雰囲気の凝縮を防止して溶融はんだ2の酸化を防止する。また、プリント配線板に凝縮防止加熱を行った後に、水蒸気雰囲気中ではんだ付けを行い、その後直ちに乾燥促進のため熱風を吹き付けて、水蒸気の凝縮を防止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶融はんだの酸化を防止しかつ被はんだ付けワークであるプリント配線板の酸化を防止しながらはんだ付けを行う方法に関する。
これらの酸化防止を実現することを目的として窒素ガス等の不活性ガスが使用されている。すなわち、大気を不活性ガスで置換して低酸素濃度の不活性ガス雰囲気を形成し、この雰囲気によりはんだや被はんだ付け部の酸化を防止しながらはんだ付けを行う技術である。
しかし、ボンベで購入する窒素ガスは高価でありランニングコストを高める問題がある。また、PSA方式や膜分離方式の窒素ガス発生装置も高価であり、導入の際のイニシャルコストを高める問題がある。
大気中では溶融はんだは酸化し易く、その表面に形成される溶融はんだの酸化物がプリント配線板のはんだ付け性(濡れ性)を低下させることが知られている。また、この酸化物が付加価値を生まないドロスとなって無駄に消費されることが知られている。
そのため、プリント配線板のように多数の電子部品を搭載し微細な被はんだ付け部を多数有する被はんだ付けワークをはんだ付けする際に、低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中ではんだ付けを行うことが行われている。これにより、良好なはんだ付け性を確保しつつドロスの発生も防止(抑制)することができる。
このような不活性ガス雰囲気中でプリント配線板のはんだ付けを行う技術の例としては、例えば実公昭57−9010号公報の技術や特許第2832566号公報の技術がある。すなわち、窒素ガス等の不活性ガスを、「カバー」や「容器」に覆われたチャンバ内に供給して低酸素濃度の不活性ガス雰囲気を形成し、この雰囲気中ではんだ付け作業を行うように構成した技術である。
また、このような低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中ではプリント配線板の被はんだ付け部の酸化も防止され、一層はんだ付け性が向上する。また、溶融はんだ表面に酸化物を生じないため溶融はんだの流動性が向上し、微細な被はんだ付け部にも確実に溶融はんだが供給され、はんだ付け性が向上する。
しかし、はんだ付け作業に伴って窒素ガスを供給する必要があるため、はんだ付け作業に伴う生産コストを押し上げる問題がある。しかも、ボンべ供給される窒素ガスは高価であり、また、PSA方式や膜分離方式の窒素ガス発生装置も高価である。
一方で、水蒸気が弱不活性雰囲気を形成することが知られているが、その水分がワーク等の対象物の酸化を促進させる問題があった。特に、電子部品は水分に対する耐性が低いものが多く、多数の電子部品を搭載したプリント配線板のはんだ付け作業に水蒸気雰囲気を使用する具体的な技術は実用化されていない。
本発明の目的は、ワーク等の酸化を防止する不活性雰囲気を安価に形成する技術を確立し、溶融はんだの酸化防止や多数の電子部品を搭載したプリント配線板のはんだ付け性の向上を低ランニングコストで実現できるようにすることにある。
本発明は、ワークや電子部品等の酸化を生じないように水蒸気雰囲気を使用できるようにしたところに特徴がある。すなわち、水蒸気の凝縮を生じない水蒸気雰囲気を溶融はんだの周辺に形成して前記溶融はんだの酸化を防止する。
水蒸気は凝縮すると液化してワークや対象物に付着し酸化を促進してしまう。しかし、水蒸気の凝縮を生じないように水蒸気雰囲気を形成すれば、ワークや対象物の酸化を防止することができる。すなわち、溶融はんだの酸化を防止することができる。
そのためには、水の沸点以上の温度に加熱された遮蔽手段により溶融はんだを覆い前記遮蔽手段の内部の雰囲気温度を水の沸点以上の温度に保持するとともに前記遮蔽手段の内部へ水蒸気を供給する供給口と前記遮蔽手段の内部の雰囲気を外部へ排出する排出口とを設けて前記遮蔽手段の内部の圧力を大気圧に保持し、前記供給口から前記遮蔽手段の内部へ水蒸気を供給して前記遮蔽手段に覆われた溶融はんだの酸化を防止する。
このように、遮蔽手段の温度やこの遮蔽手段の内部の雰囲気温度を水の沸点以上の温度に保持させ、さらに前記排出口により遮蔽手段の内部の圧力を大気圧に保持しておくことにより、前記供給口から遮蔽手段の内部へ水蒸気を供給してもこの遮蔽手段の内部に水蒸気の凝縮を生じることがない。したがって、この遮蔽手段に覆われた溶融はんだの酸化を防止することができるようになる。そして、プリント配線板のはんだ付けは、次のように行う。
(1)圧力が一定であり水蒸気の凝縮を生じない水蒸気雰囲気を溶融はんだの周辺に形成しておいて、電子部品が搭載されたプリント配線板を水の沸点よりも高い温度に加熱して前記水蒸気雰囲気内へ搬入して前記プリント配線板に水蒸気が凝縮しないようにして溶融はんだに接触させてはんだ付けを行うよう構成した水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法である。
すなわち、水の沸点よりも高い温度に加熱されたプリント配線板(搭載された電子部品を含む)を、その圧力が一定(例えば大気圧)の水蒸気雰囲気内に搬入してもこのプリント配線板や搭載電子部品に水蒸気の凝縮を生じることがない。また、予め形成された水蒸気雰囲気も凝縮を生じることがないように形成されている。
したがって、溶融はんだやプリント配線板の被はんだ付け部および搭載電子部品の酸化を防止しながらはんだ付け作業を行うことができるようになり、はんだ付け性の良好なはんだ付け作業を行うことができるようになる。
(2)圧力が一定であり水蒸気の凝縮を生じない水蒸気雰囲気を遮蔽手段により形成された加熱炉内に形成しておいて、予めその被はんだ付け部にはんだが供給されるとともに電子部品が搭載されたプリント配線板を水の沸点よりも高い温度に加熱してから前記加熱炉内に搬入し、前記プリント配線板に水蒸気が凝縮しないようにして前記被はんだ付け部のはんだを溶融させてはんだ付けを行うように構成した水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法である。
すなわち、予めその被はんだ付け部にはんだが供給され水の沸点よりも高い温度に加熱されたプリント配線板(搭載された電子部品を含む)を、その圧力が一定(例えば大気圧)の水蒸気雰囲気内に搬入してもこのプリント配線板や搭載電子部品およびその被はんだ付け部に水蒸気の凝縮を生じることがない。
したがって、被はんだ付け部に供給されたはんだやプリント配線板の被はんだ付け部および搭載電子部品の酸化を防止しながら、この被はんだ付け部に供給されたはんだを溶融させてはんだ付けを行うことができるようになり、はんだ付け性の良好なはんだ付け作業を行うことができるようになる。
(3)前記(1)または(2)に記載の水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法において、少なくとも水蒸気雰囲気を保持するための遮蔽手段、前記プリント配線板を前記遮蔽手段の内部へ搬送する搬送手段および前記遮蔽手段と前記搬送手段とを加熱する加熱手段を設けて前記遮蔽手段の内部の雰囲気温度を水の沸点以上の温度に保持するとともに前記遮蔽手段および前記搬送手段に水蒸気の凝縮が生じないようにしてプリント配線板のはんだ付けを行うように構成したプリント配線板のはんだ付け方法である。
このように、遮蔽手段の温度や搬送手段の温度およびこの遮蔽手段の内部の雰囲気温度を水の沸点以上の温度に保持させておくことにより、水蒸気雰囲気を保持する遮蔽手段や搬送手段に水蒸気の凝縮を生じることがない。したがって、凝縮した水が搬送手段を介してプリント配線板に付着したり、遮蔽手段から滴下してプリント配線板に付着したりすることが無くなり、水蒸気雰囲気内であっても遮蔽手段に覆われた溶融はんだやこの遮蔽手段内へ搬送されるプリント配線板の酸化を防止することができるようになる。
以上のように、本発明の水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法によれば、ボンベ等により高価な不活性ガスを入手したり窒素ガス発生装置等の高価な不活性ガス発生装置を備える必要もなく、水といういつでもどこでも人手可能な材料を用いて低酸素濃度の雰囲気を安価に形成することができるようになる。
しかも、水蒸気雰囲気であるが故に低酸素濃度雰囲気であってもその水分により酸化が生じるとされていた問題を、水蒸気の凝縮を生じないように雰囲気を形成することで解消した。また、プリント配線板を予め加熱しておくことにより被はんだ付けワークであるプリント配線板における水蒸気の凝縮の問題を解決し、水分に弱いプリント配線板の水蒸気雰囲気中におけるはんだ付け作業が可能となった。
このように、本発明によれば、いつでもどこでも安価に低酸素濃度雰囲気(低酸素濃度の水蒸気雰囲気)を形成して溶融はんだの酸化を防止したり、プリント配線板の被はんだ付け部の酸化を防止して濡れ性に優れた品質の良好なはんだ付けを行うことができるようになる。
すなわち、溶融はんだの酸化による浪費を抑え品質の良好なはんだ付け作業を低コストで実現することができるようになる。
また、フローはんだ付け作業においてプリント配線板に予め塗布されるフラックスや、リフローはんだ付け作業においてプリント配線板の被はんだ付け部に予め供給されたペースト状はんだに含まれるフラックスの中にハロゲンが含まれていても、排気中で凝縮した水蒸気を中和フィルタで捕捉して中和するので、はんだ付け作業にともなって環境を汚染することもない。
さらに、はんだ付け作業の終了したプリント配線板に、ドライエアや熱風等の乾燥促進雰囲気を吹きつけることにより、プリント配線板に搭載された電子部品等により立体的形状を成しているが故にその隅部に残っていた極僅かな水蒸気や水分をも、完全に除去することができるようになり、水蒸気雰囲気を使用してはんだ付け作業を行ってもプリント配線板の酸化を確実に防止することができるようになる。
本発明による水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法は、次のような実施形態例において実施することができる。なお、被はんだ付けワークは、多数の電子部品(チップ型電子部品やリード型電子部品、機構部品、等々)を搭載したプリント配線板である。ここで、実施形態例−1と実施例形態例−2のはんだ付け装置は、実施形態例−3や実施形態例−4のはんだ付けシステムに使用されるはんだ付け装置で、酸化防止チャンバに覆われた溶融はんだの酸化を防止する構成例を説明したものである。本発明のプリント配線板のはんだ付け方法については、実施形態例−3〜実施形態例−5において説明される。
(1)実施形態例−1
図1および図2を参照して、本発明に係る実施形態例−1を説明する。図1は、はんだ付け装置の全容を説明するための斜視図、図2(a)、(b)は図1の縦断面を示す図である。なお、図1における水供給ポンプの制御系(制御部および駆動部)はブロック図で描いてある。また、図2(a)は、図1の縦断面を示す図であるが、図2(b)は酸化防止チャンバ取り付けの他の態様例を示す図である。
すなわち、図示しないヒータにより加熱されて溶融状態の溶融はんだ2が例えばステンレス部材等で構成したはんだ槽1に収容され、この溶融はんだ2をモータ3に駆動されたポンプ(継手4とポンプ軸5とを介して回転駆動されるポンプ)6により吸い込み口7から吸い込んで吹き口体8へ供給し、その吹き口9から溶融はんだ2を噴流して噴流波10を形成するように構成されている。なお、溶融はんだ2の温度は、通常250゜C前後の温度である。
一方、溶融はんだ2の液面を覆う遮蔽手段として、ポンプ軸5が溶融はんだ2の液面に接する領域を覆う酸化防止チャンバ11を設けてあり、この酸化防止チャンバ11のスカート部12を溶融はんだ2に浸漬するとともに(図2(a)参照)、ポンプ軸5が酸化防止チャンバ11に挿通されるポンプ軸挿通孔13とは僅かな隙間を残して嵌め合わされるように構成してあり、これにより前記ポンプ軸5が溶融はんだ2の液面に接する領域を遮蔽するように構成してある。
この酸化防止チャンバ11には、供給口17からこの酸化防止チャンバ11内へ水蒸気を供給する水蒸気供給パイプ14が接続され、酸化防止チャンバ11下方の周縁には水蒸気の排出口15を設けてある。なお、この水蒸気供給パイプ14は水蒸気の温度低下を防止する保温材16で覆われている。
他方、溶融はんだ2を収容するステンレス部材等で構成されたはんだ槽1には同様にステンレス部材等で構成された水蒸気発生チャンバ18を密着して設けてあり、水タンク19に貯溜してある水を水供給ポンプ20により水供給パイプ21を介して前記水蒸気発生チャンバ18に供給するように構成してある。なお、水供給ポンプ20を駆動する制御部22(コンピュータシステム等)および駆動部23(電力駆動回路)は、この水供給ポンプ20により供給される水の流量が予め決めた所定の定流量になるように構成したものであり、使用する水供給ポンプ20の種類に合わせて選択される。
このように水蒸気供給装置25を構成すると、はんだ槽1に密着して設けられた水蒸気発生チャンバ18は溶融はんだ2と同等の温度すなわち250℃程度の温度に加熱されているので、この水蒸気発生チャンバ18に供給された水はこの水蒸気発生チャンバ18内で沸騰して水蒸気を発生する。また、水蒸気発生チャンバ18内に設けた流路形成板24は、蛇行流路で発生した水蒸気を完全に加熱(約250゜C)して供給するための部材であり、この水蒸気は最終的に前記の水蒸気供給パイプ14を通して前記酸化防止チャンバ11に供給される。
なお、水蒸気供給パイプ14の内径は、水蒸気供給流量に対して十分に大きく選択し、水蒸気供給に伴って圧力損失を生じない程度に選択する。すなわち、水蒸気発生チャンバ18から供給される水蒸気は、概ね大気圧と同等の圧力で酸化防止チャンバ11に供給され、その後に排出口15から排出される。
この場合に、そのスカート部12が溶融はんだ2に浸漬された酸化防止チャンバ11は、この溶融はんだ2と同等の約250゜C程度の温度に保持されている。すなわち、この酸化防止チャンバ11内の雰囲気温度も約250゜C程度の温度であるとともにこの酸性防止チャンバ11内に供給される水蒸気の温度も約250゜Cであり、また、酸化防止チャンバ11に供給される水蒸気の圧力が急激に低下することもない。
したがって、酸化防止チャンバ11内に低酸素濃度の水蒸気雰囲気が形成され、しかもその水蒸気雰囲気には水蒸気の凝縮を生じることがないので、この酸化防止チャンバ11に覆われた溶融はんだ2の酸化を防止することができるようになる。
これにより、回転するポンプ軸5と溶融はんだ2の液面とこの液面上の雰囲気とが接触する領域でこの溶融はんだ2と雰囲気とが攪拌され、これによって生じていた溶融はんだ2の酸化の著しい進行が抑止されるようになる。
しかも、この低酸素濃度雰囲気を形成するために使用する気体は水蒸気であり、また、その原料は水であるので、いつでもどこでも極めて安価に低酸素濃度の雰囲気を形成することができるようになる。
ちなみに、水蒸気雰囲気により酸化防止チャンバ11内の酸素濃度を約20ppm程度まで低下させることが可能であることを確認している。また、36時間の連続運転によって発生する溶融はんだ2の酸化物量は、大気中で発生する酸化物量に対して約1/30に激減し、窒素ガス等の不活性ガスを供給して低酸素濃度雰囲気を形成した場合と比較して遜色のない結果が得られている。
図2(b)に示す他の態様例は、酸化防止チャンバ11のスカート部12が溶融はんだ2の液面から僅かに離れて隙間を有するように構成してあり、この隙間を酸化防止チャンバ11内の雰囲気の排出口15として構成した例である。
そのため、酸化防止チャンバ11が溶融はんだ2から加熱されることがないので、この酸化防止チャンバ11の上壁にプレートヒータ26を設けて加熱するように構成している。
そして、この例では、プレートヒータ26ヘの供給電力を調節することにより酸化防止チャンバ11の温度を調節することができる。ひいては、酸化防止チャンバ11内の雰囲気温度も調節することができるが、この雰囲気温度は溶融はんだ2の温度にも影響される。
また、以上の例において、水蒸気を発生させる水蒸気発生チャンバ18の加熱源として、はんだ槽1自体すなわち溶融はんだ2の中に浸漬されてはんだを溶融状態に保持するために使用されるヒータ(不図示)を使用しているが、水蒸気発生用として専用のヒータを設けるように構成してもよい。
すなわち、水蒸気発生チャンバ18をはんだ槽1から独立して設け、この水蒸気発生チャンバ18に水蒸気発生用さらには水蒸気加熱用に専用ヒータを設けるように構成すればよい。この場合においては、発生した水蒸気の温度を任意に調節し制御することができるようになる長所があるが、コストが若干上昇する。
最も注意しなければならないのは、酸化防止チャンバ11内で水蒸気の凝縮を生じる雰囲気を形成しないようにすることである。そのためには、水蒸気の供給経路や酸化防止チャンバ11内において水蒸気雰囲気の圧力が急速に低下したりその温度が急速に低下したりしないようにすればよい。水蒸気の凝縮を生じると水蒸気が霧滴化したり露滴化したりした雰囲気を形成して、これらの水分付着により逆に酸化を促進する雰囲気を形成してしまうからである。
そのため、図2(b)に示す例では、プレートヒータ26により加熱された酸化防止チャンバ11の温度を、この酸化防止チャンバ11内へ供給される水蒸気の温度よりも高くしておくとよい。また、水蒸気発生チャンバ18と酸化防止チャンバ11とを繋ぐ水蒸気供給パイプ14の太さを、水蒸気の供給に伴って圧力損失が生じない程度に大径にする。さらに、水蒸気供給パイプ14の温度が低下しないように、この水蒸気供給パイプ14を保温材で覆うように構成する。
図1および図2(a)、(b)に示す例では、水蒸気供給流量に対して水蒸気供給パイプ14の太さおよび酸化防止チャンバ11に設けた排出口15の大きさを十分に大きくしてあり、当該の流路において水蒸気の凝縮を生じるような圧力損失を生じないように構成してある。すなわち、各部の圧力は概ね大気圧となるように構成してある。
(2)実施形態例−2
図3および図4を参照して、本発明に係る実施形態例−2を説明する。図3は、はんだ付け装置の全容を説明するための斜視図、図4は、図2の縦断面および酸化防止チャンバの内部を示す図で、図4(a)は、図3の縦断面を示す図、図4(b)は、酸化防止チャンバの一部を切断してその内部の様子を示した斜視図である。
なお、図3における水供給ポンプの制御系(制御部および駆動部)はブロック図で描いてある。
この実施形態例−2は、特開2000−277903号公報の技術に本発明の水蒸気雰囲気による溶融はんだの酸化防止技術を用いた例であるが、溶融はんだ2の噴流波10を形成するはんだ付け装置である点においては、実施形態例−1と同様である。
実施形態例−1と相違するのは、ポンプ30を駆動するモータ31をはんだ槽1の下方側に設けることができるように構成されている点である。すなわち、はんだ槽1の槽底1aと溶融はんだ2の液面上とを連通するパイプ32を溶融はんだ2の排斥体として設け、このパイプ32に駆動軸33を通してこのパイプ32上で中空ポンプ軸34にねじ37で接続し、この中空ポンプ軸34に設けられたポンプ30を回転駆動するように構成されている。
そして、実施形態例−1と同様に、中空ポンプ軸34と溶融はんだ2の液面および大気とが接触する領域で発生し易い溶融はんだ2の酸化を防止するために、当該領域を覆う酸化防止チャンバ28を設けてある。
また、この酸化防止チャンバ28は、そのスカート部29が溶融はんだ2中に浸漬されているとともに、この酸化防止チャンバ28内へ水蒸気を供給する保温材16で覆われた水蒸気供給パイプ14を接続してある。そして、溶融はんだ2の液面上に現れている中空ポンプ軸34には透通孔35を設けてあり、溶融はんだ2の排斥体であるパイプ32と駆動軸33との間の空間を介してはんだ槽1の槽底1aの下方側空間と連通している。すなわち、はんだ槽1の槽底1aと駆動軸33との間の開口が水蒸気雰囲気の排出口36となる。
なお、目的とする定流量の水蒸気を供給するための手段(水蒸気発生チャンバ18や水供給ポンプ20、水供給パイプ21、水タンク19、水供給ポンプ20の制御部23や駆動部22)は前記実施形態例−1と同様である。
したがって、実施形態例−1と同様に、酸化防止チャンバ28内に凝縮を生じない水蒸気雰囲気を形成することができるようになり、この酸化防止チャンバ28に覆われた溶融はんだ2の酸化を防止することができるようになる。すなわち、酸化防止チャンバ28内に低酸素濃度の水蒸気雰囲気が形成され、しかもその水蒸気雰囲気には水蒸気の凝縮を生じることがないので、この酸化防止チャンバ28に覆われた溶融はんだ2の酸化を防止することができるようになる。
これにより、回転する中空ポンプ軸34と溶融はんだ2の液面とこの液面上の雰囲気とが接触する領域でこの溶融はんだ2と雰囲気とが攪拌され、これによって生じていた溶融はんだ2の酸化の著しい進行が抑止されるようになる。
しかも、この低酸素濃度雰囲気を形成するために使用する気体は水蒸気であり、また、その原料は水であるので、いつでもどこでも極めて安価に低酸素濃度の雰囲気を形成することができるようになる。
(3)実施形態例−3
図5を参照して本発明の実施形態例−3を説明する。図5は、実施形態例−3を説明するためのはんだ付けシステムを示す図で、図5(a)は、はんだ付けシステムの側断面図で水蒸気発生系および排気系はシンボル図で描いた図、図5(b)ははんだ槽上方部分の搬送コンベアの横断面を示す図である。
この実施形態例−3は、主構成としてはんだ付け装置40、予備加熱装置41および搬送コンベア42を備えたはんだ付けシステムにおいて、はんだ付け装置40が設けられるはんだ付け工程に低酸素濃度の水蒸気雰囲気を形成するように構成したはんだ付けシステムの例である。
はんだ付け装置40としては、前記の実施形態例−1や実施形態例−2に示したはんだ付け装置が使用できる。予備加熱装置41には、赤外線や熱風等により被はんだ付けワークであるプリント配線板43を加熱するための予備加熱用ヒータ44を設けてあり、図5においてプリント配線板43の上方側の面をも十分に加熱できるようにするための反射板45を設けてある。
搬送コンベア42は平行2条に設けてプリント配線板43の両側端部を保持するように構成してあり、予備加熱装置41を設けた予備加熱工程とはんだ付け装置40を設けたはんだ付け工程とに順次矢印A方向にプリント配線板43を搬送するための手段で、通常使用されている搬送コンベアと同様の構成である。すなわち、コンベアフレーム46に案内されて回動走行するチェーン47に設けた保持爪48によりプリント配線板43の両側端部を保持して搬送する仕組みである。
そして、はんだ付け工程に低酸素濃度の水蒸気雰囲気を形成するために、このはんだ付け装置40は酸化防止チャンバ49で覆われている。この酸化防止チャンバ49には搬送コンベア42を通す搬入口50と搬出口51とを設けてあり、そのスカート部52ははんだ付け装置40の溶融はんだ2に浸漬してある。
また、この酸化防止チャンバ49の上壁にはプレートヒータ53を設けてある。このプレートヒータ53の目的は図2(b)に使用したプレートヒータ26と同様の目的であり、これにより冷却され易い大型の酸化防止チャンバ49の温度を水の沸点以上の温度に保持たとえば100゜Cないし溶融はんだ2と同等の温度に保持する。すなわち、そのスカート部52が溶融はんだ2に浸漬してあっても、この酸化防止チャンバ49が大型であるため、その上部では温度が低下して水の沸点以上の温度を維持することが難しいからである。
一方、この酸化防止チャンバ49を通る搬送コンベア42のコンベアフレーム46内には、特にそのはんだ付け装置40の領域においてシーズヒータ54を設けてあり、この搬送コンベア42の温度が酸化防止チャンバ49内において水の沸点以上の温度(例えば、100゜Cないし溶融はんだ2と同等の温度)に保持することができるように構成されている。なお、このシーズヒータ54は,搬送コンベア42の全長にわたって設けてもよい。
このように、酸化防止チャンバ49にプレートヒータ53を設けるとともに搬送コンベア42にシーズヒータ54を設けて加熱することにより、酸化防止チャンバ49、搬送コンベア42および酸化防止チャンバ49内の雰囲気温度を水の沸点以上の温度(例えば、100゜Cないし溶融はんだ2と同等の温度)に保持することができるようになる。そして、それぞれのヒータ53,54は、温度制御装置(不図示)により温度をできるだけ揃えるように構成することが、酸化防止チャンバ49内で雰囲気の不要な熱対流や水蒸気の凝縮を生じないようにする上で望ましい。
また、水蒸気発生チャンバ18から供給される水蒸気の温度がその供給過程およびこの酸化防止チャンバ49内において急速に低下したり、水蒸気発生チャンバ18から供給される水蒸気の圧力がその供給過程および酸化防止チャンバ49内において急速に低下しないようにすることが、酸化防止チャンバ49内に形成する水蒸気雰囲気内で水蒸気の凝縮を生じないようにする上で必要な事項である。このことは、実施形態例−1や実施形態例−2において説明した事項と同様である。
一方、水蒸気供給装置25の構成は実施形態例−1や実施形態例−2と同様の構成であり、水蒸気発生チャンバ18がはんだ槽2に密着して設けら、はんだ槽2内に設けられたヒータ(不図示)により加熱された溶融はんだ2からの熱伝導により水を加熱して水蒸気を発生し、また、水蒸気を加熱する。
この水蒸気発生チャンバ18には、予め決めた所定の単位時間当たり流量の水が供給できるように、水供給ポンプ20およびそれを駆動し制御する駆動部23および制御部22、そして水タンク19に貯溜した水55とから構成されている。
他方、水蒸気発生チャンバ18で発生した水蒸気は保温材16で保温された水蒸気供給パイプ14により酸化防止チャンバ49内へ供給され、溶融はんだ2の噴流波10の近傍で搬送コンベア42の下方側すなわちプリント配線板43の被はんだ付け面側に向けて設けた水蒸気供給口筐56から供給される。
酸化防止チャンバ49に供給された水蒸気は、この酸化防止チャンバ49に設けられた搬入口50および搬出口51から流出し排出される。そのため、この搬入口50および搬出口51の近傍には排気用のファン57に接続された排気フード58を設けてあり、この搬入口50および搬出口51から排出された水蒸気雰囲気を排気フード58を介して排気する仕組みである。
そして、この排気フード58内には中和フィルタ59を設けてある。この中和フィルタ59は、多孔性部材からなるフィルタや屈曲した流路で形成したフィルタ等々の通常の粒子フィルタを使用することができる。そして、この中和フィルタ59には、例えば石灰のようなアルカリ性の材料を付着あるいはコーティングしてあり、排気フード58で捕捉した雰囲気中に酸性物質が存在している場合に、これを中和するように作用する。
はんだ付けシステムを以上のように構成することにより、酸化防止チャンバ49内には水蒸気の凝縮を生じない低酸素濃度の水蒸気雰囲気を形成することができるようになる。もちろん、酸化防止チャンバ49や搬送コンベア42にも水蒸気の凝縮を生じることがない。
例えば、溶融はんだ2の温度が250゜Cの場合に、酸化防止チャンバ49の温度および搬送コンベア42の温度を150゜C程度に保持しておくとともに酸化防止チャンバ49内の雰囲気温度も120〜200゜C程度に保持し、110〜200゜C程度の水蒸気を供給するように構成すればよい。また、酸化防止チャンバ49の搬入口50および搬出口51の大きさは、搬送コンベア42が通る程の大きさであるので、この酸化防止チャンバ49内の圧力は大気圧と概ね同じ圧力に保持される。
そして、被はんだ付けワークであるプリント配線板43のはんだ付けを行う場合には、このプリント配線板43は先ず予備加熱装置41で加熱されるが、このプリント配線板43の予備加熱温度を水の沸点以上の温度たとえば110゜C〜150゜C程度の温度に加熱して酸化防止チャンバ49内へ搬入するように加熱温度を設定する。すなわち、予備加熱装置41の予備加熱用ヒータ44の温度を調節する等して加熱温度を設定する。この場合においては、プリント配線板43に搭載されている電子部品の温度も水の沸点以上の温度に加熱してから酸化防止チャンバ49内へ搬入するようにする。
このように、はんだ付けシステムおよびはんだ付け工程を編成することにより、酸化防止チャンバ49に搬入されたプリント配線板43に水蒸気の凝縮を生じることなく、低酸素濃度の水蒸気雰囲気中でプリント配線板43と溶融はんだ2の噴流波10とを接触させ、このプリント配線板43のはんだ付けを行うことができるようになる。すなわち、プリント配線板43と溶融はんだ2の噴流波10とが接触するはんだ付け工程において水蒸気の凝縮を生じることなく低酸素濃度の雰囲気中ではんだ付けを行うことができるようになる。
したがって、溶融はんだ2の酸化が抑止された状態で良好な濡れ性のはんだ付けを行うことができるようになる。すなわち、はんだ付け性に優れたはんだ付けを行うことができるようになる。しかも、低酸素濃度雰囲気を形成するための原料は水であるので、低コストでいつでもどこでも実現することができる。
ところで、被はんだ付けワークであるプリント配線板43の被はんだ付け面すなわち溶融はんだ2の噴流波10に接触する下方側の面には、はんだ付け性を向上させるために予めフラックスが塗布されている。このフラックスは溶融はんだ2の噴流波10と接触すると気化したりヒュームを発生するが、酸化防止チャンバ49の搬入口50や搬出口51から排出される水蒸気雰囲気と一緒に排気フード58に案内されて排気される。
一方で、フラックス中にハロゲンが含まれていると、気化したりヒューム化したハロゲンが酸化防止チャンバ49の搬入口50や搬出口51から排出された後に、温度低下して凝縮した水蒸気に溶け込んで酸性の霧滴や露滴を生じる。この酸性の霧滴や露滴は、排気フード58内に設けた中和フィルタ59で捕捉され、アルカ性の中和剤で中和される。したがって、排気用のファン57で排気される雰囲気が環境に影響を与えることがない。
(4)実施形態例−4
図6を参照して、本発明の実施形態例−4を説明する。図6は、別のはんだ付けシステムを説明する図で、はんだ付けシステムの側断面図を示している。なお、図5に示す実施形態例−3と同様に、水蒸気発生系および排気系はシンボル図で描いてある。
この実施形態例−4のはんだ付けシステムが先の実施形態例−3のはんだ付けシステムと相違する点は、予備加熱装置41を設けた予備加熱工程部を含めて酸化防止チャンバ49で覆うように構成したこと、これに伴って搬送コンベア42の全長にわたってコンベア加熱用のシーズヒータ54を設けたこと、酸化防止チャンバ49に搬入するプリント配線板43に酸化防止チャンバ49内で水蒸気が凝縮することを防止するために、酸化防止チャンバ49の搬入口50の前段にプリント配線板43の凝縮防止加熱装置61を設けたこと、酸化防止チャンバ49の搬出口51から搬出されるプリント配線板43の乾燥を促進させる乾燥促進装置62を設けたことである。
また、酸化防止チャンバ49内においては、水蒸気供給口筐56を予備加熱装置41部分に設けて、予備加熱工程部へも水蒸気を供給するように構成してある。なお、酸化防止チャンバ49内に設けた抑止板63は、いわゆるラビリンス流路を形成して酸化防止チャンバ49内の不要な雰囲気流動を抑制するための部材である。
このように、予備加熱工程およびはんだ付け工程を酸化防止チャンバ49内に収容することにより、酸化防止チャンバ49内の雰囲気は予備加熱装置41の予備加熱用ヒータ44によっても加熱されるようになる。しかし、酸化防止チャンバ49が長大化することによる温度低下がある。そのため、酸化防止チャンバ49全体が水の沸点以上の温度に維持できるように、この例ではプレートヒータ53を酸化防止チャンバ49の2カ所に設けている。
予備加熱用ヒータ44は通常200゜C以上の温度に加熱されているので、特に水蒸気の凝縮を防止する加熱手段を別途に設ける必要はない。したがって、酸化防止チャンバ49、搬送コンベア42、予備加熱用ヒータ44および酸化防止チャンバ49内の雰囲気の温度は水の沸点以上に保持することができる。なお、この温度については前記の実施形態例−3に例示したような温度範囲(例えば120ないし200゜C程度)が実用的である。
したがって、実施形態例−1や実施形態例−2と同様に、水蒸気発生チャンバ18およびその供給系と酸化防止チャンバ49内において、水蒸気圧力の急激な低下や水蒸気温度の急激な低下が発生せず、酸化防止チャンバ49内に水蒸気の凝縮を生じない低酸素濃度の水蒸気雰囲気を形成することができる。
一方、チャンバ66内に搬入用コンベア64を挟んでヒータ65を設けた凝縮防止加熱装置61を酸化防止チャンバ49の搬入口50の前段に設け、被はんだ付けワークであるプリント配線板43を水の沸点以上に加熱してから酸化防止チャンバ49内へ搬入するように構成してある。したがって、酸化防止チャンバ49内においてプリント配線板43に水蒸気の凝縮を生じることもない。
そして、このプリント配線板43は、予備加熱用ヒータ44により例えば150゜C程度に加熱されてから溶融はんだ2の噴流波10にその被はんだ付け面を接触してはんだ付けが行われる。これらの過程は低酸素濃度の水蒸気雰囲気中で行われるので、窒素ガス等の不活性ガスが供給された低酸素濃度雰囲気と同様のはんだ付け環境を得ることができるようになる。すなわち、溶融はんだ2やプリント配線板43の被はんだ付け部の酸化のないはんだ付け、すなわち濡れ性が良好なはんだ付けを行うことができるようになる。しかも、低酸素濃度雰囲気を形成する水蒸気の原料が水であるので、いつでもどこでも安価に実現することができる。
このように、プリント配線板43のはんだ付け作業が水蒸気の凝縮を生じない雰囲気中で行われ、このプリント配線板43にも水蒸気の凝縮を生じることがないようにして行われる。しかし、プリント配線板43に搭載されている電子部品(不図示)の形状や大きさ等によりこのプリント配線板43上には立体的形状が構成されており、この隅部に水蒸気雰囲気が残ったまま酸化防止チャンバ49の搬出口51から搬出されると、その後においてプリント配線板43に水蒸気の凝縮を生じることがある。
そのため、このようなことがない様に、酸化防止チャンバ49の搬出口51の近傍に乾燥促進装置62を設け、例えばこの搬出口51から搬出されたプリント配線板43に向けて乾燥促進用のエアを吹きつけるように構成している。このエアは、湿度の低いドライエアや熱風が適している。すなわち、搬出口51に設けた搬出コンベア67上に、ヒータ68を備えたファン69でドライエアや熱風を吹きつけることにより、プリント配線板43の隅部に残留している水蒸気雰囲気を吹き飛ばすと同時に、僅かに残った水分をも即座に乾燥させることができるようになる。
(5)実施形態例−5
図7を参照して、本発明の実施形態例−5のはんだ付けシステムを説明する。図5は、もう1つのはんだ付けシステムを説明するための図で、はんだ付けシステムの側断面図を示している。なお、図5の実施形態例−3と同様に、水蒸気発生系および排気系はシンボル図で描いてある。
本実施形態例−5は、本発明の技術をリフローはんだ付け装置に適用した例である。窒素ガス等を使用した従来のリフローはんだ付け装置と異なるところは、フラックスヒュームの除去フィルタに中和フィルタ78を使用していることと、炉体71の搬入口50の前段に凝縮防止加熱装置61を設けていること、炉体71の搬出口51の近傍に前記実施形態例−4と同様の乾燥促進装置62を設けていることである。もちろん、低酸素濃度雰囲気を形成するための水蒸気発生装置25を備えている。なお、加熱用の炉体71は酸化防止チャンバとしての役割も有する。
このリフローはんだ付け装置は、加熱用の炉体71の内部に予備加熱工程部72とリフロー工程部73とを備え、予備加熱工程部72はさらに昇温部74と均温部75とで構成されている。そして、各工程内には被はんだ付けワークであるプリント配線板43を加熱する加熱手段76をそれぞれ備えている。
この加熱手段76は、プリント配線板43を搬送する搬送コンベア42の上下すなわちプリント配線板43の両面に臨んで設けられているが、上方側や下方側のみに加熱手段76を設けて構成した装置もある。
加熱手段76としては、赤外線等の熱線加熱手段や熱風雰囲気を吹きつける熱風加熱手段、熱線加熱と熱風加熱とを併用した加熱手段等が広く使用されている。図7においては、この加熱手段の具体的構成は省略して図示していない。
そして、通常は予備加熱工程部72でプリント配線板43を150゜C程度に加熱し、その後にリフロー工程部73でこのプリント配線板43を210〜250゜C程度に加熱し、その被はんだ付け部に予め供給されたはんだ(不図示)を溶融させてはんだ付けが行われる。したがって、リフローはんだ付け装置の炉体71、搬送コンベア42および炉体71内の雰囲気の温度は少なくとも150〜250゜C程度に保持されている。
しかし、炉体71の一部や搬送コンベア42の搬入口50部分や搬出口51部分において温度低下を生じ、当該部分で水蒸気の凝縮を生じる恐れがある。そのような場合においては、前記の各実施形態例と同様に当該部分に加熱手段を設けてその温度が水の沸点以上になるように構成する。
また、炉体71の各加熱室へ水蒸気を供給する水蒸気供給パイプ14の長さが長くなるので、保温材16だけではなく、水蒸気供給パイプ14自体に加熱用ヒータ(不図示)を巻き付けて設け、その上を保温材16で覆うように構成するとよい。なお、水蒸気発生チャンバ18には図示しないヒータを設けて加熱する構成である。このヒータとしては電気ヒータが温度の制御性等に優れていて好適である。しかし、火力による加熱を用いて水蒸気を発生するように構成してもよい。この場合においては、水蒸気発生コストを低くすることができるようになる。
この実施形態例−5において、被はんだ付けワークであるプリント配線板43は先ず凝縮防止加熱装置61内を搬入用コンベア64で搬送されつつ水の沸点以上の温度(例えば110゜C以上)に加熱され、炉体71内の予備加熱工程部72(昇温部74と均温部75)に搬送されて例えば150゜C程度の温度に加熱される。続いてリフロー工程部73に搬送され、例えば210〜250゜C程度に加熱されてリフローはんだ付けが行われる。
これら各工程部すなわち予備加熱工程部72とリフロー工程部73は低酸素濃度の水蒸気雰囲気中で行われ、はんだや被はんだ付け部の酸化のない濡れ性に優れたリフローはんだ付けを行うことができる。しかも、水蒸気の原料は水であるので、いつでもどこでも安価に低酸素濃度雰囲気中ではんだ付けを行うことができるようになる。
そして、炉体71の搬出口51から搬送されたプリント配線板43に、乾燥促進装置62によりドライエアや熱風を吹きつけることにより、プリント配線板43の隅部に残留している水蒸気雰囲気を吹き飛ばすと同時に、僅かに残った水分をも即座に乾燥させることができる。
また、炉体71の搬入口50および搬出口51から排出される水蒸気や気体化したフラックス(フラックスガス)やフラックスヒュームは、排気フード58で捕捉されて排気される。この場合に、フラックスにハロゲンが含まれていても、中和フィルタ59で捕捉され中和されるので、排気用ファン57によって排気される雰囲気が環境に悪影響を与えることもない。
さらに、炉体71内で発生したフラックスガス(気体化したフラックス)やフラックスヒュームは、フラックス回収フィルタ77内に中和フィルタ78を設けて除去し、炉体71内にフラックスヒュームが滞留しないように構成してある。ここで中和フィルタ78を使用する理由は、捕捉されたフラックスにハロゲンが含まれている場合にこのフラックスが酸性となり、フラックス回収系が浸食されるのでこれを防止するためである。
フラックス回収フィルタ77は、中和フィルタ78と循環用ファン79および吸い込み口筐80、吐出口筐81、保温材82で覆われた循環用パイプ83およびフィルタチャンバ84とからなる。そして、特に気体化したフラックスやフラックスヒュームが多量に発生するリフロー工程部73の加熱室内の雰囲気を循環させ、炉体71や搬送コンベア42、プリント配線板43等に付着し易いフラックスヒュームを除去し、汚染のない雰囲気を形成している。
本発明に係る実施形態例−1のはんだ付け装置の全容を説明するための斜視図である。 図1の縦断面を示す図である。 本発明に係る実施形態例−2のはんだ付け装置の全容を説明するための斜視図である。 図3の縦断面および酸化防止チャンバの内部を示す図である。 本発明の実施形態例−3を説明するためのはんだ付けシステムを示す図である。 別のはんだ付けシステムを説明するための図である。 もう1つのはんだ付けシステムを説明するための図である。
符号の説明
1 はんだ槽
1a 槽底
2 溶融はんだ
3 モータ
4 継手
5 ポンプ軸
6 ポンプ
7 吸い込み口
8 吹き口体
9 吹き口
10 噴流波
11 酸化防止チャンバ
12 スカート部
13 ポンプ軸挿通孔
14 水蒸気供給パイプ
15 排出口
16 保温材
17 供給口
18 水蒸気発生チャンバ
19 水タンク
20 水供給ポンプ
21 水供給パイプ
22 制御部
23 駆動部
24 流路形成板
25 水蒸気供給装置
26 プレートヒータ
28 酸化防止チャンバ
29 スカート部
30 ポンプ
31 モータ
32 パイプ
33 駆動軸
34 中空ポンプ軸
35 透通孔
36 排出口
37 ねじ
40 はんだ付け装置
41 予備加熱装置
42 搬送コンベア
43 プリント配線板
44 予備加熱用ヒータ
45 反射板
46 コンベアフレーム
47 チェーン
48 保持爪
49 酸化防止チャンバ
50 搬入口
51 搬出口
52 スカート部
53 プレートヒータ
54 シーズヒータ
55 水
56 水蒸気供給口筐
57 ファン
58 排気フード
59 中和フィルタ
61 擬縮防止加熱装置
62 乾燥促進装置
63 抑止板
64 搬入用コンベア
65 ヒータ
66 チャンバ
67 搬出コンベア
68 ヒータ
69 ファン
71 炉体
72 予備加熱工程部
73 リフロー工程部
74 昇温部
75 均温部
76 加熱手段
77 フラックス回収フィルタ
78 中和フィルタ
79 循環用ファン
80 吸い込み口筐
81 吐出口筐
82 保温材
83 循環用パイプ
84 フィルタチャンバ

Claims (3)

  1. 圧力が一定であり水蒸気の凝縮を生じない水蒸気雰囲気を溶融はんだの周辺に形成しておいて、
    電子部品が搭載されたプリント配線板を水の沸点よりも高い温度に加熱して前記水蒸気雰囲気内へ搬入して前記プリント配線板に水蒸気が凝縮しないようにして溶融はんだに接触させてはんだ付けを行うことを特徴とする水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法。
  2. 圧力が一定であり水蒸気の凝縮を生じない水蒸気雰囲気を遮蔽手段により形成された加熱炉内に形成しておいて、
    予めその被はんだ付け部にはんだが供給されるとともに電子部品が搭載されたプリント配線板を水の沸点よりも高い温度に加熱してから前記加熱炉内に搬入し、前記プリント配線板に水蒸気が凝縮しないようにして前記被はんだ付け部のはんだを溶融させてはんだ付けを行うことを特徴とする水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法において、
    少なくとも水蒸気雰囲気を保持するための遮蔽手段と前記プリント配線板を前記遮蔽手段の内部へ搬送する搬送手段および前記遮蔽手段と搬送手段とを加熱する加熱手段を設けて前記遮蔽手段の内部の雰囲気温度を水の沸点以上の温度に保持するとともに前記遮蔽手段および前記搬送手段に水蒸気の凝縮が生じないようにしてプリント配線板のはんだ付けを行うことを特徴とする水蒸気雰囲気によるプリント配線板のはんだ付け方法。
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